社会ってチョーSだよな!
ようやく仕事も慣れてきたのでチマチマ他のも書いていきます。今回は最後まで書いてはいたけど投稿していなかったのでお茶を濁します。
ちん○ん
アンサリヴァンで行われる春の行事といえば?と、アンサリヴァン在住の人間に聞けば間違いなく『白羊宮の騎竜祭』と答えるだろう。
多くの学院生徒らが我こそはと頂点を目指す人とドラゴンによる伝統的なレースである。
そして、今その栄えあるレースの号砲が鳴り響き…。
まさに…、
「助けてーっ!マッスルストーカーに襲われてまーす!」「死にたくない!死にたくないぃいぃぃぃっ!」「助けてくれぇ!「やめてくれー!(川越市民並感)」「殺される…!皆ヤツに殺される…!」「ぷももえんぐえげぎおんもえちょっちょっちゃっさっ!」「糞だよ糞!はははっ!(ヤケクソ)」「私さ、このレースが終わったらのエルトン先輩に告白するんだ…(白目)」(滅茶苦茶にされ苦悶の表情を浮かべる一般女子生徒)「勝率は1か2(%)くらいですかね」「おお…聖女ロサ・マリア様。この場で懺悔いたします…!わたしは先生方に彼女のアルトリコーダーとソプラノリコーダーを舐めたと申しましたが、本当の所は彼女の私物全部舐めましたぁ!」「ママーッ!」「ほげほげぎえぴああああああ!!」
地獄と化していた
原因は明白、我らがアッシュくんである。実は彼はレイモンのブリギッドで出場をする代わりに最後列を義務付けられたのだがそれが仇となってしまったようだ。
考えても見てほしい、皆は後ろからトカゲにのった大豪院○鬼に追い掛けられたら恐怖を感じるだろう。
ブリギッドに乗ったアッシュが正に其であった。さらに言えば彼の表情が無表情であったため恐怖は倍増である。おまけにブリギッドもノリノリでどこぞのモンスターの如くドスドスと爆走している。
「本当に申し訳ない…」
そう思いつつアッシュはぐんぐんと選手達を追い抜いていった。
聖ダーラム広場と呼ばれる大通りにつく頃には出場選手の大半が棄権、もしくは脱落してしまったようだ。
アッシュは煉瓦のように割れた腹筋の奥のがきりきりと痛むのを感じた。
彼の
学院のグラウンドのテントが張られた設備に生徒会長のレベッカ・ランドールと今回限りだが補佐を務めることとなった緑髪の二年生である青年エルトン・グラットンが簡易椅子と簡易机にゲンドウスタイルで座っていた。
横にはレベッカの
いつもは快活に振る舞い全生徒どころかアンサリヴァンの憧れの的であるレベッカなのだが、その表情は芳しくないものだった。
「あの、会長…?」
「どうした?エルトン君」
エルトンはレベッカに話しかけたが、彼女に対するその表情はこれから処刑台に立つ者への眼差しだった。
「止めなくていいんですか?彼が優勝してしまえば会長はあの妖怪筋肉魔神とデートすることになるんですよ?」
「…彼はあくまでも選手の一人だ。私に手出しする権限はありはしないさ」
「それでも会長、まだ間に合います。今からでも彼を失格にすべきです。彼、人の相棒で出場しているんでしょう?彼はあの王女殿下に真っ向から啖呵を切るような男だと聞いています…会長がデートなんかしたらなにをされるか…」
アッシュは余りにひどい言われようだがエルトンの思っているイメージが大衆のアッシュのイメージなのだ。
因みに生徒会長レベッカ・ランドールを勝手にライバル視している彼女の幼なじみである女子生徒ジェシカ・ヴァレンタインもアッシュがレースに参加することを知ったとたんに、
「例えアナタがあの筋肉大要塞に辱しめられても私達は幼なじみですわ……」
と、レベッカに哀れみの目を向けた。
先程の挨拶でも「会長…おいたわしや…」という声が挙がっていた。勿論、レベッカは生徒会長故に恐ろしい見た目と噂で判断すべきではないと考えている。彼は顔だけ見れば男前なのだがそのハッスルなマッスルが見るものに威圧感を与えてしまっている。
しかし、レベッカは彼のデート先でハムスターの如く食べ物を頬張る姿を想像して「それもアリだな…」と思った。
以外とレベッカは筋肉フェチっぽい所があるのかもしれない。
「…私が言い出したことさ。彼が優勝したら私は私のすべき事を果たすまでだ…」
「会長…」
エルトン君は静かに涙を流した。
クー・フリンはそんな彼らを他所に学院に入り込んだ野良犬と遊んでいた。
それは狭い市道に入りしばらくした所でアッシュは「おや?」と思った。目の前にはシルヴィアとその
「あれは?」
なんと、先を見れば四騎の女子生徒が横に並んでいる。どうやら進路を妨害しているらしい。
「ハハァ…チームプレー…そういうのもあるのか」
アッシュの覚えではこの市道は大分長くコーナーも多い、先程の自分のせいで大半が脱落した為にこのような大胆な作戦を実行したのだろう。アッシュは彼女らの手腕に感嘆した。それと同時にチームプレーするほど仲間のいないことに勝手にダメージを受けた。哀れ。
「だが…一位は渡さないぞ!ブリギッドォッ!」
「オォンッ!(イクゾー!)」
「おのれ…。不埒な真似を…!」
第四王女シルヴィア・ロートレアモンはイラついていた。目の前で行われるあからさまな自分に対する嫌がらせに憤りを覚えながらも状況を打破できないことに焦燥を感じていた。
相棒のランスロットもそれは同じことだろう。
「勝負を捨てて他人を妨げるなど…言語道断だっ!」
「がうっ」
彼女に賛同するかのように声をあげるランスロットだが状況は変わらない。
そもそもこの騎竜祭ではブロックは反則にならないため前の連中は咎められることはないのだ。
…寧ろ、彼女らはいけすかない姫君に無様な姿を晒させたとしてシルヴィアを良く思わない連中に囃し立てられる事だろう。
本来ならば、一国のお姫様と有れば周囲からちやほやされるものだろうが、彼女の実の兄であるジュリアス王子が最大の禁忌とされる竜殺しを行ってしまったためにそのやっかみが彼女にも回ってきているのだ。
おまけにジュリアス王子が殺したのは、自身の相棒だったのだ。
因みにジュリアス王子はキングジュリアンとはなんの関係もない。
何故彼がそんな凶行に及んだのか、すでに王子は処刑されてしまった為真相は闇の中である。
しかしながら、この理由が公表されなかったために民衆からはジュリアス王子とその相棒は謀殺されたのでは?という眉唾物の噂も流れているがあくまで少数派の意見である。しんあな。
「なんとしてでも私は…私は…!勝たねばならぬと言うのに…!」
それはともかく、シルヴィアは実はこの騎竜祭に並々ならぬ思いを抱いていた。
もちろんあの『お姫様失禁事件』に関する事だろう。
あの日シルヴィアはアッシュの駆るブリギッドに自身の相棒であるランスロットに軽くではあるが接触させられた。
その時自身の糾弾に何も言い返すことなくただ彼は誠実に謝罪な言葉を述べたのだ。
しかし、シルヴィアはそこで止まることが出来なかった。
シルヴィアは激しく後悔し、自らな軽率さを恥じた。
私はあのあとヤツに対してなんと言った?
『主に似て腑抜けたドラゴンだな。いやあるいは、とっくに死んでいるのではないか?』
それはすべての
彼女のお目付け役のメイドから諭された時にシルヴィアは初めて気づいた。
ドラゴンとは竜飼い人にとっては一蓮托生の存在。かけがえのないパートナーなのだ。 ある意味家族とも呼べるだろう。
勿論、彼女はランスロット家族だと思っている。でなければ怒ったりしない。
もし私がそんなことを言われたら…?
無論、激怒するだろう。
そして、
そうでなければさっさと退学しているのだから。
そう、シルヴィアは気づいてしまったのだ。
(私は、なんとヤツに酷い事を言ってしまったのだ…。王族として…いや、それ以前に人として恥ずかしい…それに私が失禁してしまったせいで彼の名誉にも傷をつけてしまった…!)
ランスロットに騎乗しながらシルヴィアは自責の思いに駆られていた。
(私は…本当に卑怯で臆病者だ…未だに怖がって謝ることも謝罪を受けることも出来ない…!)
あれからシルヴィアは彼に対して謝罪をすることが出来ずにいた。謝罪を受けることも、だ。
それは、彼女が王女だからという問題ではない。彼女はまだアッシュ・ブレイクに対して恐怖を覚えている。事件の日の夜はメイドのベットに潜り込んだ程だ。
因みに彼女の専属メイドのコゼットは何度もアッシュを暗殺しにかかっているがことごとく失敗している。
あの恐ろしい顔が忘れられない。だがそれが謝罪しないという理由にはなり得ないこともわかっていた。
だから、彼女はこの騎竜祭で優勝しようと考えた。もしかしたら彼も自分目当てに参加するのではないか?と。
自分はもしかしたら優勝したあとならば自信がついて臆面なく謝罪出来るかも知れない。もしかしたら彼も私に謝りたいのかも知れないという淡い期待を抱いた。
まあ、失禁させたアッシュも悪いのだが。
というかアッシュが1000%悪い。
「だから…私は…!」
決意の言葉を口にする瞬間、ドスドスという地竜特有の足音が聞こえた。 あまりの力強さに地面が揺れる。
「な、なんだ…?」
「うご?」
シルヴィアがふと後方を確認すると…。
こちらへ向かうアッシュの姿がそこにあった。
「ヒェッ」
しゃくり声を上げてしまいそうになるのを必死に抑える。
落ち着け、あれはただレースに集中しているだけだ…と。
だが、シルヴィアの予期せぬ事態が起こった。
アッシュがブリギッドの名を呼ぶとそのまま飛び上がりブリギッドの前方に着地。あろうことかドラゴンから降りたのだ。
アッシュがブリギッドから降りたときシルヴィアは瞠目した。勿論、ランスロットも不審に思った。
何故、そんなことを?まさか棄権するつもりか?しかし、アッシュとブリギッドの双方の目に「あきらめ」が存在しなかった。
それにアッシュはそのまま立ち止まっているが、ブリギッドはドスドスと走っていた。
このままではアッシュはブリギッドと衝突する!
「危ないぞっ!何を考えていr」
シルヴィアがそう口にしたその瞬間だった。
「ふう"ぅ"ぅ"ぅ"う"ん"ッ!」
「は?え?…ふぇ?」
シルヴィアは目を疑った、前の連中もだ。
それもそのはずアッシュが爆走して向かってきたブリギッドをそのままつかみあげ…。
「これがまさしく人竜一体…というやつだな!」
「がぉんっ」
「「「「「…は?」」」」」
シルヴィアと妨害連中が目の前で起こったことに唖然としているとアッシュが腰を屈めて…。
「どぉっ…せえええぇぇぇえぇぇっいッ!」
轟音。
一瞬何が起こったのかシルヴィアは理解できなかった。
目の前で人が飛んだのだ、それもかなり重量があるであろうドラゴンを背負って。
アッシュとブリギッドはそのまま妨害連中のバリケードを飛び越えた。
それどころか市道の両側のそれなりに高い建物すら飛び越したのだ。
着地と同時に爆音がなり見れば着地地点であろう道がひび割れている。
シルヴィアと妨害連中そしてドラゴン達はただ唖然として立ち止まる他はなかった。
アッシュはブリギッドを下ろしまた座り直す。
「ふんすっ」
ブリギッドが満足げに鼻を鳴らすとそのまま前へ前へと進んでいってしまった。
「ランスロット…」
「きゅいぃ…(えぇ…)」
シルヴィア半泣きになりながらも固まっている妨害連中を差し置いて彼の後を追った。
因みに妨害連中はさっさと棄権したそうな。
「なあレイモン」
「どうした、マックス?」
「眼鏡が壊れたみたいだ。さっきお前のブリギッドを背負ってアッシュが飛んでったのが見えた」
「残念だったな!俺も見えたぞ!」
「「HAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!」」
友人二人は笑う他無かったそうな。
妨害連中をさっさと追い越し、市壁を飛び出し北へ北へと向かったシルヴィア。コースの一部であるフィアナの森に突入した。
そこで彼女は異変に気がついた。
「あれは…アッシュ・ブレイクとブリギッドか?」
先ほどまで快走どころか爆走を続けていたアッシュとブリギッドのコンビがコースの外れで立ち止まっている。
どうやらブリギッドが飛ばし過ぎたせいでダウンしてしまったらしい。アッシュとブリギッドもこちらに気がついているようでさっさと行けとハンドサインを出している。だが…
「…ランスロット」
「オォン!アォン!(了解だぜお嬢ッ)」
息が詰まりそうなのを必死に抑えながらシルヴィアは速度を落としそのままアッシュとブリギッドの手前に着陸した。
「姫様…あんたなにを?」
「ご?」
「えっと…」
疑問を浮かべるアッシュの顔をみてシルヴィアは萎縮してしまった。アッシュは相変わらずマッスルだがあのときのような威圧感は感じられないが、それでもだ。
「あの…姫……様?」
(うぅ…)
やはり後で話しかけるべきだったと後悔した。
(ああ、なんということだ!折角、謝ろうとしているのに言葉が全くもって見つからん!それどころかまた失禁してしまいそうだ!落ち着け、シルヴィア・ロートレアモン!お前はこの国の映えある第四王女だろう!?……いや、第四だからそこまででもないのか!?ああもうっ!)
だが、背中に軽い衝撃を感じ降り向けば鼻先を背中に押し付けるランスロットの姿があった。
「きゅいっ!(オラッ!さっさと謝れ!記念だぞ!)」
そばにいるから大丈夫、とでも言いたげだ。(本心は違うが)
(ありがとう、ランスロット…!私はもう大丈夫だ)
ランスロットの激励を受けシルヴィアはなけなしの勇気を振り絞った。
「すまなかった!」
頭を下げ、謝罪の言葉を口にする。あの時のアッシュのようにだ。
「ひ…姫様?」
「あの時の私は、お前にとんでもないことを言ってしまった!ランスロットという相棒がいながらお前の相棒は死んでいるなどと…!」
「いや、待ってくれ!元はと言えばあんたの相棒に接触したあげくあんたの言葉を受けて勝手にキレた俺が…」
「そういう問題ではないのだ…。あの時の私は本当にどうかしていたのだ…。つまらぬ理由で意地を張り捲し立ててしまったのがそもそもの間違いだったのだ!
そ…それに、お前は私が、お、お漏らししてしまったのを今でも気にしているだろう!?」
「……っ!…ああ、その事について謝罪すべきだったが今までそれが出来ずにいたんだ。いや、声を掛けようとすれば姫様が逃げていったからそうなったのだが理由にならないな。
…俺の方こそ、すまなかった!女の子を泣かせた上に失禁させるなど、俺は最低な男だ…」
「はうあっ!?お、女の子?」
女の子、という単語にシルヴィアは反応した。今まで王女として腫れ物扱いされていた彼女にとって新鮮なものであり、彼が自身を王女ではなく女の子扱いしているという事実に困惑した。
筋肉ダルマなのに。
「女の子…私が…女の子…か?」
「す、すまない!失言だったか!?」
「いや、べっ別になんの問題もないぞ!」
おろおろとするアッシュの姿を見ていたらいつの間にか足の震えが収まっているのを感じた。
それどころか自分を気遣うアッシュの姿を見てあの時の彼女を助けてくれた男の子が彼に重なって見えたのだ。
全く似ても似つかないというのに。
「(な…なんなのだこれは!何故あの
「ん?ああ…ブリギッドか?情けない話だが無理をさせてしまったようなんだ」
ブリギッドはアッシュの無骨な手のひらに撫でられ目を細めている。アッシュの表情は穏やかだでありシルヴィアはアッシュが自分が思っているような男ではないと悟った。
「それでどうするのだ?さっきみたいに背負ってゴールまでいくのか?」
「いいや、ブリギッドに無理はさせられないからな。保安官でも探して棄権するよ」
「いいのか?優勝するつもりだったのだろう?別にドラゴンを背負ってゴールしてはいけないというルールはないのだぞ?いやまぁ……非常識過ぎるが……」
「いいさ、あんたに謝るという目的は果たしたし、結果なんてどうでもいいや」
「そう…か、私も……お前に謝ることができてよかったぞ!」
そのまま、シルヴィアはランスロットに騎乗する。
「悪いが先に行かせて貰う!時間を取らせてすまなかったな!」
「気にするな、お互い様だよ」
アッシュの清々しい表情にシルヴィアは安堵を覚えた。
彼女は自分が今までアッシュを恐れすぎていたことに情けなさと申し訳無さを感じつつランスロットとともに飛び立つ。
シルヴィアが振り向けば筋肉ダルマが微笑みながら手を振っていた。
「行ったか……さて、ブリギッド。ちょっと俺は保安官を探しにいくからここで待っていてくれ」
「うぉん!(いってらっシャイニングチクビーム)」
アッシュがシルヴィアを見送った後ブリギッドに声をかけ、森の奥へと向かっていく。
フィアナの森はアンサリヴァンの北西に広がっており、湖なども擁しておりこの国でも有数の森林地帯である。
アッシュは数年間の修練末会得した筋肉ソナーを用いて人の気配を探っていた。
筋肉ソナー…
それは古王国時代にかの有名な錬金術師エーイ・ディーンによって伝えられたとされる特殊な技術である。
人間は身体を動かすときに神経から電流が流れているが非常に微弱なものである。しかし、一定の筋肉量を持つものならばその電流を直列つなぎにしてレーダー代わりにすることができる。
しかし、会得するには過酷な修練をこなさなければならず、筋肉の操作を誤り感電死する者も少なくは無かったという。
ちなみに、自動体外式除細動器こと『AED』はエーイ・ディーンの名前から取られたものである。
そして、誰かの気配を筋肉ソナーは捉えた。
「すみません!保安官さん、棄権をしたいので保護をお願いします!」
気配を感じた茂みに向かって話しかけた。彼の筋肉ソナーが正しければそこには二人分の気配があるのだ。
しかし、一向に返事がない。
「ありえない、筋肉ソナーに間違いはないはず…。まさか!」
アッシュは自分の直感を信じ、足元にあったそこそこ大きな石を茂みに向かってフルスイングする。
すぐに茂みから「ハギャぎ!!!!!??!!!!!??」という青年の声と「ミルガウス様!?」という女の子の声が聞こえた。
ビンゴ。茂みにいたのは保安官などでは無かった。
がさりと茂みから旅人風の装束に身を包んだ青年と露出度の民族衣装をきた小麦色の肌をした少女が現れた。
「ふ…。良い勘をしているな。そしてその筋肉、ただの学生にしておくには惜しい人材だ…。ごふぅっ」
「ミルガウス様!あまり無理をなさらずに!」
「な、なんだお前らは……?」
茂みから出てきた青年は銀色の仮面を装着しているがアッシュの投擲した石が激突したのだろう。仮面にはヒビがはいりだらだらと鼻血が流れている。あ、血吐いた。
彼の手には機関銃のようなものが握られていた。
それは、現在騎士国と休戦下にあるゼファロス帝国の兵器だったのだ。警戒しないわけがない。
側に立つ民族衣装の少女がアッシュを睨み付けた。
「お前……さてはゼファロス帝国の回し者か!?そうじゃなくてもそうなんだろう!?」
「さぁ?どうだろうな…ごふっ」
「ミルガウス様、これを…」
民族衣装の少女はミルガウスと呼ばれた男に手拭いを手渡した。
アッシュは困惑した青年が持つのは帝国兵器だが話している言葉はゼファロス帝国と敵対しているはずのシェブロン王国で話されているものなのだ。更に訳がわからない。
それを知った途端、アッシュは自らに危険が迫っていることを自覚した。
恐らく彼らは帝国の回し者、それがシェブロン王国から派生したこの騎士国の領内でコソコソしているという事実。
恐らくだが、アッシュは口封じされるだろう。
まあ筋肉があるのでなんの問題も無いが。
「妙だな。その年齢で、未だに相棒が目覚めていないのか?」
「あんた、何故その事を……?」
手拭いで鼻血を拭いながら青年は場違いな事を口走った。
「そして、その左腕の星刻……。くくっ…なるほど、そういうことか…!…おぅふ……そいつの後始末は任せる…!」
「なっ!?あんたは俺の星刻に何か知っているのか!?」
青年の発言はアッシュにとって看過できないものだった。アッシュは青年から聞き出そうとするが民族衣装の少女に阻まれる。
「お前が知ることはない……。」
「おいっ待てぇっ!」
「あんたの相手は私よ!」
可憐で苛烈な一声が、アッシュの鼓膜を振るわせ左腕の籠手からひと振りの鞭を引き出した。
「うおっ!?」
この鞭はおそらく、山岳民族で広く使われているものだとどこかの文献で読んだことを思い出した。格好からもそれは読み取れる。
彼女は顔の下半分を隠しているが間違いなくあの戦闘部族だ。
あのミルガウスという男に石をぶつけたからだろう、彼女の目は殺気に満ち溢れていた。
アッシュはバックステッポゥで距離をおく。だが少女はすぐさま反応して距離を詰める。
「ええぃっ!」
「くそっ!不味いなこれはっ」
振り向けば崖、知らずうちに追い込まれていたようだ。いくら敵でも女性をぶん殴る訳にはいかないと思っているがそうもいってられないらしい。
「あたしたちにあったのが、運のツキね!この筋肉ダルマが!ミルガウス様に傷を負わせるだなんて…絶対に殺すっ!」
「やはり山岳民族から見ても俺は筋肉ダルマなのか……」
この少女なかなかバイオレンスである。怖いねぇ。
「落ち着け、あんたを殴りたくはないそれに今は休戦中だろ」
「ふざけるなっ!たかが温室育ちの学生の癖に私を倒すつもり!?この筋肉ダルマ!大体気配を感じるからって投石する奴が何処にいるのよ!?この非常識ッ!」
「う~ん、返す言葉もない」
短気な性格らしく鞭をぴしゃりと地に打ち付けた。
そのままアッシュに向かって鞭を放つ、がその鞭をアッシュは掴んでしまった。
「はぁっ!?嘘でしょ!?」
「少し痛いかも知れないが我慢してくれよ?
どおおおおぉおぉりゃぁぁぁっっ!」
まさか掴まれるとは思わないだろう。そのままアッシュは鞭を思い切り上に向かって投げる。
「きゃああああぁぁぁっ!」
「あ、白だ」
少女のか細い体躯はアッシュの剛腕によって軽々と宙を舞う。
ついでにアッシュは少女のパンティを目撃した。
アッシュはひどく赤面した。
「かひゅっ!」
少女は背中を地面に叩きつけながら苦悶の表情を浮かべた。
なんとか意識は保っているのだろう。
「うぐえぇ…」
少女は悔し涙を流しながら身悶えしながらアッシュを睨み付ける。アッシュは少女を奪った鞭で縛り上げようと少女の元に向かう。その時だった…。
ピシリッ
異様な音が鼓膜を揺らす。
「なにっ!?」
愕然とした。アッシュと少女の地盤が崩壊し始めた。
見れば崖のそばに『地盤崩壊には気を付けよう!』という文字が左の二の腕を擦る男の絵と共に書かれている注意喚起の立札が視界に入る。
何てことだ。このままでは二人とも崖の下へまっ逆さまだ。
これはいけない。とアッシュは反射的に少女を掴みあげる。
「何を…?」
「オラッ!」
「へっ?…きゃああああぁぁぁっ!」
アッシュはそのまま少女を安全な場所へと投げ飛ばしたが…。
「ハギャぎ!!!!!??きゅうぅぅ……」
「あ」
少女は助かったものの勢いで木の幹に激突してしまった。
「なんか、ゴメン」
その言葉が届くことはなく。
足場が崩れ、転落。アッシュは肌を掠める風圧をそのマッスルで感じ取った。
何とか受け身をとらなくてはなぁ…。
と思った瞬間、アッシュの左腕が焦熱を帯びた。
「なにっ!?」
筋肉でパツパツの衣服越しに、燐光が瞬く。かつて包帯で隠していた星刻がマントルが地を噴き上げるかの如く、真紅の光を放ったのだ!
瞬間、アッシュはその胸筋に爆発的に激しい痛みを覚えた!
「うごおっ……!」
何かが自身の身体をこじ開ける感覚を自覚した。ここまでの痛みは鍛練の日々ですら感じたことは無かった。意識が途切れそうになるものの光は強くなるばかりである。
「ぬぐぅああああぁぁぁぁぁッッ!」
絶叫、霞む視界の中でアッシュは確かにソレを見た。
一糸纏わぬ、産まれたままの姿の少女が宙に浮かんでいる。
きらびやかな粒子が巻き起こるなかでアッシュはその少女を抱き止め、やがて渓流の岩場に着地した。
「この子は……誰だ?」
少女は瞳を閉じたまま、すよすよと寝息を立てている。女の子らしい睫毛がチラチラと艶やかでアッシュはドキリ、とした。
「はうあっ!」
彼女がまったくの全裸であることを意識したとたんに、アッシュはひどく赤面した。
年齢は大体14から15といったところで女性特有の柔らかさがアッシュのゴツゴツとした手のひらから伝わってくる。
小柄なその姿はアスファルトを砕く一輪の白百合のようで10人中11人が美少女だと断言できるレベルの美少女中の美少女だ。
そして、驚いたことにその小柄な体躯とは裏腹に彼女は巨乳だったのだ!
アッシュぽよぽよと眼前で弾む球体に目が離せなくなってしまう。
「ま、マズイこれ以上はっ(おっぱいでっかッッ!?ロリ巨乳じゃないかッ!?)」
なんとか目を反らしつつ少女を横たえ、素早くジャケットで少女をくるんだ。
「ふう……」
どさりと岩場に腰をおろした。アッシュは再度少女の顔を覗き込んだ。
「あれ?何処かで見たような……それにこれは角か?」
ここ一週間、アッシュは奇妙な夢を見るようになったのだがあいにくアッシュは内容をあまり覚えていなかった。騎竜祭へ向けて消灯時間ギリギリまでトレーニングに勤しんでいたため疲れからかどっぷり眠りこけてしまったのを覚えている。
僅かに覚えていることはその夢がなんか色々とエロチックな雰囲気だと言うことだけだ。う~ん、センシティブ!
「ううむ……」
恐る恐る少女の角を触ってみるとぷにぃ、という感触が指を押し返した。ほんのりと温もりを感じることからアクセサリーのたぐいなどではなく身体の一部だ。
星刻が赤熱した事、アッシュから出てきた事、そして少女の角の事を鑑みると……
「まさか、この子は俺の相棒なのか!?」
…という結論に至った。アッシュは歓喜すると同時に何故女の子の姿なんだ?という疑問が彼の捕らえて離さないのである。
ただアッシュはあることに確信を得た。
(死ぬほどカワイイッッッッ!!!)
…ただそれだけである。
「くぅー…………ん…………」
その時少女の艶やかな睫毛が震えた。
「ふわぁぁぁ……うーん……」
欠伸をひとつ、少女の瞼がゆっくり開きその瞳が明らかとなる。
アッシュは釘付けになっていた。そのルビーさながらの瞳に見とれるのも束の間、少女の顔がこちらへ向く。
「えっ……うそ……」
「あっ」
声を掛けるまでもなく少女のその瞳が潤み、ぽろぽろと水晶のような涙の粒がジャケットにシミを作った。肩はぷるぷると小刻みに震えている。
やってしまった、とアッシュは深く後悔した。いきなり目の前にこんな筋肉モリモリマッチョマンの変態がいたら誰だって泣き出すだろう。
しかし、アッシュは少女の顔がが恐怖ではなく歓喜に満ちていることに気づいた。
「お……おい君、何処か痛むのか?」
「やっと……やっと……この時が来たのね……!」
「えっそれは」
どういう意味だ?という言葉はアッシュの口から紡がれることは無かった。
「やっと会えたわねっ!
_____________________________アッシュ!!」
「えぇっ!なっ何で俺の名前を…」
知っているんだと言う言葉も紡がれることは無かった。少女はジャケットを投げ捨てると歓喜に満ちた表情でアッシュに飛び付き抱きついてきたのだから。
「アッシュ!アッシュ!アッシューっ!本物だわっ!本物なのねっ!アッシュだわ!本当に私の目の前にいるのねっ!好き!大好きぃっ!愛してるっ!」
「ちょっちょっと待ってくれ!状況がっ!状況かまだ理解できんっておわぁーっ!?」
少女が抱きついてきた勢いのままばっしゃーん、と渓流に押し倒されてしまう。
「ああっもう女を誘う各方面に失礼な筋肉しちゃってぇ!もう大好きっ!一般男性の風上にもおけないわ筋肉の化身がよ。愛してる!ちゅっ♥️」
続けざまにキスをされさらにアッシュは赤面した。
「ホワァッ!?」
「ふふっ、困った顔も大好きよ……れろっ」
今度は少女の舌がチロチロとアッシュの右耳をねぶる。
さらにアッシュに抱きつく少女の生乳がアッシュの胸板でむにむにと形を変える。
アッシュの理性回路はショート寸前でありアッシュの息子もガッチガチに星刻の竜騎士(意味深)した。
「わかったわかった……。もう十分だ。もう十分だろう……」
「まだまだ足りないわっ!こちとらもう9年待たされてんのよ!まんじりともせず私の求愛を受け入れなさいっ!」
「きゅ…9年!?まさか君は俺の相棒なのかァ!?」
「ふふん。察しが良いのね。さすが私のアッシュってとこかしら!」
少女はアッシュに馬乗りになりながらそう言った。
アッシュはやはりと、目の前の少女が自分の相棒であると再認識した。
「だ、だがいきなりなんでこんなことを?いくら相棒とは言え俺たちは初対面の筈だぞ?」
アッシュは少女への疑問を口にした。
「そうねぇ、あんたが言いたいことは大体わかってるわ。なんで名前を知ってるのだとか、なんであたしがこんなにもアッシュが大好きなのか……」
「あっ、ああそうだ!だがいきなりこんな」
「ふふっ、話すとだいぶ長くなるわ……だ・け・ど今はそんな事よりぃ……ここスッゴいことになってるわね♥️ほんとは興奮してんじゃないの?正体みたり!って感じね♥️」
「はうあっ!ど……どこをさわってるんだ!?」
「大丈夫♥️大丈夫♥️ヘーキヘーキ、ヘーキだから♥️竜種の記憶でしっかりアッシュを悦ばせるためのお勉強もしたんだから!」
「お勉強ってなんだよぉっ!?ちょっ待てソコはマズッ!「我慢しなくて良いのよ!オラッ!脱げッ!記念なのよ!」やめろォ!(建前)ナイスぅ!(本音)」
「もう我慢できないわ♥️アッシュ、今すぐセ◯クスしましょセック◯!何がともあれ◯ックスよ!」
いきなりの爆弾発言にアッシュはひどく困惑し、赤面した。
「ま、まて話が飛躍しすぎだろう!?そういうのは段階を踏んでからするべきだし……それに体格的に問題があるぞ!?」
そこじゃない。
「大丈夫よ!さっきも言ったけど竜種の記憶でちゃんと勉強したし竜華魔法で避妊もしっかりするわ!さぁ据え膳食わぬは漢の恥よ!観念なさいな♥️」
「うぐッ!?」
少女の手によってあれよあれよとアッシュの抵抗虚しく次々と衣服が取り払われアッシュまで全裸になってしまった。
崖下の渓流で全裸で二人きり、何も起きない筈が無く……。
はてさて、この先何が起こったのかはここで書くのは野暮というものだろう。なんたってこれr-15小説だからね、しょうがないね。
なんで投稿しなかったかと言えば色々と酷かったからです。
ぬーん。
あっ、そうだ(唐突)
とりあえずキャラクターの紹介だけしておくゾ。
アッシュ・ブレイク
主人公。原作では女装が似合う青年だがこの小説では筋肉モリモリマッチョマンの変態と化した。原作だと恋愛面はヘタレ感があるけどこの小説ではエーコがメインヒロインです。聖騎甲と固有魔装無しでも拳でドラゴンを仕留められるくらい強い。
エーコ
主人公アッシュの相棒ドラゴン少女。メインヒロイン。原作初期ではかなりアッシュ反抗的だったがこの小説ではかなりアッシュ大好きドスケベドラゴンガールと化している。
声帯が足音消して歩いてそう。
シルヴィア・ロートレアモン
原作ヒロインの一人。そして筋肉アッシュくんの被害者。くっころ属性と妹属性両方の性質を併せ持つ……♦️。この二次小説でもヒロインに……、なれるのか?ハーレムラノベヒロイン金髪ロングヘアー出てこないラノベ存在しない説。
コゼット・シェリー
名前だけ登場。この小説においてはシルヴィアを失禁させたアッシュに、殺意を向けており何度も暗殺を試みている。
原作では強キャラメイドといった立ち位置であり機密文書盗み見したりシャワー中のヒロインの一人レベッカにセクハラする豪胆な人。
レベッカ・ランドール
原作ヒロインの一人。生徒会長。学園モノって大体生徒会長が飛んでもない権力握ってる気がする。赤髪ロングヘアーなので遠目から見たらグレモリー先輩に見えないこともない。筋肉アッシュくんのことは好意的に見ている。原作でシャワー中にメイドにセクハラされた人。でもシャワーをしっかり浴びているのでポテンシャルは間違いなく拓也さん以上。
エルトン・グラットン
とりあえず出したオリキャラ。名前の由来はエ○トン・ジョン。
レイトン・カーグランド
アッシュの悪友ポジションの人。この二次小説でも筋肉アッシュくんの良き悪友。そもそも相棒のドラゴンを他人に貸すってあの世界ではかなりヤベーのでは……?
原作では最終巻でやっとこさ聖天竜騎士になったけど固有魔装の名前も出てこなかったので結構不遇。後述の三人含めてもっと早い段階で聖天竜騎士になってもよかったのでは……。
マクシミリアン・ラッセル
通称マックス。多分原作でも愛称以外で呼ばれた事が極端に無さそーなアッシュの友人ポジション。原作では女装したアッシュに目覚めさせられた。哀れ。
こいつも最終巻で聖天竜騎士になったけど不遇気味。しかもレイモンは原作ヒロインとラピュタ的な所で修行していた(特にラッキースケベ無し)ので輪を掛けて不遇。
ジェシカ・ヴァレンタイン
原作のサブヒロインポジション。レベッカ・ランドールの幼なじみでランドール家の使用人の家系なのだがあまり掘り下げられてない。アニメ最終回で鼻水垂らしてたのが印象的な人。ただ高潔さは有る。
こいつも最終巻で聖天竜騎士になったが男性キャラの悪友二人はともかく女性キャラのこいつも成るの遅すぎでは……?と、読んでいた当時思いました(小並感)
ミルガウス
テラ子安。仮面のせいでタキ○ード仮面がちらつく。ネタバレするとシルヴィアの兄ジュリアス。読んでいた当時は相棒の竜の名前がモードレッドなので固有魔装の名前は多分クラレントかそこらだと思う。聖天竜騎士に復帰してアッシュくんと共闘するかと思ってたけどそんな事は無かった。
アーニャ
山岳部族の少女。くさそう。肌の色やらなんやらでなんとなく差別されてそうな雰囲気だが別に原作にそんな描写は無い。原作ではなんやかんやで子安タキシード仮面の相棒モードレッドを受け継ぐ。
個人的に星刻の竜騎士の女性キャラクターの中で「ハギャぎ!!!!!??」というセリフが一番似合いそうな子。
仮面ライダービルドが7年前とかうせやろ……?