子兎の人形師は何を想う 作:夜空人
トンパがレツに近づけたのもキルアと同様の理由です。
飛行船が到着した所から、円状になっているタワーに受験生は降ろされた。
「ここはトリックタワーと呼ばれる塔のてっぺんです。ここが三次試験のスタート地点になります。さて、試験内容ですが、試験官の伝言です。 『生きて、下まで降りてくること。 制限時間は72時間。』」
__それでは、三次試験スタート!!
秘書の人がひととおり言い終わると、飛行船はその後、受験生のみを残して飛び去っていった。
受験生は各々、状況を確認する。
「側面は、窓一つないただの壁か。」
「ここから降りるのは自殺行為だな。」
「普通の人間ならな。」
そう豪語する男は一流のロッククライマーであるらしく、壁やとっかかりを伝って降りていった。
それを見ながら、キルア・ゴン・レツは話す。
「うわ、すげ~」
「もうあんなに降りてる。」
「でも、見た所、どこにも外壁に扉は無かったのに、あの人はどうするつもりなんだろ?(一応、【凝】すると、《外壁から降りるのは失格とする。》って【念文字】が外周沿いに書いてあるんだけど。)」
そんな会話をしてると、ゴンは呟く。
「あ…」
「「ん?」」
「あれ。」
降りていた男は、どこからともなく飛んできた怪鳥の餌になる形で、食べられて死んだ。
それを見て、レツは続きを話す。
「…外壁をつたうとああなる、ってことだね。」
「となると、どこかに下に通じる扉があるってことだな。」
「二人共、あれ。」
キルアが意見を出すと、ゴンが指をさす。そこには誰かが扉を降りていた。
三人はその扉を調べる。
「ちぇ、ダメだな。下からロックされてやがるぜ。」
「他にも扉があるってことだね。」
「どこにあるんだろ?」
そのまま、三人は受験生が半分になるまで調べていると、五つの扉を見つける。
「この扉をクラピカとレオリオにも相談しよう。」
というゴンの意見によって五人は集まる。
ゴンが扉の位置を教え、レオリオから話す。
「こことここ。 あとこっちにも三つ。」
「五つの隠し扉、こんな近くに密集してるのがいかにも胡散臭いぜ。」
「おそらくこのうちのいくつかは罠…」
「それはないと思うよ。」
クラピカがそう話すと、レツから否定の意見が入る。
その考えにクラピカから質問する。
「何故、そう思う?」
「というか、僕からすればクラピカは、同じ考えにたどり着いても良さそうだけどな。…で、その結論だけどこのハンター試験って何が目的?」
その疑問に答えつつ、逆にレツが質問する。それにはレオリオが答える。
「そりゃ、ハンターになれる奴を審査するんだろ?」
「そう。じゃあ、いたずらに罠とか仕掛けるの? 運だけで決まるレベルでしか判断材料がないのに。」
「それは仕方がないだろう。」
「というか、さっさと言っちまえよ。その答えの根拠をよ。」
レツは続けて質問し、クラピカは少々諦観が入った言葉をこぼす。業を煮やしたキルアは結論を急く。
「ごめんごめん。僕が言いたいのは、試験官からすれば、むやみやたらに人が命を落とすような真似はしないってこと。ハンター試験の目的は人を殺すことじゃないからねー。」
そのレツの答えにレオリオは噛み付く。
「ハァ!? いやいや、そりゃありえねーだろ。現に今、さっきも死んでる奴が出てんだぞ!?」
「でも、あれって試験官が直接、殺しにきてないじゃん。というか今までも、ただ危険地帯を渡っただけで。ヒソカは試験官じゃないから、あいつに殺されたのはカウントしないよ。」
「なるほどな…。では、誰が最初に選ぶ?」
「まぁ、扉は一人に一つずつだからな。」
その意見に4人は納得し、クラピカは扉の選択権を提唱する。キルアは端的に纏める。
ジャンケンでそれぞれの扉を選ぶ。
「決まったな。」
「1・2の3で全員行こうぜ。ここでいったんお別れだ。地上でまた会おうぜ。」
「ああ」
「1」
「2の」
「3!」
それぞれ石床の一端に身体を乗せると、ガタンと音がして床が回転する。
『!?』
四人は顔を見合わせ、それぞれのリアクションをする。レツだけは、ジャンケン中に【円】をしてみて危険性がどれもないことを確認し、繋がっているのも把握していたため、特に驚かない。
その内部に降りるとそこは明るく、広い長方形の部屋の中だった。
台座に乗った◯×ボタン付きの腕時計型タイマーと、その上に説明書きのようなものとスピーカー。扉らしきものは閉まっている。ここでゴンが呟く。
「この部屋……出口がない…」
ひと通りの確認を終えると、スピーカーから声が聞こえてきた。
《この塔には幾通りものルートがあり、クリア条件も異なる。ここは多数決の道。たった一人のわがままは決して通らない! 互いの協力が絶対必要条件となる難コースである。それでは諸君らの健闘を祈る!!》
そこでアナウンスは途切れ、キルアは言う。
「ならさっさとこのタイマーはめて行こうぜ。」
「そうだね。」
そして五人はタイマーをはめ、クラピカが確認する。
「なるほどな…5人そろってタイマーをはめると」
「ドアが現れる仕掛けか。」
続きをレオリオが言い、最初の設問もトラブルなく進む。残り’71’時間。
次の設問が早くも出る。レオリオが発言する。
「扉を出てすぐ、また設問かよ。」
そして右が多数であり、そちらが開く。そのことにレオリオが文句を言い、クラピカが説明する。
そんな流れを、レツは発言しながら思う。
「~~~左を選択するケースが多いらしい。」
「「オレ(僕)もそれ、聞い(見)たことある。」」
「ちょっと待て!! それだと計算が合わねーぞ、お前ら一体どっちだよ。」
「「「右」」」
「お前らなぁ~」ワナワナ
「『左』の方を選びやすいからこそ、『右』ってこと。(レオリオは一番年上なのに子供っぽいね。…でもクロロ兄さんとかも、そうなることがあるから、あんまり歳って関係ないのかも。)」
レオリオは捨て台詞を吐き、5人は右に曲がって、しばらく道なりに進んでいくと、ポッカリと空いた空間の中央に長方形のリングがある部屋に着いた。そこ以外に足場のようなものはなく、底は暗くてどのくらいの深さがあるのかさえわからない。 その内の一人は【纏】をしていて、念能力者だと理解できた。
すると、スピーカーから声が聞こえてきた。
《その者達は、我々、審査委員会が雇った『試練官』であり、ルールは単純明快。そこの5人の試練官と、それぞれ一対一で戦い、三勝を上げる事がそこの突破条件である。》
ルール説明が終わると、またしてもここで受けるか受けないかの多数決を迫られるが、当然全員○を押す。
「じゃ、まずはボクだね。錠を外してくれ。」
そういい、フードを外す。出てくるのは、連続爆弾魔・セドカン。
「じゃ、一番手は誰が行く?」
「俺がいくよ!!」
キルアが問うと、ゴンが挙手する。キルアは分析する。
「あいつ、肉体派じゃなさそうだし、まぁ平気だろ。」
すると足元から伸びてきた足場を渡り、リングに向かうゴン。
一連の自己肯定が終わり、話し続けるセドカン。
「~~~? そんな2人の為に簡単なゲームを考えてみたよ。」
「?」
ゴンは疑問に思っていると、セドカンは二本のロウソクを出す。
「同時にローソクに火をともし、先に火が消えた方の負け。どう?」
ゴンは二つ返事で賛成し、セドカンは握りこぶしを開く。
そこには長さが違うローソクがあった。
セドカンは一連の長さが違うローソクについて、多数決を求める。
クラピカは端的に纏める。
「~~きりがない。『不自由な二択』ってやつだ。」
そのまま、セドカンは座り込み、たっぷり時間をかけてもいいという。
そこにレツは発言する。
「? なんで皆、悩んでるの?」
「あの長さの違いが、見えてねーのか! どちらかが、致命的な罠だからだろ!?」
レオリオはレツにツッコミを入れるが、レツは淡々と答える。
「いや、なんで[両方とも罠]の可能性が抜け落ちてるの?」
そう、このような場面でも超一流の嘘つきのプロである、クロロとシャルナークによる経験値があるのだ。
その言葉にレオリオはセドカンを指差しながら、噛み付く。
「ハァ? それってアイツはどうやって罠を回避、もしくは解除すんだよ!?」
ここでキルアは気づく。
「あ~、ローソクが《四本》あるってことだな?レツ。」
キルアもゴトーのコインマジックで一枚が二枚であるトリックに騙されたことがある。その経験から見抜けたのだ。
レツは他の可能性も提示する。
「もしくは、短い方はほとんど握ってないだろうから、その右手に薬品が塗りこんであるとか。」
「……なるほどな。 しかし、それではどちらを選んでも一緒ではないか?」
クラピカは納得するが、それはそれで問題点があることに気づく。
レツは呼びかける。
「ゴ~ン!! その人のボディチェックをしてみてよ!」
「え? なんで?」
これで、先ほどいった内容を伝える。だが、
「ちょっと待ってよ。多数決で決めてゲームが始まっていないのに、ローソクに触れることは認められない。」
内心、焦っていたセドカンは、ルールを強調する言い方で、逃れようとする。
もちろんレオリオは吠えようとするが、レツに止められる。
「ハァ!? そっちが先にーモガモググ」
「ダメだよ。今の考えは、ほぼ確実だろうけど、ルール違反になったら、問答無用でこっちが反則になって負けちゃうよ。」
「そういうことになるな…。どんなに疑わしくても、ローソクに触れてしまえば、こちら側にタネを仕込む余地ができてしまう。」
レツの意見にクラピカも同意する。そう、この言い逃れはルールを優先される言い方である以上、『受験生』であるこちらにとって、困り果てることになってしまうのだ。
勿論、回避方法を考察するが、小一時間ほど考えてしまった挙句、妙案は浮かばず、結局ゴンの勘だのみになる。
ゴンの答えに四人は脱力する。
もちろん、油がしみ込んだ長いローソクがゴンの手に渡り、一連の流れでゴンが勝利する。
…二時間分プラスだったのだが、ここで一時間浪費してしまい、時間に限りがある、この場の多数決においてやってはならないこと、『相談』をしてしまい、セドカンは想定以上の時間を稼ぎ、早々にバレた割に、大金星といえる位になった。
~~~
ゴンが勝利の凱旋をする。
「~~~!! あとはオレとクラピカが勝って、前進だ!!」
そうレオリオが発言するのを、キルアはカチンとくる。レツは
(あの中に『使える』人が混ざってる以上、どうなんだろ?)
こんな疑問を抱いていた。次にクラピカが出ると宣言する。
次に手錠を外され、フードを脱いだのは、体は筋肉ムキムキで血管の浮き出たマッチョマン、左胸にハートの刺青が19個。顔は何があったのか、言葉では表せない惨状になっている。
つまりマジタニである。それを見てレオリオが眉をひそめて一言。
「げ。すげぇ体……と顔」
クラピカが特に反応もせず一連の確認中、レオリオはクラピカの心配をする中、ゴンは直感を答え、レツとキルアは小声で会話する。
「~~~やばそうな相手だぜ。」
「心配いらないと思うよ。だってあいつゾクゾクしないもん。」
「なんじゃそりゃ?」
(というか、僕達から見ると、見た目だけのただ肥大化した筋肉…だよね?)
(まぁ、体はああ見えて実際は大したこと無い、ただのホラ吹き野郎ってこと。)
(肝心のウソもあんな動揺してたら、意味がないよね。)
(それもだな。嘘をつくなら、シレっとなんでもない感じにしないと意味がない。
真実に嘘を混ぜ込めば、バレにくいとかテクあるけど、それがないにしても下手だよな。)
最後に嘘つくのが上手いキルアがコツを語る。
リング上では試合が行われる。数歩近づいた時点で大きく跳躍し、上空からの落下の勢いを伴って拳をクラピカ目掛けて叩きつけるマジタニ。クラピカはそれをバックステップで避けたが床が砕かれる。
(威力小さっ!! …あの程度での威力ではハッタリにもならないよ…。)
呆れ顔を浮かべてレツはそんなことを思う。…比較対象が家族の強化系三馬鹿と称される人達と比べてしまってるのが間違っているのだが。
レオリオはそう取らず、アレが旅団員の証であることを説明する。
「~~~直接クラピカにも聞いたんだからな。」
「なら、クラピカの復讐は簡単に達成できそうだね。」
「ハァ!? あの威力を………」
レツはイレズミを見たことがなく、かつ自分も復讐者なので、クラピカの難易度が緩いと誤解する。
レオリオは何か言おうとしたが、すぐさま沈黙する。リング上でクラピカがその距離を瞬時に零にし、片手で顔を掴み巨体を持ち上げ、もう片方の手で振り下ろした拳で地面に叩きつけたからだ。
そのままクラピカは旅団員の正式なイレズミを説明し、そこでレオリオもマジタニが偽者だと理解する。
…あの憤怒に染まっていた表情に、ちょっと引いてるからかもだが。
そのままクラピカを労わる四人。
~~~
「よし!! オレで決めるぜ!!」
そうレオリオが勇む。さっさとマジタニを片付けて次の奴を出せというレオリオだが、囚人側はまだ決着がついてないという。レオリオは吠え、クラピカに引導を渡してこいというが、却下される。
レオリオは自ら、もう一つのやってはならないこと、『挙手』をしてしまう。そしてレオリオのみが、トドメに賛成に手を上げ、キルアが手を上げなかったことに吠える。ここでゴンが纏め、レツが提案する。
「~~~てしさ、起きるまで待とーよ。」
「というか、レオリオが納得できないのって、手っ取り早く白星を手にしないことだよね?」
「おう、時間が限られてることをテメーらはわかってんのか、って言ってんだよ!!」
「それで向こう側が露骨な時間稼ぎをしてると。なら、怒るべきは僕達や、意見を翻したキルアでもないし、トドメを刺さないクラピカでもなく、向こうの二人の囚人でしょ?」
「…そりゃそうだな…。 て、じゃあどうするんだよ!?」
レツは昨日、取り返しがつかなくなる失敗をしかけたのもあって、少々”舌”に過敏になっているのだ。その言い方にレオリオは納得しかけるが、怒りの矛先が変わっただけであった。
淡々とレツは意見を述べる。
「あの人が本当に気絶してるか、レオリオ自身が確認すれば、ひとまず納得するんじゃないの?」
「…それもそうだな。向こうの時間稼ぎが気に食わねーんだし、打開するにはそうなるか…。」
レオリオは前に立つと、確認をさせろと言い、向こうの囚人が『賭け』をしようという。
囚人…レルートは、『賭け』の勝負内容を説明する。その説明が終わるとレオリオは引きつつ言う。
「イカれた女だぜ、てめェの刑期をチップがわりにするとはな。」
「慎重に考えろよ、レオリオ。もし、この勝負に負けたら、いきなりタワー脱出の残り時間が18時間程に……」
「なぁ、それってかなり急げば、全然間に合うんじゃねェ?」
「そういうことになるね。一番体力がないのは『賭け』をするレオリオ本人だけど、すぐさま回復させて無理にでも走ってもらうよ。」
「だからレオリオは心置きなく、勝負してよ!! 俺たちの事は、今は気にせずにさ!」
クラピカが状況説明をしようとするが、最後の言葉が尻すぼみになる。キルアは淡々と話し、レツは対策?を述べる。ゴンが最後に纏めて応援した。レオリオは冷静にかつ安心して仲間を信頼し、『生きてる方に二十時間』賭け、リングに行きレオリオはマジタニの脈を図る。
〈チップはレルート30:レオリオ70とモニターに表示された。〉
ゴンはレオリオのリードに喜び、キルアは不安点を述べる。次にレオリオは本当に気絶してるかどうか賭けるという。その確認方法にレオリオはマジタニを奈落の底に落とすと提案し、レルートは賭けの内容を翻す。
〈チップはレルート60:レオリオ40とモニターに表示された。〉
そして次の賭けでレルートの当初の目論見通り、チームワークがある意味、決定的に崩壊する。
「~~~そっちが親だ。何を賭ける?」
レオリオがそう喋ると、レルートは錠を外され、フードを脱ぐ。
「そうね、それじゃ___ あたしが『男か女か賭け』てもらうわ。」
この『賭け』は、レオリオが気づいていない、もうひとつの『男か女か賭け』があるのだ。
「そいつは構わねーが……… オレが外れた場合、どうやって確かめさせる気だ?」
「あなたの気が済むまで調べていいわよ。あたしの体をね。」
それを聞いている四人。
「レオリオの奴… 男に賭けるな。」
「「「え? 何で?」」」
その最年少組の反応にクラピカは目を見開く。キルアとレツは自分と同意見だと思っていたからだ。
「いや…? キルアとレツはわかるのではないか?」
「「?」」
「あ~~~………」
その含みのある言い方にキルアはようやく気づく。そして趣も兼ねてクラピカに言う。
「ならさ、オレ達が『男か女か』、クラピカ賭けてみね~?」
「…まさか。」
このキルアの言い方にクラピカは驚きを隠せず、可能性があると思ったレツの帽子をとる。
その頃、レオリオは十時間『男』に賭け、ある意味クラピカ諸共、賭けに負ける。
__仲間の中に『女』がいるということに__
レルートはレオリオのさらに後ろを見ながら降って湧いた幸運に歓喜しながら結果発表をする。
「残念ね、あたし(達)は『女』よ。(いや、あたしも遠目からじゃ分からなかったわー。…でも時間稼ぎする大チャーンス…♪)」
「マ……マジか!?」
「確かめてみる?(そのまま、声に耳を貸さず、後ろを振り返らず、火中の栗を拾いなさい!! …できたらこのまま時間を使い果たして欲しいわね… 刑期もそうだけど、残りの二人には……)」
この時に、レオリオは声に耳を貸すか、後ろを振り返れば良いのだが___
「も、も、も、勿論だ!!」
レオリオはすでに火中にあると知らず、レルートの栗…いや、果実をもぎに行く。
その反応に、クラピカはゴンの目を塞ぎ、キルアも同様にレツの目を塞いだ。
「「キルア(クラピカ)ー? 何で目を塞ぐのー?」」
「「黙って、このままで居ろ。耳も貸すな。」」
___しばらくお待ちください___
+++
〈チップはレルート50:レオリオ50とモニターに表示された。〉
今は、外れて悔いなしのレオリオ。そのリアクションにレルートは声をかける。
「あなた、後ろを振り返ってご覧なさい。」
「あん? 何が___
そこでレオリオが目にしたのは。
流石のゴンも隅っこで小さく丸くなってしまう程度に冷や汗をかき、
左にクラピカ・右にキルアが目を三角にして腕を組み、金剛力士像さながらの怒気を表す状態。
真ん中に帽子を取られ、髪が長く『女』だと分かる、レツが真ん中に居た。
レオリオはすぐさまレルートの方に振り返る。
ブォン「…………マジで?……」ダラダラダラダラ
「マジみたいだわね。」
あまりの首の振り向きに、風切り音が鳴り、冷や汗が滝のように流れる。
ここからチップが振り出しに戻ったのだから冷静に勝負すれば、まだマシな結果かもしれなかったというのに、テンパりすぎたレオリオはあっという間にストレート負けした。
~~~
囚人サイド
「ねェ あの子達の残り時間、どのくらいかな?」
《69時間、52分だ。》
レルートは戻るなり、残り時間を確認する。その質問の答えが放送される。
セドカンが話を続ける。
「つまり、彼らに残されたのは、仲間割れを加味して、18時間位ってことだね。」
そこに男二人が重圧感を持って話す。
「残り時間なんて関係ない。…なぜなら俺の相手は死ぬしかなく__」
「__俺の相手は泣き喚きながら、犯され続けるしかないからだ。」
その言葉に三人は一旦、沈黙するが、セドカンが発言する。
「残りはあの子供二人か。 あいつらの犠牲になるなんてね。」
「かわいそうに、まだ若いのに。」
レルートはそう言い、放送が入る。
《できれば、私も彼らは使いたくなかった。しかし、これもハンター試験だ。…手錠を外す。》
「一応、時間稼ぎが目的だろ? なら俺からにしてくれ、本当に居た、あのメスガキを俺に犯らせろよ。溜まってんだからよ。」
片方の男はそういい、遅れて手枷が外される。
そして足場もないのにリングまで一足飛びで移動した。
+++
受験生サイド
レオリオはゆっくりと一歩一歩、戻る。クラピカが先ず発する。
「…何か弁解は?」
「オレは、レツに聞きたい! 何で男装なんかしてんだよ!!」
レオリオは、男らしく開き直った。
その言葉にクラピカは袋叩きにしようとするが、
「さっさと来い小娘。俺の相手はお前だって分かってんだろ。」
その囚人の言葉に今は後回しにする。…どうせこの後、50時間フルボッコにできるのだ。
「呼ばれたから行くよ。(あの人が使える人だね。…一応、50時間あるし、保険かけるか。)」
そのレツの言葉にレオリオは盛大にヤバイというリアクションをし、続ける。
「しまったァ~!! どうしてもオレで勝っておかなきゃダメだったんだーーー!! クラピカ、ゴン、すまん!!」
「コイツすげームカつくな、レツ。」
「まぁまぁ、戦う所、見せたことないんだから仕方ないでしょ。(うん、決めた。使おう。)」
「早くしろ!!」
囚人はレツに出てくるように言い、そのままレツはリングに上がる。
フードを取ると出てきたのを男を見て、レオリオとクラピカが表情を強張らせてしまう。
そのままレオリオは言う。
「レツ、あいつとは、戦うな。速攻で降参しろ。デロゴ。強盗殺人に強姦殺人など、わかってるだけでも100人は、殺してやがる大量殺人犯だ。」
「ふ~ん。(一応両方にエメラルド付けるかな。)」
レツはそれを聞いて保険をかける。
デロゴはルール説明をする。
「勝負の方法はどちらかの死亡か、相手に“降参”を宣言させるかのデスマッチだ。」
「わかりました。受けます。(ていうか、舐めるように僕の身体を見て気持ち悪いなぁ~。)」
「くひひ、制限時間たっぷり犯し抜いて、ヒイヒイ言わせてやるヨォ!!」
そう言うと、デロゴはレツの喉を潰そうと、手を伸ばす。
能力で緑の髪になったレツは、しゃがみながらこう思っていた。
(う~ん? フェイ兄さんより遥かに遅いなぁ。まぁそのボディに、【碧の破壊拳/グリーンインパクト】!! ウボォーと比べて弱いからこれで___終わっちゃったね。)
「がっふぉ!?」
しゃがんだ後、レツは一気に両手の殴り?押し出しで終わるとは思ってなかった。
レツの基準点がおかしいので、家族内でも屈指のスピードファイターであるフェイタンと比較し、耐久力を強化系の三人、弱くてマチかクロロ位の苦戦を想定していたためである。
そのままデロゴは、囚人側の左隣の壁にめり込んで、動かない。
「あ~あ、これじゃぁまた同じ気絶のくだりになっちゃうから降参。(キルアなら使えない人なら負けないだろうし。)」ピキ…パキン
そうレツが言うと、ちょうどエメラルドの両手の指輪が砕けた。
そのままレツは振り向いてさっきの場所まで戻る。
「おつかれ」
「さ、キルアの出番だね。」
「おう。」
キルアは特に驚かない。変身は知っているし、あの程度の威力の押し出しなら自分もできる、と思っているのだ。そうとは知らぬ三人は驚く。
「…強いんだな、レツは。」
「あれだけ強くてもヒソカはさらに上を行くんだね。」
「………」
クラピカは畏怖混じりで言い、ゴンは素直に言う。レオリオは無言で土下座していた。ゴンが質問し、レオリオは戦々恐々と言う。
「レオリオ、何してるの?」
「いや…さっきのアレで殴らないで欲しいかなって。」
「? それより始まるよ。」
「お、おう…って!!」
ゴンがキルアの試合が始まることを報告すると、またしてもレオリオが冷や汗を浮かべる。そのままキルアに降参とレツの勝ちによる突破を主張する。
最年少組が分かっていないのを見かねてレオリオが理由を説明する。
曰く、相手は解体屋ジョネス。ザバン市犯罪史上最悪の大量殺人犯であり素手で人を解体してのけるのだと。犠牲者はおよそ150人。そしてその被害者のすべてが体を50以上のパーツにバラされたという、異常殺人鬼であるとも。
「あんな異常殺人鬼の相手をすることはねぇ、本来ならここは突破できるはずだからな。」
レオリオがそう締めくくったけどキルアは興味なさげに聞いていただけだった。レオリオとクラピカのキルアを見つめる瞳は不安げに揺れているのとは対照的に、キルアの勝利を確信しているレツとゴン。
リングにてジョネスと、相対したキルアは問いかける。
「勝負の方法は?」
「勝負の方法? 勘違いするな、これから行われるのは一方的な惨殺さ」
「じゃあ死んだほうが負けでいいね」
それに対しジョネスが自信満々に語る。それは、まるで死刑宣告だった。
「バッカ野郎、そのルールじゃギブアップが無ぇだろうが! 何考えてんだキルア!!」
それを聞いて怒鳴るレオリオ。クラピカもキルアを制止しようと声を上げる。
「ああ、いいだろうお前が、」
そこまでジョネスが言うと、目にも留まらぬ速さで動いたキルアが、すれ違いざまにジョネスの心臓を抜き取る。
「そ、それ、俺の………か…返…」
酷薄な笑みを浮かべてそれを握りつぶすキルア。ジョネスはその顎の力も抜け、口をあんぐりを開けた間抜け面を晒した。
(う~ん、僕達、特に殺り方が似てると思っていた、フェイ兄さんとは違う形だねぇ。)
他の六人が驚いている中、レツはそんなことを考えていた。キルアが確認する。
「さて3勝2敗。これでここは、もうパスだろ?」
《ああ、今から橋を出す。…そこを通り過ぎると、小さな部屋がある。その部屋で負け分のチップ50時間が経過するまで、次の扉は開かない。》
放送が入ると、モニターとは反対の方向に橋が出現する。続きを話すと、放送は終わった。
「あいつ… 一体何者なんだ。」
「あ…そっか三人は知らないんだね。」
「暗殺一家のエリート!?」
レオリオとクラピカが慄いて、レオリオが発言する。それにゴンは答え、二人は驚くがレツは異なる。
「あれ? レツは居なかったのに驚かないんだね?」
「まぁ、似たようなところだし。」
「はー」
レツの言葉にゴンは納得し、闇の人間が二人居ることに、再度レオリオとクラピカが慄く。
キルアが戻ってきて飄々と言う。
「さ、いこーぜ♪~」
「「うん!」」
そして五人は小部屋、またの名を〈レオリオ処刑場〉へと進む___
これが一つの書きたかったこと!!!!
【碧の破壊拳/グリーンインパクト】エメラルド・翠玉の指輪。
本家大元の【凝】状態でクレーターを作る拳と比べて威力は50%にしかならないが、それでも十分、強い力。
〈制約〉
一度使うと、一気に指輪が壊れる。
50%というのは、十時間分ある時であって、残り時間に応じて、威力が下がる。
~~~
ヒソカは『楽しみたい』から外周を使わないのは、納得できますが、ギタラクルは何故、直接降りる方法を使わなかったのか謎だったので、理由を付けました。
まさか、ヒソカと競争なんてしないだろうし、キルアの監視にしたって、同行していない以上、これもオカシイので、このような事情があったのでは、と解釈してます。