キン肉マン~転生したらカナディアンマンだった件~ 作:やきたまご
「ペンタゴン、どうしてお前が!? 既にウォーズマンにやられて死んだはずでは!?」
「僕は君の言うとおり確かに死んでいるよ。今は現世と冥界の狭間にいるところさ。ここまで君の試合を見ていたけど、危ないと思って思わず止めてしまったよ」
「余計な手助けは無用だ! これは俺の闘い! お前の助けは絶対借りない!」
「では、仮にこの勝負が、正義と悪魔の対立じゃなかった場合、同じ答えを言えるかい?」
「そ、それは……」
「そう、それが君の本音だよ。既に君は勝てないと分かっている。しかし、君は僕に気を遣って助けを求めまいとしている。違うかな?」
「……ふっ、大きくなっても変わらないなお前は。だから俺はお前が大好きだ。いいぜ、この試合、お前が自由に手をだしな!」
「そう言って貰えるとありがたいよ。ただし、勝つために一つ話さなければいけない事がある……僕と永遠に会えなくなる……それでもいいかい?」
「おい、それはどういうことだ!?」
「君が勝つ唯一の方法、僕の技を使えるようになることだ。しかしその方法は君と魂を同化させる事だ」
「魂の同化だと!? それはベースとなる俺の魂にお前の魂が合わさること、つまりお前の魂が消滅するということ……」
「そう、いわば存在事態の消滅を意味する。つまり僕そのものがなくなるということだ。君にその覚悟があるなら遠慮無くやっていい」
「待て! お前の意思はどうなる! お前は生き返れないどころか、お前自身を消すことになるんだぞ! それでもいいのか!!」
「いいさ、君の勝利は僕にとっては大きな幸福なんだ……」
「……全く、俺なんかみたいな下等な悪魔に献身的になりやがって……いいだろう!」
「了解したみたいだね、いくよ!!」
キュイイイイインン
ブラックホールの辺り一帯が発光する。そして時はまた動き出した。
『これはどういう事だ!? ブラックホールが突如発光した!!』
ロビンマスクはその様子を見ながらも冷静さを保った。
「何が起ころうと、この技は絶対外さない!!」
「いくぜ、ブラックホールの真の四次元殺法をな!!」
ごむぁ ごむぁ ごむぁ
ブラックホールの顔面の穴の形が変化していった。
『あ――――――っ!! ブラックホールの顔の形が〇から☆へと変わった――――――っ!!』
ブラックホールが顔面の星のマークを回転させる。
「いくぞ、クロノスチェンジ!!」
しゅびん
『な、な、なんだこれは! 技をかけられていたはずのブラックホールが技をかけているぞ!? そしてロビンマスクにまさかのロビンスペシャルがかかった――――――っ!!』
「そんな馬鹿な!?」
「馬鹿なことも起きるさ!! 一人の男が魂を燃やして起こした奇跡なのだからな!!」
しゅたぁん
「バンデットロビンスペシャル!!」
「ごはぁっ!!」
ロビンマスクは血反吐を吐き、マットに倒れた。
カン カン カン カン
『ここに来てまさかのどんでん返しが起きてしまった――――――っ!! ロビンマスク! ここまで温存していたロビンスペシャルを繰り出し、勝利がほぼ約束されたも同然の状態でしたが、悪夢の奇跡が起きてしまった――――――っ!!』
ロビンマスクが力を振り絞って言葉を出した。
「なるほど……お前には心から盟友と呼べる存在がいたのか……これまで一人で強さを追い求めすぎたのが私の敗因だ……」
ばたり
ロビンマスクの息が絶えた。
「くそったれが―――っ!!」
「ロビンマスクを返せ―――っ!!」
ひゅーん
ブラックホールに対し観客が空き缶やゴミを投げつけてきた。今のブラックホールにそれを避ける気力は無かった。
びゅおおおお
「うわぁ! 投げた空き缶が強風で返って来やがった!?」
パラリ
白い羽がブラックホールの足下に落ちていた。顔のないブラックホールがどことなく笑っているかのように見えた。
まさか、間違いない! あれはペンタゴンの力だ!? どうしてそうなったかは分からないが、ロビンマスクまで負けてしまうとは……。ここまでテリーマン、ラーメンマン、ロビンマスクとアイドル超人がことごとく負けている。悪魔超人達が原作以上にハードになっていやがるぜ!
そして俺がトリを飾る試合かよ! まあラスボスがバッファローマンだからメタなところもあるだろうけどよお。
「ハリケーンミキサー!!」
なんて考えている暇はなかった! 今は目の前の敵を倒すことに集中だ!
「俺のパワーを舐めるなよ!!」
がしっ
『カナディアンマン! 真っ正面からバッファローマンのロングホーンを受け止めた! しかしパワー負けし、どんどん押されていく!!』
「確かにパワーはそこそこあるみてえだが、俺には到底叶わないぜ!!」
ついにコーナーポストまで追い詰められちまった! 逃げ場がもうねえ!
ずぶぶぶ
ぐわああ! ロングホーンが徐々に俺の胸に刺さっていきやがる!
「ぐうう!!」
あの角をなんとかできねえもんか! 角! 頭!髪の毛! ……あっ!! 少しばかしせこい手だが、今の俺にはこれしか助かる方法が浮かばねえ!
「バッファローマン、お前の髪型が少しずれているように見えるんだが」
「なにっ!!」
ビンゴ! バッファローマンが慌てて頭を抑えたぞ!! ようし、横から素早く逃げて脱出成功!
『バッファローマンどうしたことか! 優勢だったのに技を外してしまったぞ!!』
こんなしょうもない手でなんとかなっちまうとはな。確実に言えるのは、バッファローマンはこの時点でヅラを被っている! 原作で悪魔将軍と闘う前に、髪をカツラのようにとっていたからな! 原作では不評だったせいか黒歴史になっているが。
「てめえ、俺の髪の毛の事を何故知ってやがる!」
「さぁな、でも俺はお前の事をなぁんでも知っているぜ」
「ちぃっ! 口封じのために確実に死んで貰わんとな!」
逆効果じゃねえか! 俺の馬鹿! くそ、後何かバッファローマン絡みで良いネタないのか! ……あった、もう思いついたことそのまま言っちゃえ!
「おい、お前は誇り高き一族の出身だったんじゃないのか?」
またもバッファローマンの動きが止まった。ようし、時間稼ぎ成功だぜ!
「な、なぜお前がそんなことまで!?」
「名称はバッファロー一族だったか? 一族内の争いにより、バッファロー一族の生き残りはお前一人となった! そんな過去がありながらよ、正義と悪魔が互いに命を賭す争いに積極的に参加するなんて、滑稽じゃねえのか!!」
「やれやれ、痛いところをつきやがるな。確かにはたから見れば俺は馬鹿に見えるだろうぜ。俺だって一族が争いもせずに平和に暮らしていれば、悪魔超人なんぞに身を落とすこともなかっただろう。もしかしたらお前達と一緒に悪魔超人と闘っていた未来もあったかもしれない」
おっ、これは良い感触だ!
「今からでも遅くはない。俺と一緒に闘うんだ! お前の気持ちに正直になれ!」
「勘違いをするな」
え? もしかして駄目なパターン?
「俺は今の俺が気に入っている。悪魔超人として高みを目指し強者とぶつかり合うこと、闘いを愛する俺にはうってつけの生き方だぜ」
「やっぱ、話し合いは通じないか……」
「俺に通じるのは拳の語り合いだぜ!」
ドドドドド
やばい、こっちに向かってくる! 右のフックを出してくるな!
ぶおおおん
大ぶりなフックなもんで避けやすかったが、一発食らっただけでも失神ものの一撃だぜ。
ぐさああ
ぐわおおお!! 顔にトゲの突いた膝で蹴られたああ!!
『あ――――――っ!! これは残酷!! バッファローマンの毒針ニードルがカナディアンマンの右頬をとらえた――――――っ!!』
勝てる気が全くしない!!