皆さんに楽しんで貰えるように精進します。
折れた腕を無理やり押さえ、激痛を堪えながら必殺の構えを取るハドラーにバランは少し驚く。
「…折れた右腕で超魔爆炎覇をかけようというのか!?無駄な足掻きだ…!!」
「なっ…なんとでも言うがいいっ…!!地に伏したまま死を待つのはこの激痛よりも耐え難い事!!せめておまえに一矢を報いてやるわッ…!!」
ハドラーは気迫で魔炎気が轟々と滾らせる。バランは折れた腕で打てないはずの超魔爆炎覇をハドラーが打てると確信する。
「……よかろうッ!!受けてやるぞ!!」
バランは翼を広げ、初めて戦闘姿勢を取りタイミングを計る。
「うおおおおーッ!!!」
ハドラーの超魔爆炎覇に対するバランは無手で突っ込む。両者が空中で激突した衝撃で大気が震える。
「ぐっ……ハドラー…ッ!?」
「…フ…フフフッ…!!は…腹立たしいものだなバランよ…!あと一歩…剣が及ばぬというのは…」
ハドラーはダメージで身体の力が抜けダラリと垂れ下がる。
「…最後の執念…見事であったぞハドラー…だが案ずるな。お前の望み通り…死してもバラン達に一矢を報いてやる…!今…この場でな…!!」
バーンは小指に魔力を注ぐ。これにより地上での
(……もしやすると竜の騎士共は生き残るやもしれんがな……)
「砕け散れッ!!黒の核晶よっ!!」
バーンの小指から膨大な魔力が溢れ部屋に溢れる。その光が収まった時バーン達は驚愕する。
「なっ…なにっ!!?」
悪魔の目玉と呼ばれるモンスターのリアルタイム映像では今だバラン達は健在だった。
「バ…バカな…!余の魔法力は確かに放たれたはず…!!何故、核晶が爆発しない…!」
バーンは小指を確認すると確かにバーンの紋章が消え、黒の核晶に魔力が送られ爆発するはずだ。
「…フフフッ…ぬかったな…!大魔王バーンよ!!この私が何故ハドラーの最後の挑戦をあえて受けたと思っているのだ!!」
バーンは映像から流れてくるバランの言葉に注目する。映像を見られている事は知っていても語りかけてくる事は無かったバランが今このタイミングで語りかけてきた事にバーンは疑問を覚える。
「それはこのチャンスを待っていたからだ!!ハドラーの身体をブチ抜き…!!」
バランは腕を捻りバーン達にも見えるよう何かを引き抜いた!!
「この黒の核晶の爆発を押さえ込む瞬間をなっ…!!」
「!!?」
ハドラーの体内から数本の管で繋がれた星型の爆弾【黒の核晶】。バチバチと放電の様にスパークしている状態で、いつ爆発してもおかしくない状態を押さえ込む為にバランは
「…やりおるわバラン!!元より爆発は覚悟の上!自らの
この数千年間ここまで動揺した姿を見たことがないミストバーンはどうするべきか思考していた。
(バラン……危険な男だ。竜の騎士というだけではない。バーン様を出し抜く大胆さ……なんとかしなければ……)
一方
(ひゅ~。バラン君もやるね。正直あの
「こっ…これはっ…!!?」
ハドラーは自分の身体から出てきた物を見て驚愕してた。
「これはっ…!!これはなんだああッ!!なぜっオレの身体にこんな物があっ!!?」
明らかな人工物。更に尋常じゃない程の圧迫感を感じるほどの魔力を秘めたそれが自分の身体に有ったなど想像すらしていないハドラーはバランの手にある黒の核晶を目を見開き動揺する。
(哀れな…)
バランにとってハドラーは特に意味の無い人物だ。仮初の上司。敵。
しかし戦ってみて過去の彼から想像出来ない程の武人に成長したハドラーに哀れみを覚えた。
所詮ハドラーはバーンにとって使い捨ての道具だったのだ。
「…魔族のお前なら名前ぐらいは聞いた事があるだろう…!!こいつが黒の核晶だ!」
「くっ…黒の核晶ッ!?そ…そんなっ…そんなバカなっ!!あの…忌わしい伝説の超爆弾がっ…オ…オレの中にっ…」
ハドラーの身体が震え、冷や汗が止まらない。現実を受け入れられない。しかし目の前にある物が只者では無いがイヤでもわかってしまう。
「……誰がっ!?誰がこんな恐ろしいことをっ…!!」
次に思うのが誰がこんな事をしたかだ。
(ま、まさかっ…!?)
「…知れたことよ…おまえの主…!そして…おまえに地上を与えると言いながら、その実すべてを吹き飛ばすつもりだった非常の男だ…!!」
「………バーン様がっ…!!」
ハドラーの中で全てがカチリと噛み合った。どうして
「そうかっ!!お、おまえ達が妙に力を押えて戦っていたのはこの黒の核晶のためだったのか…!!」
武人として一皮剥けたハドラーは彼なりの誇りを汚された怒りと気付かなかった自分の愚かさで気が狂いそうになる。
「……なにが…なにが”正々堂々の戦い”だッ!!こんな状況ならおまえ達に勝ち目が無いのは当たり前…!!オレはっ…自らの肉体を捨て…生命を捨ててまでこの闘いに賭けていたのにっ…!!」
唇は怒りで裂け、血が出ても。愚かさの為、握り充血した拳が振るえてもハドラーの感情は抑えられず、涙と言う形で決壊した。
「ウオオオオオォーッ!!!!」
(ハ…ハドラー!)
ミストバーンはハドラーの姿を見て申し訳無く思う。もし自分が彼の黒の核晶に気付けていれば…もしハドラーの不調をバーン様にお聞きして黒の核晶の事を知っていれば…
「みっともないなぁハドラー君…せっかく勝利のチャンスだったのに…」
「見事な男泣きだね!」
二人の台詞に思う所があるミストバーンだが言うこと決して無い。それはミストバーンもわかっているからだ。
(全てはバーン様の為……)
ミストバーンにとって拘りや主張等、大魔王の前では意味をなさない。
「仕方あるまいキルバーン…竜魔人と化したバランの闘気の力がこれほどまでとは余も思わなかった。余の放った魔法力を弾くとは…たいした奴よ…」
バーンは強者に敬意を表する。だからこそ卑劣、卑怯など弱者の戯言は気に食わない。力こそ全て。強者はそれだけで素晴らしい存在なのだと信じている。
「…まあ、いい
「[!!!]」
立ち上がるバーンに二人は驚きを隠せない。大魔王バーンが自ら赴くなどこの数千年なかったことだ。
「やむをえん……余が直々に出向き核晶ごと消してくるとしよう…」
転移しようとしたバーンに待ったをかけたのが死神キルバーンだ。
「まあまあぁ!今度はボクに任せて下さいよ。バーン様にわざわざご足労させたとあっちゃあ、我々は立場ないですよ。ねぇミスト…!?」
キルバーンは相方と呼べるミストバーンに声をかけるも既にその姿は無かった。どうやらバーンが立ち上がった瞬間に転移していたようだ。
「…フフッ…行ったのかミスト…。ハドラー君にはかなりご執心だったようだけど、流石に天秤にかける相手がバーン様だと動きが早いね…!」
その一言にバーンは笑みを浮かべる。バーンにとってミストバーンは忠臣。かれこれ数万に及ぶほどの長い年月変わらぬ忠誠を誓う者だ。
彼には絶大な信頼を寄せている。そして彼なら
ピサロが空気なのは後半の為仕方ない。