キン肉マン~転生したらカナディアンマンだった件~ 作:やきたまご
超人オリンピック当日まで俺とキン肉マンは練習を欠かさなかった。キン肉マンに負けたのは非常に屈辱的であったが、同時にそれは俺のモチベーションにもつながり、キン肉マンもキン肉マンでマリさんをとられるんではないかと思って必死に練習に取り組み、いつのまにか互いに良いパートナー同士となっていた。たまにテリーマンも遊びに来て、俺達のスパーリングを手伝ってくれた。
そして超人オリンピック当日の日がやって来た。
「や~い! 国辱超人め! キン肉マンでも勝てるなら俺達でも勝てるぞ~~!!」
俺の入場時に、空き缶やらゴミやらがかなり飛んできた。予想はしていたが、やられると結構嫌な気持ちになるなぁ……。
「くそったれ! 今に見ていろ!」
開会式終了後の第一種目ジャンケンは難なく突破した。問題は第二種目の怪獣の持ち上げである。
「原作通りだと、スペシャルマンが持ち上げるタイミングでキン骨マンが現れるはずだ。どうしようか? 原作通り進めた方が無難か……いや!」
俺はスペシャルマンを見捨てることなんて出来ない。なぜなら性格の悪いカナディアンマンとタッグを組んでくれたからだ! それに超人様でも結構良い奴だった(ゆで先生が書いた作品じゃないけど)
そして怪獣の重さが、より重量のあるものに変わった。途中までは何事もなく競技が進み、やがてスペシャルマンの出番の時がやって来た。
「おいキン骨マン! 全く姿が隠せてないぞ!! それでスペシャルマンの競技を妨害する気か?」
俺はわざとらしく大きな声で言った。
「ええっ!? そんな馬鹿な! 確かに姿は隠れているはずなのに!」
間抜けだ。俺のかまにまんまとひっかかったぞキン骨マン。何もないところからキン骨マンの声が聞こえたので、すぐに超人委員会のスタッフが調査に入った。
「そこだな!」
スタッフの一人がペイント弾を打ち、キン骨マンに当たった。当然何もないところにペイントが浮かび、すぐにキン骨マンはひっとらえられた。
「ありがとうカナディアンマン! 君のおかげで第二種目を何事もなくクリアできた! しかしよくキン骨マンがいるなんて分かったね!」
スペシャルマンが早速俺に礼を言いに来た。まじで良い奴だぜ。
「いやぁ、超人のカンってやつさ! あっはっは! まあお互い頑張ろうぜ!」
「ああ! できれば決勝で君と闘いたいね!」
俺はスペシャルマンと互いに拳を合わせて、誓いをかわした。
原作とは違う展開になったが、これはこれで良いな!
さて第三種目の宇宙マラソンにて事件は起こった。俺とスペシャルマンはほぼ同じタイミングで月に到着した。
「ひひひ、カナディアンマンめ、今に亡き者にしてやるだわさ!」
ん? キン骨マンのライフルの銃口が俺の脚をむいている? やべえ、テリーマンのフラグがまさか俺にふりかかるのか!?
「危ない! カナディアンマン!」
ズキューン
スペシャルマン!? おれをかばってくれただと!? しかも脚に弾丸が当たって酷い傷だ!!
「ひえええ! 間違っただわさ!」
キン骨マン達が逃げ出した。月にいた超人委員会のスタッフがすぐにキン骨マン達を追いかけた。あいつらのことはどうでもいい、俺はスペシャルマンが心配だ! 俺はすぐに彼のもとへと駆け寄った。
「すまない! 俺をかばって酷い怪我をおって……どうお詫びすれば……!」
俺の目から自然と涙が出ていた。
「な~~に、借りを返しただけさ。本当なら僕は第二種目で脱落していたかもしれないんだ」
「いいや、俺の責任だ! お前を背負ってでもゴールの会場にいくぜ!」
「馬鹿野郎! 君がそんなことしても僕は喜ばないぞ!!」
スペシャルマンが怒鳴った。珍しい場面に俺はひるんだ。
「し、しかし……」
「僕の思いも背負い、この大会のチャンピオンになってくれ! そしたらついでにキン肉マンの王位の座もかけて再び勝負しようじゃないか!」
「分かったぜ! 俺はお前のためにも必ずチャンピオンになる!」
俺はスペシャルマンを置いて、月を旅立った。もう原作など関係ない! 俺はあいつとの友情のために優勝してやる!
そして俺は地球まで戻り、ファイナリスト入りが確定した。既にロビンマスク、テリーマン、ラーメンマンが到着した後だった。
あっ、優勝するって事はこの三人と確実に当たるよな……。やばい、さっきの闘志がなくなってきた……。というかスペシャルマンなにげに王位争奪戦で言っていた爆弾発言かましていたな。いい人そうに見えてちゃっかりしたとこあるな……超人様でもそういうところあったし。
そして、7人目までゴールしたところである。
あれ、キン骨マンを月で逃がしたって事は、キン肉マンに爆弾入りのうさぎを渡す奴がいない。これって原作通りキン肉マンゴールできないんじゃ。
ぷうううううう
突如空中から巨大な屁の音が聞こえた。同時に大勢の超人が空からふってきた。
「ぐわああ!! くせええ!!」
「なんとかしろおお!!」
会場はキン肉マンの屁により阿鼻叫喚であった。俺も鼻をふさいでいるのに失神寸前の状態だ。
「いやぁ、前日にさつまいも食いまくったら今頃になって屁が出てもうたわい」
恐るべしキン肉マン、やはりどんな状況でも奇跡を起こす男だ。この後のバトルロワイヤルもキン肉マンはなんとか生き残り、ベスト8入りを果たした。
そして、ついにトーナメントの組み合わせを決める日が来た。原作通りなら俺の対戦相手はロビンマスクだが、前もって委員長に進言していたことがある。
「えぇ~~この試合、わしが組み合わせを決めさせて貰った。異議のある者は即失格とする!」
そう、原作ではくじをひいてランダムに決まったが、キン肉マンをロビンマスクの噛ませ犬にするという条件でキン肉マンを出場させた。つまり! 委員長が組み合わせを決めることになる。
「第一試合! キン肉マンVSロビンマスク」
会場がざわついた。
「委員長!! これはどういうことじゃ!! さてはうちのスグルをトーナメント戦ですぐに消そうと思って前チャンピオンを当てたんじゃな!!」
早速キン肉真弓が委員長に噛み付いた。
「そうじゃよ。それがどうした? それ以上文句があるならここでキン肉マンを失格にさせるぞ!」
「なあなあ、ぼてち~ん、そんな固いこと言わんといて!」
「昔のあだ名を出すな気持ち悪い! それにそこにいるカナディアンマンがキン肉マンをロビンマスクの噛ませ犬程度になるまで強くするという条件で出場させたんじゃ。むしろわしとカナディアンマンに感謝して頂きたい」
委員長の馬鹿~~~~っ!! 批難の嵐を避けるために、俺にバトンを唐突にまわすな~~~っ!!
「その話本当か!」
意外にもテリーマンが怒りを露わにした。
「委員長、あそこにいる国辱男は俺に闘わせてくれ!!」
「な、何を言っているんじゃテリーマン! 既に組み合わせはわしが決めておるのじゃ!」
「俺の親友を大舞台で笑い者にするために、ここまで友情の三文芝居を打ったあの男が許せねえ!!」
流石にこれには俺も頭にきた。いや、建前としてはそうだけど、俺は俺なりにここまでキン肉マンとはガチで仲良くやっていたんだぞ。
「なに! 俺の友情が見せかけだったとでも言うのか! 大人をからかうんじゃねえぜボーイ!」
ばきぃ
テリーマンが俺の顔面を思い切りぶん殴りやがった。まあ無理もない、本人が一番気にしていた事をえぐるような事を言ってしまったからな。すぐさま超人委員会のスタッフが間に入って喧嘩の仲裁に入った。
「それに我が友スペシャルマンの敵討ちでもある!」
「敵討ちだと?」
「そうだ! お前をかばい脚を打たれたスペシャルマンは怪我の悪化で脚を切断したんだ!」
「なんだって――――っ!!」
会場の人達は驚いた。俺ももちろん驚いた。テリーマンの義足フラグまでスペシャルマンにふりかかろうとは……まじで申し訳なくなってきた……。
「第二種目でお前はスペシャルマンを救ってくれた。それには感謝している。だからお前のせいだとは言わない。だがスペシャルマンのためにもまずお前を倒す!」
委員長も事情を聞いて、了解したようだった。
「それでは第二試合はテリーマンVSカナディアンマンとする!」
だああああ!! なんでこういうことになるんだ!! この先のシリーズでも他のキャラみたいに活躍したいと欲張ったからか!! 完全に俺ヒールじゃねえかあああ!!
「見損ないましたよカナディアンマン、もう僕たちの元へは来ないでください」
ミート君からも容赦の無い言葉を浴びせられた。俺が落ち込んでいる間に次々に試合は発表された。
「第三試合! カレクックVSスカイマン」
あっ、いつの間にかタッグを組んでいた二人か。もしかしてこの試合で二人に友情が芽生えるのか?
「第四試合! ラーメンマンVSブロッケンマン!」
これは原作通りだな。さらにこのブロックに残虐超人皆が固められたのも原作通りか。恐らくラーメンマンがこのブロックを勝ちあがるだろう。
問題は俺のブロックにロビンマスク、テリーマン、キン肉マンがいることだ。後々トップファイターとなる三人が固まったのは非常にやばいことである……。
その日より、俺はキン肉マンやテリーマンからも見放され、トーナメントの試合当日までカナダの山奥で一人練習に励むことになった。
「くそ! くそ!」
俺はランニングをすることにした。原作でカナディアンマンがパイレートマン相手にスタミナ切れを起こしたことを思い出し、スタミナの強化に取り組んだ。まあ一人だからこういった一人でもできるトレーニングしかできないのもあるが……。
こんこん
俺一人山小屋にいる時に客がやって来た。きっとろくなやつじゃないんだろうな。
「へい、盟友よ、元気そうだな」
驚いた。目の前にスペシャルマンがいたのだ。片脚がなく松葉杖をついている。
「お前、スペシャルマン! 大丈夫なのか!」
「自分のことを一番に心配しなよ。それよりもすまないな、僕のせいでこんなことになって。君は悪者扱いされているが、僕は君を真の正義超人であると信じているよ」
スペシャルマンが満面の笑顔をおれにくれた。
「うおおおおお!!!」
俺は優しき勇者の胸で泣いた。
「さぁ、泣いている暇はないぞ! 片足だけになったけど寝技ぐらいなら君とも闘える実力はある! 僕の全てを君に授けよう!!」
誰からも信用されずに真の国辱マンとなってしまった俺の心を救ってくれた優しき勇者に、ただただ俺は感謝した。
ビッグボンバーズ誕生!!