帰ってきた百獣戦隊ガオレンジャー 19YEARS AFTER 伝説を継ぎし者   作:竜の蹄

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quest58 精霊王、全員集合‼︎ そして……⁉︎

 鬼ヶ島の一角にて……ガオマスターは苦しげに喘いでいた。手には宝珠が乗せられている。

 彼は息切れを起こしながらも宝珠に力を込めて、ガオソウルを注ぎ込んでいる。

 

「……スサノオ……許せ……。兄が……お前にしてやれる事は……最早、これだけしか残っていない……」

 

 苦しそうに呻きながら、マスターは宝珠に自身のガオソウルを注ぐ。

 

「……姉さん、済まない……。私には……もう幾ばくも、時間が残されていない……。姉さんも……故郷も守れず……スサノオを救う事すら……出来なかった……」

 

『ツクヨミ……止めるのだ‼︎』

 

 突如、ガオゴッドの声がして、彼の後ろに風太郎が止めようとしていた。

 

「これ以上、ガオソウルを消費したら……君は消えてしまうよ…‼︎ 今の君は、ガオソウルの力で身体を維持している……其れを無くしたら……」

 

 風太郎は心配そうに、マスターに言った。しかし、彼はガオソウルの注入を止めない。

 

「……止めてくれるな……。私は、これまで過去を後悔し続けて来た……姉も弟も……故郷も……何一つ守れなかった……。

 だから……せめて、こんな形でも……償いたいのだ……‼︎」

「ツクヨミ……」

 

 ガオマスター/ツクヨミの悲壮な決意に、風太郎は何も言えなくなった。その時、二人の後ろから声がして来た。

 

 

「……ふん……それで償ったつもりか? 反吐が出そうだよ…‼︎」

 

 

 振り返ると、ガオネメシスが近付いて来た。マスターは、フラつきながら立ち上がる。

 

「……スサノオ……‼︎」

「……その名で呼ぶな……‼︎ 俺は叛逆の狂犬ガオネメシス……スサノオは死んだ……‼︎」

 

 そう言いながらも、ネメシスは何処か哀しげだった。マスターは語り掛ける。

 

「……お前にも、まだ良心が残っている筈だ……今からでも遅くない……! 不毛な復讐など止めて地球を守る戦士に戻れ……! 此れは最後の警告だ……‼︎」

 

 かつての様に、兄は弟を説得した。しかし……

 

「ハハハハハハハハァァ!!!! 良心だと⁉︎ 地球を守る戦士だと⁉︎ ならば……姉さんを、俺の前に連れて来たら……生きた彼女の笑顔を、見る事が出来たなら……復讐だなんて、馬鹿馬鹿しい事など止めてやる‼︎」

 

 ネメシス自身、復讐が無意味である事は百も承知だった。だが……もう後戻り出来ない所まで、ネメシスは足を踏み入れていたのだ。 

 今更、引き返す事も……改心する事も出来ない……。

 

「……スサノオ……私に、お前を殺させる気か?」

「殺すだと? 貴様が? 片腹痛いわ‼︎ 既に俺は貴様を遥かに凌駕した力を得ている! 貴様は元より、ガオレンジャー如きでは、俺には勝てん‼︎」

「……オルグの思想だな……最早、お前の心変わりを期待するのは無理か……‼︎ 何処まで堕ちたとしても……やはり、お前は私にとって、掛け替えの無い弟だった……しかし! お前が世界に害を成す者と成り果てたなら……私が、姉さんに代わって貴様を罰する‼︎」

「クックッ……出来るかな?」

 

 ガオマスターとガオネメシス、かつて兄弟として血を分けた二人の戦士は相対する。本来なら、殺し合う必要など無い……しかし、運命は二人の道を残酷にも隔てた。

 すると、ネメシスが手を翳すと、闇の精霊王ガオインフェルノが召喚された。

 

「精霊王同士の対決としようか?」

「臨む所だ‼︎ ガオゴッド、行くぞ‼︎」

「分かった‼︎」

 

 マスターの掛け声に反応し、風太郎は精霊の神ガオゴッドへと姿を変える。

 

「スサノオ‼︎ 今こそ、決着を付けようぞ‼︎」

 

 マスターは、ガオゴッドへと搭乗する。精霊の神は、世界の破壊者に対して威嚇した。

 

「良ろしい‼︎ オルグの跋扈する世界の人柱として、死ぬが良い‼︎」

 

 ネメシスは、ガオインフェルノへと搭乗する。叛逆の神は、オルグの敵対者に対し吠えた。ガオゴッドは右腕のガオソーシャークの鋸で、ガオインフェルノは右腕に持つムンガンドセイバーで、互いを斬り付ける。

 凄まじい衝撃が大地を、空間を大きく揺らした……。

 

 

 

 〜クハハハァ‼︎ 覚悟しろ、ガオレンジャー共よ‼︎〜

 

 復活したテンマは、巨大化した姿で吠える。彼の背後には巨大な掌が浮かび上がり、同じく巨大化した修羅怨鬼剣を両手に装備している。

 

「邪気が……暴走している‼︎」

 

 ガオレッドは、荒れ狂うテンマを指して言った。彼の周囲には、濃密ナ邪気が目に見える迄に揺れ動いていた。

 瓦礫を蹴飛ばしながら、テンマはガオレンジャー達の前に襲いかかって来る。

 

 〜クハハハ‼︎ 捻り潰してくれるわ‼︎〜

 

 そう叫んで、テンマは修羅怨鬼剣を大地に叩き付ける。邪気の斬撃が大地を抉り飛ばす。

 ガオゴールドは仲間達を振り返る。

 

「皆、やろう‼︎ パワーアニマル達の力を‼︎」

「ああ‼︎」

 

 レッドも、それに応える。シルバー、グレー、プラチナも後に続いた。

 

 

「幻獣

       召喚‼︎」』

  『百獣

 

 

 ガオゴールド、シルバー、グレー、プラチナは宝珠を射出し、ガオレッド達は獣王剣に宝珠を装填し天に掲げる。

 すると、ガオドラゴン、ガオユニコーン、ガオグリフィンのレジェンド・パワーアニマル達が姿を現す。

 

「ガオドラゴン‼︎ 行くぞ、最後の戦いだ‼︎」

 

 〜あいわかった‼︎〜

 

 ゴールドの言葉に、三体のレジェンド・パワーアニマルは変形し始めた。更に現れたガオウルフ、ガオグリズリー達も変形を始めた。

 それから間も無く現れたのは、五体のパワーアニマル達。

 

「ガオライオン‼︎」

 

 レッドは嬉しそうに言った。ガオライオンも、レッドの姿を見て嬉しげに吠える。

 天空島の敗北後、レッド達は水晶に封印され、ガオライオン達も異空間の牢獄に囚われてしまい、身動きが取れなくなった。

 だが、ガオレッド達の復活を感じた彼等は、異空間の壁を破壊して再び現世に復活したのだ。

 

「ガオライオン……長い事、待たせたな‼︎ 復活早々だが、力を貸してくれ‼︎」

 

 レッドの問いに、ガオライオンは力強く応える。他のパワーアニマル達も同様だ。

 

 

「百獣合体‼︎」

 

 

 レッド達の掛け声に合わせ、合体し始めるガオライオン達。ガオライオンが胸部を成し、ガオイーグルが腰部と変形した尾羽が頭部を形成する。右腕にガオシャーク、左腕にガオタイガー、脚部をガオバイソンが変形して構成していく。更に、現れたソウルバードが……こころの母親が、ガオレッド達と搭乗させて体内へと吸収される。そして、精霊王の顔が露わになった……。

 

 

「誕生! ガオキング‼︎」

 

 

 かつて、ガオレッド達を幾度となく勝利へと導いた文句無しの巨大戦士、百獣の精霊王が復活した。

 

 

 ガオパラディン、ガオキング、ガオハンター、ガオビルダー……四柱の精霊王が、テンマを迎え討とうと立ちはだかる。

 

 〜ハッ‼︎ 小賢しい奴等め‼︎ 獣如きが、このテンマに勝てると思うてか‼︎〜

 

 完全に舐め切ったテンマは修羅怨鬼剣を振り下ろそうとする。だが、ガオハンターが先に動く。

 

「精霊・十六夜斬り‼︎」

 

 本来なら、悪に染まっていたガオハンターの技だが、正義に目覚めたガオハンターが用いたリゲーターブレードによる一撃を、テンマに浴びせた。

 

「グハァァッ⁉︎」

 

 先手を取られたテンマは大きく仰反る。しかし、其処へガオビルダーが突撃した。

 

「ボアーガドリング‼︎」

 

 ガオボアーから放たれる光弾の連発が、ガラ空きとなったテンマの胸部を狙い撃つ。

 

 〜ぬぐゥゥ……‼︎〜

 

 続け様に受けた攻撃に、テンマは呻く。其処へ、ガオキングが飛び上がりながら…

 

「フィンブレード‼︎」

 

 ガオシャークの尾が変形した剣で、テンマを斬り付けた。更に、ダメ押しとして…

 

「ユニコーンランス‼︎」

 

 ガオパラディンのユニコーンランスが回転しながら、テンマの胸部を抉る。四方から追い詰められたテンマは、激昂する。

 

 〜グッ……こざか……しい……‼︎ 余を……余を……舐めるなァァァ‼︎〜

 

 追い詰められた鬼の王の呪詛が響き渡る。しかし、四体の荒ぶる神々の攻撃は着実に、テンマを傷つけて行く。

 と、その時、テンマが右掌を上げる。すると、目の前に召喚された三つの影…。

 

「あ、あれは⁉︎」

 

 それは、ガオキング・ダークネス、ガオマッスル・ダークネス……何れ共に精霊王を模して作られた闇の精霊王達である。

 三体目は、その巨大な翼を広げる。

 

「ガオイカロスか⁉︎」

 

 三体目の闇の精霊王は、ガオイカロス・ダークネス。天空を制する精霊王の姿を模した闇の巨神である。

 

 〜クハハハァァ‼︎ 行けェェ、闇の精霊王達よ‼︎ オルグに刃向かう戯け共を蹴散らすのだァァァ‼︎〜

 

 完全に我を忘れたテンマは、オルグを至上とし見下していた精霊王の姿を模したレプリカに縋る有様だ。

 だが、今のガオレンジャーには闇の精霊王達など敵では無い。

 

「ガオキング・ダークネス‼︎ お前の相手は俺だ‼︎」

 

 ガオハンターが、ガオキング・ダークネスの前に立ち塞がる。

 

「ならば、ガオマッスルは、ワシに任せておけ‼︎」

 

 ガオビルダーが、ガオマッスル・ダークネスと組み合う。

 

「ガオイカロス・ダークネスは俺達がやる‼︎ 百獣召喚‼︎」

 

 ガオキング内のコクピットから、レッドは自身の武器、ファルコンサモナーを構えて、宝珠を打ち上げる。

 すると時空の壁を突き破り、隼を模した紅き空のパワーアニマル、ガオファルコンが飛来した。

 分離したガオライオンとガオイーグルに代わり、ガオキングの胸部を形成した。

 

「誕生! ガオイカロス・オリジンフット&アーム‼︎」

 

 ガオイカロスの機動力に、ガオキングの力を兼ね備えた新たな天空の精霊王が舞い上がる。それに呼応し、ガオイカロス・ダークネスも飛び上がった。

 ガオパラディンは、遂にテンマと対峙した。

 

「これで終わりだ、テンマ‼︎ 行くぞ、ガオパラディン‼︎ 幻獣武装‼︎」

 

 ゴールドの掛け声と共に召喚される三体の聖獣達……ガオフェニックス、ガオナインテール、ガオワイバーン……其れらが分離した二体の聖獣達に代わり、ガオパラディンに幻獣武装する。

 

「誕生! ガオパラディン・エターナルアーチャー‼︎」

 

 ガオフェニックスの翼が展開され、右腕のナインテールウィップ、左腕のワイバーンアローを構えた。

 テンマは掌を突き出し…

 

 〜喰らえ‼︎ 鬼眼砲・極‼︎〜

 

 両掌から放たれた特大の鬼眼砲が、ガオパラディンに襲い掛かる。しかし、其れをガオフェニックスの翼で弾き返し、隙ができた両掌をワイバーンアローで眼球ごと射抜いた。

 再び、掌は地べたに落とされる。

 

 〜こ、こんな馬鹿なァァ⁉︎〜

 

「信じ合う絆で戦う僕達に、敵うと思うな‼︎ プラチナ、行くぞ‼︎」

「ええ‼︎」

 

 ゴールド、プラチナの思いが重なり、ガオパラディンは、ナインテールウィップをテンマに振り下ろした…。

 

 

 

 ガオハンター、ガオビルダーは地上にて、ガオキング・ダークネスとガオマッスル・ダークネスを相手にしていた。  

 以前に対峙した時よりパワーアップしている二体だが、それはガオハンター達も同様だ。

 ガオハンターは素早い身のこなしで、ガオキング・ダークネスの攻撃を躱しながら、ダメージを与えて行く。

 ガオビルダーは、ガオマッスル・ダークネスを上回る怪力を駆使して、投げ飛ばす。

 しかし、二体の闇の精霊王達も黙って、やられているばかりでは無かった。ガオキング・ダークネスは、フィンブレードに邪気を纏わせながら、ガオハンターを斬り付け、ガオマッスルは両肩に装備した六門の砲台、マッスルクラッカーから邪気の砲弾を、ガオビルダーに浴びせる。

 思わぬ反撃に、二体の精霊王は怯んでしまう。其処を突いた闇の精霊王達は一気に攻め込もうとする。

 ガオキング・ダークネスの胸部から邪気がエネルギーが蓄積し、ガオマッスル・ダークネスは太い二の腕に邪気を纏わせる。

 体勢を立て直したガオハンター、ガオビルダーは再び、力を蓄え始める。

 

「天地震撼! ビーストハリケーン‼︎」

「轟々獣撃! ストロングショット‼︎」

 

 ガオハンターの胸部と、ガオビルダーの右腕から放たれるガオソウルの砲撃。其処へ見計らい、ガオキング・ダークネスは邪気の砲撃、ダークネス・ハートを発射する。

 ガオマッスル・ダークネスは、邪気を込めた右腕を振り下ろし、ダークネス・ラリアットを浴びせて来た。しかし、ガオビルダーのストロングショットが腕に当たる。

 四つのエネルギーは互いに拮抗し合う。だが、勝機を決めたガオハンター、ガオビルダー達だった。ビーストハリケーンとストロングショットに相殺され、二体の闇の精霊王はバランスを崩す。

 

「グレー‼︎ もう一度だ‼︎」

「よし来た‼︎」

 

 シルバーとグレーは合図を促し、闇の精霊王達の前に進ませた。

 

「悪鬼突貫! リボルバーファントム‼︎」

「殴打粉砕! ストロングブレイク‼︎」

 

 ガオハンターは右手のリゲーターブレードに、ガオビルダーは左手のリンクスアームにガオソウルを込め、ガオキング・ダークネスとガオマッスル・ダークネスへと叩き込んだ。

 渾身の一撃を見舞われた闇の精霊王達は後ろへと倒れ伏し、そのまま爆発した。

 ガオハンター、ガオビルダーは互いの得物を天に掲げ、勝利の咆哮を挙げた……。

 

 

 天空でも、ガオイカロス同士による苛烈な空中戦が繰り広げられていた。闇の精霊王であるガオイカロス・ダークネスは、より素早い機動力を武器に翻弄して掛かる。しかし、対するガオイカロス・オリジンフット&アームズは、本来の百獣合体とは異なる合体ゆえ、単純な機動力は大きく劣ってしまう。

 しかし、其れを補えるだけ、このガオイカロスの攻撃力は高い。何より、向こうは邪気に操られる傀儡に過ぎないが、此方はガオレッド達が搭乗している。此方が諦めない限り、必ず勝機はある。

 と、その時、ガオイカロス・ダークネスは身体を宙返りさせ、右脚に収納されている、黒いガオマジロを射出する。そして、其れを勢いよく蹴り飛ばした。

 本来なら、ガオイカロスの得意とする『究極天技・イカロスダイナマイト』と似て非なる技、名付けて『暗黒鬼技・ダークネス・ダイナマイト』と言った具合だ。

 放たれたガオマジロは邪気を纏いながら、ガオイカロスに迫ってくる。

 

「ガオイカロス、蹴り返せ‼︎ バイソンキック‼︎」

 

 ブラックが叫ぶ。後退した状態で、ガオバイソンの右脚で、ガオマジロをシュートする。蹴り返されたガオマジロは、そのまま、ガオイカロス・ダークネスへと激突した。

 もろにダメージを受け、ガオイカロス・ダークネスは大きくよろめいた。だが、気を取り直して、翼を展開させると眼球状の模様から漆黒の光線を放つ。

 

「ガオイカロス、ディフェンスモードだ‼︎」

 

 レッドの掛け声で、翼で全面を覆うガオイカロス。光線は全て弾かれ、防御した。

 胸部のガオファルコンが高く鳴いた。まるで「今だ!」と呼び掛ける様に……。

 

「ああ、分かった‼︎ 皆、一気に決めるぜ‼︎」

『おう‼︎』

 

 ガオレッドは仲間達に呼び掛け、仲間達も応えた。

 

 

『悪鬼爆砕! イカロスツイスター‼︎』

 

 

 ガオイカロス放つ、フィンブレードを天に掲げる。すると、身体が回転し始めた。まるで、竜巻の如し勢いで廻り始め、巨大な竜巻を生む。

 その状態で、ガオイカロス・ダークネスに体当たりを仕掛ける。合計で六回、体当たりして、遂にガオイカロス・ダークネスは空中で爆散した。

 

「やったァァァ‼︎ ガオイカロスの勝利だ‼︎」

 

 ガオイカロスは空中を旋回しながら、勝利のポーズを決めた。

 

 

 

 ガオパラディンは単体にて、テンマとの闘いを強いられていた。しかし、大きく疲弊したテンマに、ガオパラディン・エタナールアーチャーによる遠距離の攻撃は、かなり効率的だった。

 とは、やはり決定打を与えるには、至近距離から大技を与えるしかない。だが、下手に近付けば、修羅怨鬼剣の餌食となる。

 

「くそッ…‼︎ ちまちました攻撃じゃ、駄目だ‼︎ やっぱり、テンマの懐に飛び込むしか無いのか……⁉︎ でも……‼︎」

 

 コクピット内で、ゴールドは、テンマの弱点を探る。確かに、捨て身の覚悟で挑めば、まだ勝機を掴める。

 しかし、敵は強い…下手をすれば、同乗しているプラチナは勿論、ガオドラゴン達へのダメージも必至である。

 

 〜何を迷っている、陽‼︎ 我々に遠慮をするな、テンマに至近距離から挑みに掛かれ‼︎〜

 

 急に、ガオドラゴンの声が響く。

 

「ガオドラゴン⁉︎」

 

 〜お前は我々に掛かる負荷を気にして、本気を出さずに居るのだろうが……構う事はない!

 テンマを倒し、オルグの支配から人類を守る為に、お前は此処に来たのだろう⁉︎〜

 

 ガオドラゴンの言葉に、ゴールドは胸を揺さぶられる。最初は人類を毛嫌いしていた、レジェンド・パワーアニマル達……しかし、数多の死線を共に乗り越えて行く内に、人類を守り戦う事を尊ぶ様になった…‼︎

 彼らの思いを無駄にしない為にも、この戦いに負ける事は許されないのだ。足元には,祈が居る……何を差し置いても守り抜かなくては、ならない存在がいる……ゴールドは、強く念じながら、プラチナを見る。

 彼女も首を小さく、縦に振った。

 

「行こう、ゴールド‼︎ 私は、この為に、此処へ来たんだから‼︎」

 

 プラチナが励ます様に言った。其れで、ゴールドも覚悟を決める。

 

「ガオパラディン‼︎ テンマの懐に、飛び込め‼︎」

 

 ゴールドは指示を出し、ガオパラディンは高らかに吠える。ナインテールウィップを振り上げ、修羅怨鬼剣を持ち上げるテンマの懐へと特攻した。

 

 〜自ら死にに来たか‼︎ ならば、其れも良かろう‼︎ この修羅怨鬼剣の錆としてくれる‼︎〜

 

 テンマは邪気を込めた斬撃を幾多と放ちながら、攻撃してきた。その攻撃を躱しながら、テンマの腹部にナインテールウィップを叩きつけた。

 

「九尾雷閃撃‼︎」

 

 ナインテールウィップに雷を纏わせた一撃が、テンマに炸裂する。迸る雷撃が、辺り一面を照らした。

 

 〜な、何の……これしきの子供騙しで……‼︎〜

 

 テンマは強がりを言って見せるが、ダメージを受けたのは必至だ。しかし、修羅怨鬼剣を逆手に持ち、接近したガオパラディンの背部を突き刺そうとした。 

 突如、背部にあるガオフェニックスの翼が燃えあがる。修羅怨鬼剣は燃え尽きた炭の様に、ボロボロと崩れ去った。

 

 〜な,馬鹿な……‼︎ オルグの怨念が……‼︎ 浄化された、だと⁉︎〜

 

 テンマは崩れた修羅怨鬼剣を持ち上げ、慟哭した。その時、ガオフェニックスの声が響く。

 

 〜プラチナ……今こそ、ガオソウルを私に……‼︎〜

 

「分かった、ガオフェニックス‼︎」

 

 プラチナは自身のガオソウルを台座に注ぎ込む。すると、胸部のガオドラゴンの口内と、ガオフェニックスの翼が輝き出す。

 

 〜行け‼︎ 我々の力を,奴にぶつけるのだ‼︎〜

 

「分かった、ガオドラゴン‼︎

 

 聖獣波動・レインボー・ホーリーハート‼︎」

 

 その刹那、ガオフェニックスの翼から、ガオドラゴンの口から虹色に輝く光線が放たれる。

 光線は、テンマの身体を包み込み、その身体を焼き潰して行った…。

 

 〜お…おのれェェ…! おのれ、ガオレンジャー……‼︎ おのれ、パワーアニマル共……‼︎〜

 

 ガオレンジャーへの呪詛を叫びながら、テンマの身体は崩壊して行く。

 

 〜か、身体が……崩れる……‼︎ な、何故だ⁉︎ 余は……余こそが……オルグの支配者では……無かったのか⁉︎

 余は……何処で間違った⁉︎ どうすれば良かったのだ⁉︎〜

 

 自分の敗北を受け入れられず、ただ負け犬の如く吠える事しか出来ないテンマ。余りに惨めだが今、勝利の軍配は、ガオレンジャー達へ勝ちを告げた……。

 

 

 

 テンマを撃破した後、ゴールドとプラチナは地上へと降り立つ。辺りは焼け野原と化し、酷い有り様だ。

 だが、ゴールドは確信した。自分達は勝ったのだ……その勝利の余韻を噛み締める。

 

「おーーい‼︎」

 

 遠くから、呼び声がする。見てみれば、シルバーとグレー、そして、レッド達が走ってくるのが見えた。

 

「皆‼︎ 無事だったんだね‼︎」

 

 ゴールドは満面の笑みで返す。レッドは駆け寄りながら、ゴールドの肩に手を置いた。

 

「……ありがとう、陽……君が終わらせたんだ……この戦いを……‼︎」

 

 そう言いながら、レッドは走の姿に戻る。ゴールドも変身が解けて、陽へと戻った。

 陽は偉大な先輩に首を振る。

 

「皆さんの、お陰です‼︎ 僕こそ、お礼を言わなくちゃならないくらいです‼︎」

 

 その慎み深い言葉に、先人のガオの戦士は皆、感心した。

 

「本当に大した奴だな、大物だよ!」

 

 ガオイエロー/岳も笑いながら言った。

 

「そりゃ、私の甥っ子ですから!」

 

 ガオホワイト/冴は自分の事の様に、誇らしげだ。

 

「だけど、本当にありがとう‼︎ それしか言えないよ‼︎」

 

 ガオブラック/草太郎も豪快に言った。

 

「大神もありがとうな‼︎ 大変だったろ⁉︎」

 

 ガオブルー/海は、ガオシルバー/大神に笑い掛けた。

 

「いや……陽が居てくれたから、最後まで乗り越える事が出来た……彼が居なかったら何度、死んでいた事か……」

「ワシも忘れるな、シロガネ‼︎」

 

 佐熊は、大神の背を強く叩く。だが大神は、そのまま倒れてしまった。

 

「……もう少し手加減してくれ……まだ病み上がりなんだ……」

「おお‼︎ コイツは、済まんかったな‼︎」

 

 戦後とは思えず、呑気にカラカラと笑う佐熊。それに連れられ、仲間達も笑い出した。

 

「兄さ〜ん‼︎」

 

 すると、祈が飛び出してきた。側にはヤバイバも一緒だ。

 

「祈、大丈夫だったか⁉︎」

「ええ! ヤバイバさんが守ってくれたから!」

『ヤバイバさん⁉︎』

 

 祈の発言に対し、一同はハミングで尋ねた。特に岳は目を丸くしている。

 

「さっきから気になってたんだが、何でヤバイバが一緒なんだ⁉︎ お前は敵だろう⁉︎」

 

 岳は警戒心を解かない。ヤバイバとは先の戦いから、何度か戦った事があるから、当然である。

 ヤバイバも、バツが悪そうに……

 

「……色々、事情があったんだ‼︎ 言っとくがな、俺はまだ、お前等とは敵なんだ! そこは忘れんな‼︎」

「……そう言えば、ツエツエはどうしたの?」

 

 今度は冴が尋ねる。いつも、コンビで居たツエツエがら、此処に居ないのは不自然だからだ。

 

「……ツエツエは……ツエツエは死んじまったよ……‼︎ だから、俺は……復讐の為に、ガオネメシスを……‼︎」

 

 ヤバイバは悔しげに歯を鳴らす。と、その言葉に、大神は我に帰った。

 

「待て‼︎ ガオネメシスが、まだ残ってるぞ‼︎」

 

「ガオネメシス? だれだ、そいつ?」

 

 走達は聞いた事が無い名前に首を傾げた。彼等は、ガオネメシスとは直接の面識がないのだ。

 

 

「クックックッ……お呼びかな、ガオレンジャーの諸君……?」

 

 

 突然、地の底から響き渡る声に、全員が戦慄した。振り返ると、妖しい雰囲気の戦士が歩み寄ってきた。

 

「ガオネメシス‼︎」

「テンマを倒したとはな……一先ずは、褒めてやるぞ……。ご苦労だったな……これにて,鬼還りの儀は完遂した‼︎」

「⁉︎ どう言う意味だ⁉︎」

 

 

「ネメシスゥゥゥぅ!!!」

 

 

 ヤバイバは怒りの形相で、特攻して行く。手には魏羅鮫を持ち、鞘から刃を抜いた。

 

「おい、お前‼︎ 計画通りに行くぞ‼︎ コイツで、俺が……‼︎」

 

「俺が……どうする気かな?」

 

 ガオネメシスは、そう言いながら魏羅鮫の刀身を握り締める。

 

「クッ……離せ‼︎」

「成る程……魏羅鮫を持ち出して来たか……。馬鹿は馬鹿なりに、頭を使う、と言う事だな……! しかし……‼︎」

 

 ネメシスが軽く力を込めると、魏羅鮫はビシッとひび割れたガラスの様に砕け散ってしまった。

 

「⁉︎」

「ふん……俺を殺すには、こんな、なまくら刀では無理だ……‼︎」

 

 そう言いながら、ネメシスはヤバイバの腹部に、ヘルライオットの銃弾を複数発、撃ち込んだ。

 吹き飛ばされたヤバイバは、岸壁に叩きつけられる。

 

「ヤバイバ‼︎」

「クックッ……今更、俺の首を取りに来たか? ならば、無駄な事だ……‼︎ 間も無く始まる、鬼還りの儀の終幕を見る事が出来ずにいる、ツクヨミは気の毒だったがな……‼︎」

「つ…ツクヨミ…⁉︎ ガオマスターの事か⁉︎」

 

 陽は叫ぶ。それと同時に、ネメシスは何かを投げて寄越した。

 其れは、ぼろぼろに破壊されたガオマスターのヘルメットと宝珠のカケラだった。

 

「おまえ達が、テンマに手こずっている間に、ガオマスターは、この手で始末したよ‼︎ ガオゴッド諸共な‼︎」

「ガオゴッドだって⁉︎ そんな馬鹿な‼︎」

「千年の友が……‼︎」

 

 ガオゴッドが倒された事を聞いて、走達は絶句する……。しかし、ネメシスは高笑いを上げた。

 

「なに……悲しむ事は無いさ……‼︎ すぐに会う事になる……‼︎」

「き…貴様ァァ…‼︎」

 

 ゴールドは怒りに身を震わせた。しかし、ネメシスは益々、笑い声を上げた。

 

「そう急く事は無い……見るが良い‼︎ 鬼地獄の支配者が直々に、現れたぞ‼︎」

 

 ネメシスは天を指差す。すると天が大きく渦巻き始めた。

 

「な、何だ⁉︎」

 

 陽は何が現れるか、と身構えた。と、その時、天に巨大な髑髏が現れた。

 

 〜待ち侘びたぞ、ガオネメシス……ご機嫌麗しゅう、ガオレンジャーの愚か者共よ‼︎

 儂の名は、ヤマラージャ‼︎ 鬼地獄、鬼霊界の支配者にして悠久の時を生きる者……またの名を、閻魔オルグだ‼︎

 お前達には散々、世話になった……儂が考案した鬼還りの儀が、スムーズに取り行える様に、してくれた‼︎

 褒美として……お前達は無限に続く苦痛と悪夢を提供してやろう……。フッフッフッフッ……ハーッハッハッハッハッ……‼︎」

 

 ヤマラージャの勝ち誇った笑い声が、鬼ヶ島中に木霊した……。

 

 

 ー漸く、テンマを倒したかと思えば、最後の敵、ガオネメシスが現れ、長きに渡り潜伏していた鬼地獄の王にして真の黒幕、ヤマラージャが動き出した‼︎

 果たして、ガオレンジャーは如何にして戦うのでしょうか⁉︎ー




ありがとうございました‼︎
残念ながら、まだ少し話は続きますが、ガオネメシスとヤマラージャとの決着まで、どうか、お付き合い下さい。
次回は、二月七日の9時半に掲載予定です‼︎
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