子兎の人形師は何を想う   作:夜空人

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Q.【念文字】って何?

A.グリードアイランドでビスケがヒソカの不信な態度を共有するために使った
《ヤツはウソをついている》←コレ。




No.10/オモカゲ✖ニ✖ナミダ

飛行船から降りた場所は、間に深い峡谷があるマフタツ山と呼ばれる場所だった。

谷底からヒュウウウウと轟音が響き受験生はゴクリと喉を鳴らす。

ある受験生は疑問を呟き、メンチは回答する。

 

「一体…、下はどうなっているんだ?」

「安心して。下は深ーい河よ。流れが早いから落ちたら数十キロ先の海までノンストップだけど。それじゃ、先達としてハンターの仕事の一部を味わってもらう為にも、お先に。」

 

受験生の驚愕の声も無視し、メンチはそのまま崖から飛び降りる。

その一連の行動を、ネテロ会長は「マフタツ山に生息するクモワシの卵を取りに行った」とメンチを参考に、合格する為に必要な条件を説明する。

そして崖をよじ登ったメンチは言う。

 

「よっと、この卵でゆで卵を作るのよ。」

 

その技に『こんな試験、もう一回やり直しになるに決まっている!』と飛び降りれない受験生は叶いもしない願いを願っていると、

 

「あーーー良かった。」

「こーゆーのを待ってたんだよね。」

「別に難易度高くないからね。」

 

最年少三人組にその願望は断たれる。

そして五人が嬉々として飛び降りようとすると、ネテロ会長にレツは呼び止められる。

 

「あ~、302番。お主だけはさっきの試験で合格に値すると判断したので、やることはないぞ?」

 

端で聞いていた、既に降りるのを諦めた受験生たちは「ラッキーだったな、あの302番」と思っていたのだが、声には出さないし、出せない反論も続く言葉によって、完璧に封じられる。

 

「え? 僕、結局合格できてないからやるよ。…というか、メンチさん。そんなこと言うから、周りの受験生から失笑されるんですよ。」

「別にいいわ。こんなのもクリアできない、口だけの連中にどう思われようが。」

「それもそっか。 じゃ、行ってきます。」

 

レツの苦言に、メンチは笑って毒舌を重ねる。多少、遅れたがレツも飛び降りて卵をとる。

この後ゆで卵を作り、その味にクリアした受験生は舌鼓を打ち、美食ハンターのやりがいと喜びをメンチが語り、これで二次試験後半は終わりを迎えた。

 

 

+++

 

合格者四十二名はハンター協会の飛行船に乗り込み、ネテロ会長は飄々とした雰囲気のまま、集められて話を聞いているのは強面ぞろいの、ハンター試験受験者が醸し出しているピリピリという緊張感があるというのに、意にも介さず話を続けた。

秘書の人物から「三次試験の場所へは、明日の八時に到着予定」との連絡を受けた後、解散した。

各々、自由に時間を潰すことになった。

 

「ゴン!! レツ!! 飛行船の中、探検しようぜ!」

「うん!!」

「あはは、僕は止めとくよ。」

「元気な奴ら…」

 

キルアの誘いに、ゴンは賛成し、レツは断る。

その二人のスタミナにレオリオは若干、引きつつ呟く。

レツとレオリオとクラピカは行動しながら会話する。

 

「オレはとにかく、ぐっすり寝てーぜ。」

「私もだ。恐ろしく長い一日だった。」

「じゃあ、二人が寝てる間にでも癒しの効果をかけるよ。」

 

そのレツの言葉に二人は目を丸くし、クラピカは確認する。

 

「いいのか? …その力はお守りの限られた残量しかないのだろう?」

「いや、これは純粋な技術だからね。」

「お前、どこまで技術があるんだよ…。 料理も上手ーし。(仕込んだのは姉だろーなー。ますます期待できるぜ!!)」

 

レツは二人の誤解を訂正し、レオリオは呟く。…レオリオ人形劇は終わらない。

そんな思惑をよそにクラピカは疑問を呈す。

 

「……しかし1つ気になるのだが…」

「「ん?」」

「試験はあといくつあるのか、知ってるかレツ?」

「あ~、ごめん。試験自体の対策は無いって家族から言われたから、その情報は知らない。」

「じゃあ、俺が教えるよ。」

 

レツは答えられなかったが、そこに割り込むトンパ。

トンパは例年の試験数は、平均して5つか6つといい、忠告もする。

 

「~~~なりかねない。次の試験、受かりたきゃここでも気をぬかない方がいいってことだ。」

 

トンパは置き土産にホラを吹く。

この言葉にクラピカから発言する。

 

「レオリオ、レツ、どう思う?」

「…う~ん、試験前のあれからすると、ウソっぽいけどな~」

「というか、ウソだよ。前者の試験数はホント。後者の目的地に時間はウソ。」

「断言したな。…なぜそう思う?」

 

この二人の意見にクラピカはレツに聞く。

 

「だって、兄さんのほうが、遥かに嘘が上手いからね。その経験。」

「…そんなに嘘が上手くて、血も繋がらないなら、兄貴にねーちゃん、騙されてないか?」

 

レツは回答し、レオリオはまだ踊る。

 

「それはないと思うよ。一応、慣れれば分かるから。」

「そうか、安心したぜ!」

 

その疑問にもレツは答え、レオリオは安堵し、クラピカは呆れかえっていた。

そこからさらに三人は各々、行動した。

 

 

+++

 

その頃、メンチ・ブハラ・サトツの試験官三人はというと、夜食をとっていた。

やがてメンチが今年は何人くらい残るか話題提供をし、二人にも聞く。

 

「~~~いたじゃない。サトツさん、どぉ?」

「ふむ、そうですね。ルーキーがいいですね今年は。」

「あ、やっぱりー!? アタシは302番の男の子と294番のハゲもいいと思うのよねー」

(スシ知ってたからだね……)

「私は断然99番ですな、彼はいい。」

「あいつきっとワガママでナマイキよ。絶対B型! 一緒に住めないわ! ブハラは?」

「そうだねー、新人じゃないけど気になったのが、やっぱ44番……かな。」

 

44番、とあげられた受験番号でメンチとサトツの二人は同時に表情を硬くする。

あげた本人のブハラもうんざりとした表情で、行儀悪くフォークを振りながら話を続ける。

 

「メンチも気づいてたと思うけど、試験が終わって合格者が出ない、って決まりそうだった時、一番殺気を放ってたの実はあの44番なんだよね。」

「もちろん知ってたわよ。抑えきれないって感じの凄い殺気だったわ。でも、ブハラ。知ってる? あいつ、最初からああだったわよ。あたしら姿を見せた時からずーっと。」

 

メンチの言葉にブハラは目を丸くして「本当?」と尋ね返すと、彼女は唇を尖らせて肯定し、ついでにその所為でずっと自分はピリピリしていたと愚痴る。

 

「私にもそうでしたよ。彼は要注意人物です。」

 

サトツも無表情のまま肯定し、そして語る。彼から見た44番、「ヒソカ」という奇術師の人物像を。

 

「認めたくはありませんが、彼も我々と同じ穴のムジナです。ただ、彼は我々よりずっと暗い場所に好んで棲んでいる。我々ハンターは、心のどこかで好敵手を求めています。認め合いながら競い合える相手を探す場所……。ハンター試験は結局、そんな所でしょう。そんな中にたまに現れるんですねぇ。ああいう異端児が。我々がブレーキをかけるところでためらいなく、アクセルをふみこめるような。」

 

サトツはメンチの誤解を修正するために言葉を続ける。

 

「………あと、言おうと思ってたのですが、先程メンチさんが推薦した302番は女の子ですよ。」

「あら、それならなおさら良いじゃない!! 合格したら仕事に誘おうかしら~。」

 

そのメンチの喜びに、サトツは爆弾発言ともいえる不安点を告げる。

 

「あなたが、それであの子を救い出せるといいのですが…」

「ん? あの子、何か訳アリ? ハンターって人種では別に珍しくもないわよね?」

「ええ…。先ほどブハラさんが話した44番に302番は兄を殺されていて、遺品も44番が持っているようです。試験前に一戦、交えていましたからね。

302番は念を知ってしまっているが故に、具現化系と推察されるのもあって、あの若さにして無茶な制約と誓約をしていないか、不安なのですよ。…得てしてそういう人物は、不幸な結末に終わりますから。」

「あの44番……!! ホントに許せないわね…! でも、見てる限りそんな感じはしなかったわよ? 指先から炎を出していたし。」

「…なるほど。ならあの子の保護者もプロハンターだったので、よく教育されているんでしょう。」

「あの歳で念が使えるまでのスパルタ教育してるのはどうかと思うけど、感謝するわ。それはそうと、アドバイス書かないとね。」

 

そんな全く関係ないところで、ヒソカの好感度は下がり、シャルナークの好感度は上がる談義。

 

 

+++

 

一方、クラピカ・レオリオと行動を離れたレツは、先の約束通り、301番の男・ギタラクルと落ち合っていた。

レツが話し始める。

 

「それで、話ってなんですか?」

「ああ、キルになるべく近づかないでほしい、ってのが本題だったけど、キルの本音を一部だけでも引き出してくれたからね。 当面は、念の存在を秘密にする今程度の距離感でいいよ。」

「すいません、キルってキルアのことでいいんですか? それとあなたはキルアの何ですか?」

 

ギタラクルが淡々と要望を伝える。しかし、レツにはいまいち伝わらず、確認する。

 

「そう。キルはキルアのこと。で?返事は?」

「待って、結局、こっちの質問に答えてもらってない。」

「ああ、こっちじゃ分からないか。なら___

 

そういい、ギタラクルは顔中に刺さっている針をゆっくりと抜く。

全ての針が抜き終わると、顔がビキビキと音を立てて変わる、いや戻るが正確か。

レツは目を見開く。なぜなら___

 

 

 

 

 

 

___失ったはずの兄に、髪の色や体つき等、細やかな所は違うけれど。___

 

 

 

 

 

 

___髪の長さや、顔の輪郭・シルエットは近くて。___

 

 

 

 

 

 

___下の兄弟である自分たちを心配するところに酷似していて。___

 

 

 

 

 

 

 

「…………にい……さん……? …う、うあ、あぁ………あぁぁぁぁ……!!」

 

 

 

 

 

___ずっと耐えてきたモノが決壊し、涙を流す___

 

 

 

 

 

~~~

 

 

「…僕はっ……! 新しい家族から念を…二年間…教わって……強くなったはず……だった…!!」

 

「…僕が……っ! 力不足だから……っ! 弱かったから…っ! 」

 

「遺品を…取り返す…どころか、傷一つ負わせることも……できなかったっ!!」

 

「く…うぅ…っ……! ……っ…………っ!!! 」

 

 

 

 

レツの慟哭をイルミは黙って聞いていた。これだけ兄弟に想われるのも、自分たちとは別の在り方だからこそだと憶うから。しばらく経った後にイルミは話す。

 

「……落ち着いたかい?」

「…うん。ごめん、いきなり泣きついたりして。」

 

レツは素直に謝罪する。しばらくイルミは思案して、餞に発破をかけつつ、念いを確かめる。

 

 

 

「___あきらめるの?」

 

「___大切な遺品を奪われたまま、屈服するの?」

 

「___君にとって、兄はその程度の存在だったの?」

 

 

 

「そんな、訳が無い…。…………今度こそ、仇を討ちたい。」

 

その言葉に、レツは決意を出す。

しばらくして改めて挨拶から始める。

 

「そういえば、あなたの名前は? 僕はレツ。」

「ああ、オレはイルミ。キルアの兄だけど、キルには秘密にしててね。…今、家出中だから、試験から逃げ出されるのも困るし。」

「そっか…」

「わかってくれた?」

 

そう言って首を傾げるイルミ。

 

「…うん、分かったよ。それじゃしょうがないと思う。」

 

レツは頷いた。そのまま、力を得るために打診する。

 

「…イルミさん、操作系の力を上げる方法に心当たりない?」

「うん? レツは具現化系じゃないの?」

「そうだけど、補助として操作系の力が欲しいから。」

「操作系の力を底上げするものか…」

 

イルミは顎に手を当てて考え、ある知識と紹介を思いつく。

 

「…『アレ』なら、それに該当すると思う。でもここ、というか試験中は無理だから… うん、ウチに来るといいよ。場所は、パドキア共和国のククルーマウンテン。ライセンス手に入れて、調べれば出ると思う。

(親父はどうか分からないけど、母さんは、気に入るだろうし。顔合わせはさせときたいかな。そういえばあの話からすると、大丈夫だろうけど、確認しなきゃね。)

…キルが家出中だから、一旦連れ戻そうと思ってるけど、どう思ってる?」

「うん。向き合わないと後悔するから、それは賛成かな。それと合格したら行くよ。」

「なら安心した。」

 

イルミの心当たりに、家の場所を教え、キルア、というより下の兄弟としての質問をする。

レツは先の答えと返事を出す。イルミはその返答に頷く反応を見せた。

そして二人は解散した。

 

 

 

(あ、兄のことを聞きそびれたな…。 でも、しばらくは話せるだろうからいっか。)

 

イルミは操作系らしくそんなことを思った。

 

+++

 

レツは泣き腫らした顔のままでいるのも恥ずかしかったので、飛行船内の案内板を見てシャワールームの位置を確認し、シャワーを浴びている最中に、ふと思い至る。

 

(あ、クラピカとレオリオを探して、回復させておかないと…。)

 

シャワーから上がったレツは、しばらく歩くと、泥のように眠る二人を発見し、軽く診察する。

 

(う~ん、頭とかは起こしちゃうし、足の裏とか指の付け根のツボ押しも、内臓や局部の状態では痛みを伴うかも。…できるのは、腕と肩と足ぐらいかな。)

 

そう判断し、二人の体を癒していると、メンチがくる。

 

「…アンタ、何やってるの…?」

 

そこに来た、何も知らぬメンチから見れば、癒してるのではなく、卑してるように見えるのだ。

 

「? 何って、体の回復促進のマッサージ。…うん、よし終わり。」

「そう…。それならいいわ。あと、求められたアドバイスの紙。あと、コンロが無かったから仕方ないとはいえ、あんな包丁の使い方は絶対にしないこと! そこだけは物申したいわ!」

「ありがとう。うん、それは約束するよ。」

「そういえば、あなたの名前は?」

「僕はレツ。」

「そう、レツちゃんね。聞きたかったんだけど、何で男装なんかしてたの?」

 

そう、今のレツは帽子を外して、長い髪が無造作に出てる状態である。

 

「あ~、念のためでしかないんだけどね。女の一人旅は危険だからさ、旅に出る時は男のフリをしてるんだ。」

「え?でも、あなた使えるはずよね?」

「…そこは使える人のタブーになるかな。」

「大丈夫よ。別にあいつに教えたりしないから。」

「う~ん、なら話すよ。 まだ僕の【発】は完成してないからさ。そのためにハンター試験をやってるんだ。」

「そういうこと。なら納得だわ。…まさか復讐に関する制約してないわよね?」

「あ…(危ない。その方向の制約しようとか考えてた。)」

「ちょっと。」

「ううん、今持ってるのはしてないけど、これからその方向で作ろうと考えちゃってた。」

「よかったわ。間にあったみたいね。…合格したらアタシと仕事しない?」

「う~ん、僕の場合、綺麗なものに興味があって、武術や物、料理にも当てはまる結果だから、まだ特定の分野は決めれない。」

「そう、分野がこっちになることを願うわ。それと、わかんないことがあれば聞いて。これあたしの携帯番号だから。」

「………試験官と受験生が個人的にコネ持っていいの?」

「いーと思うわよー、あたしの試験もう終わったんだもーん。」

「それもそっか。じゃあ、僕の携帯の番号はこれね。」

 

そんな話をして、二人は離れた。

 

 

~~~

 

レツは一応、ゴンとキルアの回復の為に見回っていると、トレーニングルームにたどり着く。

汗臭さがまだ残るそこには、筋トレをしてるネテロ会長と、毛布をかけられたゴンが大の字になって、実に気持ちが良さそうな顔で寝入っていたのだった。

 

「あ、いたいた…って、なんでこんな汗だくなの?」

「それはワシとゲームをしとったからじゃよ。」

 

レツの疑問に寝てるゴンは答えず、ネテロが答える。

 

「ちと退屈だったもんで、ワシからボールを奪えたら、ハンターライセンスをやるという内容での。お主もやるかの?」

「いや、こんな汗だくになるなんて五時過ぎてて、残り三時間しかないのにやることじゃないでしょ。…それにあの砕けた床。 使ったでしょ?」

「それは心配ないぞい。先ほどワシが機長にゆーっくり飛んでくれないか頼んだところじゃからな。使ったとは?なんのことかのー?」

 

レツはそれを断り、ネテロに念という、ゴンとキルアに全く勝ち目がなくなる手段を聞くと、心配点を解消しながら、すっとぼけたことを抜かすジジイ。

 

「それでもやらないよ。だって勝ち目が薄い以前にゼロって事ぐらいは分かるよ。」

「ホ、そりゃ残念じゃわい。」

 

 

そしてゴンにも同様のことをした。

 

 

~~~

 

またしばらく歩くと、キルアを発見する。

彼は苛立ったような、しかめっ面をしていた。

 

「キルア。血の匂いがするよ。」

 

レツの言葉にキルアは何も答えない。

 

「…ふぅ、まぁ僕が言うことではないから、それはいいけど。キルアは? どこも疲れてない?」

「どこも疲れてねーよ。」

「そっか、それならいいんだけど…… えい。」

 

そう言うと、レツは手の《合谷》と《労宮》のツボを押す。

 

「~~~~~~~!! なっに、すんだテメェ!!?」

「あはは、今のは怒りを抑えるのと、精神を穏やかにしてくれる所のツボ押し。…少しは落ち着いた?」

「……まぁ、悪かねーかな? けどよ、もうちょい何かあんだろ。」

「これくらいしないと機嫌、直んないでしょ。」

「……まぁ、ちょっとは感謝する。」

「それなら良かった。」

 

そういう一幕があって遅めの就寝についた。

 

 

+++

 

到着予定だった八時になった頃。飛行船で最年少三人組は朝食をとっていた。

レツは早々に食事を切り上げ、アドバイスの紙を読んでいた。

 

(う~ん、確かに焦ってシャリの部分を最後は怠ったかな…。あと、オレンジのみじゃなくて他の果実も使うべきってのはそうだね。スダチとかを臭み取りに優先させるってのも。…あの二次試験の時間ではできないのも書いてるね。豚の解体に【鋭】と【周】した包丁で行っていたけど、大型包丁による解体方法まで…。

他には、やわらかい香りを強めるために、あの場で作れる、リンゴのスモークチップ…。《燻製》っていうのもあるのか。これは初めて知ったな…。)

 

そう読み進めてると、ゴンが話しかける。

 

「レツ? 何読んでるの?」

「メンチさんからもらった料理のアドバイスの紙。」

「それにしても、ヒマだなぁ。」

 

レツが答えてると、そんなことをキルアは呟く。

ゴンは苦笑して、レツは一通り、読み終わってしまったので、いつからかやらなくなっていた事を、昨日の事を振り返りながら思い出す。

 

「ならさ、ちょっと見てよ。」

 

丁寧に手入れしてはいた、大道芸の相棒であるマリオネットを取り出す。

レツは腕前の錆びの確認も兼ねて、マリオネットの糸を手繰って、ピエロの人形にお辞儀をさせてみせる。

 

(う~ん、細やかな所がダメかなぁ。…いつからかこっちの”舌”を忘れていたんだな…。)

 

その動きにゴンは無邪気に、キルアも素直に感心を示す。

 

「本当に生きてるみたいだね。」

「兄貴のフィギュアとは違う形の人形もあるんだな。」

 

どこかズレた感想をキルアは言う。

そこにネテロ、そしてメンチが来る。

 

「おや、お早う三人とも」

「おっはよー、チビさんたち」

「おはよう!」

「おはよーございます」

「……ども」

 

それぞれ挨拶をすると、メンチはさらに数枚の紙の束をレツに渡す。

その紙の束にレツは?マークを浮かべる。

 

「メンチさん? 僕は昨日、もらったはずだけど…?」

「ああ、昨日のマッサージを見ていて、これも役に立つと思ってね。」

 

そこに書かれていたのは、《薬膳料理》なるものであった。

 

「…料理にもこういう回復させるのがあるんだね。」

「そうよ。でもコツがいるから初めのうちは苦労すると思うわ。」

「そういえば、俺が目覚めたのは、レツのおかげ?」

「うん。それなりに効果があったなら良かった。」

「…ならなんでオレには、わざわざ痛いツボを押したんだよ?」

 

キルアは若干、ふてくされながら聞く。

 

「それが効果的だったからに決まってんじゃん。」

 

レツはそう答えると、メンチが要望を出す。

 

「髪おろしてれば可愛いのに~。服装ももったいないわね~。」

「ならさ、変身してみなよ。」

「う~ん、まあいいよ。」

 

ゴンがそれに被せ、レツは今ある三つの能力を順番に5分ずつ使う。この程度なら影響がないだろうと判断したためである。

 

「ホンットにもったいないわねー。素材はいいのに。」

「試験の料理も美味しかったし、レツは良いお嫁さんになれるね!」 

「そんなこと、考えたこともなかったなー。」

ブシャ「ゴホッ ゴホッ」

 

メンチが感想をいうと、ゴンが天然で殺し文句を言い、レツは素直に言う。

キルアはちょうど飲み物を飲んでいたのが不幸であった。

 

「「わっ! どしたのキルア?」」

 

一切、分かってない二人に追い打ちをかけられ、キルアは呻く。

 

「あんたたちはそのままでいなさい。」

「ホッホッ、若いのォ~。」

 

メンチが助け舟…願望?を出し、ネテロは笑う。

その頃には九時半を回り、飛行船に到着を知らせるアナウンスが響いた。

 

『皆様、大変お待たせいたしました。目的地に到着です。』

 

そのアナウンスが響くと、受験生は目覚め始める。

レオリオは背を伸ばしながら、ふと呟く。

 

「~~~~! ん? 随分と体の疲れが取れてんな?」

「ああ、どことなく体の一部が軽い。」

 

クラピカもそれに同意する会話を交わしていた。

そこに三人が合流する。

 

「あ、良かった。ちゃんと効果があるね。」

「ん? レツか。ホントに寝てる最中にやってくれたんだな。」

「俺も! レツはすごいね!」

「感謝する。…ここまで多才だとは…」

「でも、起こさないように注意してたから、そこまで本格的なことはできなかったけどね。」

「それでもありがたい。」

「さて、試験の続きだぜ。昨日より歯ごたえあるといいな~。」

「この体力オバケどもめ…。」

 

レツが効果の確認をし、レオリオ・ゴン・クラピカの順で感謝し、レツはできなかったことを言う。クラピカは、改めてお礼を言い、キルアが傍若無人に言う。その言葉にレオリオが呟く。

五人はそんなことを話し、飛行船から降りてゆく。

 

 

 

___そして受験生は三次試験に挑む___




お好みで、ピアノ系の悲しい曲が作業BGMです。
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