異能バトルは日常系のなかで 真伝《the origin》   作:獣の爪牙

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ちょっと説明回っぽいかも。


5-1 担当精霊

 

 

黒い長髪を後ろで纏めてあり、ツヤと清潔感がある。

落ち着いた印象の顔つきに銀色のモノクルで若き執事を連想させる。

 

そんな担当精霊リールートはまずお詫びをしたいと言った。

 

「こちらの都合で異能の戦いに巻き込んで申し訳ない。それと不手際で担当精霊がいないということがついこの前発覚した。重ね重ね申し訳ない」

 

そういうと精霊は頭を下げた。

「……」

 

思わぬ対応におれ達は顔を見合わせた。

「……いいですよ、それに不参加は出来ないんですもんね?」

「……ああ、残念だが自分には出来ない」

念の為の確認をしたがやはり退路は無いらしい。

 

「とゆーか、あなたは委員会の人じゃないんですか?」

委員会の者はおれ達の生活や命など遊び道具くらいに捉えていると思っていたのだが。

 

「実を言うと自分は委員会外部から来た者でね、あまり大きな声では言えないが、このバトルには反対なんだ。だが、事情があり急遽加わることに。事情は言えないのだが……すまない、怪しいよな」

精霊というのは見れば分かるが、ぶっちゃけ本当に委員会から派遣された者かと言われれば怪しい。

けれど

「……おれは信じていいと思います。異世界の人に頭を下げて気を配れる。どちらにせよ、悪い人じゃないと思います」

みんなも頷いてくれた。

「まあ、本物だった時を考えると、どの道話は聞かないといけないしね」

意外とあっさり信じた五人にリールートは

「ありがとう。いいチームだな」

と微笑んだ。

「証拠と言ってはなんだが、委員会から君達に、先の戦いの結果報告が届いている」

そうか。報告とかがあるのか。

一瞬みんながざわついた。

 

「仮チーム名、D-6。撃破数2」

 

……D-6がおれ達のチーム名で、倒したプレイヤーがふたりか。

「爆弾の異能と木の異能で倒した数は合ってるわね」

山崎と山下と砂川は逃したからカウントされていないと。

そこで彩弓さんが口を開いた。

 

「ひとつ聞きたいのですが、精霊はバトルに参加してもいいのですか?」

「そう。精霊のバトル中の干渉は禁止されているのだが、先の戦いでフォクシーという精霊が破ったそうだね。彼は除名処分になったようだ」

やはりそうだったか。

 

「それと、相手チームのリーダー砂川だが彼は戦いの直後にリタイアしている。別のプレイヤーに襲われたようだね」

「!」

そういうこともあるのか。

「報告は以上だ。次は基本的なルールだが、その前に確認しておきたいことがひとつある。桐生一という人物はいないのか?」

 

……?

「……桐生一なら、あたしの兄ですけど……」

「ああ、やはり! それで今どこに?」

「一兄さんなら黒き十二枚の翼《フォールン・ブラック》っていうチームにいます」

「え? ……そうか、同じチームではないのか」

 

「それがなにか?」

「いや、なんでもない。こちらの話だ」

どうしてそこで一さんの名前が出てきたのか分からないが、特に気には止めなかった。

 

 

「それで君達のことは資料で多少知っているのだが、君達はこのバトルについてどの程度知っている?」

 

「ルールについては桐生さん達からある程度聞きました」

 

********************

 

 

「なるほど、それならばあと話す事は担当精霊の役割くらいだな」

担当はさっきあったバトルの情報連絡や人払い、戦う場所へのワープ移動などもしてくれるらしい。

 

「基本的にこのバトルは勝ち残り制で対戦相手は対戦が決まるまで開示されない。戦う場所や日時は担当精霊に通知され行われる。これは強制参加だ。ただ奇襲や乱戦も許されることがありこれは委員会が判断するようだ。……ここまではいいか?」

 

言いつつ、リールートさんは困った顔をしていた。

 

それもそうだろう、このルール講義に付いていけるのは厨二大好き安藤とハイスペック彩弓さんくらいだから。

ぶっちゃけあたしでも頭がパンクしそうになってきている。

話が複雑化し始めた頃、彩弓さんがノートを取り始めた。

鳩子や千冬ちゃんも覚えられるように配慮してくれているのだろう。

鳩子と千冬ちゃんも最初はノートを取っていたけど鳩子はもうグロッキー状態で、自由人千冬ちゃんはなんかびちゃびちゃのパイナップルを描いていた。

いや酢豚《パイナップル》の絵うまっ⁉︎

 

「……よし。今日はここまでにしようか」

おわったー。

 

そこでリールートさんがプロジェクションマッピングを空中に投影していた。

映画とかで見るやつだー。

内容はどうやら異能に関するあたし達のデータらしい。

 

 

「あとこれは自分からの質問なのだが、……この異能の横に付いてる文字はなんだ? こく……えん?」

「ああ! これはダーク・アンド・ダークって読みます。異能の名前ですね!」

 

「……なぜ異能に名前を付ける?」

……。

 

「……よくぞ聞いてくれました。と言いたい所ですが、愚問ですね」

急に調子が変わる安藤に距離を置くリールートさん。

 

腕を組み遠くを見ながら安藤は言った。

「おれ達はただ戦っていた。その中で誰かがそう呼び、定着しただけです」

 

……。

 

なんか変な空気になった。

……なにこの身内の恥を晒してる感覚。

だれかっていうかアンタだし、定着してもいないし。

 

女子四人の見下げた視線に、

「……まあ、あと名前あると誰の異能か分かりやすいし?」

なんか言い訳が始まった。

「……あと、呼びやすいじゃん? 黒焰《ダーク・アンド・ダーク》貸して? とか、ちょっと始原《ルート・オブ・オリジン》いい? とか」

「どこが呼びやすいのよ! むしろ長いわ!」

 

引かれるかと思ったがリールートさんは

「……確かに異能を識別するのに便利だな。それに異能の起源や成長を考えると名を付ける行為はあながち無意味とは言えない」

 

思ったより普通に受け入れていた。

 

「安藤くん、そろそろ話を戻しましょう」

「はい、すいません」

 

「次はいつ会えます?」

ここまでちゃんと? 話を聞いていた安藤が質問した。

「敬語じゃなくていいぞ? 年もそう離れてないしな」

「分かった」

 

「基本的にはいつでも。電話帳に登録してあるから電話してくれ」

「電話できんの⁉︎」

「そんな友達みたいな⁉︎」

「あ、ああ」

 

思わず大声でツッコんでしまった。

精霊を引かせてしまった。

 

「そうしたら明日の昼過ぎはみなさんどうでしょう?」

もうこの異常に順応した彩弓さんが確認した所、全員オッケーが出た。

明日も講義かー。

必要とはいえちょっとしんどくなりそうな気がした。

 

 

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