ポケットモンスター~かつて神童と呼ばれた少年~   作:深き森のペンギン

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第1話 かつて神童と呼ばれた少年

6年前、カナズミシティのトレーナーズスクールには神童と呼ばれた少年が居た。

 

トレーナーズスクールの試験でのポケモンバトルでは、周りの生徒はおろか、教師すらも寄せ付けない強さを発揮した。

 

将来はポケモンマスターになると期待されていた。

だが、彼はそのプレッシャーに耐えられなかった。

 

それから6年。

彼はトウカシティに居た。

 

ーーー

 

俺の名はユーリ。

一応ポケモントレーナーだ。

バッジはおろか、ジムに挑戦したことすら無い。

それと、俺は戦うのが嫌いだ。

なぜなら、俺の愛するポケモン達が傷付くのを見たくはないからだ。

 

だから、神童と持て囃されても全く嬉しさは感じなかった。

むしろ、重荷でしかなかった。

 

今は故郷でポケモン達とのんびり暮らしている。

それが俺にとって最高の幸せだからだ。

 

今日は雲一つ無い晴天だ。

よし、ポケモン達をボールから出そう。

 

「よーし、皆、出てこい!いい天気だぞ~!」

 

俺はボールを3つ放り投げる。

それぞれのボールからポケモンが出てきた。

 

「キルリア、ヒトモシ、タツベイ。今日は絶好の収穫日和だ!皆、木の実採るぞ~!」

 

「リーア!」

「モシ」

「ベイベイ!」

 

今から、自宅の庭に成っている木の実をポケモン達と収穫する。

どれも立派に成っている。

ポケモン達は皆楽しそうに木の実を収穫していて思わず頬が緩んでしまう。

 

それから、少しの間木の実を収穫していると、家のインターホンが鳴った。

久しぶりの来客だ。

もっとも、来てほしくは無かったが。

 

今日は俺が17歳になる誕生日。

その日には、このトウカシティのジムリーダーであり俺の叔父であるセンリとの約束があった。

 

その約束とは、センリと戦うこと。

それに負ければ、旅に出ることになる。

そして、勝てばトウカシティのジムリーダーとなる。

 

まったく、ジムリーダーなら今旅に出てるユウキ君に任せればいいのに。

俺はのんびり生きたい。

 

俺は叔父さんが来て少し逃げたくなったが、俺の心を読んでいたらしいキルリアに肩を掴まれて逃げ道が無くなった。

 

仕方ない、出るか。

 

「叔父さんか、待ってたよ」

「絶対待ってなかっただろ。約束通り行くぞ」

「わかったから、着替えてくる」

 

俺は部屋に戻り、勝負服に着替えた。

ユウキ君が旅に出る前、誕生日に同じデザインの服を作ってプレゼントしたら凄く喜んでくれて、この服を着て旅に出た。

でも、俺の今着ている勝負服はカラーリングが違う。

 

さて、ちょっくら行きますか。

俺は叔父さんと一緒にトウカジムにやって来た。

 

「本気で行くぞ。ユーリ!」

「負けないからな。叔父さん」

 

こうして、俺と叔父さんのバトルが始まった。

 

勝負は3対3。

 

叔父さんがだしたのはナマケロ。

俺が出したのはヒトモシ。

 

「ヒトモシ、ひのこ!」

「ナマケロ、躱してしたでなめる!」

 

この攻撃はヒトモシには効果抜群だ。

だがヒトモシはまだまだピンピンしている。

 

「ヒトモシ、しっぺがえし!」

「モシ!」

 

ヒトモシがナマケロをしっぺがえしで吹き飛ばした。

ナマケロは壁に激突して、倒れた。

 

「ナマケロ、よく頑張ったな。ゆっくり休んでくれ」

「行くぞ、ヤルキモノ!」

 

叔父さんが次に繰り出したのは、ヤルキモノ。

普段のジムバトルでは挑戦者を苦しめているポケモンだ。

 

「行けるか?ヒトモシ」

「モッシ!」

 

ヒトモシはまだまだ余裕みたいだ。

ポケモンを傷つけたくはないが、そうは言っていられない。

ここからが本番だ。

 

「ヒトモシ、ひのこ!」

「ヤルキモノ、受け止めてがんせきふうじ!」

 

ヒトモシのひのこをヤルキモノが受け止める。

受け止めた後、お返しとばかりにがんせきふうじを繰り出す。

 

「ヒトモシ、避けろ!」

 

攻撃を回避しようとしたが、避けきれずヒトモシに直撃した。

ヒトモシは勢いよく地面に叩きつけられ、戦闘不能。

 

「ヒトモシ、ごめんな。俺がもうちょっと早く言ってれば」

「行くぞ、タツベイ!」

「ベイベイベーイ!」

 

どうやらタツベイはやる気満々のようだ。

 

「タツベイ、ずつき!」

「ヤルキモノ、受け止めてカウンター!」

 

ヤルキモノのカウンターを食らったタツベイだが、一歩も引かずにずつきをもう一度繰り出す。

 

ヤルキモノのカウンターとタツベイのずつきの応酬が繰り広げられる。

その決着がついたのは、少ししてのことだった。

 

タツベイのずつきがヤルキモノの顎をきれいに捉えた。

そして、ヤルキモノは勢いよく倒れた。

 

叔父さんの繰り出す最後のポケモンは、ケッキングだ。

 

「神童も、まったく鈍ってはいないか。行くぞ、ケッキング!」

 

出てきたのはケッキング。

叔父さんの相棒であり、俺の越えなければいけない壁。

 

「タツベイ、ドラゴンクロー!」

「ケッキング、かたきうち!」

 

ケッキングのかたきうちで、タツベイは大きく吹き飛ばされた。

実力差がありすぎる。

でも、ケッキングに勝たなければ旅に出る羽目になる。

 

「キルリア、頼んだ」

 

キルリアは俺が幼少気から一緒に暮らしてきた、相棒だ。

 

「キルリア、マジカルリーフ!」

 

ケッキングは特性のせいで動けない。

そのままマジカルリーフが直撃する。

だがケッキングは微動だにしない。

 

「ケッキング、はかいこうせん!」

「キルリア、サイコショック!」

 

お互いの本気のぶつかり合いだ。

やはり、実力差がありすぎる。

キルリアは当然吹き飛ばされた。

 

「俺の勝ちだな。ユーリ、約束通り旅に出て貰うぞ。荷物と、挨拶を済ませておけ」

「はーい」

 

はぁ、6年も逃げてきたんだ。

今さら旅に出るのも、恥ずかしい気もするな。

 

さくっとバッジ集めて、強くなって叔父さんを倒す。

自分のポケモンを傷つけたくないから戦わないのではなく、

負けてポケモンを傷つけないために俺は強くなる。

 

俺は、もう逃げない。

愛するポケモン達を傷つけないため、この世界で誰よりも強くなってやる。

 

かつて神童と呼ばれた少年は、再び立ち上がった。

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