帰ってきた百獣戦隊ガオレンジャー 19YEARS AFTER 伝説を継ぎし者   作:竜の蹄

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quest11 町を沈める‼︎ 後編

 ガオズロック内にて瞑想を続けるテトム。彼女は何かと語り合っていた。

 

 

 〜許せ、テトム……我々の力が及ばぬばかりに、お前達に苦労を掛けてしまう……〜

 

 

 声は厳かに言葉を発する。だが声はすれど、姿は見えない。テトムを首を振る。

 

「謝らないで下さい……オルグの水面下の動きを察知出来なかったのは、ガオの巫女である私の不手際です……。其処で、オルグ達の事ですが……」

 

 

 〜うむ……奴等、この町の至る所に鬼門を仕掛けている……。だが裏を返せば、奴等の出現する範囲を自分達で縮小しているとも言える……〜

 

 

「……はい……」

 

 

 〜案ずるな……オルグ達の好きにはさせぬ……ガオレンジャー達の事だが……私にも分からぬのだ。あの戦いの後、気が付けば彼等は姿を消していた……〜

 

 そう言いながら、泉に声の主が浮かび上がる。

 彼こそ、パワーアニマルの神とも呼べる存在にして、1000年前のガオの戦士達と共に戦った精霊王ガオゴッドである。

 彼もまた、復活したオルグ達の侵攻を防ぐ為に果敢に戦ったが、多勢による物量差には及ばず敢え無く敗退、他のパワーアニマル同様、異空間に封印されてしまったのだ。

 敗けたとは言え、痩せても枯れても神……精神だけを切り離して、巫女であるテトムと交信する事に成功したのである。

 

「……荒神様……」

 

 

 〜しかし、彼等が死んだとは思えぬ。仮に死んだのならば、ガオネメシスなる戦士が彼等の破邪の爪を用いる事は出来ぬ…。ガオレッド達は生きている……〜

 

 

「ええ……」

 

 今のテトムは、ガオゴッドの言葉を信じるしか無い。ガオゴッドは続けた。

 

 

 〜シロガネにも気を付ける様に伝えて欲しい……私には、何か嫌な予感がするのだ……〜

 

 

「シロガネに?」

 

 

 〜あの戦いの時……お前達が脱出に成功した際、残されたガオレンジャー達とオルグの戦いに、ガオネメシスなる戦士が乱入して……む⁈〜

 

 

「荒神様⁉︎ どうしたんです⁉︎」

 

 テトムは、ガオゴッドに話し掛けるが、映像は激しく乱れて行く。

 

 

 〜急げ……テトム……オルグ達が……うご……きだ……〜

 

 

 その言葉を最後に、ガオゴッドの言葉は途切れ映像も遮断された。荒れ狂う泉の様子に、テトムは危機を察した。

 

「オルグ達ね……《シロガネ、陽……オルグ達が現れたわ……!》」

 

 テトムは念話を送り、ガオレンジャー達にスクランブルを要請した。

 

 

 

 大神はバイクを走らせながら、テトムの声を察知した。どうやら、またしてもオルグ達が動き出したらしい。

 

「……了解、場所は?」

 

 左腕のG−ブレスフォンと会話する大神。ブレスフォンからは、テトムの声が聴こえて来た。

 

 

『場所は川を沿った先にあるダムよ! どうやら、ツエツエやヤバイバも居るわ!』

 

 

「また、ずっこけコンビか……懲りない奴らだ……!」

 

 それを聞いただけで、大神には充分だ。走行しながら、宝珠を取り出し天へと投げた。

 

 

「ウルフローダー‼︎」

 

 

 見る間に、バイクが姿を変えて行き、ガオウルフを模した形態に早変わりする。

 ガオウルフの魂をバイクと融合させたマシン、ウルフローダーの完成である。

 

「ガオウルフ‼︎ 匂いで、オルグ達を辿れ‼︎ 川の流れに乗って来た奴らの匂いを察知すれば、追い付く‼︎」

 

 大神の言葉を受けたウルフローダーの赤い目が、キラッと光った。ガオウルフの魂と融合しているウルフローダーは、意思を持っている。即ち、大神が運転しなくても自力にて走行が可能となるのだ。

 

「ガオアクセス!」

 

 と同時に、大神もガオシルバーへと変身する。そして、オルグ達の匂いを追跡しながら、現地へと向かった。

 

 

 

 一方、竜崎宅では……。

 

「オルグが現れた⁉︎」

 

 陽が夕食を済ませた後、自室にて休んでいた際に、テトムからの通信を受け対応していた?

 

「そうなの、シルバーが既に現場へ直行しているわ!申し訳無いんだけど、ゴールドも直ぐに向かって!」

 

 G−ブレスフォンから聴こえるテトムの声は、かなり慌てている様子だった。昼間に、オルグの侵攻を食い止めたばかりなのに、また、オルグが現れたのだから。しかも、彼女の様子からすれば、以前に何度か戦った、ツエツエとヤバイバが現れたらしい。

 陽も強く返事する。

 

「分かりました! 直ぐに向かいます!」

 

 陽はジャケットを羽織りながら、外出の用意を始める。自室のドアを開けると……。

 

「……⁉︎ 祈⁉︎」

 

「‼︎…」

 

 自室のドアに張り付く様に、祈が佇んでいた。顔は焦燥に満ちた様に青ざめている。

 

「……また、出かけるの?」

 

「…………」

 

 応える事が出来ない陽。出来る事なら、自分がガオレンジャーである事を打ち明けてやりたい。

 けど……仮に打ち明けたとしても、自分の為に陽が命懸けの戦いをしている事を知れば、祈は深く傷付くだろう。他人の苦しみを自分の苦しみの様に、心を傷める様な繊細な人間……祈は、そういう娘である。

 

「……兄さん、今日も学校を途中で抜け出したんでしょう?」

 

「……鷲尾さんに聞いたのか?」

 

「うん……」

 

 陽は苦々し気に顔を顰める。自分が学校であった出来事を、美羽に報告する様に祈が頼んだに違いない。

 それだけ、ここ数日に於いての陽の行動に対し、祈が不安に感じていた。

 何とも気不味い空気が漂う。

 

「……兄さん、今、何やってるの? 私にも言えない様な事なの?」

 

「い…いや…」

 

「ハッキリ言ってよ! 兄さんが夜に勝手に抜け出したり、学校に遅刻したり、そう言った事を私が気付いてないと思ってた?」

 

 語調を荒げながら、祈は問い質す。そうまでして陽から真実を知りたかった。知れば、少しくらいは気が楽になるかも知れない。もう、兄が何をしてるかを1人で思い詰めながら過ごすのは沢山だ。

 だが、陽も真実を告げる事は出来ない。告げて、祈を非情な戦いに巻き込みたく無い。それは、ガオレンジャーの掟云々では無く、単純な陽の意思だ。

 

「……ゴメン……言えない……」

 

「……そう……」

 

 それだけ言って祈は背を見せ、自室に戻ってしまった。祈は聞かれたく無い事を、しつこく詮索はして来ない。だが、それ以上に真実を告げない陽への失望と悲しみに取り憑かれてしまった。

 祈の部屋に耳を澄ませると、啜り泣く声が聴こえて来た。泣いている……また泣かせてしまった。

 陽は自分の不甲斐なさを呪った。だが、何時までも立ち惚けている場合じゃ無い。

 

「……ゴメンな……」

 

 部屋で、さめざめ泣き続けているであろう妹に謝罪しつつ、陽はドアを開けて飛び出した。

 

 祈はベッドに顔を埋め、泣きじゃくっていた。兄が1人で何かを抱え込んでいる……。何も知らないのは自分だけだ。いつも守られてばかりで、自分には何も出来ない。

 

「……兄さん……」

 

 両親の死後、親代わりになって自分を育ててくれた陽……兄に対する想いは、強かった。しかし、それだけだ。陽の事だ。きっと、辛い事も苦しい事も自分の胸中にしまい込んでしまうのだろう……。

 祈が此処まで過敏になるのは、陽が今、巷を騒がしている怪物と戦う戦士では無いか、と疑っていたからだ。いつか、自分を襲い掛かった怪物から守ってくれた金色の仮面戦士……それが、陽かも知れない。

 確証がある訳では無いが、妹としての勘が働くのだ……。

 ふと、玄関のドアが開き外に出て行く音がする。陽が出掛けて行ったに違いない。居ても立っても居られなくなった祈は涙を拭い、自室から飛び出す。

 自分が行った所で、どうにかなる訳じゃ無い。そんな事は分かっているが……もし、陽が苦しんでいるなら力になりたい……それだけが、祈を突き動かした。

 

 

 

 外に飛び出した祈は辺りを見回してみる。既に陽の姿は無い。もう言ってしまったのか……。

 その際、上を見上げると月光に照らされながら飛来する巨大な岩が見えた。それを見て、祈は確信した。

 やはり、陽が謎の戦士だったのだ、と……。

 

「……兄さん……何処に?」

 

 祈は後を追いたいが、何処へ向かって行くのか見当が付かない。その様子に、祈は嫌な感じがした。陽が自分の手の届かない遠い場所に行ってしまう様な嫌な感じが……。

 

 

「……追いたいの?」

 

 

 後ろから声がした為、振り返ると、見慣れない少女が立っていた。

 

「だ、誰? 貴方……」

 

「私は、こころ……陽を追いたいんでしょ?」

 

 こころは無表情のまま、淡々と応える。兄を知る少女に対し、祈は目を丸くする。

 

「兄さんを知ってる?」

 

「彼を追いたいのなら、好きにすれば良い……けど、知らなくて良い事を知る事になる。そして、知ってしまえば最後、2度と日常には帰れない……オルグが居なくなる時まで……」

 

「オルグ?」

 

 こころは、次々に聞いた事の無い言葉を投げ掛けて来る。だが彼女は、陽の居場所を知っているのは間違いない。

 

「何の事か分からないけど……兄さんの所へ連れて行って! 」

 

 祈は、こころの肩を掴み揺さぶる。これを逃せば、陽と会えなくなるかも知れないからだ。こころは目を閉じて、両手を広げる。

 

 

『分かった……私に捕まって。連れて行ってあげる……』

 

 

 そう言うと、こころの身体は発光を始め宙に浮き上がる。彼女の身体にしがみ付く祈も同様だ。

 こころは凄い速さで、飛行しながらガオズロックを追跡した。飛行して行く間に、こころは見る間に人の姿では無く機械的な身体の鳥の様な姿をした人ならざる姿へと変わって行った。祈は現実離れした事象を不思議と受け入れる事が出来た。理由は分からない……ただ、そう感じたからだ。

 

 

 

「よーーし‼︎ ダムに充分な亀裂を入れたな‼︎」

 

 ゴーゴは所々が破損したダムの様子に満足そうに、ほくそ笑む。そんなダムに畳み掛ける様に、川は鉄砲水となって荒れ狂うばかりだ。放水オルグが川の水嵩を増やした事で益々、勢いは増していく。

 

「ククク‼︎ 良いぞ良いぞ‼︎ 風は良好‼︎ 全ては計画通りだ‼︎」

 

 ゴーゴが高々と叫ぶ。側では、ツエツエとヤバイバが息を切らしながら、へたばっていた。

 

「ヒィ……ヒィ……もう動けねェ……」

 

「こ、腰が……」

 

 漸く重労働から解放されたが、流石のオルグもダムを物理的に破壊すると言う仕事には、かなり堪えたらしい。

 

「オイオイ、しっかりしろや‼︎ お前等には、まだやって貰いたい事があるんだぜ?」

 

「ま、まだ何か……⁈」

 

 これ以上、何をさせる気なのか、とツエツエは苦悶の表情を浮かべる。ゴーゴは、ニヤリと笑う。

 

「決まってんだろ? ガオレンジャーの足止めだ! 今から町に行って、奴等が町から離れない様に注意を引いてくるんだよ‼︎」

 

「そ、そしたら……俺達は、どうなるんだよ……⁈」

 

 ヤバイバは青ざめながら尋ねる。町が飲み込まれ兼ね無い水害となれば、町中にいた自分達も無事には済まされないからだ。しかし、ゴーゴは…

 

「大丈夫だ! お前等、オルグなんだから溺れやしねェよ!」

 

『(あ…悪魔…)』

 

 2人の哀れなデュークオルグは非情な命令に人知れず、いや鬼知れず涙を流した。

 

 

 

「其処までだ‼︎」

 

 

 

 高らかな声に、ゴーゴは声の主を探す。すると、ウルフローダーに跨るガオシルバーが砂嵐を上げながら現れた。

 

「来やがったな、ガオレンジャー‼︎ そっちから来てくれるとは、飛んで火に入る夏の虫とはこの事よ‼︎」

 

 上機嫌な様子で笑うゴーゴ。一方、ツエツエとヤバイバは自分達が命を賭して、ガオレンジャーの足止めに向かわず済んだ事に、心底から胸を撫で下ろした。

 

「しかし! 今更、来ても手遅れだ‼︎ この氾濫寸前の川を見るが良い‼︎」

 

 ゴーゴが指差す方向……それは、今にも溢れ出さんばかりに流動する川だった。

 

「既に川の水嵩は溢れに溢れ、亀裂の走ったダムでは抑えきれん‼︎ すると、この先にある町はどうなるかなァ?」

 

「き…貴様…‼︎」

 

 ガオシルバーは歯を食い縛り、怒りに耐える。

 ゴーゴの言う通り、川は今や氾濫する手前まで来ている。しかも、ダムは決壊寸前と来た。

 このままでは大多数の被害者が出てしまう。

 

「ガオシルバー‼︎」

 

 それから、遅ればせでガオゴールドが到着した。しかし、タダならない川の様子を見て、事態は最悪である事を悟らざるを得なかった。

 

「このままじゃ、竜胆市が……‼︎」

 

「ああ、大水害によって民間人の被害は計り知れん……!」

 

 悔しいが、完全に敵の作戦勝ちだ。間が悪い事に今は夜、台風も雨も無い為、町の住人は被害が出る事さえ知らないだろう。このままでは、町に居る祈や友達が巻き込まれてしまう。

 ゴーゴが飽くまで、時間を掛けて計画を秘密裏に推し進めたのは、ガオレンジャーに悟らせない為の布石だった。

 

「ククク‼︎ これで後は、ガオレンジャーを倒せば俺様の勝ちだ‼︎ オルゲット共、出番だ‼︎」

 

「ゲット、ゲット‼︎」

 

 ゴーゴの指示に従い、オルゲット達が出現する。

 

「ツエツエ、ヤバイバ! 作戦変更だ! ガオレンジャーが放水オルグに手を出せん様に邪魔をしろ‼︎」

 

「ハッ‼︎ 」

 

「チックショウ、次から次と…‼︎ 今回の俺は苛々してるんだ! 容赦しないぜ、ヤバイバ〜‼︎」

 

「さーて、俺はダムが壊れ易い様に……」

 

 そう言うと、ゴーゴの右掌に小さな渦巻き状の玉が発生する。

 

「喰らえ! ''豪風玉''」

 

 ゴーゴが風の塊をダムへと投擲する。すると、ヒビ割れたダムの亀裂が余計に広がって行く。

 

「はーはっは‼︎ あと何発で壊れるかなァ? 放水オルグ、水勢を強めろ‼︎」

 

「ポンポーーン‼︎ 出します! 出します!」

 

 放水オルグは口から出す水量を増やし、勢いは増して行く。このままでは、ダムが壊れるのは時間の問題だ。

 

「くそ‼︎ こんなに数が多くては…‼︎」

 

 ガオゴールドは、オルゲット達をドラグーンウィングで斬り伏せて行くが如何せん、手数が多くキリが無い。

 

「ガオゴールド! ガオサモナーブレットだ‼︎ あれなら遠距離から狙える‼︎」

 

 ガオシルバーが叫ぶ。成る程、確かにガオサモナーブレットの飛距離なら、放水オルグを確実に狙える。

 だが……。

 

「キィィィ‼︎ アンタ達の所為で私達はァァァ‼︎」

 

「今迄の雪辱を返させて貰うぜェェェ‼︎」

 

 いつも以上に、気合いが入っているツエツエとヤバイバ。元を正せば、ガオレンジャーが度々、自分達の計画を邪魔してくれたから、こんな目に遭うのだ。

 完全な逆恨みではあるが……。

 

「オラオラァァァ、死ね死ねェェ! クソがァァァ‼︎」

 

 今迄に無い位に殺気全開の攻撃をガオシルバーに繰り出すヤバイバ。相当にストレスが溜まっていたらしい。それは、ツエツエも同義だ。

 

「アンタの所為で、アンタの所為でェェェェ‼︎!」

 

「アンタの所為って全部、お前等が悪いんだろ‼︎ 」

 

「お黙りィィィ‼︎」

 

 ツエツエが杖を振るえば、岩が浮いてガオゴールドに降り注ぐ。ドラグーンウィングで石を払い避けながら、ツエツエを躱そうとしても、オルゲットが立ちはだかり、ガオサモナーブレットで狙えない。

 

「オホホホ‼︎ 落ちぶれても、オルグの巫女‼︎ さァ、行くのよ! この世に未練を残す者達よ‼︎」

 

 再び、杖を振り翳すツエツエ。すると地面から4体のオルグ魔人が現れる。

 

「こいつ等は⁈」

 

 其れは、チェーンソーオルグ、オートバイオルグ、ジッポオルグ、パイプオルガンオルグと言った今迄、ガオゴールドが倒したオルグ魔人達だ。

 

「これぞ、オルグ巫女ツエツエの力、死霊傀儡の術よ! 死したオルグ達よ、お前達を殺したガオゴールドに恨みを晴らせ‼︎」

 

『ウォォォ!‼︎』

 

 死霊オルグ達は一斉に、ガオゴールドに攻撃を仕掛ける。だが知性は感じられず、ただ遮二無二に襲い掛かるだけだ。

 

「ゴールド‼︎ そいつ等に攻撃は当たらない‼︎ ツエツエに召喚された幻だ‼︎」

 

 ガオシルバーは、ヤバイバの攻撃を防ぎながら叫ぶ。以前、似た様な術を使うオルグと戦った事があるからだ。確か、奴も死んだオルグを使役し操っていた。

 

「其れじゃ、戦い様がないじゃないか⁉︎」

 

「ツエツエを狙うんだ! そうすれば奴等も消える‼︎」

 

 ツエツエを狙え、と言われても死霊オルグ軍団に多数のオルゲット達が邪魔をして攻撃が出来ない。

 

「はーはっは‼︎ これでェ……終わりだァァァ‼︎」

 

 そうしてる間に、ゴーゴが狙った豪風玉がダムに直撃する。すると、ダムがビシビシッと音を立てて行く。

 

 

 次の瞬間、ダムは崩れ落ち堰き止めていた水は瞬く間に流れ出て行く。

 

「しまった‼︎」

 

「よっしゃァ、これで町はお終いだ‼︎ ガオレンジャー、勝負あったな‼︎」

 

 ゴーゴは勝ち誇りながら叫ぶ。このままじゃ町が……祈が……‼︎

 だが、勢い良く流れ出て行く水は流れ再び止まってしまった。

 

「あ……ン⁉︎ どうなってんだ⁉︎」

 

 ゴーゴは理解出来ない、として浮き上がりながら確かめる。すると破壊されたダムの下から巨大な口が現れた。

 

 

「あれは⁉︎」

 

 

「ガオリゲーター⁉︎」

 

 

 何と、ガオリゲーターが川の水を飲み込み堰き止めてくれたのだ。

 

「何だそりゃ⁉︎ そんなの有りか⁉︎」

 

 ゴーゴは口惜しそうに喚く。ワニの姿をしたガオリゲーターは水の中でも難なく活動出来る。しかも、其れだけでは無い。

 川の水を掻き分け、もう一体のパワーアニマルが出現する。

 

「ガオハンマーヘッド! お前もか‼︎」

 

 ガオシルバーが叫ぶ。鮫の姿をしたガオハンマーヘッドも水を多量に口に含み、死霊オルグ軍団に目掛けて吐き出した。

 

「イヤァァァァァ‼︎ 私達までェェェェ⁉︎」

 

「チクショ〜! 覚えてろよ、ガオレンジャーァァ………‼︎」

 

 水と共に川の流れに飲み込まれたツエツエ、ヤバイバ、死霊オルグ軍団は呆気なく流されていってしまった。残されたのは、風のゴーゴと放水オルグだけだ。

 

「くそ⁉︎ もう少しだったのにィィ! こうなりゃ、こいつで……‼︎」

 

 ゴーゴは、とびきり特大の豪風玉を作り出す。其れをぶつけて、ガオリゲーターを吹き飛ばそうと言う寸法だ。だが、そうは問屋が卸さない。ガオズロックが低空飛行で、ゴーゴに体当たりを仕掛けたからだ。

 

「ゲフッ⁉︎」

 

 ゴーゴは間の抜けた言葉と共に吹き飛ばされた。これで放水オルグを狙える。

 

「ガオゴールド、今よ! やっつけて‼︎」

 

 テトムの声がした。ガオゴールドは頷き、腰のホルスターから、ガオサモナーブレットを取り出す。

 

 

「破邪…聖火弾! 邪気……焼滅‼︎」

 

 

 ガオサモナーブレットから金色の弾丸が射出をれた。放水オルグを捉え、爆発を引き起こしながらオルグ魔人は川底に沈んで行った……。

 川の速度も、ガオリゲーター達のお陰で緩やかになり大事は防げた、かに見えた。

 

「くそッ‼︎ よくも一週間の計画を水の泡にしてくれたな‼︎」

 

 川の中から、ゴーゴは飛び上がって来る。顔は憤怒の形相で、正しく悪鬼さながらである。

 

「だが! まだ、こっちには切り札があるんだ‼︎

 出て来いや‼︎」

 

 ゴーゴが号令を掛ける。すると山林を掻き分け押し倒しながら、巨大な影が現れた。

 

「あれは⁉︎」

 

「まさか⁈」

 

 それは、ガオシルバーが良く知る存在だ。胸部のライオンの顔、腰部の鷲の顔、右腕は鮫、左腕は虎、下半身は牛の姿をした巨人……。

 

「あれは……精霊王なのか⁉︎」

 

「……ガオキング……‼︎」

 

 ガオシルバーは呟く。あの精霊王は知っている……それ所か先の戦いで、ガオレンジャー達を支え幾多との戦いに於いて勝利に導いてくれた精霊の王……ガオキングだ。だが体色はガオキングと違い、全身をペンキで黒く塗り潰した様に漆黒だ。

 

 

 〜ウォォォッ!‼︎!〜

 

 

 ガオキングの顔が咆哮を上げる。ガオシャークの尻尾が分離し「フィンブレード」となって握られた。

 

「よし良いぞ‼︎ ガオキング・ダークネス、ガオレンジャー共を蹴散らせ‼︎」

 

 ゴーゴがガオキング・ダークネスに命令する。すると、漆黒の精霊王はガオレンジャー達の前に立ち塞がった。

 

「く……! ガオキングまで、オルグの手に落ちたのか⁉︎」

 

 ガオシルバーは悔しそうに唸る。その刹那、ガオズロックが、ガオキングの眼前に飛来し、ガオズロックの天辺に立つテトムが叫んだ。

 

「ガオキング、止めて‼︎ 貴方の使命を忘れたの⁉︎」

 

 ガオの巫女として、精霊王に説得を試みる。だが、ガオキングは構わず、フィンソードでガオズロックを攻撃した。

 

 

「キャァァァッ!⁉︎」

 

 

 バランスを崩したテトムは、ガオズロックから転落する。落ちる寸前、ガオシルバーが抱きかかえて救出した。

 

「無茶をするな、テトム‼︎ 戦うしか無い‼︎」

 

 ガオシルバーは、テトムを下ろしながら迫り来るガオキングを睨んだ。ガオゴールドも、ガオサモナーブレットを天に構えた。

 

 

 

 〜大変な事になりました‼︎ 新たに現れた敵は、味方である筈のガオキング⁉︎ 漆黒の身体となっている事が、何を意味しているのでしょうか⁈ 果たして、ガオゴールド達は如何にして戦うのか⁉︎ !




ーオリジナルオルグ

−放水オルグ
放水ポンプに邪気が宿り、オルグ化したオルグ魔人。計画の為、ヒヤータがゴーゴの貸し与えた。
自分の身体を優に超えた量の水を体内に吸水、放水が可能だが、戦闘能力は皆無。
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