キン肉マン~転生したらカナディアンマンだった件~   作:やきたまご

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またもや超人墓場いきか!?


なにもしない友情!!の巻

(原作のテリーマンみてえに俺の両腕まで奪われてしまった……もう駄目だ……いや!)

 

「確かに俺の両腕はなくなっちまったが、今のお前のダメージは大きい! それなら例え両腕がなくなっても十分勝機はある!!」

 

ぽつ ぽつ

 

 リングに雨が降ってきた。それを見るとアシュラマンが何か案を思いついた顔をした。

 

「貴様には散々酷い目に遭わされたからな、少し遊んでやるか」

 

べりりり

 

 アシュラマンはリングのマットをいとも簡単にはずした。特設の高所のリングのため、床が完全になくなってしまった。

 

「こら! 両腕がなくなっているから落ちないようにするの大変なんだぞ! さっさと口から糸でもはいて足場をつくりやがれ!!」

 

「やれやれ、驚かせてやろうと思ったのにネタバレしおって。まぁいい、私は蜘蛛の化身でもある。ゆえにこのような芸当もできるのだ」

 

ぴゅうう

 

 アシュラマンが口から何本も糸を吐き出し、マットの代わりに頑丈な蜘蛛の巣を張った。

 

(さて、原作でもあった勝負展開だが、今の俺には両腕がない。うかつに動くとアシュラマンの攻撃をうけるだけだ)

 

「いかぬのか? ならばこちらからしかけるぞ!」

 

『アシュラマン! リングロープを使い勢いよくカナディアンマンのもとへ飛んでいく!!』

 

(足だけでなんとかこの男を倒す方法……これだ!)

 

『カナディアンマン観念したか!! ロープを背にして逃げません!!』

 

「カカカ、その体じゃあこの蜘蛛の巣リングは満足に動けまい!」

 

「そいつはどうかな?」

 

『カナディアンマン! 突撃してきたアシュラマンにタイミングを合わせて両脚をあげてヘッドシザース、いや、首四の字か! そのままリング外に出て落下だ!! カナディアンマンなにをしているんだ!!』

 

「貴様! 両腕がなければ頭からしか落下できないぞ!! いますぐ私の首四字を解かなければ死ぬぞ!!」

 

「馬鹿言うな、この技はロビンマスクのロビンスペシャルそのものだ。決まれば一撃で決まる。もっとも、俺も死を覚悟しなきゃいけないけどな……」

 

(テリーマンも両腕を奪われた状態では引き分けを狙うのがやっとだった。ならば俺もそれを見習わねえとな)

 

『カナディアンマン! 道連れ覚悟でロビンスペシャルをしかけた!! しかしカナディアンマンは頭でしか受け身をとれない状態です!!』

 

「なるほど、アイドル超人の一人ロビンマスクの開発した技だけあるな。これは私でもまともにくらってしまうと危ない。しかし先程お前は良いヒントをくれた。首のフックの大事さをな」

 

 アシュラマンが口を大きく開けた。

 

(え? まさか、これってアシュラマンがアルティメットスカーバスター破った時の奴をやる展開?)

 

「頭寸尺変え!」

 

がこん

 

『これは残酷な光景! お子様や心臓の弱い方はこの場面だけは目を背けて下さい! アシュラマン口を勢いよく閉じて自身の歯を砕いて顎の形を変えました!!』

 

(うわっ、俺の方にアシュラマンの歯や血が飛んできた! これグロイから苦手なのに……そしてここでまさかの二世ネタがきたか)

 

「私の顔の寸尺を変えることにより、わずかな隙間ができた」

 

すっ

 

『アシュラマン! カナディアンマンの両脚のフックより脱出した! そして空中でアシュラバスターをかけなおした!!』

 

「カカカ、名付けて改良アシュラバスター! 六本中二本の腕をお前の首のフックに使う。これで脱出はできまい!」

 

ぶちん ぶちん

 

 アシュラマンがカナディアンマンのどす黒くなった両腕をとらえるといとも簡単に千切れた。余った両腕をアシュラマンの両脚にかけ直した。

 

『カナディアンマン万事休す!! これでフィニッシュとなるか!!』

 

(だめだ、今の俺に脱出する手段が思いつかねえ……クソ力でなんとか出来るレベルでもねえ……)

 

ずがぁぁぁん

 

 両者の落下と共に、あたりに砂煙がたちこめた。やがて両者の姿が明らかになっていく。

 

(あれ、意識がある。思ったよりもダメージがない、これはどういうことだ?)

 

「まさか、なぜそんな!?」

 

『カナディアンマンが奇跡を起こしました!! なんとなくなった両腕がはえております!! なくなった両腕でアシュラマンの首のフックをはずし、さらにその両腕でダメージを最小限に抑えています』

 

(頑張るんだ、カナディアンマン)

 

 カナディアンマンの頭に聞き覚えのある声が響いた。

 

「まさか、お前が助けてくれたのか……」

 

 カナディアンマンが両腕を見ると、それはスペシャルマンの両腕であった。

 

「命拾いしたなカナディアンマンよ! しかし次はそうはいかん!!」

 

『アシュラマン! カナディアンマンをリングに放り投げ、再度自分もリングインしたぞ!!』

 

(冷たい! なんだ、リングのマットがいつのまにか新雪で覆われているぞ!! たしか原作でも天候が変わりやすいからリングの形状も度々変わっていったな!)

 

「この新雪の上で私の竜巻から逃げ切れるかな?」

 

 アシュラマンが六本の腕を勢いよくふった。

 

「くらえ! 竜巻地獄!!」

 

ヒュゴオオ

 

『アシュラマン! 再度六本の腕で巨大な竜巻をつくりあげた!! 竜巻がカナディアンマンに襲いかかるぞ!!』

 

「逃げるも戦法のうち、ってこの新雪じゃあ動けねえ!!」

 

「それを分かっての竜巻地獄だ! 大人しく餌食になるが良い!!」

 

 

(どうする? もしもキン肉マンの世界であれば、突拍子もない発想をすればもしかしたら乗り切れるかもしれねえ。ようし!)

 

ぐるん ぐるん ぐるん

 

『カナディアンマン血迷ったか!! 突然その場で両足を軸にして、勢いよく体を回転させはじめた!!」

 

「血迷ってなんかいねえ! 見るが良い! これぞカナディアンブリザードだああ!!」

 

びゅうんびゅうん

 

『これはすごい! カナディアンマン! なんと自身の巨体を勢いよくふりまわして巨大な竜巻となった!! 雪もまじりまるでブリザードだあああ!!』

 

ひゅごごごご

 

 カナディアンマンと竜巻が激突した。カナディアンマンのパワーが竜巻と釣り合う状態となった。

 

「カカカ、私の竜巻を止めただけでも大したもんだ。しかしもう一つはさばけぬようだな」

 

 カナディアンマンにもう一つの竜巻が迫り来るが、自身と対峙している竜巻を止めるので精一杯の状態である。

 

「ぐっ! 持ちこたえられねえ! うわぁ〜〜〜〜!!」

 

『カナディアンマン! 耐えきれず竜巻によって上空へ吹っ飛ばされた!!』

 

がしっ

 

 アシュラマンは空中でカナディアンマンを再び改良アシュラバスターにとらえた。

 

「カカカ、まさかアシュラバスターを三回も出すことになろうとはな。それだけでも大した物だ」

 

(思った以上に技が決まっていて外れねえ! ジャスティスマンは脚のフックが緩いと言っていたが俺の力では無理だ。何か、何かこの技を抜ける方法はないのか?)

 

「ぬおおお!!」

 

『カナディアンマン! 改良アシュラバスターから逃れようと懸命に抵抗しています!』

 

「無駄だ! 潔く私の技を食らうが良い!!」

 

(やっぱり駄目なのか……そうだよな……この世界でカナディアンマンとして俺は生まれ変わろうと思ったが駄目だった……そもそも前世の俺は凡人そのもの、でも夢だけは見ていた……大学で立派な研究者になりたいと思ったが努力したことで俺の地頭の悪さが分かり挫折……料理人なってみたいと思ったが、親方の厳しさに挫折……歌が好きだったから、仕事しながら歌手を目指そうかと思い合唱やったりヒトカラで鍛えたが、そもそもカラオケ大会では俺以上に上手い歌を歌えるごろごろといた。しかも俺の声質もそこまで良くなかった……もう夢を諦め凡人として生きようと思っていたら、ある日、俺のよく知っている女の子の同級生が宝塚で活躍していることを知った……中学生の頃、俺と同じ目線でいた子がずっと夢を追いかけ今やスーパースター、そして俺は夢をおいかけたが凡人のまま……現にこの世界でも連敗しまくり……悔しい……なんて悔しい人生なんだよ……)

 

 いつしかカナディアンマンは涙を流していた。

 

「なんだ、泣き虫な奴だな? 一度死んだのに死にゆくのが怖いのか? 貴様のような奴相手に苦戦したと思うと私はとても腹ただしくなる!! だがこれでおしまいだ!! 改良アシュラバスター!!」

 

ずさぁ

 

(なんだ、思ったよりも体の衝撃が少ない。というより改良アシュラバスターの威力ってこんなものなのか?)

 

『ああっと! 改良アシュラバスターの着地点が雪上だった!! 技の威力が思った以上に出ず半減されたか!』

 

「ちっ、貴様に調子を狂わせられたせいで着地点を誤ったか! まぁいい! 技のフックはまだ完璧、このままリング下の地上まで落下すれば私のKO勝ちだ!!」

 

『アシュラマン!! 技の体勢を崩さずに地上に向けて四度目のアシュラバスターだ!! これでようやく試合が決まるのか!!』

 

(だめだ……今の俺じゃあ誰かのために闘おうなんて気にならねえ……おれからすればクソ力もマグネットパワー同様人様から貰った力……俺自身が強くなったというより強い武器を身につけただけだ……使えば勝てる可能性も出てくるだろうが……どうして俺は凡人のくせに無駄にプライドが高いんだろうな……)

 

(そんなに自分を卑下することはないよ)

 

 カナディアンマンの脳内に聞き覚えのある声が響いた。その目にはありえないはずの存在が映っていた。

 

(スペシャルマン……)

 

(君は何か違うなと思っていたけど、本当はこの世界の超人ではなかったんだね)

 

(騙すつもりはなかった。ただ信じて貰えないと思って……)

 

(そんなことは良いさ。僕も君同様努力はしてきたが、一流になれる素質はなかった。誰だって基本凡人さ。恥じることはない。いや、基本凡人ではあるが、才能は誰にだってある)

 

(お、俺には才能なんて一切ないんだ……)

 

(才能に関しては個人個人が苦労して見つける物だと僕は思う。でも僕はこうやって君と出会って才能を見つけた。誰よりもカナディアンマンという超人のピンチを助けられる才能をね)

 

(スペシャルマン……)

 

(あとは君自身の人生に答えを聞くんだ。君が自分一人でいきたいのであれば僕はそれを信じて何もしない。それも一つの友情の形だと思うんだ……)

 

 スペシャルマンの魂がカナディアンマンのもとから離れた。同時にカナディアンマンの中に闘志の火種が産まれた。

 

ぬるっ

 

 カナディアンマンの頭がアシュラマンの手の中から抜けた。

 

『カナディアンマン! なんと、アシュラマンの頭のフックを外した!』

 

(どういうことだ? なぜ外れたんだ?)

 

「ちっ、泣き虫野郎め! 貴様の涙で手が滑ったぜ!」

 

「見つけた……たった一つの……俺の良さを今見つけたぜ!!」

 

ぼわあ

 

 カナディアンマンの体が金色に光り始めた。

 

『カナディアンマン! 首からエスケープし、空中で素早く技を決めていくぞ!!』

 

「なにっ! 今までにないパワーがこいつから産まれてきている!?」

 

「俺の良さ! どんなに挫折、困難が俺の前に立ちはだかろうとも、またチャンスを狙うしぶとさだ! 泣き虫涙で脱出とは情けねえ話だが、このチャンスを逃さねえ!!」

 

がしっ

 

『カナディアンマン! 空中でリビルトカナディアンバックブリーカーの体勢に決めた!!』

 

 アシュラマンが苦悶の表情を浮かべた。

 

「な、なんだこの技はっ!? 体にすさまじいGがかかり、折り曲げられるかのようだ!!」

 

「うおおおおお!!!」

 

 カナディアンマンは気合いをこめ、全身のパワーをフルに稼働させた。

 

「カナディアンバスター!!」

 

ずがああああん

 

 技が決まった瞬間、アシュラマンの体の力が抜けたのを、カナディアンマンは感じた。もう勝負は決したと思い、技を外した。

 

カン カン カン

 

『決まりました! カナディアンマン! リビルトカナディアンバックブリーカーを発展させたカナディアンバスターで悪魔六騎士の一人アシュラマンをマットに沈めました!! 大逆転勝利です!! そしてこれがカナディアンマンの念願の初勝利でもあります!!』

 

「ありがとう……」

 

 カナディアンマンは空を見上げながら拳を突き出し、スペシャルマンに礼を言った。

 




祝!初勝利!!
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