鬼滅の刃~胡蝶家の鬼~   作:くずたまご

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あけましておめでとうございます(遅い)。
今年もよろしくお願いいたします。


※以下、19巻の胡蝶家設定を読んで思いついた妄想

くず「うーん……カナヲは自分で決められないから、名前はカナエさんあたりが考えたんやろうな」
ワニ「カナヲが選んだぞ」
くず「さすが先生! (そりゃ、自分の名前ぐらい選ばせるか……)」

くず「カナヲが鬼殺隊に入るには、何か訳があるんやろな。例えば、胡蝶姉妹と一緒にいるため、とか……」
ワニ「カナヲが自分の意志で入隊したぞ」
くず「さすが先生! (初めての選択が鬼殺隊への入隊とは、相変わらず先生だな)」
ワニ「しかも無断で最終選別出たぞ」
くず「さすが先生! (意思強すぎない?)」

くず「カナエさんのあの性格や体格は、柱を数年しなきゃならないよな。多分、二十歳前後……最低でも、十八歳以上とみた」
ワニ「十七歳だぞ」
くず「発育良すぎぃ! (さすが先生!)」

くず「さすがに、しのぶさんも平隊士時代には診療所は開放してなかったよな。そもそも、入隊したての十代前半の娘に鬼殺と治療を任せるとか、いくら鬼殺隊でも超絶ブラック過ぎる」
ワニ「カナヲが入隊した理由は家事や怪我人の治療がうまくできなかったからだぞ」
くず「……ん?」
先生「カナヲの入隊をカナエとしのぶは認めていなかったぞ」
くず(つまり、カナエさん生存時にはすでにカナヲは入隊希望であり、蝶屋敷で治療行為を行っていた……!? じゃあ、しのぶさんは十四歳の時にはすでに――)
くず「……」
くず「きちくのしょぎょう(さすが先生!)」



後日譚 柱訓練 ~霞・蟲・水~

◆柱訓練・霞 ~霞、未だ晴れず~◆

 

 

 霞柱・時透無一郎。

 刀を握り僅か二ヶ月で柱となった鬼殺隊きっての天才少年剣士だ。だが、彼でも胡蝶カナエの訓練は容易ではない。

 

 

(……これも引っかからない)

 

 

 無一郎には珍しく、不快そうに眉根を寄せて感情を露わにする。緩急をつけ、間合いも変え、虚実を交えて動いてもカナエが惑わされない。数年に渡る柱訓練が、柱だけではなく、カナエの技量を飛躍的に高めていた。さらに、惑わされないどころか、『緩』の瞬間を見極め刀を振るって逆襲してくる。こうなっては幻惑どころではない。

 カナエは上弦の鬼に匹敵する実力を持つ。このまま地力の勝負になってしまえば、無一郎の不利一辺倒だ。

 何とか幻惑しようとするものの、カナエが必ず出だしを叩く。そうなると、また後手となってしまい無一郎から仕掛ける回数が減る。ジリジリと真綿で首を締めるように、徐々に追い詰められていく。

 以前から課題は分かってはいた。自身の虚実が通じない相手、純粋な実力で戦わなければならない劣勢な時。まだ体が成長しきっていない無一郎は膂力が弱く、短期間で柱となったため戦闘経験も乏しい。他の柱と比べて危機に際した手数が少なかった。

 宇随天元であれば恵まれた体躯と豊富な手管と経験で、心臓が止まっても抗い続けるだろう。不死川実弥ならば自身の血を使って、最期の瞬間まで戦い続けるだろう。胡蝶しのぶであれば笑顔の下に深謀遠慮を隠し、鬼が勝利を確信する瞬間でさえ油断ができない。

 己には何があるのか。戦いながら思考を重ねる。しかし、いくら考えても頭の中は霞が立ち込め、何も見えてこない。その間も、どんどん追い詰められていく。

 そしてとうとう耐えきれなくなり、無一郎の模擬刀が弾き飛ばされる。戦いが終わる。思考が止まり、頭に立ち込めた霞が見えなくなる。

 

 

(今日もダメだったか……)

 

 

 負けた。まだ鍛錬が足りない。これでは上弦の鬼には勝てない。

 事実のみが頭の中に残った。

 

 

 

 

「時透君」

「……」

 

 

 カナエは刀を鞘に収めながら、膝に手をついた無一郎に声を掛ける。荒れた呼吸を整えているためか、返事はない。

 そうして呼吸が静かなものになると、

 

「もう訓練は終わりだね」

「そうね。それじゃあ休憩を──」

「刀は片付けてて。それじゃ、また」

「あっ! ちょっと──!」

 

 

 取り付く島もなく、無一郎は道場から出て行った。

 入れ替わるように、弦司が道場に入ってくる。差し入れにと持ってきたお盆の上には何もない。

 

 

「ダメだったな……」

「ごめんなさい、止められなかったわ」

「いいや、仕方ないさ」

 

 

 時透無一郎。鬼殺隊きっての天才少年剣士だが、彼もまた鬼による被害者だ。

 唯一の肉親である双子の兄を殺され、記憶を失っていた。皮肉にも、その時の悲劇を切っ掛けとして才能を開花させた。

 今の彼には、笑顔はない。子どもらしい……いや、人らしささえ見えない。

 少しでも無一郎の力になろうと、弦司とカナエは積極的に話しかけてはいるものの、思ったような成果を挙げられていない。

 そして、今日も何もできなかった。落ち込むカナエに弦司はお盆を渡す。

 

 

「全く何もない訳じゃないけどな」

「どういう事?」

「本当は腹ごしらえにおにぎりとお茶を持ってきたんだよ。ご覧の通り、全部食べて出て行った。前は俺達が差し出す物は何も興味を示さないで、手を着けようともしなかっただろ? だから、少しは進歩してると思う」

「それは……お腹空いてただけじゃない?」

「まあそうかもしれないけど……『また』とも言ったし。少しは心を開いてるとは思う」

「うん……」

 

 

 弦司の説明にカナエは頷くも、気分は晴れない。年単位で挙げられた成果がそんな微々たるものでは、いつになったら彼の心は開かれるのか。自分達ではいつまでも開く事は出来ないのではと考えてしまう。

 

 

「諦めずに頑張ろう。それに俺達だけじゃない、煉獄とか他の柱も気に掛けてる。信じて続けよう」

「……そうね! 無一郎君のためだもの、信じて頑張らなくちゃ!」

 

 

 ──未だ霞、晴れず。

 それでも、弦司とカナエは無一郎の心が花開く事を信じ、これからも彼に寄り添うと心に誓った。

 

 

◆柱訓練・蟲 ~この想いは~◆

 

 

 蟲柱・胡蝶しのぶ。

 鬼殺隊で唯一、鬼を殺す毒を作った女隊士にして、カナエの妹だ。

 数年前、ややきかん坊気味だったしのぶも、今ではすっかり落ち着いた大人の女性へと成長した。

 明晰な頭脳に裏打ちされた冷静な判断を下し、鬼を討つ。そして、ついに開設した診療所では、柔らかく優しい微笑みで数多の隊士の命を救っていた。個性の強い柱達も、四苦八苦しながらもまとめあげている。

 今ではしのぶは鬼殺隊になくてはならない存在となった。

 ──しかしながら、彼女はただただ優しい訳ではない。

 そもそも、元来の彼女は喧嘩っ早く気が強い。冷静さも優しさも、研磨の末に身に着けたものだ。理不尽を目をしたり、許されない線を越えてしまえば、たちまち牙をむく。

 とある桜餅模様の女性隊士がいる。ゲスいメガネ野郎に卑猥な隊服を渡されて、気の弱さから何も言えず唯々諾々と着ていた。その話を聞いたしのぶは怒り、ゲスいメガネ野郎を即座に締め上げた。ゲスいメガネ野郎と助けられたはずの女性隊士も、その時の様子を思い出す度に震えが止まらなくなるほど、しのぶの怒った姿は恐ろしかった。鬼殺隊の一部の一部、しのぶを見事怒らせてしまった隊士は『狂犬』などと呼んで、絶対に逆鱗に触れてはいけないと恐れられていた。

 ──そして何か許せない事があったのか。

 今日のしのぶは、かつてないほど荒れていた。

 

 

「今日は思いっきり体を動かしたいから、本気で鍛えて」

 

 

 弦司とカナエが今や使い慣れた蝶屋敷隣接の道場に来るなり、顔を顰めて不機嫌を隠さないしのぶは早々にそんな事を言い放った。こうなっては打ちのめして、物理的に冷静にさせるしかない。

 弦司は治療道具を取りに診療所へと向かい、カナエはしのぶの要望通りに本気の稽古を行った。

 

 

「遅すぎる!」

「っ!」

 

 

 高速の突き技を繰り出せば、突きが遅いと受け流し殴り飛ばした。

 

 

「本気で騙す気あるの?」

「ぐっ!」

 

 

 緩急をつけ踏み込もうとすれば、そんなのでは鬼は騙せないと蹴り飛ばした。

 

 

「何で下がってるの!」

「──っ!!」

 

 

 逃げようと後退すれば、鬼を前に逃げるなと刀を打ち込んだ。

 そうして何度も叩きのめして、打ちのめして、ついには道場に大の字でしのぶは倒れ込んだ。

 

 

「……ごめんなさい、姉さん」

 

 

 ボロボロになったしのぶは、荒れた息でカナエに謝罪した。目から険吞なものは取れ、少し晴れやかな表情に見える。ようやく、いつもの落ち着きを取り戻したようだった。

 機を伺っていた弦司が道場へ戻ってくると、冷たいお茶を手渡し治療する。見た目の激しさとは違い、しっかりと手加減はされていたので、怪我は軽い打ち身程度だ。

 

 

「何があったの?」

 

 

 しのぶがお茶を飲み干し、治療も終わった所でカナエが問いかける。しのぶは俯くと、空になった湯飲みを手の内で回す。

 

 

「どこから話したらいいものか……」

「時間はあるから、ゆっくりで大丈夫よ」

「……最初は不破家の医療部門の研究者から相談を受けたの」

 

 

 数年前、不破家に来訪した時、不破家の医療部門の支援を約束した。その時の支援は今も続いており、定期的に意見の交換が行われている。

 

 

「そう……どんな内容だったの?」

「地方の医師からの相談で、聞いた事もない症状だったから意見が欲しい、って。それだけなら、よくある相談だった。でも、内容が……鬼に関係する事だった」

「はぁっ?」

「どういう事……?」

 

 

 弦司とカナエは困惑する。普通に考えれば、鬼に関連するような内容であれば、のんびりと相談などできない。普通でない何かが起きたに相違ないが、二人には何が起きているのか見当もつかない。

 

 

「患者の名前は竈門禰豆子。何十日も眠り続けているにも関わらず健康体そのもの。こんな症状、見た事も聞いた事もないから知恵を貸して欲しいって相談で……よくよく情報を精査してみれば牙と爪があった。患者は、竈門禰豆子は……鬼だった」

「……それは、普通の鬼だったの?」

「私も、当時は同じように考えた。普通の鬼だったら、こんな悠長な事態にはなってない、すでに鬼殺隊が動いているはずだ、って。だから、より詳細な症状から診察までの経緯を聞いたわ。医者を呼んだ人の名前は狭霧山の鱗滝左近次。元水柱で今は育手の彼が、鬼を匿っていた」

「……おい。それってもしかして――」

「うん。患者は、彼女は人を喰わない鬼だった」

「っ!」

「……」

 

 

 弦司とカナエは言葉を失う。あまりにもそれは思考の埒外な事項だった。

 中々感情の整理がつかない。胸の奥がざわついて、呑み込めない。それでも、二人の頭の冷静な部分が疑問を投げかける。

 

 

「ねえ。本当にそれだけなの?」

「他に何があったんだ?」

 

 

 元柱の育手が匿っていたのは衝撃的だったが、言ってしまえば人を喰らわない鬼が新たに見つかった。それだけである。むしろ数年前、花柱であったカナエが鬼を匿った方が衝撃で言えば大きいだろう。ここまで、しのぶが乱れる原因になるとは弦司とカナエは思えなかった。

 そしてそれは当たっていたのか。湯飲みを手放したしのぶは、俯いたまま自身の胸を苦しそうに掴む。

 

 

「……私は最初、すごく喜んだ。人を喰らわない新しい事例だ、彼女と姉さんと義兄さんを調べれば、鬼を人に戻す目途が立つかもしれない、って……」

「うん」

「勢い込んでもっと調べてみたら、最初に鬼を、竈門禰豆子を預かるようにお願い、したのは……」

「……」

「お願い……したのは……!」

 

 

 しのぶの声が途切れる。声は震え、僅かに嗚咽が混じっていた。弦司とカナエはしのぶを待つ。

 何度か深呼吸を繰り返すものの、しのぶの呼吸は落ち着かず。しのぶは苦しみながら告げた。

 

 

「冨岡さん、だった……!」

「しのぶ……」

「何で……! 私、姉さんと義兄さん、治したいって、あれだけ話したのに……! どうして、何で、なの……!」

 

 

 しのぶの目から大粒の涙が零れ落ちる。カナエはしのぶを抱き締め、弦司は頭をそっと撫でる。

 カナエが鬼になった日、義勇はしのぶを助けに来た。それから言葉数は少ないものの、事ある毎に義勇はしのぶに気に掛けてきた。中々想いを口にはしないものの、義勇なりの優しさがそこにはあった。

 しのぶも不器用な彼なりの優しさを受け入れて、積極的に交流した。寡黙な義勇に、しのぶはいつも笑顔で話しかけて彼の意を汲み取ろうとしていた。当たり前のように蝶屋敷で二人一緒に居て、いつしか日常となった。

 しのぶにとって、義勇は特別な存在になりつつあった。だからこそ、しのぶは傷ついたのだろう。なぜ、しのぶの想いを踏み躙るような行為をしたのか。あの日々は何だったのか。大切に想っていたのは、しのぶだけだったのか。

 信じていたからこそ裏切られたという想いは、より一層強くなる。

 

 

「姉さん……義兄さん……!」

 

 

 しのぶがカナエと弦司を縋り付くように呼ぶ。二人にはどうすれば、しのぶの涙を止められるのか分からない。なぜ、義勇がそんな行動を取ったのか、二人も信じられなかったからだ。

 結果、二人は何もする事ができず。家族としてカナエと弦司は寄り添う事しかできなかった。

 

 

 

 

「ありがとう、姉さん……それと義兄さん」

「俺はついでかよ」

「ふふ。義妹の頭を許可もなく撫でたからです」

 

 

 目を赤く腫らしたしのぶが、恥ずかし気に笑う。

 泣いて泣いて泣いた。痛みも悲しみも全て涙で押し流した。今のしのぶの表情に硬さはなく、非常に晴れやかだった。

 しのぶは涙を拭いながら、カナエの腕から抜け出す。カナエが名残惜しそうにあっ、と小声を漏らす。

 

 

「しのぶ~」

「もう十分だから、そんな声出さないで。それにしても……こんなに泣いたのは、久しぶりかも」

 

 

 カナエが鬼になった日から、辛くて何度も泣いた。弱音も吐いた。それでも、カナエから託された羽織に相応しい人になると、しのぶは常に成長し続けていた。

 今日は本当に久しぶりに泣きに泣いた。だが、挫ける事なく、これもまた糧として前に進む。それが、胡蝶しのぶという女性の強さだった。

 

 

「しのぶは本当に強くなったわね」

「うん。あの日より、強くなったとは思う。けど、まだまだ足りない」

「どこまで強くなるつもり~?」

「昨日の自分より強くなりたいだけ」

 

 

 それは日ごろから、しのぶがよく使う言葉だった。

 どんなに体と心を鍛えても、上背が伸びる事はない。鬼の頚を斬る事はできない。できない事はどうやってもできない。だから、まずは昨日の自分より今日の自分を強くなりたい。そして、できない事はできる誰かに託す。

 簡単なようで最も難しい事を、しのぶは常に実行し続けている。それだけでも、しのぶがどれだけ大きな人に成長したのかよく分かる。

 

 

「決めた」

 

 

 しのぶは強く頷くと、拳を握りしめる。未だ目は腫れてはいるものの、決意を宿し眼差しを強くする。

 

 

「実はお館様にも相談していたの」

「お館様は何て仰ったの?」

「『今回の件については、どちらにも着く事はできない。義勇の考えにも私は一理あると思う。一度腹を割って話し合ってごらん』って。最初はこんな裏切り許せなくて、話し合うなんて絶対に無理って思ってた。でも……やっぱり、何の理由もなく隠してたなんて信じられない。だから、冨岡さんともっとちゃんと話したい。話して、彼の想いを知って、私の想いも知ってもらって……一緒に禰豆子ちゃんを、助けたい」

「……しのぶ!」

「姉さん!?」

 

 

 カナエは堪らずしのぶに抱き着いた。

 どれだけ傷つけられていても義勇を信じ、話し合い、分かり合おうとする。その決意は強く固く、何よりも格好良くて可憐だった。ここまで我が妹は強く可愛らしかったのかと、カナエは抱き締めずにはいられなかった。

 

 

「や、やめてよ姉さん!」

「しのぶは可愛い! 可愛いは正義!」

「……はぁ」

 

 

 しのぶは抵抗しようとする者の、鬼の力に逆らう事はできず、諦めてされるがままとなる。

 カナエはしのぶの頭を撫でながら、

 

 

「ねえねえ、私に手伝えることはある?」

「えっと……それじゃあ、訓練に着いて行ってもいい? 冨岡さんを絞り上げて動けなくなった所で話し合うから」

「まかせて! 足腰たたなくしてあげるから!」

 

 

 おっかない事を笑顔で話し合う姉妹。傍で弦司は微笑みながら、二人に訊ねる。

 

 

「でも、ボコボコにしただけで、あの冨岡が口を割るのか?」

「それでも口を割らない馬鹿男なら、これを喰らわせます」

 

 

 しのぶは拳を掲げると、口を歪めて力強く笑う。姉妹揃って話すまでボコボコにするつもりなのか。

 

 

「ほどほどにしろよ」

「冨岡さんが素直に話せば、ほどほどで終わる」

 

 

 弦司は苦笑を浮かべる。もちろん、本気ではないだろうが少し……本当に少しだけ義勇を不憫に思った。

 ともかく、しのぶは冗談が言えるぐらいまでは心に余裕ができた。まだ何も進んでいないが、彼女の心が軽くなった。それだけで、今は最上だろう。

 

 

(上手くいけばいいけど……)

(あの冨岡だしな……)

 

 

 弦司とカナエの頭に不安がよぎる。

 水柱・冨岡義勇。

 剣の腕前は鬼殺隊の中でも上位に列する男ではあるが、寡黙にして不器用という割と人間的に致命的な欠点を抱えている。その上、ここ数年交流を重ねても、未だ弦司とカナエに心の内を見せないという頑固さを併せ持つ。

 柱の中でも、飛び抜けて面倒くさい人間筆頭だ。だからこそ、僅かでも彼の意をくみ取れるしのぶは、義勇と親密になれた訳だが……。

 来たる会合で、少しでも義勇が心を開いてくれないか。弦司とカナエは願わずにはいられなかった。

 

 

◆柱訓練・水 ~この想いは~◆

 

 

 胡蝶しのぶは強い女性だ。義勇は彼女を姿を見て、何度も思った。

 最初、姉が鬼になってしまい、それでも進もうとする姿に危うさを感じた。だから、また鬼のせいで居場所を失わない様に気にかけていた。

 鬼殺隊にいる資格もない己に、何ができるか分からない。それでも、なるべく傍に居るようにした。だが、すぐに心配は杞憂だと思うようになった。

 蝶屋敷をすぐに立て直し、診療所も開設した。診察では、最初こそ笑顔がぎこちなかったが、今では板についた。到底なれないと思われていた柱にも、満場一致で就任した。気付けばしのぶは頼られる存在となっていた。義勇のようにただただ柱という役職に就いているのではない。本当の意味で、鬼殺隊の柱となっていた。

 その頃から、立場は逆転していた。気を遣う側から遣われる方へ。いや、そもそもしのぶの力になれていたかさえ怪しい。

 訪れれば笑顔で迎え入れられ、義勇の気持ちを少ない言葉から察してくれた。黙っていれば面白おかしく家族の事を話してくれた。居心地が良すぎて義勇は何もせず頷くばかりで、ただただ彼女の厚意に甘えていた。

 ──それが間違っていると思い始めたのは、些細な事の積み重ねだ。

 蝶屋敷で宇随天元に会った。身体能力に限界を感じていたため、医学的な方向からしのぶに助言を貰いに来ていた。

 蝶屋敷で時透無一郎に会った。記憶喪失のため、改善の兆しがないか定期的に検査を行っていた。

 蝶屋敷で甘露寺蜜璃に会った。特質な体質のため、異常がないか定期健診を行っていた。

 蝶屋敷で伊黒小芭内に会った。後天的に食が細い体質になった小芭内は、どうしても筋力がつきにくい。その体質を活かせる良い方法がないか、医学的な検査を通して手段を探っていた。

 実に柱の半数以上がしのぶを頼っていた。もちろん、柱としての仕事と鬼の研究を行いながら、しのぶは柱達の相談に乗っている。

 一体どれだけの仕事をこなしているのか気になり、義勇はしのぶを目で追うようになった。

 仕事は確かに多かった。だが、しのぶは愚痴は言うものの、疲れた様子も決して見せなかった。髪は常に艶やかで、肌も白くきめ細かい。

 理由を聞いてみた。なぜ、そんなに奇麗なのか、と。

 なぜかしのぶは慌てていた。慌てた理由はよく分からなかったが、しのぶは全てを話した。

 普段から全てを濃密にする事が、秘訣だと言った。その一つが食事で、少量で栄養価の高い物を……と言って、何かドロドロした物を取り出した。これで一日の栄養が摂れるなどと得意気に言っていたが、ゲロの方がまだマシな色合いと匂いと味をしていた。

 義勇は愕然とした。

 他の柱は、食事はかなり贅沢にしている。そもそも、食事を最低限しか摂らない蛇柱・伊黒小芭内は別として、命を誰よりも懸ける代償として、鬼殺隊の柱達はかなり贅沢をしている。義勇もよく、鮭大根を食べている。

 だが、しのぶはどうだ。誰よりも働いているのに、口にしている物は食べ物とは言えない悍ましい物。生活だって、鬼殺や訓練以外では診療所に引きこもっている事が大半だ。睡眠時間だって、義勇より遥かに少ない。

 ――しのぶは文字通り、全てを鬼殺隊に捧げていた。

 あの小さな体に、どれだけのモノが圧し掛かっているのか想像できなかった。なのに、誰もがさらに彼女に期待し、さらに重荷を乗せようとしている。そして、自身もまた彼女の重石になっている。鬼殺隊に居るべきではないくせに、しのぶに負担を掛けている。

 距離を取るべきだと思った。これ以上、しのぶの負担になるべきではない。また独りに戻るべきだと。

 だが、それでどうなるのか。しのぶの負担は変わらない。このまま離れても、別の負担が圧し掛かるのではないか。

 

 

 ――そんな折だ、竈門兄妹に出会ったのは。

 

 

 竈門炭治郎は家族を鬼に殺され、唯一残された妹・禰豆子を鬼にされてしまった。

 最初から、妙な雰囲気がする鬼だと思っていた。胡蝶家の鬼が頭によぎった。そんなはずはない、と心のどこかが否定し、少し試す様に禰豆子を離せば……飢餓状態にも関わらず、彼女は兄を守った。

 ――人を喰らわない鬼を、見つけた。見つけて、しまった。

 馬鹿正直に鬼殺隊へ報告をすればどうなるか。しのぶが動く。禰豆子を助けようとして、また負担が増える。

 恐ろしかった。自身の行動で、また彼女を追い詰めてしまう事が。

 だからこそ、二人の存在を隠した。後事を育手の鱗滝に託し、鱗滝にはしのぶの存在を隠し、全てを一人で背負おうとした。

 だが、それも上手くはいかなかった。どこから話を聞きつけたのか、しのぶは竈門兄妹の事を探り当て、義勇を問い詰めた。この時ばかりは、優秀過ぎるしのぶを恨んだ。

 義勇は口下手だ。しのぶに弁舌で勝てない。だが、全てを話してしまえば、優しいしのぶは全てを背負ってしまう。

 義勇は何も有効な手を打つ事ができず、ただただ黙った。拒絶しかできなかった。

 最初はしのぶも優しく問いかけてくれた。しかし、義勇に話す気がないと分かると激怒した。

 

 

『姉さんと義兄さんの何を見てきたの!?』

『苦しむ姉さんと義兄さんを見て、何も想わなかったの!?』

『私の何を見てきたの――』

 

 

 彼女の放つ言葉全てが、胸を穿った。だが、この痛みは正当なものではない。本来なら、別のもっと相応しい人が――いや、そもそも彼ならばしのぶを苦しめるような事もさせなかった。義勇が相応しくない、居るべき者でないがゆえの罰のようなものだ。だから、何も反論せずに全てを受けた。

 しのぶは義勇と関わろうとしなくなった。喫せずして距離が離れた。

 苦しくなかった……とは言えない。だが、どうせ義勇などしのぶにとってはただの負担でしかない。これが最善なんだと思った。

 後はどうにかして、己が竈門兄弟を導いていく。決して、しのぶの手は煩わせはしない。

 

 

 ――もちろん、それは甘い見通しだった。義勇はあれだけしのぶの傍にいて、まだ彼女の事を下に見積もっていたらしい。

 

 

 ある日の柱訓練。道場に鬼夫婦が到着すると、

 

 

「今日は本気で稽古つけてあげるわね~」

 

 

 軽快な声音とは裏腹に、不穏な事をカナエが言い放った。

 そこから先は、比喩ではなく地獄だった。その証拠とでも言うべきか。訓練中、義勇は自身の編み出した技『水の呼吸・拾壱ノ型 凪』ばかりをしていた。途中からもう凪った記憶しかない。

 凪って凪って凪って――精魂尽きて倒れた所で、目の前に水筒を差し出された。何気ないし受け取ると同時に、渡した人の顔が目に入った。

 やや垂れた大きな瞳。艶やかな唇は大きな弧を描き、笑みを口に浮かべる。胡蝶しのぶが、底意地の悪い笑顔を浮かべて、そこにいた。

 

 

「受け取ったお茶の分ぐらい、お話しして下さいますよね?」

(……まんまとしてやられた訳か)

 

 

 なけなしの力を振り絞り体を起こす。訓練が異様に厳しかったのも、全ては義勇を逃がさないためだと気づいた。だが、気づいた所で遅すぎる。道場にはカナエに加えて弦司もいる。消耗した今の義勇では、逃げる事は叶わないだろう。

 義勇は諦めて脚を崩して座った。

 

 

「冨岡さん」

「……」

「どうして私がこのような事をしたか、分かっていますよね」

 

 

 しのぶが義勇の隣に正座し、その大きな双眸で真っ直ぐに見つめてくる。強く輝かしい視線に、義勇は堪らず目を逸らした。

 

 

「私を竈門禰豆子さんに会わせて下さい」

「……何も話す事はない」

 

 

 つい、拒絶の言葉が口から出る。しのぶは口の端を上げて邪悪に笑う。

 いつもは義勇が拒絶し、すぐに逃げ出す。だが、今日は体力が尽きて、とてもではないが逃げ出せない。しのぶの笑顔は、全てを話すまで逃がさないと語っていた。

 

 

「そういえば、どうして私が竈門禰豆子さんを知ったのか、教えていませんでしたね」

「……」

「竈門禰豆子さんを診察した医師から、巡り巡って私の相談が来たんですよ」

「……何?」

「やっと反応してくれましたね」

 

 

 それは義勇にとって初耳だった。だが、冷静に考えればしのぶが竈門兄妹の情報を知れる経路は、確かに医師からしかない。しかし、なぜしのぶがそのような事を、今更言うのか分からない。

 しのぶが続ける。

 

 

「彼は立派な医者です。立派な人物なら、何十日も眠り続ける少女を目覚めさせてあげたいと考えるのは、当然でしょう? だから、知恵を貸して欲しいと私に相談が来たんです」

「……」

「確かに現状、異常はありません。私も彼の診察記録から、同様の判断をします。ですが、別に異常がないからと言って正常ではないのですよ? 冨岡さんと鱗滝さんは医師に異常なしと診断されて満足かもしれませんが、医者からすれば分からないとは非常に恐ろしい事です」

「……」

「竈門禰豆子さんに会いたいというのは、何も姉さんと義兄さんのためだけではありません。他でもない、竈門禰豆子さんの現状を鬼の研究の第一人者の私が、正確な判断と経過を確認するため……つまり、禰豆子ちゃんのためでもあるんです。冨岡さん、お願いです。彼女に会わせて下さい」

 

 

 しのぶが頭を下げる。その訴えはどこまでも真摯で、慈しみに溢れていた。だからこそ……義勇はその想いに応えたくない。

 あれだけの期待と命を背負っているのに、この小さく華奢な体にまた一つ、重石を乗せようとする。例えたった一つの重石でも、しのぶに背負わせたくない。

 

 

「断る」

「……」

 

 

 しのぶの下げた頭が、ピクリと動いた。彼女は小さく深呼吸を繰り返してから、頭を下げたまま続ける。

 

 

「禰豆子ちゃんはどうなってもいいんですか? もしそう思っているのなら、せめて理由を説明して下さい」

「必要ない」

「冨岡さんの判断はそうでしょうが、医者の判断はそうではありません。彼女を本当に想うなら、私に会わせて下さい」

「……」

「禰豆子ちゃんを、一緒に救いましょう?」

 

 

 義勇の気持ちが揺らぐ。

 あの日、禰豆子は飢えに苦しんでいた。兄を食べようとして、それでも食べたくなくて泣いていた。そして苦しんで苦しんで苦しんで……それでも、兄を守るため身を挺した。あの時の禰豆子の姿が、今も脳裏に焼き付いている。

 義勇とて禰豆子を救いたい。そのためには、鬼の知識に乏しい己ではなく、しのぶに託すのが最善だと分かっている。

 でも義勇は……義勇が、救いたいのは――。

 

 

「会わせない」

「っ!!」

 

 

 瞬間、しのぶが顔を上げる。目は吊り上がり歯をむき出しにし、怒りを露わにして義勇へと飛びかかってきた。

 義勇は避けない。動けないというのもあるが、我ながら最低の返答だという自覚があるからだ。彼女の怒りは正当である。だからこそ、甘んじて受けるべきである。

 だが、衝撃は来なかった。カナエと弦司が抱き締める様にして、しのぶを抑えていた。小柄なしのぶが二体の鬼の膂力に敵うはずもなく、二人の腕の中でもがく。

 

 

「どうしてよ、冨岡さん! 姉さんが鬼になって、心細かった私を支えてくれたあの優しさは、どこへ行ったのよ!!」

「……」

「何とか言ってよぉっ!!」

 

 

 怒声にも近い叫び。だが、義勇にはそれがまるで、縋る様に感じられた。己はそんな感情を向けられるような人ではないのに。

 しのぶの怒りは止まらない。

 

 

「禰豆子ちゃんが取り返しのつかない事になってもいいの!?」

「……」

「私は、冨岡さんの優しさを信じているのに!! どうしてあの日の優しさを隠すの!?」

「……」

「ああもう、さっきから黙ってばかりで!! 私がこれだけ胸襟開いて話してるのに、そっちは何も教えてくれない……!! 何も言わなかったら、何も分かんないじゃない!!」

「……」

「そんなだから、みんなに嫌われるのよ!!」

「――っ!?」

 

 

 確かに上手く付き合えていないが、嫌われている訳ではないはずだ。

 義勇は思わず、しのぶの方を振り返る。さらにしのぶの眉尻が吊り上がった。

 

 

「私の話には反応しなくて、そこに反応する!?」

「俺は嫌われていない」

「ああそうですか! 嫌われている自覚なかったんですね! それは余計な事を言って申し訳ありません!!」

「……」

「でも今は……私も冨岡さんを嫌いになりそうですよ――」

 

 

 しのぶが先までと打って変わって、静かに震える声で言った。それは心底怒っている様であって……悲しんでいる様でもあった。

 胸の奥底が冷たくなるような感覚があった。あれだけ相応しくないと思っていながら、いざ嫌うと言われて傷ついている。あまりにも馬鹿げていると義勇は思った。

 だが、同時に思う。もし、しのぶに嫌われたら、この件から手を引くのではないか。己と距離を取ってくれるのではないか。

 そんな単純で甘い考えから……義勇は言ってしまった。

 

 

「嫌われてもいい」

 

 

 ――しのぶを救えるのなら。

 

 

「……」

 

 

 しのぶは一瞬固まると、わなわなと震え始めた。口を強く引き結び、拳を強く握り締める。

 怒るのか。怒鳴るのか。それとも、殴りかかってくるのか。

 だが、何であろうと甘んじて受けよう。そう思い、僅かに身構える義勇に対し、しのぶは――大粒の涙を流した。

 

 

「何で……ばかぁ……!」

 

 

 何かを言い募ろうとしのぶは口を開くが、全ては言葉にならず嗚咽だけが漏れる。そしてとうとう顔をくしゃくしゃにすると、声を上げて泣き始めた。

 義勇は何が起きているのか分からなかった。分かるのは、自身の行為が原因でしのぶを泣かせてしまった事ぐらいだ。だが、どうして泣いてしまったのか、全く分からない。

 

 

「しのぶ。大丈夫よ、姉さんがいるから」

「ぅ……ぅっ……!」

 

 

 混乱する義勇。一方、カナエはしのぶを抱き締めながら義勇を睨み付け、弦司は深く深くため息を吐く。

 

 

「弦司さん」

「ああ、しのぶは任せた」

 

 

 カナエと弦司は短く言葉を交わすと、カナエはしのぶを抱きしめたまま道場を出て行った。

 弦司と義勇が道場に残る。

 

 

「泣かせたな」

 

 

 義勇の隣に座った弦司が、咎めてくる。息が荒くなる。呼吸が定まらない。

 

 

「……こんな、つもりでは」

「それは分かってる。つーか、泣かせるつもりで言ったんなら、本気で軽蔑する」

「……」

「でも、どうして泣いたのか……分かっていないよな。分かってたら、こんな馬鹿な真似してないもんな」

「……」

 

 

 弦司は呆れたように脱力すると、さらに深くため息を吐いた。

 

 

「本当なら、お前の頭で考えろって言いたい所だが、このままじゃしのぶが可哀想すぎる。全部言うぞ」

 

 

 前置きを一つ入れると、

 

 

「お前が大切だからに決まっているだろ。大切な人に嫌われてもいい……興味がないって言われたら、誰だって傷つく」

「……俺は、そんな価値のある男じゃない」

「冨岡がどう思おうが、関係ない。しのぶは間違いなく、お前を大切に想っているんだ」

「……」

「それを冨岡は思いっきり踏み躙った。それでも健気に近づいてきたしのぶを、さらに引き裂いた」

「……そんな、つもりは、なかった」

「じゃあ、どんなつもりだったんだよ?」

「……」

 

 

 弦司が厳しい声音で問い詰めてくる。ここで全てを話せば、当然弦司がしのぶに伝えるだろう。彼女を泣かせてまで、ここまで沈黙を守った。今更、話すことなどできず、義勇はただただ沈黙する。

 

 

「……」

「あのなぁ、冨岡……今更話せないって気持ちも分からないでもないがな、その結果が今のしのぶだぞ。本当に正しいと思っているのか?」

「……」

「お前はしのぶを傷つけてまで、何がしたかったんだ? しのぶを不幸にしたかったのか?」

「――っ」

 

 

 弦司の言葉が全て、胸に突き刺さる。しのぶの重石を軽くしたかった。少しでも彼女に楽をして欲しかった。それだけだったはずなのに、しのぶを泣かせている。

 違うと言いたかった。むしろ幸せにしたいと願っていたと、伝えたい。

 ――だが、義勇の口は動かない。

 己はここにいるべき人間じゃない。後ろ向きな重いが義勇の口を重くさせる。恨まれても憎まれてもいいと、身勝手な感情に身を任せて立ち上がってしまう。

 

 

「冨岡!」

 

 

 追いかけようとする弦司に、義勇は反射的に縁側へと続く戸を開いた。日が部屋に差し込む。陽の光を浴びれない弦司は慌てて下がる。

 もし、弦司が人だったら。きっと厠まで義勇を追いかけて、真意を問い質そうとしただろう。だが、弦司は紛れもなく鬼であり、義勇は人だ。弦司は日を浴びる事は出来ず、義勇は陽の元を歩く事ができる。

 義勇は意図せずして、厳しい現実を弦司へと突き付けていた。弦司の力強く握られた拳が、震えていた。そんなつもりはないのに、また大切な人を傷つけてしまった。

 

 

「……時間の無駄だ。もう俺に構うな」

「冨岡!!」 

 

 

 義勇は堪らず逃げ出した。やはり、ここにいるべきではなかった。資格も価値も己にはなかったのだと、後悔を胸に抱きながら義勇は駆け出した。

 何も繋がず、何も受け継がず、ただただ後ろに向かって進んで行く。

 

 

 ――義勇が前を向いて歩くには、一人の少年の成長を待つしかなかった。




問題児組、終了。

次回、本編未登場組です。

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