復讐の刃   作:彼是

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どんどん上げるぞ~


竜魔人

「ディーノ!!」

 

「!【みなごろし】」

 

「!!?」

 

 バランの一瞬の隙を見つけ、ピサロは暗黒闘気を集中し強烈な一撃を放った。辛うじて防御が間に合うがネクロスが纏った暗黒闘気がカマイタチのようにバランを襲う。

 

「ぐっ!邪魔だぁっ!!どけぇ!!」

 

 ピサロの背中のネクロスがバランを更に傷付けるがバランはピサロを押し返し、竜闘気(ドラゴニックオーラ)を放出しピサロを吹き飛ばす。

 【飛翔呪文(トベルーラ)】を使い全力でダイ(ディーノ)の元へ向かうがピサロの腕が触手のように変化してバランの足を掴む。

 

「!?」

 

「まだだぁ!!」

 

「くっ!い、いい加減にしろぉっ!!【上級電撃呪文(ギガデイン)】」

 

「ぐぁぁぁっ!!?」

 

 天空より竜の騎士(ドラゴンのきし)のみ許された巨大な雷がピサロを貫く。瞬時に身体中が焼かれ、激痛が神経を駆け巡る。

 

「ディーノ!!しっかりするんだ!!」

 

「ぅぅ……」

 

(い、いかん。かなりのダメージだ。すぐに回復呪文を……)

 

 抱きかかえたダイ(ディーノ)に回復呪文をかけながらバランは思考する。幸いピサロはまだ復帰せず、竜闘気(ドラゴニックオーラ)で防護膜を展開している為ハドラーも様子見している。

 

(このままでは全滅する……どうすればいい?)

 

 ちらりと床に刺した真魔剛竜剣を見る。刃こぼれまでは言わないがかなりの劣化が見れた。先ほどの【みなごろし】だけが原因とは思えなかった。

 

(いつだ?いや、そんな事よりも今は……)

 

「うぅ……あ、あれ?俺……」

 

「おお!ディーノ!」

 

「あ……そっか……俺のことか……」

 

 回復呪文で多少回復したと言え体力まで回復するには時間がかかる。更に暗黒闘気等で負った傷は回復呪文では治りが非常に遅く効率が悪い。

 【みなごろし】で負った傷は全身に及ぶ。少しの戦闘には差し支え無いがかなり不利になった事は確かだろう。

 

「バ…ラン!!バラン死ね!!【みなごろし】!!」

 

(い、いかん!ここで避ければディーノに当たる!)

 

 身体の再生を終え、更に魔物へ変化したピサロは全力で飛んで来る。背中のネクロスは二つに増え、顔の左はもう原型が無い程変貌していた。

 巨大化したネクロスに膨れ上がった暗黒闘気の【みなごろし】をバランは竜闘気(ドラゴニックオーラ)を全力で受けようとする。

 

「っ!?ぐぁぁっ!?」

 

「ディ…ディーノ!!」 

 

 そんなバランのかばうように飛び出したダイは剣で受けるも身体をズタズタにされる。全力で竜闘気(ドラゴニックオーラ)を展開していたお陰で耐える事が出来たが先ほどよりダメージを受けてしまった事は明らかだ。

  

「なに!?」

 

 そんな行動をしたダイに驚きを隠せない男がハドラーだ。ダイと決着をつけたいハドラーはダイが自分以外に殺される事など我慢出来ない。その為、ハドラーの中でピサロはどうでもいい男から邪魔者になった。

 

「ぐっ……ピ、ピサロ……」

 

「ダイッ!!邪魔をするな!!」

 

「ッッ!!」

 

 ダイはネクロスに耐えながらどうにかピサロを説得しようと試みる。それが如何に無駄な事だとわかっていても、こんなにも悲しい戦いを見届ける事など出来なかった。

 

「ピサロ聞いてくれ!……この人が過去に酷い事をしたのは知ってる……必ず償いはさせる!!さしてみる!!だから……」

 

「償い!?償いだと!!?ならば……全員を生き返らせろっ!!村を!友人、家族……ロザリーを!!今すぐにだ!!」

 

 ダイの言葉にピサロの表情が豹変する。ダイは地雷を踏み抜いてしまう。もう彼はバランを殺す事でしか止められない。

 

「ガアァァッ!!」

 

「ッ!?ぐっ!」

 

 ダイはピサロに吹き飛ばされバランと離れてしまう。それを好機と思ったのかハドラーがダイとピサロの前に降り立つ。

 

「ハドラー!!」

 

「ダイ。因縁の対決同士だ。奴はバラン、俺はお前……決着をつけるぞ!!」

 

 ハドラーは魔炎気を(たぎ)らせ、破邪の剣に全神経を集中する必殺技【超魔爆炎覇】の構えを取る。

 万全の状態のダイでも危険な技だ。今の状態ではほぼ勝ち目は無いだろう。

 

「いかん!!ディーノ!!」

 

 助けに入ろうとするバランの前にピサロが立ちはだかる。バランは先ほどと同じ様に吹き飛ばそうとして、咄嗟に無理だと悟る。

 

(!?こいつ先ほどより強くなっている!!)

 

 長年の経験でこのままではすぐにはダイに駆けつけれないとバランはわかってしまう。

 

 

 

 

 

 大魔宮(バーンパレス)の王座では死神が愉快そうにダイ達の戦闘を眺めていた。

 

「絶対絶命って奴だね~」

 

「でも残念だな~こないだの借りも返せないなんて~」

 

「仕方ないさ。なんたってバーン様のお気に入り君の晴れ舞台だからね。ここは譲ってあげるよ」

 

「ちぇ~アイツもキルバーンと同じように真っ二つにしたかったのに~」

 

 死神姿のキルバーンは相方の一つ目ピエロのピロロは過去にバランに胴切りにされた事がある。その為、復讐の機会を窺っていたが今回は何もしない事にした。

 

「でも、ぼくの呪いは効いてるみたいだけどね。フフフッ……」

 

 キルバーンの身体には魔界のマグマと同じ成分の血が流れている。胴切りにされた時にそれが真魔剛竜剣に付着し、劣化させたのだ。

 

喜劇(舞台)もそろそろ閉幕……爆発か……それともハドラー君の勝利か……フフフッ……見ものだね」

 

「フィナーレだ~」

 

 楽しそうに見るキルバーンの反対にミストバーンは憂いていた。

 

(ハドラー……勝て。見事勇者(ダイ)を打ち倒し、栄光を掴むのだ)

 

 ミストバーンはもしハドラーが勝てばハドラーの延命を願い出るつもりだ。黒の核晶がハドラーの寿命()を吸っているが大魔王バーンの魔力ならばハドラーの延命も可能だろう。

 

 

 

 

 

 

(このままでは……っ!!)

 

 既にハドラーは溜めに入っている。目の前の敵の相手をしていれば間に合わないだろう。

 

(……二度と使うまいと思っていたが……)

 

 目の前で大事な者(ソアラ)を殺された事があるバランは決心する。

 このままでは間に合わない。なら間に合うようにするだけだと……

 

 

 

 額から流れた血が赤から青へ変わり、天空より稲妻がバランに落ち、肉体が変貌していく。

 

 

「ウオォォォッ!!」

 

 額の紋章が広がり、それに応じて髪は逆立ち、身体が膨れ上がり、鎧は弾け、皮膚から竜の鱗が浮きで出来て全身を覆う。

 背中からは一部の魔族が持つ翼が生え、竜闘気(ドラゴニックオーラ)で周囲が震える。

 

「なっ!?あ、あれはまさか……」

 

「りゅ、【竜魔人】」

 

 その変貌にハドラーは慄き、ダイは恐怖した。

 

 

 竜魔人。それは竜、魔、人の神が作り出した竜の騎士の最強変身形態。竜のステータス、魔族の魔力、人間の多様性を突き詰めた形態。

 過去に戦ったダイはその圧倒的強さに冷や汗が流れる。

 

「…………」

 

 ダイの姿を見たバランは安心すると共に心を痛めた。

 過去の事もありダイ(息子)の前では二度と見せたくなったと思っていた最強変身形態だ。その変身にハドラーは構えを解き、超魔爆炎覇は放たれなかった。

 しかしディーの(息子)に恐怖の目で見られたくは無かった。

 

「バランッ!!みなごろし!!」

 

 バランの変身時の稲妻で硬直していたピサロが竜魔人化したバランに切りかかる。

 背中のネクロスも含め放たれた一撃はハドラーの超魔爆炎覇、ダイの【アバンストラッシュ】にも引けは取らないだろう。

 

「………」

 

「ば、馬鹿な……っ」

 

 その声は誰が出したわからなかった。

 ピサロのみなごろしはバランの皮膚を貫けず、薄皮の部分で止まってしまっていた。

 

「っ!!」

 

 バランが無言でピサロに顔面を掴み地面に叩きつける。

 

「ッ!!グアァァァ!?」

 

 ピサロも抵抗するがバランは気にしない様子で背中のネクロスを引きちぎり、右腕を圧し折り、足で踏みつけ再起不能に追いやり地面に陥没させる。

 

「な、なんという……」

 

 バドラーはその圧倒的強さに驚きを隠せなかった。ハドラーから見てもピサロは強者だった。あそこまで一方的に再起不能にまで出来る竜魔人とはどれほどの強さなのだろう。

 超魔生物は竜魔人の能力を研究し作られた形態だ。その為、人工的な竜魔人と言っても過言は無い。

 

「次はお前だ。ハドラー」

 

『ディーノ。お前は上空の穴から仲間の下へ向かえ』

 

『!?な、なんで!!』

 

『……竜魔人化した以上、敵を殺すまで戦い続ける……黒の核晶は私が何とかしよう』

 

『で、でも!!』

 

『早く行け!!』

 

 ゆっくりと近づくバランにハドラーは最大の警戒をする。

 

「ハアァァッ!!」

 

 元より二人相手に一人で戦う覚悟があったハドラーは気合を入れなおす。魔炎気を滾らせバランに切りかかる。

 

「ぐぼあッ!!」

 

 バランはハドラーの攻撃よりも早く懐に入り込み、腹部を強打する。

 

「…死ね!ハドラー!私も地獄まで付き合ってやる……!!」

 

 壁に打ちつけられたハドラーは即座に立ち上がり、破邪の剣を拳へ仕舞い、代わりに小回りの利く(ヘルズクロー)を出し、再度攻撃する。

 

「!!!なっ……!!」

 

 無抵抗のバランにヘルズクローは刺さる事も無く、ハドラーは大きな隙を見せる事になる。

 

「……まだわかってないようだなッ!!ハドラァァーッ!!!」

 

 ハドラーを蹴り上げ、何度も殴りつけ、地面に叩きつける。バランは苦痛に耐えるハドラーの頭を無情にも踏みつける。

 

「…ぅ……う……」

 

「この姿になったからには、お前ごときが如何に背伸びをしても相手にならん!!」

 

 圧倒的な強さのバランはハドラーの頭を砕かない様に足にゆっくりと力を加える。

 

「おっ、おのれぇ!!」

 

 ハドラーは破邪の剣を右手から出しバランに切りかかる。

 

「ぬうんッ!!」

 

「ぐあああッ!!」

 

 剣を避け腕を掴んだバランはハドラーの腕を圧し折る。その痛みにハドラーは後ずさりながら地面に倒れこむ。

 

「……これでしばらくは剣と極大呪文が使えん!!」

 

「はううっ……」

 

(つ、強い……強すぎる!!なぜ!なぜ!!これほど圧倒的にうちのめされるのだ!!なぜ!!なぜまったく歯が立たん!!)

 

 

 

 

 

[……強い……あの二人が手も足もでないとは……!!]

 

 ミストバーンの驚きはもっともだ。現在の二人の強さは強者の多い魔界でも屈指の強さだろう。ハドラーは超魔生物になり武人としても一皮向け、魔界の神と呼ばれる大魔王バーンにも認められる程の強者だ。

 ピサロにしてもハドラーほどとは言えないがかなりの強さだ。

 更に竜魔人のバランは過去ダイ達と戦った時より遥かに強い。

 

「…うかつに獣の巣をつついてしまったな……どんな動物でも巣をつつかれれば怒る。相手が自分より強い動物でも我が子を守る為に凄まじい力を発揮して逆襲してくる……それと同じ事だ」

 

 バーンは冷静にバランの強さを理解しミストバーンに説明する。

 

「早急にダイ()に止めをさせずにバラン()に決断させる猶予を与えた結果だ……これまでかもしれんな……やむをえん……」

 

 バーンは右腕を軽く上げる。その小指の爪にはバーンの紋章が描かれており、そこに魔力を込めるとハドラーの黒の核晶は砕け散る。

 

[!?く、黒の核晶を爆発させるのですか…?]

 

「……残るハドラーに勝ちが無い以上、そうしてやるのが情けというものよ。……違うか?」

 

「………」

 

(…その通り……殴り殺しにされるより……)

 

「…余がこの指先から魔法力を飛ばしただけで…あの核晶は爆発する…!!」

 

 バーンは小指を見つめ笑みを浮かべる。

 

「次にバランがハドラーに接した時…それが…最後の時だ…!!」

 

 バランはゆっくりとハドラーに止めを刺す為に近づく。バーン達は固唾を呑んで見守る。

 

「…ん?」

 

 後一歩という所でバーンは思いとどまる。ハドラーが苦悶の表情で折れた腕を押さえ、バーニアを吹かし上空に飛び上がる。

 

「…ホウ…まだ戦おうというのかハドラー…」

 




とりあえず短編を書きまくって勉強中……
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