リリカルな超次元蹴球 作:平丸
あの、血の熱血パンチ事件から2ヶ月ぐらいがたった。
急いで家に帰り、マザーに病院へ連れて行けと言った時のマザーは恐ろしかった。
マザーは、 電気は消して眠る人間なので部屋の中は闇に包まれている。
だというのに、 何故かマザーの整った顔だけはハッキリと見えた。
何を言ってるのか理解できないだろうが安心してほしい。
僕も分かってないから。
まぁ、きっと俺みたいな転生特典持ちなんだよと自分に言い聞かせた。
俺みたいな転生特典持ちなら、どうせまともに使えないゴミ恩恵だから、怖くないわ!
そんな感じでマザーに対する恐怖心を和らげようとする事しか俺には出来なかった。
しかし実際は闇に蠢くダークマザーに対して、蛇に睨まれた蛙の様に気づけば思考さえもが止まっていた。
これ以上、 マザーを怒らせてはいけないと子供に備えられたシックスセンスの様な衝動にかられたのだろう。
『まもる? ……………何でそんな怪我をしているの?……… 』
『いや、これは…………
寝て起きたらこうな……ッテタンダヨーママー』
『何言ってるの?まもる。この家は、確かに木造建築だけど…… まもるの力で壊れるほど弱く作ってる訳ないじゃない。 あなた、こんな夜遅くに勝手に出歩いたわね? 』
『いや、此れは……』
地球を守る為だなんて言葉を続けようとしたが、そんな事を言える訳が無かった。
『勝手に行動したら駄目だと行ったわよね? 何で、 約束を破ったの?』
『いや、その………… なんか、すいません』
『良いのよ、まもる。 私との約束は破っても。だけど、罰は必要よね?取り敢えずその怪我が治るまでは 外出禁止。それと、私の目の届く範囲以外に行ってはダメよ』
『え……』
『はい、じゃあさっさと病院に行きましょうか。お母さんは眠いわ 』
こんな会話の結果。
病院に行き医者から全治2ヶ月との言葉を受けてしまい俺は二ヶ月の間何もすることが出来なかった。
それから本当に二ヶ月の間は監視され続けた。
当然神様との約束は、全く果たされている訳がなかった。
ここまで立て続けに怪我をしすぎた俺は、流石に親に怪しまれるか呪われた子なのでは無いのかと判断されて捨てられる可能性が微レ存だったので必死に5歳児を演じ切った。
その甲斐あってか、捨てられる事もなく怪我が完治したので外出も許可された。
つまり、また超次元技の練習が出来てしまうのだった。
この二ヶ月の間に俺は、考えた。
考えて一つの結論に至った。
それは、物理系統の超次元技には、俺の身体が耐えられないという事だった。
初めは、 作用反作用の法則が働いた為に、力を加えた向きと反対方向にある自身にも同じ力が加わってしまい大怪我をした。
これにより神様(仮)は出力を抑えたみたいだけど、結局浅くはない傷を負ってしまった。
たった2回しか使っては無いが、超次元技と俺の身体が合っていない事は、このたった二回でハッキリと理解できた。
だから、この二ヶ月の間。
俺は別の方向性にかけるしか無いと思い、 新たな可能性を見出した。
其れが、ペンギンだった。
皇帝ペンギンという必殺技がある。
この技は、転生特典としてある超次元技の知識からでも理解が出来ない必殺技だった。
何故、ペンギンを呼び出せ。
何故、ペンギンを添えたサッカーボールを一緒にシュートするだけで強い技が打てるのだろうか。
全く分からなかった。
マトモに技が出せないのだから、知識ぐらいはしっかりとしたモノを寄越せと神に言いたくなったが、 逆に俺は其処に可能性を感じていた。
ペンギンと共に技を発動するだけで必殺技が使えるのならば、ペンギンだけで攻撃させてもそこそこの攻撃力は得られるのじゃないのか、と。
此れを考えた時、俺はじぶんが天才かと思った。
幸い色んなペンギン技がある事は知識の中にある。
だから全員を呼び出して俺の代わりに攻撃して貰えれば、一切俺に害がない。
つまり怪我をしない、母さんに怒られる事もない!!(此処重要)
そんなこんなで俺は、何時もの裏山に来ていた。
人が寄ってくることもなく、人目を気にすることもない、人の土地に勝ってに侵入していた。
バレる事は無いだろうけど、そんなに長居をするのは宜しくない。
俺は、 多大な期待を込めてさっさと皇帝ペンギンを呼び出してみる事にした……
『来いっ!!皇帝ペンギン2号!!!』
指で輪っかを作り口笛を吹こうとする。
そんな特殊技術は持ち合わせてないので、空気が掠れた様な音しか出なかった。
失敗したか?…… そう一瞬思ったが、結果だけ言えば召喚に成功した。
地面の下から可愛らしく、ひょっこっと頭を覗かせるペンギンがいた。
ぴょこんと、地面から這い上がると腹に三日月のマークが入ったペンギンが一体俺の目の前にいた。
……俺から、よく分からない生き物が出て来た。
何か、 不思議な感動を覚えた。
だけど一つ、 不思議な点があった。
皇帝ペンギン2号はペンギンを五体召喚するシュート技だ。
ペンギンが四体足りないのだ。
俺は、何処かに隠れているだろうと探したが、全く見つからなかった。
『ええーと、他の子達は?』
『……ぺっ(おまえ程度の人間の為に、俺たちが全員出て来るわけねえだろうが)!!』
……なんか、そんなニュアンスが含まれてそうな感じでペンギンは地面に唾を吐いた。
『……』
何だこのペンギン、見れば見るほどふてぶてしかった。
ペンギンは、どこからか長細い魚を一匹取り出すと嘴で加えると俺を見た。
『ぺっ(おい、其処の出来そこない火ぐらい付けないか)』
『えぇ……』
俺は、ペンギンの鳴き声を聞き思わずそう呟いていた。
何故か、ペしか言ってない筈だというのにペンギンの言っている言葉が手に取れてわかる。
そのせいで余計にペンギンの俺を見下している事がよく分かった。
興味のない事だろうけど、生前の俺は他人から見下されやすかった。
そこまで、胸を張って生きていける様な人間ではない事は理解していたから前世では、当然の事だと自分に言い聞かせていた。
だけど今は違う。
俺は、生まれ変わったのだ。
初めから舐められていたら、 学生生活の初めで失敗した様な感じで暗いものになる(実話談)
何かもう、そんな感じになりかけているけど未だ修正は効く年齢なのだ。
それに、神に変な力を譲渡もされている。
その力で良く分からないけど、 とてもやばい(語彙力)災害を何とかしろみたいな事を言われたのだし、少しぐらい胸を張って生きても良いじゃないか。
ある意味、 この世界を守れコールを受けたみたいな物……じゃないけど、 捉えようによってはそう取れなくも無い様な事も無くないのだ。
俺は、 目の前にいる偉そうな青色の鶏冠をもつペンギンの前に立つ。
ペンギンが目の前に立った俺に対してメンチを切ってくる。
……ペンギンだとは思えない、殺気を感じる。
やっぱり文句を言うのは止めようと思ったが、自分の出した動物に舐められるのもいけないので、重い口を開いた。
『おい、ペンギン……お前は俺が生み出した存在なんだから、少しは主人を敬……』
『……ぺっ!!』
『………』
強気で言った瞬間に叩かれた。
まさか文句を言い終わる前に叩かれるとは……
思わず思考が停止してしまう。
『……はっ!、おいペンギン!! お前なぁ、俺は主』
『ぺ!!』
……又もや言い切る前に、ペチンッ!!と叩かれた。
『ぺ(中途半端にさえも力を扱えていない癖に、何が主人だ、 笑わせるなよ坊主)。』
そして、今度はペンギンの方からそんなニュアンスが含まれた【ぺ】を受ける。
これには、流石の俺もキレた。
『おい、ペンギン。……口の使い方には気をつけろ』
『……』
俺の雰囲気が変わった事に気がついたのか、 ペンギンは、 俺を睨み返す。
ペンギンが俺を見ているのを確認し、分かる様にゴットハンドの準備を始めた。
又もや、怪我してしまうのではないかと思うかもしれないが安心して欲しい。
俺はこの二ヶ月である技術を習得したのだ。
その技術とは、必殺技を発動だけさせてそのまま放置していると気付けば溜めていた気が何処かに霧散する技術(白目)だった。
……まさか放置していれば、何れ消えるとは思わなかった。
この事に気付いていれば始めの大怪我はしなかったのじゃないかと考えた時に悲しくなるので俺は技術を習得したのだと自分にいい聞かせていた。
この技術を使い、俺はペンギンを少しビビらせようとしていた。
一応、言っておくが絶対に打たない。
撃ってしまった瞬間、俺の拳が逝ってしまうからだ。
何となく拳に気を流すと光輝く。
『誰が、中途半端にしか使えない坊主だって?(真実)それが、本当かどうか、今から見せてやるよ!!(大嘘)ゴッドぉおお、ハンド!!』
言葉と共に、拳をペンギンに勢いよく前に出す。
決してペンギンには当たらないが、 この技の迫力が分かるようにギリギリの距離まで手を突き出した。
それを目にしたペンギンの目がほんの一瞬変化した。
もう遅いと、ニヤリと笑みを浮かべながらオーラの様なモノを掌に纏らせる。
本来の掌の十数倍に大きくなった掌は、強く空を切り、 風圧で ファサッとペンギンの鶏冠が強く揺れさせた。
これで、何となくこの必殺技の威力を感じてもらえただろう。
そう思いながらドヤ顔でペンギンを見た。
『…………』
全くペンギンは全くびびっていなかった。
ビビらないどころか、溜息さえも幻聴で聞こえて来るような気がした。
何で、こいつはこの光輝く拳を見てビビらないんだ!!
酷く焦った。
これが当たったら、骨の数本では済まない覚悟をしなければならないんだぞ?
まさかこいつ訓練されたペンギンなのか!?
そんな事を考えれば、考えるほどにペンギンが怖くなる。
……そしてそれ以上に発動してしまった腕をペンギンに突き出している事が恐怖以外の何物でもなかった。
『……』
『……』
嫌な沈黙が続く。
光を纏った掌のオーラが消え去るまで何もできない俺。
対してその拳を見つめ続けるペンギン。
最早、俺の命運はペンギンが握っていると言えた。
少しでもペンギンがこの腕に何かしようとして触れて仕舞えば、俺の腕は終わってしまう。
……なんで、こんなどうでも良い事にムキになって必殺技を発動したんだよ、おれぇ。
こんな、少し目付きの悪いただの鳥類相手に何故ムキになったんだよ……
俺は、そう後悔しながら最悪ペンギンに土下座を行う事も辞さない覚悟でいると拳の光が沈み始めた。
光の量から見て、あと数秒くらいすれば無事に必殺技が消えてくれる。
俺は、ホッとしながらペンギンから離れようとした時だった。
『…ぺっ!!』
ペンギンが俺に前蹴りを放ってきたのが目に見えた。
……いや、少し違った。
ペンギンが前蹴りをしていると気づいた時。
尋常ではない威力の蹴りの衝撃を食らわされていた。
ペンギンの蹴りと触れた部分は、もう少しで、光が消えそうだったゴッドハンドを付与した拳だった。
力負けした拳は俺を置いて上へと飛んでいく。
地につけていた脚は地面と離れ、気づけば空高く浮いていた。
何を言っているか分からないだろうが、俺が一番分からなかった。
『ぇ.』
これ以上の言葉は出ず、何もできないまま、俺は空中旅行を楽しむことになるのだった。
『ぺ(やれやれ、とんだ雑魚に呼ばれてしまったものだぜ)』
右足を軽く引き摺りながらペンギンは、山から離れていくのだけが小さく見えた。
声なんか聞こえないのに、何かそんなニュアンスが含まれた言葉を耳に入れながら俺は、ロケ○ト団の気分で何処かへと飛ばされるのだった。
……嫌な感じとは言わなかった。
其れだけは、言っておこうと思う。
海が鳴る町。
こんな噂が流れるようになり、この町がそう呼ばれる様になったのかは分からないが、 そういう事だとしよう。
この町には公園があった。
公園には、一般的に児童用の遊具とする物が幾らか並んでいる。
そんな遊具の一つ、振り子を参考にして作られた形のブランコに一人の少女が揺られていた。
少女を振り子とし、 流れに任せて力を込めると振り子の揺られる角度も大きくなっていった。
振り子が揺れると、繋いでいる鎖が軋み嫌な音を鳴らしている。
不快な音を耳に入れながら。
ゆらゆらと揺れていると振り子の動きが徐々に小さくなっていく。
ただの遊具に対して思う事ではないが、生産性は無く寧ろ不快でしかない行為であった。
少女は、子供ながらそう考えていた。
まるでこのブランコと同じ様に現状を変える為の努力をしたとしても結局、無駄に終わる。
また、無駄に終わらなかったとしても、少女が何かをしてしまったが為に、誰かを不快にしてしまうのではないか。
頭の良い少女は、 自身の無力さを味わい自身の思いを殺し続ける。
これが最も誰にも迷惑をかけずにいられる最適解なのだと結論づけて、日々を過ごしていた。
空を見ると薄っすらと暗い。
今日も一日が終わる。
私は、また一日 一人で過ごす事が出来た。
そう、思いながら空を仰ぐと心まで暗くなりそうになる。
雨は降っていない。
だというのに、自然と目から雫が零れ落ちそうになる。
少女は、ただ茫然と空を仰ぎながら遊具に揺られる事しか出来なかった。
そんな少女から少し離れた位置に一人の少年がいた。
髪色は、茶髪。
憶測でしかないが、おそらく少女と同じくらいの年齢だと思わされた。
『…………幼女時代のなのはぁ、 はぁはぁ、』
少年の顔の造りは異常と言えるほどに整っている。
しかし、今の少年にはそれが無く不気味な笑みを浮かべていた。
『………いま、 行けばぁ なのはと、
ぐへへへぇ…… 』
何かの覚悟を決めた少年。
少年は、少女へとゆっくりと足を進め始めた。
一歩足を前へ進むほどに、少年の口から無意識で溢れる吐息は粗いものとなって行った。
もしも、少年が少年では無く汚いおっさんであったのであれば、とてつもなく危ない状況だったのであろう。
しかし、少年は少年で美少年ですらあってしまった。
それ故に、 日が沈み周囲が暗い現状であっても不思議と絵になっていた。
今の少年の行動を目にした人間達は恐らく、 気のある少女に話しかけようとする少年に見えていたのだろう。
そう人間達は、だ。
『ペッ!!』
息の荒かった少年は、 背後からそんな鳴き声がが聞こえた。
しかし少年は、その鳴き声に対して一切反応をせず少年の小さな肩に手を伸ばそうとした瞬間だった。
『はぁはぁなのはぁ…ぐぺえっ!??』
少年は、真横からとてつもない衝撃を受けた。
何があったのかと思い、衝撃の元となったであろう方向に視線を送ろうとした所で気づいてしまった。
少年は、空を飛んでいたのだった。
『いやーな、かーんじー!???』
少年は、 何故だか分からないがこの言葉を使いたくなり錯乱しながらもそう叫ぶのだった。
『ぺ (ロリコン野郎が、 気持ち悪い顔して少女に近づくんじゃねぇよ) 。』
太刀魚を片手で握るペンギンは、そう吐き捨てた。
『…… 』
背後から変な声が聞こえた少女は、音のする方へと振り返りペンギンを目にした。
ペンギンは、 太刀魚をまるで煙草の様に口にしていた。
少女は、 目の前にいるペンギンを見て口を開く事しか出来なかった。
何故、ペンギンがこんな所に此処にいるのか。
何故、 太刀魚の先に火をつけていないのに煙が出ているのか。
何故、知らない少年が空を舞っているのか。
少女は本来ならばありえないであろう光景達を前にした為に、その様な反応しか出来なかったのだった。
『ぺ (おい、ツインテールの少女よそんな顔をしてどうしたんだ? なにかあるんだったら話して見な) 』
『……へ? 』
訳の分からない光景を前にして放心状態となった少女。
そんな少女に対して口にしたペンギンの声に少女は、 まともな反応を返す事が出来なかった。
本当の事を言えば、ペンギンの鳴き声の意味が分からなかっただけなのかも知れない。
ペンギンも、それを知ってか知らないかは分からないがそれ以上何も言わず少女へ歩み寄ろうとした。
少女が座っているブランコの椅子は二つある。
ペンギンは、空いているブランコの椅子に腰を掛けようとした時だった。
『ようやく見つけたぞ!! ペンギンっ!!!』
虫網を持ったボロボロの少年がそう叫ぶんだのだった。
『ようやく見つけたぞ!! ペンギンっ!!!』
召喚したペンギンによって強制空中旅行を楽しまされて俺は危うく、二度目の死に至りかけた。
しかし、 落下中に運良く大きな木に引っかかったおかげで生き続ける事が出来た。
神さまに感謝をしたくなったたけど、 神様(仮)には感謝を捧げたくなったので諦めた。
それから何とか木から降りた俺は、今日はもう疲れたから帰る事にした。
家への帰路をとぼとぼと辿りながら、 強制空中旅行をさせてくれやがったペンギンの事を思い出していた。
何であんなペンギンを召喚してしまったのか。
良く考えれば分かる事だけど、まともに使える力をあの神様(仮)が
渡す訳がなかったのだ。
なんで、気付かなかったのか、 後悔しか無かった。
危うく死ぬ所だった。
あんなペンギンを野放しにしてたら、死人が出かねない。
そう思いながら歩いていると一つの嫌な考えが浮かんだ。
俺は、無意識に足を止めていた。
このまま放置してペンギンが人を殺せば、 召喚した俺にまで殺人罪に問われてしまうんじゃね?
そんな考えが脳裏をよぎった。
『…………』
俺は、背中に冷や汗を浮かべて、ペンギンを捕まえるべく走り回るのだった。
一度家に帰り、 いつも一人でいるが友達と虫取りをして欲しいと言う母親の想いから購入された長期間放置していた虫網を装備して走り回った。
戦闘力ではあいつには敵わない。
だけど、 捕まえるだけなのできっと大丈夫、
捕獲力も上がった筈なので、これで捕まえれるだろう。
そう考えて虫網を片手に必死に探し回った俺は、漸くペンギンを見つける事に成功したのだがこの状況はとても不味かった。
凶暴なペンギンが少女の隣にいるなんて、 不味い以外の何物でもない。
この儘では、 放し飼いにしていた犬が子供を傷付けたという様なニュースになってしまうじゃないか。
焦った俺は、 まずペンギンの注意を俺に引きつける事にした。
『おい、ペンギン!それ以上その少女に近づくんじゃないぞ!! ……長い髪を二つに分けて絞った其処の女の子っ、絶対に奴を怒らすなよぉ……本当に、本当にお願いしますね!? 怪我しちゃったら俺のせいになっちゃうからぁ……』
『え?……あ、はい 』
長い髪を二つに分けてライトサイドとレフトサイドに分けて縛りつけた(髪型の名前が分からない)少女の了承は取れた。
『ぺぇ?( おいおい、この俺が女を傷付ける様な奴に見えるのかぁ?) 』
何を言っているのかは対して分からないが、 取り敢えず俺に注意を引きつける事には正解した様だった。
『おい、ペンギン……さっきのは、怖かった怖かったぞ!!ーー』
もうさっさとコイツを捕まえて帰りたかった俺は、虫網を握るに直して走り出した。
『……』
走り近づく俺をペンギンは、 ただ見つめていた。
これをチャンスだと思った俺は、ペンギン目掛けて 虫網を振り下ろした。
それでもペンギンは、動かない。
虫網を振り下ろした俺は、勝った!と確信した。
確信してしまったのだった。
これが死亡フラグだとは知らずに。
……虫網にペンギンが入りかけた時だった。
『っ!』
ペンギンが目を見開き、虫網の棒の部分を手刀を繰り出した、次の瞬間。
バキッ!と言う、 嫌な音を耳にした。
『へっ!?』
…………まさか、そんな訳はないだろう。
網と棒の部分が二つに割かれて空を舞っているが、きっと気の所為だろう。
そう思いたかったが次の瞬間には、俺の眉間はペンギンの右腕に捕まえられていた。
……ああ、これはオワッタ。
そう感じた時には、虫網は無残な姿になり次は俺の番だった(絶望)
『ちょちょちょっ、ちょっと待とうか。 話し合おう。一応ね?俺が召喚したんだしね? ペンギンの主人じゃないですかぁ〜〜』
『ぺ(俺の主人を名乗るのならば、最低でももう少し使いこなせなければな。)』
『……つまり?』
『……ぺ』
ペンギンがそう鳴いた。
なんて言っているのかは分からなかった。
だけど、 意味だけは分かった。
決死の覚悟でペンギンの手から離れようとする。
しかし、 抵抗虚しく俺の眉間からゴリゴリと骨が軋んだ。
『いっ!?? ぎゃぁぁぁぁぁぁっっだ!?!ら
????、!?』
少年がペンギンの手によって倒された後の事。
倒れた少年をペンギンが引きずりながら公園を出ていこうとする。
そんなシュールな光景を目にした少女は、
『……変なの』
と冷静に呟きながらも、何処か少しだけ微笑んでいる様に見えた。
あざした!