帰ってきた百獣戦隊ガオレンジャー 19YEARS AFTER 伝説を継ぎし者   作:竜の蹄

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※最近、体調がめっきり優れず、掲載が遅れがちになって申し訳ございません!

11月29日分の掲載が間に合わず、申し訳ありませんでした‼︎
詳しい事は活動報告を、読んで下さい‼︎


quest53 メランの最期

 ガオグレーは一頻り、敵を片付けると、ガオゴールドとテンマが新たな局面を迎えている事に気付いた。

 メランが巨大化し、ゴールドがガオパラディンを召喚して戦う……其処まで言えば、何時もと同じだが、今回は勝手が違った。

 巨大オルグ魔人と化したメランは、これ迄に倒して来たオルグ達を上回る強さだった。ガオパラディンの、ずっとパワーアップしている筈だが、そのガオパラディンが、まるで歯が立たない体たらく。

 此処は、自分がガオビルダーにて援護するべきかと、考えたグレーだが、倒したオルグ達が再び立ち上がって来る。

 

「やってくれたな……‼︎ おい、お前等‼︎」

 

 火炎放射器オルグが促すと、既に倒れていたスタンガンオルグとメリケンオルグに呼び掛ける。

 すると、倒れていたオルグ達は手に注射器に似た器具を握り締める。

 

「コイツが何が分かるか? オルグシードの成分を抽出した抽出液だ‼︎ 更に、此れはテンマ様によって直々に邪気を注ぎ込まれ……‼︎」

 

 オルグ達は一斉に抽出液を首筋に突き刺した。すると、オルグ魔人達が急にスライム状にドロドロと溶解し、一つに合体し始めた。

 その他にも機関銃オルグ、手榴弾オルグ、バズーカオルグの亡骸を取り入れて益々、巨大化して行った。

 やがて、巨大化したスライムが形を変えて、手と脚が出来て立ち上がる。両腕はナックルダスターを装備し、両脚はスタンガンとなった。

 胴体と頭部は火炎放射器、両肩にはバズーカが装着されていると言う異様な出で立ちだ。

 

『我こそは、戦いと破壊の権化、クリークオルグだ‼︎ 俺様は、戦争が好きだ‼︎ 銃撃、爆撃、電撃、打撃、焼撃……ありとあらゆる、人を傷つける戦争が大好きだァァァ!!!』

 

 狂気を帯びた口調で野太い声を発揮する。恐らく、戦闘力はデュークオルグ級か、それ以上……。今迄、鬼ヶ島に封じ込められていた分、暴れてやろうと言うのか、クリークオルグは肩のバズーカを連射した。

 放たれた砲弾が、街を破壊して行く。とんでもない真打ちが隠されていたものだ、とガオグレーは低く唸る。

 

「人を傷つけるのが好きじゃと言うなら……ワシは、オルグを倒すのが大好きじゃ‼︎ 掛かってこんかい‼︎」

 

 ガオグレーは宝珠を取り出す。それを見た、クリークオルグはニヤリと北叟笑む。

 

『面白ェ……‼︎ だったら……戦争(クリーク)だァァ‼︎』

 

 クリークオルグは高々と宣言した。その際、ガオプラチナの身体は急に光だした。

 

「グレー‼︎ 私、ゴールドを助けに行かなきゃ……‼︎」

「分かった‼︎ コイツは、ワシに任せておけ‼︎」

 

 そうして姿を消すガオプラチナ。其処へ、グレーは天へ宝珠を投げた。

 

「百獣召喚‼︎」

 

 投擲した宝珠は光を放ち、ガオグリズリー、ガオボアー、ガオリンクス、ガオトードの四体のパワーアニマルが召喚された。

 

「百獣合体‼︎」

 

 ガオグレーの掛け声で合体して行くパワーアニマル達。そうして、剛力の精霊闘士ガオビルダーが降臨した。

 

「誕生! ガオビルダー‼︎」

 

 ガオビルダーに収納されたガオグレーが叫ぶ。クリークオルグは悪辣に笑った。

 

『ガオビルダーなんざ、このメリケンで叩き潰してやるァァァッ!!!』

 

 クリークオルグは右腕でガオビルダーを殴りつけようとする。しかし、その前にガオビルダーの左アッパーが、クリークオルグの顎を捉える。

 

「ぐはァッ!!?」

 

 強烈なアッパーに、クリークオルグは仰反る。其処へ、ジャンプしたガオビルダーのトードキックが、オルグの腹部を蹴り飛ばした。

 

「がァッ!!?」

 

 アッパーからのハイキックに堪らず、クリークオルグは後ろに倒されてしまう。

 倒れ込んだ所を、ガオビルダーは上に跨り、マウントを取ろうとするが……クリークオルグの口内から、手榴弾が三発、吐き出された。

 全て命中して、ガオビルダーはグラつく。

 更に、隙を見せた所を、クリークオルグの左腕がマシンガンに変わり、ガオビルダーに射撃した。

 

「ぬゥゥ!!?」

 

 ガオグレーは、コクピット内に走る火花に唸る。目の前には、クリークオルグが迫っていた。ガオビルダーは大きくふらつきながら、ボアーガドリングを放とうと構える。

 しかし、クリークオルグの両肩のバズーカが火を噴いた。バズーカの砲撃が、ガオビルダーの身体を狙い撃つ。

 

「ううゥ!!?」

 

 とうとう堪らず、ガオグレーは意識を無くしてしまう。それに応じ、ガオビルダーも膝を突いて、クリークオルグに首を差し出した。

 其れを見て、クリークオルグはニタァッと笑う。左腕のマシンガンを、ガオビルダーに向けるが……。

 と、その時、クリークオルグに衝撃が走る。

 

『だ、だれだァ!‼︎?』

 

 クリークオルグは体制を立て直し、攻撃して来た敵を見る。其処には、ガオゴッドが居た。

 

『な、何だ⁉︎ コイツは⁉︎』

 

 ガオゴッドは、クリークオルグの前に立ちはだかる。ガオゴッドの中から声がした。

 

 〜ガオグレー‼︎ 私も助太刀しよう‼︎〜

 

 ガオマスターの声だ。どうやら、彼がガオゴッドに搭乗しているらしい。

 

「ガオマスターか……かたじけない‼︎」

 

 単騎による戦いを強いられていたガオグレーからすれば、ガオゴッドの助太刀は心強かった。

 しかし、クリークオルグは慌てる事なく、狂喜している様子だ。

 

『上等だァァ‼︎ どいつもコイツも、ぶっ殺してやるぜェェェ!!!』

 

 こうして、ガオビルダー&ガオゴッドvsクリークオルグと言う戦いが勃発する事となった。

 

 

 

 ガオパラディンとメランも、互いに睨み合いながら対峙している。巨大化したメランに対し、ガオパラディンは持てる全てを発揮して戦ったが、其れ等が尽く通用しなかった。

 追い詰められた自分に語り掛けて来たガオフェニックスを幻獣武装する事で、ガオパラディンは新たなる形態、ガオパラディン・エターナルクロスへと変形した。

 背面には、ガオフェニックスの巨大な翼を広げて、悪魔の様な風貌のメランに反して、天使の様な出で立ちとなったガオパラディン。

 更に頭部に、ガオフェニックスの頭が下降、装着された事で兜の役割を果たす。両腕は再び、ガオユニコーンとガオグリフィンとなった。

 すると、其処へガオプラチナが搭乗して来た。

 

「プラチナ⁉︎ どうやって、此処に⁉︎」

 

 突然、姿を現したプラチナに困惑するゴールド。

 

「ガオフェニックスの力を引き出すには、彼女と契約している私も必要じゃん? ほら、さっさと倒しちゃうよ‼︎」

 

 プラチナの言葉に、ゴールドは闘志を取り戻す。ユニコーンランスを構えて、メランに対峙した。

 しかし、メランはパワーアップしたガオパラディンの様子に臆する様子は全く無く、寧ろ楽しんでいる様だった。

 

「フハハハ‼︎ 良いぞ、良いぞ! 其れでこそ、我が宿敵だ‼︎ 我を、どこまでも楽しませてくれる‼︎

 さァ、始めようか⁉︎ 我と貴様の……最後の戦いを‼︎」

 

 そう言って、メランの背中に燃え上がる炎の翼を強く羽撃かせて、天へと舞い上がる。ガオパラディンも、それに続いた。

 

 

 二人の戦いは、空中戦へと移行していた。炎の翼にて飛び回り、ガオパラディンを翻弄しようとするメラン。しかし、ガオパラディンも同様に飛行し、逆にメランに追い付いていく。

 業を煮やしたメランは、二刀流にしたメラディウスを十字に斬り、十字型の炎の斬撃を放つ。しかし、ガオパラディンは其れを、ガオフェニックスの翼にて逆に弾いた。

 

「ほう? 中々、やりよるな……‼︎ ならば、これならどうかな⁉︎」

 

 メランは、そう言って自身の身体を炎に変えて、メランに突撃して来た。其れを躱したガオパラディンは、ユニコーンランスを直立させて翼を展開させると、身体をグルグルと回転させた。

 

「悪鬼炎滅! フェニックスリボルバー‼︎」

 

 高速で回転するガオパラディンは、そのまま燃え上がるメランに激突した。すると、メランの姿が露わになった。

 

「クックッ……貴様は不思議な奴よ、ガオゴールド……‼︎ 何度、打ち倒そうとも、圧倒的な力を見せつけても、貴様は何度も我に挑んで来る……‼︎ ならば‼︎ 我も、それ以上の力を見せつけなくてはなるまい‼︎」

 

 そう言って、メランは両手のメラディウスを燃え上がらせて、先程に披露した煉獄豪剣と同等の大剣を両手に装備した。

 

「さァ、見せてみろ‼︎ 貴様の力が、このメランより上だと言うならば‼︎ その刃で、我の首を斬り落として見ろ‼︎」

 

 飽くまで、互角としての戦いを望むメラン。それに対して、ガオパラディンも応えた。

 ユニコーンランスに、ガオソウルを纏わせつつ巨大な光の刃とする。

 メランは空中より滑空してくると、二本のメラディウスを振り下ろして来た。ガオパラディンも光の刃をメランにぶつける。

 

「鳳凰一閃! エターナルブレイバー‼︎」

 

「煉獄豪剣・二式‼︎」

 

 鳳凰の一撃と煉獄の二撃による攻撃は、空間にてぶつかり合い、大きく衝撃を与えた。先程同様、拮抗した二つの攻撃は周囲に多大な影響を及ぼす。それは何より、ガオパラディンに搭乗しているガオゴールド、プラチナにも負荷が掛かった。

 

「クゥゥ……‼︎ 凄い反動が……‼︎」

 

 コクピットに縋りつきながら、ガオゴールドは何とか踏ん張っている状態だった。メランとの交戦により受けたダメージも重なり、ゴールドには攻撃を弾き返す力は、殆ど残されていない。

 其処へ、ガオプラチナが手を添えた。

 

「ぷ、プラチナ⁉︎」

「諦めないでよ、ゴールド‼︎ あんたが諦めたら……シルバーが命を投げ出した意味が無くなっちゃうんだよ⁉︎」

 

 その言葉に途切れそうになったゴールドの闘志に再び、火が点いた。

 そうだ……命を捨ててまで、未来に繋いでくれた大神月麿と言う男の犠牲を無駄にしてしまう。

 未来なんて、どうなるか分からない。自分が、ガオレンジャーとなる未来だって予測出来なかった未来だ。

 けど……果てしない未来より、明日を生きる人々の幸せを守るくらいの事は自分に出来る筈だ、とゴールドは考える。

 

「……ああ、そうだな……‼︎ 変えてやろう‼︎ オルグの支配する未来なんて……願い下げだァァァァッ!!!」

 

 ガオゴールドの魂の叫びが、コクピット内を通して、ガオの心臓たるソウルバードに充満し、ガオパラディンの全身へと行き渡る。

 すると、ガオパラディンの両眼は金色に輝く。すると、虹色を帯びた光の刃は益々、強大となって行った。

 バチバチッと火花を散らし、徐々にメラディウスを押していく。

 

「フッ……ハハハハ……‼︎ 見事だ、ガオゴールド……‼︎ これ程とは……‼︎ 矢張り、貴様は……‼︎」

 

 そう中途半端に切った時、メラディウスは木っ端微塵に砕け散り、エターナル・ブレイバーの斬撃が、メランの身体を包み込んだ……。

 

 

 

 ガオビルダー&ガオゴッドも、クリークオルグに梃子ずっている様子だった。何しろ、クリークオルグは全身が武器と言って差し支えない物で、長距離には両肩のバズーカや口内の火炎放射とマシンガン、近距離では両手のナックルダスターと両足のスタンガン、正に攻防と共に隙の無い強敵だ。

 しかし、近距離にて優れているのは、ガオビルダーも同じだ。何とか、敵の至近距離に近付ければ、渾身の一撃を打ち込めるのだが……。

 と、その時、ガオマスターの両手が分離した。

 

 〜神獣武装‼︎〜

 

 すると、彼の両腕は、ガオマンモスを武装したガオメガロドン、ガオスミロドンとなっていた。

 一時は、ガオマスターに力を貸していた彼等だが元々、彼等の本分は、ガオゴッドを司るガオレオン達と同様に、ゴッド・パワーアニマルの一種だった。

 

 〜誕生‼︎ 真・ガオゴッド〜

 

 右腕のノウズクレイモアを振り回し、左腕のタスクシールドを構えながら、ガオゴッドは高々に名乗り口上を上げた。

 

 〜ガオマンモス、ガオメガロドン、ガオスミロドンと言うゴッド・パワーアニマルを武装する事により、ガオゴッドは更に雄大かつ強大な百獣の神と成るのです〜

 

『ハッ‼︎ 小賢しい‼︎ なーにが、真・ガオゴッドだ‼︎ 先ずは、テメェから粉々にしてやるぜェェ!!!!!』

 

 そう叫んで、クリークオルグは両肩のバズーカを乱射して来た。しかし、ガオゴッドは、その砲撃を全て、長く伸ばしたノウズクレイモアにて弾き落としてしまう。

 業を煮やしたクリークオルグは右腕をマシンガンにして、ガオゴッドを狙い撃った。だが、今度はタスクシールドにてバリアーを展開させて、全ての弾を無力化、そのまま至近距離にワープして、クリークオルグの右腕を両断してしまった。

 

『ぬあァァァッ!!!??』

 

 腕を奪われたクリークオルグは酷く取り乱した。その隙を見逃さないガオゴッドは胸部にあるガオレオンの口を開いた。

 

 〜ゴッドハート‼︎〜

 

 神の怒りに等しい光線が、クリークオルグの身体に直撃し、その堅牢ない皮膚を破壊した。

 破壊された胸部には、肥大化したオルグの心臓とも言えるオルグシードが脈打っている。

 恐らくは、あれこそが、クリークオルグの弱点だ。

 

 〜今だ、ガオビルダー‼︎ その渾身の一撃を、叩き込め‼︎〜

 

 ガオマスターと、ガオゴッドの声が両方、シンクロする様に聞こえた。

 言われずもがな、ガオボアーから発したボアーキャプチャーで、クリークオルグを捉えた。

 

『は、離せッ!!!』

 

 クリークオルグは、光の拘束を切り離そうともがくが、ガオビルダーには離させるつもりは無い。

 

「戯けが‼︎ 逃がさんわい‼︎ ガオビルダー、一気に決めるぞ‼︎

 殴打粉砕! ストロングブレイク‼︎」

 

 ガオボアーの鼻な中に光の縄を伸縮して行きながら、ガオビルダー鼻左腕のガオリンクスを振り回して、近付いた瞬間に、クリークオルグの弱点であるオルグシードに強烈な一撃を叩き込んだ。

 

『ぬ…ぐ…がァァ……‼︎』

 

 クリークオルグの身体に電流が弾け、黒煙を上げ始めた。

 

『む、無条件……降伏だァ……! オルグ帝国……ばんざァァァァい‼︎」

 

 そう断末魔を上げて、クリークオルグは大爆発してしまった。残されたガオビルダー、ガオゴッドは高々に勝鬨を上げた。

 

 

 

 メランを下して、ガオパラディンは地上へと降りて来た。ガオゴールド、ガオプラチナも変身を解いて、ガオパラディンを見上げる。

 

「ありがとう、ガオパラディン‼︎ 勝てたのは、君達のお陰だ‼︎」

 

 陽の御礼に、ガオパラディンは言った。

 

 〜礼を言うならば、我々の方だ、陽……。お前達のお陰で、我々は再び地球を守る為に戦う事が出来る……〜

 

 今や、ガオパラディン達の陽に対する信頼は絶大なる物だった。

 と、その時、佐熊とガオマスター、風太郎も駆けてくる。

 

「やったのォ、陽‼︎」

 

 佐熊は強くなった陽を称賛した。しかし、今や一番、共に勝利を分かち合いたい仲間は、この場に居ない。

 

「……大神さん……‼︎」

 

 この勝利は大神が居なくては成し得ない物だった。彼が命を懸けて、時間を稼いでくれたからこそ、被害を最小限に抑える事が出来たのだ。

 その大神は、もう居ない。そんな重苦しい空気が辺りを支配した。

 

「くよくよしている場合では無い! 我々は、まだ尖兵を倒したに過ぎん‼︎ テンマとガオネメシス‼︎ 真に倒さなくてはならない奴は、まだ残っているぞ‼︎」

 

 ガオマスターの叱責を受けて、陽は我に返る。そうだ、本当に倒すべき敵はまだ居る。そいつらを倒さなくては……!

 と、考えている際に、陽達の前に現れる一人の影……。

 

「メラン⁉︎」

 

 それは、倒した筈のメランだった。しかし、既に虫の息となり、体躯も元の大きさとなっていた。

 

「此奴‼︎」

 

 佐熊は、メランが仕掛けて来たと思い身構えるが、ガオマスターが制した。

 

「待て! 陽に任せておけ!」

「しかし……‼︎」

「それに……奴は、もう虫の息だ……‼︎」

 

 ガオマスターは既に、メランが長く無い事を見抜いていた。その上で、陽の前に現れたのは、何か意味がある事を悟り、陽に対応を任せたのだ。

 

「ふ…フフフ…‼︎ 見事だ、ガオ…ゴールド…‼︎ よく、我を倒したな…‼︎」

 

 それは確かに、陽に対する称賛であった。自分を倒した敵を前にして、メランは笑っている。

 

「……我は……貴様を……‼︎」

「メラン‼︎」

 

 力尽き、倒れそうになったメランを、陽は支えた。それに対し、メランは不思議そうに目を丸くする。

 

「……何故だ? 我は……貴様にとって……敵では……無いのか?」

「……確かに、アンタは僕達にとって敵だ。けど……」

 

 どうして、倒れ伏しそうになったメランを庇ったのか、陽には分からない。分からないが……不思議と、メランに対する憎しみは無かった。

 それは、幾度と闘って来た彼に対し、奇妙な形だが友情に似た感情が芽生えたのか……それとも弱り切った彼に対し、同情したのか……。

 

「……甘いな……貴様は……。その様な甘さでは……テンマに……勝てぬぞ?」

「甘さが理由で、テンマに勝てないなら……非情にならなくちゃ、オルグを倒せないなら……僕は一生、敗者で良い……!」

 

 メランの言葉を、陽は真っ直ぐとした目で見つめながら言った。残った片目を細め、メランは、その目を見据える。

 

「全てを投げ捨てて、ただ一人の強者になる事なんて、無意味だ! 僕は、そんな強さなんか要らない‼︎ 誰かを守れるだけの……ほんの一握りだけの強さで良い‼︎ アンタみたいに、目に映る者を全て焼き捨てる強さは……僕は要らない‼︎」

「……クッ……勝者が敗者の全てを否定するか……それも良かろう……。所詮、この世は弱肉強食だ……弱き獣は強き獣に……肉を食われて皮を裂かれて……骨を砕かれる……。

 其処に善も悪も無い……。勝った者が善で、負けた者が悪……ただ、それだけだ……‼︎」

 

 飽くまで、己が貫いて来た持論を、メランは貫かんとした。それは、彼の最後にして精一杯の抵抗だった。例え、死しても敵に迎合する様な無様さは晒したく無かった……そんな彼の姿を見ながら、近付いて来るのは、テトムだ。とても悲しい目をしている。

 

「ガオの……巫女か……!」

「メラン……貴方は、自分の生き様が虚しく感じた事は無いの?」

 

 テトムは、疑問を投げ掛けた。多くのオルグは人間への支配、社会の破滅を好む。だが、メランは、ただただ自分の力を極める為に、その全てを犠牲にした。

 その先に、何も残らないと知りつつも……メランは、自身を強くする為に、敢えて修羅道を突き進んだ。

 そんな彼の生き様を、テトムは虚しいと感じた。

 

「……間も無く……死ぬ者に対し……下らぬ事を……聞くのだな……?」

 

 その発言に、テトムは激昂した。

 

「下るも下らないも無いわ‼︎ 貴方は命を懸けて散って行った大神月麿を負け犬と言った‼︎ なら、貴方の今の姿だって、余程の負け犬じゃ無い‼︎」

 

 彼女は許せなかった。命を投げ出してまで、仲間を守ろうとした彼を負け犬と嘲笑った彼の所業を……。それは彼同様、千年前の記憶を持つ彼女が嘲笑われたも同じだからだ。

 しかし、メランは、そんな彼女をクックッと笑った。

 

「何が可笑しいの⁉︎」

 

 笑われた事に、テトムはムキになって怒鳴る。

 

「……戦士の死に、悲しいだの、愛しいだのと私情を吐き散らすな、青臭い小娘が……! 奴が貴様に……仲間達に自分の死を嘆いてくれと……頼んだのか……? 苦しんでくれ……と頼んだのか?

 そうで無いなら……奴の死を侮辱しているのは貴様だ……ガオの巫女……! 戦士にとって……戦場が自分の棺桶となる事も……戦火にて荼毘に付される覚悟も……とうに出来ている……。戦士の死に、一雫の涙も……一言の後悔も垂れ流す事は……その者への侮辱でしか……無い……。戦士に寄り添う者なら……命を賭けた者を魂に刻み、忘れぬ事……それが、戦士への最大の……手向けだ……」

 

 メランの言葉は、テトムだけでは無い、その場に居た戦士達全員に届いた。すると、メランはゲホッと咳き込み、口から緑色の血を吐いた。

 

「……フ……どうやら、我も……これ迄の様だ……な……! ガオゴールド……貴様は言ったな……? 甘さを捨てず、非情にならずに……戦い抜く……と……! ならば……その意思を……貫いて見せろ……!

 オルグの支配する未来を……貴様の手で……甘い考えで……変えて見せろ……‼︎」

「言われる迄も無いさ……! 僕は必ず……自分達の生きていく明日を変えてやるよ……‼︎」

 

 何故か、陽はメランに対し、涙を流していた。だが、それは決して彼の死を悲しいからでは無いし、悔いている訳では無い……。

 どんな形であったとしても、自分を認めた者の死を見届ける事に対し、知らぬ間に涙が流れたのだ。

 だが、メランは急に、オルグには似つかわしく無い優しい笑みを浮かべる。

 

「……貴様に……最後に良い事を教えて……やる……。我を倒した褒美だ……! テンマを倒すなら……囚われている、ガオレッド達の力を借りろ……! 奴等の封印は……我が外してある……! 後は貴様……次第だ……‼︎」

「⁉︎ どう言う意味だ⁉︎」

「……答えは……貴様の目で……確かめるのだな……!

 さ……さらば……だ……! 我が好敵手(とも)……竜崎……陽よ……!」

 

 最後の最後に絞り出した言葉は、自分と最高の戦いを繰り広げてくれた陽への感謝、更には彼を『ガオゴールド』では無く、『竜崎陽』と名前で呼んだ。それは彼なりの礼儀だったのか、それとも単に言っただけか……泡となって消えた今となっては確かめる術はない……。

 

「……最初は単なる敵だった……他のオルグ同様の……。けど、何度か戦い刃を交える内に……何時しか、互いに無視できない存在となっていた……。不思議だよな……メランは今でも敵だし、考え方も相容れないと分かっているのに……」

 

 陽は、メランの存在があったから、自分は此処まで来られた、と思うまでなっていた。あらゆる面で、メランに対する対抗意識が自分を強くさせ、時にはメラン自らが剣を取り、指導してくれた事もあった……。

 そう考えれば、メランは単なる敵とも宿敵とも違う、紛れも無い『好敵手(ライバル)』だった……。

 

「行こう、皆……鬼ヶ島へ……‼︎」

 

 陽は振り返る。佐熊、美羽、ガオマスター、テトム……仲間達が、自分には居る……。どんな時も彼等が居るから……自分は戦える……!

 陽の言葉に佐熊、美羽、マスターは頷く。テトムは、ガオズロックを指差す。

 

「乗って、皆! これを最後の戦いとするわよ! 」

 

 テトムの言葉に、陽は決めた。必ず、テンマを……そして、ガオネメシスを阻止して見せると……‼︎

 

 

 

 オルグリウムでは、テンマがとある一室に来ていた。其処には、ガオレッド達を封じ込めた水晶が安置され、巨大な装置と繋がれている。

 其処には魔女の様な漆黒の衣装を身に纏った摩魅が居た。その表情は一切の感情も無い。

 

「……テンマ様……先遣隊は全て全滅、更には最後の四鬼士、焔のメラン様も戦死された、と……」

「ふん……今や、テンマの一人や二人など、さしたる問題では無い……余の気にしているのは、鬼還りの儀が取り行われたにかかわらず、鬼地獄の鬼門が開かれぬ事だ……。

 ……どうやら、ガオレッド達の邪魔があった様だな……‼︎」

 

 テンマは憎々しげに、ガオレッド達を見据える。水晶に閉じ込められた彼等は何も言わない。その代わり、このオルグリウムと連結させて、鬼地獄の鬼門を開く為に利用せんとしたが……それが仇となったか……。

 

「まァ良い……そんな悪足掻きも、これ迄だ……‼︎ 余が自ら、鬼地獄の扉を開いてくれる‼︎」

 

 そう言って、テンマは修羅怨鬼剣を手に取る。と、同時に気配を感じた。

 

「……何者かの侵入を許した様だ……」

「ガオレンジャーですか?」

「違う……ガオレンジャーなら、馬鹿正直に正面から乗り込んでくる筈……。此奴等は、裏の道から入ってきおった……‼︎

 丁度良い……鬼還りの儀の生贄として用いさせて貰う迄よ……‼︎ ゴズとメズを投入しろ‼︎」

「……はい……」

 

 テンマが命令を出すと、摩魅は黙々と従った。だが、テンマが部屋から出て行った後、摩魅は一人、涙を流した……。

 

 

 〜メラン、クリークオルグを退け、遂にオルグリウムへの侵攻を決めたガオレンジャー達‼︎ しかし、テンマには彼を迎え撃つ準備は万端の様子でした‼︎ 果たして、摩魅の涙の真意は⁉︎〜




ーオリジナルオルグ
 −焔のメラン
 四鬼士、最後の刺客にして、ガオゴールド最大の好敵手。炎を操り、炎の剣メラディウスを用いた剣技を得意とする。

 −クリークオルグ
 火炎放射器オルグ、メリケンオルグ、スタンガンオルグを素体に、機関銃オルグ、手榴弾オルグ、バズーカオルグの骸を取り込んで誕生した合体オルグ魔人。
 単純な戦闘力だけなら、ハイネスと同格。
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