子兎の人形師は何を想う 作:夜空人
伝説の暗殺者一族の巣・ゾルディック家敷地内に足を踏み入れたレツは、道なりに歩いていた。
「次の試練は何かな…?(一応、【堅】とルビーの指輪をしてっと。)」
レツが歩いていると、すぐ近くの茂みから音がする。
そこから現れたのは巨大な犬型の獣。 その獣にレツは身構えるが、何もしてこなかった。
「!!? ……??」
しばらく考えて、レツは先のゼブロの話を思い出す。
「この子がミケっていう番犬か…。 あのガイコツになった人を咬み殺したはずだけど…僕を襲わないのは、ちゃんと識別ができてるのかな? …できてなかったら、家主すら襲っちゃうだろうから、できてるんだね。」
さらに歩いていくと、山小屋のような物があった。 そこには煙草を吹かしている、山賊くずれのような人物、シークアントが居た。
「お? 客人とは珍しいな。」
「…君も、試練を課す人?」
「いや、俺は聞いてねえし、表で会っただろうゼブロと同じ、掃除夫だ。 俺は違ぇ。」
「なら、このまま道を進んでいくの?」
「悪りーが、俺もここで働いてそれなりに長いが、ある門より先は、知らねーんだ。 だがさらに道なりに歩くといいぜ。」
「そっか、ありがとう。」
「ふん。」
そのまま、山小屋から歩いていくと、試しの門を開けてしまった侵入者を迎え撃つための場所に、姿勢正しく立っていた。いつもは見習いのカナリアが待機している場所であるが、そこにはゴトーがいつもの無表情ながらも迎えに出たのである。
「あなたが、イルミ様から試すように、言われたレツ…で、よろしいですか?」
「そうだよ。 …となると、」
「ええ。 せめて我々、執事を超えれなければ、教えることは無いと仰せつかっている。」
「そっか。 じゃあ戦るしかないね。」
最後の言葉でゴトーの丁寧な口調が外れたのは、まだレツは『客人』ではないためである。
そして、苔が生えた地面の線からゴトーとレツは、向かい合っていた。
ゴトーの役目は、迎撃であり勝利条件は無い。 ゆえに先手を取るのは、必ずレツであり、明確な勝利条件として、線を完全に踏み越えるだけで良い。
それを互いに理解しており、ゴトーはすぐにコインを撃ち出せる構えで、睨んでいる。
一方レツは時間はある種、無制限であるので、ゴトーについて思考する。
(まずは【円】! …うん、この門以外には道はなさそう。 あたりは樹海…。 あの構えから考えらるのは、コインを『核』にした、放出系攻撃。 強化はともかく、操作とも相性がいいから、なにかしら付与されてると見るべき。 試練ってことは、自動迎撃・カウンター型のような能力だと、ほとんど突破できないだろうから、違う、というか可能性から捨てる。 なら___)
一通り思考が終わったレツは、新能力の【蒼流星の指揮/ブルーメテオタクト】で剣を突き出そうと突進する。 ゴトーはレツの膝と剣を突き出すからこそ、伸びきる腕にコインを当て、迎撃する。
まだ、その能力のスピードを扱いこなせてないレツはそのまま転んでしまう。 すぐさま、追撃のコインが来るが、そこは回避する。
「つっ!! (あの人の能力はコインを銃弾のように撃ち出せる能力、かな。 …それとは別に、なにかフィン兄さんのような、静かな怒りを感じる? )」
「どうした? その程度か?」
「まさか! 次は…」
レツはコインを一通り集めると、そのコインにオーラを流し込む。 そのまま剣先をゴトーに向けると、コインが一斉に襲いかかった。
「(なめるなよ、回転も掛かってねェコインなんざ、全部、撃ち落とせんだよ!!!)その程度でいい気になるなよ。」
「っ!!」
さらにゴトーはコインを連射し、レツは横に跳び出しながら、さらに考える。
(今の状態からすると、次の手は___)
次にゴトーに襲いかかったのは、燃え盛る木の葉だった。レツは速くなるだけの、左手は有効ではないと考え、サファイアからルビーに切り替えたのだ。 それなりに風の影響を受け、不規則に揺らめきながら、予測困難であるはずの攻撃に、的確に木の葉とコインがぶつかり、炎が舞い上がる。 ゴトーは回転を強めにかけて、コインを発射し、最後の方の木の葉を貫通しレツに攻撃する。
「言ったろうが。いい気になるなってよ。」
ゴトーは右手で眼鏡を直しながら、レツに言う。
そのまま、レツは情報収集と、能力確認に、狙う場所を変えたりして、一日目が過ぎた。
念能力者なら一週間ぐらい寝なくても大丈夫なので、このまま完全徹夜である。
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次にレツが考えたのは、木を切り倒して、それに点火して、燃え盛る丸太をゴトーに向けた。ゴトーはコインを縦にして発射し、燃え盛る丸太を真っ二つにし、残る丸太は、石の門にぶつかり、ゴトーは無傷で済む。 そのままゴトーはレツを見据える。 レツは額に大汗を流しながら後退り、トパーズの指輪をつけ、放出系に苦手であろう、インファイトを挑む。
石に関しては、すり抜けるので、何の問題もなく、振り抜ける。 その透過した剣にゴトーは僅かに驚くが、人差し指と中指に、中指と薬指、薬指と小指に、三枚ずつコインを挟み、メリケンサックの要領で剣戟を広げる。 そのままゴトーは足に【流】をして、レツを蹴り飛ばす。
「あぐッ……!」
「どうした? もう剣を振り抜けねぇのか?」
「がはっ…ゲフッ…まさか!」
一息付くと、【癒しの碧玉/ホーリーヒーリング】で自分の治癒を行い、再び挑む。
このまま、レツはゴトーの突破を成せずに、二日目が過ぎた。
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一日目は遠距離、二日目は近距離、なら三日目は? 今までの情報を加味しての、複合バトルである。
「スゥー、ハァー…。 …行きます!」
「来い、だがハンデがあるとはいえ、たった三日で突破できるほどに、ゾルディック家の執事を舐めんじゃねぇ!」
レツは今、ルビー・トパーズ・サファイアと【堅】も加味して、七倍の消耗率。 早期決着が求められる。
焼き直しのように、コインと木の葉が飛んできては、迎撃し、瞬時に切り替え、レツはすぐに駆け出して、突破を図る。ゴトーは全てを迎撃しきる事は不可能と読み、軌道を視て、飛んでくる弾に、角度の跳ね返りがレツに向かうよう、コインを撃つ。 レツはしゃがみ、ゴトーの足元を狙う。
「くっ!」
(___ここだ!)
さしものゴトーでも撃ち終わったインターバルの時に、足元を狙われては、コインの持ちかえなどもできず、飛び退いてしまい、その距離から迎撃しようとする。
レツはそのタイミングで、【蒼流星の指揮/ブルーメテオタクト】を発動させ、一気にゴトーの遥か後方に駆け抜けた。
「フゥーーー。 これで良い?」
「…ええ、お見事でございます。 今日は日が暮れます。 この先に我々、執事が常駐する屋敷がございます。 翌日、ゾルディック家本邸にお送りします。」
「ありがとうございます。 えっと…」
「失礼、私の名はゴトーと言います。」
「ありがと。 それで気になっていたんですけど、何でどこか、怒っていたんですか?」
「ええ、先ほど、キルア様の友達だと、幼く愚かで自分の事しか考えていない身勝手な反論を聞かされましてね。挙句の果てには、「いいからキルアを出せ!」などと…。」
「ハァ。 …ゴンを一回ぶっ飛ばしただけじゃ足りなかったかな。」
ゴトーとレツは歩き始めながら、そんな会話をし、最後のゴトーの言葉にレツは頭を痛める。
「…時に確認したいのですが、レツ様はキルア様の『友達』だとおっしゃりますか?」
「僕も二年前まで館に幽閉されてたから、『友達』は居なかったし、分からなかったけど、向こうの扉の前の人達曰く、『友達』らしい。 …ゴトーさんが求めてる答えじゃないかも知れないけど、実際にそうとしか返せないんだ。」
「そうでございますか。」
そのままレツは執事用の館で休んだ。
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翌日、レツはゴトーに案内され、結構な距離を歩いて辿り着いたゾルディック本邸は、屋敷というよりも城と言った方がいい位に大きかった。レツは辺りを見回しながら、先ほどからず~っと誰かに見られているような感じがするので、その出処の把握をしたかった。やがて、「こちらでお待ちくださいね」と高級そうな調度品の置かれた広い応接間に案内された。
しかしイルミはまだ仕事中らしく、しばらくの間ここで時間を潰していて欲しい、と湯気の立つミルクティーを出された。 壁の立派な柱時計がチクタクと鳴るのをBGMに、レツはゆっくりと紅茶を飲んだ。
そしてレツは目を見開いた。
(毒があるって分かるのに、それ含めて美味しい……! どうやったんだろう!?)
レツは、その方法を聞き出すことを、頭の中にメモしながら、どうやって時間を潰すか考える。
部屋の中には大きなベッド・立派なクローゼット・立派な花瓶に綺麗な花・高価そうな絵画・トイレにバスルームまで完備されていた。しかし、TVとか本はないから暇を潰す事は出来ない。クローゼットの中も空っぽ。 あまりにヒマなので、残り二つの【発】を考えるにしても、たかが知れてるのだ。
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しばらくして、仕事が終わったイルミが帰ってきた。 二人は客室から出て、廊下を歩く。
「…此処に居るってことは、ちゃんと試練を完遂したんだね。」
「うん…もしかしなくても玄関から戻ってきた? …ならゴン達が門の前にいると思うから会うはずだけど。」
「いや、オレは裏口から。 …『友達』かどうか分からないのに気にするの?」
「やっぱり気にはなるから…かな?」
「ふぅん…まぁ下手なウソつかれるくらいなら、そっちの方が誠実だけど。 …掃除夫の家で泊まっているみたいだね。なんでも『自力で試しの門を開けるために特訓する』みたい。」
「…よかった。 正面から資格を手にするように、考えてくれたみたいだね。」
「試しの門を自力で開けたところで、ここまで来れる可能性はないと思うけどね。」
「う~ん、念が使えないからねェ。」
イルミは淡々と報告をするのに対し、レツは腕を組み、首を傾げて、考え込んだ。
「…まぁ、レツならライバルとしていいかもしれない。」
「? なんで?」
「今、オレの弟のミルが逆恨みで『お仕置き』してるけど、それが終わると筋トレしてるし。」
「…そんなに悔しかったんだ。」
「そういえば、入口の門、何番まで開けれたの?」
「でも僕、【2】の門までしか開けれなかったのに。」
「え? 念使いとしては下の上じゃん。 だけど、ハンター試験の時の動きからするともう少し重い扉まで開けられてもいいはずなんだけど?」
「ん? …【絶】状態で開ける門なんじゃないの?」コテン
「……そんな決まりは無いよ。 まぁ、それなら納得だね。」
レツは首を傾げて答え、イルミとの認識のズレを修正する。
イルミとしては、レツ個人の意思を把握し、キルアに悪い影響を与えているとは考えていない。 実際さらに強くあろうと努力という良い影響の方がある。 何より互いに『友達』かどうか分からないというので、比較的フランクなのだ。
レツとイルミはそんな事を話しながら、目的の部屋に着いた。
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イルミは、早速、レツの操作系の知識の把握を求める。
「まず、どこまで操作系に可能か把握してる?」
「えっと、人や物に刺して、人形化…するくらいかな? 有利不利なのも、特に把握してないかも。 まずは、具現化を完成させろって言われたし。」
「…なら、出来ることからだね。 何かを具現化した様子も無く、強化、変化、放出系じゃ操作系は解除できないのが特徴。 操作された人間を再起不能、もしくは針などを外せば解除出来る。 操作系同士なら基本的に『早い者勝ち』。 可能性としては、特質系や具現化系の特殊な念能力なら、ありえるかな? ってくらい。 条件を満たせば、確実に勝ちなのは、メリットだよ。 不利な点としては、愛用品を手放せないってくらい。 例外として、操作を上書きする特殊な操作系、という可能性もあるだろうけど、そう言う場合は逆に条件が難しくなるから、ほとんど考えなくていい。」
イルミは続け、レツはしっかりと考える。
「次にパターンとしては、『生物操作』タイプ、『物質操作』タイプ、『概念操作』タイプがある。 『生物操作』タイプは、生き物に愛用品を刺して利用する。勿論、人に刺して人形化するのも含まれるボクらよりの人種ならよく見るタイプ。 『物質操作』タイプは、操作する媒体もセットに持ち歩くタイプ。 ちょっと珍しいのが、『概念操作』タイプ。 機械類を用いれば観測はできるけど、人の目には見えない特質よりの力。 それと、よく効果を強めるのに称される制約も説明する。 これも、[説明]・[承認]・[契約]に分類される。 いずれか一つでもかなり強力になるよ。」
「う~ん…」
「…でも、これらのパターン化されたケースで、求めてるのは操作力自体を強めるものだよね?」
「うん。 僕の持ちたいのは、『生物操作』タイプかなぁ。」
「その中で細かく分けると、{強制・半強制}型、{要請・条件}型、{催眠・誘導}型になるけど、いずれも容量がほとんど持ってくから、かなりキツくなる。」
「御もっともなんだよね。流石、操作系のプロフェッショナル。」
「だから、アレと称したのを教えるよ。 オレは使わないけど。 で、【神字】っていうんだけど、知らないんだよね。」
「…全くピンと来ないから、僕の家族は使わないんだと思う。」
「ここまで講釈しておきながら、愛用品が見つからないと、意味ないんだけどね。」
「それは、なんとなく決まってる。 刺す物がいいなって。」
「…それなりに考えていたんだね。 【神字】の勉強の前に、武器庫かな。」
~~~
二人は滅多に使われないが、きちんと掃除されてる、武器庫にきた。
「オレもそこまで来ないんだけどね。 でもインスピレーションが大事だからか、それなりに揃えてるけど。 そこからオーダーメイドだね。」
「短剣とか暗器の類がいいんだけど。」
「それはここの棚かな。」
そしてしばらく探してみても、パリイングダガーやトレンチスパイクといった、短剣もあるが、ピンとは来なかった。 そこで、さらに広い定義として、片手剣の類を見てみる。
「……これがいいかな。」
「うん? それはフリントロックソードやガンブレードといった、『銃剣』と呼ばれる武器だね。」
「それでイルミさん。 この刃渡りを短くすることって出来る?」
「それくらいなら、時間はさほど取らない…けど、でも一朝一夕じゃ、できないよ。」
「分かった。 その間に【神字】の勉強をするのかな?」
「そうなるね。 それと、会わせたい人もいる。」
「??」
「…でも、まだ【発】が完成してないんだろう?」
「うん。」
「なら、完成させてからだね。」
そう、イルミがまとめ、レツは再び客室に戻った。
~~~
「こちらでしばしお休みください。夕食の用意が整い次第お呼びいたします。」
「ありがとうございます。」
レツは最後の【発】に関して、思考していた。
(う~ん、今のは、ダイヤに格納するかな…。 どっちみち武器が完成してからじゃないと。 最後のアメジストはどうしようか? やっぱり見ていて、クロロ兄さんやコル兄さんみたいな、これから作る操作系を補うものを考えたいな。 …でも、これは誰にも教えちゃダメな切り札になる。)
ということをしばらく考えた。 …ちなみに夕食もしっかり毒入りであることを把握した上で、食べていた。
~~~
翌日、元となる武器があったので、いうなればコルトパイソンダガーとでも言うべき銃短剣が二本、レツの元に届いた。
しばらくは、朝に武器の操作性付与、残り一つの【発】の思考。 昼は、武器の手応え確認。
夜はイルミの操作系に許されることの確認、執事の【神字】の文字とできることの講義だった。
そのまま一週間が経過した。
「うん…ダイヤはこうかな。 あとこれを補いえる、紫の【発】だね。 …名前は、人形…劇。 うん、【舞い踊る僕の人形劇/ステージオンマインドール】かな。」
さらに一週間後。 ようやく切り札たる、最後の【発】が完成した。
まずレツは与えられた部屋でのんびりしながら、再びクロロに電話を掛けた。
「クロロ兄さん、【発】完成したよ。」
『…早いな。 まぁ、それはそうとして、どんな武器だ?』
「えっと、短剣と操作系と細剣になった。(最後の一つは秘密にしないとね。)」
『…なるほど………』
「クロロ兄さん? もしもし?」
『いや、覚えたばかりの【発】をコントロールさせる場所などを考えていた。 …そうだな『天空闘技場』に行くと良い。 そこに扱う獲物が近い、フェイとシャルを向かわせる。 しっかりと鍛えてもらえ。』
「分かった。」
『それと、観察眼もそこで養ってもらう。 どちらが勝つか賭けると云う物で、そこで5億は稼げ。
あと、200階までは、両手を使うことを禁ずる。 シャルが探知するから、ズルしてもバレるぞ。』
「そんなに稼げるものなんだ…。 そのハンデも頑張るよ。」
『じゃあな。』
「うん。 またね。」ピッ
そこでレツはクロロとの電話を切り、レツはイルミにも報告することにした。
「イルミさん。ようやく【発】が完成したよ。」
「遅いよ。 じゃあ、着いてきて。」
レツはゾルディック家に来てから、17日目にして、一段落した。 正直、かなり速い部類だとレツは思ってるのだが、イルミにとってはそうでは無かったらしい。
【発】が完成に至ったところで、イルミの発言に、レツは首を傾げ、着いていくことにした。
~~~
「さ、ここだよ。」
イルミはレツに扉を開けることを促し、それを不思議に思いながらも、レツは扉を開ける。
扉を開けた瞬間、無数の紙吹雪を蛇のように連ね、集中して飛ばされてきたので、レツは左手の【紅くなる灼熱/フレイムバースト】を突き出し、燃やすことで防ぐ。
「な、何?」
レツは落ち着いて、扉の先に居た人物を見る。
そこには、顔面に巻かれた包帯に、異様な存在感を放つモノアイのスコープをつけた、豪奢すぎて時代錯誤なドレス姿という服装からして、女性に、黒地にきらびやかな花の刺繍が施された女児用の振袖を完璧な着付けで着こなした、おかっぱに口元のほくろが子供ながらに色っぽい10歳前後の子供。
先ほどの攻撃は、こっちの子供の方らしい。すると貴婦人の方から、自己紹介が始まる。
「私、イルミやキルアたちの母でキキョウと申します。こちらは末っ子のカルトちゃん。以後、お見知りおきを。」
キキョウさんの言葉に合わせてぺこりと無言で頭を下げるカルト。
「えっと………レツです………………宜しくお願いします。」
「それではレツさん、御両親はどんなお仕事を?」
「…僕の家族は、兄や姉はいるけど、他はいないです。 …イルミさんに似ていた、兄と暮らしていた時も、他の家族は知らないです。 仕事は…殺しかな?」
「ご趣味や得意な事は?」
「あの、料理と裁縫と掃除と癒しの技術が趣味です。(最近やっていない以上、人形劇は…違うかな?)」
「まぁ!女の子らしくていいですね!」
「そうなんですか?」
「それとレツさん、あなたは今お付き合いのしている男性などいらっしゃいますか?」
その質問にレツは首を傾げ、答える。
「えっと、どういう意味ですか?」
「あら、ごめんなさいね。」
「あのー、キキョウさん? 結局質問の意味は一体………」
「いえ、キルはずっとゾルディックの中で育ってきました。だから外の人間と関わる機会はほぼありません。あの子の交友関係の全ては、家族、使用人、標的の三つと言っても過言ではなかったのですよ。」
(…それは兄さんが居なくなる前の僕みたいだな…。)
「そのキルが私と兄を刺して家を飛び出し、初めて外の世界に触れました。無論戻ってきてくれましたが。その時に知り合った男の子達が来たときは、それはもうたいそう憤慨しましたとも。」
「思ったんですけど、本当に外の世界を知る前の僕みたいなところなんですね…。」
「あら? あなたの家も?」
「今は、もう無いですけど…。 でも外の世界は本当に危険で、ある程度の強さがないとダメで。 それを知ってるからなんですけど。」
そのキキョウの話にやはり少しは共感できるので、レツは聴いていた。
「…どうやら、悪いことばかりでは無かったようですわね。 まさか、女の子の知り合いまで作るとは、少し予想外でした。 ………レツさん!」
「何ですか?」
「私はキルの、ゾルディックの事を考えると、一つ私の息子達には足りないものがある事に気づきました」
「イルミさんにも? それって一体――」
「女性です!あの子達には、ガールフレンドの影も形もありません!このままでは、ゾルディックは途絶えてしまいます!」
「……………?? (えっと、なんて言ったらいいのか分からない。)」
「だからレツさんをキル、もしくは別の息子達のお嫁さんにもどうかと思いまして」
「話が飛躍してますよね? でも、具体的には分からない…。(全く脈絡ない、と思うけど…)」
「色々な特技が、嫁らしくていいじゃないですか。まあ家ではほとんどの事を使用人が行いますけど。」
「それって、今までの技術の有無関係無いような…?」
「実力としても、イルミが認めたのであれば問題ありませんし、思想も私たちに近いものを持っておられる様子。 おまけにそこそこの毒物は聞かないようですわね。」
「それは今の家族のおかげですね。」
「まあ基本家業は男性陣が行うので、レツさんは家にいてもらって構わないのですが。」
「はぁ。」
「この家に来て全く物怖じしないというのも素晴らしいです。中々の度胸に実力。後、容姿が可愛いのもポイント高いですよ。綺麗な金髪と翠眼ですわね。」
「あの………ありがとうございます。」
「そういえば、あなたの出身地は?」
「…本当に分からないんですよね。 しっかりと覚えてるのは、兄さんに着いていって、人形店を営んでいた時。…それ以前は、思い出したくもないですね…。 兄さんが居なかったら、どうなっていたか…。」
「ふむ… あなた、流星街出身? 私と同じところの。」
「名前が無い土地ってことは把握してる位で、正確に何処かは分からないんです。」
「となると、ますます流星街の可能性が高いですわね。 あの土地の流星街という名前は、通称というだけで、一切の干渉がない、政治的空白地でありますもの。」
そのキキョウの言葉に、レツは苦い表情を浮かべながら、聞いていた。
すると、キキョウは何かを考えだし、結論を出した。
「なるほど…。 だからその手の知識がなかったのですね…。 なら私が、同じ流星街出身として素敵な女性になれるのか、特と教え込みますわ!」
「あれー?」ズルズル
レツはキキョウに首根っこを掴まれて、どこぞに連行された。
ちなみにイルミとカルトもこの部屋にいて、レツの目配せにも気付くが、どうにもできないことを知ってるので、何もしなかった。
色々考えた結果、執事長のゴトーが迎撃するのが自然かと思いました。
あれだけ、執事がいるなら、【神字】を扱える人もいるかと。
あと、滅多には使わないどころか、原作では出てきませんが、流石に武器庫はあると思うんです。
【舞い踊る僕の人形劇/ステージオンマインドール】ダイヤモンド・金剛石の指輪。
生物の中で動物(無論、人間も)なら操作可能。『人形』には例外で操作可能。
また操作のレベルとして{半強制}型が限界。 意識までは奪えない。左右に対応した目をウインクで閉じることにより、視界・聴覚ジャックはできる。
コルトパイソンの銃身を、ガンブレード状に短剣を付加改造したハイブリッド武器
コルトパイソンダガーを愛用品としている。 柄の部分にある【神字】がベース。
(コルトパイソンダガーのイメージは、
ガンブレードの刃渡りは25cm~30cmくらい短い位です。)
〈制約〉
最大、二体が限界。そのため武器も西洋のガンマンのように納めてる。
言語機能は奪えない。
鞘に納めてないと、24時間で【神字】は消えただの武器になる。
付与できるのは、短剣と認識できるものに限る。
右手の指輪は、ホワイト。
左手の指輪は、シルバー。
アメジスト・紫水晶の指輪は作ってはいます。
文字通り切り札というか、秘密にすべき事ですので。