ハリーポッターと転生の双子   作:黒い柱

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まさかの年末年始の更新です。よろしくお願いします


狂ったブラッジャー~動けない私の苦悩~

 ハロウィーンの翌日から生徒たちの間で「秘密の部屋」というフレーズを聞かない日はなかった。もし、このホグワーツにTwitterのようなものがあったら、確実にこの言葉はトレンド1位になっていたことだろう。

 さて、この事件において容疑者候補のナンバーワンとして疑われているのは私の兄であるマーティン・ウェリスである。ダンブルドア辺りは騙せなかっただろうが、彼の事件直後の大根芝居はホグワーツの生徒に自分を犯人と思わせるには十分なものであった。それに加えて超強力な魔力、生徒全体を掌握するカリスマ性(笑)、そして純血の家系。この3つが我が兄=犯人説をより強くしていた。まあ、それすらも彼の狙い通りだろうが。

 そんな訳でお兄ちゃんはほとんどの生徒から避けられていた。ハリーたちに迷惑をかけないようにするためか、グリフィンドール内でも誰とも接していないようだ。

 クィディッチ初戦の試合前、ハリーが私に心配そうに聞く。そういえば、確かここでハリーの腕がブラッジャーとロックハートの魔法により文字通り骨抜きにされてしまうんだっけ。

「ねぇ、ユラナ。マーティンは大丈夫かな?」

「うーん、たぶん大丈夫とは思うけど?」

 彼は今もなおボッチ飯を決め込んでおり、周りには誰も近づいていない。

(ねぇ、このまま孤高を気取るなら止めはしないけど、メリットはないわよ)

 念話呪文で呼びかけると、彼は小さく笑った。

(気にするなよ。この状況は俺にとっては好ましいものだ。これで君たちに迷惑をかけるようなら申し訳ないが、しばらくこのままでいさせてもらうこととしよう)

 その声がどこか切なく聞こえるのは気のせいだろうか。彼には私、いや他の人間は等しく必要ないと言われてるような気がしてしまう。でも、それは認めたくない。私は妹として、同じ転生者としての運命を背負う者として側にいたい。今はその思いも彼には届かないかもしれないが……。

「……ラナ、ユラナってば!」

 考え込んでいた私を呼び起こしたのは、ハーマイオニーである。いつの間にか他の生徒たちは昼食を済ませている。

「どうしたんだい? ボーっとしちゃって」

 そう言うのはロン。

「大丈夫。ハリーはもう試合?」

「うん。でも、大丈夫なの? あなた、完全に意識なくなってる風に見えたわよ」

「本当の本当に大丈夫。心配かけてごめんね」

 この二人に余計な不安を抱かせる訳にはいかない。私は軽く笑って競技場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 試合はグリフィンドールがリードしている。しかし、彼らはかなり焦っていた。選手を箒から叩き落とすブラッジャーがシーカーであるハリーだけを狙い続けていたからである。

「誰かがブラッジャーに細工したんだわ!」

 ハーマイオニーが叫ぶ。ハリーはスニッチを狙う以前に追ってくるブラッジャーから逃げ回るのに精一杯だ。そして助けを求めるようにグリフィンドール生の何人かが私を見る。

「ごめんだけど、私じゃどうにもできないわね。魔法で止めるには狙いの動きが速すぎるし、無理に当てようとしたらハリーまで巻き込むかもしれない。何よりルール違反だわ」

 これって確かハリーがスニッチを掴んで勝利するんだよね。黒くて硬い物体(下ネタではない)から逃げながらよくあんな小さいやつ(下ネタではない)を掴めるよね。本当に超人的な動体視力だわ。

「……ハリーを信じるしかないよ」

 私は独り言のように小声で呟いた。これって確かドビーの仕業のはずだ。彼もハリーが大好きで善意でやってることに間違いないから、私もこれは責められない。

 それからしばらく経って、ハリーは隙を狙ってスニッチに近づいた。全員が手に汗握るこの瞬間。自分はクィディッチにそんなに詳しくはないが、ここが正念場というのは分かる。その一瞬をハリーは一気に突いた。

 爆発的歓声がスタジアムに響き渡った。ハリーがスニッチを掴んだのだ。

 しかし、それも一瞬で止んだ。それと同時にブラッジャーがハリーの腕に直撃したためだ。そして、ハリーがロックハートの魔法によって骨抜きにされるというのがシナリオだ。すぐに医務室に連れていくべきではあるが、なぜか私の足は動かなかった。それはなぜなのだろうか……。

〔原作を壊すまいと悩む君の姿、非常に興味深いね〕

 脳内に居座るクリファナの声が聞こえる。

〔私はどうすべきなのかな。今更こんなこと気にしなくても私というものが存在する以上どうにもならないんだけどさ〕

〔それは自分で考えなよ。君の身体をコントロールできるのは君だけだからさ〕

 彼女はそう言って微笑んだ。その微笑みはまさに女神と呼ぶにふさわしいものだった。

 多くのグリフィンドール生がグラウンドで倒れるハリーに駆け寄る中、私がしばらく動かずにいた結果、ハリーは原作同様、ロックハートの魔法によって腕の骨を失ってしまっていた。

 私はハリーが傷つくのを止められなかったことを悔やむべきか、原作通りにいったことを安堵すべきだったのか、今はそれすらも分からなかった。

 

 

 

 




ボリュームは少しありませんが、とりあえず続きを書きました。評価やお気に入り登録していただければ幸いです。次の更新がいつになるか分かりませんが、今後もよろしくお願いします。
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