アズールレーンクロスワールド   作:サバ缶みそ味

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 新年あけましておめでとうございます!(大遅刻
 2020年もよろしくお願いいたします(焼き土下座

 


15.電影走る【飛雷竜:トビカガチ】

in加工屋_建造装置室

 

Sideソルト

 

ライリー「うおおおっ‼は、離せえええっ‼」

 

 皆様どうも、指揮官を務めているソルトです。ええ、初っ端からシドと二人がかりでライリーを抑えているという見苦しいところから挨拶を始めたのは申し訳ないと思っています。

 

指揮官「だからだめだって‼この前たっぷり絞られたのを忘れたのか⁉」

 

ライリー「危険は承知の上‼でもやってみたいという衝動が俺を駆り出しているのさ‼」

 

指揮官「だからダメだって‼また明石がてんやわんやになっていまうぞ⁉」

 

 この間も明石が「報告書に書けばいいのニャァ…」とか言いいながら机に伏していたのを見かけた。鉱石の他に素材でも建造可能ということが発覚してしまいどう対処すればいいかも頭を悩ましている模様。

 

ライリー「ソルト!俺にやらせてくれ!未知との遭遇!エチエチ美女との遭遇の予感がっ!」

 

指揮官「いい加減にしなさいっ!シド‼」

 

シド「当身」( `ω´)ノ

ライリー「あふん」((^q^))

 

 ふう、なんとかライリーの暴動を抑えることができた…これが毎日起こるというのだから何かしらの対策を考えねば。

 

 

親方「おう!ソルト、今日も朝から元気があるな‼」

 

 ふと建造室に親方がやってきた。いやはや、朝から大騒ぎにして申し訳ありません…

 

親方「丁度いいところだ、チョイっと来てくれねえか?」

 

 うん?何かあったのだろうか。俺とシドは親方の言う通り後についていくことにした。建造室を出ていつもの加工屋へと戻るとそこには明石とオイゲンがいた。オイゲンは艤装を身に着けているようだが…よく見れば出撃する時に装着している艤装と少し違うことに気づいた。

 

明石「指揮官、ついに完成したニャ!」

指揮官「完成したって何が…?」

 

オイゲン「親方達加工屋の皆と協力して艤装を造ったのよ」

明石「初の陸地専用のKAN-SEN装備ニャ‼」

 

 なんと、俺の知らない間にそんな装備を開発していたとは!これは驚いた。

 

親方「オイゲンがどうしても指揮官の力になりてえって頼んできたからな。二期団技術班が総力を挙げて作り上げたってわけだぜ」

 

オイゲン「お、親方!それは言わないでって言ってたじゃない!」アタフタ

 

 ふむ、蛇の形をした主砲が一基。魚雷発射装置はつけておらず攻撃はこの砲撃だけになるがその代わり盾となる艤装が出撃する時の艤装のものより一際大きい。

 

親方「火力は控えめになっちまったが防御には力を入れた。鉱石や素材を使ってできたその盾は火竜の火球にも耐えきるぜ!」

明石「しかも砂の海でもいつもの走行が可能ニャ!」

 

オイゲン「ど、どれくらいすごいのか想像できないけどかなりの性能ってわけね…」

シド「すごいじゃないか。これなら付きっきりも可能か」

親方「だがあくまで秘書艦兼受付嬢用の装備だ。モンスターとの戦闘向きじゃねえってのは肝に銘じてくれ」

 

オイゲン「ま、まあ多少は無理させてもらうからね?心して頂戴?」

 

 親方からもらったスリンガーを装着してオイゲンは少し照れながらウィンクする。これでもっと一緒に冒険ができるな!

 

親方「おう、これ制作費用の請求書な」

指揮官「どれどれ………ヒョエッ⁉

 

オイゲン「え⁉ど、どうしたの⁉変な声出てるわよ⁉」

シド「む………相当の額だなこれは」

 

 あかん…めっちゃあかん。めっちゃ高いよこれ⁉この金額、ゴルルナ一式が5つ造れちゃうくらいの金額だよ⁉

 

親方「そりゃあまあKAN-SENの艤装っていう未知の装備を造るってこたぁかなりの素材や鉱石を駆使したからなぁ」

明石「それに鉄血の艤装はセイレーンの技術を参考にして造った他の所属とは違った技術があるからちょっと手がかかるニャ」

 

シド「それ相応の費用ってわけか…どうする?」

指揮官「ま、まあ払えるが…」

 

 むぅ…かなりの出費になるなぁ。ライリーのへそくりから出そうか…

 

親方「なんなら少し安くしてやらんこともねえぜ?」

 

指揮官「ほ、本当ですか⁉」

 

親方「ちいとばかし俺の依頼を受けてくれねえか?」

 

指揮官&シド「依頼……?」

 

____

 

 

in古代樹の森

 

 Sideライリー

 

デンバー「トビカガチっていうモンスターの捕獲?」

ウォースパイト「それが親方の頼み事なの?」

 

 今回クジで同行することになったデンバーとウォースパイトが首をかしげながら尋ねてきた。

 

ライリー「そういうこった。親方曰くある武器を作るにトビカガチの素材が必要らしい。その素材を得るために捕獲するのさ」

 

デンバー「捕獲ってもしかして…」

 

 デンバーが不安そうに見つめてきた。あ…もしかしてあまりよくないイメージをしてらっしゃる?

 

 するとシドが首を横に振って彼女の頭をなでた。

 

シド「生態調査の捕獲だ。捕獲したモンスターを調査員が調べ、それが終われば自然に帰す」

ライリー「ほんでほんの少しだけ素材を頂く。狩ることだけがハンターの仕事じゃねえからな」

 

デンバー「ほっ…よかった、安心したよ」

 

ウォースパイト「それでただひたすら森の中を進んでいるようだけど目的のモンスターは見つかるのかしら?」

 

 ウォースパイトの言う通りトビカガチを見つけるには痕跡を見つけなきゃいけねえ。痕跡を辿りに辿ってやっとモンスターの追跡を開始できる。

 しかし今回はなるべく早く見つけたいとソルトの要望がある。普段通りにやれば下手すりゃ日が暮れちまうし……と、なるとあいつらを頼るしかねえよな。

 

トラ「そんな時はおいら達にお任せニャ!」

モカ「困ったときはアイルーにお任せあれニャ!」

 

 この捕獲クエにオトモアイルーであるトラとモカを連れてきたぜ!

 

デンバー「トラとモカが?」

ウォースパイト「どうやって見つけるの?」

ライリー「まあ疑問に思うことがあるだろうが見てなって」

 

 トラとモカはニオイを嗅ぎながら進んでいく。茂みの中へと足を進めていくとトラとモカは3匹のジャグラスを見つけた。

 デンバーははてなと首を傾げウォースパイトは警戒してどうしても持っていきたいと頼んできた剣をジャグラスたちに向けようとした。こりゃいかん、俺は慌ててウォースパイトの手を止める。

 

ウォースパイト「なっ、どうして止めるのよ!?アイルーたちが危ないわよ!?」

ライリー「ちょっと待て。よーく見てろ?」

 

 トラたちの邪魔をしないように静かに見守る。ジャグラス達は近づいてきたトラとモカに警戒して唸り声をあげていたが、トラとモカは怯まず背中のポーチからジャーキーを取り出してジャグラス達に差し出してジャグラス達に話しかけた。

 

 すると警戒していたジャグラス達が大人しくなってトラとモカが差し出したジャーキーを食べ始めた。

 

トラ「旦那さん、大成功ニャ」

 

ライリー「うっし、これで大丈夫だ」

ウォースパイト「な、なにがあったの?」

 

シド「オトモダチだ」

デンバー「オトモダチ?」

 

ライリー「この新大陸にはアイルーに近い種族のテトルーってのがいる。テトルー達は自分たちの言語だけでなく小型モンスターの言語も話し理解することができるんだ。そしてその言語をアイルー達も取得することができる」

 

 まあ条件としてテトルーと友好な関係にならなきゃならねえ。ひたすらオトモたちと探索をしてテトルーと仲良くなれてよかったぜ………シェフィールドのカチューシャをあげたら一発で仲良くなったことは黙っておこう。うん、本人に知られたら俺が殺される。

 

ライリー「まあそれもこれも俺のおかげry」

 

デンバー「トラ!モカ!すごいじゃないか‼」ギューッ

 

トラ&モカ「ニャヘヘヘ…」テレテレ

ジャグラス達「キュー」

デンバー「あはは、くすぐったいよ」

 

 俺を差し置いて2匹はデンバーに抱きしめられ、デンバーはジャグラス達にペロペロされている

 

ライリー「༼ꉺɷꉺ༽」

シド「どんまい」

ライリー「う、うっせえやい!べ、別にうらやましくないもんね!」クワッ

 

ウォースパイト「はいはい、貴方もよくやったわ」ポンポン

ライリー「ちくせう……トラ、モカ!さっさとトビカガチをみつけっぞ!」

 

トラ「了解ニャ!えーと……君たち、蛇のような顔の白い毛並みのモンスターがどこにいるか知らない?

 

ジャグラスA「あー…そいつならリュウノコシカケの森のエリアにいたのを見かけたよ

 

ライリー「どうだ?」

 

モカ「トビカガチなら大木にでっかいキノコが生えている森のエリアにいるらしいニャ」

 

ライリー「よーし、そこへ行ってみるか!」

 

 

___

 

 in古代樹の森_北西エリア

 

Sideジャベリン

 

ディアス「そんでこのツブテの実をスリンガーに填めて……狙いを定めてレバーを引くんだ」

 

オイゲン「これをこうして…こうね!」

 

 オイゲンさんのスリンガーからツブテの実が発射され、狙い通り木に命中。お見事です!

 

指揮官「すごいな、もう上達してるじゃないか」

オイゲン「ふふ、これぐらいお茶の子さいさいよ」

 

指揮官「最初は装填の仕方がわからなくてあたふたしてたのにな……」

オイゲン「ちょっと、指揮官!それ言わない約束‼」

 

 オイゲンさんはあっという間にスリンガーの使い方をマスターしたようです。いいなぁ…私も欲しいなぁ

 

カッシン「…ジャベリンもスリンガー欲しいの?」

ジャベリン「ふえっ!?そ、そそそそそんなつもりはわわわわ」

カッシン「指揮官…私も欲しい」

 

 あっ!ずるい!カッシンちゃんドストレートに指揮官に頼んじゃってる‼

 

指揮官「あはは…こんど親方と明石に相談してみるよ」

ディアス「今後ジャベリンたちにもスリンガーの支給を総司令に提案しなきゃね」

 

 こ、今度は私達にもスリンガーがもらえるかもしれないですね……指揮官や皆さんに感謝しなきゃ。

 

 

オイゲン「ところでこの横のレバーは何かしら?」

 

 ふとオイゲンさんがスリンガーの横についている小さなレバーを引いた。すると『ガシャン』とスリンガーから爪のような道具が展開される。

 

ディアス「あ、それはクラッチクローって言ってry」

 

オイゲン「どうやって使っ…」カチッ

 

 話し終える前にオイゲンさんのスリンガーからクラッチクローと呼ばれた爪のような道具がワイヤーを伸ばしながら飛んで指揮官の体に爪が引っかかる。

 

指揮官「あっ」

 

オイゲン「えっ?ちょっ…きゃあっ!?」グインッ‼

 

 オイゲンさんがクラッチクローに引っ張られるように飛んでいき、指揮官にぶつかっちゃいました‼

 

 

ディアス「対象となるモンスターの体に素早く接近してくっつくために使うんだ……ってあれ?」

 

 

 あわわ…ぶつかった指揮官はオイゲンさんの胸に覆いかぶさられる形に倒れちゃって……

 

 

オイゲン「つぅ……指揮官、だいじょ……っっっ!?」←状況に気づく

 

指揮官「おお大丈夫!暗くてわからないけどなんか柔らかいものに当たってなんともないぜ!すごいな、クッション機能付きか?」

 

オイゲン「わああああああっ!?」強パンチ

 

指揮官「ぶべらぁっ!?」(#)'3`;;)・;'.、

 

 指揮官は顔を真っ赤にしたオイゲンさんに何度も殴られていました………

 

ディアス「甘いわー元気ドリンコがなんか甘いわー」

 

___

 

 in古代樹の森_北東エリア、リュウノコシカケの森

 

 

Sideシド

 

 リュウノコシカケが生えた大木が幾つもある森…静かで薄暗くひんやりとした涼しさだ。ここはトビカガチだけでなく多くのモンスターの縄張りになりそうな場所だな。

 

デンバー「このあたりにトビカガチがいるの?」

ウォースパイト「気を付けて。いつ何が出てくるかわからないわよ…?」

 

 経過しているウォースパイトの言う通り、油断はならない。調査資料や報告書によるとトビカガチは体にある被膜で滑空や数秒の滞空ができ、木に飛び移ったり高所から襲い掛かってくることもあるらしい。

 

ライリー「心配するこたぁねえや。ちょちょいのちょーいでできらぁ‼」

 

 相変わらずライリーはこのお調子だ…油断はするなと言っても無駄だろう。さて、痕跡は道中で見つけた足跡だけ。導蟲はこのあたりで光りながら漂っているだけだが…あとはアイルーたちの嗅覚が頼りだ。

 

シド「モカ、どうだ…?」

 

モカ「くんくん……この森の中で強いニオイを発してるニャ」

 

 間違いない、このあたりにトビカガチはいる。俺はオトモ達にデンバーとウォースパイト達をいつでも安全な場所へと行かせるようコンタクトとり、今回はツワモノハンマーを構えて辺りを経過する。

 

 

 

ヒラヒラ……

 

 

 ふと俺とライリーのまわりに白い毛のようなものがヒラヒラと落ちてきた。それと同時にあたりからガサガサと何かが動きまわる音が響く。音が激しくなると白い毛が雪のように幾つもヒラヒラと落ちてくる。

 

 確か……資料によればこれはトビカガチが獲物を狩る時や縄張りに入った時に音と毛で相手を翻弄させてその隙に高所から飛び掛かってくると書いていたよな……

 

 ライリーに気をつけろと伝えようとしたその時、木の上から白い毛並みに黒いまだらの模様のある蛇の顔をしたモンスターが体の被膜を広げてライリーに飛び掛かろうとしていたのを見つけた。

 

 

シド「ライリー‼上だ‼」

 

???『ギュオオッ‼』

 

ライリー「うおぅ!?あぶねえっ‼」

 

 気づいたライリーはモンスターの奇襲をすれすれのところで躱した。

 

ライリー「シド‼あいつがトビカガチか…‼」

 

 

 資料の絵で見た通り…間違いない。あれがトビカガチだ。トビカガチは唸り声をあげながら俺たちをギロリと睨むと、大きな尻尾を立たせて咆哮した。

 

 

トビカガチ『ギュオオオオオオオッ‼』

 

ライリー「さっそくおでましってか!」

シド「気をつけろ、油断してるとやられるぞ」

 

ライリー「わーってらぁ‼」

 

 ライリーは黒電弓ウェイザスを構えて強撃瓶をセットする。相手は新大陸のモンスター、どう動くか見極めて対処しなければならない。

 

シド「モカ、トラ、二人を頼むぞ…」

 

トラ「了解ニャ!

モカ「お二方、こっちニャ!」

 

 

ウォースパイト「心配はいらないわ。艤装はなくてもこのウォースパイト、この剣だけでもry」

デンバー「ほらほら!ここはライリーさん達に任せて‼」

 

 デンバーに引っ張られウォースパイトは安全な場所へ避難。これでよし…さてトビカガチは尻尾を大きく振ってゆっくりとこちらの動きを伺いながら周りを歩く……きのせいか尻尾の毛がバチバチしているような。

 

トビカガチ『ギュオオッ‼』

 

 するとこちらに突進しながら大きな口を開けて噛みつこうとしてきた。

 

ライリー「うおっと‼」

シド「ふっ‼」

 

 俺とライリーは左右へ避け、ライリーは側面からトビカガチの体に向けて弓を射る。俺は力を溜めて相手の動きを見極めながら迫った。

 

 噛みつき突進を避けられトビカガチが睨みながらこっちを振り向く。今だっ!

 

シド「ふんっ‼」

 

 トビカガチの顔めがけてハンマーで大きく振って殴る。ゴッ‼という鈍い音が響いた。

 

 が、この一撃でトビカガチは怯むことなく牙を剥いて噛みつきてきた。

 

シド「…っ」

 

 すれすれのところを回避。もう一発、と力を込めてトビカガチの頭部へ狙いを定めて迫る。しかし相手も同じ手は食わないといわんばかりに飛び上がって躱し、木へと飛び移る。

 

トビカガチ『ギュオオッ‼』 

 

 被膜を広げて滑空しこちらへと飛び掛かってきた。横へと転げて回避をする。

 

シド「ちっ…なかなかすばしっこいな」

 

 回避をして立て直そうとしている間にトビカガチが迫ってきた。牙を剥いて噛みつく寸前、ライリーの放った弓矢に当たりトビカガチは怯んだ。

 

ライリー「へっ!俺を忘れちゃ困るぜ!」

 

 ヘイトは任せろと言わんばかりにステップを踏んでトビカガチの体へ弓を射続けていく。連続した攻撃に苛立ちを感じたようで、トビカガチは標的を変えて飛び上がるようにライリーへと迫る。勢いで迫ったトビカガチの突進と噛みつきをライリーは身軽に躱しその間にも弓を射る。

 

ライリー「はぁーはっはぁ!そんな攻撃じゃぁ当たらねえなぁ!」

 

 余裕と相手をあざ笑いながら躱し、射る。少し調子に乗り始めたな。あれだと気を抜いて…

 

トビカガチ『キュオオオオッ‼』

 

 するとトビカガチがしっぽを立たせ震わせながら威嚇をし始めた。ただの威嚇なら気にはしないが、背中や尻尾の体毛がバチバチと青白い光と電気を発している。

 

 報告書によれば…トビカガチの毛は静電気が溜まりやすいと書いてあったな。となるとあれだけの体毛なら…

 

シド「ライリー、気を抜くな」

 

ライリー「大丈夫だって、気にはしなry」

 

 ライリーが言い終える前にトビカガチが体を飛び上がって回転し思い切り尻尾を叩きつけた。

 

ライリー「ほべえ!?」.∵・(´ε゚((

 

 ほら言わんこっちゃない…まるでナルガクルガの尻尾ビターンを彷彿させる…

 

 ライリーの体にビリビリと電気が迸っている。間違いないな、雷ヤラレだ。相手は体毛に溜まる静電気を駆使して戦うようだ。

 

 相手の動きを見ながら俺はもう一度ハンマーに力を溜めてトビカガチへと迫る。

 

シド「ライリー…!」

 

ライリー「いってぇ…心配ねえ、続けるぞシド!」

 

 ライリーは体勢を立て直してトビカガチへと迫る俺を援護しながら矢を射る。トビカガチは尻尾を震わせて待ち受ける。

 

 間合いとタイミングを見計らって尻尾で攻撃するつもりだ。それでも俺は構わずハンマーにさらに力を籠める。

 

 あと数歩、もう少しで奴の頭へと叩き込めれる間合いに入ったとき、予想通りトビカガチは回転するように尻尾で薙ごうとしてきた。

 

シド「…っ!」

 

 いったん力を溜めるのを解除し尻尾の攻撃を回避、その動きを狙っていたのかトビカガチが突進するように噛みつこうとしてきた。

 

ライリー「見え見えだぜその動きはよぉっ!」

 

 俺の後ろからライリーが大木を蹴って飛び上がり、トビカガチの背面を狙って射る。

 

トビカガチ『ギャウッ!?』

 

 放った弓矢は全弾命中、トビカガチは大きく怯んだ。

 

 この隙は逃さん。俺はリュウノコシカケによじ登りそこから飛び降りて、力いっぱいハンマーを振り下ろす。

 

シド「ふんっ‼」

 

トビカガチ『ギュオォッ!?』

 

 見事にヒットしトビカガチはその場で倒れ藻掻く。スタン成功だ。

 

 

ライリー「ナイススタン!」

シド「畳み掛けるぞ」

 

 この間にトビカガチの頭を狙って力いっぱい数度叩きつけ、ライリーは尻尾を狙って射続ける。

 

 だがやりすぎてはいけない。今回の任務は捕獲であって狩猟や討伐ではない。

 

 ふとトビカガチがスタンから起き上がる。急ぎ俺たちは離れて身構える。

 

ライリー「これなら余裕のよっちゃんじゃね?」

シド「それフラグ…」

 

トビカガチ『ギュオオオオオッ』バチバチッ

 

 案の定、トビカガチが怒り咆哮する。

 

 それだけならよかった

 

 トビカガチの体毛がバチバチと電気を迸らせると背中と尻尾の体毛が電気を纏い青白い光を発しながら逆立たせる。

 

トビカガチ『グルルルル!』

 

シド「」

ライリー「まじか」

 

 ポカーンとしている間にもトビカガチは木へと飛び移ると俺たちに狙いをつけて滑空してきた。

 

トビカガチ『キュオオオオッ!』

 

ライリー「まじか!?」

シド「これはまずいっ!」

 

 飛び掛かってくる前に回避。だが勢いよく飛んできたトビカガチが着地時に勢いよく回転しながら尻尾を振り回してきた。

 

 間合いが思いのほか広く、俺たちは巻き込まれた。

 

 

ライリー「ほげっ!?」)゚3゚)・∵.

シド「ぐっ…!?」)))`ω゚)・∵.

 

 くぅ……油断した。まさかそこまで範囲があるとは。体から感じる電気の痺れ、雷ヤラレのまま起き上がりライリーの様子を伺う。よかった、雷ヤラレによる気絶はまだ起きていない。すかさずポーチから生命の粉塵を取り出して粉を撒く。

 

ライリー「サンキュー!今度は油断しねえ」

 

 ライリーは頬を叩いて気を引き締める。ようやく本気か…

 

シド「行くぞ…!」

 

 バチバチと体毛から電気を発しているトビカガチへとハンマーに力を込めながら迫る。頭へとアッパーをお見舞いしようとするがトビカガチは後ろへ飛んで木へ飛び移る。もう一度あの滑空攻撃をするつもりか。

 

 俺に狙いをつけてトビカガチは滑空してきた。

 

 

ライリー「こっちだって同じ手はくらわねえよっ!」

 

 俺の後ろからライリーが力を溜めて竜の一矢を放った。火花を散らしながら一直線に飛ぶ矢はトビカガチの体を貫く。

 

トビカガチ『ギュオッ!?』

 

 トビカガチは怯んで空中で体勢を崩し落ちる。ナイスアシスト、俺はトビカガチの頭へ思い切りスタンプをかます。

 

トビカガチ『ギュオオッ!?』

 

 大きく怯んだ。今のは手応えあり。この攻め手を緩めまいとライリーが駆ける。

 

ライリー「ほらよっ!」

 

 大木を蹴って高く跳んでトビカガチの尻尾へ狙い撃つ。尻尾に傷がついて毛が落ちた。尻尾の部位破壊は成功だ。

 ライリーは続けて大木を蹴って飛びながら弓を射続けトビカガチを怯ませる。その間にタイミングを見計らって力を込めて迫る俺にライリーはちらっと振り向く。

 

ライリー「シドっ!」

 

シド「任せろっ!」

 

 背を屈ませたライリーに応えるように俺はライリーを踏み台にして高く跳ぶ。

 

シド「おおおおおっ‼」

 

 そして力いっぱいトビカガチの頭へと叩きつけた。

 

トビカガチ『ギュウゥッ!?』

 

 トビカガチが二度目のスタンで倒れる。

 

シド「頃合いだ」

ライリー「お前の勘を信じるぜ!」

 

 もうそろそろだろうと俺はスタンでダウンしてる間に急ぎトビカガチの足元にシビレ罠を仕掛ける。

 

トビカガチ『(((×皿×;)))』

 

シド「よし、痺れた」

ライリー「おらーっ!捕獲よー!」

 

 トビカガチが痺れている間にライリーは急ぎ捕獲用麻酔玉を撒く。

 

トビカガチ『キュウゥゥゥゥ……』

 

 赤い煙が舞う中でトビカガチはゆっくりと倒れ、寝息を立てて眠り始めた。

 

シド「よし、捕獲成功だ」

ライリー「よっしゃぁ!」

 

 俺とライリーはハイタッチを交わす。安全が取れたのでモカとトラがデンバーたちを連れて戻ってきた。

 

モカ「旦那さん、お疲れ様ですニャ」

 

デンバー「シドさん、ライリーさん!かっこよかったよ‼」

ライリー「でへへへ、よせやい。後でアスラジャーキーを奢ってやろう」

 

 ライリーが笑いながらデンバーを撫でる。やれやれ、いつもの調子に戻ったか

 

 ふとウォースパイトが驚いた表情でデンバーを撫でるライリーを見つめていた。

 

シド「どうかしたのか?」

ウォースパイト「その…驚いたわ。いつもシェフィールドにお仕置きされてるライリーがあんな身のこなしをするなんて…」

 

シド「まあな……あいつ、昔は盗賊だったからな」

 

ウォースパイト「えっ!?」

 

 ウォースパイトがギョッとして見つめてきた。あ、いかん…ついうっかり口を滑ってしまった。

 

シド「…それ皆には秘密な」

 

 ライリー風に言えば『KAN-SENの皆には内緒だよっ☆』と。幸いデンバーには聞こえてなかったからよかった。

 

ウォースパイト「わかったわ…彼の過去のことはあまり聞かないことにしておくわ…」

 

ライリー「へーいっ!ウォースパイトちゃん、俺を見つめてるようだけど…もしかして惚れたかにゃ?」

シド「しばくぞ」右ストレート

 

ライリー「ごへっ!?ちょ、シド!?もうしばいてんじゃねえか!?」

 

ウォースパイト「……」

 

____

 

in古代樹の森__北西最奥部

 

 

Sideオイゲン

 

指揮官「いやー…まさかこんなにも奥あったとは」

ディアス「日が暮れそうだし適当に時間を見て引き返そうか」

 

 私たちは以前から調査団が見つけた北西エリアから更に北西へ進んでいた。この辺りはまだアンジャナフが徘徊していないようで、ゾラ・マグダオスによる影響が出てないか調査をしている最中である。

 

 しかし今のところ変わった痕跡は見つかっておらず痕跡を探しに只管奥へ奥へと進む。

 

指揮官「うーむ…これといったものはなさそうだな」

ディアス「じゃあ暗くなる前に帰ろっか。また明日再開すればいいしね」

 

 私も賛成だ。長い時間を歩いてもうへとへとよ…

 

 ジャベリンもカッシンにも疲れの色が見えている。お腹がすいてるだろうしもう帰りましょ?

 

指揮官「む…?」

 

 その時、指揮官は何かを見つけたのか不思議そうに首を傾げたと思ったら駆け足で進み始めた。

 

オイゲン「し、指揮官!?」

ジャベリン「な、なんでしょうか…?」

カッシン「ついていこ」

 

 同じように気付いたディアスも駆け足で進んでいく。何を見つけたのか私たちも追いかける。草木をかき分けて走り、指揮官に追いつく。

 

 指揮官は足を止めてじっと何かを見つめていた。彼の視線の先になにがあるのか、私もその先を見つめた。

 

 

プケプケ『クゥ……』

 

 そこにはぐったりと倒れている小さい体のプケプケがいた。息が荒く、弱弱しい声をあげながら翼を力弱く動かしていた。

 

 私にもわかる。このプケプケは虫の息だ。

 

ジャベリン「指揮官、この子は…?」

指揮官「まだまだ若い個体だが毒をもっているから気をつけろ」

 

 指揮官とディアスはゆっくりとプケプケに近づく。2人はプケプケの後ろへと回ってゆっくりと優しく触り撫でた。

 

ディアス「縄張り争い?いや、それにしちゃあやりすぎだ」

指揮官「む…喉のあたりに傷が。毒腺を狙ったようだな…」

ディアス「翼だけじゃなくて脚にも怪我が…必死に逃げたのかもしれないね」

指揮官「アンジャナフ…にしては噛みつき跡がない。恐らく別のモンスターだ」

ディアス「ん?翼に何か白い糸?」

指揮官「ネバネバしてるな……」

 

 指揮官達は私たちそっちのけでしゃべっている。

 

オイゲン「それで指揮官、この子はどうするの?」

 

指揮官「うーむ……」

 

 指揮官はちらっとジャベリンとカッシンを見つめた。二人とも不安そうにプケプケと指揮官を交互に見つめている。

 

ジャベリン「し、指揮官…」

カッシン「……」

 

指揮官「……よし、保護しよう。この子を見捨てたらハンターとしても指揮官としても失格だ」

 

ジャベリン「指揮官…!」

オイゲン「ふふ、いい判断よ指揮官」

カッシン「指揮官、ディアスさん、私達も手伝う」

 

ディアス「よし俺たちが保定しておくからこの回復薬グレートを飲ませてあげて」

指揮官「足と翼の応急処置をしてから応援を呼ぼう」

 

 この後プケプケに応急処置をし、麻酔玉で眠らせてから調査団達と協力してアステラへ保護することになった。足と翼が治るまで保護し、治ったら野に帰すようだ。

 

 

__数日後__

 

inアステラ_加工屋

 

Side瑞鶴

 

親方「おう江風!頼まれていた刀を直してやったぜ!」

 

江風「本当か!親方、感謝する!」

 

 親方は上機嫌に江風の刀を渡した。以前の刀と違って白と黒の混ざった毛の飾りが装飾されている。なんというか…見た目が少し変わったような…

 

瑞鶴「な、なんか前よりもかっこよくなった?」

江風「この刀…とてつもなく力を感じる…‼」

 

親方「おう!ソルトの奴がトビカガチの他に素材を渡して色を付けてくれたからな!自慢の一品だぜ!」

 

江風「どれどれ……」

 

 

バチバチィッ‼

 

 

 え?ちょ、え?

 

 江風が刀を抜いた瞬間、電気が迸り、黒い刀身にビリビリと電気のようなものがうっすらと纏っていた。

 

 

瑞鶴&江風「( ゚д゚)」

 

 

 なんということでしょう……江風の刀に雷属性が付与されました

 

 

高雄「なんと……羨ましいっ!」|д゚)チラッ

 

 

____

 

 

 

オイゲン「指揮官?なんか親方から高い額の請求書がきてるんだけど?」ジトー

指揮官「♪~(´ε`;)」




 ツワモノハンマー…過去作品からの武器ですが使いやすくて個人的には好きでした。

 MHWには達人系ハンマーがなくて悲しみを背負った
 でも太刀がかっこよかったのでオッケーです(オイ

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