帰ってきた百獣戦隊ガオレンジャー 19YEARS AFTER 伝説を継ぎし者   作:竜の蹄

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※重ね重ね、投稿が遅れてしまい、申し訳ありません‼︎
体調を崩して、完成が今日になってしまいました‼︎


quest54 鬼灯の花の下… 前編

 鬼ヶ島の最深部に設けられた一室……其処に祈は閉じ込められていた。外部からの接触は無し、オマケに外から鍵が掛けられている。

 目を覚ませば、こんな場所に閉じ込められて、外に出る術も無い……しかし、黙って閉じ込められている様な、祈では無い。

 外を覗けば、見張り役にオルゲットが一体……あれさえ何とかすれば逃げられる……。しかし、問題はどうやって奴の注意を引くか、だ……。

 オルグと関わりを持つ内に、祈も随分と積極的になったものだ、と考えてしまう。

 ……等と考えていると、祈の頭に良いアイデアが浮かんだ。態々、外に聞こえる様に祈は叫んだ。

 

「出して! 此処から出しなさい‼︎」

 

 大きな声で叫ぶ。すると、オルゲットの扉に備え付けられた小窓から覗き込む。

 

「オルゲット‼︎」

 

 うるさい、と言う具合に、オルゲットは祈を怒鳴った。しかし、祈は尚も怒鳴り続ける。

 

「だったら、私を此処から出して‼︎ さも無いと、このナイフで首を切り裂いて死んじゃうからね‼︎」

 

 病院で、陽の為にリンゴを剥いた際に使った果物ナイフを首筋に突き付ける祈。単純なオルゲットは、それだけで慌て始めた。

 

 見張っている人間に死なれては拙い、と足りない頭を捻り出して考えたらしい……。慌てて鍵をガチャガチャと取り出し始める。

 上手くいった、と密かに北叟笑んだ祈は、出口と扉の間にある死角に入り込んだ。慌てたオルゲットが入ってきたが、祈の姿が居ない事に気付いて、キョロキョロと探し始める。祈は、その際に扉をゆっくりと押して行き姿を現し、手にはナイフに代わりに手に入れたばかりの鉄パイプ状の機器を握りしめ……オルゲットの頭を殴り飛ばした。

 オルゲットは暫く頭を押さえ、のたうち回っていたが、やがて動かなくなった。

 

「ごめんなさい!」

 

 オルゲットとは言え、人の頭を殴り飛ばすと言う乱暴なやり方をして、祈は謝罪する。

 そして開け放しになった扉から抜け出した。外に出れば、何とかなるだろう。それに、陽がきっと助けに来てくれる筈だ……。

 と、その時、気絶したオルゲットが、意識を取り戻して祈を後ろから捕まえた。

 

「ゲットゲット‼︎」

「離して‼︎」

 

 祈は、オルゲットの手を外そうと、もがく。すると、祈の手がオルゲットの腕を掴み、オルゲットの腕が焼け爛れる。

 

「げ、ゲットォォォォ!!??」

 

 オルゲットは奇声を上げながら手を離した。今のうちに、祈は走り出した。しかし、オルゲットは残った腕で壁に備え付けられたスイッチを押した。

 すると、廊下全体が赤く点滅した。

 

「た、大変!」

 

 危機を覚えた祈は走り出す。すると、前方から複数人のオルゲットが棍棒を持って迫ってきた。

 来た道をバックし、走ろうとすれば突き当たりの廊下から、別働隊のオルゲットがやってくる音がした。完全に袋の鼠である。

 

「ど、どうしよう……‼︎」

 

 進んでも戻っても、逃げ場は無い。と、その時、誰かが祈の口を押さえた。

 

「う⁉︎ うゥゥゥ!!!」

 

 捕まった、と祈は思った。それでも、ジタバタとして逃げようとするが……

 

「静かに」

 

 と、声がする。祈は顔を見ると、それは鬼灯隊のリクだった。

 

「捕まりたく無いなら、大人しくして」

 

 リクは淡々と言った。観念して、祈は抵抗を止めた。すると、リクは壁に近付く。すると、壁が液体の様になって、二人を包み込んだ。

 それと同時に、オルゲットはやってきたが、姿を消した祈を探して、あたふたしている。

 

「……1分だけ息を止めて」  

 

 リクの言葉に呼吸を遮断した。目の前では、オルゲット達が場所を間違えたかも知れない、と言わんばかりに、来た道を逆走して探しに行った。

 そうして、漸くリクは壁から抜け出て、祈から手を離した。 

 

「ぷはァッ!!!」

 

 新鮮な空気を吸う為、祈は深呼吸した。リクは変わらずに、淡々としている。

 

「なんで、助けてくれたの?」

 

 祈は、リクを振り返って尋ねる。しかし、リクは素っ気なく……

 

「……黙って付いてきて」

 

 と、言って歩き出した。彼女も、オルグであり一度、命を狙われた事がある。信用出来た試しは無いが……今は、彼女の言葉を信じるしか無い。祈は、リクに付いて行った……。

 

 

 その頃、オルグリウムの排水路に走る五つの影……。   

 

「おい⁉︎ なんで、こんな所から侵入するんだよ⁉︎」

 

 一番、後ろを走るヤバイバが先頭のホムラに尋ねた。

 

「我々は今、オルグ達から叛逆した身だ‼︎ この場所なら、気付かれる恐れも無いからな‼︎」

 

 ホムラの言葉に対して、ライも眉をひそめる。

 

「けど、匂いがキツいで‼︎ 鼻が曲がりそうや‼︎」

 

 排水路内は異常な悪臭に満ちていた。ミナモは足元を見ると、腐敗したオルゲットやオルグ魔人の亡骸が散乱している事に、不快げに顔を顰めた。  

 

「これが原因で、ございましょうか?」

「何だって、こんなもんが捨てられてんだ⁉︎」

 

 コノハが苛々しながら、ホムラに聞いた。

 

「恐らく、鬼ヶ島を浮かべる為のエネルギーにされたオルグ達の成れの果てだろう……。鬼ヶ島全体を城塞とした際、オルグの邪気をエネルギーとして吸収する、と親方様が仰っていた……。

 後は、ニーコやガオネメシスの玩具にされたか……‼︎」

 

 脱退したとは言え、同族が使い捨ての消耗品として扱われている事実にホムラは憤りを感じた。

 それは、ヤバイバも一緒だ。ツエツエも自分も、オルグの未来の為にガオレンジャーと戦って来たのだ。それを、利用するだけ利用したら、まるでボロ切れを捨てるかの様に、あっさりと捨てられた……。

 今の、ヤバイバの胸中は、テンマやガオネメシスへの憎しみに満ちていた。ある意味では、ガオレンジャー以上の仇敵であると言っても過言では無いくらいだ。

 

「おい! そろそろ、教えろよ‼︎ お前等、言ってたよな? ガオネメシスの弱点を突き止めたってよ‼︎」

 

 そもそも、ヤバイバが彼女達と手を組んだ理由はそれだ。ガオネメシスには騙されて利用された挙句、散々、痛めつけられた挙句、ツノをへし折られると言う仕打ちを受けたのだ。

 奴だけは、ズタズタに引き裂いても足らない程の借りがある。

 

「そうやな……もう逃げる恐れは無さそうやしな……。ホムラ、話したりや」

 

 ライは、ホムラに促す。彼女も振り返りつつ、頷く。

 

「……ガオネメシスの弱点を突き止めた、と言う話はしただろう? 奴の身体は、既に限界が来ているのだ……」

「限界?」

 

 ホムラの発言に、ヤバイバが聞いた。今度はミナモが話し始める。

 

「彼は元々、人間だった……しかし、その状態で高密度の邪気を肉体に注ぎ込む事は、彼自身の身体を蝕む事になるので、ございます…」

「ま、要するに……容量の小さい水瓶の中に、強引に水を流し込む様なもんや。そんな事すれば、水瓶は割れてしまう……今の、ガオネメシスは劣化寸前の肉体を、ガオネメシスと言う鎧で辛うじて抑え込んで居るに過ぎん、ちゅう訳や」

 

 ライも説明するが、ヤバイバには理解が追いつかない。

 

「……つまり、どう言う事だ?」

「鈍い奴っちゃなァァ……だから、ガオネメシスのスーツを破壊してしまえば、無理矢理に抑え付けている奴の身体は崩壊してまう、て寸法や」

「それは分かる! 俺が言いたいのは……どうやって、ガオネメシスのスーツを破壊するんだ、って事だよ‼︎」

「せっかちな方で、ございますね……その為に、貴方を連れて来たので、ございます……」

 

 そう言うと、ミナモは背中に背負って来た袋から一振りの刀を取り出した。厳重に鎖で縛り上げられ、抜けない様になっている。

 

「こ、コイツは……‼︎」

「覚えがある筈だ……。かつて、ヒヤータが自身の計略の為に使った刀……妖刀・魏羅鮫だ」

 

 ヤバイバは、この刀をよく知っている……。かつて、狂気の剣豪、霧雨武獰斎が腰に差し、数多の人間を斬り捨てた人斬り刀……彼の死後も、名高い剣豪の手に渡り、その刃に斬った者達の血を浴び続ける内に、刀に込められた怨念が邪気化、遂にはオルグとなって動き出すに至った血塗られた妖刀、銘を魏羅鮫……。

 しかし、これは……。

 

「コイツは、ガオレンジャーとの戦いで、ぶっ壊れた筈だぜ⁉︎ なんで、元通りに⁉︎」

 

 ヤバイバが驚くのも無理はない。この魏羅鮫、ガオゴールドを追い詰める作戦にて用いられ、邪気を解放後は魏羅鮫オルグと化したが、ガオゴールドによって破壊され、再起不能となった筈だ。

 それに対して、ホムラはニヤリと笑う。

 

「私達を誰だと思っている? ヤミヤミ様の下で忍術を修行したオルグくノ一、鬼灯隊だ。我々の力を結集すれば、魏羅鮫を元の状態へ修復する事など、容易いものだ」

 

 ホムラの言葉に、ヤバイバは魏羅鮫を持ち上げる。鎖で厳重な固定された鞘だが、その隙間から禍々しい気が漏れ出て来る。

 

「それで、コイツをどうすれば良いんだよ?」

「魏羅鮫は邪気を込めれば込める程、切れ味を増す。刀の状態で、持ち手の邪気の全てを込めて、敵を斬れば万物を破壊する大太刀となる…。

 ガオネメシスと対峙する際、我々が封印を解く。その隙に、お前が魏羅鮫で……ガオネメシスを斬れ‼︎」

 

 ホムラは魏羅鮫を指して言った。確かに、魏羅鮫の力が有れば、ガオネメシスのスーツを破壊する事が出来るかも知れない。

 

「しかし……ガオネメシスを斬り付ける迄、奴が待ってくれるか⁉︎」

「心配するな……“保険”も掛けてある……」

「保険?」

 

 と、ヤバイバが言うと、リクが現れた。

 

「……戻った……」

「リクか……連れて来たのか?」

「問題無い…」

 

 リクが後ろを振り返ると、祈が驚きながら、こちらを見ている。

 

「この女は……ガオゴールドの妹じゃねェか⁉︎」

「だ、誰?」

 

 互いに面識の無い二人は驚愕した。ヤバイバは彼女を知っているが、祈は彼と直接に対話した事は無いから、当然である。

 

「おい‼ こいつが、保険かよ?」

 

 ヤバイバは、ホムラを振り返りながら聞いた。すると、ホムラは……

 

「これで役者は揃った。後は、テンマ達の居る島中央の砦へと向かう‼︎」

 

 と、力強く言った。

 

「だが、その前に……‼︎」

 

 

 

 ガオズロックは高く飛翔し、何時しか雲の上まで来ていた。辺りを見回すと、見れば見る程に純白の海だった。

 陽は、窓の外を見て驚く。

 

「こんな場所に、オルグ達の本拠地が⁉︎」

 

 雲の上、即ち天上に鬼であるオルグ達が本拠を構える、とは何とも皮肉無い話だ。テトムは頷く。

 

「良い? これは最後の戦いになるわ‼︎ 貴方達が、オルグに負ければ、その時は世界に希望は無い‼︎ 敗北は許されないわよ‼︎」

 

 いつになく、シリアスな口調で話すテトム。陽、佐熊、美羽は頷いた。

 

「ああ‼︎ 必ず、祈を助け出す‼︎」

 

 鬼ヶ島には祈が捕まっている。彼女を助け出すのが、一番の目的だ。そして何より……仇を討たなければならないからだ。

 

「月麿の無念を晴らしてやらなくちゃいかんのォ…‼︎」

 

 戦士として戦い、その使命の下に殉じた大神月麿……彼が命を投げ出して未来へと繋いだ、オルグ打倒のチャンスを決して無駄には出来ない……。

 

「岳叔父さん…」

 

 鬼ヶ島に捕まっているのは、先代のガオレンジャー達……美羽にとっては叔父である鷲尾岳も居る。

 彼等を助け出す事……それが、テンマを倒す条件であると、メランは語った。

 いよいよ、戦いの瞬間は近づいて来る。陽達は、そう意を決した時……。

 

「おーーい‼︎ 何か見えて来たぜ‼︎」

 

 猛が叫ぶ。陽達は前方から前を覗き込むと……

 

「…あれが…‼︎」

 

 前方に迫るのは禍々しい姿をした島が浮いていた。しかし、島には植物一つ生い茂ってい無い。

 代わりに錆び付いた鉄骨の様な木が、地面から突き出している。辺りには大小の石が無造作に散乱し、まるで地獄の賽の河原の様だ。

 

「……鬼ヶ島……‼︎」

 

 その全景に陽は絶句した。想像を上回る禍々しさと邪悪な姿だ。 

 

「テトム、着陸出来そうか?」

 

 陽は、一刻も早く上陸しようとするが、テトムは難しそうだ。

 

「島ギリギリの所で滑空するわ‼︎ 後は貴方達が乗り込んで‼︎ 私達は、ガオズロックを確保する為にも空中で待機しておく‼︎」

「了解‼︎ 僕達は歩いて行くよ‼︎」

 

 テトムに返事しながら答える。すると、島の中央を見ていた佐熊は多数のオルゲット達が待ち構えているのが見えた。

 

「走る、の間違いじゃ無いか?」 

「その方が良いね…」

 

 覗き込んだ美羽も同意した。どうやら、オルグ達は歓迎する準備万端らしい。

 陽は佐熊、美羽と共に配置へと向かった。其処へ、猛達が駆け寄って来る。

 

「済まねェ、俺達には…‼︎」

「分かってるよ、猛…。皆は此処にいてくれ! 戦いは僕達に任せろ!」

「……死ぬなよ、陽……」

 

 昇が不安そうに言った。猛は青ざめながら…

 

「これから戦いに出る奴に、縁起でも無い事を言うなよ‼︎」

 

 と、突っ込んだ。

 

「心配してるんだろ⁉︎ 俺達には何も出来ないから……陽の無事を祈る事しか出来ない……‼︎」

 

 昇は歯痒そうに言った。確かに無事に帰って来れる保証は無い。けど、陽は笑顔で……

 

「必ず戻るよ! 祈を連れて‼︎」

 

 と、サムズアップをして見せた。舞花と千鶴も涙を浮かべながら…

 

「……祈を連れ去った奴等を……絶対絶対、やっつけてね‼︎」

「……祈先輩を、お願いします……! お兄さん……‼︎」

 

 と、頼んできた。陽は二人の頭を軽く撫でる。そして……

 

「行くぞ‼︎」

 

 と、陽は走り出す。其れに従い、佐熊と美羽も続いた。テトムは走り去る三人の後ろで祈りを捧げた。

 

「…おばあちゃん…皆を守って…‼︎」

 

 

 オルグリウムの地面ギリギリの高さまで、ガオズロックは滑空した所に、陽達は飛び降りる。降りる最中、G -ブレスフォンを起動させた。

 

「ガオアクセス‼︎」

 

 ガオスーツを身に纏いながら、大地に着地する。降り立てば、改めて禍々しい雰囲気が突き刺さって来る。

 

「嫌な空気だ…‼︎」

 

 ガオゴールドは、その雰囲気に苦言を漏らす。と、其処へ、オルゲット達が迫って来た。

 

「凄い数じゃのォ…‼︎」

 

 そう言いながら、ガオグレーはグリズリーハンマーを構える。

 

「ねェ、ガオマスターは?」

 

 ガオプラチナは、ガオマスターが合流していない事を指摘した。彼は、ガオズロックでは無く、別方面から風太郎と共に侵入すると単独行動に入ったのだ。

 

「待ってられない‼︎ 僕達だけで行こう‼︎」

「よっしゃ‼︎」

「了解‼︎」

 

 オルゲット達の数は、かなり多い。彼等は、ガオマスターの到着を待ってくれなさそうだ。ゴールドも、ソルサモナードラグーンを構え走る。プラチナも、フェニックスアローを構えた。

 オルゲット達は一斉に飛び掛かってきた。

 

「竜翼…日輪斬り!!!」

 

 ソルサモナードラグーンから放たれた金色の斬撃が、オルゲット達を吹き飛ばして行った。しかし、今度は左右から奇襲を仕掛けて来るオルゲット二体。

 ガオプラチナが、フェニックスアローに光の矢を番え、オルゲットを射抜いて行く。

 すると地面から、オルゲットが棍棒を武器に、ガオゴールドに襲い掛かって来た。ゴールドは、ソルサモナードラグーンで剣を受け止めて、斬り捨てる。

 極めては更に一丸となったオルゲットの大群が、進撃して来た。

 

「今度は、ワシの番じゃァァ!!! 破邪…剛力衝!!!」

 

 ガオグレーが、グリズリーハンマーを振り下ろし、衝撃波を引き起こした。その衝撃で、オルゲット達は全員、吹き飛ばされて行った。

 

「くそッ‼︎ これじゃァ、キリが無い‼︎」

 

 ガオゴールドは、毒吐く。雑魚とは言え、こんな多量人数で攻めて来られては、一向に進めない。

 と考えていると、オルゲット達を掻き分けて、軍服を着込んだ一本角のオルグが現れた。

 

「ハハハハァ‼︎ のこのこ、やって来たな‼︎ 間抜けなガオレンジャー共‼︎ だが、残念な事に、貴様等はテンマ様の下へは行けん‼︎

 何故なら此処で、お前等は俺に殺されるからな‼︎ このデュークオルグ、鬼軍曹サジェンになァ‼︎

 ほら、いつ迄、寝ている! 下等で愚劣なオルゲット共! 貴様等は、その命を弾丸に、その身を盾にして、憎きガオレン共をぶち殺せェェ‼︎」

 

 デュークオルグ、サジェンは鞭を振り上げて、オルゲット達をしばき上げる。すると、倒れていたオルゲット達は活を入れて、ガオレンジャー達に向かって来た。

 

「な、何じゃ⁉︎ あんな、オルグが居たのか⁉︎」

 

 突然、現れたオルグ魔人の登場に、ガオグレーは驚愕する。ガオプラチナは、オルゲット達を焚き付けるサジェンを仕留めようと、フェニックスアローを番え様としたが突如、彼女を遠距離から攻撃して来た。

 

「な、何⁉︎」

「狙撃手は、お前だけじゃ無いぞ、ガオプラチナ‼︎」

 

 同じく軍服を着込んだカメレオンに似た一本角オルグが右手と同化した狙撃用ライフルを構えていた。

 

「私は、デュークオルグ、鬼狙撃手ズナイパ‼︎ 姿を消して、貴様等を蜂の巣にしてくれるわ‼︎」

 

 そう言うと、デュークオルグ・ズナイパは姿を消して、狙撃して来る。これでは下手に動く事も出来ない。

 

「ハハハハァ‼︎ いいぞ、いいぞ‼︎ ガオレンの豚共を追い込め‼︎ そして、擦り潰して、五臓六腑をズタズタに引き摺り出してやれェい‼︎」

 

 罵声と怒声で喚き散らしながら、サジェンは命令する。動けば、ズナイパの狙撃に狙われてしまうし、動かないでいれば、オルゲット達の格好の餌食だ。

 

「くそッ‼︎ こんな大胆な待ち伏せを仕掛けて来るとは……‼︎ それに、未だにこれ程の戦力が残っていたのは、計算外じゃわい‼︎」

 

 地上に進出して来たオルグ達や、メランだけでは少ないと思っていたが、自分達がオルグリウムに乗り込んで来る事を見通して、兵力を分散させていたのだ……ガオグレーは改めて、テンマの策謀に舌を巻く。 

 

「どうする、ゴールド‼︎ 一旦、ガオズロックに戻って作戦を立て直す⁉︎」

「いや……それも出来そうに無い……‼︎」

 

 ガオゴールドは天を見上げる。すると、ガオズロックを撃ち落とそうと、オルグリウムの砦から砲門が狙いを定めていた。

 

「今、ガオズロックが降りて来たら、間違い無く撃ち落とされてしまう‼︎ 僕達は、乗り込んだと見せかけて、誘い込まれていたんだ‼︎」

 

 ガオゴールドは漸く、自分達が罠に嵌められた事に気付いた。しかし、時既に遅く、オルゲット達が自分達の周りを取り囲んでいた。

 

「ハハハハ‼︎ 奴等は袋の鼠だ‼︎ オルゲット共! ガオレンジャーを嬲り殺せェェ‼︎」

 

 サジェンの命令で、オルゲット達がズンズンと迫って来る。更には、ズナイパの遠距離からの狙撃もあり、迂闊に反撃出来ない。

 

「こうなったら……パワーアニマル達を召喚して、強行突破するしか‼︎」

 

 ガオグレーの提案は理に適っていた。パワーアニマル達ならば、オルゲット達など、いとも簡単に蹴散らしてしまうだろう。だが、ゴールドには、其れが出来ない理由があった。

 

「駄目だ‼︎ ガオドラゴン達は、さっきのメランとの戦いで疲弊し切っている‼︎ テンマとの戦いまでは、何とか休ませないと‼︎」

「ぬゥ……それを言うなら、ガオグリズリー達も疲れとる‼︎ くそ……シルバーが居れば……‼︎」

 

 ガオグレーは悔しげに唸る。この場に、ガオシルバーが居れば、彼のパワーアニマル達が力となってくれただろう……。しかし、ガオシルバーは、もう居ない。万策尽きたか、と思ったが……。

 突然、ガオプラチナが叫んだ、

 

「ゴールド‼︎ あったじゃ無い‼︎ シルバーの遺した、最後の手段が‼︎」

 

 プラチナの言葉に、ゴールドの頭に光明が差した。

 

「そうか、その手があったか‼︎」

 

「何を、グズグズ言っとるか‼︎ オルゲット共、掛かれェい!!!」

 

 焦れたサジェンは、オルゲット達に突撃を指示した。その瞬間、ゴールドは、ソルサモナードラグーンに宝珠を装填する。

 

「百獣召喚‼︎」

 

 その言葉と共に撃ち上げられた宝珠に導かれ姿を現すのは、ガオシルバーのパートナーである漆黒の狼ガオハウル、黒金の大鰐ガオダイル、白黒の鯨ガオグランパスが召喚された。

 ガオハウルは大地を駆け抜け、オルゲット達を蹴散らして行く。更に、ガオダイルは大口を開けて、巨大は水弾でオルゲットを洗い流し、ガオグランパスは、その水流を泳ぎつつ、溺れるオルゲット達を飲み込んだ。

 

「な、何をやっとる! 役立たずのウスノロ共め‼︎ 早く、ガオレンジャーを倒せ! 倒さんか、間抜け共‼︎」

 

 戦況をひっくり返されたサジェンは慌てふためきながら、怒鳴り散らすが、オルゲット達は皆、倒されてしまった。

 

「ええい‼︎ かくなる上は……! ズナイパ‼︎」

 

 サジェンは姿を消しているズナイパに呼び掛ける。すると、ズナイパは姿を現す。

 

「オルグシード抽出液だ‼︎」

「……了解‼︎」

 

 命令されるがまま、ズナイパはオルグシード抽出液を首に注射した。すると、ズナイパは巨大化して行き、巨大オルグ魔人と化す。

 

「ケヘヘェ‼︎ 全員、ぶち抜いてやる」

 

 若干、破綻した様な口調で、ズナイパは叫び、ガオハウル達を狙撃した。その衝撃は、ガオハウル達を吹き飛ばす。

 

「ケヘヘケヘヘ‼︎ パワーアニマル狩りだァァ‼︎」

 

 愉快そうに笑うズナイパ。しかし、ガオハウル達も負けては居ない。ガオゴールドの指示を聞く事なく、百獣合体してガオアキレスへと変形した。

 ガオアキレスは、オルカブレードを手に、ズナイパに攻撃する。しかし、身体を景色と同化させたズナイパは姿を消す。

 だが、ガオアキレスは姿を消した、ズナイパの匂いを感じ取っていた。後ろに回り込んで、不意打ちから狙撃しようとしたズナイパに……

 

「ガオアキレス‼︎ 後ろだ‼︎」

 

 思わず、ガオゴールドは叫ぶ。しかし、その言葉を必要がない、と言わんばかりに、ガオアキレスは振り返り様に、オルカブレードで一閃した。

 

「ゲ…ヘェェ……‼︎」

 

 腹部を斬りつけられ、大きく揺らぐズナイパ。其処へ、ガオアキレスは高々と飛び上がり、ズナイパを頭から斬り下ろした。

 ズナイパは真っ二つに裂かれ、そのまま地面へと倒れ伏して爆発した。

 

「ああ‼︎ 何をやっとるんだ、間抜けめが‼︎ このクズ! ゴミクズ‼︎」

 

 サジェンは怒鳴り散らしながら喚く。だが、その隙に、ガオゴールドが眼前に迫っていた。

 

「後は、お前だけだ…!」

「あ、あ…あ…‼︎」

 

 追い詰められたサジェンは、さっき迄の勢いは何処にやら、震え始める。しかし、腐ってもデュークオルグ、サジェンは鞭を振り上げて、ガオゴールドに先制を仕掛けた。

 

「死ねェェ、ガオレンジャー‼︎」

「お前がな」

 

 ガオゴールドは、ソルサモナードラグーンを横に振るう。伸びて来た鞭と共に、サジェンの胴体を真っ二つに切断した。

 

「が…はァァァ……‼︎ お…オルグ帝国……バンザーイ‼︎」

 

 呆気なく敗北したサジェンは、オルグの賛辞を叫びながら、泡となって消えて行った。

 

「……下衆め……‼︎」

 

 部下を道具の様に扱い、敗北した部下を労う所か、自分の無能さを棚に上げて罵声する始末……。まだ、ツエツエやヤバイバの方がマシなくらいの下劣な敵に対し、ガオゴールドは侮蔑を隠さずに、冷ややかに吐き捨てた。

 敵は消えた、後は向かうだけだ……ガオゴールドは、仲間達に振り返る。

 

「よし……行こう‼︎」

 

 仲間達に促し、砦へ向かおうとしたが……。

 

 

「これ以上は向かわせんぞ、ガオレンジャー‼︎」

 

 

 突如、響き渡る声に、ガオゴールド達は見回す。すると、上から降り立つ五人の影……。

 

「紅の忍……ホムラ‼︎」

 

「蒼の忍……ミナモ…で、ございます‼︎」

 

「黄の忍……ライや‼︎」

 

「緑の忍……コノハだぜ‼︎」

 

「紫の忍……リク……」

 

 

「闇に紛れて、人を斬る‼︎

 オルグ忍軍、鬼灯隊 見参‼︎」

 

 姿を見て現したのは、鬼灯隊の面々だった。ガオゴールドは、身構える。

 

「テンマの命令で、待ち構えていたのか⁉︎」

「違うな……。我々、鬼灯隊は、オルグ軍から脱退した……我々の目的は、テンマとガオネメシスの首を取る事だ‼︎」

「要するにや……あんた等の、出る幕は無いっちゅうこっちゃ‼︎ ウチ等は、ガオネメシスの弱点を掴んどるしな‼︎」

 

 ホムラとライが応える。ガオグレーは気になり…

 

「ガオネメシスの弱点じゃと? それは何じゃ?」

「秘密…で、ございます」

 

 と言う、ミナモの返事が返ってきた。今度は、コノハが食って掛かって来た。

 

「そんな事は、どうだって良いんだよ‼︎ あたい等が来たのはな……テメェ達への復讐だ‼︎」

「復讐?」

「忘れた、とは言わせん! よくも、私達の頭領を殺してくれたな‼︎」

 

 ホムラは殺気を滲ませながら、叫ぶ。

 

「頭領……ヤミヤミの事か?」

「他に誰が居る⁉︎ 」

 

 彼女達は、テンマやガオネメシスへの復讐よりも、ヤミヤミを殺したガオレンジャーへの怒りが爆発したのだ。

 

「それは、お前達が、鬼還りの儀を行おうとしたからじゃ‼︎ 逆恨みも甚だしい‼︎」

「ウルセェ‼︎ アタイ等にとって、親方様は掛け替えの無い親も同然なんだ‼︎ 親方様を利用したテンマやガオネメシスも許せねェけどな……親方様を殺した、テメェ等は八つ裂きにしても足りないくらい、許せねェ‼︎」

 

 ガオグレーの反論に対し、コノハは激昂しながら叫んだ。

 

「……混血鬼の私も、親方様は育ててくれた……‼︎ 親方様を殺した、お前達も殺す…‼︎」

 

 リクは無表情な顔に明確な殺意が表れていた。

 

「感情論で動くのは忍びとして、あるまじき姿……けど、私達には、貴方がたの首を取る以外、親方様への恩義に報いる術を知らない、でございます……‼︎」

 

 ミナモも冷徹ながら、ガオレンジャーに対しての怒りを見せる。

 

「……お互い……引けないな……‼︎」

 

 ガオゴールドは諦めた様に項垂れる。共通の敵を見出せば、彼女達とも分かり合えると、そう思えた。

 だが、ガオレンジャーとオルグ……水と油が混ざり合わない様に、決して相容れぬ関係にある以上、自分達には戦いしか道が無い……。

 

「…我々は所詮、闇にひっそりと種付き、実を結ばずに散っていくだけの徒花……ならば、せめて最期は……貴様等の血潮を浴び……我々は、紅く燃ゆる鬼灯を咲かそう……‼︎」

 

 そう言って、ホムラは忍刀を構える。それに倣い、他の鬼灯隊も得物を構えた。

 ガオゴールドは、ソルサモナードラグーンを構え、彼女達に向ける。その刃は、何処か悲しげには輝いていた……。

 

 

 〜鬼ヶ島に潜入した、ガオレンジャーを前に立ちはだかるのは、オルグ忍軍の生き残り、鬼灯隊‼︎

 互いに引けぬ信念の下、最後の戦いを幕を開けました‼︎〜




ーオリジナルオルグー
−サジェン
デュークオルグ。別称、オルグ軍曹。
オルゲット達を率いて、罵声や鞭を使って率いるが、指揮能力と戦闘力は低く、ズナイパやオルゲットを用いた人海戦術に頼っている。
武器は鞭。
名前の由来は鬼軍曹と、サージェント(軍曹)から。また、昔の映画『フルメタルジャケット』の登場人物、ハートマン軍曹をモデルにしている。

−ズナイパ
デュークオルグ。別称、鬼狙撃手。
カメレオンに似た姿のオルグで、身体を景色に擬態化させて、敵を狙撃する。
性格は冷静だが、巨大化すると「ケヘヘ」と狂った笑い声を上げる。
武器は右腕と同化した狙撃ライフル。
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