ソードアート・オンライン〜Unlimited Blade Works〜 作:†AiSAY
東京都 某所
薄暗い部屋の中で、その男は1人で佇んでいた。
目の前には男の身長を優に超える黒い箱。
棺にも似たその箱は、青白い光を放ちながらわずかに起動音をたてている。
男は近く置いていた自身のPCの方を向く。
黒い箱とケーブルで繋がれたそのPCを見て、男は笑みをこぼした。
画面には多くのウィンドウが開かれており、その全てに難解な暗号のようなプログラムの数列が展開されている。
そして、男がカーソルを動かしすと、新たに1つのウィンドウが開く。
そのウィンドウが示したのは、たった1つのタイトル。
《Sword Art Online》
そのタイトルを見て、男は目をつむり柄にもなく思いを馳せた。
描くのは空に浮かぶ鋼鉄の城。
その空想に取り憑かれたのは、果たしていつの頃だっただろうか。
だが、その空想はもうすぐ現実となる。
そう思うと男は目を開けて再び画面に目を向ける。
「さぁ、始めよう。」
そう呟いて、PCのEnterキーを押そうとした。
すると、突然先ほどまで何の異常もなかったはずの画面にノイズがはしった。
男は驚愕する。
まさかここに来てエラーが起きたのではないかと。
もし、そうであるならば男がこれまで費やしてきた全てが無に帰ってしまう。
男は慌てて画面に向かう。
しかし、ノイズはすぐになくなり、画面は数秒前と変わらない姿を見せた。
不思議に思い、男はPCを操作する。
表面上に異常は見られなくとも、もしかしたら何かしらデータに損傷があるかもしれない。
そう考えながら、キーボードを叩くと、ふと見慣れないデータアイコンがあることに気づいた。
本来ならば、見慣れないデータなどバグの原因にしかない為、すぐに消去すべきだ。
しかし、何故か無性に気になるそれを男は黙ってクリックする。
新たに開かれたウィンドウ。
男はそれを見て目を見開いた。そして、しばしの間考えると、おもむろにその不明のデータを《Sword Art Online》の中へと繋げた。
システムのエラーが起きないように変換されたそのデータは異常をきたすこともなく、まるで最初からそれを構成する一要素であるかのように、そこにおさまる。
「これは…。」
そう一言呟くと、遂に男はEnterキーを押した。
すると、PCとそれとつながった大きな黒い箱が光り輝く。
その光景に目を閉じることもなく、男は再び言った、
「さぁ、始めよう。」
そして、最後にこれから自らが作り出した世界に挑むであろう者達にむけて、こう言った。
「これはゲームであっても、遊びではない。」
そうして、男は部屋を出る。
誰もいない道を歩きながら、男《茅場晶彦》は先程の突然現れたデータを思い出す。
そのデータにはすでに名前が付いていた。
アイコン表記《UBW》
データ名《Unlimited Blade Works》
to be continued