機動戦士ガンダムUC外伝 幻獣になれなかった獣たち   作:明城

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第二話 袖飾りのザク

前回の刻の同胞団による襲撃は予想以上の被害を被った。

 

艦長補佐だったハインケル少佐をはじめとする幹部クルーと隊員の裏切り。艦長の拉致。配備されたサイコ・ジェガンの3分の1以上の損傷。半分以上の隊員の負傷。そして、ロンド・ベル隊へ送るはずだった物資の一部の強奪。

 

どれも前代未聞の事件であった。

 

「幹部クルーの裏切りに気付かず、このような醜態を晒してしまい申し訳ありません。ブライト・ノア艦長」

 

艦長や幹部クルーを失った代わりとしてハリスは、画面越しで深々と謝罪した。

 

「ハリス大尉、既に起きた事は仕方あるまい。他に幹部クルーはいないのか?」

「はい…。幹部クルーのほとんどが刻の同胞団の元へ寝返り、唯一彼らに対抗したクルーは重症でとても指揮をとれる状況ではありません。残った幹部クルーの判断で私が艦長代理になりました」

 

「そうか、ならばそのまま君に任せても良さそうだ」

「しかし、私は艦の指揮経験はありません。本当に私のような者が務まるでしょうか?」

 

ハリスの質問に対してブライト・ノアは少し笑みをこぼした。

「私も一年戦争当時君と似たような経験をしたことがある。その頃は新人で指揮経験も実践経験もなく、宇宙から出た事が初めてだった。だが、今の君は昔の私と比べたらマシかもしれない。いや、私よりも上手くやれると私は信じている。ハリス艦長は自分と仲間の事を信じてやってほしい」

 

とブライト・ノアは艦長になったばかりのハリスに激励した。

「は、お任せください。必ずみんなの信頼を裏切ることなく完遂してみせます」

ハリスはそれに答え敬礼した。

あの一年戦争を戦い抜いた英雄からの激励にハリスを含め全員の士気が高まった。

 

「その意気込みは大切だが、無理はしないように」

 

 

ロイルたちはそれに続けて敬礼した。

 

「これより貴君らに物資の奪還と刻の同胞団の殲滅の任務を与える。その関係でロンド・ベルへの物資の使用を許可する。我々は別の任務の為、輸送任務は中止とする。存分に使ってくれ」

「し、しかしそれでは…」

 

「すまないが、これは参謀本部の決定だ。実は、君たちが彼らの襲撃を受けている間に新たなジオン残党軍の情報をキャッチしたとの報告を受けた。今、こちらに輸送しても刻の同胞団やジオン残党軍の襲撃を受ける可能性が高い。特に連邦軍の内情を知っている彼らは厄介だ。気を引き締めておくように」

 

 

ロンド・ベル隊艦長からの通信が終えると、フランクがハリスの元へ駆け寄った。

「ハリス大尉、ブライト艦長からのご指名おめでとうございます」

「よせよ、フランク。これでも緊張しているんだよ。あの一年戦争からの英雄から気にかけてくれるなんて一生無いと思っていたんだからな」

ハリスは緊張が解けて安堵している。少し嬉しそうな表情を浮かべている。

 

「ハリス隊長、いえハリス艦長。早速ですが、これからどうしますか?今のままではどうする事は出来ません」

 

マイヨは冷静に質問した。

 

「そうだな…。ブライト艦長は良いと言っていたが、あの物資の量で足りるのか…」

ハリスの顔は真剣な表情に変わった。

 

実際、まだ治療中の隊員も多く稼働できるサイコ・ジェガンも少なくとても刻の同胞団に対抗できる戦力ではない。

 

次の補給までの間、今ロンド・ベル用だった物資を使ったとしても、またあの尋常じゃない数のMSに対抗できるのかが不安である。

 

「あの、ハリス艦長。おこがましいですが提案があります」

「なんだ?ロイル中尉」

ロイルは恐る恐る手を挙げて意見を述べる。

 

「先ほどの戦闘で破壊した奴らの機体の残骸を寄せ集めてMSを作るのはいかがでしょうか?あの数ならそれなりの数合わせになるかと…」

 

「おい、新人。そんなみっともない提案をよく出来たものだな」

いかついモヒカン刈りの中年の巨漢がロイルに突っかかってきた。

 

「スコット准尉。新入りとは言え上官に対して口を慎め。それに、ロイル中尉の提案はまともだぞ」

「しかし、それではジオン残党とやっている事と変わらん!非常識な提案に過ぎないと言っているんだ。ハリス!」

スコットはハリスに今にも殴りかかりそうな目で睨み付ける。

 

「冷静になれスコット。一年戦争を潜り抜けた隊員の中には敵のMSの残骸を再利用して機体の改修を行ったケースが実際にある。特に戦争初期なんてそれが当たり前だったと私は聞いている」

「今は一年戦争じゃないぞ。いつの話をしているんだ」

 

「なら、スコットは何か代案はあるのか?ロイル中尉の提案よりも有効的なものは」

スコットの先ほどまでの殴りかかりそうな勢いは消え失せ、苦虫を噛み締めた表情でハリスの目線を逸らした。

「ない」

 

「そうか、他に良い意見はあるか?ないならロイルの意見を採用するが、良いな?」

ハリスはみんなに意見を求めたが、誰も意見を述べるものはなかった。

 

「では、自分のMSが使える者は残骸を回収を頼む。他は別の命令を出す」

 

 

 

こうしてロイルの提案により、MS部隊は刻の同胞団の機体の残骸を回収する事になったが多くは戸惑いは隠せていなかった。

 

隊員の中に一年戦争のような大規模な戦闘を経験した者はおらず、敵のMSの残骸で自軍のMSを改修、修理、建造した経験はなかったからだ。

 

その為、補給で苦労したことはなかった彼らにとってはそんな発想すら浮かばず、むしろ残党軍のような真似事に抵抗はあった。

 

「待って下さい。このまま、次の補給を待つべきではないでしょうか?ハリス艦長。まだ負傷者がいますし、それに敵のMSを再利用するなんて連邦軍兵士としてのプライドが許せませんし屈辱的です。スコット准尉は乱暴ですが、正論だと思います」

金髪でロングヘアの女性士官が意見し、多くの隊員はそれに同調した。

 

「アリー軍曹。確かに隊員の半分近く負傷して回復を待った方が良いのは確かだ。今更旧式のMSでしかも敵のMSに乗るのに抵抗する気持ちは分かる」

ハリスは一旦息を整えて周りを見渡した。

 

「だが、自分を含め大事な輸送任務中にカルト教団の襲撃によって新型MSを奪われた上に手も足も出なかったという醜態を晒した我々が、連邦軍兵士のプライドがどうこう言える立場なのか?」

ハリスの重い言葉にみな黙り込み俯いた。

 

「自軍のMSを奪われた事こそが連邦軍兵士として最大の屈辱的な事ではないか?アリー軍曹」

「…はい。おっしゃる通りです」

 

「それに、連中がまたいつ襲撃してくるのか分からない状況下で悠長に補給を待つ時間が無い。ハインケル少佐含め幹部らがこちらの内情を知っているなら猶更だ」

 

ハリスは彼らに頭を下げてこう言った。

「すまないが、みんな協力してくれ」

 

 

 

「なぁ、ロイルって意外と奇抜な提案するんだな。何で思いついたんだ?」

フランクは先ほどの戦闘で破壊されたザク改の下半身をラー・ドレイクのMSデッキへ回収しながらロイルに質問した。

 

「昔、士官学校時代の教官から聞いた話を思い出したんです。教官は一年戦争初期の頃、破壊したザクの残骸を寄せ集めて作ったツギハギのザクでジオンと戦った事があるんです。その頃ジムなんてまだなかったらしいですし」

ロイルは先ほどの戦闘で撃破したシュツルムディアスを回収しながら答えた。

 

 

「は!今では考えられない経験をしたんだな。その教官は」

フランクは豪快に笑い飛ばした。

 

「俺はそんな教官を尊敬していました。どんな困難な状況でも諦めず、知恵と技量をで乗り切った教官を見て、俺も教官のようになりたいと思っていたんです」

かつての恩師の話をするロイルの顔は少し照れくさい表情を浮かべる。

 

「へぇ、お前ならきっとなれるさ。あの隊員たちが苦戦したリックドムを撤退に追い込んだお前ならな。その教官とは連絡は取っているのか?話を聞いたら会いたくなってきた」

 

「…えぇ。先ほど会いましたよ」

ロイルの表情は途端に険しくなった。

 

「さっき?どこで?」

フランクはロイルの返答の意味が分からず、きょとんとしている。

 

 

「あのリックドムのパイロットはジャン・ジャックマン元教官。かつて僕の士官学校の教官だったんです」

 

 

「なんだと!?」

あまりの衝撃なロイルの発言にフランクは驚いた。

 

「今の話はどういう事だ?ロイル中尉」

回線を聞いていたハリスは真剣な口調で質問を投げかける。

 

「分かりません。何であの人が敵として現れたのなんて。教官はシャアの反乱後に退役しているはずです…」

 

「そうか。彼は何か言ってたのか?」

 

「『アナハイムと連邦は、ラプラスの箱とハリボテの赤い彗星を利用して再び戦争を計画している。お前も同胞になれ』と俺を勧誘してきました」

 

「ラプラスの箱にハリボテの赤い彗星か。どういう意味だ?」

「分かりません。あの後ハインケル少佐と共にどこかへ行きました」

 

「どちらにせよ、また戦争が起きるってことは確かだな」

フランクはそう呟いた。

 

 

「それはともかく、先ほど所属不明機がこちらに接近している」

「まじか。こんな時に」

ハリスの言葉にフランクは悪態をつく。

 

「目的は亡命だそうだ。こちらに保護を求めているのだが、彼らは刻の同胞団から襲撃を受けて逃げている。追撃速度から察するに旧式のMS数機だと思われる。保護してくれたら奴らから奪った物資を提供するとの事だ」

 

「亡命ねぇ。なんか怪しいな」

「確かにそうだな…、罠の可能性があるが、我々は連邦軍だ。原則として向こうから攻撃してこない限り保護する立場だ」

ハリスは複雑な表情を浮かべる。

 

「しかし、刻の同胞団について何かわかるかもしれないですね。現状、反連邦反ジオン残党の組織ってくらいしか分かりません」

「そうだな、ロイル中尉。せめて一体どれくらいの規模で拠点がどこなのか分かれば良いのだが」

 

ラー・ドレイクのMS隊は一旦作業を中断し戦闘の準備を行う。

 

「これより、亡命者の救出作戦を開始する。スコット隊とアンドレ隊はラー・ドレイクの護衛と援護射撃を頼む。罠の可能性がある。マイヨ中尉はロイル中尉とフランク少尉と共に亡命者を保護し敵を追い払え。急だがマイヨ中尉、君を隊長に任命する」

 

「了解しました。ハリス艦長。フランク少尉とロイル中尉を死なせずに生還させてみせます」

「無茶をするなよ、マイヨ中尉」

 

こうして、マイヨ隊はサイコ・ジェガンを発進させ謎の亡命者の元へ向かった。

 

場所はサイド2(ハッテ)25バンチから東へ外れたところで。

 

「ありゃあ、一年戦争より10年前の輸送船『ナポレオン』じゃないか。懐かしいな」

フランク少尉は思わずそう呟く

 

MSのジャンクパーツで改造した大きくて古そうな輸送船が刻の同胞団と思われる黄色い旧式のMS1個中隊による追撃を受けている。

 

「ようやく、きてくれたか!私はブロッシュ・デノーラ。この船のリーダーだ。我々は刻の同胞団によって故郷を奪われ逃亡している。奴らから奪ったMSだけでは追い出せそうに無い!」

 

中年太りでちょび髭の似合う男が回線ごしに半狂乱に叫ぶ。男の服装は汚れたジーパンに血まみれのシャツといったもので、道中で必死に逃げまわった様がこちらに伝わってくる。

 

輸送船の上部には至る所に細かい装飾が施されたザクⅡによく似たMSが3機と武装したモビルワーカー6機、砲台として改造されたネモの上半身が輸送船の上下左右1機ずつ確認でき、刻の同胞団と戦闘している。

 

左側のネモの上半身はジムライフルでガトルとボール、セイバーフィッシュを撃墜するも、ハイザックが投げた先の折れたヒートサーベルがコックピットに刺さり動かなくなった。

 

「頼む!奴らを追い払ってくれ!助けてくれたら奪った物資を全部やる!だから頼む!」

「了解した。今すぐ奴らを追い出すから落ち着いて」

ブロッシュの吠えるような声に対して、マイヨは淡々と答え、先ほどのハイザックのコックピットにビームライフルを撃って破壊した。

 

モビルワーカー6機のうちの1機は、破壊したハイザックの残骸に当たった際に吹き飛ばされた。

元々、コロニー内での作業用として設計されたため、宇宙空間でのAMBAC機能やスラスター推進剤はなく宇宙でもがく。しかし近くにいた上部のネモの上半身に腕を摑まれ宇宙空間での漂流は間逃れた。

 

「フランクは右側、ロイルは左側の敵を頼む」

「あいよ。マイヨ隊長」

「了解」

 

フランクは、ハイザックの下半身にジャイアントバズとブースターを取り付けたジャンクMSの簡易型のコックピットをビームライフルで打ち抜き、ジャイアントバズをもぎ取った。

 

ビームライフルからジャイアントバズへ持ち替えてジムとザクのツギハギのMSへ撃つも、ツギハギのMSに避けられた。

フランクはもう1発撃とうとトリガーを引くも、暴発してジャイアントバズの砲身が吹き飛ぶ。

 

「くそ…!やはり整備不良かよ」

 

ツギハギのMSはその隙をついてフランクのサイコ・ジェガンへ接近し、ビームサーベルで切りかかる。

しかし、途中でツギハギのMSのビームサーベルの出力が低下しエネルギー切れを起こし空振りとなった。

今度はフランクは壊れたジャイアントバズをツギハギのMSに投げつけ、頭部バルカンポットシステムを発射し、ジャイアントバズの弾倉に命中しジャンクMSと共に誘爆した。

 

「ったく、まともに整備しないからこうなるのよ!」

 

ロイルはビームライフルで旧ザクの上半身にリックドムⅡの下半身を組み合わせたジャンクMSとジムコマンド、ジムコマンドの下半身に弾数数0のミサイルランチャーとブースターを取り付けたジャンクMSを相手に戦っている。

 

旧ザクとリックドムⅡのジャンクMSはスクラップ品を加工した大剣を縦方向へ振り回すも、ロイルのサイコ・ジェガンはそれを避け、間合いを詰めて旧ザクとリックドムⅡのジャンクMSの横っ腹をゼロ距離で射撃し破壊する。

 

その僅かな隙を与える事無くジムコマンドの下半身はロイルのところへタックルし、輸送船の甲板に叩きつける。

そして、ジムコマンドのビームサーベルがジムコマンドの下半身ごとロイルに突き立てようとするも、ロイルはバルカンポットシステムを起動し、ジムコマンドをハチの巣にした。

 

その後ロイルはジムコマンドの下半身をかかと落としで簡易型のコックピットを破壊。

 

「これは、無人機か」

 

ジムコマンドの下半身に強引に取り付けられたコックピットには人が乗っておらず、代わりに壊れた機械が宇宙に飛散している。

 

「マイヨ隊長!フランク少尉!奴らのMSの中に無人機が紛れてました。もしかしたら、奴らの中で遠隔操作でMSを動かしているかもしれない」

 

「なるほど、それで戦力の水増しをしているのか」

マイヨは表情を変えずにロイルの話を聞いている。

 

「てことはもしかしたら、有人機のMSを探し出して倒せば無人機の動きも同時に止まるかもしれないってことだな!」

「たまには冴えた発想しているねフランク少尉」

「たまにはってそれは酷くね?マイヨ」

 

「まぁ、おしゃべりはここまでにしてさっさと有人機を探し出して破壊する。ここからは各自で見つけて」

「この数なら、なんとか有人機は探せそうだ」

 

先ほどよりも刻の同胞団のMSの数は半分近く減っており、見分けて判断はできそうである。

 

次の瞬間、ザクバズーカが甲板に命中しモビルワーカー3機が撃墜され、もう1機が爆風で吹き飛ばされた。

 

その後、両腕にザクのスパイクアーマーを改造したパンチグローブを装備したジムⅡ、ザクバズーカと先の折れたヒートサーベルを装備したガサD、ヒートホークにパイプを組み合わせて作った粗末なランスを装備したガルバルディβの3機が輸送船の甲板に取り付いた。

 

袖飾りのザクⅡもどきのMSの1機がビームアックスで近くにいたジムⅡに切りつけるも回避され、パンチグローブでコックピットを殴られ、破壊された左側のネモの上半身にぶつかった。

 

すかさずもう1機のザクⅡもどきのMSがビームマシンガンでジムⅡけん制するも、ガルバルディβのランスによってビームマシンガンを装備した右腕を切断された。

 

ガルバルディβは向きを変えてマイヨたちのサイコ・ジェガンに攻撃を仕掛けるも、マイヨのサイコ・ジェガンのビームサーベルによって両腕を切断され、蹴り飛ばされた。

 

フランクはビームサーベルを取り出しガザDに接近し接近戦を挑むも、後ろからシュツルムファウストの直撃を受けて右腕が破壊された。

 

「しまった!」

 

フランクは後ろを振り返るとそこにいたのはジム改がいて、すぐにバルカンポットシステムで攻撃するも、ガザCの発射したザクバズーカがに命中し頭部を破壊し先の折れたヒートサーベルでフランクに襲いかかってくる

 

「ぎゃああああ!!」

彼の表情はみるみるうちに焦っていき悲鳴をあげるも、1機のザクⅡもどきのMSの装備したギラドーガ用ビームマシンガンがガサCを破壊し、ロイルはビームライフルジム改を撃墜した。

 

残されたパンチグローブ装備のジムⅡは、頭部バルカンでけん制しながらロイルの元へ接近するも、ロイルとマイヨのビームライフルで両腕が破壊される。

それでもジムⅡは怯む事なく特攻を仕掛けるも、ロイルのビームサーベルで突き刺され沈黙した。

 

それによってMSの下半身のジャンクMSの大半が沈黙した。

 

ハイザック頭に右腕の代わりにボールのキャノン砲をくっつけたジムⅡが、残りの下半身のジャンクMSを引き連れて特攻を仕掛けるも、ザクⅡもどきのMSのビームマシンガンとマイヨ、フランクのビームライフルの集中砲火を受け全滅した。

 

「これで、全部破壊出来たか?」

フランクは安堵の表情を浮かべぼーっとしている。

 

「今のところ、増援が送られてくる様子はないし、とりあえずそこの袖飾りのザクのパイロットさん?僕と一緒に負傷者の回収をお願いしても良い?」

 

マイヨは袖飾りのザクⅡもどきのMSに回線を繋いで呼びかけた。

 

「あぁ、私たちを助けてありがとう。ジェガンのパイロット」

「僕はマイヨ、こっちはフランクにロイル。後で君たちを僕たちの母艦で保護するけど君たちは何者?」

 

「俺はアモン・ポーラ。俺たちはカルト教団から逃げる為にこのギラズールと物資を奪ってきた」

ジオン系のパイロットスーツで顔は見えないが体格はがっちりしていて、ドスの効いた声で返答してきた。

「ギラズール?」

 

「あぁ、奴らから奪った新型の奴だ。このサイド2の大半は完全に奴らに支配されてしまった。ここにいるジオン残党も連邦軍もアナハイム関係者もみんなグルだ。」

 

「どういう事だい?」

マイヨは半信半疑で聞いてみると、ブロッシュが代わりに応答した。

「質問に答える前に確認だが、お前たちはサイド2の駐在部隊ではないな?」

 

「そうだよ。僕たちはサイド2とは関係ない連邦部隊だ。救援要請を受けてきた」

「なら、良かった。疑って申し訳ない。マイヨさん」

ブロッシュは安堵の溜息をついて、マイヨの質問に答えた。

 

「ミア・マレットだ。彼女は一年戦争後からサイド2を中心に、徐々に信者を募って拡大していカルト教団を作ったニュータイプだ。奴らは戦争難民、連邦、ジオン関係なく、戦争で疲弊した人たちの弱みに付け込んで戦争を仕掛けるつもりだ」

 

「つまり、そのミア・マレットとやらの中心とした第三勢力ってことか。反連邦組織の」

「ミア・マレットってあのフラナガン研究でララァ・スンの次にニュータイプ能力の高いパイロットじゃないか…まさか存在していたんだ」

ロイルは思わず口を挟んだ。

 

「知っているのかい?ロイル中尉」

「えぇ、ジオンのキマイラ隊に次ぐ謎の特殊部隊マンティコア隊のエースって聞いたことがあります。なんでも、元占い師の娘でニュータイプ能力だけで10代で大佐まで昇格したとか、ジオンを裏で操っていたとか。といっても友達のオカルトマニアから聞いた都市伝説なので」

 

マイヨはロイルの話を親身に聞いている。

「ブロッシュさん、そのミア・マレットについて詳しく聞いてもいいかい?」

 

「詳しくはお前たちの船の中で話したい。しばらく休ませてくれないか?」

 

「分かった。僕たちの艦長の元へ案内するよ」

 

こうして、輸送船『ナポレオン』一団はマイヨ隊によって救助されラー・ドレイクへと保護された。

機体を中破したフランクは幸いケガもなかったが、ナポレオンの中にいるクルーやギラズールとモビルワーカーのパイロットは負傷しており、直ちに治療を受けることになった。

しかし、事前に要請した補給物資が期限を過ぎても届けられることはなく、戦闘で回収した物資を使わざるを得なかった。

 

ラー・ドレイクの艦長ハリスは、物資の補給しにサイド2へ向かう事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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