今回から少し台本形式もいれつつやります。
苦手な方、ごめんなさい!
__Sideプリンツ・オイゲン
私はなんて辺鄙な場所へ来てしまったのだろう…
大本営から出て、汽車へ移動すること半日が経ち、駅からバスへ乗り継いだら飛行機ではなく飛行船に乗ること2日、降りたかと思えば今度は大きな角が生えた毛むくじゃらの見たこともない動物に繋がれた馬車のようなものに乗って1日…
なんてくたびれる大移動なのだろうか。せめて本ぐらいは持ってくればよかったわ…
しかし疲れは溜まったが退屈はしなかった。移動するにつれて大本営の付近にあったビルや高い建物が見当たらなく、舗装された道路も土の荒道に変わり、見渡す限りの草原や木々が生い茂る森林へと時代が逆戻りしたかのような景色へと変わっていった。
本や写真で見るようなものとは比べ物にならない、この目で見るだけでも圧倒されるような大自然、とでも言うべきかしらね…
景色に目を移してる間にどうやら街に入った様だ。見える建物はどれも木造や石造りのものばかり。
見たこともない大きな魚を豪快に捌く男性や見たこともない形をした野菜(?)を売る女性、それから…あれは鎧?黒い鉄の鎧を修理している人…と売る人だけでなく行き交う人々も活気にあふれていた。
「お嬢ちゃん、さあ着いたぜ!」
街の人々の様子を見とれていたら馬車(?)が止まり、操っていたトラ髭の豪快そうな男性が声をかけてきた。
どうやら到着のようね…スーツケースを持って降り……て……
「……え?」
いざ降りて見れば
まずわかるとすればここは港であること。それはまだいい。
問題は視界に見えた物………大きな木造の船だ。
「え、ちょ、木造!?」
「お嬢ちゃんも驚いたろ?新大陸へ向かう連中のために造られた特注の船だ」
「いや驚くのはそこじゃないわよ!?」
明らかに沈むでしょ!?セイレーンの襲撃にあったら間違いなくワンパンで沈むでしょ!?
そんな私の不安をまったく気にしない男性は豪快に笑い背中をバンバンと叩く。
「心配はいらねえさ。たとえモンスターが襲っても船にはハンター達がいる。しかも今期は推薦組っていうより腕の立つハンターがいるから大丈夫さ!」
モンスター…?絵本とかに出てくるような怪物の事かしら?いや、セイレーンの事を言っているのかもしれない。だとすればハンターとやらはもしかしてロイヤルのあの子のことじゃないでしょうね…?
「さてと、送りはここまでみてえだ。お嬢ちゃん、いい旅をな‼」
男性は豪快に笑って馬車を引いて去っていった。いい旅を…ねぇ。ほんとこれで新大陸とやらにある鎮守府に辿りつけるのかしら…
私はひとまず過る不安を押し払って木造の船へと向かう。
すでに船は出向の準備に取り掛かっており、そこには見たこともない服装や鎧を着た男性や女性、更には二足歩行で歩く猫のような生き物が船に乗ったり、大きな木箱や物資等を運んでいた。
本当に昔の時代にタイムスリップしたんじゃないかしら…
「だからぁ!明石はアイルーじゃないニャァ‼」
ふと圧倒しているとどこからか聞き覚えのあるような声が聞こえてきた。
声のする方へと向かえば、そこには緑の長い髪に猫耳を生やした少女が布の装備をした男性と問答していた。
「え、でもそれは猫耳と猫の尻尾でしょ?」
「確かに猫耳で猫の尻尾だニャ」
「じゃあアイルーだね。しかし変わった装備をしてるなぁ…顔、体とまるっきり変わるオトモ装備もあるし、その一種かな?」
「違うニャ!明石はアイルーじゃないニャ‼」
「え?でも語尾はニャでしょ?」
「確かに、語尾はニャだニャ」
「じゃあアイルーだね。君のご主人は誰かな?」
「だからアイルーじゃないニャ!?」
「え?でもマタタビは好きなんでしょ?」
……鎮守府の工廠と販売を任されている明石はアイルーではないとプンスカと訴えるが男性は聞き入れてもらえてないようだ。これだとずっとこの繰り返しになるだろう…仕方ないわね。
「明石、何やってんのよ」
「あ!プリンツ、待ってたニャ‼」
「ふむ?君がこのアイルーのご主人かな?」
「だから明石はアイルーじゃなry」
「まあそんなところかしら?私達も新大陸に向かうのだけどどの船に乗ればいいのかしら?」
「えーと…君たちは…」
男性は腰につけている分厚い本を取り出してパラパラとページを捲る。どうやらそれがリストのようね。見たところそのリストには私と明石の名前が入っていないようで男性は戸惑いながらページを捲り続ける。
「…私達その新大陸にできる鎮守府の関係者だけど、話とかは聞いているの?」
「鎮守府…ああ!ギルド本部から通知があったよ!君たちの事だったんだね!ようこそ!」
男性は懐から手紙を取り出して内容を確認をするとにこやかに笑みを見せる。
「話は聞いているよ。えーと、プリンツ・オイゲンさんと明石さんだね。君たちはあの先頭の船に乗るといいよ」
「ありがと。ふぅ…これで少しはゆっくりできるわ」
「それにしても……ずいぶんと変わった装備だねぇ」
「ふーん…お互いさまじゃないの?」
男性は物珍しそうに私を見つめる。寧ろ貴方達の格好の方が珍しいのだけど…まあいいわ、いちいち気にしてたらこっちが持たないもの。
私はスーツケースを引いて先頭の船へと向かう。明石は私の艤装とその他機材を船に乗せてもらうため、その男性と詳しく話を続けた。
さて…これで新大陸に向かう、ことになったのだけど……この船旅で少しは気が紛れるかしら?
あ。私達の指揮官は誰か、詳しく聞くの忘れた…
____
I
in大型木造船
前言撤回。まったくもって気も紛れないし、滅茶苦茶退屈だわ‼
私はムスッと不機嫌のまま頬杖をつく。
まず一つ、新大陸への航海が長すぎる!かれこれ一週間以上は経ったかしら。
明石から聞いた話では黒くて砲弾を撃ってくる船のような物体…おそらくセイレーンね。奴らの襲撃で船は大丈夫だが物資がやられてしまうので迂回したルートを通っているようだ…というかセイレーンの襲撃でものともしない船とかどういうことよ!?
次にまわりで酒を飲んだり食べたり、だべったりして毎日お祭り騒ぎをしているこの連中ね。話によればもうすぐ新大陸に到着だと盛り上がっているようだけど、一体何が楽しいのやらまったくわからないわ。
そして私の成りが珍しいのか連中は私の気も知らずに話しかけてくる。
女性「珍しい装備ね…どう?一緒に組まない?」
「お生憎様、もう組む人は決まってるの。他をあたって」
布装備の男性「かわいいね!俺の受付嬢になってよ‼」
「お断りするわ。そんな気分じゃないもの」
鎧の男「頼む!俺の受付嬢になってくれ‼じゃないと滅茶苦茶食べるあの子が俺の受付嬢になっちまう!」
「……目の前から消えてくれる?目障りなんだけど」
ほんとしつこいってくらい連中は私に話しかけてくる。というかその『ウケツケジョー』ってなんの事よ…
「プリンツ、そんなに不機嫌にならなくてもいいのにニャ」
明石は料理を運んできて相席に座ってきた。毎度思うがこの山盛りの量を連中は軽々と平らげる…どういう体の構造をしているのかしら
「だってあいつらしつこく話しかけてくるのよ?それに指揮官らしい人も見かけないし…」
「そうだニャー、明石達の指揮官は誰ニャんだろうニャー…うん、このお肉もおいしいニャ」
はぁ…指揮官はいないし、この先大丈夫なの…?
私の不安はさらにのしかかってくる…
「よう!もうすぐ新大陸に到着だな‼」
すると私達の席に…なんというか、パイナップルみたいな髪型の男性が上機嫌に座って話しかけてきた。
???「あんたも準備完了?」
「…いや、あの、何?」
???「あ、もしかして緊張してる?大丈夫、俺も緊張してっからさ」
「いや、だからry」
???「いよいよかぁ…思えば国を出てから長い旅だったよなぁ~」
「……」
人の話を聞かない奴だ。私の不機嫌がさらに上がっているというのに男は楽しそうに話を続けていた。
???「そうだなぁ、新大陸に初めて足を踏み入れるってことだから少し怖いけど楽しみry」
???「ねえ、もしかしてあなた推薦組じゃない?」
今度はこの男の相棒なのだろう、黒髪の女性が男を押しのけて話しかけてきた。というかなんなのよさっきから…
「違うわ。私は新大陸にできる鎮守府というところに行く、KAN-SENよ」
???「カンセン…?」
女性は私達ことKAN-SENを知らないのか、不思議そうに首を傾げる。一方の男は思い出したかのように納得して頷いた。
???「ああ!ギルド本部で聞いたぜ。この5期団の船に乗る際に、一緒に乗る人たちがいるって!あんた達のことだったんだな!」
一人で勝手に納得して…話が済んだらどっかいってくれるの?
ルーキー「俺のことは気軽にルーキーって呼んでくれよ!前の国でもそう呼ばれてたからさ!」
レナ「私は彼の受付嬢のレナよ。はい、お近づきに」
レナと名乗った女性は二足歩行の猫が運んできたお酒を取って笑顔で私と明石に渡す。まあ、そこの
「……プリンツよ。よろしく」
明石「明石だニャ!」
ルーキー「新米同士頑張ろうぜ!乾杯っ‼」
あんたが音頭をとるのね…ふぅ、唯一退屈しないのはこのお酒が美味しいということ。鉄血や重桜とは違う、深みのあるお酒だ。
ルーキー「それにしても…あんたは一人で大丈夫なのか?俺達推薦組には受付嬢と二人一組っていう決まりがあるんだが、どうだ?」
レナ「貴女にも相棒となる人は決まってるの?」
あ、そうだった。指揮官のこと忘れたわ。でもこの人たちに言っても無駄かもしれない。
「まあね。私達は指揮官って呼ぶのだけど……私達の指揮官は銀ピカっていうことぐらいしか分からないの」
一体誰の事を指しているのか。ましてや銀ピカというヒントだけでは全く……あれ?二人の様子が変だわ?何かキョトンとしている
ルーキー「銀ピカ…なあ、もしかして…」
レナ「ええ。この船に一人しかいないわ」
え!?指揮官いるの!?
私が驚くよりも二人がとても驚いていた。
ルーキー「あんたすげえな‼あの人と組むなんてめちゃくちゃすげえよ‼」
明石「ニャ?そんなに有名なのニャ?」
レナ「ええ。
は?
ルーキー「銀ピカはその一人…というか俺の知り合いだ。たぶん今は…ほら、噂をすればいたぜ」
ルーキーは嬉しそうに指をさした。私は彼の指さす方へと振り向いた。そこには
赤い飾りのついた銀色の兜
背中に小さな翼の飾りがついた銀色の鎧
銀色の腕の防具
銀の翼のような銀色のスカートアーマー
銀色の具足
総じて滅茶苦茶銀色の鎧を着た男が料理とお酒を両手に持って鼻歌を歌って歩いていた。
明石&プリンツ「「」」("゚д゚)("゚д゚)
ルーキー「おーい!こっちこっち‼」
ルーキーの声にその男は気づくとルンルン気分で近づいてきた。
???「ルーキー、レナ‼久しぶり!二人も船に乗っていたんだな」
レナ「久しぶりね。ドンドルマの一件以来かしら?」
ルーキー「あんたも乗ってたんだな!これなら新大陸も安心して冒険できるぜ!」
???「よせやい。後であいつらにも伝えておくよ。ところで…この人達は?」
……はっ!?いけない、ポカーンとしている場合じゃないわ‼いやどうしていつもよく見る指揮官の服じゃなくてこんな鎧を着ているのよ!?
「あ、あんたが私達の指揮官?」
???「指揮官…?ああー、そうだった!二人には言ってなかったな。俺、新大陸でできる『鎮守府』とかいう所で『指揮官』をやることになったんだよ」
男は思い出したかのようにルーキー達に気さくに話す。いやいやいや、なんで忘れてるのよ…
???「いやー悪い悪い。船に乗る前に火の国で依頼があってな、その依頼をこなして急いで来たもんでどたばたしてたんだ」
ルーキー「だからあの日、出航時間が大幅に遅れてたってわけか」
男は苦笑して頭を掻くと私に手を差し伸べてきた。
ソルト「改めて…俺が君達の指揮官に任命された、ソルトだ。指揮官としては新米だけどよろしくな!」
「ようやくね…私が鉄血の重巡、プリンツ・オイゲンよ。よろしく頼むわね、指揮官?」
やれやれ、やっと指揮官に出会えた。全身銀ピカの鎧で圧倒したけど…これでまともにry
ドンッ‼
突然、船が大きく揺れ始めた。船は揺れながら激しく傾きテーブルに置かれた酒や料理は落ち、まわりの連中はよろめきながらもざわめきだした。
ルーキー「な、なんだ!?暗礁に乗り上げたのか!?」
指揮官「到着には早すぎる。それにこの揺れはおかしい……外へ出る!」
指揮官は揺れをものともしないのか駆け足で階段を上ってデッキへと向かう。
「い、一体何が起きたのよ!?」
せっかく指揮官に出会えたのにまたどこかに行かれてはぐれたらこっちが困る。面倒なことにならないようにするため、私も指揮官の後を追いかけた。
名前:ソルト
出身:ドンドルマ
装備
頭:S・ソルXRヘルム
胴:S・ソルXRメイル
腕:S・ソルXRアーム
腰:S・ソルXRフォールド
脚:S・ソルXRクリーヴ
武器:太刀・チャージアックス
銀レウスの装備はXRがスタイリッシュで好きですね。