帰ってきた百獣戦隊ガオレンジャー 19YEARS AFTER 伝説を継ぎし者   作:竜の蹄

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※今年、最後の掲載になります‼︎
毎回、毎回、遅れがちになる事を、お詫び申し上げます!

それでは、本編へどうぞ‼︎


quest56 百獣戦隊、復活‼︎ 前編

 大神は仲間達と語り合っていた。自分が仲間達の反対を振り切り、オルグに身を堕とし封印されてから千年後に復活、今代のガオの戦士達と敵として戦い、狼鬼の面から解放された事……そして、戦いを終えた後に再び姿を現したオルグ達と戦ったが、その最中に敵の牙に掛かり止む無く命を落とした事……更に千年前に共に戦った同胞、カイも現代に蘇っていた事……ムラサキの孫に当たるテトムが、ガオの巫女となっている事……一度、戦いから逃げ出そうとした事……語り出せば止まらない程だ。

 その中で大神は、かつての仲間達への懺悔、今の仲間達を助けらなかった事の悔やみを包み隠さずに全て打ち明けた。

 ムラサキも仲間達も静かに耳を傾ける。大神は、弱かった自分の為に数多くの人々に迷惑を掛けてしまった事を全て告白するつもりだった。

 やがて、大神は話し尽くしてしまう。それまで、無言で居たムラサキは優しく微笑む。

 

『シロガネ……貴方は戦士として忠義を尽くし、信念を貫きました……。その想いは仲間達の中に確かな形で受け継がれているでしょう……』

 

 その言葉だけで、大神は救われた気がした。もう、自分の役目は終わった……ガオの戦士として覚醒した陽が、新たな時代の光として照らしてくれる筈だ……。ならば、古き時代の戦士である自分は眠りにつこう……。いつの日か、彼等がやって来た時、昔話に華を咲かせれば良い……そう考えた……。

 

 と、そう考えた時……大神の身体にオーブが飛び込むと、大神の身体は光に包まれ始めた。

 

『こ、これは⁉︎』

『どうやら、まだ此方に来るのは早い様ですね、シロガネ……』

 

 ムラサキが優しく微笑む。大神は困惑した様に彼女を見た。

 

『……シロガネ……貴方は先程、戦士として使命を全う出来なかったと悔やんでいましたね……。ならば、貴方は最後まで戦士であるべきです……』

 

 先程の温和さは無くなり、真剣な表情で話すムラサキ。

 

『私達は、貴方が来る時を此処で待っています……。それと……孫のテトムに宜しくね……』

 

 と言い残し、ムラサキは再び優しい笑みを見せた。周囲のガオの戦士達も笑う。大神は戸惑いながらも頷いた。

 

『分かった……必ず、皆に会いに来る……待っててくれ……‼︎』

 

 そう言い残し、大神は光の中に消えて行った。残されたムラサキは目を閉じ、再び戦いの中に帰って行く銀狼を見送った。

 

 

『誇り高き銀狼よ……貴方と言う戦士と共に歩んだ事を、私は誇りに思います……。貴方が戦場に戻る事で、貴方自身が茨の道を行く事になろうとも……貴方は貴方の道を歩み抜きなさい……』

 

 

 ガオズロックは鬼ヶ島から放たれる砲撃を躱しながら、ガオレンジャー達の様子を伺っていた。

 此処から見る限り、ガオレンジャー達の前には過去に幾度か対立したヘル・デュークオルグ、ゴズとメズが立ちはだかっていた。

 何とか援護をしたいが、オルグリウムの執拗な攻撃を躱すので手一杯の為、近付く事すらままならない。

 

「おい、テトムさん‼︎ 大丈夫なのかよ、この岩島⁈」

 

 猛は、岩台にしがみ付きながら叫ぶ。

 

「安心して! この、ガオズロックは例えミサイルを至近距離から撃ち込まれても絶対に壊れないから‼︎」

「本当かよ、それ⁉︎」

 

 あまり説得力の無い力説に、猛は不安そうに叫ぶ。

 

「何か来たわ‼︎」

 

 舞花は指を差す。途端に、オルグリウムからガオズロック目掛けて、複数の砲丸が放たれる。

 砲丸は形を変えると、オルゲットへと姿を変えて、ガオズロックへと張り付いた。

 オルゲット達は金棒で至近距離から、ガオズロックを叩き付けて来る。

 

「お、おい! 中に入ってくるんじゃねェのか⁉︎」

 

 猛は砂が落ちてくる天井を見上げて、狼狽した。テトムも、警戒する。

 

「皆‼︎ 奥の部屋に隠れなさい‼︎」

「テトムさんは⁈」

 

 叩き付ける音が強くなってきた事に、舞花も尋ねた。

 

「私は大丈夫‼︎ ガオの巫女なんだから、自分の身くらい守れます‼︎」

 

 そうは言っても、相手は最弱とは言え武装した鬼である。幾ら、場慣れをしているテトムと言えど、簡単に倒せる相手とは思えない。

 

「舞花‼︎ 奥の部屋に隠れてろ‼︎」

 

 猛は、そう叫ぶと、木の棒を持って出た。

 

「よしなよ、兄貴‼︎ 殺されるだけだよ‼︎」

「だからって、何もせずに居られるかよ‼︎」

 

 そう言いながら、猛は震えていた。生身の人間である彼からすれば、オルゲットと言えど脅威だ。しかし、妹に危険を晒す様な真似は兄としては出来ない。

 そんな彼の想いを汲んだ昇も、木の棒を持って挑みに掛かる。

 

「昇……お前まで……‼︎」

「約束しただろ、陽と……必ず、無事に再会するって……‼︎」

 

 昇も覚悟を決めている様子だ。それに対して、猛は…

 

「ハッ‼︎ 格好つけやがって……‼︎ わァってるよ、絶対に無事に再会するんだ‼︎」

 

 と、憎まれ口を叩きながらも、友に肩を合わせる。そうしてる間に、ガオズロックの天井に亀裂が入る。

 

「来るわよ‼︎」

 

 テトムが叫んだ次の瞬間、天井が砕け散り、オルゲット達が雪崩れ込んできた。

 

「ゲットゲット、オルゲット‼︎」

 

 オルゲット達は口々に叫びながら、棍棒を振り回す。猛、昇は覚悟を決めて、木の棒を握り締めた。

 と、その際に、オルゲット達は一斉に糸が切れた様に、ドサドサと崩れ落ちた。

 

「な、何だ⁈」

 

 何が起こったか分からず、猛は目を丸くした。と、次の瞬間に、倒れたオルゲット達の後ろには……

 

「あ、アンタは⁉︎」

 

 その姿を見た猛は絶句し、昇も目を疑う。テトムも驚愕と感嘆の表情を浮かべていた……。

 

 

 

 摩魅は暗闇の中に居た。もう自分が何者か、何の為に生まれてきたのかさえ分からない。

 

 〜……魅……〜

 

 もうどうだって良い……そんな投げやりな考えが、摩魅を支配していた。生きていた所で、自分の居場所は何処にも無いのだから……。

 

 〜……摩魅……〜

 

 さっきから誰かの声がする……けれど、そんな事、もう考えるのも馬鹿馬鹿しい。どうせ、自分はオルグなのだから……なら、オルグとして生きていけば良いじゃ無いか……。

 そう考えた摩魅は目を閉じてしまう……。

 

 〜お前は摩魅だ……‼︎〜

 

 耳障りな声に、摩魅は薄っすらと目を開けた。すると、いつだったか自分に名前を付けてくれた侍が居た。

 

『私は……摩魅……?』

 

 一度は見失いかけていた自身の存在……名前すら付けて貰えなかった自分に、摩魅と名付けてくれた侍……。

 と、考えていた摩魅は急に現実に引き戻されてしまう……目の前では凄まじい戦いが繰り広げられていた。

 

 

「竜翼……日輪斬りィィッ!!!」

 

 ガオゴールドは何度目かになるか分からない攻撃を、テンマに仕掛けた。だが、そんな彼の疲労を嘲笑うかの様に、テンマは攻撃を受けてもピンピンしていた。

 

「な、何故だ⁉︎ 何故、攻撃が効かない⁉︎」

 

 ゴールドも自身に違和感を感じていた。使い慣れている筈の、ソルサモナードラグーンも、ガオスーツも、まるで自分に馴染んでいない様だった。それ所か、先程から少し動いただけで全身に疲労が積み重なり、息苦しさまで覚える。

 テンマは高笑いを上げた。

 

「クハハハ‼︎ 戯けめが‼︎ この部屋全体に充満した邪気に気付かなんだか⁉︎ 貴様は、まんまと自ら墓穴に落ちて来たのだ‼︎」

 

 テンマの指摘に対し、ガオゴールドは全身の力が抜けて来た様に感じた。

 

「クッ…⁉︎ か、身体が……痺れて……⁉︎」

「効いてきたようだな……鬼地獄にて精製され、人間の身体を麻痺させて自由を奪う、より濃醇な邪気の毒が…‼︎

 流石の、ガオスーツも邪気の毒までは防いではくれなかった様だな」

「ひ…卑怯だぞ…‼︎」

「卑怯? 戦いの場にて、自身に有利な状況を作り出すのは当然では無いか? それに貴様等の戦いは、オルグ蟲を通じて、じっくりと解析させて貰ったよ。つまり……貴様等は、四鬼士を倒しているのでは無く、余に貴様等を倒す為の情報を提供していたに過ぎなかったのだ」

 

 テンマは勝ち誇った様に言い放つ。ガオゴールドは両膝を付いて、ソルサモナードラグーンを杖代わりにしながら悔しげに見上げた。

 

「そ、それじゃァ……これ迄の僕達の戦いは……一体……⁉︎」

「全くの無駄だったな。詰まる所、貴様は最初から余の掌の上で踊っていただけだ」

「そ、そんな……‼︎」

 

 驚愕の事実に、ガオゴールドは愕然とする。その様子に、テンマは邪悪に笑いながら修羅怨鬼剣を振り払う。

 剣から放たれたドス黒い剣波が、ガオゴールドを襲い掛かる。防御も躱す事も出来ずに、成すがままに吹き飛ばされてしまう。

 壁に打ち付けられたガオゴールドは、とうとうガオスーツが解けてしまった。側には摩魅が立っていたが、彼女は陽の姿に眉根すら動かさない。

 途端に、自身の前に現れたテンマが、陽の首根を掴み高々に持ち上げた。ギリギリッと首を絞め付ける音が響く。

 

「う…ぐ…!!!」

「ククク……惨めだな、ガオゴールド……。貴様は仲間を助ける事も、地球を救う事も出来ず、此処で死んでいくのだ……。

 だが、悲しむ事はない……。何れ、貴様の仲間達も…貴様の友も…貴様の妹も…此処にいるガオレッド達と共に、そちらへ送ってやる……それまで、先に死んだガオシルバーと抱き合って泣いているが良い‼︎

 ククク……クハハハハハハハ!!!」

 

 テンマは笑いながら、陽の首を絞める手を強める。陽は既に意識が朦朧としていた。

 

 

「……テトム……佐熊さん……美羽……い…祈……‼︎」

 

 

 薄れゆく意識の中で、脳裏に過ぎるのは大切な仲間と、愛しい妹の顔……其れらが走馬灯の様に、流れていく……。

 ああ……もう僕は死ぬのか……そう、陽は思う。最後に、そう思った刹那、強烈な光がテンマに襲い掛かる。

 

「グッ⁉︎」

 

 テンマは大きく仰け反り、思わず陽を手放した。拘束から解放された陽は幾度と咳き込む。

 

「な…何の真似だ? 摩魅…‼︎」

 

 テンマは怒りを激らせながら、唸る。陽は目を凝らすと、摩魅がガオレッド達の水晶に短刀で傷を入れていた。

 と、同時に水晶から光が漏れ出て行く。

 

「ま…摩魅⁉︎」

「貴様ァァ……既に人の心は消し去った筈だ……‼︎」

 

 テンマの問い掛けに対し、摩魅は無表情のまま涙を流していた。其れを見たテンマは益々、激怒する。

 

「また涙か……役立たずの混血鬼めが‼︎ 最早、貴様を生かしておく理由も無い‼︎」

 

 猛り狂ったテンマは、修羅怨鬼剣を振るう。すると、邪気が斬撃として放たれ、摩魅の身体を斬り裂いた。

 血を噴き出しながら、摩魅は血の海に沈む。陽は何とか身体を這わせながら、摩魅に近付く。

 血溜まりの中で、摩魅は見るも無惨な姿で横たわっていた。

 

「摩魅…‼︎ 摩魅…‼︎」

 

 陽は、摩魅の身体を揺さぶる。すると、僅かに摩魅は身体を動かし、少しだけ目を開けた。

 

「あ……陽……さん……」

 

 摩魅は力無く笑う。どうやら、洗脳されていた意識を回復させた様だ。

 

「……私……やっぱり駄目ですね……陽さんを裏切っちゃった……」

「摩魅は裏切ってなんかいないよ‼︎ 君は……‼︎」

 

 陽は叫びながら、摩魅を呼び掛ける。しかし、摩魅は首を振った。

 

「……もう良いんです……。でも……少しだけ欲を言っても良いですか……? こんな私でも……生まれてきた事が間違っていた私でも……誰かを好きになっては駄目ですか?

 陽……さん……私……貴方の事が……」

 

 最後の力を振り絞り、陽への想いを告げようとする。しかし最早、摩魅の身体は限界へと達していた。

 何より……摩魅が気付いていた。陽の心には既に、祈が住んでいる事を……その言葉を言おうか言うまいか、と考えあぐねている間に、意識が途切れ始める……。

 摩魅は薄っすらと目を閉じ始める。

 

「陽さん……私の事は……忘れて……下さい……。祈さんを……幸せにしてあげて……」

 

 と、だけ言い残し、摩魅の瞳は閉じられた。しかし、その死に顔はとても穏やかで、今にも目を覚ましそうだ。

 対して、陽は動かなくなった摩魅を抱き寄せ、涙を流す。

 

 

 〜また……守れなかった……〜

 

 

 大神の時と同じだ……守れた筈の命を、自分の弱さ故に守れずに消してしまった……そんな後悔の気持ちが、陽に押し寄せて来る。

 陽の目から流れ落ちた涙が、摩魅の額に落ちた。

 

 

「つくづく、救えぬ女よ……」

 

 

 テンマの嘲りに満ちた声が響く。陽は無言のまま、聞いた。

 

「オルグの血に抗い、人である事に拘った結果どうだ? 自ら命を落として、全てを失ったでは無いか。

 

 馬鹿な女だ…「………黙れ」

 

 テンマの言葉を遮り、陽は呟く。フツフツと怒りの感情が湧き上がって来る。

 

「オルグも人も関係無い……摩魅は、たった一人の……掛け替えの無い命だ……其れを奪う権利など……誰にだって、ありやしないんだ…‼︎」

「ふん……ガオレッドも、いつか似た様な事を、ほざいていたな……奪う権利は無いだと? 笑わせるな‼︎ 所詮、敗者の戯言に過ぎんわ‼︎」

 

 テンマの全身から邪気が放出される。陽は、摩魅を抱えながら背を向けながら立ち上がる。

 

「………敗者の戯言だと言うなら……僕が、お前に勝ったら……勝者の至言になる……‼︎」

 

 途端に、陽の全身がガオソウルに包まれていき、再びガオゴールド・レインボーへと変身する。

 テンマは目を丸くした。

 

「ば、馬鹿な⁉︎ 何故、変身出来た⁉︎」

「……人間の思いはな……例え零からでも、力を引き出せるんだ……‼︎」

 

 摩魅の心は愚か、命をも踏み躙ったテンマへの激しい怒りが、ガオゴールドの力を引き出させた。ゴールドに抱えられる摩魅の頬に、陽の涙が伝い落ちて行った……。

 

 

 

「グフォフォ‼︎ 大した事が無ェな‼︎」

 

 砦の門前では、ガオグレーとガオプラチナが、ゴズとメズに苦戦を強いられていた。ゴズとメズは前回に戦った時より、パワーアップしており、身体もこれまで以上に肥大化していた。

 ガオグレー、ガオプラチナは負傷により傷付き疲労も困憊だった。

 

「バヒヒヒヒ‼︎ 全くだ‼︎ 所詮、ガオゴールドとシルバーが居なけりゃ、この程度かよ‼︎」

 

 ゴズに呼応して、メズも囃し立てる。グレーはひび割れたマスクの隙間から、素顔を覗かせる。

 

「ク……情けなや……‼︎ ゴールドを先に行かせたと言うのに、この体たらくとは…‼︎」

 

 グレーは歯痒そうに唸る。この二匹を仕留めた後、直ぐにゴールドを加勢しに行くつもりだった。しかし、想像を越えたオルグの強さに、思わず苦戦する結果となった。

 最も、さっきから戦いの連続にして、休む間も無かった。肉体の疲労もピークに達していても無理はない。

 

「グフォフォフォ‼︎ 諦めな、ガオレンジャー‼︎ お前達が逆立ちした所で、テンマ様には勝てやしねェ‼︎ 今頃、ガオゴールドも血祭りに上げられているだろうよ‼︎」

「バヒヒヒヒ‼︎ 違いねェ‼︎」

 

 ゴズの嘲りに対し、メズも囃し立てる。しかし、グレーは、クックッと笑った。

 

「何が可笑しい? 恐怖で気が触れたか?」

「お前等は、ガオゴールドを嘗めているんじゃ無いかのォ? アイツは強い! だから、奴を一人で行かせたんじゃ‼︎

 お前等こそ、今の内に命乞いの言葉でも考えておけ‼︎ 無論、助ける気は無いがの‼︎」

 

 挑発する様に、グレーは言った。当然、ゴズは激昂した。

 

「虫ケラが、粋がりやがって‼︎ メズ、強化した俺達の力を見せてやろうや‼︎」

「おうよ、ゴズ‼︎」

 

 ゴズは金棒、メズは刀を構える。

 

「冥土の土産に見せてやるぜ‼︎ 鬼地獄最強の“血の蓮華”をな‼︎」

 

 その言葉と共に、ゴズとメズの腕に太い血管が浮き上がる。すると、辺りの空気がピンと張り詰めた。

 

「い、いかんな…‼︎ プラチナ、動けるか⁉︎」

「駄目……さっきのダメージが……‼︎」

 

 ガオプラチナは膝を突きながら呻く。グレーも、蓄積されたダメージによって、まともに動く事が出来ない。

 

『喰らいやがれ‼︎

 オルグ殺法‼︎ 鉢特摩紅蓮華(はどまぐれんか)!!!!』

 

 同時に撃ち出された紅蓮の一撃が、グレー達に襲い掛かる。最早、立ち上がる事も儘ならない程に疲弊していた二人は、襲い掛かる攻撃に逃げる事も出来ない。

 と、その時、二人の眼前に光弾が現れ、紅蓮の一撃と衝突した。その瞬間、爆発が巻き起こるが、グレーとプラチナには直撃せずに無事だった。

 

「な⁉︎」

 

 グレーは何が起こったか分からずに目を疑う。と、後ろを見ると……。

 

「あ、あれ⁉︎」

 

 プラチナと指差す方角に佇む一人の影……其れは銀色のスーツを纏った戦士だった。

 

「し、シルバー⁉︎」

 

 グレーは我が目を疑った。死んだと思っていた、大神月麿が…!…ガオシルバーが立っていたからだ。夢でも幻でも無い。確かに、ガオシルバーが其処に居た。

 

「あ⁉︎ なんで、アイツが⁉︎」

「死んだんじゃなかったのか⁉︎」

 

 ゴズとメズも驚く。しかし、ガオシルバーは軽々しく二人の前に立ち、ガオハスラーロッドを構えた。

 

「生き返ったんだ……お前達を倒す為に……もう一度な……」

 

 そう言って、シルバーはガオハスラーロッドをサーベルモードにして、メズの懐に飛び込む。そして素早く振り払い、メズの両眼を斬り捨てた。

 

「グガァァ!!? 目がァァ!!?」

 

 メズは、血が流れ出る両眼を抑えながら、のたうち回る。

 

「この死に損ないが‼︎ ならば、今度こそ地獄に叩き落として……‼︎」

 

 ゴズは金棒を振り上げ、シルバーを叩き落とそうとするが、ガオグレーがその腕を掴み止めた。

 

「て、テメェ…‼︎」

「地獄に叩き落とすじゃと? 其れは……貴様の方じゃろうが……‼︎」

 

 グレーは不敵に笑い、ゴズの腕を持ち上げると、背負い投げで吹き飛ばした。

 その瞬間、ガオプラチナがフェニックス・アローを連射して、ゴズを射抜いた。

 

「が…ガァ……‼︎」

 

 矢で縫い付けられたゴズは、やがて動かなくなる。のたうち回るメズに、ガオシルバーは飛び上がり…

 

 

「銀狼満月斬り‼︎」

 

 

 一閃する銀色の斬撃が、メズの斬り捨てた。メズは血を噴き出しながら、後ろへと崩れ落ちた。

 倒れたメズを見届けて、シルバーは振り返る。その時、グレーは近付きながら……

 

「シルバー……いや、シロガネ……ほんに、お前なのか?」

 

  と、友の姿を見つめる。シルバーは頷く。

 

「ああ……一度は死んだと思ったが……ムラサキ達に、まだ早い、と追い返されたよ……」

 

 と、シルバーが言った途端、グレーは彼を強く抱き締めた。

 

「お、おい⁉︎」

「……良かった……良かったのォ……‼︎」

 

 グレーは男泣きを発しながら、友の生存を喜んだ。もう、二度と会う事は叶わない、と諦めた。しかし、その大神月麿が生きていた。喜ばずには居られない。

 

「あ、あれは⁉︎」

 

 プラチナが声を張り上げる。すると、其処へガオハンター・イビルが姿を現す。どうやら、騒ぎを聞き付けてやって来た様だ。

 

「ガオ……ハンター……‼︎」

 

 ガオハンターの姿に、やはり、まだガオネメシスの呪縛が掛かっている事に勘付く。しかし、今の自分にはガオアキレスが居ない。

 と、考えていると、ゴズとメズが立ち上がる。すると、二体は見る見る間に巨大化して行った。

 

「グフォフォフォ‼︎ もう容赦はしねェぞ‼︎」

「バヒヒヒヒィィ‼︎ 捻り潰してやる‼︎」

 

 巨大化したゴズとメズ、ガオハンター・イビルに挟み撃ちにされた。

 

「クッ……こうなったら、ワシがガオビルダーで迎え撃つ‼︎」

 

 そう叫んだ、ガオグレーは宝珠を打ち上げる。すると、ゴズとメズの前にガオビルダーが立ち塞がる。

 

「バヒヒヒヒ‼︎ 馬鹿め‼︎ たった一体で、俺達を倒せるつもりか‼︎」

「グフォフォフォ‼︎ その度胸は褒めてやる‼︎ だが……死ね‼︎」

 

 ゴズ、メズは同時に殴り掛かって来た…。

 

 

 

 ガオシルバーは、ガオハンターと対峙した。やはり邪気に操られているガオハンターには、シルバーの姿を見ても敵にしか映らない。

 と、其処へ、ガオアキレスが追い付いて来る。しかし、宝珠をゴールドに渡してしまった為、搭乗は出来ない。

 ガオアキレスは、ガオハンターに掴み掛かるが、其れをリゲーターブレードで煩わしげに追い立てる。

 しかし、其れでもガオアキレスは何度も向かって行く。

 

「? ガオアキレスは一体?」

「……きっと、目を覚まさせようとしてるんだと思う……」

 

 プラチナは何かを悟った様だ。シルバーは彼女を見る。

 

「目を覚まさせる?」

「……ガオハウルもガオウルフも同じ、狼のパワーアニマルだから……戦いたく無いんだよ……」

 

 其れを聞いたシルバーは耳を澄ます。すると、ガオハウルの声が聞こえて来た。

 

 

 〜もう止めよう‼︎ 目を覚ますんだ‼︎〜

 

 

 ガオハウルの涙ながらの説得が、ガオウルフに届けようとしている。しかし、ガオウルフは邪気に操られて、正気では無い。

 シルバーは決死した。自分が彼等を救わなくては……その時、ガオアキレスは投げ飛ばされてしまう。尚もトドメを刺そうと、リゲーターブレードを構えるガオハンター。

 其処へ、シルバーは駆け出した。

 

「止めるんだ、ガオウルフ! ガオハンマーヘッド! ガオリゲーター‼︎ 思い出せ、お前達の守るべき物を‼︎」

 

 シルバーは叫ぶ。その時、ガオハンターの動きが一瞬だけ止まる。その時、シルバーのG -ブレスフォンから歌が聴こえてきた。響きの調べだ。

 だが、その歌声はテトムの声では無い。ムラサキの声だ。

 

 

 〜う…うおォォ……‼︎〜

 

 

 ガオハンターは、リゲーターブレードを取り落とし苦しみ始めた。すると、倒れていたガオアキレスも、ガオハンターに近づいて行き、ガオハウル、ガオグランパス、ガオダイルへと戻る。

 すると彼等の身体は光の粒子へと変わる。

 

「ガオハウル‼︎ な、何を⁉︎」

 

 プラチナは叫ぶ。彼女は彼等がしようとしている事が分かった。彼等は、自らの身体をガオソウルそのものにして、ガオハンターに分け与えようとしているのだ。

 しかし、それは下手をしたら、彼等も消滅してしまう事になる。だが、ガオハウル達は粒子化を止めない。

 シルバーは、彼等の命懸けの行動に心を打たれる。そして、苦しむガオハンターを呼び掛け続けた。

 

「頼む、ガオウルフ‼︎ 思い出してくれ、俺達が千年の時を超えて来たのは……地球を、地球に生きる人々の未来を守る為じゃ無いか‼︎」

 

 シルバーの叫び、そして、ガオハウル達の願いが、邪気に覆い尽くされたガオハンターの心を洗い流して行く。

 そして、ガオハウル達は完全に消失してしまうが……ガオハンターの顔を覆うイビルフェイスが、精霊王のジャスティスフェイスへと切り替わった…。

 

 

 ガオビルダーは果敢に立ち向かうが、ゴズとメズの二人掛かりの攻撃に押され始めていた。

 

「グフォフォフォ‼︎ どうした、ガオビルダー‼︎ 俺達を止めるんじゃ無かったのか⁉︎」

 

 ゴズが高笑いを上げながら、ガオビルダーの背部を金棒で殴り付けた。メズも、それに合わせて、刀で斬り付ける。

 

「バヒヒヒヒィィ‼︎ 大した事が無いじゃねェか‼︎」

 

 

「グッ……‼︎」

 

 

 ガオビルダーの内部では、ガオグレーは苦しげに唸る。自慢の怪力も、ゴズとメズと言う二体のオルグ魔人を前にしては形なしである。

 しかし、諦める訳には行かない。ガオビルダーは、リンクスパンチを繰り出すが、ゴズは鼻で笑う。

 

「そんな、ヘナチョコパンチじゃ、オルゲットも殺せんぜ‼︎ うォら‼︎」

 

 ゴズは返しざまに、ガオビルダーへキックを決めた。遂に、ガオビルダーは転倒してしまう。

 ゴズとメズは、これでもかと言わんばかりに、ガオビルダーに攻撃を仕掛け始めた。しかし、ガオビルダーは反撃する出来ない有り様だ。

 

「くゥゥ……このままでは……‼︎」

 

 これでは嬲り殺しになるだけだ。と、その時、ガオハンターが割り込んで入ってきた。

 

「あん⁉︎ 何をしやがる、ガオハンター‼︎」

 

 仲間である、と誤解したゴズは、ガオハンターに怒鳴り付けた。しかし、様子が変である事に、メズが気付いた。

 

「待て、ゴズ‼︎ こいつ、正気に戻ってやがる‼︎」

「何⁉︎ だったら、俺達の敵だ‼︎ ぶち殺せ‼︎」

 

 メズの言葉に、ゴズはガオビルダーを捨て置いて、ガオハンターに攻撃の矛先を向けた。

 しかし、ガオハンターは今迄に無い程の素早い動きで、ゴズを躱した。メズも攻撃に入ろうとするが、高々にジャンプしたガオハンターは、頭上から斬りつけに入る。

 

「グッ‼︎ どうなってやがる⁉︎」

 

 事態が掴めず、メズは驚愕する。ゴズは怒り狂い、ガオハンターを殴り掛かろうとするが、その巨大な両眼に光の矢が突き刺さった。  

 

「がァァ‼︎ いていていて‼︎」

 

 痛みの余り、ゴズはメズを殴り付けた。

 

「ッて‼︎ ゴズ、何処を攻撃してやがる‼︎ よく見やがれ、このノータリンが‼︎」

「ああ⁉︎ 誰が、ノータリンだ‼︎ この木偶の坊がよ‼︎」

「何を‼︎」

「やるのか⁉︎」

 

 互いに攻撃を受け、仲間割れを始めるゴズとメズ。それを好機と見たガオビルダーは立ち上がり、ガオハンターと挟み撃ちにした。

 

「さっきは、よくもやってくれたな‼︎ ボアーキャプチャー‼︎」

 

 ガオボアーの鼻から発射されたガオソウルの拘束で二人纏めて、縛り上げられてしまう。

 

「な、何をしやがる‼︎」

「は、離せ‼︎」

 

「二人仲良く、地獄へ帰るんだな……‼︎ 天地震撼! ビーストハリケーン‼︎」

 

 三体のパワーアニマルの口から放たれた光線が、ゴズとメズを襲った。

 

「「ぐ、ぐああァァァァッ!!!!!!!!」」

 

 ゴズとメズは断末魔を上げながら、ビーストハリケーンを受けて爆発、消滅した。

 

「よっしゃァァ‼︎」

 

 勝利を確信したガオビルダー、ガオハンターは互いの右腕を掲げ、勝鬨を上げた……‼︎

 

 

 〜ガオシルバーの帰還、更にガオハンターも復活した事で、強敵ゴズとメズを見事に打ち倒したガオシルバーとガオグレー‼︎

 しかし、テンマに苦戦を強いられるガオゴールドに勝機はあるのでしょうか⁉︎〜




上述通り、今年は今話で最後です‼︎
来年度は、1月10日より再開します‼︎
後もう少しで最終話到達ゆえ、もう少しの、お付き合い願います!

では、良いお年を‼︎
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