この呪いの装備に祝福を!   作:はじ

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魔王軍準幹部

新しい朝が来た。と始まる、俺の子供の頃は夏の風物詩だった体操を宿の部屋の中でする。子供の頃から毎朝やってる体操だ。全身の筋肉を使うから身体に良いらしい。素足だから飛び跳ねてもあまり下に響くこともないだろう。

 

やはり軽い筋肉痛で身体がダルい。

 

習慣とは怖いもので時計がないから分からないが多分朝の6時くらいに起きたところ、朝食を宿が出してくれた。パンと目玉焼きとコーヒー。この世界でも普通の朝食メニューらしい。食べた時に連泊の話をし、とりあえず今晩分を払ったから財布の中身は空に近い。

 

深呼吸をして体操を終えたのでブーツを履くき、リュックから着替えなんかをベッドの上に出して空にする。日用品を買った時に入れるために持って行くつもりだ。

 

今日の予定はギルドで報酬を受け取り日用品の買い物と、地図で確認した時に見つけた図書館に行く事。何故ならこの世界の常識なんかも身につける必要がある。知らないとは怖いことだ。まずこの街の名前すら知らない。国はもちろんこちらの法も分からない。知らないうちに犯罪を犯していたなんて事になったら目も当てられない。

 

ハイペリオンも置いて行こう。買い物をするには邪魔になる。最悪アポカリプスを使えば良いだろう。初日の騒ぎで武道家のスキルもコンプリートしてるから必要になることはないだろうけど、聖騎士のスキル『手加減』もその時は使おう。でも最初に使うのは『威圧』だな。

 

 

「報酬を貰いに来た」

 

「あっ!昨日の件ですね。用意してあります」

 

昨日の絶叫美人さんは別の冒険者の相手をしているので違うカウンターで報酬を貰う。

 

「ジャイアントトードを3日以内に5匹討伐。クエストの完了を確認しました。ご苦労様でした。二十六匹のジャイアントトードの買い取りとクエスト報酬を合わせまして、23万エリスになります。ご確認下さいね」

 

空に近かった財布の厚みが復活した。これでいろいろ買えるな。

 

「そうだ・・・・・・すみませんがこの辺で筆記用具が売っている店はありますか?」

 

受付のお姉さんに聞いてみる。図書館に行く前に買っておく必要がある。昔から物覚えは良い方だがさすがに必要になるだろう。

 

「それでしたら、ギルドを出て少し行った所にありますよ」

 

「分かりました。ありがとう」

 

礼を言い、さて買いにいきますか。

 

「クエストにも行かずに良いご身分だなぁ、新入り?」

 

行けなかったよ。なんと言うか絡み方がモブだなぁ。こういうのを最初にやるやつってだいたい物語の序盤で殺されるんだよな。よく見ると昨日馬鹿にしていたやつだった。

 

「おいおい、ビビり過ぎて声もでねぇのかよ」

 

騒ぎを見ている冒険者で笑いを堪えているやつもいる。ちょっとイラっとするな。やられたらやり返そう。

 

『手加減』

 

『威圧』

 

『手加減』は文字通りのスキルだ。即死レベルの攻撃でも瀕死レベルに抑えてくれるらしい。そして『威圧』。

ただの殺気を飛ばすこのスキルはレベル差なんかは関係ないらしい。ただ使用者の人生経験における修羅場をくぐった数、特に死ぬような経験を元にするらしい。らしいが付くのは皆経験が無いからだ。アークプリーストには『復活魔法(リザレクション)』があるが、そんな思いをしてまでこのスキルの力を上げる必要もそんなにない。だが、死ぬような経験というより二回も死んだ俺には最適なスキルではないだろうか? どの程度になるか分からないから一応『手加減』を使ったんをだが・・・・・・

 

「うわ!汚な!」

 

絡んで来たモブは口から泡を吹いて漏らしてた。笑いを堪えてたやつも赤くなっていた顔が蒼白になってガタガタ震えている。

 

俺は『威圧』を解きガタガタ震えてるやつに近づくと声をかける。

 

「なぁ、俺は馬鹿にされんのが一番ムカつくんだ。だけど軽く睨んだだけでこんな様になるお前ら見たいな調子にのった雑魚はムカつくを通りこして憐れみさえ覚えるよ。そこで漏らしてるやつが起きたら伝えてくれないか?『雑魚は雑魚らしく部屋にでもこもってろ』ってな」

 

俺はカクカク首を縦に振るそいつの肩をポンポンと叩くと静まりかえったギルドから出ることができた。

 

 

あの後、教えてもらった店で手帳とずっと書き続けられるという魔道具の万年筆を買い図書館にたどり着いた。

 

こういう静かな雰囲気は好きだ。元々騒がしいのが苦手なのもあるが・・・・・・さて勉強開始だ。

 

この世界は俺がいた世界とは違う文化や文字、技術で構成されていること。一番の違いはやはり『モンスター』の存在。俺のいた世界の野生動物がそうなったのかと思っていたが『モンスター』は『モンスター』として存在しているみたいだ。そして冒険者。冒険者とはギルドに所属し、討伐や採取、捕獲等の様々なクエストをこなす便利屋みたいな存在だ。法に関しても元の世界より甘めなだけであまり変化はないみたいだ。これならこちらの世界での生活もそこまで苦にならないだろう。

 

当面の目標も見つかった。それは家の購入だ。いつまでも宿暮らしは資金的に苦しいし、なんと言っても『テレポート』という魔法。登録しておけばその場所まで一瞬で行ける便利魔法だ。遠くにクエストで出てもすぐに帰れる。魔力を大分使うみたいだが今の俺はノーリスクで使いたい放題なためゲームであった、自分の魔力を登録して射出、瞬間移動、攻撃なんて戦闘行動も出来るわけだ。今度試そう。このスキルに関する本は便利だな。今度本屋で探そう。いろいろスキルの組み合わせのアイディアが湧きそうだ。

 

 

昼飯も食べずに没頭していたらしい。知識を詰め込めるだけ詰め込んだ俺は日用品の買い物をするために図書館を後にした。

 

この世界にも銀行があるみたいなので登録をして少し預けた。これからの俺は『冒険者家を買う』だ。少しずつでも貯めていこう。元の世界でもストーカーのせいで実家暮らしで酒とタバコ以外ほとんどお金を使わなかった俺だ。こちらでも似た生活になるだろう。駆け出し冒険者が多いこの街だが治安も日本と変わらないくらい良いみたいだし、拠点にするなら問題ないだろう。

 

日用品の買い出しは順調というかあっさり終わった。クエストの時に財布や小物が入れられるウエストポーチも買いこれでリュックを持っての移動も避けられるだろう。それに水筒も買った。紙巻きタバコを見つけた時は年甲斐もなく狂喜したもんだ。銘柄がよく分からなかったが種類もそんなになかったのでスタンダードなものを3種類ほど購入し携帯灰皿も買った。やはりこの世界にはフィルターがないが、元々フィルターなしのタバコを吸っていたから問題ない。買った荷物を宿の部屋で整理する。ついでに更に10日ほど連泊の予約をしたら割引もしてくれた。

 

腹は減っているが先に大衆浴場に行く事にする。昨日は100エリスで購入した石鹸で頭から洗ったためゴワゴワしていた髪もこちらの世界でもあったシャンプーやコンディショナーを使いうとそれも取れた。今日着ていた服も洗い乾かしたので酒場に行く事にする。朝の件があるが、どちらにしろ明日またクエストを受けに行くため気まずいのは早めに解消しておくに限る。

 

「いらっしゃいませー!あぁ!貴方は!」

 

俺が店内に入ると騒がしかった店内も静まりかえってしまった。やはり朝の騒ぎのせいだろう。

 

居心地が悪いが、これも今後のためと空いていた四人がけのテーブルに座りメニューを手に取る。ジャイアントトードの唐揚げ?あれを唐揚げにするの?一番人気って書いてあるけど・・・・・・だから買い取りなのか?シャワシャワってなに?飲み物の所に書いてあるから飲み物なんだろう。ヤバい、メニューがあまり分からない。これが異世界の洗礼ってやつなのか?朝食が元の世界とあまり変わらなかったから油断してた。今度図書館で料理に関しても学んでおこう。料理人のスキルもとってあるから何かの役にたつだろう。

 

ん?クリムゾンビア?ビアってことはビール(麦酒)に近い飲み物か?とりあえずこれを頼んで見よう。

 

メニューを置いてウエイトレスさんを呼びこれと灰皿を頼む。ポーチからタバコを出して準備だ。

 

2日ぶりのタバコ。特にヘビースモーカーではないが楽しみだ。

 

「ごゆっくりしていってくだしゃい」

 

ビクビクしながら灰皿とクリムゾンビアを持って来たウエイトレスさんは最後に少し噛んで逃げるように行ってしまった。

 

メニューを説明してもらいたかったがしょうがない。一口クリムゾンビアを飲んでみる。うん、ビールだな。良かった。一安心したところでタバコに手をつける。

 

『ティンダー』

 

初級魔法で火を着けて一口目を吸う。これも元の世界でスタンダードだったタバコの味ににている。ハズレじゃなくて良かった。

 

メニューを眺めつつ一本目のタバコを灰にしたところで見知った顔が声をかけてきた。

 

「ずいぶん派手にやらかしたみたいだね」

 

銀髪の美少女。エリス様もといクリス様だ。

 

「何のことですかクリス様」

 

「クリスだよ。様はいらない」

 

クリス様はプクッと頬を膨らませる。かわいい。

 

「分かったよクリス。昨日は助かった。それで何のようだ」

 

「もう!おごりの約束をしたじゃないか」

 

「なら好きなものを注文してくれ。俺はメニューの料理の良し悪しが分からないから摘まみになるものも頼む。なるべく野菜のものが良い」

 

「へぇ、その体格だから肉ばっかりなのかと思ったけど違うんだね」

 

驚きを隠せないみたいな顔をするクリス。

 

「特に好き嫌いはない。ただ酒を飲む時は野菜系の摘まみを摂るようにしてるだけだ」

 

「そうなんだ。あっ!お姉さん!こっちによく冷えたクリムゾンビアと唐揚げと野菜スティックちょうだい!」

 

笑顔で注文を終えるとこちらに向き直り小声で話かけてきた。

 

「それで何したのさ。昨日の今日でこんなに噂になる冒険者ってなかなかいないよ」

 

俺はポーチから財布を出して冒険者カードを見せる。

 

「見ていいの?」

 

俺はカードを操作してスキルポイントの表示を見せた。

 

スキルポイント『くぁwせdrftgyふじこlp』

 

「何これ!」

 

エリス様でも分からないらしい。

 

「何でこんな・・・・・・」

 

ついでに昨夜確認したスキルも見せる。

 

『幸運の女神の加護』、『水の女神の呪い』、『魔力回復』。

 

「こんな事になるなんて・・・・・・」

 

素に戻ってますよエリス様。冒険者カードを財布にしまいポーチに戻す。

 

「これを妬んだモブに絡まれたからちょっとお仕置きしただけです」

 

「モブって、君。まぁ聞いた話じゃ手は出してないみたいだから良いけどあんまりやり過ぎると余計絡まれるから注意した方が良いよ。それにギルド内で揉め事は厳禁だから、最悪冒険者カードの剥奪もあるから気をつけるんだよ」

 

この年齢(とし)で説教されるとは思わなかった。エリス様は私とっても怒ってますと顔に書いてあるような膨れっ面だ。かわいい。

 

いや、これは浮気ではない。そもそも死んで別の世界に来た場合の婚姻状態ってどうなるんだろう。相変わらず左手に付けっぱなしの結婚指輪を撫でる。

 

「まったく君は・・・・・・そんな寂しそうな顔をするんならパーティーでも組めば良いじゃないか。まぁ今晩はアタシが付き合ってあげるから楽しく飲もうじゃないか!」

 

ちょうどクリスが頼んだクリムゾンビアや摘まみが届いた。

 

「まずは、乾杯だ」

 

そう言ってジョッキをかかげる。俺もジョッキを持ち軽く当て、

 

「乾杯」

 

タバコを吸っていたせいで少し温くなったクリムゾンビアを飲む事にした。

 

 

昨夜はお楽しみでしたね。なんて事もなくクリスと飲み食いした後宿に帰った俺は普通に寝て朝起きた。朝起きると隣にお持ち帰りした女神がいるなんて朝チュンもない。習慣の体操をしたあと朝食を食べた。

昨日と変わらないメニューの朝食は宿のサービスなんだそうだ。そんな話を宿でしてからハイペリオンを持ちギルドへ向かう。昨日買った手帳と万年筆もポーチに入れスキルの組み合わせを書いていくつもりだ。水筒は水をいれてズボンのベルトに引っかけておく。

 

前回出来なかった身体の動きとスキルの組み合わせを今日は試そう。

 

ギルドは今日も静まりかえっていたよ。昨日のが後を引いてるみたいだ。

 

クエストは受けれた。無理矢理だけど・・・・・・

 

「このクエストはパーティーを組んでないと危険です」

 

「気にするな、大丈夫だ。むしろこのくらいじゃないといろいろ試せないじゃないか」

 

「本当にいいんですね」

 

「構わない。むしろこれで楽勝だったら俺が困る」

 

という訳で来ましたゴブリン討伐。ゴブリンは通常十匹位でコロニーという群れを作っているらしい。しかし今回のゴブリンは知恵もあり、集団で討伐に来た冒険者達を殺しその武器や防具を奪い装備している。リーダー的なやつもいてなかなか討伐が出来ていないということだ。

 

まずは、盗賊スキルだな。

 

『敵感知』

 

えーと。なぁにこれ?

 

かぞえきれないくらいたくさんいるよぉ!

 

『潜伏』

 

まずは状況把握だな。この状況じゃスキルの組み合わせをするなんて無理だぞ。それに山だから広域殲滅なんて出来ないから地道に数を減らすしかない。そうなると暗殺系か?

 

今も作戦は『いのちをだいじに』なんだがどう対処する?

 

こういう時に使えるスキルはなんだ?

 

もう特典によるスキル頼みの脳筋戦闘しかしてない気がする。

 

スキルポイントのおかげで魔力量アップはカンストさせてるから魔力量勝負の魔法は大抵なんとかなるはずだ。

 

ん?これでいけるんじゃね。

 

冒険者カードのスキルを見て気づいたもの。

 

『パラライズ』

 

確か敵をマヒさせて一定時間動けなくさせる魔法。

 

これを特典のおかげで範囲やら威力やらをカンストしている今の俺なら大多数を動けなくすることが出来るはず。動けない敵相手ならスキルの組み合わせも試せるし良いんじゃないか。さて作戦も決まったことだしいきますか。

 

 

『潜伏』スキルで近づいた俺は深呼吸をして右手にはハイペリオンを持ち左手を突き出すように構える。すでに身体強化のスキルは掛けてある。さぁ行こうか。

 

『パラライズ』

 

何でコイツら人間の集会みたく整列してんの?どこぞの軍隊みたいなんだけど?

 

楽でいいけどさ。

 

整列していたゴブリン達の背後から広範囲に魔法をぶっぱなす。

 

そしてここで試したい組み合わせは・・・・・・

 

『カースド・ライトニング』

 

うっわぁ!ハイペリオンがバチバチいってる。

 

んじゃいきますか!騎士スキル『かまいたち』を組み合わせた、

 

『ライトニング・ソード・ビーム』

 

俺は両手持ちしたハイペリオンを横凪ぎに振り切った。

 

あれぇ・・・・・・『魔剣マスター』でラスボスが使ってたし、主人公も炎をぶっぱしてモブ兵士を片っ端から吹っ飛ばしてたからそこそこだと思ってたけど・・・・・・大半のゴブリンが上半身と下半身を生き別れさせてる件について・・・・・・

 

この組み合わせはヤベェやつだ。間違っても人間相手には使ったらダメなやつ。

 

というかハイペリオンでこの威力ってことはアポカリプス使ったら更に威力が上がるってこと?

 

試すか・・・・・・

 

ハイペリオンを鞘にしまい、左手を前に突き出す。

 

「アポカリプス!」

 

左手のブレスレットから光が溢れる。そして重さを感じさせないが確かに左手には剣が握られている。

 

原作挿し絵と全然違うじゃないか!

 

だけど、ハイペリオンからは感じなかった禍々しさが凄い。

 

「行くぞ!」

 

マヒ効果で動けないまま混乱する生き残ってるゴブリン達に一振り、二振りとアポカリプスを振るう。

 

あれぇ?何で?

 

原作主人公がアポカリプスを使った初陣みたく群れたゴブリン達が無双系ゲームのやられキャラのようにバッサバッサと切り飛ばされて行く。

 

これが神殺しの魔剣アポカリプスの補正か?

 

というか格闘ゲームでいうところの当たり判定がよく分からない。明らかに刀身が当たってないゴブリンまで切れてるのは何故?

 

なんて整列していたゴブリン達を切り終えると校庭で全校集会してるときの校長のように壇上にいた二回りは大きいゴブリンが動き出した。

 

「何者だ?」

 

モンスターなのに話せるの!

 

「モンスターが話すのがそんなに不思議か?」

 

なんか話し始めるお約束みたいな展開なんだけど・・・・・・

 

「まぁいい、魔王様に言われ育てたゴブリン兵達をこんなに簡単に殲滅するとは名のある冒険者なんだろう。それにその剣だ。お前も女神によってこちらの世界に送られた異世界人なのだろう?」

 

何でそんな事を知ってるんだ?

 

「・・・・・・俺も送られた元人間だからな」

 

何ですと!

 

「俺の特典はモンスター変化だった。魔王軍とも最初は戦った。しかしやつらは強かった。こちらの世界で仲良くなったパーティーメンバーも殺された」

 

それは御愁傷様です。

 

「俺はこの姿になり生き延びた。だが、死んだ事になっていた俺は人間社会で生活することが出来ずなんとか生きている所を魔王様に拾われた。その生活の最中に冒険者によりモンスター変化の神器は壊され人の姿に戻ることも出来ずこうして醜態をさらしている。お前は生き汚ない俺のこの姿になり極めたこの一撃。越えることが出来るか?」

 

いきなり戦闘開始かよ。

 

「俺の名はシュウ。魔王軍準幹部にしてゴブリンキングだ」

 

名乗りもするの?分かったよ。

 

「俺は3日前に冒険者になった相沢唯人」

 

「「行くぞ!」」

 

俺は先ほどの組み合わせをもう一度試す。

 

『カースド・ライトニング』

 

ん?アポカリプスの刀身が光輝きながらバチバチいってるんだけど?とりあえず両手持ちでたたっ切る。

 

『ライトニング・ソード』

 

「3日で上級魔法だと!いいだろう、相手にとって不足なし!喰らえ『鬼切り』」

 

閃光で目がくらむ。手応えはあったがどうだろう。

 

「すまない。嫌な役目を押し付けたな」

 

そこに立っていたのは身体が半分消し飛んだゴブリンキングだった。

 

「これでようやくあいつらの所に行ける」

 

そう言うと短髪のガタイのいい男がゴブリンキングの身体から抜け光に包まれ空へ登って行った。

 

あれぇ?どうなったのこれ?勝手に語って勝手に満足して勝手に成仏したぞ。

 

というか山の地形が少し変わってるんですけど!

 

怒られないよね?

 

 

生き残ってるゴブリンがいないか探して何匹か切った後、駆け出しの街アクセルへと帰ってきた。

 

テレポートを使う気分でもなかったのでいろいろ考えながら帰ってきたのだ。ゴブリンの姿をしていたとはいえ元は人間だったやつを殺したのだ。さすがに考えてしまう。

 

ギルドの扉を開けると慣れてしまったが静まりかえる。俺の歩く音だけが響くが気にしてもられない。カウンターにいるのは最初に受付してくれた絶叫美人さんだ。

 

この後どうせまた叫ぶんでしょう?

 

「クエストを終えてきた。確認してくれ」

 

「分かりました」

 

カードを受け取り横の謎の箱を操作する。

 

「な、なんなんですかこのゴブリンの数は!それに特別指定モンスターの魔王軍準幹部まで!」

 

・・・・・・やっぱり叫んだ。けどちょっと待て!

 

あいつ特別指定モンスターなの?それに倒した相手の魂を吸収してくんだよね。あいつ成仏してたのになんで?

 

「「「指定モンスター!」」」

 

「「「魔王軍準幹部だと!」」」

 

この美人さんが叫ぶと伝染するの?

 

「ゴブリン討伐クエストがなんでこんなことに?」

 

俺が聞きたい。

 

「アイザワユイトさん。ちょっと待っていてください」

 

そう言ってお偉いさんがいる部屋に走って行ってしまった。

 

「スゲーじゃねぇか!」

 

「魔王軍を倒すやつが現れるなんてな」

 

「今日は祭りだみんな飲もうぜ」

 

俺を置いてきぼりで騒ぎが大きくなっていく。

 

何回も言ってるが・・・・・・どうしてこうなった?

 

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