side マーティン・ウェリス
食事を食べきった後にダンブルドアから四階の廊下に近づくなというお達しがあった。俺としてもそこに何があるのかは当然分かっているが、分かった上でどのように立ち振る舞えばよいだろうか。
(賢者の石があるんだよね?)
ユラナの念話呪文による声が聞こえる。寮に帰る途中のことだ。
(ああ。で、どうする?)
(どうするって……。私たちなら切り抜けられるんじゃない? 罠の内容も知っているし)
(そうだよな。まあ、まだ時間は十分にあるし、しばらく考えてみるよ。何かいいアイデアがあったら、教えてくれ)
そう言って俺たちは念話呪文をオフにした。
「お疲れ、マーティン」
話しかけてきたのは、ハリーである。
「ありがとうな。それにしても一緒の寮になれてよかったよ。これからよろしくな」
「それにしてもさ、四階の廊下に何があるんだろうな」
そう言ってきたのは、ロンである。
俺はもちろん正体は知っているが、それを今言う訳にはいかないだろう。とりあえず、分からないふりをしておこう。
「何があるのかは知らんが、ダンブルドアが俺たちをケガさせる訳がないだろう。まあ、普通に過ごす分には大丈夫と思うよ」
その後、寮の中へそして、寝室へ向かった。その最中、俺は今後すべきことを考える。
今の俺は年齢のせいもあり、まだ大して強くはないだろう。もちろん、一年生のレベルは優に超えている。それでも、ダンブルドアやヴォルデモートといった格上と当たったら、勝ち目は薄いだろう。現に父のブライアン・ウェリスにはユラナと二人で挑んだにもかかわらず、あっさり敗れてしまった。
みんなが死ぬような最悪な未来を避けるには、俺が誰よりも強くなるしかない。ダンブルドアやヴォルデモートを凌ぐほどのものが必要だ。
そんなことを思いながら、眠りについた。
それは懐かしい光景だった。ユラナと二人の友達、そして俺の四人でショッピングモールにいるのだ。三人とも笑っているが、俺にはこのあとの展開が読めてどうしても顔が曇ってしまう。それでも、今の俺には魔法がある。なんとかできる自信があった。
車が轟音とともに突っ込んでくる。妹が二人を庇おうとする。そして俺は三人を守るために杖を取り出し、盾の呪文を唱える。そのはずだった。
が、杖がない。もちろん、魔法を唱えたところで、何も起こらない。まずい。このままだと、妹が死んでしまう。しかし、全身金縛りにあったかのように俺の身体は動かない。そして……。
残骸とともに倒れていたのは、妹の身体だった。周りの音が止まる。俺はどうなってしまうんだ。金縛りをかけられたまま、俺の思考は闇に沈んでいく。負の感情ばかり積み重なっていく。抵抗する気持ちすら、手放そうとしていたときだった。
「マーティン!」
ハリーの声が響いた。
「……。ハリー? どうしたんだよ? そんな大きな声出して」
今は多分二時ぐらいのはずだ。
「君、すっごいうなされてたよ。大丈夫?」
俺は苦笑いする。まあ、あんな夢を見ればな。
「いや、大丈夫だ。さ、寝ようぜ。明日から授業もあるしな」
ハリーは頷いて床に入った。俺も毛布を被る。
「あのときの二の舞にはならない」
前世と比べて明らかに小さい自分の拳を握りながら呟き、俺は眠りについた。
side ユラナ・ウェリス
ついにホグワーツでの授業が始まる。緊張よりも楽しみの方が勝っている。なんせスネイプ先生の授業を受けれるんだから。
「楽しそうね、ユラナ」
ハーマイオニーが言ってくる。
「もちろんよ。あなたもでしょ、ハーマイオニー」
彼女は優しく微笑んだ。う~ん、可愛いっ!
「そうね。緊張しているけどね」
最初の授業はマクゴナガル先生の変身術の授業だった。原作と同じような説教で始まったので、ほとんど話を聞かずに、念話呪文でずっとお兄ちゃんと話していると、
(お前、肝心なところはちゃんと聞いとけよ)
と怒られた。
(大丈夫だって。私がこんなことするのは、つまらない話かお説教のときだけだからさ)
と言うと、お兄ちゃんからため息が聞こえてきた。
理論をノートに取った後に、マッチを針に変えることになった。私とお兄ちゃんは一分もかからずに、それは成功したため、他に配られた予備のマッチをナイフやクナイに変化させていると、それに驚いたマクゴナガル先生がグリフィンドールに20点を与えてくれた。
その間、私たちと同じように針に変えれたハーマイオニーは私たちを微妙な目で見ていた。なんか、ごめんね。
その後、午後には、魔法薬の授業があった。みんなはスリザリンと一緒なのが嫌だったみたいだが、私としてはとても楽しみだ。スネイプ先生に会えるんだから。
地下の教室に入った後に、スネイプ先生の大演説が始まった。
やっぱり、カッコいいなぁ。あのミステリアスな感じが何とも言えないわ。
私が見惚れていると、スネイプ先生は突然、
「ポッター!」
と叫んだ。うわ、びっくりした。
「アスフォルデの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になる?」
ハリーは分かっていないようだ。ハーマイオニーが手を高く挙げるが、それをスネイプ先生は無視している。
にしても、凄いツンデレだなぁ。
その後、何を聞いてもハリーが答えられなかったので、その矛先はなぜか私に向いた。
「ミス・ウェリス。貴様はどうだ?」
「えー最初の問いの答えは『生ける屍の水薬』になりますね。引くほど力が強いので、そんな風に呼ばれてます。んで、ベゾアール石は山羊の胃から手に入ります。大抵の毒薬に効く非常に便利な品です。モンクスフードとウルフスベーンは同じ植物です。トリカブトとも言いますが、脱狼薬の製造に使われます。しかし、非常に難易度が高い薬なので、それを煎じられる魔法使いはほとんどいませんね」
辺りが静かになる。
「なるほど、見事な説明だ。ブライアン・ウェリスが自慢気に語るほどはある。しかし、なぜその説明をノートに取らない?」
スネイプ先生が言うと、慌てて全員メモを取り出した。
(お前、つまらないことは聞かない主義じゃないのかよ)
(スネイプ先生の話はつまらなくはないわ。それにハリーには早く彼を信頼してもらいたいから、なるべく距離を詰めておきたいのよ)
(ま、頑張れよ)
お兄ちゃんは呑気に答えた。
その後、ネビルがおできを治す簡単な薬の調合に失敗し、医務室に連れていかれて、その中グリフィンドールに減点したため、彼らはムカついていたが、私は距離を少し詰められたので、満足していた。
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