帰ってきた百獣戦隊ガオレンジャー 19YEARS AFTER 伝説を継ぎし者   作:竜の蹄

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明けましておめでとうございます‼︎
今年一番の、作品投稿とさせて頂きます‼︎ 尚、この小説の投稿する時間を、現在のヒーロータイムに合わせ、9時半に変更します‼︎ 残す物語の応援宜しくお願いします‼︎


quest57 百獣戦隊、復活‼︎ 後編

 現実とは一皮、隔てられた空間にある異次元……其処に漂うのは、百体もの獣の姿をした精霊達……。

 その中で最も、存在感のある五体の獣……赤い獅子、黄色い鷲、青い鮫、黒い牛、白い虎……。

 彼等は眠っていた……此処に閉じ込められてから、力を蓄えているのだ。自分達を呼ぶ、その時に備えて……。

 

 すると、獅子が目を覚まして、眠っている四体に吠える。まるで「起きろ‼︎」と言わんばかりに……。

 鷲、鮫、牛、虎は、その声に覚醒して顔を上げる。そして、獅子は天に向けて吠えた。

 すると空間が歪み、出口が開かれた。其処から聞こえるのは懐かしい声が……

 

 

 〜おーい、ガオライオーン‼︎〜

 

 

 懐かしい声だ。ガオライオンは目を輝かせる。呼んでいる……自分達を。ならば、応えなければならない……。

 ガオライオンは振り返ると、他のパワーアニマル達も準備は整っている様子だ。

 ガオライオンは一声、吠えると走り出していく。それに合わせて、ガオイーグル、ガオシャーク、ガオバイソン、ガオタイガーも続いた。

 あの光の先には、新たな戦いが待っている。自分達を必要としている者達を救う為に……。

 

 

 それに呼応し、水晶の中に眠るガオレッド/獅子走の精神は覚醒した。何処からか、ガオライオンの咆哮が聴こえた気がした……僅かに目を開けると、眼前では見知らぬ金色の戦士の姿……。

 あの時、新たなガオの戦士が出現する、と彼は次世代に希望を賭けたが、彼の予言は成就されたらしい。

 だったら、自分達が何時迄も休んでは居られない。共に地球を守る戦士として……戦わなければならない………。

 獅子は指を動かす。動いた……足も動く……。目の前には浮かび上がる、G -フォンの姿……それを手に持つと、G -フォンは光り始めた。

 そして、獅子は叫ぶ。

 

 

 〜サモン・スピリット・オブ・ジ・アース!!!!〜

 

 

 そう心で叫ぶと、ガオスーツが、ヘルメットが着用されていった……。

 

 

 

「……ふん……零からでも力を引き出す、とな? 成る程……それが、貴様の強みか……」

 

 再び、ガオゴールドへと変身した陽に対し、テンマは余裕のある態度を崩さないながらも、その力に驚異を覚えた。

 

「仕方あるまい……。貴様には勿体ないが……見せてやろう……余の真の力を……‼︎ ふゥゥゥん!!!!!!」

 

 テンマは全身に力を込める。すると、テンマの上半身は倍の大きさへと膨れ上がり、その二の腕は太い血管が浮き上がり、巨木の様に太ましくなった。背中の掌は分離して浮遊し、中央にある血走った眼球がギョロギョロと蠢く。

 

「クハハハァ!!!!! では行くぞ、ガオゴールド!!! 」

 

 テンマは修羅怨鬼剣を握り締め、力強く振り払う。すると、刃から漆黒の斬撃がエネルギーとして放たれ、床を破壊しながら直進して来た。

 其れを躱したゴールドは、すかさずにソルサモナーバレットを銃形態にして構えた。

 

「破邪聖火弾! 邪気……焼滅‼︎」

 

 発射した光弾が、テンマに直撃した。しかし、掌が盾となって防がれた。

 

「そんな子供騙しで余を殺せると思うな、戯けが‼︎」

 

 テンマは、せせら笑いながら掌の眼球を見開かせた。

 

「弾丸とは……こうやるのだ! 鬼眼砲‼︎」

 

 眼球から射ち出された漆黒の光線が、辛うじて躱したゴールドを擦って壁に直撃した。壁は腐食した様に、崩れ落ちた。

 あんなものが、もろに当たったら一溜まりも無いだろう……。

 

「休んでいる場合か⁉︎ 鬼眼砲、連弾‼︎」

 

 休む間も無い程に、鬼眼砲を連発して来るテンマ。其れを走りながら躱すゴールドだが、次第に追い詰められて行く。

 

「クハハハ‼︎ 袋の鼠とは、この事よ‼︎ 塵も残さずに消し去ってくれわ‼︎

 

 修羅怨鬼剣! 正気……退散‼︎」

 

 テンマが邪気と怨念を纏わせた一閃を振り下ろした。巨大な禍々しい斬撃が、襲い掛かる。

 だが、その一撃は、ゴールドに届く前に見えない壁に阻まれた。

 

「な……なんだ⁉︎」

 

 テンマは目を見張る。すると、ゴールドの前にバリヤーが現れ、修羅怨鬼剣の一撃を食い止めているのだ。

 ゴールドも訳が分からぬままに、バリヤーの出所を探す。すると、ガオレッドの封印されている水晶の亀裂から、ガオソウルが溢れ出ていた。

 先程、摩魅が傷つけた箇所だ。

 

「ガオレッドが……僕を守ってくれている……」

 

 マスクの下で、ゴールドは涙した。テンマは忌々しげに、唸る。

 

「こ…小賢しい‼︎ 力を封じられ、死を待つだけの虫ケラ共がァァ!!! 我々に踏み付けられるだけの下等種がァァ!!! 絶対的支配者である、オルグの王たる余に刃向かう等……断じて、あってはならぬのだァァァァ!!!!」

 

 暴走した様に、テンマは邪気を光線にして、あたり一面に放射した。だが、その光線も他の水晶から放出されたガオソウルによって掻き消される。

 

「ぬうゥゥゥ……!!! 忌まわしい!!! 」

 

 テンマは益々、激昂した。と、同時にガオレッドの水晶の亀裂が広がっていき、内から漏れる光が室内を覆い尽くした。

 

「こ、この光は⁉︎」

 

 視界を遮断されたゴールドは、目を凝らそうとする。テンマも怒り狂いながら、修羅怨鬼剣を振り回した。

 そうしてる間に、五つの影が二人の間に降り立った。

 やがて、光が収まっていくと……

 

「灼熱の獅子! ガオレッド‼︎」

 

 燃え盛る炎を纏う紅き獅子、ガオレッドが叫ぶ。

 

「孤高の荒鷲! ガオイエロー‼︎」

 

 吹き荒ぶ風を切り裂く黄の荒鷲、ガオイエローが叫ぶ。

 

「怒涛の鮫! ガオブルー‼︎」

 

 荒れ狂う水を打ち付ける蒼き鮫、ガオブルーが叫ぶ。

 

「鋼の猛牛! ガオブラック‼︎」

 

 揺れ動く大地を砕く黒き猛牛、ガオブラックが叫ぶ。

 

「麗しの白虎! ガオホワイト‼︎」

 

 咲き踊る花の如し白き虎、ガオホワイトが叫ぶ。

 

 

「命ある所に正義の雄叫びあり‼︎

 百獣戦隊! ガオレンジャー‼︎」

 

 

 かつて、地球をオルグの侵攻から守り、人々の為に戦った五人の勇者達が、今此処に復活した瞬間だった。

 

「ガオ……レンジャー……‼︎」

 

 ゴールドは呟く。直接の面識は無いが、彼等の話は聞いていた。どんな時も諦めずに、最後まで戦い抜いた戦士達……。

 自分にとっては、誇りある大先輩に当たる人達の復活に、ゴールドは感涙が止まらなかった……。

 

 

 

 ガオズロック内部では……テトムが膝を突いて崩れ落ちた。

 

「て、テトムさん⁉︎ どうしたんだよ⁉︎」

 

 猛は不安気に尋ねた。見れば、テトムは号泣していた。

 

「ど、どっか痛むのかよ⁉︎」

「……違うのよ……皆が……帰って来た……‼︎」

「エッ⁉︎」

 

 テトムは嗚咽を漏らしながら、呟く。さっき、大神が生き返って仲間達の下へと向かった……そして、今回に察した気配……彼等が復活したのだ……。

 

「百獣戦隊が……復活した……‼︎」

 

 

「こ、この感じは……⁉︎」

 

 ガオシルバーは戦いを終え、地上に戻った際に何かを感じ取っていた。

 

「な、何じゃ、シルバー⁉︎」

「帰って来たんだ……アイツらが……‼︎」

「アイツらって……もしかして、岳叔父さん達が……‼︎」

 

 プラチナは、シルバーの言葉に確信した。きっと、ゴールドはテンマの下まで辿り着いたんだ……。

 事情を察したグレーは、強く頷く。

 

「成る程のォ……だったら、こんな所でチンタラしてる場合じゃ無いぞ‼︎ 一刻も早く、ゴールド達の援護に向かわなくてはな‼︎」

 

 

「クスクス……援護に向かうゥ? それは出来ない相談ですわァ?」

 

 

 突然、甘ったるい喋り方に、シルバー達は振り返る。すると、大鎌に腰を下ろしたニーコが宙に浮きながら、厭らしく笑っていた。

 

「ニーコ! そうか、まだコイツが居たか‼︎」

 

 シルバーは、四鬼士やゴズ、メズと共にオルグ達の幹部であるニーコを忘れていた事に気付く。ニーコは、大鎌から飛び降りた。

 

「ガオシルバーさん、チャオ♡ 私を忘れちゃうなんて、釣れないですねェ?

 そ・れ・よ・り……貴方達が、ガオゴールドさんの援護に向かうなんて無理ですわよォ?

 な・ぜ・な・ら……貴方達は皆、此処で死んじゃうから‼︎」

 

 と叫んで、ニーコは指をパチンと鳴らす。すると大多数のオルゲットと餓鬼オルグが湧き出て来た。

 

「此処まで、ご苦労様♡ そして……さようなら……貴方達の骨は海にでも散骨させて頂きますわァ♡」

 

「骨になるのは、お前達だ……‼︎」

 

 ガオシルバーは言い放つ。そして、ガオハスラーロッド、グリズリーアックス、フェニックスアローを構えた。

 

「アハハ‼︎ 良いですわぁ……さァ、始めましょうか? 楽しくて愉快な……オルグの、オルグによる、オルグの為の……血みどろのパーティーを‼︎」

 

 ニーコは狂喜しながら、配下のオルゲットや餓鬼オルグ達を嗾けて来た後、姿を消した。ガオシルバー達は、それに対して果敢と立ち向かって行く……。

 

 

 

 ガオゴールドは目の前に立つ五人の戦士達を見て行った。とても封印されていたとは思えない程、力に溢れている様子だ。

 ふと、ガオレッドは、ゴールドを振り返り手を差し出す。

 

「立てるか? 俺達が動けない間……闘ってくれたんだな……」

「レッド……」

 

 レッドの顔はマスクで見えないがらも、ゴールドへの労りに満ちていた。かつて、ガオゴッドに連れられて過去の彼を見た。

 仲間や地球の人々、ひいては動物の命を思いやる熱い青年だったのを覚えている。

 と、その時、ガオホワイトが屈み込んで来る。

 

「私達の代わりに……辛かったでしょう? 祈ちゃんを守る為とは言っても……よく頑張ったね。偉いよ、陽君」

 

 ホワイトの言葉に陽は目を丸くした。

 

「さ、冴姉さん⁉︎ 僕が分かるの⁉︎」

 

 確かに、ホワイト/冴は、ガオゴールドの正体が竜崎陽である、と見抜いた。冴は優しく笑っていた。

 

「分かるよ、陽君のお姉さんだもん……ありがとう……」

 

 そう言って、ホワイトはゴールドを抱擁した。久しぶりに、彼女の暖かい温もりに触れる事が出来た。

 ガオゴールドとなってからは毎日が殺伐として、ピリピリした戦いを強いられて来た。

 そうしてる内に、心から棘ばかり生まれてくる様になった。そんな日常の中、オルグを倒すと言う信念だけで戦って来たが、ホワイトから受ける人の暖かさは、凍り付いた彼の心を融解してくれた。

 

「……俺も、お前に礼を言わなくちゃな……姪の美羽が世話になったみたいだ……本当にありがとう……」

 

 ガオイエロー/岳が言った。後から、ガオブルーとガオブラックも続く。

 

「君が居なかったら、地球はオルグの支配に落ちていた……本当に助かったよ……」

「俺達が不甲斐ないせいで、若い君にまで迷惑を掛けてしまった……」

 

 戦士達は謝罪した。そもそも先の戦いで、テンマ達の侵攻を食い止められなかった事が、この事態を引き起こしたのだから…。

 しかし、ゴールドは首を振る。

 

「……どうか謝らないで下さい……。僕一人だけでは無い……パワーアニマル達の力が無ければ、此処まで来れなかった……。

 僕は皆さんの意思を引き継いだだけです……やっぱり、地球の守護者は貴方達ですよ、レッド……‼︎」

「ゴールド……‼︎」

 

 戦士として、そして自分達の意思を引き継ぐ後輩としての思いを語ったゴールドに、レッドは感動していた。

 やはり、自分達の戦いは決して無駄では無かった。ガオゴールドと言う存在が現れ、自分達の不在を埋めてくれた事が、それを実証した。

 

 

「貴様等ァァ‼︎ 余を無視して、何を勝手に喋っておる‼︎」

 

 

 テンマの怒号が響いた。ガオレンジャーの復活に気を取られ一時、放心していたが、身勝手に盛り上がる彼らに対する怒りが、爆発した様だ。

 

「久しぶりだな、テンマ……。天空島では、世話になったな‼︎」

「フン……。あのまま、水晶の中で眠って居れば楽に死ねたものを……。ならば今度こそ、余の手直々にて貴様等を地獄に叩き落としてくれるわ‼︎」

 

 そう叫ぶと、テンマは邪気を放出した。ゴールドは再び、立ち上がる。

 

「戦えるか、ゴールド⁉︎」

「勿論‼︎」

 

 こうして、百獣戦隊ガオレンジャーは完全復活した。それぞれが破邪の爪を構える。テンマは掌の眼球を開いた。

 

「塵と化すが良い‼︎ 鬼眼砲‼︎」

 

 眼球から放たれた光線が、ガオレンジャー達に一斉に放たれた。だが、それを散開して躱す。

 ガオイエローは、イーグルソードを振り上げて飛び上がる。

 

 

「ノーブルスラッシュ‼︎」

 

 

 ガオソウルを刀身に纏わせて、片割れの右掌を斬撃した。眼球ごと傷つけられた掌は、力無く地面に落下する。

 

「ぬゥゥ……おのれェェ‼︎」

 

 

「アイアンブロークン‼︎」

 

 

 ガオブラックの、ガオソウルを纏わせたバイソンアックスで、残った左掌を斬りつけた。

 万力込めて振り下ろされた一撃が、掌を叩き潰す。両方の掌を破壊され、光線を放つ事が出来なくなったテンマは完全に怒り狂う。

 

「……貴様等ァァァ……‼︎ 余を完全に怒らせた様だな……‼︎」

 

 そう言って、テンマは手に持つ修羅怨鬼剣に邪気を込めた。そして、その斬撃を振るい、イエローとブラックを吹き飛ばす。

 しかし、続け様にホワイトとブルーが奇襲を仕掛けて来た。

 

 

「ベルクライシス‼︎」

「サージングチョッパー‼︎」

 

 

 ホワイトのタイガーバトン、ブルーのシャークカッターにガオソウルを纏わせた一撃を左右から、テンマに浴びせる。

 防御が出来なかったテンマは大きく仰け反るが、すぐさまに体勢を立て直す。

 

「……喧しいハエ共が……小賢しいわァァァッ!!!」

 

 テンマは再び、修羅怨鬼剣から邪気を放ち、ホワイトとブルーを弾き返した。

 だが、今度はレッドとゴールドが迫る。手にはライオンファングと、ソルサモナードラグーンが構えられていた。

 

 

「ブレイジングファイヤー‼︎」

「竜牙……追衝‼︎」

 

 

 二人が同時に放つ赤と金の炎による斬撃が、テンマに激突した。激しい爆炎と共に、テンマは大ダメージを受けた。

 

「お……おのれェェ……下賤な……人間共がァァァ……!!!」

 

 結束させた六人の戦士達の猛攻に度重なるダメージに、最初こそ無敵を誇ったテンマは次第な追い詰められて行く。

 一人の力では傷一つ負わせられなかったオルグの王も、絆により結ばれた数人の力の前には敵わなかったのか……テンマは満身創痍に陥り、憤怒の形相を露わにする。

 

「余を……余を誰だと心得ておるか……⁉︎ 余は、オルグ族の王にして地球の支配者、テンマであるぞ‼︎

 余に逆らう事が……如何に愚かであるか……その身を持って……思い知るが良いィィ……‼︎」

 

 怒り狂うテンマは、修羅怨鬼剣を大地に突き立てた。すると、刀身から邪気が奔流の様に溢れ出す。

 

「な、何を⁉︎」

 

 ゴールドは、テンマの行動に目を疑う。

 

「クハハハァァ‼︎ 何の事は無い‼︎ このオルグリウムは邪気を稼働源としている……その邪気を、攻撃手段として利用する迄だ‼︎」

「正気か⁉︎ そんな事をしたら、この島も墜落するぞ‼︎ 俺達も、お前も無事には済まないぞ⁉︎」

 

 レッドは、テンマの愚行を止めさせようと嗜めた。しかし、テンマは聞く耳を持たない。

 

「知った事か‼︎ 我等、オルグは不死身‼︎ よしんば、死んだとしても、このテンマ一人さえ生き残れば良い‼︎ 余が、また新たに生まれたオルグ達を率いて、新たに作り直してやる‼︎

 今は貴様等を根絶やしに出来れば良いのだ! 貴様をな‼︎

 クフフフフ……クハハハハハハハハハハハァァァッ!!!」

 

 人間達への烈しい怒りにより、既に正気を失った気高い鬼の王は、目に映る者を全て破壊する暴君と成り果てていた。

 修羅怨鬼剣に邪気が吸収されると同時に、部屋全体が揺れ始める。木の根を切られた大樹が倒れ伏す様に、砦そのものが倒壊しようとしているのだ。

 

「ま、拙いぞ‼︎ このままじゃ、俺達も生き埋めだ‼︎」

 

 見る見る崩れ始める部屋に、イエローは危機感を覚える。ブルーは焦った様に慌てた。

 

「ここに居たら、ヤバいぜ‼︎ 外へ脱出しよう‼︎」

「駄目よ‼︎ 今から出ても間に合わない‼︎」

 

 ホワイトが、半ば崩落した天井を見上げながら言った。確かに、これから走ったとしても、崩落に巻き込まれてしまうだろう。

 

「だが、このままでは……どちらにしても……‼︎」

 

 

「戦おう‼︎」

 

 

 あたふたする、他のガオの戦士達にゴールドは言った。レッドは彼を見た。

 

「本気か⁉︎ 死んだら、元も子もないぞ!」

「此処には祈も居るんです‼︎ 崩れたら、祈も巻き添えになってしまう‼︎」

「祈ちゃんも捕まってるの⁉︎」

 

 ホワイトが二人の中に入る。レッドは、仲間の安全とテンマへの抵抗の間で揺れている時、ゴールドは言った。

 

「レッド……獅子さんは、獣医でしょう⁉︎ 救いを求めてる人達に目を背ける訳に行かないでしょう⁉︎」  

 

 奇しくも、その言葉は、レッド自身が座右の銘として度々、口にしている言葉だった。

 レッドは驚く。自分と同じ様な言葉を発する戦士がいた事を……レッドは遂に頷いた。

 

「ああ、そうだな……! 皆、戦おうぜ‼︎ 俺達は、そうやって何度もピンチを切り抜けて来たんだ‼︎ 今度だって、そうだ‼︎」

 

 そう言うと、レッドはライオンファングを差し出す。

 

「……そうだな……‼︎ 後輩にばかり、活躍させたとあっては、ガオの戦士の名が廃るぜ‼︎」

 

 イエローは、イーグルソードを差し出す。

 

「よし‼︎ どんな時だって、ネバギバだ‼︎」

 

 ブルーは、シャークカッターを差し出す。

 

「やろう‼︎ 俺達の六人の力で‼︎」

 

 ブラックは、バイソンアックスを差し出す。

 

「見せてやりましょう‼︎ ガオレンジャーの力を‼︎」

 

 ホワイトは、タイガーバトンを差し出す。残された、ゴールドもソルサモナードラグーンを差し出しながら……

 

「この力に全てを込めて……放つ‼︎」

 

 と、自身のガオソウルを装填し始める。仲間達も、それに続く。すると、六人の破邪の爪は姿を変え始めた。

 イーグルソードを天辺の刀身、バイソンアックスを中央に、シャークカッターが鍔に、タイガーバトンが柄に、そしてライオンファングが柄を持つ。更に、ソルサモナードラグーンの竜頭が中央へと収まると、刃は光を放ちながら伸びた。

 

 

「真・破邪百獣剣‼︎」

 

 

 〜六人の破邪の爪を併せる事によって、悪鬼を烈断する無双の大太刀が誕生するのです〜

 

 

 レッド、ゴールドは二人で柄を握り締め構えた。その左右から、四人の戦士が支える様に寄り添った。

 その刹那、テンマは修羅怨鬼剣を抜き、構える。剣の刃は真・破邪百獣剣に勝るとも劣らない巨大な物と化しており、天を衝かんばかりだ。

 

「クハハハァァ‼︎ 全てのオルグ達の積もりに積もった怨みの力を……貴様等に見せてやろう‼︎」

「ならば‼︎ 地球を守ろうとする想いの力で、それを迎え撃つ‼︎」

 

 

「邪気……

 正気……退散!!!」

 

 

 同時に振り下ろされる二振りの刃。其れは交錯し、更に空間を大きく揺らした。

 

 

 

「な、何だァァ⁉︎」

 

 ヤバイバは激しく揺れる砦内にて、目一杯に踏ん張っていた。祈も、思わずヤバイバに強く、しがみ付く。

 

「な、何が起こってるんだ⁉︎」

「に、兄さん⁉︎」

 

 祈は、兄の危険を察知して飛び降りた。

 

「お、おい⁉︎ 何処に行くんだよ⁉︎」

「兄さんが危ないの‼︎ 助けないと‼︎」

「馬鹿か⁉︎ 俺達は、ガオネメシスを倒す方が先決だろうが‼︎」

 

 ヤバイバは止めようとするが、祈は振り切って歩き始める。

 

「放っておけないよ‼︎ 私、行かないと‼︎」

「ッ‼︎ 勝手にしろ‼︎ 俺ァ、知らねェからな‼︎」

 

 ヤバイバは、祈りを捨て置いて行こうとする。しかし、祈は足を引き摺りながらも行こうとしていた。

 最初は、その様子を見ながらも歩み去ろうとする。だが、痛む足を堪えながら歩き続ける祈の姿をみたヤバイバは、苦み走った顔に歪ませる。

 

「あ〜〜、俺は何考えてんだ⁉︎」

 

 自分の頭を抑えながらも、ヤバイバは祈に近付き無理やり背負う。

 

「な、何するの⁉︎」

「ウルセェ、暴れんな‼︎ テメェ一人で行かせたら、俺がネメシスと一人で戦わなきゃならねェだろう‼︎

 言っとくがな‼︎ 別に、お前が心配だから、なんて、そんな理由じゃ無ェぞ‼︎ 勘違いすんな‼︎」

 

 ムキになりながら、ヤバイバは喚く。祈は、キョトンとしながらも優しく微笑んだ。

 

「て、テメェ‼︎ 何を笑ってやがる⁉︎」

「ありがとう……ヤバイバさん……」

「!!?」

 

 ありがとう、だと? そんな事、言われた事が無かった……。全く、調子が狂う……ヤバイバは頭を振った。

 にも関わらず……何で、こんな暖かい気持ちになるんだ……?

 

 

 ガオレンジャーの真・破邪百獣剣と修羅怨鬼剣の刃が激突する。その衝撃の余波が益々、砦の壁を破壊して行く。

 しかし、その力は些か、テンマの方に傾いている様子だ。ガオレンジャー達は万力を込めて押すが、修羅怨鬼剣の邪気に食い潰されて行った。

 

「クハハハァァ‼︎ 潰れろ‼︎ オルグの怨念の前に潰されてしまえェェ‼︎」

 

 テンマは勝ち誇りながら、修羅怨鬼剣を振り下ろしに掛かる。レッド、ゴールドは握る力を強める。

 

「皆‼︎ 諦めるな! 最後まで、自分の力を出し切れ‼︎」

「だ、出し切れって言ったって……‼︎」

 

 レッドの激励に、ブルーは弱音を吐く。

 

「ブルー‼︎ 俺達が諦めたら、世界はどうなるんだ⁉︎ 頑張れ‼︎」

 

 イエローが、ブルーを叱咤する。ブラック、ホワイトも同様だ。

 

「まだだ‼︎ まだ、諦めれるかァァァ‼︎」

「限界まで、出し切るの‼︎」

 

 仲間達の後押しを受け、ゴールドも叫ぶ。

 

「負けられ無い‼︎ 負けて堪るかァァァ‼︎」

 

 レッドも、ガオソウルを尽き掛けながらも、まだ力を出そうとする。

 

「ガオライオン‼︎ 頼む、力を貸してくれェェ‼︎」

 

 この場に居ない、最大の友に加勢を願うレッド。その時、凄まじい咆哮が響き渡る。

 

「この声は……ガオライオン⁉︎」

 

 レッドは見上げる。すると、五体の獣の幻影が現れた。

 

「皆……来てくれたんだな‼︎」

 

 レッドの言葉に、ガオライオンの幻影は吠える。ガオイーグル、ガオシャーク、ガオバイソン、ガオタイガーも力強く雄叫びを上げた。

 

「よし、行くぜェェェ‼︎

 

 邪気……退散!!!」

 

 パワーアニマル達の後押しを得て、レッドとゴールドは破邪百獣剣に力を入れた。すると、修羅怨鬼剣の邪気を押し始め、やがてテンマの眼前にまで迫る。

 

「ば、馬鹿なァァァ⁉︎ オルグ、数万匹にも及ぶ怨念の塊が……人間如きに敗れる訳が……‼︎」

「人間如き……お前達からすれば、小さな存在かも知れない……でもな……‼︎ 僕達、人間とパワーアニマルの信じ合う絆こそが、オルグの怨念をも打ち破るんだァァァ!!!」

 

 ゴールドは叫んだ。そして、巨大な円を描いてから、唐竹割りの如く勢いよく破邪百獣剣を振り下ろした。

 遂に、拮抗していた怨念を込めた修羅怨鬼剣は、思いを込めた破邪百獣剣の前に逆に飲み込まれる。

 

「ぬ、ぬおォォッ!!??」

 

 絶対の自信を持っていたテンマは、予想を覆された逆転に狼狽する。

 

 

『いっけェェェェェェェェェ!!!!!!』

 

 

 ガオレンジャー達は、自分達の思いに加え、パワーアニマル達の思いを乗せた渾身の一撃を、テンマに振り下ろした。

 

 

「お……お……の……れェェェェェェ………!!!!」

 

 

 テンマは断末魔を上げながら、ガオソウルの光刃の中、灰塵となって消えて行った。

 

「や、やった…‼︎」

 

 ゴールドは歓喜の声を上げる。

 

「……か、勝ったんだな……?」

 

 レッドも信じられない、と言った具合に、目の前の光景を見ていた。

 だが、疑いようが無い。遂に、オルグの王テンマを撃破したのだ。仲間達も、二人に続く。

 

「……やったァァァ‼︎ 俺達の勝ちだぜェェェ‼︎」

 

 イエローが一番に歓声を上げた。ブルーはブラックの抱き合いながら、咽び泣く。

 

「本当に……本当に終わったんだな⁉︎」

「俺達は、やったんだ‼︎」

 

「皆‼︎ 喜ぶのは、まだ早いわ‼︎」

 

 ホワイトが仲間達を我に帰らせた。これ迄の戦いが引き金となって、もう砦の崩壊は免れない。

 

「皆、走れ‼︎」

 

 レッドは急いで、皆を走らせるが……生憎、度重なる疲労が手伝い、歩く事すら、ままならない仲間達。其れは、レッドとゴールドも同じだ。

 

「く、くそォォ‼︎ このままじゃ、皆揃って生き埋めだ‼︎」

「折角、復活出来たのに‼︎」

 

 もう、どうする事も出来ない……万策、尽きたかと思われた時……。

 

 

「兄さァァァん‼︎」

 

 

 祈の声が、響き渡る。ゴールドは顔を上げた。

 

「い、祈⁉︎ 無事だったのか⁉︎」

「って、あれは、ヤバイバじゃ無いのか⁉︎」

 

 レッドは祈を背負っているのが、ヤバイバである事に気づく。しかし、そうしてる間に、祈は両手を翳す。

 すると、ガオレンジャー達は光に包まれて、その場に居た全員が姿を消した。

 

 誰一人、居なくなり崩れ去ろうとする広間……瓦礫の一部が積み重なっていた所が、カタカタと動く。

 すると瓦礫を掻き分けて、巨大な掌が現れ、大地を掴んだ……。

 

 

 

 ガオレンジャー達は、崩落を始めた砦の外に居た。ゴールドは皆を見回しながら、安否を確認した。

 

「皆……無事みたいだね‼︎」

「何とか……な‼︎」

 

 レッドが元気よく応えた。ゴールドは、側に居た祈に気付く。

 

「ゴメンな、祈……遅くなって……‼︎」

「ううん……。私、信じてたから……! 兄さんは必ず、来てくれるって……‼︎」

 

 そう言いながらも、祈はゴールドに抱きついて来た。オルグの本拠地に捕らえられ、不安だったに違いない。

 その様子を動かなくなった摩魅の、側に座り込むヤバイバが居た。

 

「全く……結局、ガオネメシスは倒せず仕舞いかよ‼︎」

「……そう言えば何で、ヤバイバが、この娘と一緒にいたんだ⁉︎」

 

 イエローは、ヤバイバに尋ねて来る。話し出すと非常に長くなってしまうが……。

 と、その時……

 

「ゴールド‼︎ 皆ァァ‼︎」

 

 遠方より、ガオシルバー、ガオグレー、ガオプラチナが駆けてくる。三人共、スーツもボロボロである。

 

「ッ⁉︎ シルバー‼︎ 生きてたの⁉︎」

 

 死んだと思われたシルバーが、やって来た事に腰を抜かしそうになるゴールド。だが、レッドは嬉しそうだ。

 

「……今、戻ったぜ、シルバー……‼︎」

「ああ……また会えて、良かったよ……レッド……‼︎」

 

 無事に再会が出来た事に喜ぶ二人。グレー、プラチナも同様だ。

 

「岳叔父さん…‼︎」

「エッ⁉︎ まさか……美羽か⁉︎」

「ハッハッハッハッ‼︎ まあ、何にせよ、これで全員集合じゃな‼︎」

 

 

 〜クハハハ……まだ、勝手に終わらせんぞ……〜

 

 

 突如、瓦礫の中から低い声が響き渡った。

 

「こ、この声は……まさか……⁉︎」

 

 ホワイトは、瓦礫の方に目をやる。すると、瓦礫を押し除けながら、巨大な掌が二つ飛び出して来る。

 そして、その中央には……

 

 〜クハハハハハハハァァァ!!!

 余は、オルグの王テンマ‼︎ 全ての人間共を滅ぼし、その頂点へと君臨する者なり‼︎〜

 

「て、テンマ‼︎」

 

 巨大なオルグ魔人と化した、テンマの姿に、ガオレンジャー達全員に緊張が走った…‼︎

 

 

 〜遂に復活を果たしたガオレンジャーと力を合わせて、宿敵テンマを倒したと思われたが、テンマは死んでいなかった‼︎

 果たした、巨大化したオルグの王に対し、ガオレンジャーは、どう立ち向かうのでしょうか⁉︎〜




ありがとうございました‼︎

次回の投稿は、1月24日の9時半とさせて頂きます‼︎
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