個性『RTA』があまりに無慈悲すぎるヒーローアカデミア 作:ばばばばば
実習3日目、今日からサーの訓練が始まる予定だ。
とはいっても、通常の職場体験もしなければならない、というより本来の主目的はこちらだ。
今日は、センチピーダーさんと一緒に、資料の収集や整理などを手伝わさせていただいた。
「今日は収集した情報の整理を手伝ってもらいます。犯罪の捜査は警察の領分、しかし、平和を維持するヒーローとして、現場単位でヴィランの兆候や痕跡を敏感に収集する必要があるのは理解できますね」
指示された通りに細かく情報を分けていく、波乱のない粛々とした単純作業は、この職場体験で荒んだ私の心を落ち着けてくれた。
気づけば我ながらあてがわれた仕事量を超えて、私は業務をこなしてしまう。
「情報の処理が早い上に正確、手際が良くて助かりますよ」
しかも、サイドキックのセンチピーダーさんがすごく優しい、気遣いも完璧で、出来る大人といった余裕には憧れてしまう。
「少し休憩を挟みましょう、甘いものは好きですか? 実はケーキがあるんです」
ムカデ頭をリズミカルに揺らすセンチピーダーさんは、学生の私にも常に紳士的な態度で、よく気を使っていただいた。
センチピーダーさんがお菓子を食べる私の邪魔にならない、心地よい会話や気遣いをしてくれる。それに癒やされながら、私の職場体験は進んだ。
「今日はここまでとしましょうか」
そして、何事もなく進んでいく体験学習
「…………終わったか」
だがそこで終わりとはならない。
いつの間にか事務所に戻っていたサーはこちらを一瞥すると、トレーニングルームへのドアを視線で指した。
ついてこいと言いたげなサー、それを見た私は、センチピーダーさんにお礼を急いで言うと、サーを追いかけ部屋を出る。
こちらに振り向かない後ろ姿にようやく追いつくと、今度はこちらの反応を待たずにサーは話しかけてくる。
「前回倒れた原因は理解しているか? 言ってみろ」
「少し力加減を間違えただけです。改善策はあります」
「ならいい」
先ほどのセンチピーダーさんと比べて、なんと横柄な態度だろうかと私は眉を顰めた。
トレーニングルームについたサーはくるりとこちらを向くと、今度は追いかけてきた私にぶつかる勢いで距離を詰めてくる。
「よし、ではまずはこっちにこい」
そういってサーはこちらに手を伸ばす。
2メートルほどの高身長の彼がまっすぐ手を伸ばせばそこはちょうど私の頭の上だ。
当然私はその手を避ける。
「なぜ逃げる」
「なんで触ろうとするんですか」
サーは聞き分けのない子供を見るような眼で、こちらを見ながらため息をついた。
「訓練中は予知を使わせてもらう、そっちの方がお前の粗を分析しやすい、安心しろ、お前の直近の未来を視ることはあっても、先の未来は見ないと約束する。 前の時もお前の将来は見ていないぞ」
「……本当ですか? それ、オールマイトにかけて言えますか?」
「本当だ。この実習の終わりまでの未来しか見ていない、……そしてその確認の仕方はやめろ」
「……信じられません」
サーはそういうが、私の未来を視たのではないかという疑念が生まれ、つい粘着質な言い方をしてしまう。
「すいません、つい、……でもやっぱり、よく分からない個性で、好き勝手に自分の未来なんて見られたくないです」
「私の個性をよく分からないと来たか……」
サーの個性、予知、それは声の説明を受けても謎が多く残り、その詳細は謎だ。
というより、未来なんて理外の領域、予知の個性を持つサー以外には知りようがない。
そして何より、私の未来を視て、サーがどう動くか全く予想がつかないのが恐ろしい。
「それに、未来を視なきゃ私に勝てる自信がないんですか?」
もうこの話題は避けたい、そう考えた私は焚きつけるような態度をあえてサーに取った。
「この前は完敗したというのに言ってくれるじゃないか」
「……前のようにはなりませんよ」
「そうか、期待しよう」
うすく笑うサーを見るに、挑発には失敗したようだが、本来の目的である会話は止まり、ようやく訓練が始まる。
上着を脱いだサーを見て、私もそれ以上の思考を打ち切り、距離を取って構えた。
「いつでも来ていいぞ」
「…………」
以前のようにやられっぱなしでは終われない、雄英体育祭で私は頭から伸びる線を知覚した。
そして先日のサーとの勝負で再現できることも確認済みである。
ならば次は改善だ。
サーは私に個性をコントロールできるようになれと言ったが、言われるまでもない、私の個性は成長、二度繰り返せば以前より繊細に頭から伸びる線を操れる。
サーと相対しながら呼吸を整える。
以前より慎重に、時間をかけてゆっくりと線を意識した。
『アレ』とまともに繋がれば、私の脳は一瞬で機能不全に陥る。
だからこそ、ほんの少し、針先より線を細くして、なでる程度に『アレ』に触れようと私は頭から手を伸ばした。
そして、意識が暗転する。
「ハッ!? …………あっ、あれ?」
「でだ。前の時と全く同じ光景なのだが」
私は以前と同じく、地面に倒れ昏倒していたところで、目を覚ます。
「こ、こんなはずじゃ……」
「いわゆる天丼のつもりか? なるほど、なら多少は笑ってやっても……」
「違います! 嫌味な人ですね!」
自分でも少しはやれるのではと思っていたらこの様だ。あれほどの大見得を切ってこれは正直顔から火が出るほど恥ずかしい。
赤くなってる顔を鎮めようとしている私の狙いを当然のように裏切って、サーは私の頭側に近付いて、顔を覗き込んでくる。
「なんで失敗したか掴めているか?」
「個性の……、コントロールがうまく行かなかったんですよ、でも前よりはうまくやりました。回数をこなせば……、もう一度お願いします」
照れ隠しに、大してついていない服の汚れを大げさに叩きながら立ち上がり、もう一度サーとの特訓を続けた。
サーとの訓練は私の目的通り、線に対するコツを急速につかんでいく。
今では繋ぐまでの速度も一瞬で、太さや長さの調節も自由自在、頭から伸びる線であやとりをしながら縄跳びだってできるぐらいだ。
……だというのに
「これで33回目、同じことの繰り返し、いい加減変化が欲しい所だが」
「はぁ、はぁ、はぁ、も、もう一回させてください、上達はしているんです! ただ……、それでも……」
「大して変わらんさ、付き合ってられんな」
「……だったらいいです。勝手にやりますから」
「私に従うと約束したはずだ。この時間以外でお前の訓練は認めない」
「…………」
「私に隠れて練習すればいいとでも言いたげだな、言っておくが、そんな勝手な事をしたら本当に最低成績で雄英に帰ってもらう」
「うっ……」
あれから何度もやっても、私は一瞬で昏倒し続けた。
『アレ』と繋がった反動のせいで私が昏倒していることは予想できる。
だからこそ線を細くして負担を軽くするために制御し、私の脳自体の処理を成長させているというのに、一向に成果が見られない。
今や私の線の扱いはかなり熟達しているはずだ。だというのに私が意識を失うことは変わらない。
考えられる理由は『アレ』との接触に耐えるために必要な能力が、私に足りていないということだろう。
ならば、続けて私の体の方を適応させるしかない、そう考え私は立ち上がろうとしているわけだが、なぜかサーから邪魔をされている。
私は知らず知らずのうちに不満そうな眼をしていることに気づいた。
「私は言ったはずだ。個性の鍛えこみなど雄英で飽きるほどやらされると、もっと時間は有意義に使え」
「自分のことは自分が一番わかっています。……問題はわかっているんです。あとはそれを克服するだけですから」
「自分のことは分かっているか……、もう1時間経つが、傍から見て、成長しているとは思えないな」
「しています。それに、私の個性“成長”ならいつかできますから」
「……その個性のせいか」
サーはなにか勝手に納得したような顔をして、ため息をつく。
「本条、お前、成績は良くても要領悪いだろう」
「なっ……!」
「しかも、なまじ個性の力押しでまかり通ってきたせいで、その事実に気づけていない、お前、個性がなければかなり不器用なんじゃないか?」
そんなはずはない。少なくとも外面では器用な人間と思われていたと私は自負している。
「なんのために時間を作っていると思っている。お前に今必要なことは成長のための自己分析、つまり自分を見つめ直す作業だ」
「言われたことぐらい覚えてますよ」
「同系統の個性である私と比較して学べと言ったはずだが」
「だから私の個性は……」
「なぜ、そこまで未来が見えることを隠す。バレているのだから別に隠す必要もない、素直にお前の個性を教えてくれてもいいだろう?」
しつこいを通り越して、開き直ってるとしか思えない追求に私も感情を隠すことを止めた。
「……サーだって自分の個性を詳しくは、私に言ってないじゃないですか」
「…………」
私の嫌味にサーは押し黙る。
こういえば流石にこれ以上の追及はできまい。
当たり前だ。なぜなら個性の詳しい情報はヒーローにとって命に直結するほど重要な情報、ヒーローでもない学生の持つ個性とは訳が違う。
実際にサーは自身の個性に関する質問を一切シャットアウトするほど、個性の情報に気を使っていたことは、彼を調べて出てきたインタビュー記事やヒーロー雑誌のコラムから分かっていた。
「ほら、言えないでしょ、だから早く訓練の続きを……」
「いいだろう」
「はじ……め?」
聞き間違いのはずはない、私の耳は正確にその音と意味を聞き取ってしまう。
「そうだな、自分の個性の細かい情報を人に言ったことなど数えるほどすらないがお前には伝えておこう」
「え……」
サーは事もなげにそのようなことを言い出そうとするので、私は大いに驚愕する。
「自分の個性ですよ!? 学生ごときにそんな!」
「黙って聞け、そうだな、私の個性である予知は……」
「ま、待ってください」
思わず私は急いで周りに誰かいないか、盗聴器の類がないかを念入りに確認してしまう。
「何をしているんだ?」
「こっちのセリフです! どこかの誰かに聞かれていたらどうするんですか!」
「リスクは承知だ」
そういって動揺した私を置き去りに、サーはヒーローにとって命そのものと言える情報を私に簡単に明け渡した。
サーは私に自分の個性の詳しい情報を説明する。
「いいか、私の個性は説明するならコマ送りのフィルムと例えられるかもしれん。発動条件は相手に触れて目線を合わせることで、発動後の1時間だけ対象を中心とした限られた周辺の未来を確認できる」
こんなことはたまたま体験学習で来た学生にすることじゃない、明らかにサーは私に何らかの意図を含んでいる。
「未来の映像がコマ送りのように見える。すぐ先の未来であるなら、ある程度の連続した光景だが、遠くなれば誤差は大きく、コマとコマとの間の時間はあやふやになってしまう」
それは一体なんだ?
「かなり先の未来を視れば年単位でずれることもある。しかし、どれだけ先であろうと、あるいは1秒先のことであろうが、予知の映像は変わることはない」
一通り話しおわったサーはこちらを見る。
「おおよそ話した。分からないことはあったか?」
しかし私は返答をすぐには返さず黙り込むと、少し間を開けてから、サーに問いただす。
「……サー、いったい何故、私に個性の情報を?」
「おまえが言ったのだろう、“自分の個性を私に言ってない” 確かに公平じゃない、そう思っただけだ」
「理由になりません、なにか目的があるんですか?」
目の前の人物は短い付き合いだが、相当な合理主義、私にこの話をする理由が必ずあるはずだ。
「ある。私にとって重要なことだ」
サーの迷いない返答に声の発言や今までのサーの言動を思い返す。
サーの持つ個性は未来予知、車での運命に関する偏った会話、サーは私が未来を見えると思っているから指名したという事実、そして声によると彼は未来が変えられないで苦しんでいる。
いくつかの情報から一つの可能性が私の頭に浮かぶ。
そういうこと、なのだろうか……、
だったらそれは……、酷い勘違いだ。
彼が私に何を望んでいるか、予想できてしまった。
「フフフ……、ハハッハハ……、もういいです」
私は表情を消して乾いた声を出す。
「別にあなたが勝手に自分の個性を喋っても、そもそも私が自分を明かす必要なんてありませんよね」
ここまで話してくれたサーに対して、小ばかにした態度で突き放した。
「馬鹿な勘違いですよ、私の個性は未来予知ではありません、もうこれ以上は同じことを言われても迷惑なので、この際はっきり言っておきますね」
私は、冷笑しながら彼を見上げる。
「なーんか、サーが私に何をさせたいのか分かっちゃったんですよね、私なんかを指名したり、急に未来がどうのとか言ってきたり、確か“お前も未来が見えているんじゃないのか”でしたっけ? ねちっこいなぁ、なんて思ったら……」
私は攻撃的な態度で無表情のサーを見ながら、言葉を続けた。
「まさか、サー。あなた、私が未来を変える何かでも、持っていると思っているんですか?」
それは違う、違うんですサー
私はこれ以上サーが絶望しないよう、私なんかに期待しないよう。的外れな希望を丁寧に踏みにじる。
「車の時の会話も、急に運命とか変なこと言いだして怖かったですけど、今になって納得しました。多分ですけどサーは今まで、運命を変えようと足掻いてきたんですよね?」
サーの眉がピクリと動くのを見逃さない。
「で、それを私が何とかしてくれると思ってる」
実際は、そんな期待と私は最も遠い位置にある。
あまりに無意味でサーが哀れすぎる。
「何か私に期待してるようなんですけど、笑えますよ、サーも言ってましたよね、未来は変わらないって、その通りだと思います。変えられませんよ、そして私自身、変える気もない」
まったくおかしな話だ。
サーは私が運命か何かを変えられる力を持っていると思っているようだが、それは違う
言われた通りに動き、傷ついても、媚をへつらいながら、声にしがみ付いて従い続ける私のどこにそんな力があるというのか
未来を変えるどころかそれを妄信すらしている。
そんな運命の奴隷が私だ。
「どうです? あってますか」
ここまで言えばサーも分かるだろう、私はあなたの期待するような人間じゃない。
「貴様は本物の馬鹿か? しかも笑えないから質が悪い」
私の言葉はサーの心を抉りに行った。なのに目の前の人は呆れたように私を見ていた。
「反論は3つある」
サーは一歩近づき、私は思わず後ずさる。
「まず1つ目、貴様の力など理由のほんの一欠片にすぎん、私はお前が未来を変える可能性があるからこんなことをしてるわけじゃない、なによりお前のそのユーモアの欠片もない、つまらなそうな顔に我慢ならんからだ」
長身のサーの歩幅は大きい、さらに距離を詰めてくるサーに私はもつれながら離れようとするが逃げ切れない
「2つ目、お前は未来は変えられないと諦めかけてはいるが、まだ完全に諦めてはいない」
何をいっている? そんな話私はしていない……、急に何を……
「攻撃的な態度は焦りの裏返し、お前は秘密を隠している。そして今している癇癪は、私の話がその何かに触れたからだろう、まぁ追及はしないでおいてやるがな」
「ちっ、ちがっ……!」
サーの言葉に、なぜか私は恐怖する。これ以上話してはいけない、そんな恐れに支配された私は、さらに逃げようとするが、いつの間にかそこは壁際だった。
「最後に3つ目、お前は自分に期待していないが、私はお前に大いに期待している」
その一言に私の心臓はひと際強く跳ねた。
「意味が分からない、……そんな話はしていません、耳がおかしいんですか……?」
「“私なんかに期待するな”さきほどの戯言全部、そういうふうにしか聞こえなかったな」
「…………」
「卑屈は人を腐らす。私の事務所には全くもって不要だ」
下を向く私の頭に平たいのにデコボコした何かが乗って、そしてすぐ離れる。
私がゆっくり目を開くと、サーはいつの間にか上着を取って、既に離れていた。
「今日はここまでだ。車で送る。早くついてこい」
そういうと彼は一人、トレーニングルームから出ていった。
誰もいない、部屋。
…………なんなんだあの人は
「ズビッ……」
急に運命とか、未来だの、いい年した大人が言う言葉じゃないし。
女の子の体や頭を勝手に触ったり、成績を盾にして脅してきたり、パワハラもセクハラもいいところだ。
控えめに言って最悪だ.
だからこれはちょっと油断しただけ。
これはそういうのじゃなくて、2メートルの大きくて苦手な男の人に迫られたのが怖かったからだ。
「ズビビッ……」
私は襟を持ち上げて顔を隠すと、顔を拭った。
「遅い、いつまで待たせるつもりだ」
「乗るわけがないでしょう!!!!」
4日目はバブルガールさんとただのパトロールになるはずだった。
「いやー、桃子ちゃんすごいね! スリ犯を見破るとは!」
「街中で急に足音がどんどん重くなるんです。怪しかったのですぐにわかりましたよ」
「いやいや、あの人数から絞り込むの、普通は無理だよ」
「私も財布を取られたと、あの場で騒いだ人がいなければ気づきませんでしたから、それに実際に捕まえたのはバブルガールさんですよ、見事な捕縛でした」
「えぇ、照れるなぁ……、えぇっと、警察によると犯人の個性はアポート、半径10メートルで785グラム以下の物体を自身の手元に引き寄せることが出来る。……普通に考えて785グラム程度の重さの上下なんて分かるの? じゃあ私の体重とかも分かったり?」
「えぇ、まぁ、というよりなんで言って欲しくなさそうなのにあえて聞くんですか……、そんなプライベートな部分、調べませんし言いませんよ」
「あはは、ついユーモアを追求しちゃって、うちの社訓みたいなところがあるから」
「…………」
「あっ、桃子ちゃん明らかに機嫌悪そうな顔、やっぱりサーとなにかあったんだ」
『事件解決イベント、貢献度により実習評価、つまり取得経験値やスキルがアップします
結果は事件解決に貢献、大量の実習評価がもらえました
一緒に出ているのはバブルガール、個性は「バブル」 初登場でサーに縛られ器具で攻められる……、緊縛調教されてた♀です
サー! お前ノンケかよぉ!?(失望)』
あの人、そんなことをバブルガールさんにしていたなんて……
「パワハラとセクハラを受けてます。バブルガールさんも同じですよね、今すぐ立ち上がるべきです」
「サーがですかッ!? セクハラやパワハラなんてそんな……、いえ、お仕置きとかはありますね……」
『ちなみに彼女が好きなものは「お風呂」 性格は「頑張り屋さん」必殺技が「パヒュームバブル」
お風呂が好き、個性がバブル……、泡……、必殺技がバキューム(難視)
あっ……、ふーん(察し)これは王道を征ってますね』
「まぁ、でもサーはそれだけじゃないですよ、皆を笑顔に、そういう考えは好きですから」
そう言うバブルガールさんは屈託のない笑顔を浮かべる。
これはバブルガールさんがいい人すぎるからであって、サーが慈愛を持った人物であるわけでは決してない
そんな幼稚な怒りをさますことが出来ないまま、事務所に帰る。
その日の報告をした後から、訓練の時間となった。
「では始める。がその前に言わせろ、この体験学習は7日間、訓練ができるのは今日を合わせて残り4日しかない、分かっているのか」
「足し引きくらいわかります。私が本気になれば1秒間で円周率をどこまで求められるか知っていますか?」
「いちいち、頭の良さを自慢しなくていいぞ、馬鹿に見える」
…………私、馬鹿じゃないのに
「いいか、今一度いう、今のお前のやり方では非効率的だ。だからこそ、自身の個性について考える必要がある。お前の、
「……?」
サーは突然意味の分からない事を言い出すので私は困惑する。
「頭のめぐりが悪いな、
あまりに私に都合のいい話
もちろん、サーの言った筋肉の微弱な動きどうこうを私はしたい訳ではない、だがサーはあえて私にそういった。
「お前はその個性を使おうとした時、いったいどこにつまずいた?」
「それは……、その……」
これはつまるところ私が彼の話にのるかのらないかだが、サーのしてくれた最大限の配慮と譲歩を汲めない程、子供じゃない。
「…………」
「どうだ? 言えるか本条?」
「……自分の個性の全力を引き出すために、えー、その、大きい力を自分に少しだけ伝わるように細い線でつなごうとしてました……」
ようやくでた言葉は酷く抽象的で断片的な話。
声について説明するわけにもいかず、かなり伝わりづらい言葉になってしまったそれが、私にできる精一杯の承諾の合図だ。
「線……、それがお前のイメージか、つまり、その線を調節しても、個性にお前自身が耐えられないから、個性“成長”の力押しで体自体を慣らせようとしているわけなんだな、だがそれは傍から見て、すぐにどうにかなるほどのものじゃないようだがどうなんだ?」
「うっ……、そうです」
だがサーはそこから私の言いたいことを読み取り、あまつさえ問題を指摘した。
そしてその分析はほぼ現状の私の問題点を正確についている。
「まず聞きたいのだが、お前のその個性、うまく使えた時のことを詳しく思い出してみろ、……例えば体育祭、お前は1位を取った。その時の動きは、ひょっとしたら、今しようとしていたことにかなり近いのではないか? そういった成功体験を分析しろ」
「……はい」
あえて反論するところもない普通の指導なので私は素直にサーの言うことに耳を傾ける。
といってもそれくらいのことはもちろん考えたことぐらいある。
……がしかし、他者の視点というものは私にない発想があるかもしれないことも事実、私はサーの性格はともかく、その分析力を少しだけあてにした。
「成功……、かはわかりませんが近いような事ならありました」
「ほう、どんな時だ」
「雄英が襲撃された時とか、雄英体育祭の時、うまくいったんじゃないかと思います」
サーの言う、雄英体育祭で見せたような成功体験、そう聞いて思い浮かぶのは数々の戦いだ。
雄英襲撃でのヴィランとの攻防、騎馬戦最後の緑谷君への攻撃、トーナメント1回戦目、爆豪くんとの決勝戦
思い出してどれも成功と言えるわけがない苦さが心中に広がる。だがあれらは明らかに何時もの声の支配と違っていたと、今ならわかる。
声の支配か自分が動いているのか分からない感覚、これは線と繋がっている状態のことだったのだと私はすでに気づいていた。
「どれも極限状態と言えるな、追い込まれないとできないのか」
「いえ、それはないです。私の個性で一度できたことが二度できないとは考えにくいですから、昨日の訓練での個性の使い方は雄英決勝の動きと全く同じだったと言いきれます」
必死さが足りなかった?
そんな訳がない、声の命令で私はこの実習で好成績を残さなければいけなかった。今回だって真剣に取り組んだに決まってる。私は全力でサーに挑んだはずだ。
「……意識消失が起きたのは私と戦っている時だけか?」
「どの戦いが負荷が大きかった?」
「お前の線のイメージが強固になって変化は?」
サーとの議論を重ねながら私は考える。
2人で話し合いながら、力を引き出せた時の共通点や法則を探す。
線を繋ぐまでの動きは、爆豪君の時と同じで完璧だったはず、むしろ、爆豪君の時よりも、線をうまく操れる今の方が負荷は少ないはずだ。
雄英襲撃の時はとにかくヴィラン達をすぐ倒そうとした。
騎馬戦最後、緑谷君への攻撃は1000万をタイムアップの前に奪おうと手を伸ばした。
トーナメント1回戦目、心操君は声よりも先に、私が殴るべきだと考えた。
最後に爆豪くんは、すぐに飛んでくる攻撃をとにかく避けようと。
なにが違う、なぜあの時はうまく行った?
そう考えれば、確かにサーに対して試したいアプローチが何個か浮かんできた。
「……とりあえず試したいことが何個かできたので、訓練をお願いします」
「ようやくまともに頭を使い始めたか」
サーは話を止めていつもの位置に歩き出そうとする。
「……まってください」
私はスーツの袖を軽くつまんだ。
サーは振り返ると私を見下ろした。
私は澁面を作りながらサーと
「ほぉ、なんだその手は」
「握手……、です。訓練前の礼儀として」
「つまり、そういうことか?」
「……これはサーから言い出した提案じゃないですか」
「まぁいいだろう、だが、目が合わんことには意味はないぞ」
「うっ……」
「それとも本当に私と握手がしたいだけなのか? いいぞ、サインもつけてやろう」
サーは明らかにからかっている様子だ。睨みつけたい気持ちを何とか押しとどめ、顔を見上げて手を差し出す。
「よし」
だが、サーはなぜか私の手を無視して頭の上に手のひらをポンと乗せた。
そして、固まる私を、これもまた無視をしてくるりと背を向け歩き去る。
「なっ」
「では続きを始めよう」
「なに触ってるんですか! 女性の頭を触るなんて普通にありえませんからね!」
「フッ、女性?」
なぜかサーは鼻で笑うようにこちらを見ながら口角を上げる。
その表情がゴングとなり、私はサーに向かって地面を強く踏み込んだ。
「今日の体験学習は終わりだ」
息を切らせて立つ私は、サーの言葉で壁掛けの時計を見て、実習の終了時刻を大きく超えていることにようやく気づいた。
「あ、ありがとうございました」
「いい、遅い時間だ。送る」
サーは上着を羽織り、車のキーを引き抜くと私を見る。
今回に限って言えば、精神も身体も疲れ切っていた私は素直な気持ちで車に乗り込んだ。
「はぁ……、疲れた。喉も乾きました」
車に乗り込んだ私にたまりにたまった疲労が一気にのしかかる。
結局あの後も私は昏睡しては起きるを繰り返しただけだ。
そのたびにごっそりと気力と体力を奪われ、今は指の一本だって動かすのが億劫だ。
「飛ばしすぎだ。考えることに多くを割けば、ここまで疲れる必要もなかったはずだ。今日の訓練は……、試行錯誤の痕は見えたがうまく行ってないな、私が見た所おそらく、お前は根本的なところで方向性を間違えている。今日はもう一度頭を良く冷やして考えておけ」
サーの嫌味も、もはや心に響かない
「どうせ要領悪いです。予知みたいに初めから答えを知ってるわけじゃないんですから、無理を言わないでください、というより初日からアドバイスをしてくれればよかったのに……」
疲れか、それ以外の理由か、私は喋った後に、なぜか何時もの自分らしくない、子供のような態度でサーに食って掛かってしまう自分に気づく。
素の自分が出始めていることに気づいて私は表情を硬くしようとするが……
「初めに私が助言をしたとして、お前が素直に聞いたとは思えん、鼻柱を折ってやって、ようやく聞く態度にしてやったというだけだ」
「……言われれば素直に聞きましたよ」
サーの絶妙な煽りにそれが阻まれる。
「どうだか、どうせ変わらなかったさ、それに自分で気づかなければ意味などない、素直なのは良いが、お前にはその発想力の部分が個性のせいで欠如している」
「むっ……」
口を尖らすも、別に本当に不快なわけではない。
でもなぜかそこまで怒っていない自分に、おそらくただサーの悪態に慣れただけだと思うようにした。
「お前は手がかかるだろうということは、予知を使わずとも分かりきっていたことだからな」
「……」
また性懲りもなく幼い反論をしようとした私は何とか思いとどまる。
どうも自分らしくない、疲れた状態で車に揺られているせいだろうか、昔のお父さんの車を思い出して変にリラックスしてしまっているのかもしれない。
何か別の話題を探そうとして、サーの変わらない、という言葉でふと私は思い出す。
「話は変わるんですが、サーは一度見た未来は変わらないって言いましたよね」
「あぁ」
「思うのですけども、それっておかしくないですか? 未来が見えるのに未来を変えられないなんて道理に合いません」
「なんだ。お前も未来は変わらないと言っていたじゃないか」
「占いみたいに曖昧なものならともかく、未来がしっかりと見えていたら話は違うでしょう」
サーは一度見た未来は変わらないと話したが気になる部分があった。
例えば今朝の朝食に白米を食べている未来を視たとする。
それを見たうえで食パンを食べようと選択すれば、当然予知の光景と食い違う
見てしまった映像は変えられないというが、その程度の未来が変えられないというのはおかしくはないだろうか?
「つまりこう言いたいのか、私が5秒後に石につまずいて転ぶお前の未来を視たとして、歩くのをやめろと私が忠告すれば当然お前は転ばなくても済むはずだと」
「えぇ」
……私の食パンとお米の例えの方がわかりやすくないだろうか?
「そうだな……、少し寄り道をするぞ」
そういうとサーは、車のハンドルをきり、コーヒーショップ……、そのドライブスルーに進んでいく。
「サー?」
「私とおまえの分、好きなものを頼むといい、奢ってやる」
「え、ありがとうございます」
私の方の車の窓が自動で下がり、サーが注文口に横付ける。
「だが予知しよう、お前は私にコーヒーをさし出す。外れたら明日からも飲み物の代金を払ってやるぞ」
「……今言ったら違うのを注文しますよ?」
「構わん」
「いらっしゃいませ! 注文をマイクに向かってお願いします」
うすぼんやり、サーが何を私にさせたいか理解し始める。
「お前が喉が渇いたと言ったから来たんだ。早くえらべ」
「今、真剣に選んでるんです、話しかけないでください!」
私は慎重に注文を選ぶと店員に伝えた。
「……グランデノンティーストロベリーティーフラペチーノアドホワイトチョコシロップアドカスタードクリーム1つと、グランデアイスライトアイスエクストラミルク抹茶ラテ1つください」
「注文をご確認いたします。グランデノンティーストロベリーティーフラペチーノアドホワイトチョコシロップアドカスタードクリームがお一つにグランデアイスライトアイスエクストラミルク抹茶ラテがお一つですね」
「はい、お願いします」
「お車を前に進めてお待ちください」
私はサーの表情をうかがった。
「どうですサー、予知通りになりましたか?」
「……なぜ1つの商品名にアイスが2つもついているんだ?」
「グランデアイスライトアイスエクストラミルク抹茶ラテのほうですか? 最初のアイスが飲み物自体の温度、後ろのアイスは氷少な目という意味のアイスです」
「そうか、……ついでに聞くと、どっちが私の注文だ?」
「グランデノンティーストロベリーティーフラペチーノアドホワイトチョコシロップアドカスタードクリームの方です」
「これを私が飲むのか……?」
サーは無言で料金を支払うと、少し車を進めて、私がドリンクを店員さんから受け取る。
絶対にサーが頼まなそうなものと考えたが、流石に勝手な注文にしすぎたかもしれないと少し反省する。
「お客様、本日ファミリーキャンペーンを実施していまして、お子さんが商品を頼まれると、ご家族の方にドリップコーヒーをお一つサービスしています」
「えっ」
私は手元の袋を覗き込むと、3個目のブラックコーヒーを見つける。
サーはあからさまにほっとした顔になる。
「賭けは私の勝ちだな、そっちのコーヒーを私はもらおう」
「ま、まだです! 私がコーヒーを渡さなければ予知通りとはなりません! 予知は私がサーにコーヒーをさし出すというものだったはず!」
「何ッ……!?」
私はクリームの山にこれでもかと乗せられたストロベリーをサーに突き出すと、サーの手から守るように抱え込んだコーヒーをなめるように飲んだ。
苦い、死ぬほど苦い
実はここ最近、個性が急激に向上した弊害として、苦みと辛みに対する感じ方が鋭くなりすぎている。
だから苦い食べ物は……
……いや、それも言い訳、ある程度のコントロールは効く、それに辛い物は割と好きだ。苦いゴーヤチャンプルだって美味しく食べれる。
ではなぜコーヒーをこれだけ時間をかけて飲んでいるのか。
正直に言おう……、実は私はコーヒーが飲めない。
理由は……、その、飲む人もたくさんいるから言いづらいが、……単純にまずいからだ。
今も何とか抹茶ラテを間に挟みながら飲めているが、もう抹茶ラテは8割飲み切ってしまっている。
「……苦い」
黒い現実と向き合わねばいけない時間はすぐそこまで来ている。
本当に世の人たちはブラックコーヒーを美味しいと思って飲んでいるのか?
成長すれば飲めると言われても、わざわざ美味しくないものを成長してまで飲むものなのであろうか
ちらりとサーを見る。
「甘い……」
一口飲んではカップを置き、一口飲んではカップを置く、明らかに顔色が良くない上、なぜか脂汗が滲んでいる。
「なんだ、この少し飲んだだけで感じる恐ろしいほどの満腹感は……」
白い山を絶望した表情で見た後、サーもちょうど私の方を見る。
「自分の注文には責任を持て、これをやる。だからコーヒーをよこせ……」
「……あ、明日からのドリンク飲み放題が……」
「いい、それくらい出す。はやくコーヒーを渡すんだ……」
「くっ……、お願いです。これ、飲んでください……」
お互いに栄養を補給しているというのに、げっそりとした顔で飲み物を交換した。
その光景を他人が見れば、コーヒーをサーに手渡す私という光景だ。
まるで予定調和のように、実際その通りなのだが……、サーの予知通りに未来は進んだことに歯噛みする。
「まさか、本当にサーの予知通りになるとは……、もう一度……、もう一度私にチャンスがあれば……」
「今日から残る3日、私はコーヒーを飲み続けている未来を予知したから無駄だ……、というより二度とお前に俺の飲み物は頼ません……」
「そうですか……」
私は口直しのドリンクを飲み込んで一息つき、サーもコーヒーを舌で転がしてため息をついた。
「まぁ、なんというか、このように未来というものは非常に強固だ」
「それは……、そうですけど、私がコーヒーを車から投げ捨てたりすれば未来は変わってましたよ、明日からのサーのコーヒーもこの店を破壊すれば避けられます」
「じゃあそうすればいい」
「……冗談です。……普通に考えてそんな常識はずれなことはしないですよ、もったいないですし……」
「その通り、お前は私にコーヒーを渡さないこともできた。だがそうはならなかった。このコーヒーが車内に持ち込まれた時点で、私の手に渡ることは決まっていた。だから私はコーヒーを手渡される未来を視たんだ。つまりお前は言われた未来を変えるだけの意思がなかったと言える」
「……おっしゃる意味がよく分からないのですが」
「先ほどお前が5秒後に石につまずいて転ぶ未来を視て、歩くのをやめろと忠告すれば転ばなくても済むという話をしただろう」
「はい」
「結論から言うと、お前を予知をした時点で、お前が石につまずいて転ぶ未来を私が視ることは無い、見るのはすでに私が転ばぬよう助言し石を回避したお前だ。未来予知は私が未来を予知した前提の光景しか見えないからだ」
「じゃあ、予知した前提の未来の逆をいけばどうなるんです? 転ばない未来を視たのなら、逆にあえて転ばせれば未来が変わるのでは?」
「そういう曖昧な考えで予知を行った場合、予知は成立しない」
「はい?」
「私はお前が石に転ばないように、強い意志を持って個性を使わなければ、予知で未来は見えないということだ」
「その石に転ばないように願うこと自体が石で転んだ私を視なければ成立しないのでは?」
「成立する。なぜなら私はお前を必ず助けるからだ」
「な、なんですか急に」
「……わからんのか? つまり、私が強く1つの意思を持つことで未来が確定し、ようやく私はそれを見ることが出来たんだ」
急な不意打ちにドキリとするが、続くサーの言葉で私は正気に戻る。
「それは……」
ここでようやく、サーの予知の個性がどのようなものかが理解できた。
それは、世間一般が想像する予知とは違っていた。
「予知で未来を視るには自分の未来の行動を縛るほど強い意志が必要だから……?」
「そうだ」
サーの行う予知とは目的を定め、そこに続く過程を固定して、自身が介入した結果を見ることだ。
「よく覚えておけ本条、未来を視る。あるいは掴むのに最も大切なことは人の意思だ」
サーの未来予知に右か左、そのような矛盾は起こりえない、サーは片方の扉しか選ぶことができない、サーが望む選択を固定した時、予知はたった一つの扉へと続く未来を見せるからだ。
「おっと、話をしていたらもうすぐ駅だ。降りる準備をしろ本条」
もう少し話を聞きたい気もしたが、サーは混みがちな駅前の移動に集中しているため話しかけられなくなってしまう。
手持無沙汰になった私はその話を聞きながら考え込む。
私の『アレ』の力の仕組みとサーの予知の仕組み、この二つは同じものではない、しかし、ある面では通用する部分もあるのではないか?
未来を確定させるほどの意志の力でサーは未来を予知させている。
思えば、サーとの特訓では線をうまく扱うことだけに集中していて、それでどのような未来を求めるかなど考えていなかった。
私も強い目的をもって未来を視れば?
線を伸ばすとき、強固な目的意識をもって繋げればどうだろう?
……もしや、次こそはサーに目にものを言わせられることが出来るかもしれない。
「…………」
ふと、ミラー越しにサーがこちらを静かに見ていることに気づく。
いや待て。
……そもそも、この考え自体サーが自分の個性を説明したから気づけたことだ。
もしや、サーが今まで散々私を怒らせたのも、あえてこの話をしたのも、私の成長を促すためだとしたら?
私にそのことを自分で気付かせるため……? というか、全てサーの手のひらの上であったのでは?
だとしたら、おっ、おもしろくない……!!
私は答えのない思考に陥りながら、何かを言ってやろうと鼻を膨らませながらサーを見る。
「着いたぞ、私も忙しいんだ。早く降りてくれ」
何か声をあげようとするその瞬間、機先を制して私の席側のドアが開く。
「お帰りはあちらだ」
余裕しゃくしゃくの表情でコーヒーを飲み、鼻で笑うサーに私の頭は茹だった。
この結末も彼の予知のうちなのかと疑心暗鬼に陥りながら、実習4日目は終わったのだった。
校内の男に飽きて、学外のイケおじにパパ活とか、こいつ相当な変態だな
情けない格好、恥ずかしくないの?
学校じゃ虐められているから、学外の社会的地位のある男で寂しさを埋めようとするなんて、まるでメンヘラビッチみたいだぁ……(偏見)