side マーティン・ウェリス
ハロウィーンの一件を経て、ハーマイオニーとロンの関係はついに改善された。妹のユラナが三人組に関わる気、満々であり、俺も父からハリーについて教えて欲しいという指令を受けているので、いつも五人で一緒にいることになった。
(ああ~。三人ともマジで可愛い。そこにいるだけで私からしてみれば眼福なんだけどぉ~)
猛烈に癒されたような声を三人組を見て念話呪文で発したのは、ユラナである。しかも、授業中である。いくら余裕があるからといっても、念話呪文で下らないことを言うなよ。
(お前ってもしかして、バイのロリコンなの?)
(前世じゃそうじゃなかったんだけどね。ここにきて新境地を切り開いたかも。でも、お兄ちゃんなら気持ち分かるでしょ。あと、ショタコンも拗らせてるよ)
(何追加してんだ。頼むから、同級生で欲望満たそうとすんなよ。見てられないから)
(大丈夫だって~。一線は越えないから安心していいよ~)
うわ、これ程安心できない安心していいよがあっただろうか。前世含めての三十年近くの長い歴史ではなかったことだろう。いや、三十年ちょっとならそれほど長くないな。
(分かった。ただ、魔法使ってあいつらにちょっかいかけ始めたら、本格的な対応を考えるからな)
(なるほど。魔法使うのもありかも)
くそ。なんでやり方教えちまってんだよ。
(そういえばさ、お前、自主練したいとか言ってたよな?)
(うん。どうするの?)
(俺なりにやり方考えてみたんだよ。ほら、順序つけてやった方がやりやすいし。てなわけで、今年は失神術や武装解除、妨害の呪文を中心とした基礎練習に時間を割きたいと思っているんだけど、どうだ?)
(いいんじゃない。来年は守護霊とか、オリジナル呪文の練習を増やせば?)
(そうだな。明日から開始ということで。あ、基礎練習だから、ハリー達も連れて来てもいいぞ。といっても、まあ基礎の基礎からの練習になると思うけど)
そう言っている間に授業は終わってしまった。やべ、ほとんど聞いてなかった。
翌日、俺たちは八階の必要の部屋に向かった。五人一組でいつも行動しているから、ハリー達もついてきた。
「さてと、今から魔法の特訓を始めたいと思う。正直言って、一年には難しい呪文も多いから、とりあえずこれから練習してみよう。武装解除呪文だ。ユラナ、手伝ってくれ」
三人は興味津々で俺たちを見る。ユラナは杖を持ったまま、だらりと立った俺に、
「エクスペリアームス!(武器よ、去れ!)」
と叫んだ。青い閃光が走り、俺の杖はユラナの手に収まっていた。三人が拍手している。
「サンキュー、ユラナ。それじゃ、俺はハリーと組むから、ロンはハーマイオニーと組んで練習を開始してくれ」
三人は口々に呪文を唱え始めた。が、三人ともうまく武装解除はできていない。というか、そんな簡単にうまくいかれたら、教えることがなくなってしまう。
「ねぇ、マーティン。なんかコツとかはあるかな?」
一緒に練習していたハリーが聞いてくる。
「そうだな。俺が意識しているのは、杖を飛ばすイメージと絶対できるっていう強い自信だな。精神は出来に比例すると思う」
「そうかぁ。ありがとう。マーティン」
彼はニッコリ微笑んで、再び杖を構えた。ユラナが生唾を飲む音が聞こえてきた。おい、気持ちは分かるが、興奮するな。
三人の中で最初に成功させたのは、ハーマイオニーだった。予想通りではあったが、こんなに早く成功させるとは。
「やったわ! ユラナ、見てた!?」
笑顔でピョンピョン跳ねて喜んでいる。
「ええ。見てたわよ。おめでとう、ハーマイオニー」
ユラナは微笑んで答える。その心の中は可愛いと思う感情で満たされているだろう。
(あぁ^心がぴょんぴょんするんじゃぁ^~)
(おい、ユラナ、ぴょんぴょんしているのはハーマイオニーだろう。あと、前世でのネタをぶちこむな。ワケわからんくなるだろ)
唐突なごちうさネタはこいつらには通じないだろうから、俺に言いたくなる気持ちは分かるが。
そんな風に練習していると、夕日は沈みかかっていた。
「そろそろ夕食の時間だし、ここまでにするか。今日できなかったとしても焦ることはない。繰り返せば必ずできるようになる。そこは俺が保証する」
実際のところ、三人ともかなり吸収力はある。ハーマイオニーなどは俺の用意したカリキュラムを四年生ぐらいで全部マスターするんじゃないだろうか。今はできていない二人も次ぐらいには成功するだろう。
(強くなりそうだね、三人とも)
(ああ。原作のような悲劇は俺が起こさせない)
(格好つけちゃって~。グリフィンドールのいや、ホグワーツのお兄ちゃん、期待してるよ)
(ホグワーツのお兄ちゃんとは大きく出たな。ま、どうにか頑張るよ)
俺とユラナは笑いあった。
sideユラナ・ウェリス
魔法練習の翌日、クィディッチのグリフィンドール対レイブンクロー戦が組まれていた。今季初戦、つまりハリーのデビュー戦である。
確か、クィレルが魔法を箒にかけてハリーを殺そうとしていたんだよね。どうやってクィレルを止めようか。あんまり私が動くとクィレル(ヴォルデモート)に怪しまれるからなぁ。
「ハリー、頑張れよ」
ロンがハリーに声をかける。うんうん、仲良きことは美しきかな。しかし、ハリーは緊張からか少し青ざめている。
「大丈夫だって。万が一、落っこちたりしたら、お姉ちゃんが、じゃなかった私が助けてあげるからね」
頭をナデナデして私が言う。
「いや、先生方が助けてくださるだろ。あと、お前は俺の妹だ」
とマーティンが突っ込んできた。それに笑ったことでハリーの緊張は少し取れたようだ。
そして、一時間後、大興奮に包まれてグリフィンドール生たちは競技場に向かった。ライオンの横断幕を持った人もいて、ホグワーツのクィディッチ人気がうかがえる。
試合は三十点ほどグリフィンドールがリードしたところで、ハリーの箒がおかしな動きをし始めた。
(お兄ちゃん)
(分かってる。クィレルだろ)
(うん。私、止めに行くわ。疑われたままだとスネイプ先生が可哀想)
反対呪文を唱えているスネイプをハーマイオニーたちは疑っている。
(……分かった。行ってこい)
お兄ちゃんが指示を出したので、私は急いで教師席に向かった。ハーマイオニーは確か火をつけたはず。でも、火事になったら、ちょっと困るなぁ。
「アグアメンティ!(水よ!)」
私が小声で言うと、クィレルのお尻辺りがびしょ濡れになった。こう見たら、なんだかおもらししたみたい。
クィレルのお尻が濡れていることで、うるさくなってきたので、私は急いで戻る。やべ、このいたずらなんか楽しい。
ハリーはすぐさま元通りになり、再び金のスニッチを狙い始めた。
(いや、お前、よくこんなこと考えつくなぁ)
(ほら、この方が面白いじゃない?)
お兄ちゃんが笑いながら言う。
(他の人にすんなよ)
(それはフラグですね分かります)
クィレルは急に失禁した恥ずかしさのあまり、ハリーに呪いをかけるどこではなくなっている。
その後、しばらくしてハリーがスニッチを飲み込むという前代未聞の終わり方でグリフィンドールの初戦は幕を閉じた。
グリフィンドール生は勝利の雄叫びを挙げているが、このあとハーマイオニーとロンのスネイプ先生に対する誤解を解くのにかなり時間がかかった。
もうちょい、スネイプ先生、グリフィンドール生に優しくしてあげなさいよ……。いろいろあったから、仕方ないけどさぁ。
今回はここまでです。次回は一気にクリスマス辺りにいくかと思います。
なお、これから投稿が忙しいので不定期になるかと思います。
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