歌女と黄金の王(仮)   作:破滅竜ファントムブラスター

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久々に書いたらギルガメッシュが全然でない件……


第9話

 二課side

 

 

 

 

 翼が響に対して攻撃を仕掛けてから一、弦十郎はモニターでここ1ヶ月の二人の戦闘を確認していた。

 

 響は未だ戦うことが出来ずひたすらに逃げ続けている。

 翼はただひたすらにひとりでノイズを倒し続けてる。

響はなんとか翼に話し掛けようとしても翼はそれを無視して、戦い続ける。

 

「未だに噛み合わんか……」

 

 そんな姪の姿にため息が漏れる。するとモニタールームの扉が開く。

 

「司令、以前言われた二課内部のカメラ映像の調査報告書を持ってきました」

 

 書類を持ったスーツの若い男性、緒川 慎次ともうひとり、

 

「まったく~、このワタシの頭脳をもってしても解析に一月もかかるなんてね~♪」

 

 

 笑みを浮かべながらもどこか疲れた様な表情を浮かべる女性、櫻井了子が部屋に入る。

 

 

「慎次、了子くん。突然こんなことを頼んですまなかったな」

 

 

 慎次から書類を受け取り、二人に礼を言う。

 

 

「いきなり「二課内部に侵入者がいたかも知れん」って言われたときは頭でも打ったのかと思ったけど結果としては弦十郎君の懸念どうりだったんだけどね…」

 

 

「やはりか……」

 

 

「本当に大変だったんだからね!カメラ映像には何もないから施設内の気圧の変化や備品の消費量なんかを調べて僅かな変化をがあった場所のカメラ映像を透過作業してようやく痕跡があったくらいなんだから」

 

 

 了子くんが話している間に書類の中にあった一枚の写真、たぶんカメラ映像を切り取った物であろうが何も写ってない真っ白な写真、その中には僅かに人型に見えなくもないぼんやりした何かが写っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅くなりました!すみません!」

 

 

 

 二課の秘密施設、その作戦指令室に入った響は開口一番に謝罪の言葉を叫ぶ。そんな響を弦十郎と了子は笑顔で迎え、翼は顔も上げずに黙って聞き流している。

 

 

 

「では、全員揃ったところで仲良しミーティングを始めましょう♪」

 

 

 

 笑顔でそう言った了子の言葉に響はちらりと隣の翼へ視線を向ける。しかし、翼は素知らぬ顔で紙コップに入れた飲み物を飲んでいる。

 

 

 

 了子はリモコンを操作し、モニターの画面を切り替える。画面には何処かの地図が表示されそこには幾つもの赤い点とそれよりは数が少ない黄色の点が写し出されてる。

 

 

「これを見てどう思う」

 

 弦十郎は静かに響に問い掛ける。

 

 

 

「…いっぱいですね」

 

 

 

「ハッハッハ!まったくその通りだ」

 

 

 そんな響の答えに弦十郎は朗らかに笑い、翼は人知れず眉を顰める。

 

 

 

「これは、ここ一か月のノイズの発生地点だ」

 

 

 

 すぐに真剣な表情に戻った弦十郎は画面を見ながら言う。

 

 

 

「ノイズについて響君が知ってることは?」

 

 

 

「テレビのニュースや学校で教えてもらった程度ですが……」

 

 

 

 言いながらえっと、と記憶を掘り起こすように少し考える響。

 

 

 

「まず無感情で機械的に人間を襲うこと。そして、襲われた人間が炭化してしまうこと。時と場所を選ばずに突然現れて周囲に被害を及ぼす特異災害として認定されていること」

 

 

 

「意外と詳しいな」

 

 

 

「今纏めているレポートの題材なんです」

 

 

 

 感心した様子に言う弦十郎の言葉に響は照れながら答える。

 

「そうね。ノイズの発生が国連での議題に上がったのは13年前だけど、観測そのものはもぉ~っと前からあったわ。それこそ、世界中に太古の昔から」

 

 

 

「世界の各地に残る神話や伝承に登場する数々の異形はノイズ由来のものが多いだろうな」

 

 

 

 響の解説に頷きながら了子が言い、弦十郎も補足するように言う。

 

 

 

「ノイズの発生率はけっして高くないの。この発生件数は誰の目から見ても明らかに異常事態。だとすると……そこに何らかの作意が働いている、と考えるべきでしょうね」

 

 

 

「作意……ってことは誰かの手によるものだというんですか?」

 

 

 

「中心点はここ、私立リディアン音楽院高等科、我々の真上です」

 

 

 

 響の驚きながら訊く言葉に答える様に翼が口を開く。

 

 

 

「サクリストD――『デュランダル』を狙って、何らかの意思がこの地に向けられている証左となります」

 

 

 

「あの……デュランダルって、いったい?」

 

 

 

 翼の言葉を聞きながら、新たに出た自身の知らない単語に響は訊く。

 

 

 

「ここよりもさらに下層、『アビス』と呼ばれる最深部に保管され、日本政府の管理課にて我々が研究しているほぼ完全状態の聖遺物、それが『デュランダル』よ」

 

 

 

「翼さんの『天羽々斬』や響ちゃんの胸の『ガングニール』のような欠片は奏者が歌ってシンフォギアとして再構築しないとその力を発揮できないけれど、完全状態の聖遺物は一度起動した後は100%の力を常時発揮し、さらには、奏者以外も使用できるであろうと研究の結果が出ているんだ」

 

 

 

 響の問いに友里と藤尭が答える。

 

 

 

「それが~、私の提唱した『櫻井理論』!」

 

 

 

 と、そんな二人の解説を聞きながら了子がドヤ顔で響へと振り向く。

 

 

 

「……だけど、完全聖遺物の起動には相応のフォニックゲイン値が必要なのよね~」

 

 

 

「……ん~……ん~……ん~?」

 

 

 

 三人の解説を受けてなお響は首を傾げる。

 

 

 

「あれから二年」

 

 

 

 そんな響を見ながら弦十郎は立ち上がりながら口を開く。

 

 

 

「今の翼の歌であれば、あるいは……」

 

 

 

 そんな弦十郎の言葉に翼は険しい表情でしかし何も言わずに黙って紙コップに口を付ける。

 

 

 

「そもそも、起動実験に必要な日本政府からの許可って下りるんですか?」

 

 

 

 そんな中友里が疑問の声を上げる。

 

 

 

「いや、それ以前の話だよ」

 

 

 

 そんな疑問に藤尭が答える。

 

 

 

「安保を盾にアメリカが再三の『デュランダル』引き渡しを要求してきてるらしいじゃないか。起動実験どころか、扱いに関しては慎重にならざるを得まい。下手うてば国際問題だ」

 

 

 

「まさかこの件、米国政府が糸を引いてる、なんてことは……」

 

 

 

 藤尭の言葉に友里がふと呟く様に言う。

 

 

 

「調査部からの報告によると、ここ数か月の間に数万回に及ぶ本部コンピュータへのハッキングを試みた痕跡が見止められているそうだ。流石にアクセスの出所は不明。それらを短絡的に米国政府の仕業とは断定できないが、もちろん痕跡はたどらせている。本来こういうのこそ、俺たちの本領だからな」

 

 

 

「風鳴司令」

 

 

 

 少し困ったように言う弦十郎の言葉を話すとそれを断ち切るかのようにひとりの男が前に出た。

 

 

 

「おっと、そうか。そろそろか」

 

 

 

「今晩はこれからアルバムの打ち合わせが入っています」

 

 

 

「へ?」

 

 

 

 翼を見ながら言う緒川の言葉に響は首を傾げる。

 

 

 

「表の顔では、アーティスト風鳴翼のマネージャーをやってます」

 

 

 

 黒縁の眼鏡を掛けながら言った緒川は懐から名刺を取り出し響へとにこやかに差し出す。そこには『小滝興産 株式会社 興行部 マネージメント課 マネージャー 緒川慎次』の文字が。

 

 

 

「ふおぉ~!名刺貰うなんて初めてです!これはまた結構なモノをどうも!」

 

 

 

 これまでの人生で起こることの無かった『名刺をもらう』という出来事に興奮した様子で響は嬉しそうにその名刺を受け取って名刺と緒川の顔を交互に見る。

 

 そんな響に見向きもせずに歩き出した翼。そんな翼とともに響達へ会釈した緒川は指令室を後にするのだった。

 

 

「私たちを取り囲む脅威はノイズだけじゃないんですね」

 

 

 

「うむ……」

 

 

 

 そんな二人を見送りながら弦十郎へ響はしみじみと言い、それに弦十郎も頷く。

 

 

 

「どこかの誰かがここを狙っているだなんて、あんまり考えたくありません」

 

 

 

「大丈夫よ」

 

 

 

 心配そうな響とは対照的に了子はにこやかに言う。

 

 

 

「なんてったってここは、テレビや雑誌で有名な天才考古学者、櫻井了子が設計した人類守護の砦よ?先端にして異端のテクノロジーが悪い奴らなんか寄せ付けないんだから♪」

 

 

 

「よろしくお願いします」

 

 

 

 そんな自信満々な了子の様子に響も少し安心したように頷き、了子も満面の笑みで頷くのだった。

 

 

 

「でも……」

 

 

 

 それでも不安が消えない様子で俯きながら響は呟く様に疑問を口にする。

 

 

 

「どうして私たちはノイズだけでなく、人間同士でも争っちゃうんだろう」

 

 

 

『……………』

 

 

 

「どうして世界から争いが無くならないんでしょうね?」

 

 

 

 響の、純真な、悪く言えば青臭い疑問にその場の全員が押し黙る。

 

 

 

「それはきっと……」

 

 

 

 そんな中、すっと響のそばにより、響の耳元に唇を寄せた了子は

 

 

 

「人類が呪われているからじゃないかしら?」

 

 

 

 そう言ってハムッと響の耳を唇で甘噛みする。

 

 

 

「ひぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

 

 

 耳に感じた感覚に思わず飛び退きながら甲高い悲鳴を上げる響を見ながら了子は楽しそうに笑う。

 

 

 

「あぁら、オボコいわね~♡誰かのモノになる前に私のモノにしちゃいたいかも♡」

 

 

 

 そう言ってペロッと舌なめずりをしながら妖艶な笑みを浮かべる了子に響は羞恥で頬を染め、友里と藤尭は苦笑いを浮かべ

 

 

 

「了子君……」

 

 

 

「あぁら、ごめんなさぁい。冗談よ♪」

 

 

 

 ため息をつきながらやれやれと言った様子で頭を抱える弦十郎の様子に了子は元の人懐っこい笑みに戻って笑うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 数日後の夕方

 

 

 

「――ごめん……急な用事が入っちゃった。今晩の流れ星、一緒に見られないかも……」

 

 

 

 少女――立花響は電話口の親友へと言う。その声には何か強い感情を押し殺して、努めて普段通りの『立花響』で話そうとしている様子がうかがえた。

 

 電話の向こう側の親友――小日向未来はそんな響の様子の違いと楽しみにしていた約束とを思い、それ等を噛みしめ飲み込むように深呼吸し

 

 

 

『……また、大事な用なの?』

 

 

 

「うん……」

 

 

 

『わかった………なら仕方ないよ。部屋の鍵開けておくから、あまり遅くならないで』

 

 

 

「ありがとう……ごめんね」

 

 

 

 そのまま電話を切り、数秒ほど手の中の携帯を見つめる響。

 

 そのままキッと背後の地下鉄への入り口へと続く階段を睨みつける。そこには何十体と言うノイズがひしめいていた。

 

 

 

「――Balwisyall Nescell Gungnir tron……」

 

 

 

 響が力の籠った歌を口ずさんだ途端、彼女の体を光が包み機械的な鎧を身に纏う。

 

 そのまま構えた響は力強い歌を叫びながら駆け出し、階下へと跳びながらノイズを殴り、蹴り、向かってくるノイズを蹴散らす。響の攻撃を受けたノイズたちは次から次へと炭へと変わっていく。

 

 

 

『中に一回り大きな反応が見られる。まもなく翼も到着するから、それまで持ちこたえるんだ。くれぐれも無茶はするな』

 

 

 

「わかってます!」

 

 

 

 通信機の向こうから聞こえる弦十郎の言葉に大きく頷きながら答えた響は駅の中に駆け込みさらに待ち構えていたノイズたちを蹴散らす。と、響の正面に他のノイズとは異質な一体がいた。

 

 それはまるで体にブドウの実の様にたくさんのサッカーボール大のモノをくっつけたノイズだった。

 

 その異様な立ち姿から響はそいつが先ほど弦十郎の言っていた個体だろうとあたりを付ける。

 

 

 

「私は!私にできることをするだけです!」

 

 

 

 そう叫ぶと同時に響は改札を飛び越え群がるノイズを蹴散らしブドウノイズへと一直線に向かって行く。

 

 そんな響にブドウノイズは自身の身体のそれを飛ばす。と、それが地面を跳ねて爆発する。

 

 

 

「っ!」

 

 

 

 爆発で落ちて来たがれきの下敷きになる響。そのままブドウノイズは一目散に逃げていく。

 

 

 

「……見たかった」

 

 

 

 と、瓦礫の下から声がする。途端に瓦礫が爆ぜるように飛び、舞い上がる土煙から響が飛び出す。

 

 

 

「流れ星見たかったぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 そのまま周りを取り囲んでいたノイズを蹴散らす。

 

 

 

「未来と一緒に!見たかったぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 その様子はまるで親友との果たせなかった約束の、その言いようのない感情をぶつけるような荒々しい様子だった。

 

 

 

「うおあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 雄叫びを上げブドウノイズを追う響。

 

 ブドウノイズは先ほど飛ばした実を再生させていたが響が近づいてくるのを感じ再び駆け出す。

 

 そんなノイズを追う響は

 

 

 

「あんたたちが……」

 

 

 

 俯き握りこんだ拳を壁に叩きつける。と、その壁がひび割れ粉砕される。

 

 

 

「誰かの約束を犯し!」

 

 

 

 逃げるノイズはそんな響に向けて身体の実を落として行く。その実の一つひとつがノイズへと姿を変える。

 

 

 

「嘘のない言葉を……争いのない世界を……なんでもない日常を……!」

 

 

 

 響がつぶやく。と、そんな響にノイズが飛びかかる。それを響は払いのける様に叩き炭へと変える。

 

 

 

「剥奪すると!言うのなら!!」

 

 

 

 そこからは戦いではなく、ただの破壊だった。

 

 怒りに満ちたその瞳でノイズへと向かって行き、殴り、蹴り砕き、引き裂き、馬乗りになって引き千切り、踏み付け、まるで獣の様に暴れまわる響。

 

 そんな響に追撃として飛んでくるブドウノイズの実が爆発する。

 

 咄嗟に顔の前で腕を交差して防いだ響は、その爆発のおかげか幾分か落ち着きを取り戻したようで

 

 

 

「っ!待ちなさい!」

 

 

 

 逃げるノイズを追いかけて線路へと飛び込む。

 

 が、ブドウノイズは今度は天井へと実を投げつける。その爆発で振ってきた瓦礫に響が怯んだすきにブドウノイズは地上へと空いた穴から逃げていく。

 

 それを悔し気に睨んだ響だったが――

 

 

 

「流れ…星……?」

 

 

 

 夜空に流れる一筋の光が目に留まる。

 

 その光は流れ落ちながら青い光を放ち、斬撃を放つ。

 

 その斬撃は逃げていたノイズを一太刀のうちに切り裂き炭へと変え、直後に爆発する。

 

 地上へと出た響が都内の自然公園の真ん中のそこで見上げる先で夜空から先ほどの斬撃を放った流れ星――翼が降り立つ。

 

 翼の元へ駆け寄った響は

 

 

 

「……………」

 

 

 

 少しの逡巡の後

 

 

 

「私だって、守りたいものがあるんです!」

 

 

 

 その胸のうちの思いを言葉にする。

 

 

 

「だから!」

 

 

 

「……………」

 

 

 

 しかし、そんな響には一切視線を向けない翼。その顔はまるで一切の興味もない、無感情な表情。そのまま翼はその手の大剣状にしたアームドギアを構える。

 

 

 

「っ!」

 

 

 

 自分へ一切視線を向けぬまま、しかし、痛いほど感じる翼の拒絶に響はたじろぎ息を飲む。

 

 そのままどちらも言葉を発さぬまま冷ややかな雰囲気がその場を満たす。

 

 それを一変させたのは

 

 

 

「だからぁ?で、どうすんだよぉ!?」

 

 

 

 茶化すように響き渡った第三者の声だった。

 

 

 

「っ!?」

 

 

 

「へ?は?」

 

 

 

 緊張の面持ちで声の聞こえた方へ視線を向ける翼と、突然のことに呆けた表情で同じく声の方に視線を向ける響。

 

 二人の視線の先、並び立つ木々の中からその人物は現れた。

 

 

 

「っ!」

 

 

 

 月明かりによって照らされたその人物の姿に翼は息を飲む。

 

 その人物は恐らく女性。身長や先ほどの声の様子から、少女と言うべき年齢だろうその人物はその身に白銀の鎧を身に纏い、肩から伸びるピンクの刺々しい装飾、顔はバイザーで隠れていてわからない。

 

 

 

「『ネフシュタンの…鎧』……!?」

次回から作品にでる宝具の説明をあとがきにいれるか

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