IS〈イノウエ シンカイ〉   作:七思

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 今回ねつ造要素多いけど気にしない人は読んでってくださいまし。


第103話 鉄風雷火

「……降伏しろ。ブレードは残り一本、それが折れては防御も出来まい。いい加減分かっただろう? 無駄な抵抗だと」

「ふん、もう息切れか? だらしのないことだ。私が倒してきたヴァルキリーたちは、呼吸が止まろうが心臓が止まろうが食らいついてきたぞ」

 

 未だ傷ひとつないISを前にして、千冬は壮絶に笑う。凄絶に嗤う。全身から、滝のように汗を流しながら。

 

「強がるなよ、ブリュンヒルデ。体力が尽きているのはお前の方だろう」

「見くびるなよ、ニュービー。この程度は疲労の内にも入らん、私たちにとってはな」

「…………」

 

 あからさまに痩せ我慢な千冬の言葉に、騎士(ナイト)の眉がぴくりと動く。ナイトとて愚かではない、千冬の言葉が挑発であることは初めから見抜いていた。

 だが挑発とは、そうと分かっていても乗ってしまうモノをこそ、そう呼ぶのだ。

 

(……ふん)

 

 ナイトは自分の心がささくれ立つのを感じた。千冬がヴァルキリーたちを引き合いに出すたび、言いようのない苛立ちが募る。

 

 ナイトには優れた適性があった。優れた才能があった。優れた能力があった。だがどれも、一番ではなかった。表に出したつもりはなく、任務に持ち込むつもりもないが、それでも確かに――表舞台で華々しく活躍するIS乗りたちに、強い憧れがあった。

 

 その最たる例を前に、口を開くべきではなかったと、今更ながら後悔する。恐らくは、あの一瞬で悟られたのだ。彼女が胸裡に抱え込む、深い劣等感(コンプレックス)を。誰よりも多くの羨望を集め、誰よりも多くの敗者を生み出した千冬は、絶えずそれを向けられてきたのだから。

 

「……減らず口を」

 

 話すべきではない。言葉を発するべきではない。これ以上はまずい。目の前にいるのはただの障害、ただ黙って排除するべきだ。感情を差し挟んではならない。付け入る隙を見せてはならない。

 分かってはいても、止められない。

 

「我々は軍人だ。英雄ではない。貴様の意地なんぞに付き合うつもりはない。……最後だ。降伏しろ、ブリュンヒルデ」

「生憎だが、私たちにはギブアップなんぞ許されていないんだよ、兵隊。そんなものはルールブックに書いてあるだけの落書きだ。負けるのは、まあ仕方がないさ。だが諦めるのはごめんだ。お前には分からんだろうが」

「……貴様」

 

 ナイトはIS乗りになりたかった。少女の時に直に見たモンド・グロッソ、あの場になんとしても辿り着きたかった。観客席ではなく、その中心に。その為に軍に入った。女性は希望すれば、ISの適性検査を受けることが出来るから。その結果如何では、ISの訓練を受けられるから。IS学園に入学するには僅かに遅かった彼女にとって、それしか方法がなかったから。

 

「……いいだろう。ならば望み通り――叩き潰してやる」

 

 彼女は優秀だった。適性も、才能も、能力も。たがそれらは、一番ではなかったのだ。適性も、才能も、能力も、一番優秀だったのは……彼女が望み夢見た、あの舞台への切符を手にしたのは……彼女ではなかった。

 

「来い、小娘。格の違いを教えてやる」

 

 憎たらしい顔で、千冬が手招きする。ナイトの忍耐はついに限界を迎えた。顔も、声も、背格好も、性格もまるで違い、今はISさえない目の前の女が、かつて彼女から全てを奪った女に重なったからだった。

 

 アメリカ合衆国代表、イーリス・コーリングに。

 

「ハアアアァァッ!!」

 

 絶叫に近い雄叫びを上げて、ナイトは突進する。

 振り上げるのは左の拳。パワーアシスト、スラスターにより得たスピード、握り締めた装甲の硬さと重さ。重戦車を正面から粉砕する一撃だ、人間が受ければ跡形も残らない。

 なのに。

 

「おおおっ!」

 

 白刃一閃。ナイトの拳は僅かに逸らされ、勢いを殺がれ、生み出された小さな空間と時間が千冬の生存を受け入れる。

 受け流し、防御し、回避する。三位一体の超絶技巧が、死神の鎌を退ける。

 

(またっ……!)

 

 凌がれるたび、ナイトは歯軋りする。絶望的な実力差があることは分かっていた。どれだけ旧式だろうと、ISを装備されたら勝ち目は無いと考えていた。

 だがまさか、生身でも仕留め切れないとは、想像すら出来なかった――

 

(認められるか、こんなことがっ!)

 

 あの地獄のような訓練はなんだったのか。夢への道が絶たれても、諦め切れずに僅かな希望に縋って足掻いた日々はなんだったのか。才能を覆して見せると意地を張り、必死に続けた努力はなんだったのか。世界最強とは言え、これが人の身で辿り着ける領域なのだとしたら――

 

(なら、私はっ……私たちは一体、なんなんだ!)

「う、おおおおっ!」

 

 左の拳。怒りか、恐怖か、絶望か……ナイト自身にも分からない感情は、必要以上の力を込めさせた。千冬は見逃さない。大振りで狙いの甘い攻撃に、わざわざ神経をすり減らすほどの技で対する必要はない。流れるような体捌きで拳の軌道上から避難しつつ、ブレードを拳の装甲に引っ掛けるようにして、同じ方向へ力を加える。

 ナイトが体勢を崩す。ただでさえ過剰な力に更なる力を加えられれば、制御など出来よう筈もない。ナイトはまんまと挑発に乗せられ、罠に嵌まった格好である。

 それでもナイトには、いくらかの冷静さが残っていた。明確な失敗を契機に取り戻したと言ってもいい。その冷静さで、ナイトは今こそが好機であると判断した。

 挑発し、大振りを誘い、崩す。この流れが完璧に決まったのだ。反撃が来る。それも大技の。通常であれば絶体絶命、どれだけの無様を晒そうと防御ないし回避に全力を注ぐ場面である。だがナイトにはISがあり、千冬にはない。この差の前には、他一切の不利など塵芥同然だ。

 だからナイトは、防御するでもなく回避するでもなく、攻撃した。千冬の反撃など、どうせこの身には無効。ならば無視する。相手が大技を使って来ると確信が出来、それが自分には効かないことも分かっている。今攻めずしていつ攻める。逆に粉砕して、この世界最強に屈辱を味わわせてやる――

 

 冷静さを保っていられたのは、そこまでだった。

 

「――おおおっ!」

 

 ナイトは見た。その刃を、その顔を、その瞳を。

 無駄。無効。無意味。それは絶対の真実だ。何も間違ってはいない。間違っているのは千冬であり、その意志である。

 

 そう。相手が絶対だろうと真実だろうと、全身全霊を持って斬り伏せる。

 そんなモノが、そんな存在が。

 

 「何かの間違い」でなくて、一体なんだと言うのか――

 

「ひ、ぃ――」

 

 ナイトは防御した。防御と呼ぶには余りに拙く、空いた手で己の首を庇った。その瞬間が、ナイトの敗北だった。

 手が間に合わず、無防備な首に打ち込まれた刃は。結局、ナイトに傷ひとつ付けることは出来なかったのだから。

 

 そう。それはつまり、敗北だ。

 

 ナイトは、一瞬、確かに、織斑千冬に屈したのだ。

 

「――が、はぁ……っ!」

 

 ナイトは自分の首に触れる。胴体の上に頭部があること、あるいは頭部の下に胴体があることを確認する。恐怖に見開いた目で、何度も確認する。

 その視界の端で、折れたブレードの切っ先が床に突き刺さった。千冬が持っていた最後の一振り。意識のどこかで、離れていく足音が聞こえる。走っている。逃走だ。誰が? 一人しかいない。

 

「――――」

 

 ナイトの心に生じた亀裂に、現実が泥水のように染み込んでいく。

 武器を失い、一目散に逃げる敵。直撃を受けてもダメージ皆無の自分。移動能力の差は歴然、追えば瞬く間に追い付ける。そして敵にはもう、流石に、攻撃を凌ぐ術はない。

 

 殺す。殺さねば。あの化け物を殺さねば。今しかない、今しかないのだ。何としても殺さねばならぬ。逃がしてはならぬ。生かしては置けぬ。

 

「――――」

 

 ナイトは追った。迷いはなかった。正確に言うなら、正常な判断力を失っていた。

 一人の例外を除いて最もISを知る千冬が、本当に、生身で、単身で、ISに立ち向かうだろうか?

 そんなバカな。話だけを聞けば誰もがそう思うだろう。

 いや、もしかしたら。千冬の態度を見れば、あるいはそう思う者もいただろう。

 いずれにせよ、そんな与太話を心底から信じる者はいまい。つまりは、この状況は誰だって罠を疑う。

 

 だがナイトは、織斑千冬に敗北した彼女は、心の底から信じてしまったのだ。織斑千冬は、本当に、生身で、単身で、ISを打倒すると。

 

「――殺す」

 

 スラスターが火を噴く。逃げる背中に手を伸ばす。一瞬早く、千冬が角を曲がる。ナイトも続く。その先には下ろされた隔壁。千冬は予め空けておいたのであろう、人一人がどうにか通れそうな穴をスライディングで潜り抜け、見えなくなった。ナイトは加速し、拳を振り上げて振り下ろした。隔壁に大穴が空き、ナイトは再び千冬の姿を捉えた。もう一人の姿も。

 

「………………え?」

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 追ってくる。追ってくる。追ってくる。

 狙い通り、予定通り、作戦通り。

 喜ばしいことだ、実に喜ばしいことだ、腹を抱えて笑い転げたいくらいだ。

 だが私の顔に浮かぶのは、何とも無様に引きつった笑みだった。

 

(……追い付かれる!?)

 

 追って来て貰わなければ困る。追い付かれるのはもっと困る。体力は限界、武器はなく、敵は手加減出来る様子ではない。追い付かれれば死ぬ。

 走って逃げる。飛んで追いかけて来る。距離は見る見る縮まる。間に合うか。間に合うさ。

 

(……間に合わせるっ!)

 

 間に合わなければ全てが無に帰す。私の指示に命を懸けた二人の教え子が、私を信じて無防備でいる同僚が、ISの絶対暴力で無慈悲に蹂躙される。

 それが許せるか。それを許すのか。この私が。この織斑千冬が。

 

 否、否、否――!

 

(許せるわけが、あるかっ!!)

 

 尽きた体力を絞り出し、角を曲がる。後ろ髪を鉄が掠め、うなじに風が吹き付ける。殺意の冷たさに身体が震える。目の前には分厚い隔壁。接地部分の一部には、くり抜かれたような穴。ゴールテープを幻視。走りながら仰向けに倒れ、床を滑り穴を潜る。

 隔壁を抜けた先には、私を追い回しているモノとは別のISが鎮座していた。武装は既に完了、展開済み、いつでも発射可能。普段の彼女からは想像も付かないほど凛とした相貌が、引き絞られた矢のような眼差しが、厳粛に、隔壁の先から迫り来る敵を狙っている。天使か。……今何か雑念(ノイズ)が入ったな。

 

「……ふう……っ。さて、私の役目は終わりか」

 

 真耶の姿を見た途端、脚に溜まっていた力が抜ける。間抜けめ、緊張を解くにはまだ早い。最後に活を入れ、スライディングから素早く起き上がり跳び前転し真耶の横を抜ける。視線を交わす必要すらない。彼女の手の内は、私が誰より知り尽くしている。

 

「――ぶちかませ!」

 

 私が耳を塞ぐと同時、片膝をついた姿勢の真耶は、発砲した。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 私が世界最強となった時に使っていた専用機、〔暮桜〕は、第一世代型の機体だ。武装が近接攻撃用ブレード〔雪片〕一振りであること、接近戦及び接近戦に持ち込む為の能力を伸ばすため幾つかの機能がオミットされていたことなど、方向性は一夏の〔白式〕に似ていると言えるだろう。しかし当然、その性能差は歴然だ。第一世代型と第四世代型の間には、レシプロ戦闘機とジェット戦闘機ほどの開きがある。ISの進化は、兵器としてすら歪なほどに速い。

 そして真耶が本来得意としていたISは〔打鉄〕、第二世代型の機体の中でも比較的初期に作られた日本の傑作機だ。この機体も、総合力では〔暮桜〕を大きく上回る。だが第二世代型後期の傑作機である〔ラファール・リヴァイヴ〕と比べて、明らかに劣る点がひとつある。

 それは、「FCS(火器管制システム)」の性能だ。今でこそ細かなバージョンアップを繰り返した結果として、ほぼ全ての〔打鉄〕のFCSは高性能のものに載せ換えられているが、開発された当時はまだまだ粗悪で、他国が次々開発していく最新型ISの機動力に追い付けないことも多かった。

 そんな中、真耶はFCSの性能を補うある戦術を独力で生み出し、これを以て並み居る強敵を次々撃破し、私と国家代表の座を争っていた。数々の国際大会でも猛威を振るい、海外の選手たちからも「東洋の魔女」「邪眼の狩人」「超重量級胸部装甲」と畏れられた。その戦術は、真耶が引退してしまったこと、機動力の上がった現在のISには通用しないであろうこと、そもそもFCSの性能向上により必要なくなったことなどから、結局、真耶以外に扱う者はいない。

 そんな、一時期有効だっただけの、今では誰も使わず使えない戦術を、軍人が知っているだろうか? よしんば知っていたとしても、対処法を身に付けているだろうか?

 

 ……まあ、万が一知っていて、対処法も身に付けていたとしても。

 

 既に、どうしようもないがな。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 第一射。膝立ちになった脚部装甲が開き、ずらりと並んだ散弾発射装置が露わになり、大量の炸薬により無数の散弾が高速で撒き散らされる。視界を埋め尽くす散弾に、敵ISが怯む。避けられはしない。だがダメージを減らすことは出来る。敵は先ほどまでの暴走ぶりはどこへやら、すぐさま冷静さを取り戻し、散弾の密度が薄い場所へと飛び込んだ。身体を丸め、手足の装甲を斜めに構えて散弾を弾く。

 

 続いて第二射。両肩に担いだグレネードランチャーから榴弾が発射される。小型で爆発範囲は狭いが、弾速が速く、直撃すれば凄まじい衝撃を与える。弾速が速いと言っても、榴弾にしては、だ。ライフルやマシンガンのそれと比べれば明らかに遅い。この狭い通路でも、普通に撃てば躱される。だが敵は今、回避行動をとった直後であり、防御姿勢でもあるため身動きが取れない。榴弾は腕と腕、足と足の間に直撃し、守りをこじ開けた。

 

 そして第三射。大口径スナイパーライフルによる一撃。言うまでもなく、本来ならばこんな通路に持ち込むような兵器では断じてない。もはや砲と呼ぶべきそれは、長大で重く、取り回しが悪過ぎる。どれほど腕に自信を持つスナイパーでも、この状況で狙撃銃に命を預けることは出来ない。ではなぜ、真耶はそんな武器を選んだのか。

 真耶が求めたのは、射程でも精度でも弾速でもなく、貫通力だからだ。

 

 散弾、榴弾、徹甲弾。三種の弾丸が、瞬きにも満たぬ間を置き放たれる。弾速の違いで、第一射に、第二射が、第三射が次々追い付いて来る。着弾は――全くの同時。

 

「――――っ!!?」

 

 鉄風と爆音と衝撃に貫かれ、敵は声もなく絶叫を上げる。私の攻撃にはびくともしなかったシールドエネルギーが一瞬で底を尽き、吹き飛ばされ、倒れた。

 真耶の影に飛び込んで跳弾と破片と爆風をやり過ごした私は、耳を塞いでなお三半規管を狂わされ、ふらつきながら立ち上がる。油断なくボルトハンドルを操作し次弾を装填していた真耶の向こうで、敵は動かないISに呼び掛けていた。自分の敗北に納得が行かないのか、譫言のように。

 

「な、なん……なんだ、今のは……あんな技は、戦術データベースのどこにも……」

「伝説だからだよ。使える者はただ一人、その人物は引退し、現行の機体では使う必要すらない。そんなモノのためにわざわざ対策など練らないさ」

 

 伝説。真耶にとっては複雑な思い出なのだろう、何やら微妙な顔をしているが、しかし私にとっては伝説と言うより他にない。

 

「私たちが国家代表の座を競っていた頃は、まだ訓練方法すら確立されていなかった。今ではあり得ないが、複数の機体を乗り換えることもざらだった。何せ修理と補給と調整には時間がかかるからな、いちいち待っていられなかったんだ。そんな根性論丸出しの時代は、色々と悪い手本を生み出したが……ひとつだけ、メリットがあった」

 

 耳鳴りが収まってきた。私は起き上がろうと足掻く敵に近づきながら、得意気に語る。

 

「とにかく経験値だけは積めたんだ。無論、歪んだ癖がついてしまい、その後修正出来ず転落していった者も多いが……そんな中で、誰よりも真面目で勤勉だったある候補生は、経験の中からマイナスをひとつひとつ丁寧に取り除き、プラスだけを吸収していった。そしてその類い希な観察力で、あるパターンを見つけ、それを元にある技を編み出した」

 

 敵は倒れたまま、右腕を持ち上げた。何か武器を取り出そうとしたが、拡張領域(バス・スロット)を開くだけのエネルギーも残っていないようだった。

 

「彼女は日に何度も繰り返す模擬戦の中で、パターン予測と技の精度を磨き続けた。誤差すらも予測の範疇に収められるようになった頃には、まさに必殺技になっていたよ」

 

 この敵は私しか見ていなかった。腕に相当な自信があったのだろう。学園側のISが出て来ても、制圧ないし撃退するだけの自信が。それが自惚れであると、丁寧に教えてやらねばなるまい。

 

「第一射、散弾。敵は回避か防御を強いられる。回避するにしても、散弾のバラけ方から回避先は自ずと限定される。そこに第二射、榴弾。破片を入れる代わりに炸薬を増やしたコンカッショングレネードは、強烈な衝撃で体勢を崩し防御をこじ開ける。回避も防御も封じた所に第三射、徹甲弾。元々近距離まで誘い込んでから使う技だ、ほとんど減衰されていない絶大な貫通力は、絶対防御を強制的に発動させる」

 

 一本ずつ指を立て、順番に説明してやる。言うだけなら簡単なそれは、実際には恐るべき反応速度と判断速度を要する絶技だ。しかし実際にそれを受け、完膚無きまでに叩きのめされたこの女からすれば、机上の空論と言い捨てられるわけがない。

 

 私は堪えきれず、今年最高に悪い笑みを浮かべて、絶望する女に言ってやった。

 

「かつてこの私を何度となく追い詰めた、山田真耶の「三段撃ち」だ。……お前如きに、凌げるものかよ」

 

 

 




NG

 そんな中、真耶はある戦術を独力で生み出し、これを以て並み居る強敵を次々撃破し、私と国家代表の座を争っていた。数々の国際大会でも猛威を振るい、海外の選手たちからも「ばるんばるんしよる」「視線が胸に吸い寄せられて攻撃が見えなかった」「あのおっぱいはレギュレーション違反では?」と畏れられた。

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