ソードアート・オンライン〜Unlimited Blade Works〜 作:†AiSAY
突如発生したVRMMORPG《Sword Art Online》の事件。
開発者、茅場晶彦によりそのゲームにログインしたプレーヤー全員がそのゲームからのログアウトできなくなった。
すなわち、実に約1万人がゲームの中に閉じ込められたのだ。
内部はもちろん外部からの救援もないこの状況の打破。
その唯一の方法、それは浮遊城アインクラッドの第100層の到達。すなわちゲームのクリアである。
しかし、《これはゲームであっても、遊びではない。》そう言い放った茅場晶彦の言葉の通り、この世界での死は現実世界での死と同義である。
そんな状況の中、いつの頃からかこのゲーム、この世界を絶望と恐怖、そしてわずかばかりの皮肉を込めて、こう呼んだ《デスゲーム》と。
デスゲームが開始され一ヶ月が経過すると、犠牲者は二千人にも達した。第1層は攻略されるどころか未だボス部屋すら発見できていない状況だった。
そんな状況の中、元《ベータテスター》のティアベルの呼びかけで、当時100層攻略を目指そうと動いていた少数のプレイヤー達が1層の攻略会議に集まった。
中性的な容姿と黒髪の少年、キリトもまたその1人だった。
キリトはここに集まった自分以外のボス攻略参加者を見ていた。
すると、中央に立つプレイヤーの人が喋り出す。
「今日は集まってくれてありがとう!俺はディアベル!気持ち的に騎士やってます!よろしく!」
ディアベルと名乗る男はそう、高らかに言った
その言葉に緊張に身を包んで集まった者達が笑い出す。
キリトもまた同様にジョブシステムのないこのゲームの世界で騎士と名乗るディアベルに内心呆れながらも心が軽くなるのを感じた。
そんな空気が僅かばかりだが、緩んだことを確認したところで、本題に入ろうとした、その時である。
「ちょお待ってくれへんか!」
と、オレンジ色の髪をした粗野な風貌をした男がディアベルの隣に立つ。
何事かと皆が彼に注目すると、キバオウと名乗った男はこう主張した。
"βテスターのせいで2000人が死んだ。謝罪をしてアイテムや、コルを分けろ。"と
その言葉にキリトは苦い顔をして顔を伏せた。
デスゲームの開始が宣言されてすぐに、《ベータテスター》つまりはゲーム販売の前の時点で既にこの《Sword Art Online》通称SAOをプレイヤー達は直ぐに次の街へと向かっていたのだ。
理由は簡単、彼らにはこのゲーム世界に1日の長があるため、どのルートが安全で、どこにどのようなアイテムがあるかを知っていたのだ、その為SAO初心者達はレアアイテムを手に入れることができなかった者や、危険なルートを選択し事実上死んだ者までいる。
そして、キリトもまたその《ベータテスター》の1人であった。
一度は緩和された空気がその発言により、再びいやそれ以上に不穏な空気になる。
すると、キリトの斜め前方に座っていた男が手をあげる。
「発言いいか?」
手を挙げてた斧を背負った黒人の男はキバウの前に立つと言った。
「俺はエギルってもんだ。キバオウさん。情報はあったんだ。なのに2000人もの人が死んだ。そいつらは恐らくMMORPGのコアゲーマーだろう。そいつらは己の力を過信し、引き際をあやまったんだ。」
そして、一冊の冊子を取り出して続ける。
この冊子には、この世界に関する情報が記載されており、誰もが無料で手に入れることができるものであると。
そして、情報は二日目にはある程度出回っていた。そして、エギルはこの冊子がβテスターが作ったものであると言った。
「それでもあんたは、βテスターを憎むのか?俺は、感謝すべきだと思うんだけどな。」
そう言われると、今度はキバオウが苦虫を潰したような顔をした。
そして、彼は納得がいかないような顔をしながらも、元の席に戻った。
それを機に嫌な雰囲気が静まると、再びディアベルが口を開いた。
「まあそこらへんにしよう。今は情報があるだけありがたい。これがβテスターの時のでも、1番危険なのは、ボスの偵察だからね。それじゃあ、レイドを組みたいから六人一組になってくれ。」
「な!!」
その言葉を聞いてキリトは慌てる。
周りが次々とパーティを組む中、彼だけが取り残されていった。
どうにかして、自分も誰かと組まなければと辺りを見渡すと、自分の横に同じように1人ポツンと座っているプレイヤーを見つけた。
チャンスは今しかないと考えたキリトは意を決して声をかける。
「な、なあ、俺とパーティ組まないか?」
キリトの言葉にフードを被ったその人物は、少しためらうようを見せたが、結局はキリトからの申請を受けた。
(何とか、取り残されるのは回避できた…)
そう安堵していると、大きな影がキリトを隠す。
何だろうとキリトは顔を上げる。
するとそこには知らないプレイヤーがいた。
180cmを超える身長、浅黒い肌に白い髪。
そして、鷹のような目をした男のプレイヤーに見つめられキリトは身構える。
そんなキリトの様子を見て、男は肩をすくめると言った。
「すまないが、私も君達のパーティに入れてもらえないだろうか?」
「え?」
突然の言葉にキリトは頭が回らない。
すると、男はフッと自嘲的な笑みを浮かべると再び口を開く。
「何、あぶれてしまってね。知り合いもいないし、何より1人でボスに挑むほどの勇気もないのでね。君達さえ良ければの話だが…。」
そう言って、申請をキリトへと出す。
キリトは考えた末に、その申請を承諾した。
するとキリトの目の前に新たな名前が浮かび上がる。
その様子を見ると男がキリトを見て言った。
「承諾、感謝する。すでに私の名前が出てきているだろうが、一応自己紹介をしておこう。私の名はArcher(アーチャー)だ。」
to be continued