ゴロねこニャン吉奮闘記 5   作:紫 李鳥

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家族

 

 

 炭焼き小屋を住まいに決めると、近くにある渓流で喉をうるおしました。

 

「あ~、冷たくておいしいわ」

 

 生き返ったようなサクラの声がしました。

 

「あー、うまい」

 

 ニャン吉も生き返った思いでした。

 

 

 

 

 そして、サクラとの新たな生活が始まりました。

 

 その夜、ニャン吉は思いきって求婚しました。

 

「お、俺と、……結婚してくれるかい?」

 

 ニャン吉は、少し緊張気味でした。

 

「……こんなわたくしでよければ」

 

 サクラは羞(は)じらうようにうつむきました。

 

「俺には勿体ないきみだけど、好きだという気持ちは隠せない。地位も名誉も財産もない俺だけど、……それでもいいかい?」

 

「ええ。ニャン吉さんの優しさだけで十分ですわ。……わたくしも、好きだという気持ちは隠せません」

 

(やったー!相思相愛じゃん)

 

「お嬢様育ちのきみに苦労をかけるかもしれない。それでもいいかい?」

 

「ええ。幸せはお金では買えないもの」

 

(サクラは、いいこと言うな)

 

「俺は親の顔も知らない。飼われたこともない。根っからの野良だ。きみに贅沢(ぜいたく)をさせてあげられない。それでもいいかい?」

 

「わたくしは贅沢な生活がイヤでした。貧しくてもいい、温もりのある生活がしたいと思っていました。ニャン吉さんに出会えて、……幸せです」

 

(サクラ……。泣けてくるぜ)

 

「あした、結婚式を挙げよう」

 

「ええ」

 

 サクラがクリッとした目で見つめました

 

 

 翌朝、ニャン吉は小屋の近くに咲いていた赤い花をくわえて戻ると、サクラの耳元に添えました。

 

「……キレイだ」

 

「……ありがとう」

 

 そして、二人だけの結婚式を挙げました。

 

 互いに寄り添い、頬を寄せ、そして、キスをしました。

 

 なんの取り柄もない俺と結婚してくれたサクラを、大切にしようと、ニャン吉は心に決めました。

 

 

 

 

 夕食のためのハンティングに出掛けたニャン吉は、トカゲやバッタをくわえて戻りました。

 

 おいしそうに食べてくれるサクラを見て、ニャン吉は幸せだと思いました。

 

 最高級のキャットフードしか食べたことがないであろうサクラが、俺が獲ってきたその辺のものをおいしそうに食べてくれる。

 

 ニャン吉は、サクラをいじらしいと思いました。

 

 

 そんな生活が2ヶ月ほど、続いたときでした。

 

 サクラが出産したのです。

 

 男の子と女の子の双子でした。

 

「ニャーニャー」

 

 鳴く子供に母乳を与えるサクラは、まさに肝っ玉母さんです。

 

 “母は強し”という言葉がぴったりでした。

 

 女の子はクラシックタビー柄で、男の子は白黒のパンダ柄です。

 

 自分にそっくりな子供を見て、ニャン吉は男泣きしました。

 

 うれしかったのです。幸せだったのです。

 

 

 

 

 家族ができたことが……

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