子兎の人形師は何を想う 作:夜空人
四次試験官も務める、リッポーの説明が始まる。
「諸君、タワー脱出おめでとう、残る試験は第四次試験と、最終試験のみ。第四次試験は、ゼビル島にて行われる。 では早速だが、諸君にはこれから、クジを引いてもらう。」
「クジ…?」
「それでいったい、何を決めるんだ?」
「『狩る者』と『狩られる者』」
ポックルとハンゾーの質問にリッポーは答え、続ける。
「この中には、25枚のナンバーカード、すなわち今残っている諸君らの、受験番号が入っている。」
リッポーの説明が終わると、一枚ずつ、早くタワーを降りた者順に引いていくことなった。
順番を待ちながら、レツは思考する。
(えっと、いわゆるハズレの番号として、44番・301番・302番の僕は、使える以上ダメで、99番と294番も僕ら寄り*1のプロだから、それもハズレ。 う~ん、博打が過ぎる。 …運否天賦に任せるしかないかぁ…。)
そんな事を考えある種、祈りながらカードを箱から引く。
「全員、引き終わったね。では、そのカードに貼られた、シールを剥がしてもらえるかな。
その番号が、それぞれのターゲットだ。」
続けてリッポーはカードは好きに処分しても良いこと、ナンバープレートの点数配分、合格条件は六点分のナンバープレートを集めることなどを伝えた。説明が終わると、レツはリッポーに接触した。
「三次試験担当の人は何処?」
「…私が三次試験官でもあるのだが、何か聞きたいのかな?」
「うん、ヒソカ…44番に傷を負わせた人、もしくは方法を知ってるかな? って。」
「その人物は死んだよ。 私もモニターしてたから手段は知っているが、これからの四次試験官でもある為、君にもむやみに情報を与えられない。」
「あー、メンチさんは、試験が終わったから教えれたのか…。 うん、じゃあしょうがないね。」
その方法は、立場があるため、今は聞けなかった。
~~~
〈舟の上〉
受験生は小舟に乗り、ガイドを務めるカラのアナウンス等を聞く。
「~~向かいまぁーす。 ここに残った25名の方々には、《来年》の試験会場への無条件招待券が与えられまぁーす。 たとえ~~」
(……この人、合格条件を知らないのかな? 奪うこともそうだけど、早抜けがない以上、手っ取り早いのは、狩りに来た者はもちろん、狩る者も奪われた後にリトライすれば六点、一気に集まり得る。となると殺したほうが良い以上、《来年》があるのかどうか… 多分、皆も気付いてるから、自分のナンバープレートをしまい込んで、こんな辛気臭いんだろーなー。 明日をも知れないわけだし。)
それを聞きながら、考える時間はたっぷりあるので、そんなことを考える。例外的にナンバープレートのを晒しているのは、念能力者のみだった。
その時、ゴンとキルアがレツのほうに集まる。
「レツはプレート、付けっ放しなんだね。」
「僕は着けてても、奪われない自信があるからだけど。それに僕達、かなり目立ってるから、今さら隠しても遅くない?」
「ま、そうだよな。…ってか、ゴンはどうなんだ? オレ達はプロだからともかく、ゴンはヤバイだろ。」
「あはは~ それがさ。」
するとゴンはナンバーカードを取り出す。そこには’44’と書かれていた。
「マジ…?」
「うん…来年、また頑張りなよ。」ポン
キルアは驚き、レツはゴンの肩に手を乗せる。当然ゴンは反発する。
「む~、今は正面から行っても敵わないのはわかってるけど、それでも聞きに来たんじゃん。」
「と、言われてもなぁ。」
「ああ、彼我戦力が違いすぎる。」タラリ
レツはゴンに出来る範囲の事でヒソカから勝つ、ないしはプレートを奪う方法なぞ思いつかず、キルアも試験前の謎のプレッシャーを感じたのもあって、冷や汗を垂らす。ゴンはその言われように苦笑しながら聞く。
「じゃあさ、二人のターゲットって誰なの?」
「ん? じゃあせーので見せっこしようぜ」
「いいよ。せーの、」
キルアのナンバーカードには’199’、レツのナンバーカードには’198’と書かれていた。
それを見てゴンは確認する。
「ん? この番号ってタワーの最後に、話しかけて来た三人組だよね? …ってことは、二人は一緒に行動するの?」
「あー、誰のか分からなかったけど、あの連中か、なら三人まとめて狩れるって!」
「そういう事。だから効率を良くするためにもバラバラに行動するよ。」
キルアは興味が薄い人物はとことん覚えてなく、続くその発言にレツも同意する。
「じゃ、どっちが早いか勝負だな? レツ。」
「残念だけど、この試験に早抜けは無いから、それは成立しないよ。」
「あはは、二人共頑張りなよ。」
「「そっちもね(な)。 生き残りな(れ)よ、ゴン。」」
その言葉にゴンはサムズアップを返して、三人は別れた。
~~~
〈一日目〉
《二分経過、それでは22番の方、スタート!》
(…この、ルールからすると、先に行ける方が後の人がターゲットだと、動向を伺える。…うん、視線を感じるな。【円】しても、どの人が僕を狩る者なのか分からないから、意味がない。 …ウボォーとか、フェイ兄さんなら「さっさと皆殺しにすれば良い」って、言うんだろうな。…となると、足に【流】!)
そのアナウンスが聞こえるや否や、先に入った受験者を撒くことにしたレツ。
走りながら、レツはさらに考える。
(この島は広いな~。まずは、全部一周してみるかな。できるだけ早く見つけて、ヒソカの観察したいし。)
そうして、しばらく走っていると、ターゲットの兄弟を見つける。
(居た、けどピンポイントで僕の’198’番だけいないな~。なら、合流したら襲うか。【絶】して…ん? あの人は…)
レツは、この場にもう一人潜伏していたのを見つけ、その姿を見ると向かって行った。
+++
(ターゲットは、二人で行動してるな…。気を伺うしか__!? ちぃ! 俺を狩る者か!?)
潜伏していた人物、ハンゾーは飛んできた木の実を躱す。その木の実は、木に命中すると、メキメキと音を立てて、ゆっくりと折れる。そしてその人物を見るやいなや、おしゃべり忍でもあるハンゾーは話す。
「___!? なんだ、あの威力は!? …嬢ちゃんが俺を狩る者かい? なら、クジ運が無かったと思って、今年は諦めな!!」
「いや? 違うけど?」
「ハァ!? 一点を三人から奪うにしても、俺からか!? 俺と他の受験生の実力差がわかんねーほど、てめェは未熟でもねェだろ!! お前、俺に何の恨みがあるんだ!?」
「わかってるけど、二次試験の時メンチさんに喧嘩売ったって聞いたから。せっかく見つけたし、一発殴りたいかなって。」
「ハァ!? …ああ、お前も違う形のスシ、知ってたな…。 って、それただの八つ当たりもいいところじゃねぇーか!?」
「うん、わかってるよ。」
「このクソガキ…! てめーのせいで、ターゲット見失っちまったじゃねぇーか!!」
「え? あ!!」
「…おい、テメーのターゲットは、’199’番とか言うんじゃねぇーだろうな?」
堂々とレツの八つ当たり宣言にイラつき、すっかりその場を離れた兄弟を見失った事に対して、怒鳴り返すと帰ってきた反応にハンゾーは聞く。すると、懐をレツは探るので警戒度を上げる。
「違うよ。僕のターゲットはコレ!!」
「あの場には居なかった、あいつらのもう一人の兄弟の番号じゃねぇーか!! …少しばかりお仕置きしてやる!!」
「僕も、君を一発殴らせてもらう!!」
懐から出した、ナンバーカードを見ると再びツッコむハンゾー。流石にイラつきが限界に達したハンゾーは喧嘩を仕掛ける。レツもそれに乗り、誰も得しない戦いが始まった。お前ら、真面目にやれ。
***
先に仕掛けたのはハンゾー。手段が選べるのならやはりなるべく綺麗な手段を選びたいと思える程度に、ハンゾーはまだ若かったのだが、試験前の戦いから手加減は無用と判断し、手持ちの手裏剣を投げる。
「シィ!」
「危なっ」
その手裏剣を左に避け、木に潜む。レツも相手をむやみに殺したいわけでは無いので、手段を選ぶ。
(どうやって殴ろっかな? まず【凝】や【硬】を施すのはダメ。となると【纏】で、そうだな…)
レツが木に潜伏したのを見たハンゾーは接近戦を仕掛けようとする。するとズバァ!!という音と共に燃え盛る木が自分の方に倒れてきて、慌てて回避する。
「なんじゃこりゃぁ!? 火種をどっかに持ってんのかよ! じょ、冗談じゃねーぞ! なんちゅう凶悪なエモノ持ってんだこのガキ!」シュッ
慌てているがゆえにコンマレベルの時間の回避では、避ける場所も前方に進むしかなかったハンゾー。
「じゃ、そういう事で!」
「ガァフゥァ!?」
そのスキを狙われ、アッパーカットを食らうハンゾー。ふらふらになりながらも、特製催涙煙玉で離脱を図る。だが、僅かに仰け反りもするハンゾーの手の挙動が分かる、レツは足に【流】で後ろに回る。
「は、はや__」
「お休み!」
スコーン!とやけに甲高い音の峰打ちを頭に喰らったハンゾーは、前につんのめり、ドォ!と倒れ伏した。
***
_夜の帳が下りた_
「う…」
「あ、起きた? 一応、治療して置いたけど。あと、安心して。プレートは盗ってないから。」
ハンゾーが気絶から目が覚めると、そこにはレツが居た。さすがに冷静になると、正攻法で二次試験後半を合格できていたであろう人物(ハンゾーは真っ先に谷にダイブ組)からの怒りはもっともなので疑問を尋ねる。
「…俺なんか放っとけば良いのに、なんでそうしなかったんだ?」
「君もスシ知ってたし、魚の扱いを見て欲しかったからかな。 …はい、コレ。」
「お、おう…。」
差し出された焼き魚を食べようとするが、パチパチと音をさせ、煙も昇る焚き火にツッコむ。
「…って、そうじゃねーよ! こんなところで、煙立てたら誰かいるってバレバレじゃねぇーか!?」
「? 僕と君、強いでしょ。 …あー確認するけど、ターゲットは’197’番でいいんだよね?」
「お、おう…。ホラ。 …ってことは共闘しろと?」
ハンゾーはナンバーカードを提示し、そして思いつく。
「あー、ホントに’197’番なんだね…。 三人揃って、ご愁傷様というか…。それと、共闘とか仲間というよりはギブアンドテイクの一対三対一を作りたいだけ。無闇に気を散らすのも良くないしさ。」
「…なるほどな…それは理解した。 じゃ、いただくわ。」
レツの話に納得したハンゾーは、焼き魚を食べ感想と仕留め方のコツを語る。
しばらくすると、再びハンゾーは聞く。
「そういや、『三人揃って、ご愁傷様』とかなんとか言ってたよな。…もう一人の、’199’をターゲットにしてる受験生を知ってる、ってことだよな?」
「うん。 その子はキルア。99番の銀髪の子。」
「あの小僧か。 じゃあ仲良さそうにしてたけど、なんで離れているんだ?」
「あ~、キルアも暗殺一家の御曹司っていう、僕らよりの人種。あと、ゴン…405番の黒髪の子が潤滑油になってたからそう見えるかもだけど、僕たちはそうでもないと思うよ。」
「は? あんなに仲良さそーだったのにか?」
「君なら分かるんじゃないの? 僕らのような人種は距離感が分からないっていう感覚。」
「…俺は、自分から喋りまくるから、そういうのは良くわかんねェーな。」
「その単純さが羨ましいな。 …ていうか仕事もそうなの?」
「いや、流石にそこらへんは使い分けてるわ。 オメーもたまには難しく考えず直感に従ったらどうだ?」
そこまで会話すると、レツは腕を組んで唸ってしまった。 それを見たハンゾーは苦笑して、さらに喋りまくる。
「あの兄弟も哀れだな~。雲隠流の上忍と暗殺一家の子供。」
「それに不思議な手段を扱う僕っていう、闇寄りの三人に狙われるとか、質も数も向こうに勝ち目がないもんねェ~」
「ホントにな~」
下手な念使いにすら、念が使えなくとも勝てる可能性がある、どっぷり闇に浸かった人間×3。
内訳は、『忍者』・『蜘蛛』・『暗殺』。 哀れすぎる…。
そういう会話をして、仮眠を交互に取った。…これも二人以上のメリットである。
~~~
〈二日目〉
「じゃ、探す所からだな。」
「うん。探知系の技を使いながら行くよ。」
「そんな技術、見せても良いのか?」
「これは誰でも出来るから、特に問題ないよ。」
「マジかよ…。 昨日の炎も謎だし、ビックリ箱みたいだな。」
念を知らないハンゾーは、その不思議すぎるモノに闇の秘伝技術的なのを気にし、尋ねるが杞憂だった。
「あはは。じゃ、はっじめるよー。(【円】!)…ん? あそこに誰かいるね。」
「おう、早速か。 多分、どちらかを狩る者だよなぁ。」
その草むらから出てきたのは、黒い丸刈り頭と点のように小さい目が特徴的で拳法着を来た男だった。
「…そちらは二人ですか。私のターゲットは男の方なのですが…武術家は常在戦場。二人で来られても卑怯、などとは言いません。お相手願います。」
「おっ、そう真っ直ぐなのは嫌いじゃねぇーぜ! 望み通り一対一で相手してやる!」
そのハンゾーの言葉にケンミはひとつ頷くと構える。
***
「俺の勝ちだな。じゃ、プレートを渡してもらうか。」
勝者であるハンゾーが言うと、ケンミはプレートを差し出す。
「いいセンいっていたが、不運だったな。また来年、頑張りな。」シュッ
そう言い残すと、ハンゾーはその場を後にした。合流してレツと再び木々を移動してると、レツが話し出す。
「…ハンゾーは優しいね。」
「あん? 一点にしかなんねーのに、一応プレートを奪った俺がか?」
「だって、分かってるんでしょ? ハンゾーにとっては一点にしかならなくても、再び挑んできたら向こうの人からすれば、一気に六点になるのに。それを防ぐには殺してしまった方が早いのに。」
「あの真っ直ぐさが、気に入っちまったからなー。俺も甘いとは分かってるが、やっぱりなるべく殺しを、回避できるならそちらの方がいいもんだ。」
「…僕以外にも、そういう不必要な殺しはしない人種に初めてあった。 僕のような考え方は少数派だと、思ってたよ。」
「あのガキとかオメーに技術を仕込んだ奴とかは違うのか?」
「う~ん、キルアは三次試験に向かう飛行船で、二人殺ってるからね。」
「…二次試験の合格数と、三次に挑戦した人数が、違うのはそれが理由か…。」
「僕の家族からは、散々馬鹿にされることだろうし。喧嘩は買うどころか、盗み殺してでもやるっていうのが半分。もう半分は今のケースだと殺っちゃう方が、僅かでもメリットがあるから殺る、っていう感じだし。」
「…失礼と分かってるが、どこの外道だお前の家族!」
ハンゾーの反応に、レツは苦笑していると、どこかへ向かっている兄弟を見つけたので、二人は会話を止めて追跡と潜伏に徹する。そこには兄弟の最後の一人と、キルアが居た。
「兄ちゃん!!」
「!? (これは、オレの勝ち、かな。)」
「ちょいと手間どっちまった。」
「そっちはもう終わってるよな。 ん?」
アモリとウモリは、キルアを目視する。イモリはドツかれるのを覚悟していたが、来ないので疑問に思い聞く。
「ヒッ ………? 兄ちゃん、怒らないの?」
「あ~、手間どっちまったのは、それが理由でな。」
「赤っ恥モンだが、狩る者に気づけなかったのに、気づいたのが302番の嬢ちゃんでな。」
「そういう理由で、あんまし、強く言えねーんだわ。」
アモリとウモリが交互に発するその言葉に、ゴクリと唾を飲むイモリ。その言葉が聞こえてるキルアは不満を抱く。
「(あいつ、オレより速く接触したのか…。なんで仕留めずに別の方いったのか、わかんねーけど。) オレはレツよりも強いから、全員でかかってきなよー。 …あんたらの中にさー、オレの欲しい番号もあるんでしょー?」
ムカチン(…ごめん、ハンゾーさん。ちょっとお灸すえに、後ろに回るよ。)
(まぁ、ギブアンドテイクって言ってたしな。それでいいぜ。)
それをしっかりと聞いてるレツ。ハンゾーは小さく溜め息をつきながら返事をする。
「ウモリ。」
「ああ、フォーメーションだ、マジでいく。こいつ、あの嬢ちゃんと同じく、タダのガキじゃねェ。」
そして、三兄弟は正面、左、右の三方向からキルアを囲む。瞬時にキルアは木から上に行き、アモリの背後を取る。そのまま鋭くした爪を突きつけた。
「コイツは’197’番か。 これくらいじゃ数はそっちが上だから折れないよね。なら…」
プレートを取ったキルアは、アモリの服の襟を掴むと、上に放り投げた後、16トン掌底を腹にいれ、イモリにぶつけた。
「ゴフゥァ!」
「ギャッ!」
そのままキルアは近づきプレートを回収する。
「あれ、こっちはレツのターゲットか。もーーーオレってこういうカンはすげー鈍いんだよな。」
そのまま、猫の耳と尻尾を幻視するキルアが最後のプレートを欲し、少し脅す。
「くれなかったら、気絶してるこの二人を放り投げるだけだから。」
「あーあ、キルアだけで終わっちゃったね。…それと飛行船の中みたいに不必要な殺しはやめなよ。」
その言葉にウモリはプレートを投げる。先ほどの会話による自信をつけたレツは、キルアを諌めるために飛び出す。プレートを受け取ったキルアは、猫の毛並みが逆立つように、鋭い目でレツに問いかける。
「……おい、あいつを尾行してて、今この場に来たってことは、この近くにいたんだよな?」
「そうだね。だから、さっきの言葉は訂正してよ。僕より強いとか言う血迷った言葉は。」
「ググ……!」
レツの言葉にちょっと不機嫌そうに表情を歪ませてイラつくキルア。実際に、決して気を抜いていたわけでもないのに、近距離にレツが居て、それに気付けないのは不服の上、暗殺者として致命的なミスである。
するとキルアは口角を上げて、のたまう。
「ならさ、このいらないプレートは…!!」ビュオオッ ギュォォォ
「ハァ、まあ予想通りの反応だけど。」
「残り五日あるとはいえ、追っかけた方がいいんじゃねぇーの?」
「わかってるよ…。 でもムカつくから…!」
キルアは遠い所へプレートを投げる。ハンゾーはすぐさま、プレートを追いかける。レツは溜め息を零し少し話すと、先ほどの挑発にムカついていたレツは【絶】とあらかじめ採った、キルアの服の中に痒みが生じる草をぶち込んだ。
「~~~~!? なんだこれ、痒ッイイイ!?」
「アハハハハ! 流石に訓練していても、痒み耐性はなかったようだね!! じゃ!」
「あっ、こら待て! レェツゥゥゥーー!」
キルアの遠吠えをバックサウンドにもう一つのプレートを足に【流】して取りに行ったレツ。
…ちなみにこの場には三人も居たが、怒涛の展開に言葉も無かった。
~~~
〈三日目〉
他人の嫌がることを考える力は天下一品な団長・クロロ=ルシルフルの子供っぽいことがあるモードの”嫌だと思うことは効果的だから、的確に他人へ行え”という躾の賜物をキルアに行ったレツは、無事?プレートを回収した。番号は’197’である。
「キルア…。ハンゾーにも気づいていてワザと逆の番号を…。 (ちょっと罪悪感あったけど、完全に無くなったね。) …どうにかして、ハンゾーと交換できたらな~。 ………さっきから感じる、このイヤなオーラはヒソカのだよね…。 居場所が分かってて、止まったまんまだね。【絶】で観察してみるかな。」
この時にはヒソカは、クラピカとレオリオの成長に欲情して、オーラや殺気を撒き散らしているのである。
そこに向かい、分析を行うことを決めた。
***
(…何があったのか知らないし、理解できないだろうけど、居た。 ……大分【練】が収まったね。【円】を使うわけにもいかないし、厄介な…。)
「…よし、行くか♦」ユラリ
そんなことを考えながら、ひっそりと潜伏するレツ。ヒソカも歩き始めた。
ちなみに、この場にはゴンもいるが、真向かいの茂みに潜伏して、気配も絶っているので、互いに気づいていない。数十秒ほど歩くと、ニィィと笑ったヒソカは走り出す。
(くっ! 速い! 追うのが精一杯だなんて!)
レツも頑張って追いかける。ほんの少し後に到着すると、胴体を覆うマントの剣士が剣を突き出し、ヒソカがその人物、アゴンを切り裂き、ゴンがプレートを横どったところだった。
(…ゴン、すご… あの、ヒソカからプレートを奪えるなんて…。 拍手したくなるな~)
そのまま、ゴンは茂みの向こうへ走り、ヒソカもプレートを奪った後、少し遅れて、そちらに向かった。
「ふぅ~~~。 …この場には僕だけになったね。 …うん、死んじゃってる…。(少し見てたけど、この武器に速くなるのを組み合わせると…? うん、相当良さそうな能力かも。) …決まり。まずはイメージ修行だね。」
~~~
〈五日目〉
同系統の武器プラス慣れもあり、早々に具現化に成功したレツ。
「うん、自由に出し入れできるね。 …さて、どんなのを作ろう? 速くなるだけなら、体鍛えるだけでいいから…。 何か別のを、制約は後回しで良いから…。 (…そういえば、この武器もういらないな。)うん。ヒソカに対してヒントもくれて、ゴンの合格の囮にもなってくれたんだったね。…せめて墓は作ろう。」
【鋭】で人一人が入る穴を作ったので、何を墓標にするか悩みだす。
(う~ん、剣だけじゃこの人ってわからないな…。 気が引けるけど、この青い服を剣に着せるかな…。 青、か。サファイアは作ってなかったね。うん封じる指輪は決まり。)
青いマントはせめて脱がすと、ナンバーカードがポトッと落ちてくる。
「(ん?) …このカードは……」
レツがそれを拾うと、そこには’302’と書かれていた。
「…この人が僕を狩る者だったのか…。もう、狙われる心配はほとんど無くなったし、どっちみち関わるはずだったんだね…。」
そして遺体を埋め、鞘ごと剣を地面に突き刺し、青の服のみ着せて、アゴンの墓を作った。
「…ありがとうございました。」
レツは諸々の事にお礼を述べた後、その場を後にした。
~~~
〈六日目〉
レツは能力付与を考えるために青い鳥がさえずる川、ゴンが特訓していた場所に来ていた。
「服の色は決まって、指輪に格納して、左手も作った…けど何を付与しよう?」
そう呟き、焼き魚と焼きリンゴを食べていると、手裏剣が飛んできた。
「___!? 何!」
「無警戒にまた、煙立てていたから、油断してると思って奇襲してみたが、いらない心配だったよーだな。」
そこに姿を表したのは、やはりハンゾーである。
「あ! やっと見つけた!」
「おう、また煙が上がるもんだから、比較的分かりやすかったぜ。…あの濃密すぎる殺気を警戒して、しばらく近づくか、悩んだけどな。」
「あー、それヒソカの。」
「あいつか…。 ってもしかしなくても近づいた、ってことだよな?」
「そうだけど、そこでね~」
「おっと、面白そうな話の前に、やるべきことやってからにしようぜ。」
「そうだったね。はいコレ。」
「オメェのはこれだよな。 …で、何を見てきた?」
’197’と’198’のプレートを同時手渡しで交換した後、暇つぶしも兼ねて、お喋りの続きをを促すハンゾー。 レツはゴンの見ていた行動のみだが、語る。
「ブハハハハ!! そりゃ確かに面白ーわ!」
クスクス「ホントだよね~。 見ていて飽きないし、僕らにはできない事だよ。」
「そうだな。 たまには単純に、つっても俺も、そこまではできねーわ。」
そんな感想をお互いに言い合っていると。
ピクッ(【円】に、ひっかかったたな…。直前で気づけたとは言え、ハンゾーと合流後、一応張っていたけど。)
「おい、なんかいるんだな…?」
「うん。おかしいね、狩る者は撃退したのに。 ねぇキルア?」
その方向を見ながら呼びかけると、拗ねてふくれっ面しているキルアが出てくる。
「チィ、なんで気づけるんだよ!? 相当自信あった、ていうかプロなのに!」
「それは僕たちも、プロってやつだからね。」
「…ていうか、この小僧、逆のプレートにしやがった奴じゃねぇーか! ちょっとボコらせろ!」
「はぁ? オレが自分の実力で手に入れたプレートをどうしようが勝手だろうが。お前が間違えたから悪いんだろーが。なんで、ボコられなきゃなんねーんだよ。逆恨みじゃねぇか。」
「うるせぇ! わかってるよ!!」
「とりあえず、皆六点あるんだし、川沿いに下って集合場所に近づく?」
「それが良さそーだな。」
「そうだな。一応、この’362’があるから、交渉材料もあるしな。」
ハンゾーとキルアが揉めていると、レツが意見を出し、二人も頷く。
最後のハンゾーの言葉にキルアは疑問を持つ。
「ハァ? この三人で負けうる奴なんているのか?」
「ヒソカのことでしょ。」
「ああ、あの濃密な殺気はヤバすぎる。 三対一でも勝ち目はないと思うぜ、俺は。」
「…確かにな。 レツはゴンのこと見たか?」
「うん、ヒソカを観察していたら、ゴンがプレートを奪うところ見れたよ。」
「ハァ!? ヒソカからか!!?」
レツとハンゾーの答えにキルアも同調し、三人は頷く。
三人は、ゆっくりと川の流れに沿って歩きながら話しだし、キルアの疑問に答えて、再び一連の展開を話す。
「アハハハハ!! そりゃ面白れーわ!」
「あのヒソカの間抜け顔を見せれないのが残念だよ~。あと、キルアも面白かったよ!!」
「あ!! そういやレツ! あんな特大の嫌がらせしやがって!! この辺りの水場を見つけるまで、痒みが収まらなくて、大変だったんだぞ!」
「フーン、タイヘンダッタンダネ。」
「テメェ…!!」ピキピキ
キルアは痒みの恨みで、レツに攻撃。
ハンゾーはプレートのすり替えの恨みで、キルアに攻撃。
レツはキルアごときに、隠密が気付かれていたからの恨みで、ハンゾーに攻撃。
三つ巴の逆恨みによるプライドのための戦闘が始まった。
その戦闘は、夜の帳が下りて、夜目が利くとはいえ、見えなくなるまで続いた。
~~~
〈七日目〉
目覚めた闇の三人組。 暇なのはお互い様であり、また声を出してもほとんど心配はないので、レツが話題提供をする。 お喋り忍びハンゾーも乗っかる。
「…聞きたいんだけどさ。 やっぱり物量って強いのかな?」
「いきなりどーした?」
「いや、二次試験前半で豚を大量にヒソカにけしかけたんだよ。すこし手間取っていたからどうなんだろ?って。」
「しかし、ただ数だけではダメだぜ。それなりに硬いモンの必要はあると思う。」
「生物は効果的ではない?」
「そうなると思うぜ。」
「う~ん…(フラン兄さんの能力みたいなのを付与しようと思ったけど、放出系のゴリ押しの代わりに。物による操作を選ぼうかと思ったけど… うん、シズク姉さんみたいに、非生物縛りとか? これだけでは、まだ足りないよね…。)」
ちなみにキルアは、ゴンがプレートを奪ったとは言え、まだ見当たらないことにピリついているので混ざらない。
レツが制約に関して、四苦八苦しながら考えてるだけで、その日は過ぎた。
~~~
〈最終日〉
ボォーーー!!と船の汽笛が響く。
《ただ今をもちまして、第四次試験は終了となります。 受験者のみなさんは、速やかにスタート地点へお戻りください。 これより一時間を猶予時間と、させていただきます。それまでに戻られない場合、不合格とみなしますので、ご注意下さい。 なお、スタート地点へ到着した後の、プレートの移動は無効です。 確認され次第、失格となりますので、御注意下さい。》
アナウンスが島に響き終わり、橋が架かりカラがチェックを入れていく。
《~~! 302番、レツさん! と、合格者はこの七名かな? あら?》
そこにゴンが呼びかけ、アナウンスは、駆け込みセーフと言い、合格を認める。
「あ! レツ! キルア!」
「おー、ゴンも無事通過したか。」
「ちょっとキルア、無事じゃないよ。全身何かに噛まれてるし。…毒は? 大丈夫?」
「うん。解毒はしてあるよ。噛まれた傷だけ。」
「なら良かった。 解毒は今すぐにはできないからね。」
そんな会話をして、キルアはムッとレツを睨む。レツはゴンを【癒しの碧玉/ホーリーヒーリング】による治療をしていて、ゴンを取られたように感じる上、二人は気にしないというか分からないが、耳年増のキルアはこの中に飛び込めないのも、弊害であった。勿論、このあとレオリオも治療した。
これにて四次試験が終わり、そのあと、レツは改めてリッポーを訪ねると、リッポーは戦闘情報を明け渡した。 それを聞き終わったレツは、【発】の有効性を感じていた。
個人的に原作から似てると思っていた、対比を入れ込みました。
光 闇
『不屈・義憤』 ゴン ハンゾー
『激情・過敏』 クラピカ レツ
『友情・短気』 レオリオ キルア
___
~完成した新たなレツの【発】の詳細です~
【蒼流星の指揮/ブルーメテオタクト】サファイア・碧玉の指輪。
左手は速度が速くなる。
右手に細剣、レイピアを具現化。
この細剣でオーラを流し、次に剣先を向けた方向に、進ませる。
〈制約〉
左手には動体視力が上がるわけではなく、肉体の耐久性もそのまま。
振り回されると悲惨なことに。
これらは使って訓練していくしかない。
右手の細剣は、無生物限定。50秒間しか直線に進まない。
念弾の代わりに物体で代用したが、合計1500kgの縛りと、複数は20個が限界。
右手の指輪は、ライトシアン。
左手の指輪は、スカイブルー。
___
キルアとレツの関係は、小説版のいがみ合いプラス「トムとジェリー」的なのをイメージ。 お互い、そこまでプラスの印象ではない。