side ユラナ・ウェリス
クリスマスが過ぎて、ハリーたちは賢者の石について調べ始めた。ハグリットがうっかりこぼしてしまったそうだ。口が軽すぎるにも程があるなぁ。
お兄ちゃんの方はクリスマスにあったことについては何一つ教えてくれなかった。念話呪文を使っても開心術を使っても無意味だ。そこまでしても隠したいことなのだろうか。
賢者の石に関しては三人なら勝手に答えを見つけ出せるはずだから、そんなに気にしてない。ということで、私は三人の魔力増強と自身のオリジナル呪文の作成に集中することにした。その甲斐もあってか、三人ともついに武装解除呪文はマスターできていた。
そして、どういうわけだか、私たち五人はハグリットの小屋の中にいた。
「さあ、よーく見ちょれ……孵るぞ!」
違法なはずのドラゴンの出産に立ち会っていた。というかこれがきっかけで全員罰則を受けたんじゃなかったっけ。
私とお兄ちゃんだけ、三人がハグリットに対してホグワーツで飼わないように必死の説得を行っているうちに、こっそり抜け出すことにした。あのときは三人だからどうにかなったけど、五人同時に大量減点されたら、下手したらマイナスになるんじゃない?
(ねぇ、お兄ちゃんどうするの? このままだと確かマルフォイも巻き込まれるはずだけど)
(大丈夫だ。すでに交渉済みだ。金で買収して外に出るなと言っておいた)
(うわー、やることがゲスいな、この人)
(ま、どっちにしろ見つかると思うけどな)
お兄ちゃんの予言通り、三人はバレて150 点の大量減点を食らうことになった。
糸も簡単にフィルチに見つかってしまったらしい。
その結果、他寮からの大ブーイングを受けると思ったが、思ったよりそれは少なかった。お兄ちゃんがまたしても裏で手を回したらしい。
「本当にごめんね。見殺しにしちゃって」
禁じられた森への罰則を受ける直前に私たちは再度謝った。
「気にしなくていいよ。寮のことを考えてだろ?」
と言ったのはロンである。
「そうだけど、申し訳ないね。ということで、ハリー、透明マント貸して?」
ハリーは驚いて私を見る。
「禁じられた森で何が起こるか分からないし、私としてもまだ申し訳ない気持ちはあるから、後ろからこっそりついていこうと思うの」
「いいけど……気をつけてね」
ハリーがそう言ったので、私は頷いて、透明マントを頂いた。そして、罰則が始まった。
(お前も来る必要あったか? 俺だけでよかったんじゃね)
(念のためだよ。それに万が一の保険だし)
薄暗い森の中を兄妹で透明マントの中に入った状態で歩きながら言う。
その後、分かれ道にさしかかったところで、ハリーは一人でヴォルデモートがいるであろうところに向かうと言った。彼自身、私たちが後ろからついていくのにも気づいているはずだ。
しばらく歩いたところで、ユニコーンの死骸があった。一度映画で見てるけど、実物はやっぱりグロいなぁ。
そう思った直後、ユニコーンの後ろから黒い影が現れた。まがうことなきヴォルデモートである。私とお兄ちゃんは透明マントを脱ぎ、叫んだ。
「エクスペリアームス!(武装解除せよ!)」
当たったかと思ってみるが、防がれたみたいだ。ハリーは驚いて腰を抜かしてしまっている。それもそのはずである。この男の殺気は伊達ではない。
(どうする、お兄ちゃん。奇襲がバレてたし、このままだとジリ貧だと思うけど)
(しょうがない、ハリーだけ守ることにするか。ここでカタをつけたかったんだがなぁ)
そう思ったところで蹄の音が聞こえてきた。恐らくケンタウルスが来てくれたのだろう。私とお兄ちゃんは急いで透明マントに潜り込んだ。
ケンタウルスがヴォルデモートを追い払ったあと、しばらくしてハグリットたちが来てくれた。もう少しタイミングが早かったら、皆殺しにされてたかもだから、このタイミングでよかった。
帰りながら、ハリーが聞いてきた。
「ねぇ、さっきのって……」
それに答えたのはお兄ちゃんだ。
「よく分からないまま攻撃したが、恐らくヴォルデモートだろうな。ケンタウルスが来てくれて助かった」
「でも、ヴォルデモートがあんなところに……」
「あくまでも予想だよ。どっちにしろ、あのままだったら殺されてただろうな」
「二人でも無理なの?」
と聞くのはハーマイオニー。
「しばらく足止めすることぐらいはできるだろうけど、倒すのは無理だよ」
(倒すのはハリーの仕事だし)
(確かにそうだな)
でも、私は内心怒っていた。誰にか。ヴォルデモートにである。私の可愛い大事なハリーにケガを負わせようとしたのだから。今度会ったら、ただじゃおかない。
呆れたような表情で四人が私を見てきた。
「え? どうしたの?」
答えたのはお兄ちゃんだ。
「心の声のつもりなんだろうが、丸聞こえだったぞ……」
恥ずかしい。まあ、実際その通りなんだけどね。とりま、ヴォルデモートは次会ったら、ぶっ殺す。私はそう今度こそ心の中で呟いた。
(無茶はするなよ。お前がケガしたら困る。ヴォルデモートのことだから、ケガで済むとも思えないが)
(分かってるってば。あと、お兄ちゃんには悪いけど、四階の廊下には私一人で行っていい?)
(どういうつもりだ? 死ににいくのか?)
(違うの。もちろんハリーたちには来てもらうよ。それまでの罠は一人じゃ無理だろうからね。だけど、私一人でヴォルデモート相手にどこまで通じるか、試したいの)
お兄ちゃんは真剣な眼差しで答えた。
(ダメだ。何かあったら、どうする)
(大丈夫、私、失敗しないので。なんちゃって)
(お前、前世のネタを拾ってくんなよ。著作権的に危ないだろうが)
(お兄ちゃん、それ以上はメタいからダメだよ)
(ま、いいや。そこまで自信があるのなら生きて帰ってこい)
私たちが小さく微笑み合ったときには寮の前に着いていた。今年最後の決戦のときが着々と近づいてきた。
(やめろ。そのフリはダサい。もうちょいマシなのにしろ)
(やっぱりダサいかな。カッコつけてみたつもりだけど)
今回はここまでです。次回から賢者の石の最終章になるかと思います。下手くそな作品ですが、どうかよろしくお願いいたします。感想、評価がいただけたら非常に嬉しいです。ぜひお書きください