元祖 オラオラ系(物理)女子プラスアルファ   作:パッパパスタ

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 突然TS物ににはまった挙句、ワンピースのを書いたくせにすぐに飽きてやめてしまった自分。
 
 そして、最終的にジョジョでも書いてしまった始末。

 
 
 あーもう収拾つけられねぇよなあこれ!!!!

 


 第一話 “彼女”との出会い

 

 突然の報告を許していただきたい。

 自分こと、俺「八重樫 勇」は転生者である。

 

 ありがちのような言い出しから始まったが、「転生」といってもライトノベルなどでよくある、神様に出会ってチート能力をもらって剣と魔法の世界で最強で.......だとかそんなヌルゲーのような神様転生などではない。

 

 至って普通の、神様転生特有の『特典』とも呼ばれる恩恵の類は何もない───いや、前世の記憶を持っているだけでも相当な“特典”とも言えるだろうが、今の自分は特別に何か特別な能力を持った人間ではないし、魔法も存在しない前世と変わらぬ世界に生まれ落ちた一般人だった。

 

 二度目の生を受けた当初は、やはり流石に物語のようにはいかないようで、母のお腹の中にいるころから意識があるだとか、赤子の時から天才性を発揮するとかは一切なく、体が成長して自我を持てるようになってから、徐々に意識が蘇ってくるような感覚だった。

 

 そして、ようやく“自分”という意識が完全に浮かび上がった3歳ごろ。

 前世の家とは似ても似つかぬ広い屋敷のような家の奥にある居間の、『土管』のようなテレビから聞こえてくる音。

 『マクドナルド東京銀座店3周年』だとかいう言葉は、初めて耳にしたときは首が180度回転し、3歳児の柔らかい首など落ちてしまうかと思うほどに衝撃を受けたのを今でも覚えている。

 

 前世の知識の中の、いつか見た歴史かなんかの資料集に載ってたマクドナルドが日本に初上陸した西暦。およそ『1970年代』ジャストほどだったはずだ。

 前の世界での西暦は2019年だったから、小さくなるまで使い込んだ鉛筆のような大きさの指を一つ一つ折りながら数えてみると、自分は約50年もの長い年をタイムスリップして転生してきたということになる。

 確かに外を歩く人たちの服装は少しだけ前時代的だなと思ったし、車の音も聞く機会が少なく、ましてやテレビがあのようなドラム缶だというところから薄々は勘付いていたものの、50年も前の世界にきてしまうとは軽く絶望ものだ。

 

 そして何より、暇を潰すものというのが少しもない。

 考えてみればファミコンだとかそういうゲーム機の台頭は1980年代からだったろうし、仮にあったとしても2019年の最高峰のゲームに慣れている分、いくら原点回帰で楽しもうっていったってものの数十分で飽きる。

 しかも、3歳児の俺の目の前に両親から出されておもちゃはまさかの『植物図鑑』

 原点回帰どころか電子の「で」の文字もないものなんて、普通の三歳児どころか精神大人の俺だって読む気しないわ。

 

 だが、いくら口で反抗しようとも舌の筋肉が大人ほど発達してないことに加えて、二回目の両親に気味悪がられて捨てられたりでもしたら困る。

 

 結局、だーだー言いながらも母の膝の上に乗せられ無理やり読まされるハメになった。

 

 

 

 

 

 ───いや、意外に面白いなこれ。

 

 

 

 

 

 

 「おい、メシだ」

 

 目の前に差し出された、襟元についた鎖を揺らす()()───『空条承太郎』の粗雑な言葉遣いと着崩した特注の学ランとは正反対の、花がらのこじんまりとしたお弁当。

 

 最早渡される事も学校に行く日の日課のうちの1つとなっているが、それは彼女が「高校のうちは私が作る」と言いだしたのがきっかけだった。

 はじめは幼馴染にお弁当を作ってもらう喜びよりも、同級生に作ってもらっているという気恥ずかしさが勝っていて、なおかつ同級生にからかわれたこともあったが、流石に一年間も続けばそれに慣れてくる。

 そして、いつものように彼女の絹のように白く、お世辞にも力強そうに見えない手から受け取ると、それを学校指定のカバンへとしまう。 

 ここで重要なのは、承太郎に対して感謝の言葉を述べることだ。

 別に、何も言わなくたって彼女が俺に対して暴行してくるだとか、陰険に扱ってくるだとかそういうことはないが、言うとその日の彼女の機嫌が少し良い───ような気がする。

 

 「おう。いつもありがと」

 「───ふん」

 

 まぁ、それも外国人の血が入っている彼女の高い鼻を鳴らす程度の影響しかないようだが。

 

 「ほら、行くぞ」

 

 彼女がまるで、その綺麗な髪と一体化しているような帽子を被り直すと、地面スレスレまで裾を垂れさせながらポケットに手を突っ込んで歩く。そして、いつものように彼女の隣まで追いつき、仲良く並んで登校する。

 

 こんな彼女との関係はおよそ十数年年ほど前から、多分幼稚園に入る頃ぐらいからだろうか。

 

 きっかけはなんてことない、親同士のつながりからちょくちょく母に連れられて彼女の家に遊びに行ったりして、加えて家が近所であったこともあっていわゆる幼馴染と呼ばれる関係まで発展したのが今の俺達。

 

 初めてあった時の彼女はそれはそれは可愛らしい少女で、今の姿とは全くの無関係とも思えるほどにその性格は大人しく、母の背に隠れながら自己紹介をしてくるほど恥ずかしがりやな典型的な日本女児であった。

 

 当時の自分───生まれ落ちてまだ数年ほどの自分は、これから始まる同世代の子供との接し方について悩んでいた。

 それもそのはず、体は年相応に小さく、わんぱく小僧といった感じではあったものの、精神年齢だけは残業したてのサラリーマンのように落ち着いた雰囲気を醸し出す異様な状態であったために、周囲に馴染めるかどうかが本当に心配だったのだ。

 そして、あーでもないこうでもないといかに頭空っぽの子供らしく振る舞えるか試行錯誤すること数カ月。

 入学式は絶えず段々とこちらへと近づいていき、もうこうなったら自暴自棄になってやるとまで追い詰められそうになったある日。

 そんな自分を見兼ねたのか、はたまた元からその予定だったのか。いかにも未来への展望が持てませんといった感じの俺を連れて、母は家を出てある場所へと足を運んだ。

 

 家を出て、角を右に左にまっすぐ、豆腐屋を曲がって更に先。

 目の前にはうちの家と同じぐらいの大きさの、広い広いお屋敷のような家が建っていた。

 母がまるでいつもしているかのように慣れた感じで「聖子さん」と呼びかけながら玄関の戸を叩くと、奥から女の人が一人。

 日本人の平べったい顔とは違う、スッと通った高い鼻筋に、人形のように綺麗な青い目をしていた。

 

 「あら、あなたが勇くん? はじめまして。ホリィおばさんとも、聖子おばさんでも、どっちでも気軽に呼んでね」

 「こ、こんにちゎ......」

 

 背の小さい俺のために、彼女はわざわざしゃがんでまで視線を合わせた。

 精神年齢は大人であるのにも関わらず、見慣れない外国人───ホリィさんが流暢な日本語を使って話しかけてきた様子に思わず年相応の反応をしてしまう自分。そんな自分に少し嫌気が指したが、それはホリィさんがなにやら彼女自身の背後に語りかけていることに気づいてかき消された。

 

 ほら、と半ば強引にホリィさんの影からひっぱり出された一人の少女。

 横の母親から、あらかわいいという感想が耳に入ったが、確かにその感想を肯定する言葉を口に出してしまいそうになるぐらい、その少女はかわいく、可憐だった。

 

  「こ......んにちっ.....わ」

 

 あまりにたどたどしく、先程の自分のほうが幾分もマシだと思わせるほどに遠慮がちに吐き出された言葉。そのまま、正確には『言った』というよりは文字通り『吐き出した』といったほうがいいというまでには。

 

 ビクビクしながら少女は自分の返事を待っていて、こちらが「こんにちわ」とすかさず返すと、まるで花が咲いたようにその笑顔をこちらに見せてきた。

 このぐらい大人しそうな子供なら自分でも仲良くなれそうだな、そう思って少し安心したのもつかの間。

 

 「ほら、昨日練習したでしょう?」

 「う......うんっ」

 

 一体何を言うんだろうとポケーっとしながら考えていたあの日の自分を叱ってやりたいほどに。そこで、初めて聞かされた、どこか遠慮がちに少女が呟いた彼女自身の名前。

 

 「えと、わたし、じょーたろーっ!よろしく!」

 

 じょーたろーじょーたろー、ああ、じょうたろうか。すこし男っぽいというよりかは、だいぶ男の名前ではあるものの、やはりこういうのも日本と海外との文化の違いなのだろうか。

 

 (あーはいはい、じょうたろうね。じょうたろう、くうじょうじょうたろ───空条承太郎っ!??)

 

 その、「空条承太郎」という名が浮かんで、先の考えは心の中に一ミリも残さずに粉砕されてしまった。

 

 母の背からチラチラとこちらを伺う少女は“あの”空条承太郎───あの年がら年中大人になっても学ランの冷静沈着最強スタンド使いの『空条承太郎』の幼い頃。

 

 思い当たるのは前世の記憶。

 自分が“あっち”で生まれるずっと前から連載されていた漫画で、アニメもここにくる数年ほど前から放送され多くのファンに愛されていた『ジョジョの奇妙な冒険』

 その“部”ごとに主人公が変わる物語の中の第3部、『スターダストクルセイダーズ』の主人公の名前が、確か『空条承太郎』だったはずだ。

 

 それに気づいた時は、前世の時の家族には失礼極まりないが、自分が漫画に世界生まれ落ちたということにとても喜んだ。

 自分は剣も魔法もない、前世と何も変わらぬ世界に生まれたのではなくて、漫画の中で、加えてもしかしたら自分もスタンドの才能があるんじゃないかという希望。

 

 もう、その当時はウハウハで、一瞬のうちに二度目の無双状態の展望の妄想が頭を埋め尽くした。

 

 スタンド。幽波紋、超能力───。

 自分のは一体どんな姿なのだろうか。やっぱり承太郎とか仗助とかのと同じ人型で、筋肉ムキムキのボディなのか、それともしげちー然り群体型の多数系のやつか。

 そして、やっぱり最大の楽しみは1つで能力だ。流石に6部以降の少し能力を理解することがややこしいスタンドなどは遠慮したいが、それでも『特殊能力』というものは誰しもが憧れる。

 

 もしも、自分にスタンドの適性があれば....二度目の人生を送っている時点で適性自体は得られてそうなものだが、しかし、ここで少し疑問が一つ浮かぶ。

 

 確かに“スターダストクルセイダーズ”の主人公は空条承太郎で、かつ時代は1980年代ほどではあったが、目の前にいる少女───自らを空条承太郎と呼ぶ彼女は、もとの原作においては立派な『男』、それも筋骨隆々で、パワーとか、男とかいう言葉が最も似合いそうな人物であったはずだ。

 

 しかし、どうだろう。

 目の前にいる少女はそのような野蛮な言葉とはかけ離れた一輪の華のような可憐さで、肩辺りまで伸びているツヤのある少女の髪の毛は、彼女が『男』ではなく『女性』であるということを誰よりも主張していた。

 

 いや───でも太郎で女の子ってどうよ。

 

 これが承太郎だったからいいものを、もし普通の女の子、2019年代の子供に名付けたりしたらキラキラネームどころかギラギラネームで周囲から浮いて娘自身からも嫌がられるんじゃないか.....?

 

 良くも悪くも、今考えると彼女に対しては大変失礼だったと思うが、そのような事を思い浮かんだのが彼女との最初の出会いだった。

 

 彼女が、あの可憐な少女が空条承太郎で、後に吸血鬼DIOと相見えることとなる“あの

”空条承太郎───。

 原作通りに、一寸たりとも変わらずにそれに沿って進めば彼女はDIOを倒す。多大なる犠牲───花京院、アブドゥル、イギーという三人の仲間を失うことにはなるが、彼女の最愛の母の命は助かるだろう。

 

 承太郎、彼女と出会ってから幾度も幾度も考えた。自分でも少し買い被りかもしれないが、自分はこの『ジョジョの奇妙な冒険』においては異分子の存在であり、唯一流れを変えてしまうかもしれない存在だ。

  それまでは自分のスタンドを使って活躍するヒロイックな場面を妄想したりなどは幾らかはあった。

 しかし『自分のせいでDIOを倒すことに失敗するかもしれない』という事に気づいてからは、まったくそのようなことは思わなくなった。

 

 DIOを、ジョースター家の宿敵を仕留めるのは彼女であり、道中の敵を倒すのはジョセフ、アブドゥル、ポルナレフ、イギー、花京院でなければならないのだ。

 異分子が、俺のようなただの一般人がその中に入って一体全体何をする?

 結局自分は、スタンドなんてものは持っていなかった。

 自分は、ポルナレフのように数年間も修行していないし、花京院のような機転もきかない。アブドゥルのように冷静でもジョセフのように狡猾でもなく、イギーのように根性もない。

 

 ───なにより、承太郎のように、俺は、『強くない』

 

 気づいたときには、もう原作に介入しようなどという甘い考えは頭からきれいサッパリ消えていた。

 

 ならせめて、承太郎がエジプトへ旅立つまで。

 自分は裏方に徹して、なるべく原作の展開には影響を与えないようにしなくては。

 そう繰り返し自分に言い返すように、毎日彼女の顔を見るたびに思い返していた。

 

 

 

 

 

 そして、時は移って数年後。

 

 おそらく、考えるに“あの”クールな空条承太郎の伝説が始まったあの瞬間。

 『ジョジョの奇妙な冒険part3 スターダストクルセイダーズ』の始まりに当たる、空条承太郎がDIOとの闘いに身を投じることを決めたその数日後。

 

 瞼を開け、何故か凝り固まったような気がする首をさすり、状況が掴めていない頭を強制的に起こす。

 寝ぼけ眼を擦りながら思い出すと、どうやら自分はいつのまにか座りながら寝てしまっていたようだ。

 ふいに、左を見れば、申し訳ない程度にある小さい窓に映る、おおよそ日本では見ることのできないだろう絶景のオーシャンビュー。ギラギラと光る太陽に照らされ、虹色に発光してるかのように水面は揺れながら自己主張をしている。

 

 そして極めつけに、右を見れば、『帽子』を───髪と一体化したかのような“それ”を斜めに被り、寝心地の悪そうな背もたれにもたれかかって目を瞑る女の姿。

 

 

 咄嗟に辺りを見渡せば、そこで気づいた。

 

 

 ──────何故か自分は、いつのまにか........『飛行機』に乗っていた。

 

 

 

 




 
 
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