帰ってきた百獣戦隊ガオレンジャー 19YEARS AFTER 伝説を継ぎし者   作:竜の蹄

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※これは現在、連載している小説の初期段階を小説にした物です。
本編とは全く異なりますが、お茶濁しのつもりで、お楽しみ下さい。


番外編 帰ってきた百獣戦隊ガオレンジャー 試作

 かつて……地上に蔓延る邪気より生まれし邪悪なる生命体『オルグ』の復活により、地上は地獄へと変えられた。

 だが、オルグの魔手から地球を守る為、立ち上がった六人の戦士達の活躍により、オルグ達の信仰は食い止められる事となる。地球生命の化身である獣を模した神秘なる精霊『パワーアニマル』の力を借り、彼等は遂にオルグの王を滅ぼした。戦いを終えた彼等は各々の日常へと戻って行き、パワーアニマル達も自分達の生まれ故郷、天空島に帰った。

 その地球を救った戦士達の名は……百獣戦隊ガオレンジャー‼︎

 

 

 東京の郊外にある町、竜胆市。普段は特に変哲の無い町だが、今は様子が違っていた。

 町中に仄暗い邪気が覆われて、町を往来するかの様に最下級の鬼オルゲットが跋扈していた。

 

「オホホホ‼︎ さァ、オルゲット達よ‼︎ この街をメチャクチャにしておしまい‼︎」

 

 先陣を切るのは、二人のオルグ。片方の比較的に人間の女性に近いオルグが、オルグ達の中でも最高位に当たる『ハイネス・デューク』に次ぐ『デュークオルグ』に位置する、名はツエツエ。

 もう一人の道化師染みたオルグが、ツエツエ同様にデュークオルグであるヤバイバ。

 二人は、オルゲット達を率いて非道の限りを尽くしていた。

 

 

「止めなさい‼︎」

 

 

 突如、二人に響く声。上を見上げると、亀の形をした飛行する岩『ガオズロック』が飛来した。

 

「あれは、ガオズロック! 」

 

 ヤバイバは憎々しげに睨む。ツエツエも同様だ。

 

「現れたわね、ガオの巫女‼︎」

 

 と、二人の目の前に降り立ったガオズロックの中から、白装束の衣装を着た女性、ガオの巫女テトムが出て来る。

 

「ツエツエ! ヤバイバ! 性懲りも無く、また現れたの⁉︎」

 

 テトムの厳しい口調に、ツエツエは怒りを露わにした。

 

「黙らっしゃい‼︎ 私達、オルグは不滅なのよ‼︎ 人間が存在する限り、何度だって復活するわ‼︎」

「その通り‼︎ 俺達を邪魔する奴は皆、ズタズタに斬り裂いてやるぜェ‼︎」

 

 長年の恨みを晴らすべく、と二人のオルグは勇ましく凄む。

 

「そう……じゃあ、何度だって阻んであげるわ‼︎ 私達、ガオの戦士が‼︎」

 

 そのテトムの掛け声に合わせ、ガオズロックから飛び出して来る五人の人影。

 

「また、お前等か‼︎」

 

 中央に立つ青年、獅子走が二人を睨みながら言った。

 

「二十年も大人しくしてたんだ、そのまま干からびてれば良かったのにな‼︎」

 

 走の右隣に立つ青年、鷲尾岳が皮肉を込めて叫ぶ。

 

「何度来たって同じだ‼︎ その度に、ぶっ潰すぜ‼︎」

 

 走の左隣に居た男性、鮫津海も続く。

 

「お前等、オルグの居場所は此処には無い‼︎ さっさと帰れ‼︎」

 

 岳の右隣にいた大柄な男性、牛込草太郎も怒鳴る。

 

「本当に、しつこいおばさんね‼︎ 」

 

 海の右隣に居た女性、大河冴も小馬鹿にした様子で言った。

『おばさん』と言う言葉に、ツエツエは酷く憤慨した。

 

「キィィィ!!! 相変わらず、口の減らない小娘ね‼︎

 て、失礼? 二十年も経てば、あんたも充分に『おばさん』かしら?」

 

 仕返しだと言わんばかりに、ツエツエは返す。今度は冴が怒った。

 

「人が気にしてる事を……‼︎ 私は、まだ38歳よ‼︎」

「あ〜ら、38だったら立派なおばさんよね〜! ひょっとして、未だに独身かしら? 相も変わらず白馬の王子様を待ち望んでいたら痛すぎるわよ⁉︎」

「言ったわね! この厚化粧おばさん‼︎」

「うるさいわよ! このちんちくりんおばさん‼︎」

 

 呆然とする仲間達を尻目に二十年越しの口喧嘩に発展する二人。この二人は、以前の戦いでも互いに罵り合う一種の因縁があったのだ。

 ヒートアップする二人の戦いを見兼ね、岳とヤバイバが仲裁に入る。

 

「さ、冴? 口喧嘩してる場合じゃ……」

「なァ、ツエツエ。先にガオレンジャー達を……」

 

 

「うるさい!!! 邪魔しないで‼︎

 するんじゃ無いわよ‼︎」

 

 

「「す、すいません……」」

 

 

 余りの剣幕に、岳もヤバイバも逆に言い負かされてしまい、すごすごと後退した。

 

「冴……あんなキャラだったかしら?」

 

 久しぶりに会った旧友である冴の余りの剣幕に、流石のテトムも引いていた。

 その後、暫しの間、二人の白熱した口喧嘩が繰り広げられ、走達、オルゲット達は遠巻きに見守るしか無かった。

 やがて、口喧嘩が終息すると……。

 

「ハァ…ハァ…」

「ゼェ…ゼェ…」

 

 二人は叫び疲れたのか肩で息をしていた。二十年分を叫んだ為か、クタクタである。

 

「じゃ…さっさと…決着付けよう…じゃないの…‼︎」

「の…臨む…所よ…‼︎」

「冴、もう良いか?」

 

 漸く落ち着いた冴に走は声を掛けた。気を取り直し、走達はオルグ達に凄んだ。

 

「何度来たって同じだ‼︎ 俺達が居る限り、この地球は守り通すぜ‼︎ 」

「オホホホ‼︎ 二十年も掛けたのよ‼︎ 前回と同じ轍は踏まないわ‼︎ さァ、オルゲット達! やっておしまい‼︎」

「ゲットゲット‼︎」

 

 ツエツエの命に従い、オルゲット達は飛び掛かろうとする。だが、それを遮ろうと彼等の前に現れる影があった。

 

「……済まない、遅れた‼︎」

「月麿‼︎」

 

 走は、その見知った顔に歓喜した。彼もまた、走達の戦友である大神月麿だ。

 

「くッ……またしても……‼︎」

 

 ヤバイバは、月麿の登場に苦虫を噛み潰した様な顔になる。

 

「よし、これで役者は揃った‼︎ 皆、行くぞ‼︎

 ガオアクセス‼︎」

 

 走を筆頭に、彼等は腕に装着されたG−フォンの真ん中にある起動スイッチを押した。

 

 

『サモン・スピリット・オブ・ジ・アース‼︎』

 

 

 その掛け声と共に、G−フォンは肥大化し人型を形成すると、走達の身体に装着された。

 最初はスーツ、次に動物を模したヘルメットを構成していき……。

 

「灼熱の獅子! ガオレッド‼︎」

 走の変身したライオンを模した戦士、ガオレッドが構える。

 

「孤高の荒鷲! ガオイエロー‼︎」

 岳の変身した鷲を模した戦士、ガオイエローが構える。

 

「怒涛の鮫! ガオブルー‼︎」

 海の変身した鮫を模した戦士、ガオブルーが構える。

 

「鋼の猛牛! ガオブラック‼︎」

 草太郎の変身した牛を模した戦士、ガオブラックが構える。

 

「麗しの白虎! ガオホワイト‼︎」

 冴の変身した虎を模した戦士、ガオホワイトが構える。

 

「閃烈の銀狼! ガオシルバー‼︎」

 月麿の変身した狼を模した戦士、ガオシルバーが構える。

 

 

「命ある所に、正義の雄叫びあり!

 百獣戦隊! ガオレンジャー‼︎」

 

 

 今此処に、地球を守護する六人の戦士、百獣戦隊ガオレンジャーが復活した。

 

 

 

「相も変わらず、長々と口上を並べ立てて……もう聞き飽きてんのよ‼︎ 行くのよ、オルゲット達‼︎」

 

 焦れたツエツエが、オルゲット達を嗾けた。ガオレンジャー達も負けじと突撃した。

 

「ライオンファング‼︎」

 

 ガオレッドはパワーアニマルの力の一部である神器『破邪の爪』の一部であるライオン型の手甲、ライオンファングを召喚した。

 

「ブレイジングファイヤー‼︎」

 

 ガオレッドは両手に装着したライオンファングで敵を殴打しつつ、炎を纏わせながらオルゲット達を叩きのして行く。

 

「イーグルソード‼︎」

 

 ガオイエローは鷲の顔を模した長剣イーグルソードで、オルゲット達を斬り伏せて、迫って来たヤバイバと対峙した。

 

「ガオイエロー! 昔の様には行かんぜ‼︎」

「もう、お前なんか敵じゃ無いんだよ‼︎」

 

 そう言いながら、ガオイエローは刃にガオソウルを纏わせる。

 

「ノーブルスラッシュ‼︎」

 

 イーグルソードを数度に渡って振り、ヤバイバを斬り刻んだ。

 

「や、やばいバ⁉︎」

 

 ガオイエローの攻撃に対し、ヤバイバは斬り弾かれた。

 

「シャークカッター‼︎」

 

 ガオブルーは鮫のヒレを模した二振りの短刀シャークカッターを召喚し、ガオソウルを溜めた。

 

「サージングチョッパー‼︎」

 

 シャークカッターでトリッキーに飛び回りながら、オルゲット達を斬り刻んで行くガオブルー。

 

「バイソンアックス‼︎」

 

 ガオブラックは牛の顔を模した手斧バイソンアックスを召喚する。

 

「アイアンブロークン‼︎」

 

 バイソンアックスを振り下ろし、凄まじい地鳴りと共に発生した斬撃で、オルゲット達を吹き飛ばして行く。

 

「タイガーバトン‼︎」

 

 ガオホワイトは虎の顔の意匠をした根、タイガーバトンを召喚する。そして、ツエツエの杖とぶつかり合った。

 

「ほらほら! もう若くないんだから、無理するんじゃ無いわよ‼︎」

「馬鹿にしてッ‼︎」

 

 ツエツエの小馬鹿にした態度に対し、ガオホワイトは激昂した。

 

「ベルクライシス‼︎」

 

 タイガーバトンにガオソウルを纏わせ、ツエツエに攻撃を加えた。

 

「チィッ⁉︎」

「あら? 杖が無いと立てないかしらね、おばあちゃん!」

「い、言ったわねェェ‼︎ この小娘‼︎」

 

 さっきの仕返し、と言わんばかりの言葉に、今度はツエツエが激昂した。

 

「ガオハスラーロッド! サーベルモード‼︎」

 

 ガオシルバーが狼を模したロッドを召喚し、剣の状態にする。

 

「銀狼満月斬り‼︎」

 

 ガオハスラーロッドを円形状に振り、満月に似た斬撃を放つ。オルゲット達は、たちまち吹き飛ばされた。

 こうして、ガオレンジャー達とオルグ達の攻防は一進一退を繰り広げたが、やがてガオレンジャー達の方に有利となり始めた。

 

「くそ‼︎ 二十年経っても、これかよ‼︎」

 

 ヤバイバは、ガオレンジャー達の強さにボヤく。元々、ガオレンジャーとは幾多と渡り合ったが、自分達だけで勝てた試しは無いからだ。

 

「おのれ、ガオレンジャーめ‼︎」

 

 ツエツエも手勢であるオルゲット達を蹴散らされ、悔しそうに歯軋りする。

 

「さァ、これで終わりだ‼︎ 」

 

 ガオレッドの号令で、ガオレンジャー達は各々の破邪の爪を合体させ、巨大な剣へと変形させた。

 

「行くぞ! 破邪百獣剣! 邪気……退散‼︎」

 

 六人の持つ合体武器、破邪百獣剣から放たれたエネルギーの刃がオルゲット達を包み込んで行く。更に、ツエツエやヤバイバにも及びそうになるが……。

 

 

 〜戯けが……。何をしているのだ、貴様等は……‼︎〜

 

 

 突然、エネルギーの刃が掻き消されてしまう。

 

「な、何⁉︎」

 

 ガオレッドは突然の事態に目を疑う。すると、ツエツエとヤバイバに周りに邪気の障壁が張られていた。

 

「あ、あれは⁉︎」

 

 ガオシルバーが指差すと、ツエツエ達の頭上に渦巻く邪気が顔を成し始める。其れは巨大な髑髏そのものだ。

 

「閻魔様⁉︎ 助かりましたわ‼︎」

 

 ツエツエが礼を言うと、髑髏は顔を歪める。

 

 〜ガオレンジャーを呼び寄せる為に貴様等を差し向けたのに、倒されてしまえば元も子も無かろう……この愚か者共が……〜

 

「ハッ! お返しする御言葉も御座いません…‼︎」

 

 ツエツエとヤバイバは低姿勢で謝罪する。その謎の存在に、ガオレンジャーは目を疑う。

 

「今、閻魔様と?」

 

 ガオイエローが尋ねた。その言葉を聞いた髑髏は不遜に笑う。

 

 〜左様……儂は、閻魔オルグ。鬼地獄を統括するオルグ達の支配者にして、この地上の王となる者だ。

 そして、邪魔者となるであろう貴様等、ガオレンジャーを一網打尽とする為、ツエツエとヤバイバを差し向けたのだ〜

 

「ふざけるなよ‼︎ 閻魔オルグだか何だか知らないが、地球をオルグに支配させるか‼︎ 俺達が、お前等の野望を防いでやる‼︎」

 

 威勢よく啖呵を切るガオレッドに対し、閻魔オルグは忌々しげに見据える。

 

 〜フン……貴様等の事はしかと知っているぞ、ガオレンジャー……。いつでも、貴様等の様な英雄気取りの戯けが、我々の前にしゃしゃり出てくる……。だが……其れも、これまでだ‼︎〜

 

 閻魔オルグの目から放たれた光線が、ガオレンジャー達に直撃すると、ガオレンジャーの周りに覆われた邪気が、彼等を拘束した。

 

「くッ……動けない……‼︎」

 

 身体の自由を奪われたガオレンジャー達を地面に転がる。更にガオスーツの変身は解け、元の姿に戻ってしまう。

 

「お見事ですわ、閻魔オルグ様‼︎」

 

 〜フハハハ……これで、貴様等はただの人……手を捻る事など容易い……しかし、先ずは貴様等の守ろうとした地球を我々の支配に置かれて行く様を見ているが良い……〜

 

 あっという間に倒されたガオレンジャー達を嘲笑する様に、閻魔オルグは言い放った。

 

「クソッ……‼︎」

 

 悔しいが、走は言い返せない。こんな姿では、手も足も出ない。そんな時、天空より降り立つ五体の影が居た。

 

「ガオライオン‼︎」

 

 走は叫ぶ。それは、ガオレンジャー達に力を与え共に戦ってくれた地球の化身ある獣達、パワーアニマル達だ。

 そのリーダー格であるガオライオンが走達の危機を知り、ガオイーグル、ガオシャーク、ガオバイソン、ガオタイガーを率いて助けに来たのだ。

 

 〜おっと……動くなよ、パワーアニマル共……。ガオレンジャー共の命が惜しければな……〜

 

 閻魔オルグは脅す様に、パワーアニマル達に語り掛けた。それは、妙な真似をすれば、走達を何時でも葬れると言わんばかりだ。

 

「ガオライオン! 俺達の事は構うな! オルグ達を倒せ‼︎」

 

 走は叫ぶ。今此処で、オルグ達を倒さなければ世界は、オルグの手でめちゃくちゃにされてしまうだろう。そうならない為には、自分達の命に拘っている場合じゃ無い……。

 だが、ガオライオンはオルグ達に襲い掛かる事はしなかった。走達が、ガオライオン達を想う様に彼等もまた、走達を想っているからだ。皮肉にも、その優しさが、オルグ達の付け入る隙を与えてしまった。

 

 〜フハハハ‼︎ 愚かな四足歩行動物め‼︎ 我々、オルグに逆らえばどうなるか、思い知れ‼︎〜

 

 勝ち誇った様に嗤う閻魔オルグは邪気の光線を、パワーアニマル達に放った。ガオライオン達は苦しそうに唸る。

 

「や、止めろッ‼︎ 止めてくれェェッ!!!」

 

 走は金切り声を上げた。目の前で大切な仲間が傷付けられる姿を見せられるのは、身を裂かれるより辛い。

 しかし走の叫びは届かず、ガオライオン達への攻撃は一層、強くなった。

 

 〜フハハハッ‼︎ 死ぬが良い、パワーアニマル共‼︎ 心配するな、貴様等の仲間のパワーアニマル全員、後で送ってくれるわ‼︎〜

 

「オホホホ‼︎ 何て、痛快なのかしら‼︎」

「コイツは見ていて、胸が空く様だぜ‼︎」

 

 閻魔オルグに同調して高笑いを上げる。

 

「クソッ! 外れろ、外れろォォ‼︎」

 

 走は後ろで拘束された腕を大地に叩き付ける。だが、邪気の枷は強く喰い込み外れてくれない。

 

「……ガオイーグル……‼︎ ちくしょう……」

 

 岳は、己の不甲斐なさに男泣きを浮かべる。

 

「ガオシャーク……‼︎ 止めろよ、頼むから……‼︎」

 

 海は地面に顔を擦り付けながら嘆願した。

 

「……うう……ガオバイソン……‼︎」

 

 草太郎も悔しく唸るしか出来なかった。

 

「お願い……ガオタイガーを……皆を傷付けないで……‼︎」

 

 冴は号泣しながら、言葉を絞り出した。

 

「……クッ……‼︎」

 

 月麿は言葉にならない程に無力感に苛まれていた。

 

「……ああ……なんと言う事……‼︎ おばあちゃん……荒神様……‼︎」

 

 テトムも、亡き祖母や百獣の神に祈るしか出来ない。だが、現実は正直かつ無情だ。パワーアニマル達の命は風前の灯火だ。

 

 〜さァ……トドメだァ!!!〜

 

 

「其処までだ‼︎」

 

 

 突然、別の声が響き渡る。と、同時にパワーアニマル達へ放つ光線が途切れ、ガオライオン達は解放された。

 

 〜ぬゥ? 誰だ⁉︎〜

 

 閻魔オルグは声の主を探した。その時、走達とオルグ達の間に降り立つ二人の影……。

 

 〜貴様等か、儂に逆らう者は⁉︎〜

 

 閻魔オルグは怒鳴る。其れは弥生時代の人物が着る様な衣装と髪型をした二人組の男女だった。

 

「久しぶりだな、閻魔オルグ‼︎ 我々を覚えている筈だ‼︎」

 

 男は怒鳴った。しかし、閻魔オルグは小首を傾げた様に揺れた。

 

 〜何処の誰だか知らんが、儂を邪魔するつもりなら容赦はせん‼︎ ツエツエ、ヤバイバ‼︎ 奴等を殺せ‼︎〜

 

「「ハッ‼︎」」

 

 閻魔オルグの命令に、ツエツエとヤバイバは武器を構える。

 

「……忘れた、だと……? 俺達は忘れた事は無かったぞ! 貴様への復讐心を糧に、時の牢獄の中で生き続けて来た!」

 

 〜復讐心? 時の牢獄? 意味が分からんわ……〜

 

「忘れたなら、思い出させてやるさ‼︎ この、G -ブレスフォン・レジェンドでな‼︎」

 

 二人の男女は袖下から、G -ブレスフォンを覗かせた。

 

 

 

「ガオアクセス‼︎ サモン・スピリット・オブ・ジ・アース‼︎」

 

 二人の男女はG -ブレスフォンを起動させる。すると二人を光が包み込んで行き、やがて光が収まると……。

 

「紅雷の龍! ガオスパーク‼︎」

 

 ガオレッドと同じだが、彼より濃い紅色のスーツを身に纏い、龍を模したヘルメットをかぶった戦士、ガオスパークが現れた。

 

「蒼焔の鳳凰! ガオフレア‼︎」

 

 ガオブルーより濃い青色のスーツと、鳥を模したヘルメットをかぶった戦士、ガオフレアが現れた。

 

 

「赤き天より龍が吠え……!」

「青き空より鳳凰が舞う……!」

「幻獣戦士! ガオレジェンズ‼︎」

 

 

「変身した⁉︎ 彼等も、ガオレンジャーなのか⁉︎」

「でも今、ガオレジェンズって⁉︎」

 

 突如、姿を現した戦士達に走達は驚くばかりだ。

 

「テトム⁉︎ 彼等は一体⁉︎」

 

 月麿は、テトムを見た。だが、テトムも状況が飲み込めない様だ。

 

「違う……、私は知らないわ!……でも、あれは紛う事ないガオレンジャーの姿……!」

 

 混乱していたのは、ツエツエ達も同様だ。

 

「お、おい⁉︎ ツエツエ、あいつ等は何なんだ⁉︎ 聞いてないぞ、あんな奴等⁉︎」

「わ、私に聞かないでよ⁉︎」

 

 慌てふためく二人を尻目に、閻魔オルグは何かを悟ったかの様に、ほくそ笑んだ。

 

 〜……そうか、思い出したぞ‼︎ 貴様等は、あの時に殺し損ねた兄妹だな‼︎ クク……アマテラスめ‼︎ 小賢しい真似をしおって‼︎ ツエツエ、ヤバイバ! 奴等は、どんな手を使っても確実に殺せ‼︎〜

 

「は、ハッ‼︎ オルゲット達、出でよ‼︎」

 

 ツエツエは、オルゲット達を大量に召喚した。と、同時に別のオルグ魔人が姿を現した。

 

「お前も行け、チェーンソーオルグ‼︎」

「フンガー‼︎」

 

 ヤバイバに命令されたオルグ魔人、チェーンソーオルグは両腕のチェーンソーを回転させながら唸り声を上げた。

 

「破邪の爪、ドラゴンランス‼︎」

 

 龍の全身を模した槍を装備し、オルゲット達を薙ぎ倒して行くガオスパーク。

 

「破邪の爪、フェニックスシールド‼︎」

 

 鳳凰を模した盾を装備し、オルゲット達の攻撃を弾き返しながら、羽根状の光弾を発射して撃ち倒して行く。

 

「つ、強い……‼︎ 」

 

 その圧倒的な強さに、走達は度肝を抜くばかりだ。と、その時にチェーンソーオルグの仕掛けた攻撃が、ガオスパークに襲い掛かるが……。

 

「遅い‼︎」

 

 その刹那、チェーンソーオルグの腹部を刺し貫くガオスパーク。その速さは、さながら電光石火である。

 

「ふ、フガ……‼︎」

 

 腹を刺されたチェーンソーオルグは苦しそうに唸る。ガオスパークは振り返りながら……。

 

「あくまで、閻魔オルグに近付かせまいつもりか……! ならば、全員纏めて射抜いてやる‼︎ ガオフレア、やるぞ!」

「ええ、あに様‼︎」

 

 ガオフレアは水平にフェニックスシールドを構える。すると、翼の部分が大きく展開した。

 ガオスパークはフレアの隣に立ち、ドラゴンランスをシールドに合体させる様に装填し、巨大なボーガンとなった。

 

「破邪幻獣弾‼︎ 邪気…貫徹‼︎」

 

 フェニックスシールドの翼から展開されたエネルギーの弦を引き絞り、発射する。

 槍の先端から光り輝く矢が放たれ、チェーンソーオルグを射抜きながら閻魔オルグに直撃、大爆発を起こした。

 だが、爆発が収まると、其処にあったのはチェーンソーオルグの粉々になった骸だけだった。

 

 〜少しは、やるようだが……それが全力なら、儂には勝てんぞ。次にあった時は、本気で遊んでやろう……!

 フハハハハ…………‼︎〜

 

 閻魔オルグは、そう吐き棄てながら虚空へて消えて行った。間一髪で逃走したツエツエ達は、離れた場所からオルグシードを投げつけ、杖を振り回す。

 

「オルグシードよ‼︎ 消え行かんとする邪悪に再び巨大な力を‼︎ 鬼は内‼︎ 福は外‼︎」

 

 その呪文と共に、残骸は再び結合し始め、やがて巨大なオルグ魔人として復活した。

 

「! あに様‼︎ 」

「ああ! 行くぞ‼︎」

 

 二人は互いに宝珠を三個、取り出し各々の破邪の爪で装填した。

 

「幻獣召喚‼︎」

 

 その状態で天に翳すと、雲を掻き分けながら姿を現す三体の巨大な生物達……。

 

「ぐおォォォォッ!!!」

 

 一体は紅く輝く龍の姿をしたガオドラゴン、一体は青く輝く鳳凰の姿をしたガオフェニックス、一体は九尾の狐の姿をしたガオナインテール……。

 

「幻獣合体‼︎」

 

 その掛け声と共に、ガオドラゴンは直立状に変形して首と尻尾が根本から分離した。後ろ足が伸びて下半身を構成する。

 ガオフェニックスが、その下半身に覆い被さる様に合体し翼が背面にマントの様に下りた。

 左腕をガオナインテールが、右腕を分離したガオドラゴンの首が構成し、分離した二つの尻尾が合体して、両刃となった。

 そして、ガオフェニックスの頭部が前倒しになり、別の龍に似た頭部が出現する。ガオスパーク、ガオフレアは巨人の中へと吸収されて行くと……。

 

 

「誕生! ガオカイザー‼︎」

 

 

 姿をあらわしたのは、パワーアニマル達が合体する事で誕生した巨人、精霊王である。

 ガオカイザーは手にしたテイルブレードを構え、チェーンソーオルグのチェーンソーと切り結んだ。

 激しく作動するチェーンソーの刃が、テイルブレードを弾こうとする。

 

「フンガガガガ……‼︎」

 

 チェーンソーオルグが腕に力を込め、チェーンソーの速度が更に加速した。激しい火花が飛び散る。

 

「ただ、力任せに押すばかりか……カイザーミラージュ‼︎」

 

 ガオスパークの指示を受け、ガオカイザーは複数人に分身した。

 

「ふ、フガ⁉︎」

 

 分身したガオカイザーに困惑したチェーンソーオルグは闇雲にチェーンソーを振り回す。だが、分身はいずれも空を斬って消滅するだけだ。

 

「後ろだ‼︎」

 

 突然、後方からチェーンソーオルグが斬られた。振り返ると、ガオカイザーは後ろに回り込んでいた。

 慌てて態勢を立て直そうとするが、翼を展開させたガオカイザーは空へと飛び上がる。

 

「ナインテールバインド‼︎」

 

 左腕のガオナインテールの口から金色のエネルギーが放出された。エネルギーはチェーンソーオルグを縛り上げ、動きを封じ込めた。

 

「フレア、決めるぞ‼︎」

「ええ‼︎」

 

「驚天動地・カイザーハート‼︎」

 

 突如、ガオドラゴン、ガオフェニックス、ガオナインテールの口から放たれる三つの光線が、チェーンソーオルグに直撃した。

 

「フンガァァァ……‼︎」

 

 断末魔を上げながら、チェーンソーオルグは爆炎に包まれ崩れ落ちて行った。その様子を、上空より見下ろすガオカイザーの姿……。

 

 

 

 戦いを終えた後、ガオカイザーは走達の前に着陸した。閻魔オルグが消えた事で、拘束されていた走達も自由となったのだ。

 困惑する走達の目の前に、ガオスパークとガオフレアが姿を現した。

 

「あ…助けてありがとう…。俺達は…」

「お前達を助けたつもりは無い。偶々、そうなっただけだ」

 

 礼を言う走の言葉を遮る様に、ガオスパークは素っ気無く言った。それが気に入らなかったのか、岳が突っ掛かった。

 

「聞きたい事が山程、あるぞ! そもそも、お前達は……‼︎」

「応える義理は無い。我々は、お前達に警告をしに来たのだ」

「け、警告?」

 

 岳の言葉を無視し、ガオスパークは続けた。

 

「そうだ、オルグ達を倒すのは我々の役目だ。部外者は引っ込んでいて貰おう」

「ぶ、部外者⁉︎」

 

 言うに事欠いて、かつて、ガオレンジャーと戦い抜いた自分達を部外者呼ばわりだなんて……。

 

「今回は見逃すが……次、俺達の前に現れたら、容赦無く攻撃を仕掛ける……!」

 

 それだけ言い残し、ガオスパークはガオカイザーに乗り込んだ。残されたガオフレアも無言のまま、後に続く。

 そして、呆然とするガオレンジャー達を尻目に、謎の兄妹戦士ガオレジェンズは、その場から飛び去って行った……。

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