イギリスへの旅立ち~やべぇ道具とともに~
side マーティン・ウェリス
月日が経つのは恐ろしく早く俺と妹のユラナが転生されてからあっという間に10 年が経った。高校生活もあっという間だったけど、転生した魔法界での時間も早い。
いや、高校生活はまだ終わってなかったな。交通事故のせいで強制的に幕が落とされただけだな。
「なぁ、ユラナ。いったいいつ俺たちはイギリスに行けるんだろうな」
すっかり流暢になった英語で聞く。
「分からないわ。でも、父さんがスネイプやルーピンと話していたから、もうすぐかもね」
俺たちの父、ブライアン・ウェリスはなぜかハリーポッターの重要人物であるスネイプやルーピンと仲がよく、ヴォルデモート関係のことでよく話している。アメリカに来てもらうのではなく、イギリスに仕事で行ったときに話しているのだ。ときどき二人からのお土産が届いたりもする。
それにしてもこの父は何者なんだろうか。ダンブルドアにここまで信頼されているとは。
そう思っていたところで、俺たちの部屋のドアがノックされた。
「マーティン、ユラナ! イギリスに行くことになった! 明日までに準備をしといてくれ」
……急過ぎじゃありませんか、お父様。いや、ハリーポッターの仲間たちに会いたいから行くけども。
「どうして急に?」
ユラナが聞く。
「ダンブルドアから要請があった。ジェームズとリリーの息子がホグワーツに入学するんだと」
「彼を守れ、ということか?」
俺が言う。
「ああ。もちろん、俺には俺の仕事があるから、四六時中見守ることはできん。だから……」
「私たちを使って、彼の観察をしてもらうという訳ね」
ユラナが言うと、彼は頷いた。
「そうだ。さすが二人とも、俺たちの子どもだ。話が早い」
俺は心の中で苦笑いする。小説や映画を見た限り、ハリーポッターら仲良し三人組は厄介事に巻き込まれるのが定番だ。楽しいけど、面倒臭いことになりそうだ。
side ユラナ・ウェリス
お兄ちゃんが言う通り、面倒臭いことになりそうね。なんで彼の考えが分かるかというと、無言呪文で開心術を使ってみたから。
十代で開心術とかが使えるのは異常かもしれないけど、底の知れない私たちの父さんブライアン・ウェリスに英才教育を叩き込まれたから、ある意味仕方ないわね。それにホグワーツに行ってから楽になりそうだし。
そんなことをしているうちに一日は過ぎ、出発の日が来た。
もちろん、移動に飛行機や船を使うのではなく、ポードキーとかいう、魔法使い専用のやべぇ移動手段を使うことになっている。
箒はそこそこ好きだけど、これはやったことがないのよねぇ。
「お兄ちゃん、これって握っているだけでいいんだよね?」
それに答えたのは母のエレナ・ウェリスだった。よく見たら、彼も怖そうにしている。
「大丈夫よ。私たちが合図するまでに手を離さなければ」
母さん、父さん、私、お兄ちゃんの順でポードキーに触れた瞬間、とんでもなく強い力で何かに引っ張られた。そしてぐるんぐるん振り回されているうちに目的地に着いた。
これは乗り物酔いはしないけど、できれば二度と乗りたくないわね。そうとしか私には思えなかった。
やべぇ道具、ポードキーによって落とされた場所は映画で何度も見た賑やかな場所、ダイアゴン横丁だった。
「よし、着いた。ここがダイアゴン横丁だ」
いやこんな賑やかなところでこれ使っちゃ駄目でしょ。そう思ったが、魔法の世界ならそれも許されるらしい。
「こっからは案内人を呼んである。もうすぐ来ると思うから、ちょっと待ってな。じゃ、俺たちは用事があるからダンブルドアのところに挨拶しに行くわ」
そういうと同時に姿現しでどこかに行ってしまった。魔法がある程度使えるとはいえ、十一歳の子どもをこんなところに置いてきぼりにするか、フツー。
しばらく待っていると、大きな声が聞こえた。
「すまんな、遅れて。俺はハグリット。お前らの両親から案内してくれと言われたよ」
と現れたのは、大男ハグリットであった。
「はじめまして。ブライアン・ウェリスの息子、マーティン・ウェリスと言います。よろしくお願いします。こっちは妹のユラナです」
お兄ちゃんが私の分まで自己紹介をしてくれる。
「別に敬語じゃなくてもいい。これからよろしくな」
すると、横に隠れて見えなかった男の子が声をかける。
「ハグリット、案内する人ってこの人たちのこと?」
「おう、そうだ。これから一緒にホグワーツに入学する人たちだぞ」
その眼鏡の男の子を見た瞬間に私は言葉を失った。お兄ちゃんも「マジか……」とか言っている。
「僕はハリーポッター。よろしくね」
物語の主人公と早速かち合ってしまったことに私たちは呆れるしかなかった。
ついにハリー登場!
物語が少しずつ動いていくと思います。
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