アズールレーンクロスワールド   作:サバ缶みそ味

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 3周年記念、ついにサン・ルイのドレス登場!
 色っぽいボルチモアのドレス登場!
 信濃のえっちぃドレス登場!
 綾波のドレス登場‼

 水着にドレス……財布がとぶううううううっ‼


30.ツィツィヤックを探せ!【眩鳥:ツィツィヤック】

in研究基地

 

sideソルト

 

指揮官「あ、あのー……そろそろ宜しいでしょうか?」

 

準備は万全、夜明けと共にいざ出発!という予定だったのだけど……

 

3期団の団長「待って、どうしてもこの子の耳が気になってしょうがないのヨ。どういうメカニズムなの?」

 

3期団の団長は綾波の耳をまじまじと見つめながらフニフニと触っていく。

 

 

綾波「く、くすぐったいです……」

3期団の団長「とても興味深いわネ。どうしてこう変化したのかしら?」

 

オイゲン「指揮官、このままじゃ日が暮れてしまうわよ?」

 

指揮官「わ、わかってる。あ、あの、俺達行かなきゃいけないんですよー?そ、それに綾波の他にも色々なKAN-SENの子がいますから!狐の尻尾とか沢山ついてる子もいますから!」

 

3期団の団長「それホント?」

 

3期団の団長は目を輝かして此方に向く。なんとか綾波を解放できたが……すまん、加賀。もし此方に来てしまったら本当に申し訳ない!

 

3期団の団長「ますます研究意欲が湧いてきたわ。さて……陸珊瑚の台地は危険なモンスターもいるから気をつけて進むのヨ」

 

ディアス「そんな時は俺達に任せて!追い払ってやるさ!」

 

3期団の団長「それからアステラのみんなにはよろしく言っといてネ」

 

指揮官「お任せください。総司令達に伝えておきますね」

 

 総司令達もきっと喜ぶだろうな。まとめた資料は学者先生達に報告、さらなる研究に没頭するだろう。

 

3期団の団長「それから、あなた達にはこれを…」

 

 

 すると他の学者さんがボルチモア達にスリンガーを渡した。

 

ホーネット「これってスリンガーだよね…?」

ボルチモア「も、もらっちゃっていいの?」

 

3期団の団長「もともとはここにいたハンターが使用していたものヨ。でも今は彼はいないから私達学者には無用の長物なの。メンテナンスは済んであるから遠慮なく使ってちょうだい」

 

綾波「ありがとうございます、です」

ボルチモア「やった!一度使ってみたいって思ってたんだ!」

 

 かつて研究基地にいたハンター…いったいどんな人だったんだろうなぁ。研究資料だけでなく環境生物やこの陸珊瑚の台地に生息するモンスターの資料も沢山まとめてあった。きっと冒険好きな人なのかも

 

 

指揮官「よーし出発だ!」

 

 いざアステラへ向かうため、研究基地を出て陸珊瑚の台地の中へ

 

____

 

Sideオイゲン

 

ホーネット「うわー…いつ見ても不思議な光景だよねぇ」

 

 研究基地から外へ出て数歩歩けばもうあたりは大きな珊瑚が森のように大量に群生している不思議な景色が見える。まるでサンゴ礁の海の底を歩いているだ。こんなおとぎ話のような風景、ほかの子が見ても驚くでしょうね。

 

綾波「フジツボも大きいのです」

ボルチモア「く、クラゲって空中に浮くものだったっけ?」

 

 珊瑚のみならず大きなフジツボだの空中に浮かぶクラゲだの、私たちの理解が追い付かない。

 

ディアス「ソルト、痕跡見つかった?」

指揮官「おうあったあった。資料の通り、縄張りを巡回しているみたいだな」

 

 私たちが景色や環境生物に圧倒している間に指揮官達は何やら痕跡を探していたようだ。導蟲が地面についたモンスターの足跡を照らす。

 

オイゲン「この足跡は?」

指揮官「【眩鳥:ツィツィヤック】。中型の鳥竜種で、今このモンスターを探しているんだ」

 

 なんとも呼びにくいモンスターの名前ね。でもどうして指揮官はこのモンスターを探しているのだろうか?指揮官は地図を広げる。書かれているのはこの陸珊瑚の台地の絵だ。マップみたいなものだろう。

 

指揮官「ツィツィヤックはあちこちに縄張りをつけ、その縄張り内を巡回するように移動をする」

オイゲン「この痕跡を辿ればいずれは遭遇するのね」

 

ディアス「それだけじゃなく、こいつは他の大型モンスターとはよっぽどのことがない限り縄張り争いはしないし、他のモンスターに遭遇しないよう避けて縄張りをつける」

オイゲン「つまり?」

 

指揮官「ツィツィヤックの巡回ルートを利用すれば大型モンスターと遭遇せずに戻ることができるかも、ってことさ」

 

 なるほど、確かにこの現状で危険な大型モンスターに出くわしたら危ないわね。崖のある場所とかで遭遇して誰かが落ちたら指揮官は顧みず飛び降りちゃうもの。

 

ディアス「でもツィツィヤックも一回の威嚇で追い払えなかったら襲い掛かってくるみたいだからねぇ」

オイゲン「ちょ、それって危ないじゃないの」

 

 じゃあ出くわしたら危険ってことじゃない!見つからないよう慎重に行かなければならないし、みな緊張して疲れちゃうわよ。

 

指揮官「そこで、だ。こいつを使ってうまく手懐ける算段だ」

 

 指揮官はポーチから骨と小さな黒い袋のようなものを組み合わせた笛を取り出した。

 

指揮官「中型小型の鳥竜種は鳴き声でコミュニケーションをとるんだ」

ディアス「そんで鳴き袋とツィツィヤックの喉の骨で作った笛を使ってコミュニケーションをとり手懐ける、っていう作戦」

 

オイゲン「こ、こんな笛でできるの?」

 

 こんな簡素なつくりをした笛でコミュニケーションがとれるのか、にわかに信じ難いわ。

 

ディアス「実際に効果はあるよ。ドスランポスとかドスバギィとか、この笛を使ってコミュニケーションをとることに成功し戦闘を避けたり、狩りに利用したりできたってさ」

 

指揮官「でもなぁ…新大陸の中型鳥竜種ではどうかって話なんだ。クルルヤックと同じく単独で行動するみたいだからうまくいくか不安なんだ」

 

 ほ、本当に大丈夫なのそれ?でも指揮官はやる気満々だから暖かく見守るしかないわね…

 

指揮官「よし、いってみよー!」

ディアス「やってみよー!」

 

オイゲン(大丈夫かしら……)

____

 

Side綾波

 

 珊瑚の森を進み少し開けた場所に出たです。ここには小川がさらさらと流れており奥へとながれていっているです。

 

指揮官「ふむ、この小川に先に流れた水が溜まってできた湖があるってことか…」

ディアス「行ってみたいけど今は帰ることが優先だからね、また今度」

 

綾波「…指揮官、なにか向こうの地面に生えているです」

 

 向こうの地面に細長い魚のような生き物がにょきっと出てきてキョロキョロしてるです。しかも一匹だけでなく沢山いるです。

 

指揮官「あれは…環境生物【ユラユラ】だね」

綾波「なんだかかわいいのです」

ディアス「そうだ…よーし…」

 

 ディアスさんは何か閃いたのかしゃがんでゆっくりとユラユラ達に気づかれないよう近づいていったです。一定の距離に近づくとディアスさんのスリンガーから網が放たれたです。他のユラユラは驚いて地面にもぐってしまったですがディアスさんは網を手繰り寄せリュックから小さな壺を取り出しゴソゴソしだしたです。

 

ディアス「じゃーん!」

ユラユラ「((・ω・))」

 

 なんとディアスさん、ユラユラを捕まえたのです。お見事なのです。

 

オイゲン「捕まえちゃっていいの?」

ディアス「研究と観察するためだからね、学者さんがちゃんと見てくれるし管理するよ」

綾波「ふふ、かわいいです」ツンツン

ホーネット「見てると癒さるねー」ツンツン

 

ユラユラ「(´ω`)」

 

 

 

ボルチモア「指揮官、何探してるんだ?」

 

 一方の指揮官は少し離れた場所でキョロキョロとあたりを見回しているです。何か探している様子ですが…

 

指揮官「ツィツィヤックの足跡があってなー、それが新しい足跡だったからもしかしたらこのあたりにいるんじゃと思って……」

ボルチモア「じゃあ私も一緒に探そう!で、どんな姿をしているんだ?」

 

指揮官「えーと…深い青色で、爪が鋭くて、足が発達してて、二つの触角がついてて……そう簡単に見つかるモンスターじゃないからなぁ」

 

ボルチモア「なんか指揮官がいってる通りの姿をしたのがこっちにきてるぞ?」

 

指揮官「まじでか!?ちょ、ちょっと待って!まだ笛の旋律とかマスターしてないって!」アタフタ

 

ディアス「うん、間違いなくツィツィヤックだね。みんな、指揮官に任せて隠れよう!」

 

 

 ディアスさんの指示で私たちは珊瑚の陰に隠れて様子を窺うです。しばらくするとやや紫のかかった紺色の体色をした鋭い爪のある脚、頭部に一対の触角をもったやや大きめなモンスターがやってきたです。

 

ツィツィヤック「ギュルオォォォ…」

 

 

オイゲン「あれがツィツィヤックね…」

ホーネット「小さな牙がずらり……噛まれたらいたそー」

ボルチモア「中型といった割にはかなり大きいな…」

綾波「爪も鋭いです…」

ユラユラ「(;´・ω・)」

 

 

 ツィツィヤックはゆっくりと指揮官のいる方へ近づいていくです。すると指揮官はツィツィヤックの正面には立たずやや斜めへと横へゆっくりと進みだしたです。

 

ディアス「ツィツィヤックは正面に敵がいたら威嚇をし、それでも追い払えなかったら襲う習性があるんだ。コミュニケーションを試みるためには正面にたったらうまくできなからね」

 

ボルチモア「なるほど…」

オイゲン「うまくできるのかしら…」

 

 指揮官はおそるおそるとツィツィヤックに近づくです。ツィツィヤックは指揮官を気にもせずあたりをキョロキョロしてるです。

 

指揮官「よーし…この距離なら問題ないかもな」

 

 指揮官はポーチから笛を取り出したです。

 

 

 

 \ギュオォォォオオオォォ……/

 

 

 強弱の高低差が大きく、小さく振動した低い音が響いたです。う、うーん…何とも言えない音色なのです。

 

ツィツィヤック「‼」

 

 指揮官の笛の音にツィツィヤックはビクッと反応し、指揮官の方へ顔を向けたです。驚いているのか時折首をかしげじーっと見つめているです。

 

 

指揮官(よし、手応えはありそうだ!)

 

 

 \ギュオォォォオオオォォォ…!/

 

 

 指揮官は今度は少し強めに吹き、様子を窺いながらゆっくりと近づいて行ったです。

 

 

ツィツィヤック「グルルル…!」

 

 

 するとツィツィヤックは低く唸り身をかがめて指揮官を睨みだしたです。

 

 

指揮官「あれ?これちょっとやばい気がry」

 

ツィツィヤック「ギュオォッ‼」

 

 

 ツィツィヤックは勢いよく飛び掛かり、後ろ脚で指揮官を蹴り飛ばしたです。

 

指揮官「ひでぶっ!?」

 

オイゲン「指揮官が蹴られた!?」

ホーネット「だ、大丈夫なの!?」

 

 

ツィツィヤック「ギュルオオオオ…!」

 

 

 ツィツィヤックは指揮官を睨んで吠えるとどこかへ走り去っていったです。いなくなったのを確認するとオイゲンが大慌てで指揮官のもとへ駆け寄るです。

 

オイゲン「し、指揮官!大丈夫!?」

 

指揮官「あててて…思いっきり蹴られた」

 

ボルチモア「見た感じかなり怒っていたように見えたな」

 

ディアス「さっきの笛の鳴らし方…もしかしてドスバギィをまねた?」

 

指揮官「ああ、あいつが仲間を呼ぶ声をまねてみたんだ」

 

ディアス「それがいけないよ。ツィツィヤックの鳴き方じゃないから驚いたんだろうね」

指揮官「ふーむ、次はツィツィヤックの鳴き声と同じ感じになるよう吹いてみるか」

 

 

 鳴き方にも色々な種類と音色があるみたいです。意外とかなり奥が深いのです。

 

指揮官「よし、次行ってみよ〜!」

 

_____

 

sideボルチモア

 

この後も指揮官は他の個体のツィツィヤックを見つけチャレンジし続けた。

 

指揮官「まずは……」

 

\ギュゴオォォォォオオォォォォ/

 

 

ホーネット「長めに吹いたわね」

ディアス「これはドスフロギィの仲間に呼ぶ声にツィツィヤックらしさを入れた感じだね」

 

オイゲン「まるで不協和音みたいね」

綾波「喉が掠れたような感じです」

ボルチモア「果たして効果はあるのか?」

 

 

さてツィツィヤックの反応は……あ、ギロリと睨んで指揮官に近づいていった。

 

ツィツィヤック『ギュオォッ!』

 

甲高い鳴き声と同時に長い尻尾で指揮官を薙ぎ払った。

 

指揮官「あべしっ⁉︎」

 

指揮官は吹っ飛ばされツィツィヤックは見下すように睨んでどこかへ去っていった。

 

オイゲン「かなり機嫌悪そうだったわよ」

ディアス「たぶん不快だったみたいだ」

綾波「少し嫌な音だったのです」

 

 

指揮官「つ、次だ!」

 

 

しばらく進んでまた別のツィツィヤックを見つけた指揮官。今度はかなり近づいてチャレンジするみたいだ。

 

指揮官「よーし……」

 

 

\ギュルエッ!ギュルォッ!/

 

ボルチモア「小刻みに吹いた?」

ホーネット「ディアスさん、これは?」

 

ディアス「これはドスランポスがランポスに話しかける時の声をツィツィヤック風にアレンジした感じだね」

綾波「今度はどうなるのです?」

 

 

果たして効果はあったのか。横で指揮官が近づきながら小刻みに笛を吹いているが、ツィツィヤックは全く反応しない。

 

ツィツィヤック「……」

 

オイゲン「ガン無視ね」

ボルチモア「むしろ『お前は何を言っているんだ』って顔をしているように見えるな」

 

指揮官は吹きながら身体を動かし必死にアピールしているのだが、ツィツィヤックは見向きもせず遂には立ち上がってどこかへ去ってしまった。

 

指揮官「無視かーい!」

 

ディアス「なってないなぁ。ツィツィヤックの気持ちになって吹かないと」

 

オイゲン「いやツィツィヤックの気持ちって何よ」

 

 

 この後も幾度かチャレンジをしたのだが、ツィツィヤックに噛まれたり、蹴られたり、また無視されたりと指揮官のチャレンジは失敗の連続だった。

 

_____

 

sideホーネット

 

 日が暮れ始めた頃、道中人が通れそうな抜け穴を見つけ、通ってみると岩に囲まれた広い空間を発見。指揮官達は調査団の活動拠点にに相応しいと判断しキャンプを建てた。

 

指揮官「ここをキャンプ地とする!」

ディアス「テントを建てるぞー!」

 

 指揮官達、元気いっぱいで楽しそう。私は結構歩いたからくたくただよ……

 

 ディアスさんは大きな鞄から組み立て式のボックス、寝具、調理器具を設置した。なるほど、だから大荷物だったのね。

 

 長期保存可能な食糧をボックスに詰めを終わると、意気揚々に今晩の料理を作り始めた。うーん、いい匂い!

 

 指揮官は焚き火を起こすと、こう手で回して肉を焼く装置を置いて肉を焼き始めた。その道具と骨つき肉、一体何処から取り出したのかツッコミをいれた方がいいのかな……?指揮官達は時折不思議な事をするよね……

 

指揮官「ほいっ!上手に焼けましたー!」

 

出来上がったのは上手に焼きあがったこんがりと芳ばしい香りがするお肉。とても美味しそうだ。

 

ディアス「出来上がったよー!ディアス特製元気モリモリカレーだ!」

 

 やった!やっぱりディアスさんの作るカレーが一番!

 

 日はとうに沈み空には満面の星空が広がっていた。キャンプを立て、きれいな星空の中を漂うクラゲの群れを眺めながらのカレー、とっても贅沢ね!

 

綾波「ディアスさんのカレーとっても美味しいのです」

ボルチモア「スパイスがきいて食が進むよ!」

 

ディアス「へへー、照れちゃうなぁ!おかわりもあるからたーんと食べてね!」

 

 明日も朝早く出立するだろうし結構な距離を歩くのだからたくさん食べてしっかり休んで体力を回復させておかないと。

 

 

指揮官「うーむ…設計は問題ないと思うのだけどなー…」

 

 夕食を済ますと指揮官は笛のメンテナンスをしながら首をかしげていた。今日一日チャレンジしていたけど成功しなかった。

 

オイゲン「聞かせる相手に問題あるのじゃないの?」

 

指揮官「む…それもそうかもな。新大陸の鳥竜種は警戒心が強い。今日出くわしたツィツィヤックはみな成熟した個体、自然の中で生きるためのノウハウは熟知しているのだろう」

 

オイゲン「それじゃあ今度は若い個体を探すの?」

 

指揮官「独り立ちしたばかりでまだ好奇心旺盛な個体なら可能かもしれん。でもなぁ、そう簡単に見つかるかなー…」

 

 指揮官はため息をこぼす。それもそうね、この広い陸珊瑚の台地で特定の個体を見つけるのは難しいよ。

 

指揮官「ま、なるようになるだろう。ささ、明日も早いから寝よう」

 

オイゲン「指揮官も無理しないで。おやすみ」

 

指揮官「ああ、おやすみ」

 

オイゲン「……」

指揮官「……」

オイゲン「……」

指揮官「……?」

 

オイゲン「キャンプで寝ないの!?」

 

指揮官「野宿は慣れてるぜ!」( ・´ー・`)b

ディアス「歴戦の野宿ハンターだからね!」( ・´ー・`)b

 

オイゲン「……もうツッコみきれない」

ホーネット「か、風邪ひかないようにね…?」

 

 だ、だから指揮官は時折執務室の床で寝てたりしてるんだ……指揮官たちって時折おかしいって思うときあるよね。

 

 私たちはテントに入って眠ることにした。ふかふかのお布団はとても寝心地がよく、あまりにもふかふかで寝転がったと同時に私たちはすぐに眠りに落ちてしまった……

 

____

 

Sideオイゲン

 

オイゲン「んんっ……」

 

 テントの隙間から朝の陽ざしが差し、私は眠りから覚めた。大きく背伸びをし髪を整える。指揮官たちが使うベッドとかふかふかで気持ち良すぎですぐに眠ってしまったわ。カッシンやロングアイランド達が指揮官のベッドを占領する気持ちがよくわかった。

 

 そうだ、指揮官たちはちゃんと練れたのかしら?私は綾波たちが起きないよう静かにテントから出る。だがそこには指揮官たちの姿がない。

 

オイゲン「え、えっ?し、指揮官?」

 

 私は慌ててあたりを見回す。指揮官とディアスはいったいどこへ行ってしまったのだろうか。焦りながら探すもわずか10秒で指揮官たちを見つけた。

 

 指揮官とディアスは入り口の穴で匍匐前進の姿勢のままそこでじっとしていた。おい、私の焦りを返せ。

 

オイゲン「ちょっと指揮官、そこで何してんのよ」

 

指揮官「お!オイゲンか、おはよう!」

ディアス「おっはー!いい朝だね!」

 

 足で返事のしぐさをされても困る。

 

オイゲン「で、なんでそこにいるの」

指揮官「まあまあ、来てみればわかるよ」

 

 どういう意味よ。少し気になるし、言うとおりにするか。屈んで入り口に進み指揮官とディアスの間に割り込む。

 

オイゲン「それで?何があるの?」

指揮官「向こうを見てごらん」

 

 指揮官の指さすほうへ視線を向ける。珊瑚の間で何かが複数動いてるのが見えた。あれは……2頭のツィツィヤックだ。複数で行動をしているのかと思っていたら様子がおかしい。

 

 1頭のツィツィヤックがギロリと睨みもう1頭のツィツィヤックに向かって吠えている。

 

 

ツィツィヤックA『ギュオッ‼ギュルオオオオッ‼』

 

ツィツィヤックB『キュクゥゥゥ……』

 

 強く吠えている方は触角の膜を広げ、眩しい光を発光させながら近づいていく。触角があんなに広げれることだけでなく光を出すなんて初めて知った。

 

指揮官「目を瞑ってろ。触角の膜は『発光膜』っていう器官があって強烈な閃光を出すんだ」

ディアス「ちょうどツィツィヤック同士の縄張り争いをしてるから閃光をしてくるかもね」

 

 

ツィツィヤックA『ギュルオッ‼』

 

 

バシュウゥゥゥッ‼

 

 

 指揮官たちが警戒した通り、大きく膜を広げたと同時に強烈な閃光が起きた。あまりもの眩しさに慌てて目を瞑る。こんなの間近で当たったら眩ませてしまうわ。

 

 

ツィツィヤックB『キュオッ!?』

 

 弱く吠えていた方は悲鳴を上げて怯んだ。強烈な閃光を間近でくらってしまったようで眩暈をしながらよろよろと体がよろめかす。強く吠えた方は追い打ちをかけるように尻尾を強く降って相手の体に打ち付けた。

 

 弱く吠えた方はなすすべなくよろめき倒れる。それで終わりでなく強く吠えた方は蹴ったり、噛みついたり、尻尾でたたきつけたり一方的に痛めつけだした。弱く吠えた方の悲鳴が止まることなく響く。

 

オイゲン「ちょ、ちょっと!あれはやりすぎじゃないの!?」

指揮官「どうやら相手は若い個体のようだ。強い個体はここの縄張りに近づけさせないよう痛めつけているのだろうな…」

 

 そうだとしてもやりすぎではないだろうか。自然界では当然のことなのかもしれない……感情的になってはいけないけれど、どうにかできないか。私は指揮官をじっと見つめる。

 

指揮官「……よし、行ってくる」

 

 指揮官は頷いて私をやさしく撫でると入り口の穴から這い出て2頭のツィツィヤックに近づいて行った。

 

 

指揮官「こらー!痛めつけるのは大概にしろーっ!」

 

 指揮官は駆け足で近づき笛を取り出した。

 

 

\くぁwせdr㍊ftgハヤル(*'ω'*)yふじこlp;@:「」?>OO>|‼/

 

 

 どうやって吹いたらそんな音色になるのか、ツッコミを入れたくなるような音を響かせながら強く吠えたツィツィヤックへと迫る。

 

ツィツィヤックA『(゚Д゚;)!?』

 

 変な音を響かせて笛を吹きながら近づく銀色の鎧の男がものすごい勢いで迫ったら誰だってギョッとする。強く吠えた方は大慌てで逃げ出していった。

 

指揮官「仲裁するつもりで吹いたのに…」(´・ω・`)

 

 そうは思えないのだけど……一方の弱く吠えて痛めつけられていたツィツィヤックは体を起こしじっと指揮官を見つめていた。

 

指揮官「おおそうだった…!」

 

 

\ギュオォォォ…ギュオォォォ…/

 

 昨日とは違ってよりツィツィヤックに似たような少し優しい音を響かせた。するとツィツィヤックは触角をピンッと伸ばし、尻尾を振りながら指揮官に近づきだした。

 

オイゲン「反応が違うみたいね」

ディアス「これは鳥竜種共通、親が子をあやす声をツィツィヤックっぽく吹いた感じだ。効果があったかも」

 

 ディアスが言った通り、ツィツィヤックは指揮官に襲い掛かることなく尻尾を振りながら指揮官をクンクンとにおいを嗅いでいる。指揮官を親と勘違いしているのかしら…?

 

 

ツィツィヤック『ギュイィィィ』

 

 喉を鳴らすような音を響かせながらツィツィヤックは鼻を指揮官の胸のあたりにすりすり押し付けた。

 

指揮官「おーよしよし、俺は君のトモダチだ」

 

 指揮官はツィツィヤックの頭を撫でる。ツィツィヤックは反抗することなく尻尾を振る。

 

指揮官「おーい!成功したぞー!」

 

ディアス「よし、これなら大丈夫だ。ゆっくり近づいていったらびっくりしないよ」

 

 ディアスさんの指示通りゆっくりとツィツィヤックに近づく。私を見てツィツィヤックはピンっと触角を伸ばすが首をかしげていた。

 

オイゲン「さ、触っても大丈夫?」

 

指揮官「噛みついたりしないから大丈夫だ。この子は群れの仲間だと思っている」

 

 恐る恐る手を近づけて優しく頭を撫でる。ざらざらとした感触ね。

 

ツィツィヤック『キュルルルル』

 

 するとツィツィヤックは尻尾を振りながら鼻を私の胸にすりすりと当てだした。

 

オイゲン「こ、こら。くすぐったいじゃないの」

指揮官「ははは、これはツィツィヤックが『仲良くしよう』っていう仕草だ」

 

 そ、それなら仕方ないわね……

 

 

 そのあとこの子は後からやってきたボルチモアとホーネットにも同じように鼻を胸にすりすりと当てた。

 

綾波「どうして私には顔にすりすりとしただけなのです?」

指揮官「うーん…自分より幼い子にむけた挨拶なのかな?」

 

 

ツィツィヤック『キュルルル』胸にスリスリ

ボルチモア「く、くすぐったいってば」

 

ホーネット「この子…すけべね」

ディアス「悪気はないんだよ…この子なりの甘え方なんだよ」

 

 

___

 

Sideソルト

 

 

指揮官「さてと、次はどっちだい?」ナデナデ

 

ツィツィヤック『ギュオッ‼』

 

 このツィツィヤックが巡回しているルートを辿っていく。うん、思っていた通り大型モンスターを避けて通ることができている。

 

オイゲン「安全な道だけど、結構意外と険しいわね…」

 

 オイゲンは息を上げながら苦笑う。まあ中型鳥竜種だからこの子にしか通れない道もあったりすし、脚力があるから崖や蔦を登ったりするときもあった。

 

ボルチモア「うん!なかなか楽しい道のりじゃないか!」

 

 ボルチモアは慣れてはじめたようで意気揚々と蔦を登っていく。

 

ホーネット「ちょ、ちょっと休憩しない?け、険しすぎるよー…」

ディアス「もうちょっとだから頑張って!」

 

綾波「乗せてもらったりしてもらうです?」

 

 途中、ツィツィヤックの背に綾波を乗せて進んだりもした。綾波はとても気に入って楽しそうで何より。ツィツィヤックはホーネットに近づき体を屈ませた。

 

ツィツィヤック『ギュルオツッ!』

 

ホーネット「の、乗せてくれるの?ありがとー!」

 

 ホーネットはツィツィヤックをやさしく撫でてこの子の背に跨る。ツィツィヤックは意気揚々と進んでひょいっと段差を飛び越えていく。

 

ホーネット「いやっふー!さいっこー!」

 

オイゲン「まーた調子こいちゃって…落ちないようにしなさいよ?」

 

ディアス「ソルト、もうそろそろじゃないか?」

 

 ディアスは地図を広げて今の場所を示す。コンパスと照らし合わせながら今の場所を考えると……もうそろそろ大峡谷から出た場所、俺達が初めて陸珊瑚の台地に出た場所に近づく。

 

ディアス「それに、今回は…」

指揮官「ああ、わかってるさ」

 

 そう答えるとディアスはぽんっと優しく肩をたたいて先に進む。

 

 

ホーネット「おーい!みんなこっちにきてー!」

 

 俺達はホーネットの声のする方へ進む。たどり着くと視線の先には連なる珊瑚の高台が見えた。そして俺達が最初に出た場所も見える。

 

綾波「やっと辿り着いたのです」

ボルチモア「なんとか戻ってこれたな。これでアステラに帰れる」

 

ディアス「よし、ホーネット。この子から降りて」

ホーネット「え?う、うん…」

 

 ホーネットはツィツィヤックから降り、ツィツィヤックははてなと首を傾げた。俺は優しく撫でる。

 

指揮官「……すまないな。お前とはここでお別れだ」

 

綾波「え!?お別れなのです!?」

ホーネット「連れ帰っちゃダメなの!?」

 

指揮官「気持ちはすごくわかる……でも、この子のためでもあるんだ」

ディアス「こことアステラとじゃかなり環境が変わるからね。環境の変化に慣れず倒れる恐れもあるし、パニックになるかもしれない」

 

 それに今の状況じゃ…慎重に空とあたりを見回す。3期団の団長から【風漂竜:レイギエナ】というモンスターがこの辺りを縄張りにしていると聞く。この子は目立つし襲われるかもしれない。追い払うことができたのなら……

 

指揮官「だからすまない。悪いとは思うがここは我慢してくれ」

 

 俺は綾波たちに頭を下げる。本当は連れ帰ってやりたい…でも今はできないのが悔しい。

 

オイゲン「指揮官の方が詳しいもの。指揮官達のいうとおりにするわ」

綾波「…無理に連れ帰ったら皆が驚くです」

 

指揮官「そうか、すまん。ありがとう……さてと」

 

 俺はもう一度ツィツィヤックの頭を撫でる。お別れすることを察しているのかこの子は少し寂しそうな眼をして見つめてきた。

 

指揮官「自然界にいた方がいい時もある。お前なら生き残るすべを熟知でき立派に生きていくことができるさ」

ツィツィヤック『キュゥゥゥ……』

 

指揮官「あとこれをつけておくといい」

 

 俺はポーチからアステラの紋章がデザインされたスカーフを首に、赤いリングを前足の指に巻かせる。

 

オイゲン「これは?」

指揮官「これは研究観察対象につけるタグみたいなものだ。これをつけておけば探索しているハンターに捕獲、討伐されずにすむ」

 

 過去に学者が研究観察していたモンスターをうっかり狩っちゃったというトラブルもあったらしい。これをつけておけば大丈夫だ。

 

指揮官「さあ森にお帰り」

 

ツィツィヤック『キュルオォォ…!』

 

 ツィツィヤックは吠えると頷いて踵を返し陸珊瑚の森の中へと帰っていった。

 

オイゲン「……また会えるかしら?」

指揮官「陸珊瑚の台地を探索してたらもしかしたらひょっこり再会するかもな」

 

 きっとまた会えるさ。俺たちは陸珊瑚の台地を後にした。

 

 

 

 

_____

 

 

 

Inアステラ

 

 

ホーネット「や、やっと帰れたー!」

 

 俺達がアステラに到着したのは夜だった。いやはやずいぶんと長い距離を進んだものんだ。オイゲンたちはもうくたくたである。

 

オイゲン「お風呂に入ってさっぱりしたいわ…」

綾波「疲れたです…」

ボルチモア「んんー…!いい運動だったな!」

 

 

調査班リーダー「よう!無事に戻ったな!」

ダンケルク「指揮官、みんな、お帰りなさい!」

 

 迎えに来たのは調査班リーダーとダンケルクだった。待っててくれてありがとう。

 

調査班リーダー「3期団のみんなは元気だったか?」

ディアス「はい!みんな元気でしたよ!3期団の団長さんなんか綾波に首ったけだったですよ」

綾波「耳をたくさんさわさわされたのです……」

 

指揮官「ところでライリーとシドは伝えた通り通信機をもっていって向かったのかな?」

 

ダンケルク「ええ、ライリーさんとシドさんは通信機をもって明石と一緒に向かったわ」

 

オイゲン「ほかの子も連れてったの?結構みんな行きたがってたもの」

 

ダンケルク「そうね、リノとシェフィールドと加賀が一緒に向かったわ」

 

指揮官&オイゲン「「あっ…」」

 

 オイゲンはじとーっとジト目で俺の方を見つめた。うん……加賀、いろいろとすまん。




サン・ルイのドレスが出た瞬間、即買いでした
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