個性『RTA』があまりに無慈悲すぎるヒーローアカデミア   作:ばばばばば

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心操

 

 雄英体育祭をまじかに控え、その一大行事に浮足立った生徒達の喧騒も遠い、ある一室。

 

 雄英という巨大な施設のあえて作られた狭い部屋、簡素なテーブルとソファーしか置いていない指導室、そこに心操は呼び出されていた。

 

 

「それで、全部勘違いだったってわけだな」

 

「全部、というわけではありません、実際個性を人に向かって使ったのは俺ですから」

 

 

 彼の目の前にいるのは、気だるげな雰囲気に無精ひげの男、おおよそ教師とは思えない風体を目の前にして、心操人使は自罰的に返答した。

 

 

「個性の使用をとがめる前に、うちの学校の保安責任が問われる話だ。悪いようにはしない、というよりはできないから安心しろ」

 

 

 この呼び出しの発端は放課後から数時間前にさかのぼる。

 

 食堂で起きた個性暴発事件、衆目が集まる食堂で起きた事件は当然、間を置かずに学校側に知れ渡ってしまう。

 

 すぐさま当事者からの聞き取りが行われ、事件の渦中にいた心操はすぐに呼び出され、今に至る。

 

 

「はぁ……、というよりは俺たち教師の怠慢だ。心操には迷惑をかけたな、お前が今回の件で落ち度がないことは各教師からちゃんと説明を……」

 

「あー、それなんですけど、別にいいですよ、逆に居心地悪いですし」

 

「なに?」

 

「自分は平気です。まぁ、学校はそうする義務があるかもしれませんけど、これは俺がやりたくてやったことですから」

 

 

 彼は強がりや遠慮といった気持ちでなく、心穏やかに返答した。

 

 

「へぇ……、そうか」

 

 

 その様子を見ていた教師は眉を心持ち少し上げて、興味深そうに彼を見ていたが、思い出したように別の話題を切り出す。

 

 

「でだ。心操の他にもう一人女生徒がいただろ」

 

 

 そう教師に言われた瞬間、彼はあの騒動の後の彼女を思い出す。

 

 大人数を目の前に、一人で啖呵を切った己を顧みて、やれ自分はなんて恥ずかしい真似を、あんな偉そうな態度をどうしてやってしまったのだと、延々顔を赤くしたり青くしたりする姿を思い出した。

 

 

「あー、ただの友達です。俺が言われっぱなしなのが気に食わないから加勢してくれただけで、人と話すのが苦手な奴なんで、あんまり呼び出しとかはしないでやってください」

 

「確かにあれを会話が苦手といえばそうだな」

 

 

 彼女の人見知り具合を考えれば、目の前のようなアウトローな雰囲気の教師などとまともに会話なんてできないだろうと彼は考えた。

 

 

「実はさっき入れ違いで話は聞いてな、あまり建設的な会話はできなかった。……というかお前、あいつと仲いいのか?」

 

 

 どうやらもうすでに彼女は呼び出されていたらしい、彼の目に、質問におっかなびっくり反応して、まともに答えられない彼女が思い浮かんだ。

 

 

「まぁ、ここ最近の話ですけど、時々飯を一緒に食って話をするぐらいです」

 

 

 自分から友達と表現していたことを他人に指摘され、妙な落ち着きの悪さを彼は感じながらも正直に答えると、相手は意外そうな顔をした。

 

 

「……そうか」

 

 

 そう一言つぶやいて少し考えこむと、残りは形ばかりの小言を二、三言われて、教師は心操を解放した。

 

 

 放課後の時間を取られた彼は、帰宅の準備をするために、荷物の置かれた自分のクラスに戻ろうとする。

 

 

 先ほどの教師の話はぐちぐちとした説教じみた質問ではなく、要点のみ抑えた質問だったので、淡々と答えた彼が取られた時間はそう多くもない、まだ生徒達もそれなりに残っていて会話に興じているものもそれなりにいた。

 

 その中の何人かはこちらを見た瞬間はまるで見てないようにふるまうも、彼の目線から外れた瞬間に、ひそひそと何かを囁きあっているのに彼は気づいていた。

 

 

 気は重いが、それでもその重さを受けても胸を張って歩いた。そうすることが正しいのだと、今の彼はそう思えていたのだ。

 

 

 そうしてクラスに戻って扉を開ければ、何人かが何もするでもなくたむろしている。

 

 彼に一瞬の緊張が走る。

 

 

「心操!」

 

 

 こわばりで立ち止まった所に、クラスメイト達がすぐに距離を詰めてきたので、彼は思わず一歩下がってしまう。 

 

 

「購買の中にいた奴らから全部聞いてきたんだ。お前は人を助けようとしてたんだ。そうだろ!そうなんだろ!」

 

「あ、あぁ?」 

 

 

 その有無を言わさぬ勢いに、彼は思わずうなずいてしまった。

 

 

「今すぐこんなくだらない噂なんてなくなるよ」

 

「私、本当は心操君がみんなを守っていたってちゃんと他のクラスに言ってきたから!」

 

「あんま気に病むな!」

 

「俺たちいつでも話ぐらいは聞くからさ」

 

 

「……あ、ありがとう」

 

 

 なれない言葉に思わず口ごもると、それを聞いた周りがおどけたようにからかってくる。

 

 

「なんだよその釈然としない感じ」

 

「そーだそーだ。俺たちがお前を責めだすとでも思ってたのか」

 

「私たち、そんな薄情じゃないわよ」

 

 

 クラスメイトは一様に彼の心配をしてくれている。

 

 その光景を見て、いままでのクラスメイト達に感じていたぎこちなさ、その心の壁を作っていたのは自分だったのかもしれないと、彼は深く反省した。

 

 

 すぐさま自分は件の騒ぎなど気にしてないことを説明し、その後も彼にしてはよく、クラスメイト達と会話した。

 

 

「しっかし、よくやるぜ心操!」

 

「確かに、危険に飛び出していくなんて、まるでヒーローじゃねーか」

 

 

「いや……」

 

 

 いや……、べつにそんなんじゃない

 

 なれたようにごまかそうと口を開いた彼は、少し留め、唇を静かに閉じる。

 

 

 

「うん、俺、ヒーロー目指してるからさ」

 

 

 

 彼は静かに自分の決意表明を行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日の昼休み、心操はいつものベンチを目でなぞると、そこには目当ての彼女がいた。

 

 

「あっ……」

 

「ハ、なんだよ、来ちゃ悪かったか?」

 

 

 こちらを見て、何か悪いことをしているところを見つかったかのように、バツの悪そうな顔をしている彼女を見て、心操は思わずからかう様な態度をとった。

 

 

「う、ううん、会えてよかった! よかったけど……、な、なんていうか落ち着かなくて」

 

「トモダチなのに緊張するのか? そいつは悲しい、傷ついちまうなぁ……」

 

「ダ! ダダッ!?」

 

 

 その言葉で、まるで雷に打たれたかのようにビクリと体を震わせると、目の前の彼女は頭から煙を吹きだしているのではないかと見紛う程の挙動不審を見せる。

 

 

「あー、悪かった、落ち着けって」

 

「そ、そうだね、うん、私からそういったんだもんね、トモダチね、うん、トモダチ、トモダチ」

 

 

 その4文字を言いなれていないのか、まるで慣れない宝物を握りしめるように、何度も口ずさむ彼女を心操は待った。

 

 同じ言葉を繰り返している間、いつも空いているのに場所を取らまいと、ちょこんと座る彼女の隣に、どかりと若干乱暴気味に座る。

 

 というより、勢いを付けなければ座れなかったので、荒くなってしまっているのだが、彼はそんな自身にある気恥ずかしさを務めて気づかないふりをした。

 

 

「そうかぁ、友達かぁ……」

 

 

 最後の一言は、こわれものをやさしく包むような響きを持った音だった。

 

 そのやわらかい声をきいてしまい、落ち着かないのも、本当は緊張しているのも自分だということを嫌でも自覚してしまう。

 

 

「あー、なんだ。その……、昨日のことなんだけどよ」

 

「うん、すごかったよね、あの時の心操君、みんなを救った! ヒーローだったよ」

 

「お前、そりゃこっちの……!」

 

 

 俺を助けたお前がそれを言うのかと、ツッコミで顔を向けそうになるが、それを何とかこらえる。

 

 横を向けばきっと、バカみたいに真っすぐこちらを見ていることは予想がついたので、心操は頭は動かさない。

 

 

「……はぁ、いいか、よく聞け、あんとき助けられたのはむしろ俺の方だ。だから、その……」

 

 

 今日、ここに来たのは本条に言わなければいけない事がいくつかあるからだ。

 

 心操は改めてベンチに腰掛けなおし、しばらくして、意を決してから彼女の方を向く。

 

 

「あんがとな……」

 

 

 その言葉を相手はどうせ分かってくれないだろうが、それでも伝えないわけにはいかなかった。

 

 

「その、あんときは……、ちゃんと言えてなかったけど、あのまま倒れてたら、多分、俺は折れてたよ、きっといろんなものがどうでも良くなっちまってた」

 

 

「それは違うよ、心操君は倒れたかもしれないけど、絶対に立ち上がった」

 

 

 きっぱりと言い切る彼女に、心操は脱力してベンチの背もたれに体重を預け、空を仰いだ。

 

 

「お前のそれってわざとか?」

 

「きゅ、きゅうになに……?」

 

 

 核心を突く言葉だけは絶対にどもらない彼女をすこし恨みがましく思い、半目を向けた。

 

 

「えっ、心操君怒ってるの? な、なんで?」

 

 

 何か自分が不興を買ったのではないかと、勘違いをして急に慌てだす彼女を見て、迂遠なやり取りを彼はあきらめた。

 

 

「おこってねぇ……」

 

「ほ、本当……?」

 

「……けどムカついてはいる」

 

「やっぱり怒ってるんだ!」

 

「感謝ぐらい素直に受け取れや、それを言いに俺はここに来たんだぞ、しばらくはここに来れねぇしな」

 

 

 彼はベンチから立ち上がると歩き出そうとする。

 

 そして、ここには来れないという言葉の意味をどう解釈したのか、少し涙目になっている少女に向かって、もう一つの目的のため宣言する。

 

 

「今更だけど、体育祭のための特訓をすんだよ、俺だってお前が言うようなみんなを救うヒーローとやらになりたいからな」

 

 

 その言葉を聞いて、彼女の口が結ばれ、弧を描く

 

 

 自分を見てくれている人がいる。

 

 たったそれだけで彼は救われた。

 

 

「俺はヒーローになる。まぁ見てろよな」

 

「うん!」

 

 

 彼のヒーローを目指す道のり(ヒーローアカデミア)はここから始まった。

 

 

 

 

 少年は今ようやくその一歩を踏み出した。

 

 ここから始まるだろう勇気の物語

 

 

 

 だがそれはすぐに

 

 最悪の形で踏みにじられることとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 かくして少年の命運が決まる日は訪れた

 

 

 彼が決意をもって挑んだ雄英体育祭。

 

 

 ヒーロークラスに編入するため、ここで好成績を得なければいけない

 

 そして第一種目の障害物競走

 

 心操は秘していた己の個性を使い、着実に順位を上げ、上位集団に何とか滑り込むことに成功していた。

 

 

 普通科がヒーロー科と比肩して、同じ場所に立つ、それに気づいた者達は驚きとともに称賛された。

 

 

(つっても、本当に俺に期待してる奴なんてひとりぐれぇか……)

 

 

 その快挙に喝采を受けた。だが、それだけである。

 

 この体育祭は悲しいほどにヒーローが主役なのだ。

 

 そんな表ざたにはしない事実を表すように、同じヒーロー科だけで固まる生徒達。

 

 第二種目の騎馬戦は仲間を作る必要がある。

 

 ヒーローとしての協調を見るとは言葉にすれば聞こえいいが、つまるところそれはヒーロー科以外の活躍のハードルを上げていることに他ならない。

 

 滑り込んだはいいが、チーム作りを必要とするその競技で、ぽっとでの普通科を誰も相手になどしないだろう。

 

 

 

(だが、俺にはそんなの関係ねぇがな)

 

 

 だが彼の心の内は全くもって燃えたまま、しかし頭だけは冷静に周りを俯瞰していた。

 

 一回戦の障害物レースで目をつけていたそれなりに動け、尚且つ目立たない者達のリストアップを心操はすでに完了させていた。

 

 まずは一人目、目立たない癖に動きはキレていた、尾の生えた学生に声をかけようとしたその時、不意に彼は人の気配を感じて顔を横に向ける。

 

 

「ん……?」

 

 

 自分に猛然と早足で近付いてきたその人物は、彼が不意打ちと思うほどの無遠慮さと速度で掌を心操の胸に突き出してきた。

 

 

「私の仲間になってください」

 

「はっ……?」

 

 

 目の前に響く間抜けな合成音

 

 彼の記憶にも新しい、顔どころか声すら隠す偏執性、目の前の人物は先ほどの競技で一位になった奴、それだけでなく重要なのは、ヒーロー科のくせにサポート科から彼らの努力の結晶を奪い蹂躙した大悪党だということだ。

 

 心操すら一度は考えたが、実行に移さなかった作戦を目の前の女は十分な能力があるくせにやり切った異常者

 

 そんな奴が、彼にチームを作ろうと誘ってくる。

 

 目の前の少女はこの体育祭トップクラスの実力と才能を持った存在、彼に話しかけたのも全くの無策という訳ではなさそうではある。

 

 しかし、そんな利点を抜きにしても、何より信用できないという不信感から、心操はその提案を断った。

 

 

「俺は俺でやらしてもらうよ」

 

 

 幾人かのヒーロー科の生徒達の目線が自分、というより目の前の女に集まり始めていることに気づいた彼は、とにかくこの場を後にしようと背を向けて歩き出そうとし……

 

 

「待って、お願い、仲間になって」

 

 

 突然、弱い力で腕を後ろから引かれる。

 

 その声が機械越しでさえ、追い詰められているのが分かる震え声だったからか、余りにもしおらしく彼の袖を摘まんでいたからなのか、理由に思い至る前に思わず足を止めた彼であるが、しかし情に絆されるつもりはなかった。

 

 

「……だって、友達じゃない」

 

「なっ……!?」

 

 

 しかし、マスクの下を見た瞬間、そんな彼の思考は吹き飛んだ。

 

 その顔を彼は知っており、一方で余りにもこの場に似つかわしくない人物であったからだ。

 

 

 

 結局彼は彼女とチームを組むこととなる。

 

 

 

「まさか、ヒーロー科の主席がお前だとはな……」

 

 

 今になって思えばではあるが、このような気弱な態度で今回の雄英体育祭の目標が一位で敵はヒーロー科などと言い切ったり、個性の事故を目にしてあまり動揺せずに状況を把握したり、増強系だろうと思っていた個性が彼の想像以上のモノであったり。

 

 彼の頭の中にそういった記憶を思い出すが、それでも目の前の少女が他のヒーロー科を押しのけてトップにいるという事実を飲み込めずにいた。

 

 過剰に人の目を気にする神経質そうな少女が、勝つためとはいえ恨まれることも厭わないヒールじみた作戦を行うとは思えなかったからだ。

 

 

「……心操君、私にほんの少しだけ時間を頂戴」

 

 

 肝心の作戦をどうするかと問うた心操に対して、彼女は突然黙り込むと、声をかけることをためらう程の集中を見せる。

 

 そしてそのまま有無を言わせない凄みをもって、彼らの騎馬に組み込むべき人物を示した。

 

 

「仲間にしたい人たちなんだけど、あの人とあの人、彼らがどうしても必要なの」

 

 

 その二人はお世辞にも体格が良いとは言えず、洗脳した心操は不安を覚える。

 

 

「作戦はどうするんだ」

 

「うん作戦なんだけど、騎馬の役割、申し訳ないけど私が上でもいい? 心操君は前騎馬で、残り二人が左右どちらでも」

 

 

 彼女には何か考えがあるようで、まるで決まっていたかのように騎馬の配置を彼に伝えてきた。

 

 

「構わねぇけどよ……、身長差でバランスわりぃぞこの騎馬……、大丈夫か?」

 

 

 彼女に指定された生徒、一人は小柄な、下手をすれば女子生徒の中で一番小さい体型の女子生徒、もう一人は特徴的な吹き出しが頭についた異形頭の男子生徒。

 

 当然騎馬を組めばそのバランスの悪さが際立つのは目に見えていた。

 

 

「私のバランス感覚なら問題ないよ、ペッドボトルの上で宙返りだって出来るもん」

 

「……冗談か本気か疑わしいな」

 

 

 この構成の意図が分からずに、流石に彼の口からも疑問の声が出てしまう。

 

 

「……なんでコイツらなんだ?」

 

 

 彼女が選んだ人選はどのような意図をもって選んだのかわからない、当然彼は説明を求めた。

 

 すると彼女はついと一歩距離を詰め、ヘルメットを口まで外して耳に近づいてくる。

 

 一歩距離を離そうと、後ろにたたらを踏みかけるが、ぴったりと耳の横に口をつけたまま、彼女は小声でささやきかける。

 

 

「こっちの女の子が小森 希乃子さん、見た目はかわいいけどかなり凶悪な個性の持ち主で、個性は “キノコ” 胞子を放出して好きなキノコを無差別に生やすことができる。前の胞子の彼よりもずっと強い個性だよ

 もう片方の彼は吹出 漫我くん、個性は“コミック”擬音を具現化出来る個性、擬音次第でその効果も変わる。私が確認できたのは数種類だけだけど、攻撃にも搦め手にも使える幅広い個性」

 

 

 いやに近い距離感に一瞬驚くが、その真剣な声色に、恥ずかしがる自分のほうが不誠実だと彼も同じように近づいて低くささやく。

 

 

「……なるほど、ヒーロー科はお互いの個性を知ってる。だから、本条はこいつ等の個性を狙っていたってことか」

 

 

 当然のようにBクラスの個性を知る彼女を見て、彼はそんな風に予想した。

 

 

「A組とB組じゃ互いの個性は知らないと思う、私が勝手に調べただけだから」

 

「……なに?」

 

 

 だが彼女の返答は彼にとって予想外のものだった。

 

 心操はヒーロー科たちをよく見れば、大きく二つに分かれており、それぞれAとBのヒーロー科だと気づくと、彼は考え直した。

 

 

「……そりゃ互いの個性を知ってたら、もうちょっとチームが混ざるはずだ、……おまえ、まさかB組全員の個性を調べたのか?」

 

「うん」

 

 

 答える彼女は何ともないように返答する。

 

 

「敵になるヒーロー科はAもBも全員調べるのは前提、一応普通科も調べたけど心操君以外で強そうなのは4人、こっちは無駄になっちゃったし、まさか上がってきたのがサポート科とは想定外だったよ……、ううん、言い訳だね、発目さんの噂自体は聞いていたのにノーマークだった私の落ち度、本当に詰めが甘いなぁ」

 

 

 ぼそぼそと呟く彼女の声は機械的に冷たく、感情をみせない。

 

 

「個性……、なんだろう、たぶん彼女目がいいんだよね、観客席をチラチラ見ていたけど、何か探してたんだと思う、目の動きが全体というより一つ一つ丁寧に焦点を合わせていたから。いやそれよりもアイテムだよね、彼女のうわさって知ってる? この学校に入学してから工房に入り浸ってサポートアイテムを毎日作り続けている残念美人の話、見てたけどすごいよね、ホバーブーツにフック、きっと他にもたくさんあるから絞れないよ、あぁ失敗した」

 

 

 彼は、ここで1種目目で1位を取ったにもかかわらず、すぐさま他の選手を食い入るように見ていた彼女の姿を思い出す。

 

 あの時に感じた薄ら寒いものを今の彼女から彼は感じた。

 

 

「一応心操君には知ってる限り、敵の紹介をするね、あそこのツンツンした髪の男の子が……」

 

 

 先ほど彼は、なぜ彼女が勝利のためとはいえ、ヒールのような真似をと疑問に思った。

 

 それは彼女の勝利に対する執着を全くもって見誤っていたのだと彼は気づく。

 

 

「彼、昔ヴィランに襲われて、一時期有名になったんだけどそのことで煽れば返事をしてくれると思う」

 

 

「うん、そう、あの癖毛の子、彼はなに言っても返事してくれると思うよ、でもオールマイトに搦めて話すか、それか仲間を馬鹿にすれば間違いなく反応するかな、でも気を付けて、緑谷君、かなり頭がキレるから」

 

 

 彼も自分自身のことを、勝つためには何でもしてやると思っていたが、彼女の勝利へのそれはパラノイア染みて常軌を逸してる。

 

 何がここまで彼女を追い詰めるのか、彼には分りたくてもわからなかった。

 

 

「……でお父さんと折り合いが悪いみたい、だからそっちのほうから攻めれば……、心操君?」

 

「あ、あぁ、聞いてる」

 

 

 彼女にクラスの友達がいないと言っていた話を心操は思い出す。

 

(友達は一人もできない予定だったから、この学校生活で普通の会話ができる知り合いができて全然うれしいよ!)

 

 あれはいったいどういう意味で話してたのか

 

 クラスメイト達を敵だと断じ、選手の個性どころか、自分がどのように話しかければ返答してくれるまでも詳細に説明する彼女に、彼は背筋に冷たいものを感じる。

 

 

 説明が一通り終わると、彼女は申し訳なさそうに眉を下げながら彼に話を切り出した。

 

 

「私、競技中は集中するからかなり口数が減ると思うし、突拍子もないことを命令するかもだけど、それは勝利の為、だから何も言わずに私に委ねてもらいたいの」

 

「それはいいが、せめて作戦くらい教えてくれよ」

 

「策は秘めてこそ必殺になる。……どこで誰が聞いているか分からないよ」

 

「いやそれは流石に心配のしすぎ……」

 

「心操君、敵はヒーローなんだよ……?」

 

 

 彼も初めは冗談かとも思ったが、まるで怯えるように肩をすくめながら、周りをうかがう彼女を見て彼は何も言えなくなってしまう。

 

 言葉を詰まらせた彼に、彼女は間髪入れずに低くつぶやく

 

 

「聞こえたの、B組の物間くんはね、打倒1-Aのために第一種目を私達A組の観察に努めていたんだって、そしてこの競技で仕掛けてくるつもりらしいよ」

 

「なに?」

 

「八百万さんと上鳴くんは絶縁体をまとって電撃攻撃を仕掛けてくるつもりだって話している」

 

「……おい」

 

「障子くんと蛙吹さんと峰田くん、巨体に二人が隠れて戦うらしいって……」

 

「……」

 

「私程度だって適当に耳をそばだてればこれくらい聞こえるんだよ? 私たちの会話を聞き取れる可能性がある個性持ちは少なくとも7人はいる。個性を活用したり組み合わせればもっと……、私みたいに前から調べたり、仕込んでいれば向こうが対策してくる可能性は十分あるよね……、勝たないと……、私は勝たないといけない、絶対に勝つ、だから絶対に油断しない」

 

 

 抑揚のない声は、いつの間にかまくしたてるようになり、言葉を言い切ると彼女は最後に大きく息を吸って吐いた。

 

 

「勝つんだよね心操君? 私と同じだよね?」

 

 

 その声は震えていた。

 

 何が彼女にここまで言わせるのか、まるで自分の全てがかかっているような鬼気迫る表情

 

 縋るように怯える彼女に、彼はそれ以上何も聞けなかった。

 

 

「……あぁ、勝つぞ本条」

 

 

「よかった。心操君は私と同じなんだ」

 

 

 心底安心したように微笑む彼女を見て、それでも勝つ、その一点だけは同じ思いを持つ同志であると思い直し、心操は戦いに身を投じた。

 

 

 

 

 

 

 その戦いの結果は勝利だった、そう、彼女はそれだけは約束したのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハハハハッ……、心操君ってさ本当に馬鹿だよね」

 

「なんだよ急に」

 

「まだ自分が騙されたことに気づいてないの?」

 

「なにいってるんだ?」

 

「うん? 私が君と友達じゃなくて、必要だからあなたにやさしくしてあげてたってこと」

 

「なにを……いってるんだ」

 

「まだわかんない? おかしいと思わない? 今日の作戦だって全部心操君が洗脳で仲間を作ることが前提だったでしょ、だってそうでもしないとB組の人なんて仲間にできるわけないじゃん、はじめっから心操君の個性が目当てに決まってるでしょ」

 

「な、……に、を……」

 

「もー、なにを、なにをってそればっかじゃん、あなたはこの体育祭で何の評価も得られてないのに個性だけは全員に知られてるんだよ、この意味理解してる?」

 

「ッ!?」

 

「なのに、金魚の糞みたいにくっついてきてヒーローになる? いやいやもうなれないから、挙句の果てに私を友達扱いとかおなか痛いなぁ」

 

「う、うそだ……」

 

「うん嘘だよ! あなたと私の間にあるものはぜーんぶ嘘、あはは」

 

「な……んで……」

 

「またなんで? はなし聞いてた? 私が勝つためだよ、最初からそう言ってるじゃない」

 

 

 

 

「……なぁ、最後に、最後に教えてくれ……、お前は……、俺の個性の為に近づいたのか」

 

 

「はははっはは、最後の質問が同じ質問じゃん! そうだよ!! あなたに近付いたのはあなたの個性が欲しかったから あはは! 楽しかったよ! あなたとの友情ごっこ」

 

 

 

 彼は個性を使った。

 

 

 

「俺たちは………、友達だよな」

 

「……いいえ」

 

「…………………………そうか」

 

 

 

 

 

 

 ――何処をあるいているかわからない

 

 

「おい心操! どこ行ってたんだよ!! 運営が探してたぞ!」

 

「あ、あぁ、ちょっと……」

 

「おいおい、緊張か?」

 

「頼むぞ、お前は俺達普通科の星なんだからな!」

 

「そうだ……、いま何時だ……?」

 

 

 ――時計がよめない

 

 

「だから、もうすぐ本選が始まるのにお前が控室にいねぇっていうから探しに来たんだろ」

 

「なに? すまねぇ……、早くむかうよ」

 

「……おい、大丈夫か? ちょっと普通じゃねーぞ?」

 

「相手はお前と騎馬組んでたあのこえー女だろ? 大丈夫なのか」

 

 

 ――今更になって1回戦の相手を思い出した。

 

 

 

 第一回戦、心操人使 対 本条桃子

 

 予想されていた通りのワンサイドゲーム

 

 彼女の底も分からない、彼の強みも見えてこない、なんの面白味もない試合として終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 雄英体育祭から幾らかの日が過ぎた。

 

 

 彼がふと開いたヒーローの雑誌の中で、あるヒーローのインタビュー記事が目に留まる。

 

 挫折を乗り越えて、自分はヒーローになったみたいなことが書いてある記事だ。

 

 文章で見ればそのヒーローは貧乏ゆえに苦学生であったり、兄弟を養うためのバイトで勉強時間が取れず受験を失敗したり、ヒーローになっても金銭関係で立ち行かずヒーロー事務所を失ったり

 

 だがそれでも諦めずに良きヒーローを目指し、仲間たちの励ましを力に今もヒーローとして活躍していますなんて書いてある。そんな体験談

 

 

 心操は、クラスメイトにもらったヒーロー雑誌を片手に、そんな取り留めのない記事を目で追う。

 

 

 挫折する。そこから立ち上がる。

 

 確かに立派で凄いことだ。

 

 

 だが、今の彼に言わせれば、乗り越えられるものなど挫折ではない

 

 

 心操人使にとって挫折とは

 

 心の大事なものが、芯からへし折れ、中身が腐ってこぼれ、もう二度と元になど戻らない

 

 そういう言葉であると、定義されてしまった。

 

 

「まぁ、落ち込むなよ心操! 普通科で勝ち進めた奴なんて、それでもすげぇんだからよ!」

 

「あぁ、ありがとよ」

 

「それ前にやったヒーロー雑誌、読んでくれたか! どの記事が気に入った?」

 

「あー、今読み始めたばっかりなんだ」

 

「おっ、ちょうどいま開いてるページのヒーロー! 落ち込んでるお前に……」

 

「わりい、ちょっと用事があったわ」

 

 

 

 心操は立ち上がり、クラスを後にした。

 

 

 雄英体育祭は終わった。だがいまだ学校は雄英体育祭の熱気が残ったまま、生徒たちは口々に体育祭の話を至る所で話している。

 

 

 そんな中を心操はただ、黙って歩く。

 

 彼はとにかく誰もいない所へ行きたかった。

 

 

 クラスには居場所はない、と言うのは語弊があるが、どうしようもなく惨めな気持ちになりそこに居続けることが出来ない。

 

 

 クラスメイト達は基本的には、普通科から本選にでた心操に対して、好意的な声をかけてくれた。

 

 

 普通科の星、よくやった。ヒーロー科に一泡吹かせてやった

 

 

 だがそれだけだ。

 

 彼がヒーローになれるといってくれた者は誰もいなかった。

 

 

 そして何より恐ろしかったのは、そんな風に言われても、自分の中に、もう何の感慨も湧かない事だった。

 

 

 もはや夏の盛りを前にしながらも、心操は寒気を覚えずにはいられない

 

 今まで自分を突き動かしてきた熱といったものが消え失せている。

 

 自分は何故ヒーローを目指していたのかが分からない

 

 

 廊下を歩く心操はふと足を止める。

 

 進もうとした先の人だかりが邪魔で通れない、声をかけようとした時、その会話内容を聞いてしまう。

 

 

 

「名前は出なかったけど一位は本条だっけ、決勝だってのに全然盛り上がらなかったよな」

 

「煙が晴れたら決着っていうのはねぇ……、もうちょっとこう、ショーを意識っていうか……、ヒーローは人気商売なんだからさ」

 

「強かったけど地味なのよね、世に訴えるもう一押しが欲しくないかしら?」

 

「地味は硬派と言い換えて、ダークヒーローとして推せばいい、見た目は案外かわいかったじゃないか、そこのギャップを煽れば男にも売れるし、媚びない姿勢は女性にも受けると思うよ」

 

「アングラで押すとなると、そこが足かせになって展開に制限がかかるけどそこはどうする気?」

 

 

 経営課のクラスであろうか、廊下の一角を占領した一団は口々に先の雄英体育祭について盛んに議論を重ねている。

 

 それだけでなく、その話が誰について話しているかを理解した時、彼の胸の内に身を焦がすような暗い熱が湧き出てくる。

 

 

「だからさぁ、ヒーローなんて目立ってなんぼだろ? 今の時代は強さより認知度で金を生むんだって、なのに決勝はアレだし準決勝と二回戦は力押し、初戦の普通科の奴に至ってはあれ、勝負にもならなくて面白くともなんもなくて逆に笑っちゃうぜ!」

 

 

 あの女の話をしている。自分が見下されている。

 

 そんな話を聞いていると冷えた体に熱が回る。

 

 全くもって不快である感覚、だがそれを自分は聞かなければいけないと、無自覚に心操は理解していた。

 

 

「……なぁ」

 

「うん? ……なッ! し、心操、いや、その……」

 

「そこを通りたいんだ。避けてくれるか?」

 

「あっ、あぁ、悪かったよ」

 

「いや、こっちも面白くもない試合を見せて悪かったな」

 

 

 心操は底冷えするほど冷徹な目で、口元だけでニヤリと笑う。

 

 表情と体を固まらせる生徒の肩を軽く押し退け、気まずそうに道をあける生徒の脇を心操は堂々と抜ける。 

 

 

 

「や、やべぇ……、なんつータイミングだよ、クソ、ビビらせやがって、初戦敗退のくせに睨んできやがって……」

 

「確か彼、噂の個性は洗脳だったかしら……?」

 

「うーん、彼もちょっとアングラ寄り、売り出すにしても、個性から考えて前面に出すのはヒーロー活動に支障が出るから難しいね、でも強い、サイドキックならいけるかな? いや待てよ、ならいっそ二人を合わせてダブルダークヒーローで突き抜けさせれば……」

 

「おい、なんだそれ、そもそもアイツはヒーロー科でもなんでもねぇんだからよ、考える必要もねーだろ!」

 

 

 後ろの会話を余さず心操は聞き取り、心の炎を燃やす。

 

 あれだけ冷たかった心は、今は逆に焼かれているかと思う程に焦がれてる。

 

 

 心の中の大事なものが、芯からへし折れ、中身が腐ってこぼれ、もう二度と元になど戻らない

 

 そこからどうすれば立ち上がることができるのか

 

 

(そうだ。心の全部を燃やせ、決して許すな)

 

 

 なおらないガラクタなど燃やして、その熱で自分を突き動かすしかない

 

 それを理由にすれば、彼の心は無尽蔵の燃料があった。

 

 

 そのガラクタがかつての彼にとって大事なものだったとしても、それが正しいか正しくないかは関係ない

 

 

 そうするしか今の彼に選択肢はなかったのだ。

 

 

 

 

 彼は彼女の言う通り、心操人使は立ち上がった。

 

 心という炉に今までの思い出を焚べて復讐という炎を燃やす。

 

 

 

 まず彼は今までの甘い考えからの行動を改めた。

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、後……、10キロ……!」

 

 

 ヒーローになる。そんな未来を口にしながらも、彼が今までその目標に対してしていたことといえば淀んだ目でただ羨むだけ、彼がその目標に向かって本当の意味で犠牲などは払っていなかった。

 

 もちろん彼だって体力作りはしていた。

 

 そうでなければ、いかに人を洗脳で操ったとしても、あの強個性がひしめく雄英体育祭のレースで最後の順位に滑り込むことなどできなかっただろう。

 

 だがそれは、いわゆる一般的な努力でしかない、そこらの運動部程度の体力作りしか行ってなかったのだと、今の心操は悔いていた。

 

 

 そんな片手間程度の時間では、そもそも出遅れている自分が、自分より優れた個性を持って、自分が行動を起こす前から積み上げてきた者に勝てる道理などはない。

 

 

 心操が心に暗い火を灯してから、彼は持てる時間の全てを使って、自分の体を極限まで痛め続けていた。

 

 

 効率などは知らない、すべてが手探り、世に氾濫するヒーローになるためのハウツー本、役に立つかもわからないそれらの本

 

 それらを見比べながら、共通項というのは、まず基礎的な体力が前提とされていたので、ただがむしゃらに体を動かす。

 

 幸いにしてこの雄英高校は、そういった施設は過剰とも言えるほど充実していた。

 

 

「はぁ、はぁっ、お゛えっ! グぅッ……、はぁ、はぁ、はぁ」

 

 

 雄英は広く、走る場所など、いくらでも見つけられた。

 

 朝早くから走りこんだ心操は、早鐘のように脈打つ心臓に押された朝食を、再度飲み下しながら始業時間まで走り続ける。

 

 そのまま授業を受けながら、自分に何が足りないのか、どうすればヒーローになれるかを考え続け、昼休みのチャイムが鳴れば、そのまま教室から抜け出す。

 

 生徒の憩いの時間である時間も心操には関係がない、学生に解放されているジムに向かうとそのままトレーニングを再開する。

 

 そして授業が始まる前に急いで食事をかき込むと再びクラスに戻った。

 

 授業で体を休め、同時に思考を止めない

 

 自分の個性で何が出来るか、どうすれば活きるか、考えることは多かった。

 

 

 放課後になり、生徒たちは談笑しながら、それぞれが部活であったり、遊びであったりと騒ぎながら帰り支度をする横で、心操は誰よりも早くクラスから飛び出すと、トレーニングに向かう。

 

 彼が帰るのは、いつも日が暮れた夜、帰宅した後の心操は最低限のことを家で済ませると泥のように眠った。

 

 心操はそんな生活を毎日行う、当然明日も、その次の日もである。

 

 

 明らかに、適正を越えた負荷

 

 

 しかし彼の精神はそんなことを問題にはしない、むしろ夢すら見ないほどの疲労で気絶するしか、今の彼の高ぶる神経では眠ることなどできなかった。

 

 

(心操君ってさ本当に馬鹿だよね、まだ自分が騙されたことに気づいてないの?)

 

「グッ……」

 

(はじめっから心操君の個性が目当てに決まってるでしょ)

 

「ガッ……、ア゛ァ゛……!」

 

(あなたに近付いたのはあなたの個性が欲しかったから あはは! 楽しかったよ! あなたとの友情ごっこ)

 

「ア゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!」

 

 

 夜中にベッドから跳ね起きる心操は、今日行ってきたはずの訓練のどれよりも、多量の汗を体から吹きだしていた。

 

 

「なんでだ……!クソッ……! クソクソッ! ゆるさない、ゆるさねぇぞ……!」

 

 

 体と心が興奮しきった心操は、この後寝れるはずもなく、部屋の隅に置かれたダンベルを持ち上げ、日中のトレーニングの量を増やすことを決めた。

 

 

 

 

 


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