子兎の人形師は何を想う 作:夜空人
五人はしばらく進むと、確かに小部屋があった。その部屋に入ると、スピーカーから声が聞こえてくる。
《この部屋で、50時間過ごしてもらえれば、先に進めるドアが開くので、待っていたまえ。》
その声を流して放送は終わった。
~~~
【処刑】
「やれやれ、これからここで、50時間も過ごさなきゃなんねーのかよ。」ドカッ
レオリオが言い、ソファーに座る。だが、彼はキルアの技に慄いて、忘れていることを思い出させられた。
「さて…、レオリオ、改めて問い詰めさせてもらうぞ…?」
その声が聞き、ビクッと振り返った先にいたのは、口元をV字に笑っているが、やけに明度が高く目に炎の幻視をする位に、目は全く笑っていないクラピカ。それとは対照的に、口元をへの字にして、目には稲妻の幻視ができるキルア。
そして、自分の何が悪いかを言われるまでもなくわかっているレオリオは、一も二もなくその場で土下座した。
「その節はホンッットすんませんでしたーーー!!」
だがその程度で、色々と最低なことをしでかしたレオリオが許されるか?
まぁ、そんなことあるわけがなかった。
「歯を食いしばれ、レオリオ!!」
言い訳のしようがないからこそ、悟りの境地に達したレオリオは、クラピカの木刀とキルアの拳だか踵落としによって、鉄拳制裁に沈められることを受け入れた。さっきの怒気を思い出したゴンも止めるに止められず、レツは家族内で何回でもある、というか巻き込まれたこともある、この空気や流れは読めるので手助けはしない。
そしてピクピクと気絶したレオリオ。
一時の欲望に身を任せると破滅するという、いい例である。
〈残り、48時間。〉
~~~
【技術】
一通りフルボッコにされて気絶したレオリオ。部屋の隅にちぎってはいないが、投げ捨てる。
それを横目に見ながら、クラピカは聞く。
「キルア、さっきの技はどうやったんだ?」
「あ?」
「相手の心臓を瞬時に奪っただろう?」
「ああ、あれ。技ってほどのもんじゃないよ。ただ抜きとっただけだ。」
その質問にキルアは答える。
「抜き取った?」
「ただし、ちょっと自分の肉体を操作して、盗みやすくしたけど。」ビキッ
シャキンという擬音がなるような感じで、手も鋭く変化させる。
「すご…」
それにゴンは感嘆を零し、キルアはジョネスが大したことのない殺人鬼であることを語る。
「~~~元プロだし。でも、親父はもっと上手く盗むぜ。抜き取る時、相手の傷から血が一滴も出ないからね。」
「兄さんも首を刎ねる時、そこから一滴も血なんてでないけど、あれどうやってるんだろうね?」
「ホントだよな~。」
(頼もしい…が、味方の内、はな…。)
そのままキルアは自分よりシルバの方の技が上であると言い、レツも少し異なるが、同等の事を殺るフェイタンの技を言う。その事にキルアは共感し、クラピカは不安に駆られる。
〈残り、47時間。〉
~~~
【嫉妬】
「そういえば、レツのあの押し出す威力は何?」
今度はゴンが質問する。
「別にあれも対した技じゃないよ。ただ当てただけ。ヒソカクラスになるとあんまし意味がないけど。」
「というか、あれぐらいオレでもできるぜ。」
何故かかぶせるようにレツも答え、キルアはムッとしながら答える。レツは具現化系ゆえの神経質でもあるので、意趣返しの挑発をし返す。
「なら、僕だってさっきのはできるよ。」ス… ズバッ
そう言うと、レツは手刀で【鋭】をし、壁を軽く削る。キルアは自分と違い、肉体操作なしで、人体よりも硬いであろう、壁に切り込みを入れたことに嫉妬する。
そのまま、キルアとレツはムムムと睨み合う。技比べを考えもするが、この足止めの部屋の貫通による反則失格も嫌だし、何より余波が酷いことになる。この場には殺ってもいい犯罪者もいないので。しばらく考えて、キルアが提案する。
「ならさ、腕相撲しようぜ。」
「いいよ。」
レツはそれに賛成しテーブルもあるので、即席でリングが作られる。一応、防御やうたれづよくなる【纏】に留めておく。ゴンはワクワクしながら観戦し、クラピカはその性格から審判と合図を任される。
「レディ…… ゴッ!!」
するとミシッという圧力と共に、互いに本気で行う。
(オレとタメで、競り合う事ができるのか……!!)
(グッ、キルア、使えないよね!? いや、僕も【纏】だけど…ッ!)
そんなことを互いに思い、ギギギギギという音が鳴る。
(だが、男のゴンならともかく、女のレツに負けるなんてあっちゃならねー!!)
キルアが気合を入れ直し、その差でトンという音と共にレツの手の甲がテーブルに付く。
「そこまで!! キルアの勝ち!」
クラピカがそう判定を出す。
「フゥ~~~、ヘッ、オレの勝ち!」
「くぅ…! キルア、もう一回!」
「やだよ、疲れるもん。」
「へぇ~え、逃げるんだ?」
カチン「…上等よ、もう一回だ!」
挑発に弱かったキルアは、クラピカの溜め息なぞ無視し、もう一回する。
(オレが負けるわけにはいかねー!!)
(今度こそ……!!)
そうして、もう一度の試合は、無意識でレツが攻防力55~60の【凝】を行ってしまい、当然レツが勝つ。
「なん……だ…と…!?」
そうセリフを吐くキルア。勿論、納得できるはずもなく、
「クソッ!! レツもう一回だ!!」
「いいよ。(ちょっと【凝】気味になってたかも。)」
そしてしばらく行い続ける。十回で、クラピカは終わりが見えない審判を放棄する。ゴンも二十に届こうという時は、観戦をやめる。
これはお互いに疲れ果て、気絶するまで続いた。その頃には消灯時間になり、ゴンとクラピカも就寝した。
なお、結果は奇数回はキルアが勝ち、その繰り返しで偶数回はレツが勝った。と記しておこう。
〈残り、40時間。〉
~~~
【後悔】
「う、イテテ、ここは…。」
翌日になって〈残りが37時間。〉が過ぎた時、ようやくレオリオは気絶から目が覚めた。
「あ~~~、そっか。この部屋で過ごさねーとなんねーんだった。…ってオイ!! なんでテーブルが一部ヒビ入ってんだ!?」
レオリオは状況確認をすると、摩訶不思議なテーブルの状態にツッコミを入れる。それには本を読んでいたクラピカが一連の流れを説明する。最年少三人組は、それぞれの技を説明しあっていた。
「…マジかよ…熱くなりすぎだろ…」
レオリオは少し引きながらも言う。その説明を聞き結局、レツと引き分けになったキルアは悔しさを紛らわせるために、レオリオに精神攻撃を敢行する。
「てゆーか、これでオッサンの、特にレツからの好感度はダダ下がりだな。もう、レツの姉貴とは見合いできねーな。」
「グハッ!! ………そんな、そこをなんとか取り持ってくださいませんか、レツ様?」
レオリオはそこを悪足掻きする。
「いや、僕は目を塞がれていたから、何が問題なのかわからないんだけど?」
「そうか……グハッ!?」ゴッ
そのレツの言葉にレオリオは露骨に安心し、その態度にクラピカはムカついたので読んでいた本を投擲し、説教をする。キルアはその間に肝心な所はぼかしつつ、レツに女にとっていかに最低なことをやったのか、根絶丁寧に説明する。
「そっか、よく分からないけど、姉さんの紹介はしないでおくよ。」
「「それで良い。」」
「そ…そん……な…」
レツに肝心な所は伝わらなかったが、というか、この場にはレツ以外、男しかいないのにそれをやったらダイナミック・セクハラである。取りやめたことにクラピカとキルアは納得する。レオリオは絶望に彩られた声を上げるが、まぁ当然である。
『後悔、先にたたず・もう後の祭り。』 先人は良い言葉を残してくれている。
ここにヒソカ以上に道化を演じていた、レオリオ人形劇は終劇した。
〈残り、35時間。〉
~~~
【美色】
〈残り、26時間。〉になると、ようやく制約に定めた時間が過ぎたので、レツはエメラルドの指輪を作り出す。それを見ていたレオリオは言う。
「え…? 今、その回復するためのソレを作り出さなかったか…?」
「うん? そうだけど。」
「は? あの時間の縛りはウソだったのか?」
「いや、あれは一つあたりの使用時間だからウソじゃないよ。」
「複数作れるんだったら、改めて___」ガシッ ギギギ
レツとレオリオがそんな会話をしていると、レオリオはそれを言い切る事ができなかった。若干、目が赤みがかったクラピカにアイアンクローされたからだ。
「イダダダダダ!!? クラピカ何すんだよ!?」
「すまない…今の頼みは違うとわかってても蜘蛛とかぶったからだ。」
「は? ……失礼だとわかっているが、何が尺に触った? ……こればっかりは確認しねーとわからねぇ。」
「…いや、そうだな。 …レツも私と同じ世界七大美色の内の一つだと思うから、それを欲する、レオリオを無理にでも止めさせてもらった。」
そう、クラピカは先の戦いでレツが緑のストレートロングの髪に、爆発的な身体能力の強化と見れなくもない、押し出しといった場面や、まだ他の能力を見ていないのでそこから、自分たち、クルタ族と同じような少数民族の末裔だと、レツが世界七大美色の『緑』担当であって、ヒソカがそれをコレクトするとは思えないが、緋の目と違い、回復能力があるとしたら、奪われた遺品も戦闘狂のヒソカにとって有用な物となるので、筋が通ってしまう。
ゆえにそのあたりなのだろう、と思っているのだ。
クラピカ、渾身の勘違いであった。
「ん? 何でクラピカはそう思っているの?」
「というか、他にも変身できるからほぼ違うぜ。」
「そうだね。僕の兄さんの遺品を攫ったのは、今の兄さん曰く、『卯月の証』っていってたし。」
ゴンは勿論、疑問を抱き、キルアはそれに答え、納得したレツは他にも変身できる、という事を見せる。
その中にはルビーの力による、赤い変身もあるので、ほぼ違うのが確定する。
「んな!? …すまない。…とんでもない勘違いをしていたようだ…。てっきりヒソカに奪われたのも、回復能力がある故に思ってしまったのだ…。」
「あ~~~、まぁ、俺も悪いから、クラピカは気にすんな。」
クラピカは羞恥で真っ赤になり毛布で顔を隠し、傷つけたレオリオ本人からフォローされたのが彼のプライド的に追い打ち、いやトドメだろう。
〈残り、24時間。〉
+++
〈残り、2時間。〉になったら、しっかりとレツはエメラルドの指輪を増やしてしばらく過ごす。
そして、〈残り、0分。〉になり、扉が開く。五人は〈三次試験後半〉というには、大分過ぎているが、走り出す。
「さ、続きだな。」
「ああ、残り18時間、急ごうぜ。」
キルアの相槌と、レオリオの言葉を合図に、走りながら道を進む。角を曲がった所で出て来たのは階段だった。登るか降りるかのマルバツを求められる。クラピカが呟き、キルアが追従する。
「登るか降りるか……」
「裏を考えると、登るのが妥当だろうけど……」
「待って、探知効果のそれをやる。(【円】!!)」
レツがその『相談』を遮り、キルアは自分ができない技術が、またしてもレツからでてきて唇を尖らせる。
50時間のペナルティ中、暇だったレツは部分伸ばしを鍛えて、バレないように【隠】も付加していた。その訓練により、普通の【円】の時、半径三十メートルが最低ラインになっていた。
「よし、わかったことを書き出して地図にするよ。」
その情報をレツは画用紙に書き出す。
「だが、これじゃどっちが合ってんのか分かんねーな。」
「四人も今までの道を覚えてる限り書いてみて。」
レオリオの発言に、レツはさらなる地図の精度を上げることを要求する。
30分後、それなりの地図が完成し、クラピカが言う。
「ふむ…、この地図からすると、ここで降りなくては昇ってしまう道の先に、降りれる階段があるのが、限りなく薄い確率だな。」
「となると決まりだね!!」
ゴンのまとめに皆、頷くとバツを選択し、階段を降りることにした。しばらくすると階段が終わり、更に先の道へと進んだ。
《残り、16時間》
~~~
すると、一つの部屋になり、その奥に扉らしき物が見え、その上に電子パネル。部屋の中央には地面から出ている謎のコードが繋がっている椅子が5つある。
『ここは、電流クイズの間だ。今から問題を出す。5つ正解すればクリアとなる。なお、解答者は誰でも構わないが、外れた場合は椅子から電流が流れ、小一時間は気絶するものと思ってくれていい。』
そうスピーカーからの放送が終わる。それなりに間違いがあり、キルアだけは電流耐性があり、気絶せずに済む。レツは気絶してしまった姿を見て、自分にしかできない事があると、キルアは勝ち誇った笑みを浮かべた。
《残り、14時間》
~~~
そこから次の試練まで誰一人口を開かずただ走る。次に到着したのは、マルバツ迷路と書かれた場所。どうやら、マルかバツを選択していき、進む道を決める様だった。その証拠に、左右に道が分かれていた。
四人は、何の意味があるのだろうと疑問に思う。迷路にマルバツつけてどうなるのかって話だからだ。
「何の意味があるのだろう。迷路なのにマルバツ……迷路の意味はあったのだろうか? いや、タイムロスを狙った構造なのだろうか? ……レツ、探知を__」
「分かってるよ。」
クラピカの呟きにしっかりレツは【円】をする。
「…これは、厄介かも。少し先に、今はバツの方向に落とし穴があって、そこから一方の道がある。」
「ふむ…トゲといった致命的なトラップはないわけだな?」
「うん、そうみたい。」
レツが分かった事を言うと、クラピカは質問する。それにもレツは回答し、クラピカは話す。
「となると……厄介だな…。一般的な迷路なら片方の壁に手をつけてれば、絶対にゴールできるというのがあるのだが、落とし穴にはまると、それが使えなくなる。三次元的な構造の迷路ということだな。」
「でも、即死のトラップが無いんなら、落とし穴の方が階層が下になる分、到着が早まるって事なんじゃねぇーの?」
意見をキルアが出し、最初の回転床から綺麗に着地した四人と、レオリオも頭から落ちたとはいえ、そこまでダメージもないので、一緒に悩む。
「いちいち悩んでたら時間がなくなちゃうから、ここで決めたのを貫こーよ。」
小一時間、『相談』した後、端的にゴンがまとめ、皆で落とし穴のバツを選ぶ。四人はいわずもがな、レオリオも自分のせいでこうなっているので、自責の念から多少のダメージは飲む覚悟をしたためである。
「一応、危険なのがあったら止めるからね。」
「ああ、頼む。」
レツはその結果に保険を掛け、クラピカが言い、他の三人もコクリと頷く。
ちなみに、レツの【円】が半径四十メートルに更新された。
《残り、11時間》
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次は地雷つき双六なるものだったが、レツが【円】を張っても、サイコロの出目が弄れるわけではないので、精々、地雷マスが分かり、唾を飲んで、耐える心構えがピンポイントでできる位だった。…おそらく一次試験のように、精神力を試すつもりだったのだろうが、意味がなかった。
レツの【円】、半径五十メートルを突破。
《残り、10時間》
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その次はトロッコであったが、最初の予測通り、確かにそれなりに疲れはするものの、命の危険があるかと言われれば、微妙なラインであった。精々線路の途切れによるスリルが変わるくらいであろう。
《残り、8時間》
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さらに次は崩れる床。これは対抗心が途中の過程で火花がバチバチになった、キルアとレツが三人を安全地帯に投げ、二人は競争する。それだけであっさりとクリア。
《残り、7時間》
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普通に一本道を走っていると、後ろから大岩がゴロゴロと転がり、それから全力で逃げる。途中、レオリオが遅れかけ、必死に手を伸ばす。それを見兼ねたレツは、
「レオリオ!! 大丈夫!?」
「お、おう、ありがとな、レツ。一息つけるぜ。」
【透過する黄色の宝石剣/サンライトヴィジョン】の宝石剣をクロスさせて地面に刺し、岩を食い止める。
それをモニターで、見ていた第三次試験官・リッポーは、「甘い」といいボタンを押す。
「!? レオリオ、急いで!! さらに後ろから岩が来てる!!」
「なんだと!?」
「レツ!! その岩を砕け!!」
レツが叫ぶと、レオリオは驚く。先に進んでいたクラピカは呼びかけ、レツは止まっている岩を【硬】であっけなく破壊する。そのまま安全に進む事が出来た。
《残り、5時間》
~~~
またしても扉の開閉を求められるが、さしたる問題もなく突破。そして、最後の試練。
モニターの上には、最後の試練の心の準備を問う者だった。もちろん全員マルを押す。
すると女神像のようなものから、放送が入る。
端的にまとめると、『五人で行けるが長く困難な道を行くなら、マルを押せ。三人しか行けないが、短く簡単な道を行くなら、バツを押せ。』というものだった。
「……さて、先に言っておくぜ、俺はバツを押す。そして、どんな方法であろうと、三人の中に残るつもりだ。」
先に切り出すのは、レオリオ。心根が良いゴンは反論する。
「俺はマルを押すよ、やっぱりせっかくここまで来たんだから、五人で通過したい。イチかバチかの可能性でも俺は、そっちにかけたいんだ。」
「おいおい、イチかバチかもクソもさ、残り時間は一時間もないんだぜ。短い方を選ぶしかないよ。」
そうキルアは反論する。
「僕は、ゴンと同じ。五人で行きたい。」
レツのマル派になる意見が出ることで、ゴンは嬉しく笑う。続けて、キルアに説得を試みる。
「キルアは、あの質問に答えがでたの?」
「は? この状況じゃ___」
「違うよ。その前の方。」
「……そ、れは…」
その質問が三人は何の事か分からずゴンから聞く。
「…レツ? あの質問って?」
「ああ、この本会場に君たちも通ったって言ってた、クイズの話をしたんだよ。…このような状況を想定した質問なんだろうからね。」
帰ってきたレツの回答に、三人は悲痛な表情を浮かべながら納得する。確かに近いのだ。
今回のケースの場合、
『魔獣が出て危険だが早い道』と『三人しか行けない、短く早い道』がバツ。
『安全で答えがでない遠い道』と『五人で行けるが、長く困難な道』がマル。
今年のハンター試験に受からずとも死ぬわけではないし、キルア以外、凶狸狐の場所を知ってる為、また五人で来れることもほぼ確定しているのだ。
「………………フゥーーー、まだ、先送りにするよ。でもこの場ではそうも行かない。レツ、オレにマルを押させたかったら、あの腕相撲の引き分けに決着をつけよう。(今のオレにとって、同い年のゴンとレツに決める…!)」ビキ ジャキン
そう言い、キルアは手を肉体操作する。
「いいよ。 それがキルアのやり方なら仕方ない。(刀による峰打ちで十分でしょ。)」
レツは有効的かつ致命傷にならないと判断したルビーの指輪を付ける。二人は戦闘力の誇示という方のプライドをかけた戦いによって、次第に壁や床は砕かれてゆく。
「やめろ、二人共!!」
「クラピカ! …マルを押してくれるよね?」
「いや、理知的なお前なら分かっているはずだぜ。バツを押して戦うしかないってな。」
「ぐっ……(やはり、仲間内で戦うしかないのか…!?)」
クラピカはレツとキルアの戦いを止めようと呼びかけるが、最後の一人であるクラピカの票を取り込もうと、ゴンとレオリオが呼びかける。
+++
キルア⇒レツ⇒ゴンの順番で合格と所要時間のアナウンスが流れる。
「う~、痛いなぁ、もう。」
「短くて簡単な道がスベリ台になってるとは、思わなかったね。」
「ちぇ~、またいつか決着つけてやるからな、レツ。」
「キルア」
「あははっ (さて、と、イルミさんは…)」
レツが愚痴を零し、ゴンは感想を言う。キルアのみ方向性が異なり、それにゴンが少々、怒りをにじませる。レツは笑いながら、しっかりとギタラクルの方向に【念文字】で念はバラしてないし、バレてないと書く。ギタラクルはコクリと頷いた。
「全く、イチかバチかだったな。」
「長く困難な道から入って、壁を壊し、短く簡単な道に出るなんてな。」
次にレオリオとクラピカが来て、同じく合格と所要時間の放送が入る。各々感想とその発想がでた、ゴンを褒める。
「(あの、極限状態で、二択をぶち壊すことができる発想か……これは家族内では学べなかったことだな。ゴンはすごいや。)……さ、皆、手がマメだらけだろうから治療するよ。」
そんなことをレツは思った。
[《残り、3時間》です。]とそこで放送が流れる。
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治療が一段落し、《残り、2時間》をどう潰すかあたりを見回す。
「え?」
そうレツがこぼすのも無理はない。まさか、ヒソカが右肩と左腰に裂傷_トガリの【無限四刀流】によるもの_を負っているのだから。すぐさまギタラクルに【念文字】で確認するが、分からないと返事が来る。そこにゴンが質問する。
「どうしたのレツ?」
「いやね。まさか、ヒソカがダメージを負うなんてね。 …この試験官にそんな方法が…?」
レツは挑みはしないが、顎に手を当てて、どうやったのか、聞こうと考える。与えた本人である、トガリはヒソカに首を刎ねられ、死亡したので聞けないが、監視カメラにはモニターされてはいる。モニタリングしていたリッポーから聞けるだろう。
~~~
[《残り、三分》です。]とそこで放送が流れた。
「ようやく終わりだ。」
「ああ、長かったな。」
「三次試験は、ここにいる、二十五人で終わりだな。」
三兄弟が番号の大きい人から順番に言う。そこに扉が開く。
「ハァ ハァ ハァ フ フ、間に合った………ぜ。」ドオ!!
その倒れた受験生に、ゴンやレオリオは駆け寄る。
「………ダメか」
「せっかくここまで来たのに…」
「バカな奴だぜ。 死んで合格よりも、生きて再挑戦すればいいのによ」
((全くだよ)な)
レオリオが首元に手を当て、脈を図るもすでにこと切れていた。 ゴンも気の毒そうな顔を浮かべる。 大きい番号の三兄弟の内、最も番号が大きい男の死者をも冒涜するような言葉に二人はいい顔をしなかった。 内心でレツとキルアはその男の方の意見に同調していた。
その直ぐ後、
《タイムアップーーー!!》
最後にそんな放送が入って締めくくった。
《第三次試験、通過人数は二十六名!! 内一名死亡!》
【円】と【隠】、この試験においては便利…だったが、距離がネックだったようです。
おかげで、かなり熟練度が高まりました。