リリカルな超次元蹴球 作:平丸
あれから何とか月村宅へ辿り着いた。
月村邸の正門は、誰でも入って来て良いよーと言っているかの様に車が入れるぐらいに空いていた。
此処で子供ならば、開いてるんだし入ればいいかーと考えるのだろう。
しかし、訓練された大人の精神をもつ俺はそんな失礼な事はしなかった。
月村邸の正門に付いているインターフォンを鳴らした。
正門という事は、他にも門があるのか。
一体どんだけ、この家は広いんだよと思いながら、返答を待っているが待てど暮らせど帰ってこない。
何時もならば、綺麗なメイドさん姉妹が直ぐに出てくれるというのにどうなっているんだ!
これは、メイドさんが業務放棄しているに違いない!!
今度会った時に、注意してやる などと一体何様なんだよと思える様な馬鹿な事を考えながら待っていたが、 一向に返事が来なかった。
『……流石に長ない?』
インターフォンを慣らしてから五分は確実に待った。
それでも応答が返って来ないと言うことは、多分誰もいないのだろう。
と結論づけた俺は、ガバガバに開いている正門
を抜けて入る事にした。
……これでは子供と一緒じゃないかだって?
其処は、考えちゃダメだ。
わかるだろう?…………わかれや。
月村邸には何度も入った事がある。
回覧板を出したり、回覧板を出したり、回覧板を出したりする時によく屋敷には訪れていた。
これは、全て母さんの陰謀だった。
自分で言いたくないのだが俺は、良く大怪我をする。
一応は、幼稚園などの児童施設には所属しているけど入院、家での療養が多過ぎて通っていなかった。
同い年の人間が集まる施設に通っていないと言うことは、まず知り合いが出来にくい。
その為に、 5歳児になっても友達と言える子供がいなかった。
この事に気付いてしまった母さんは、どうにかして友達を作らせようとしていた。
そして、 その時に母さんが注目したのが月村家の次女の存在だった。
隣の家に住む、同い年の子供でしかも 女の子、つまり幼馴染。
多分、 この様な方程式によって俺は良く 月村家の次女と顔を合わせる様な状況にさせられているのだと思う。
しかし、 母さんもアホだ。
これだけ顔を合わせていれば、 少しぐらい仲良くなっているとか思っているのかもしれないがそんな訳が無いのだ。
だって俺、妹さんの名前すら知らないし。
門を超えて、 何度か歩いた道を歩く。
目線の先に、見覚えのある黒い車が家の前に止まっていた。
というか、 さっきの車だった。
そこそこの回数 この家に訪れているが見た事の無い車だ。
逆説的に来客の車だと分かった。
『さっき出なかったのは、 この車の持ち主の相手でもしてるのかなぁ』
何回か、インターフォンを鳴らせちゃったけど悪い事したかも。
そりゃあ、 こんな車の持ち主の相手をするんなら 返事も返せないか。
俺は心の中で謝罪をし、月村邸の大きな扉の持ち手の部分に回覧板を掛けようとした……
『そういや、 何も持ってきて無いじゃん ……俺』
掛けたかったけど、物理的に無理だった。
ここまで、来たのに全て無駄に終わるとは……
『また来ないといけないのか……』
ちょっとした絶望を感じた瞬間だった。
また、一往復しないと行けないのか……
道草せずに帰ろう。
そう思い、月村邸に背を向け用とした時だ。
『…… 忍っ、次までに覚悟をきめておけっ!!その機械どもを含め、全ての財産を俺に譲渡するのか、それとも。お前達の全てをこのワシに奪われるのか』
乱暴に扉を開ける音。
同時に、 高そうな服を身に付けたおっさんが家から出て来たのだった。
あざしな