個性『RTA』があまりに無慈悲すぎるヒーローアカデミア   作:ばばばばば

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変わらぬ善意の物語(1/3)

 

 

 林間合宿襲撃事件。

 

 敵の襲撃により、傷ついた生徒達は病院へと移される。

 

 そして、被害者の一人である少年、特に怪我が酷かった緑谷出久が、ものを考えられるまで回復したのは、事件から二日も経った後だった。

 

 

 

(あれ……?)

 

 棒のようにだるい手足を動かし、何とか状況を把握するために首を横に向けると、そこには書置きと丁寧に剥いたリンゴが置いてある。

 

(お母さんの字だ……。いつきたんだろう……。いつ……、そうだ今は何日だ! みんな無事!? 早く起きなきゃ!)

 

 ようやく頭が回り始めた彼が上体を起こそうとすると、ふいに病室のドアが開く。

 

 

「おー緑谷!! 目ぇ覚めてんじゃん」

 

「え?」

 

 

 ドアの隙間から見えるのは慣れ親しんだクラスメイトの一人。

 

 

「テレビ見たか? 学校今マスコミやべーぞ」

 

「春の時の比じゃねーよ」

 

「デカ乳のようなメロンあるぞ。皆で買ったんだ」

 

「やっぱりお見舞いには人数が多かったかな……?」

 

 

 続いて入ってくるクラスメイト達。個室程度の広さでは、すぐに人で隙間が埋まる。

 

 

「……来てくれてうれしいよ。みんなで来てくれたの?」

 

 

 いつもと変わらない様子の皆を見て少し安心した緑谷はそう聞いてしまう。

 

 

「いや……、砂藤君はまだ入院している。爆豪君は元気だが来ていない。だから今日来ているのはその二人を除いた……」

 

「……17人だよ」

 

「本条いねぇからな」

 

「ちょっ轟……」

 

 

 ガツンと頭を殴られたような衝撃を受けながら、同時に緑谷の脳内に今ここにいない彼女との約束がフラッシュバックする。

 

 

 彼女も、彼女とした約束も守れなかった。

 

 

 己の無力にただただ苛立った。

 

 

 言葉を失った緑谷を見て、場に沈黙が訪れる。

 

 

 しばらくたって緑谷は体をゆっくりと起こすとぽつりと呟いた。

 

 

「オールマイトがさ……、言ってたんだ。“手の届かない場所には助けに行けない”……って。“だから手の届く範囲は必ず助け出すんだ……”てさ」

 

 

 約束を守れるかと問いかけた少女。

 

 彼女が何かを期待しているかもしれない、それを感じた緑谷は自分の覚悟を見せたつもりであった。

 

 

「僕は手の届く場所にいた。必ず助けなきゃいけなかった……! 僕の個性はそのための個性なのに……」

 

 

 だがつもりは所詮つもりにすぎない。

 

 結果、何もできずにここで無様を晒しているだけだと彼は己を断じる。

 

 

「体……、動かなかった……!」

 

 

 嗚咽を漏らすことすら見苦しい言い訳と知りながらも彼は声を震わせる。

 

 場は静まり、次第に彼の詰まったような息遣いだけが満ちた時

 

 

 

「じゃあ今度は助けよう」

 

 

 一人の生徒、切島鋭児郎が誓うように声をあげた。

 

 

「実はさ、俺と轟、昨日プッシーキャッツ達の病室を通った時にさ、たまたまラグドールが意識を取り戻した現場に居合わせたんだ」

 

 

 突然の話で場は静まったまま、切島は話を続ける。

 

 

「ラグドールがうわ言のように繰り返してた。“よこはま かみのく”って、確かに言ってた。そう言ってまた意識を失っちまったが、……それでも伝えた」

 

「よこはま……、って横浜?」

 

 

 ラグドールが最後に呟いた地名、それが何を意味するかは状況を照らし合わせればおのずと答えは出る。

 

 

「そうか、個性サーチ! 訓練中、俺たちをマークしていたラグドールなら本条の場所も分かるはずだ!」

 

「あぁ、だから俺達でも……」

 

 

 にわかに沸き立つ生徒達、だがその中で飯田は硬い表情のまま切島を見る。

 

 

「……待て、君はいま、どういうつもりでその話をしている……? 」

 

 

 真意を確かめるように問い詰める飯田の目から、ほんの一瞬だけ切島は目を逸らす。

 

 その瞬間、切島の考えに気づいた飯田の顔は見る見るうちに怒気に染まった。

  

 

「これは先生方! プロに任せる案件だ! 生徒の出ていい事件ではないんだ馬鹿者!!」

 

 

 周りを震わすほどの怒声、しかし切島もその説得を頑として認めない。

 

 

「んなもん分かってるよ!! でもさァ! なんっっっも! 何もできなかったんだ!!」

 

 

 何もできなかった。

 

 その一言はこの場にいる者達の全てに覚えがあった。

 

 それが分かっているからこそ飯田もとっさに言い返せず言葉を詰まらせて睨むことしかできない。

 

 

「何もできないならまだマシだ! アイツはもしかしたら俺が邪魔しなきゃ攫われてなかったかも知んないんだぞ!」

 

「だとしてもだ! 君の感情だけで動いていい話ではない!!!」

 

 

 切島と飯田の言葉の応酬に轟と障子、そのほかの幾人かの瞳が揺らぐ。

 

 

「アイツが! あの中でアイツは正しかった! 一番正しかった! 判断も! 行動も! 信念すら曲げた選択も!」

 

「ッ……!」

 

「アイツが追い詰められてんのは知ってた! でもなんもしてこなかったんだよ俺は!」

 

「そ、それは……」

 

 

 知っていた。自分たちは知っていた。

 

 そのうえで何もできなかった。

 

 ヒーローを目指す自分たちがである。

 

 

「ここで動かなきゃ俺はヒーローでも男でもなくなっちまうんだよ!」

 

 

 今度は飯田が切島から目を逸らしてしまう。

 

 それに気づいた飯田がハっとしてさらに鋭い目を切島に向ける。

 

 しかし今度は切島も逸らさない。

 

 

「切島落ち着けよ。確かにお前の言う通りだけど今回は……」

 

「飯田ちゃんが正しいわ」

 

「客観的に考えるなら、敵は本条さんに対して誘拐という手段をとりました。敵にとって本条さんが、……生きている必要があったということになると私は思いますわ」

 

 

 この膠着の間、周りは仲裁をもって場をとりなそうとする。

 

 

「俺もそう思う。まぁ、殺されねぇとも言い切れねぇがな」

 

 

 その話の全てをぶった切って戻した男は、皆が意図的に目を背けていた最悪を指摘した。

 

 

「殺されないにしたってあんな奴らに何をされるかもわかんねぇ。俺と切島は行く」

 

 

 それは飯田にとって、保須で己の暴走を止めた級友の裏切りに見えたのか、はたまたその可能性の否定をしたかったのか。

 

 

「ふざけるのも大概にしたまえ!!」

 

 

 掴みかかる勢いのまま歩みを進める飯田。

 

 それを目にして真正面から無表情をつらぬく轟。

 

 

「待て落ち着け……!」

 

「……障子」

 

 

 その両者の衝突はクラス一の巨体を持つ男が割って入ることで防がれた。

 

 

「俺もその場にいたんだ。切島、轟、お前らの悔しさも分かる。俺はアイツとムーンフィッシュとの会話も全て聞いていた。そのうえで何もできなかった」

 

 

 落ち着いた声ながら、二人に言い聞かせるように障子は語り掛ける。

 

 

「俺だって悔しい。だがこれは感情で動いていい話じゃない」

 

 

 普段は寡黙な男から漏れる悔し気な声に、周りは少しづつ冷静さを取り戻していった。

 

 

「オ、オールマイトに任せよう。僕たちの出番はないどころか望まれてない」

 

「青山と障子の言う通りだ。悔しいがな」

 

「みんな、本条ちゃんが攫われてショックなのよ。でも冷静になりましょう。どれほど正当な感情だろうと、私情で戦闘を行うというなら、厳しい言い方だけれども、その行為は敵のそれと同じなのよ」

 

 

 互いに拳の振り下ろし先が見つからない。そもそも仲間に向けてすらいない。

 

 誰もが等しく、己を罰していた。

 

 

 

「お話し中ごめんね、緑谷君の診察の時間なんだが……」

 

 

 そんな感情のぶつかり合いの終わりは、時間経過というなんとも不完全燃焼な理由で打ち切られることとなる。

 

 

 病室を後にする生徒達。

 

 

「……行くなら今晩だ。重症のお前が動けるかは知らねぇ。それでも誘ってんのはおめーも悔しいと思うからだ。……夜に病院前で待つ」

 

 

 その部屋で最後に緑谷へ囁く声を聞いてしまったのは、誰よりも足が重く動かないせいで病室から出遅れた飯田だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日は沈み、外は暗い。

 

 唯一の光と言えば病院から漏れる光と疎らにある街灯のみ。

 

 その光を背にして二人の少年は誰かを持っている。

 

 

「アイツ来るかな。流石に今日起きては厳しいか、……どう思う轟?」

 

「まぁ、結局あいつ次第、でも俺が思うに……」

 

 

 その時、病院から足音が聞こえる。

 

 ふたりは振り返ってその人影を確認した。

 

 

 病院から歩いてくる緑谷、その体はまだ治療の為の包帯がまかれていた。

 

 

「きたか緑谷」

 

「切島君、轟君……」

 

 

 緑谷はこちらに向かって歩いてくると、口を開こうとした。

 

 

「待て……!」

 

 

 だがその時、建物の陰からの声でそれは阻まれた。

 

 

「飯田」

 

 

 悔し気にこちらを見る飯田はその場にいる者達を見て顔を歪ませる。

 

 

「……なんでよりによって君たちなんだ……!」

 

 

 悲しみと怒気を含んだそれを緑谷と轟はただ黙って受け止めた。

 

 

「保須で俺の暴走を止めてくれた君たちが、どうして俺と同じ過ちを犯そうとする……。あんまりじゃないか……!」

 

 

 話の分からない切島は困惑するが、飯田の詰問は止まらない。

 

 

「俺達はまだ保護下にいる。ただでさえ雄英が大変な時なんだぞ。……君らの行動の責任は誰がとるのか分かっているのか……!?」

 

「違うよ飯田君、僕らだってルールを破っていいなんて……」

 

 

 一歩近づこうとした緑谷、その言葉を言い切る前に飯田の腕が前に伸びた。

 

 

 骨に響く鈍い音。

 

 

 規律に厳しい彼が暴力という手段をとるとは思わず、皆の反応が一歩遅れる。

 

 

「俺だって悔しいさ! 心配だ!! 当然だろ!! だが彼女だけじゃない!」

 

 

 体勢を崩した緑谷の肩を飯田は掴む。

 

 

「君の怪我を見てベッドに横たわる兄の姿を重ねた! 君たちが兄のように取り返しのつかない事態になったらどうする!」

 

 

 顔をあげない緑谷を掴んだまま乱暴にゆする。

 

 

「なぜ分からない!! 君の病室にむいてあったリンゴは君のご母堂のだろう! それを見てどう思った! 見舞いに来てくれたクラスメイトは起きない君を見てどんな顔をしていたと思う! ここに来れない先生方から俺達が何度君の様子を聞かれたか! 周りの心配はどうでもいいのか……!」

 

 

 飯田の腕の力がしだいに弱まる。語勢も力を失い、最後にポツリとつぶやいた。

 

 

「僕の気持ちは、どうでもいいっていうのか……!」

 

 

 いつの間にか下を見るのは飯田、そしてそれを見上げる緑谷。

 

 二人の視線は交差していた。

 

 

「飯田くん……、それでも僕は行くよ。手が届くなら、僕は絶対に助けたい」

 

 

 普段は気弱なその目に宿らせる固い意志を見て、飯田は説得を諦めた。

 

 

「そう、……か」

 

 

 であれば、と続けて飯田は口を開く。

 

 

「……なら僕もつれていけ」

 

 

 

  

 

 

 彼らはしばらくしてその場から消えた。

 

 気まずさを多分に含んだ彼らは互いに目線を合わさずに足だけ動かすが、それでも同じ方向へと歩き出す。

 

 

 

 助けたいという気持ちを同じくするヒーローだからこそ、歩みをそろえることが出来る。

 

 

 

 

 これは変わらぬ善意(ヒーロー)の物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼らヒーローは強い意志を持つ。

 

 

 その意志を持って行動する。

 

 だから彼らは迷うことがあろうと、その高潔な意志をもってして必ず前に進んでいく。

 

 彼らは道を違えない。彼らは困難を乗り越える。彼らは決して孤立しない。

 

 

 それは多少の配役が変わろうと辿る流れ。

 

 レコードのように針を戻せば何度でも同じ道を辿らせることができてしまう轍。

 

 ヒーローたる彼らがヒーローとしてふるまう限り、この善意に満ちた選択は常に変わらない。

 

 

 

 

 そう常だ。

 

 世の常である。

 

 

 

 

 真の悲劇は悪意だけでは決して成り立たない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 なんかココの小説部分、他の作品で見たことあんな……

 ん? マンガの丸写しで展開もほぼ同じやん! こんな……、書き写しで二次創作って……、ぼったくりやろこれ!


 RTAなんだから一番走られてる展開(チャート)をなぞるんだよ上等だろ!(逆上)

 …………モシャモシャセン(小声)
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