艦これの小説   作:猫又提督

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日常みたいな話


登場人物
提督・・・提督。艦娘の前だと結構厳格らしい。曙の前では素で接する。素のときはまるで正反対。大淀の前で      もたまになる。曙とケッコンしてる。

曙・・・ここの曙は提督のことを『クソ提督』って言わないし罵倒もしないとっても優しい娘。趣味は釣り。
    提督とケッコンしてる。

大淀・・・提督の秘書艦。提督に自分の前でもいつも素で話してほしいと思ってる。


曙と

「一三〇〇…演習まであと3時間あるか…。大淀すまんがしばらく空けるぞ。」

 

「了解しました。」

 

執務室の隣にある私室の扉を開けてそれからすぐ左手にある扉を開けた。

扉を開けた先は壁、入って左に下へと続く階段がある。私室の扉の鍵が閉まっていることを確認して階段を下っていく。

 

階段は薄暗く、時々ついている豆電球が照らすのみ。降りていくとだんだん波の音が聞こえてくる。

出口が見えた。扉はなく、それっぽく施された門みたいなのをくぐると、そこは洞窟だ。

洞窟と言ってもせいぜい深さは7,8mほどだし今、自分がいるところがこの洞窟の最深部になる。

さらに足場となる部分もせいぜい2,3mで、そこから先は海だ。

この洞窟は洞窟というだけあって一つの空間であり、それほど深くもないので外の光が入ってくる。

そして、地味に外からは見つけにくくなっているので未だこの場所を艦娘たちに知られてはいない。

この場所を、知っているのは自分の他に大淀と…

 

「どう?釣れてる?」

 

「うわっ!びっくりした…。」

 

彼女、曙だ。

 

「見ての通りよ。」

 

洞窟の入り口から数mほど桟橋のようなものを作っており、彼女はそこで釣りをしている。

彼女の横においてあるバケツには魚が数匹入っている。自分はあんまり魚には詳しくはないが、TVで見るような魚ではない。

 

「これ何?」

 

「カタクチイワシよ。」

 

カタクチイワシ…名前は知っていたが実際に見てみると結構小さい。

 

「小さいね…。」

 

「ココらへんはあんまりあなたが知っているような魚はいないわよ。というか、魚自体あんまりいないと思うわ。」

 

「え、そうなの?」

 

「私も最初は結構いると思ったんだけどね。ま、もともと暇つぶしで始めたようなものだし。」

 

「その割には結構気に入ってるように見えてるけど?」

 

「そうね。今じゃれっきとした趣味ね。」

 

「ふーん?」

 

曙の後ろ洞窟の入り口からすぐ右にちょっとした窪みがありそこに4人程座れる椅子とテーブルがある。

そこに座り一息つく。

 

「てかさー。」

 

「なにっ?」

 

自分が声をかけると釣り竿を降って針を遠くに飛ばしながら曙が反応する。

 

「また霞に罵られたんだけど。」

 

「また?」

 

「そ。霞の前ではなんの反応もしてないし怒りもしないけどアレめっちゃ落ち込むねんな。」

 

「そりゃそうでしょうね。あたしもあんなこと言われたらへこむわ。それにあんたは怒んないんじゃなくて怒れないんでしょ。」

 

「ん、ま、まあそうだけど……。」

 

そう、自分は人に対して怒れない。なんでかはよく分からないがいくら自分に何されようがなんとなく怒る気分になれない。流石に別の人を虐めてたりしたら少しは怒るがあんまり怒っているようには見えないと前に曙に言われた。

 

「ああー、本でも取ってくるかな…。曙ーなんか飲み物とかいるー?」

 

「ん、じゃあお茶を貰おうかしら。」

 

「おk。じゃあ、取ってくるわ。」

 

「ペットボトルので構わないわよ。」

 

「あいよー。」

 

椅子から立ち上がり階段を上って私室に入る。読みかけの本と曙用のお茶を取ってまた下りようとする。

 

「あ、そうだ。…大淀。」

 

私室の扉を開けて大淀に一言伝える。

 

「何でしょう。」

 

「私は下にいるから演習の30分前になっても戻ってこなかったら自分を呼びに来てくれ。」

 

「了解しました。」

 

大淀に伝えてまた階段を下りる。

 

「はい。」

 

「ありがと。」

 

ふとバケツを見るとカタクチイワシが一匹増えてた。

 

「あ、釣れたの?」

 

「ついさっきね。今日は結構釣れる日よ。」

 

「そうなの?」

 

「ココらへんは魚はほとんどいないからこんなに釣れる日はめったにないわ。1日中釣って坊主の日がほとんどよ。」

 

「ふーん。」

 

「これぐらい釣れれば今日の夕飯のおかずにはなるんじゃないかしら?」

 

「お、マジで?久しぶりの曙の手料理じゃん。」

 

「言ってもカタクチイワシで私が作れるのなんて天ぷらぐらいよ。」

 

「それでも手料理は手料理だよ。」

 

「あらそう。」

 

会話が終わり、曙はお茶を飲み自分は椅子に座り本を読む。この場には今曙と自分しかいない。その二人はずっと黙ってるので聞こえてくるのは外の波の音や、規則正しく洞窟内を叩く波の音だけだ。

 

 

 

「…ねえ。」

 

「ん?何?」

 

本を一旦閉じる。自分は同時に二つのことをすることができない。だから会話をするときには会話にしか集中できないし、本を読むときには本を読むことにしか集中できない。

 

「今日の演習って他の鎮守府のわたしが来るんでしょ?」

 

「ん…あー、そう言えばそうだね。」

 

「どうなのかしら。」

 

「どうって?」

 

「いや、ほら艦娘って、たくさんいるから同じ名前の娘がたくさんいるじゃない?それで、同じ名前でもちょっと性格に違いがあるって聞いたことがあるから。」

 

「ああ、他の鎮守府の曙か…。噂で聞いた限りでは、出会い頭に『クソ提督』って呼んでずっと罵倒してくるって聞いたけど…。」

 

「何それ。わたしは出会い頭に人を貶したりしないわよ。」

 

「霞とか満潮には出会い頭に罵倒されたけどね…。霞には『クズ』って言われたし……。」

 

自分は曙以外にはそこそこ厳格な態度を取っているが素の自分はかなり気が弱い。ちょっとした注意だけでもまいると言うのに悪口、ましてや罵倒されたりしたらもう泣きたくなる。

現に今、霞との出会いを思い出してちょっと泣きそうだ。

 

「…そういえばそうだったわね。わたしもびっくりしたわ。あのときあなたが心配になったけど、案の定後でめっちゃ落ち込んでたわね。」

 

「あんときはマジで辛かったわ。ガチでちょっと泣いたし。」

 

あのときは曙が『大丈夫よ。気にしないの。私が後で言っとくから、ね?』と言って慰めてくれた。おかげで『クズ』とは言ってこなくなったが、罵倒は止まらなかった。……過去になんかしたのだろうか。聞こうにも罵倒が怖いのでなにもできないが…。

 

「…別の私そうなのかしら。」

 

「まあ、火のないところに煙は立たぬって言うしなあ。」

 

「針小棒大じゃないの?」

 

「ぬー、確かにそいう可能性はあるね。」

 

「……気になるしわたしも演習ついていこうかなぁ。」

 

「あ、そう。えーとじゃあ演習が16時からだから…あー時計ねえなぁ。でも、ここに時計つけたくねえしなあ。…ま、時間になりゃあ大淀が来るしそれでいっか。」

 

「じゃあ、わたしもついて行かしてもらうわ。別のところのわたしにちょっと興味湧いてきたし。」

 

「曙が一緒に来るとつい、素が出てきそうで怖いなぁ。」

 

「いいじゃない、別に素でも。」

 

「いやぁ、やっぱ提督になったからにはちょっといかつい感じがいいかなぁと。…それに今更バラすのはなぁ。」

 

 

「あなたとケッコンして初めて素で話されたときは心底びっくりしたわね。でもわたしはどっちのあなたも好きよ?素のほうも見せかけのほうも。」

 

「そう言ってくれると嬉しいよ。さーて曙が来るんじゃあいつもより気を引き締めとかなきゃな。」

 

「別に素でいいのに…。」

 

「素の自分は曙だけに見せたいからねー。」

 

「…ふふふ。それは嬉しいわ。あ、でも大淀さんにも素で話しかけるじゃない?」

 

「そ、それは曙がそばにいるからさ。いつもはちゃんとしてるさ。」

 

「ふふ。あらそう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

コツコツコツと階段の音が聞こえてきた

 

「提督。そろそろ演習の準備を…。」

 

「ん。おk。今からそっち行くわ。…曙ー行くぞー。」

 

「はいはい。ちょっと待ってね…。」

 

大淀が呼んできたので読みかけの本に、栞をかけて閉じ曙に声をかける。

曙に声をかけると、ちょっと急ぎ目に釣り道具を片付けはじめた。

 

「よし、じゃあ私も手伝うかね。大淀、ちょっと本持ってて。」

 

「分かりました。」

 

本を大淀に預けて曙に近づく。

 

「曙。バケツ持つよ。」

 

「ありがとう。」

 

バケツの中身を見ると、曙にお茶を渡したときから数が変わっていない。あれから釣れなかったようだ。

 

「っほ。」

 

曙が片付け終わり道具を肩にかけたのを見計らってバケツを持ち上げる。

 

「よし、上あがるか。」

 

自分、曙、大淀、の順番で階段を上がっていく。

 

「よっこらせ。うし…曙、道具そこら辺に置いといていいよ。どうせ後で片付けるし。」

 

「ん。」

 

曙は適当に壁に釣り竿をかけ、その隣に道具の入った箱を置く。

 

「よしとじゃあ、行きますか。」

 

大淀から受け取った本を机に置き、扉のドアノブ手をかける。

開ける前にちゃんと顔をいつもの顔になっているのを意識し扉を開ける。

 

そのまま執務室の扉も開け、三人は演習場へと向かっていった。

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