アズールレーンクロスワールド   作:サバ缶みそ味

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 受付嬢を選ぶ権利があってもいいんじゃないかな…?

 と思っていた時期がありました( ´ω`)


3、邂逅 【???】

_Sideプリンツ・オイゲン

 

オイゲン「ちょっと待ちなさいよ!?」

 

 ソルト…私達の指揮官は急ぎ足で甲板へと向かった。何度も揺れる船体に足を取られそうになりながらもやっとのことへと外へ出た。

 

 私や指揮官と同じように突然起きた異常事態に他の連中も甲板と出ていた。

 

 一体何が起きたのか、もしやセイレーンが襲撃してきたのだろうか。明石に急ぎ艤装の準備をと目で指示を出しつつ海の方へと視線を向ける。

 

 しかし辺りにはセイレーンの姿も気配すらない。だとすれば何が……

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴッ‼

 

 

 再び船体に揺れが生じる。しかも今度は先ほどよりも激しく、船が傾き…いや。船全体でない、()()()()()()()()()()()()

 

 すると海から何かが出てきた。黒く巨大な……岩?しかも赤いドロドロとしたものが流れている。遠くからでも熱気を感じる。もしや、あれは溶岩?

 

 それを皮切りに同じように溶岩が流れている巨大な岩の数々が水飛沫を上げて現れていく。下を覗いてみれば船は溶岩が冷えて固まった黒い巨大な岩の大地に乗り上げてしまっていた。

 

 

オイゲン「な、何が起きてるのよ…‼」

 

 

 これまでいくつもの海を渡り、数々の戦いを経験してきたが、目の前で溶岩が流れている岩が現れ船が乗り上げたなんて意味の分からない事態は初めてだ。何が起きているのか、自分でも収拾がつかずただ戸惑い混乱するしかできなかった。

 

 

指揮官「これは…もしや…っ!」

 

 だが指揮官は何かを察知したのか船の先端へとさらに向かう。

 

 その時、船がドンッと揺れたかと思えば今度は縦へと傾きだした。

 

 

オイゲン「くっ…!?」

 

 

 私は落とされないようにと急ぎ縁を掴んで耐えた。甲板に置かれていた樽や木箱はずり落ちていき、どろどろとした溶岩が流れている黒い大地へと落ちていく。掴むのが遅れていたら間違いなく溶岩へ落ちていただろう…

 

 

 そうだ、指揮官はっ!?

 

 

 急ぎ指揮官がいた場所へと視線を向けようとした。しかしそれを邪魔するかのように船が大きな音を立てながらずり落ち始めた。

 

オイゲン「しまっ!?」

 

 その衝撃で縁を掴んでいた手が離れ私もずり落ちてしまった。落とされてたまるかと必死に何かに掴もうと手を動かすが、叶うことなく落ちゆく重力を感じながら船と共に落ちていく。

 

 

 ドンッ‼

 

 

船は黒い大地へと落ち、その時の衝撃で私は船の外へと投げ出された。

 

 

オイゲン「そんな…っ!?」

 

 

 投げ出された私は空中で必死に手を伸ばそうとするが船からどんどんと遠ざかっていき………溶岩流れる大地へと落ちていった。

 

 

____

 

 

 

in???

 

Sideプリンツ・オイゲン

 

 

オイゲン「んん…」

 

 

 暗転した視界がゆっくりと開いていく。どうやら落ちた衝撃で気を失っていた…だが不思議で痛みを感じない。

 

 ぼやけた視界が次第に鮮明になっていく。溶岩が冷え固まった黒い大地、溶岩が流れ続けている巨大な岩の壁。そしてその先には乗り上げてしまった船。

 

 よかった、ほんのわずかだけ気を失っていたのね。急げばまだ間に合う。

 

???「あ、あのー…そろそろどいてほしいなぁ…」

 

 え?声が下から…?恐る恐る私は真下へと視線を向ける。

 

指揮官「よかった。ケガはないみたいだね」

 

 

 そこには陽気に笑う指揮官が。

 

オイゲン「ちょ、なにしてんの!?」強パンチ

指揮官「ゴベスッ!?」

 

 どういうわけなのか私の下敷きになっていた指揮官を思い切り殴って急ぎそこを退く。指揮官は頬をさすりながらゆっくりと起き上がる。

 

指揮官「悪い悪い。ともに投げ出され、君がケガしないように急いで身を挺したのだが…」

オイゲン「で?私が起きるまでずっと下敷きになってたわけなの?」

 

指揮官「ぜんぜん重くなかったぜ!」( ・´ー・`)bドヤァ…

オイゲン「ねえ、もう一度殴っていい?」

 

 もう一度殴ろうとしたその時、大地が揺れ動いた。その揺れでゆっくりだが船がずれていくのが見えた。

 

 こんなことしてる場合ではない。船に戻らないと…!殴るのは後にして船に向かおうとした。

 

 

ゴゴゴゴゴッ‼

 

 突然今度は大きな揺れが。この揺れでゆっくりとずれ落ちていた船が大きく動き、私めがけて落ちてきた。

 

指揮官「危ないっ‼」

 

 指揮官が私の腕を掴み強く引っ張り、私を抱きとめるといそぎその場から離れた。その数秒後に私のいた場所に船が落ち、大きくずれ落ちながら海へと落ちていった。

 

 

オイゲン「なんてこと…」

 

 もう絶句するしかない。船は海へと落ち、私達はこの溶岩が流れる黒く巨大な岩山に取り残されてしまった。こんなことになるなんて…

 

指揮官「まずい…ここから早く脱出しないとな」

 

 指揮官は狼狽えるどころか冷静に辺りを見回していた。いや、どうしてこんな状況でも落ち着けるのよ‼

 

指揮官「オイゲン。スリンガー、クラッチクローは…つけてないよな」

 

 指揮官は私の腕を見つめる。スリンガー?クラッチクロー?一体何の話……と訝しく見返していたら再び私の腕を掴む。

 

指揮官「俺に考えがある!頂上へ急ぐぞ!」

 

 指揮官は私を引っ張って走り出した。考えって何よ…!?そういう場合ってろくな考えじゃないってヒッパーが言ってた気がする…

 

 そんなことを考えていたら大地が揺れ、黒い岩石の数々が転がり落ちてきた。指揮官は私に当たらないように抱き寄せて身を挺して私を岩から守る。

 

オイゲン「指揮官っ!?」

指揮官「大丈夫、こんぐらいへっちゃらだ」

 

 体に当たっても余裕なのか、指揮官は自信満々に笑って私を引っ張って頂上へと走る。

 

 

ゴゴゴゴッ‼

 

 またしても揺れたかと思えば突然足元が傾き始めた。

 

指揮官「よっと!」

 

 足元が垂直になる寸前に指揮官は岩壁を掴みぶら下がり、再び私を引っ張って抱き寄せた。

 

 

指揮官「落ちたくなかったらしっかり捕まっとけよ!」

オイゲン「…っ!」

 

 ここで落ちてたまるか、私は必死に指揮官にしがみついた。すると指揮官は岩壁を掴みながら登り始めた。時折腕についているクロスボウのような形をした物から発射されるクローのようなものを伝りながら上へ上へと登る。

 

 それにしても…私を抱えつつ登っているのにへばる様子さえ見えない。一体どういう力をしてるのよ…

 

オイゲン「指揮官、重くないの?」

指揮官「余裕っ!めっちゃ楽々だぜ?」

オイゲン「……」

 

 うん、やっぱり後で殴ろう……

 

 そんなこと思っていたら頂上らしき場所が見えてきた。先ほどいた場所と違って岩から溶岩が激しく噴出し、ドロドロと赤く熱を帯びた溶岩が流れている。しかも一か所だけでなくあちこちで溶岩を噴出している。

 

 噴き出る溶岩から嫌という程感じる熱気に指揮官はものともしないのか登り続け、頂上へとたどり着いた。最初にいた場所からこんなにも離れて…いつの間にか物凄く高い場所へと移動していたのか…

 

 

???『ギャアッギャアッ‼』

 

 

 ふと上空から掠れた鳥のような鳴き声が聞こえてきた。見上げると…大きな鳥、いや翼膜を持った大きなトカゲのような生き物の群れが飛び交っていた。

 

オイゲン「なに…あれ…?」

指揮官「バルノス…翼竜だ。よし、思っていた通り」

 

 指揮官は考え通りだったのか満足して頷く。よ、翼竜!?あ、あんな生き物見たことないわよ!?

 

指揮官「よし、この先だ。急ぐぞ!」

 

 指揮官が目指す場所はまだ先らしい。私に考える時間を与えず指揮官は私の腕を引く。

 

 

ゴゴゴゴゴッ‼

 

 

 再び大地が揺れ、足元が傾きだした。指揮官は急ぎ足で頂上へと目指す。

 

 何度も揺れて変わる地形…こんな短時間で変形するなんておかしい。ここは単なる溶岩が噴き出る岩山じゃない。()()()()()()()なのではないかと私は薄々感じてきた。

 

「よし、着いた!」

 

 どうやら目的の場所へと辿りついたようだ。そこは先端に黒く尖った岩が見える下り坂の崖だ。いつのまにか夜が明けて朝日が昇り始めあたりが薄明かりで少しずつ見えてきている。

 大地が動いている……やっぱり…私の思っていた通り、これは火山でもない。指揮官はここからどう動くのだろうか。

 

オイゲン「それで、ここからどうするつもり?」

 

指揮官「ここから勢いよく下って飛び降りる」

 

オイゲン「そう……………は!?

 

 指揮官のとんでもない発言に思わず二度見していしまった。こ、ここから飛び降りる!?あんたバカァ!?

 

オイゲン「ば、バカな事を考えないで!?死ぬ気なの!?」

 

 ここまで登っていたのにここから飛び降りるなんてありえない!船に置いて行かれたからといって一緒に心中するのはごめん被るわ!

 

指揮官「なぁに心配すんな。飛び降りてあの翼竜につかまる」

 

 不安でたまらない私に指揮官は暢気に笑って真上に飛んでいるバルノス…翼竜を指さす。

 いや、ちょっと待って。あんな私達より小さい鳥につかまるって…二人分の重さに耐えらるわけがない。

 

オイゲン「ま、待って。無理よ無理!?他の手を考えry」

 

指揮官「()()()は考える暇を与えてはくれない。さあいくぞっ!」

オイゲン「きゃあっ!?」

 

 私が言うよりも早く指揮官は私を担いで勢いよく下り坂を下った。

 

 

 

指揮官「いやっほおおおおおおおおおっ‼」

オイゲン「いぃぃぃぃやぁぁぁぁぁあっ!?」

 

 

 

 尖った岩場から私達はスキーのジャンプ台から飛び降りるように弧を描いて飛び降り、重力に引かれるように落ちていった。

 

オイゲン「落ちてるっ!落ちてるぅぅっ!?」

指揮官「しっかりつかまれよ!それっ!」

 

 

 指揮官は右手につけてあるクロスボウのようなものから鉤爪のようなものを発射し、真上を飛んでいた翼竜の足の爪に引っ掛けた。

 

 

バルノス『ギャッ!?』

 

 突然の重みにバルノスは驚きガクリと高度が下がった。しかし落ちてたまるかと必死に翼をばたつかせる。その間にも宙づりになった私たちは何度も揺らされた。

 

指揮官「っと!」

オイゲン「……っ!?」

 

 ここで落ちたらお終いだと、私は必死になって指揮官にしがみつく。バルノスは崖の下を潜り抜け、高度を上げて持ち直し飛行を続けた。

 

指揮官「よしっ‼なんとか脱出できたな」

 

 指揮官がふぅっと一息ついて頷く。それを聞いて私はこれで本当に脱出できたのだろうかと、いろいろとツッコミを入れたいが無事に脱出できたことに安堵し、先ほど自分たちがいた場所へと視線を向けた。

 

「えっ!?――――なに…あれ…!?」

 

 視界の先に見えたものに私は絶句する。

 

 

 

 

 

 

???『グオオオオ……』

 

 

 

 

 そこには朝日に照らされ、背中に噴煙を吹かせながら進む黒く巨大な二足歩行のドラゴンのような生き物がゆっくりと大陸へと進んでいるのが見えた。

 

 まるで…重桜の駆逐艦の子達が映画で見ていた怪獣――――いや、これは遥かに巨大だ。

 

 

指揮官「やっぱりな…【熔山龍】ゾラ・マグダラオス。文献で見てはいたが…あれは文献以上の巨体だ」

オイゲン「な、なにその…ゾラなんとかって?」

 

指揮官「古龍の中でも規格外の巨体を誇る龍。あいつは外殻内部に熱エネルギーを蓄えマグマを噴出しながら移動をする……いわば生ける火山ってやつさ」

 

 そんな巨大の怪物の背中に私達はいた………そんなことを考えていたら体がゾッと震えた。あんな怪物がいるなんて聞いたことがないわ……

 

指揮官「あいつも『古龍渡り』をしたとなると大事になるな……ま、それはさておき。新大陸が見えてきたぞ」

 

 指揮官が何か呟いていたが新大陸が見えてきたと聞き、大陸を進むゾラ・マグダラオスから目を離して指揮官が指さすほうへと顔を向ける。

 

オイゲン「……!」

 

 朝日に照らされてはっきりと見えた。緑が生い茂る大きな樹海。開けた大地には四足歩行の恐竜のような生き物の群れ。そしてなによりも目立つのは天にも昇るかのような巨大な大木が聳え立っている。

 

 見たこともない景色に私は思わず息をのんだ。

 

指揮官「ようこそ、新大陸へ!」

 

 

 ここが新大陸…!誰も手を付けていない大自然が広がるこの大陸に私達は辿り着いた。想像以上の光景に指揮官は心躍らせているようだ。

 

 でも……こんなところで鎮守府なんてできるものかしら?私は再び過る不安に駆られる。

 

 

バルノス『ギャアッ‼ギャアッ‼』

 

 突然、バルノスが激しく鳴きだした。なにかあったのだろうか…

 

指揮官「あ、これはまずいな…」

 

オイゲン「まずいって…どういうこと?」

 

指揮官「足下にいる俺達に気付いた。たぶん怒って振り落とすなこれ」

 

 え?……するとバルノスが大きく揺らしながら飛び、森の中へと突っ込んだ。

 

 

 バキバキバキッ

 

オイゲン「きゃああっ!?」

 

 突っ込んだ勢いで振り落とされ、私達は森の中へと振り落とされた。葉や枝にぶつかりながら大地へと落ち…

 

 

指揮官「ぎゅえっ!?」

 

 落ちたか思えばまたしても指揮官が真下にいて、そこへと指揮官に馬乗りするように着地した。

 

 

オイゲン「あんた…狙ってやってる?」

指揮官「……だ、大丈夫か?俺はオイゲンが全然重くなかったからへっちゃらだ」

 

オイゲン「(#^ω^)」

 

 私は思いっきり指揮官に拳骨をいれた。





 受付嬢はMH4のソフィさんが好きですね

 ふとも…ゲフンゲフン、可愛らしいキャラに性格がなによりも、はい

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