銃は地球人類が生み出した最高の文明の利器である   作:ジャーマンポテトin納豆

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なんだか数日前に日刊ランキングにランクインしてたのがとんでもない驚きです。
結構知らない内にランクインしてて気が付かないなんて当たり前の様にあるのでもう私はどうすればいいのでしょうか。


読者の皆様のお陰です。
本当にありがとうございます。どうぞこれからも本作とポンコツ作者をどうぞよろしくお願いします。


それでは本編をどうぞお楽しみください。


空戦、そしてエルフ族との邂逅

今日は漸く3日目だ。

エンジンの暖機運転を完了したら車輪止めを外し、疾風に乗り込む。

そのままブレーキを外し、フルスロットルまで押し込みエンジン出力を最大まで上げていく。

 

段々と速度が上がって行き、ふわりと機体が浮く。

脚とフラップを格納し、そのままエンジン出力を最大に保ったまま上昇を続けていく。

今日は快晴で雲一つ無く、上昇すればするほど遠くの方まで見渡せる。

 

ただし今日は昨日よりも1000m程高度を上げた。

今現在の高度は4000mだ。マッピング出来る範囲は70km程。

1往復で140km稼げる。

 

今日はそれ程、マッピング距離は稼げないだろう。

良くて1往復ずつできるかどうか。今日は念の為に改造して増槽を1つだけでは無く3つ、200Lの物を装備している。

昨日までの2つ増槽を取り付けている時、1100kmぐらい延長されているから単純計算では大体550km程の航続距離の延長がされている筈だ。

それでも1往復約900kmもあり、更に行き帰りの分の燃料を計算するとキツイ。

合計して約3000kmの航続距離がある訳だが、それでも1往復半すれば滑走路に戻るのはギリギリになる。

 

 

クソ、やはり航続距離の問題はデカいな……今までもそうだったがこれじゃ大した範囲をマッピングできずに終わってしまう。

実際そうなのだから何とかならないものか。以前一式陸上攻撃機の航続距離は6000kmだ。大体今の2倍以上の範囲を稼げるわけだが……それでも3往復程度しか出来ない。

 

 

 

 

 

もっと航続距離の長い航空機となるとそれこそジェット爆撃機レベルになる。

一応見てみたが幾つかの機体があった。

B‐52戦略爆撃機は約14,200kmにもなる訳だ。最大爆弾積載量は約16t。

正直これ程の航続距離ぐらいは欲しい。爆弾を搭載せずに燃料タンクを増設する改造を施せばもっと伸ばす事も出来るだろう。

 

こいつは運用が始まってからもう既に65年と半世紀以上経っているのにもかかわらず未だに現役で運用されているという、とんでもない航空機なのだ。

 

性能に関しても申し分無く、速力、爆弾積載量、航続距離のどれを取っても一級品だ。

全長47,55m。

全幅56,39m。

全高12,41m。

最高速度は時速1028km/h。

爆弾積載量は最大で16,6t。

航続距離は14,162km。

 

今現在俺が扱っている疾風よりも全ての性能が上だ。

 

 

 

それ以外にも目立ったのは、「富嶽」という日本陸軍の超大型爆撃機だ。

エンジンは殆どの人間が見慣れた4発では無く、6発。

全長は46m、全幅63m、全高8,8mでB‐29よりもでかい。自重だけで42tもあり、さらにそこに燃料や爆弾を装備すると122tという戦車よりも重い物が空を飛んでいるのだ。

 

それだけデカいのにも関わらず速力は時速780km/hと同年代のレシプロ戦闘機よりも早かったりする。ギリギリ速度が近いのはP51Hだがそれでも富嶽に速力で負けている。

 

それだけに留まらず驚く事はもっとある。こいつ、航続距離が19,400kmという、余りにも馬鹿げたものだ。

しかも爆弾積載量が最大20tという本当に何を考えているのか分からない。

B‐29ですら航続距離は9000km、最大爆弾積載量は9t程なのだからそのスケールのデカさが伺える。

 

20tともなると殆どの軍事基地を一撃で吹き飛ばせるじゃないか。

飛行場に至ってはでかい穴がいくつも開けられて修理するだけでとんでもない時間が掛かるし、1t爆弾を20発も落とせばそれこそ暫くの間は使用不能になるだろう。

爆撃なのだから1機単位で行う訳も無く数十機単位でやるとしても30機で爆弾の量は600t。こんなもん桁が違いすぎて分からん。

 

B‐52と単機ごとの勝負でも速力こそ劣っているがそれ以外の面で勝っている。

最大爆弾積載量がジェット爆撃機よりも多いってどういう事だ。

 

今俺が乗っている疾風と比べても爆弾積載量は250kg爆弾2発。合わせて500kgにしかならない。富岳は20tだから40倍、航続距離は3000kmと19,400kmと比較にすらならない。重量だって自重の時点で疾風のフル装備よりも遥かに重く、上昇限度も富岳の方は15,000m以上とそもそもの段階で比べ物にならない。

まぁ戦闘機と爆撃機を比べるな、という話なんだがそれでも比べてしまうのは人の性だろう。

 

この性能での設計段階の運用思想が日本本土からアメリカ本土を直接爆撃して、そのまま当時結んでいた三国同盟の一つであるドイツに着陸、そこで補給を受けた後、アメリカ方面に向かって再度爆撃するかソ連方面へ飛んでそちらを爆撃するか、というどちらにしろ世界一周をするようなことを考えていた機体だ。

 

 

と長々と説明したが、そもそも爆撃機と言ってもこの世界では爆撃目標何て物は無いに等しく、それこそ戦闘機に搭載出来る程度の爆弾でも十分な建物が殆どだ。

鉄筋コンクリートの様に頑丈に出来ている訳では無く、精々が石造りで殆どは土壁や木造。最悪爆風だけで吹き飛ぶレベルの建物しか無い。

 

失礼だとは思うが王城を引き合いに出させてもらっても20tもいらない。その半分程度で完全に破壊する事が出来るだろう。

本当にとんでもない物を考えていたな、日本陸軍は。

 

 

 

 

で、何が言いたいかと言うと。

 

偵察目的のためにB‐52か富岳のどちらかが欲しい。

 

別に爆撃をする訳じゃないから燃料タンクを増設すればもっと飛べるだろう。

万が一爆撃をすることになったとしても搭載量が馬鹿みたいに多いから何とでもなる。

ただ問題なのは搭乗員の方だ。

 

B‐52で5名。

富嶽に至っては13人という大人数だ。これだけの人数を集めるのは並大抵の事じゃない。

まぁ特に何をするわけでも無いから操縦を担当する俺以外は遊覧飛行になってしまうだろう。それはやはりしょうがない所なのだろう。

 

搭乗人数と速力で言えば圧倒的にB‐52なのだが。

それ以外の性能は何故か大戦中の富嶽の方が良いというもう何なのか分からない。

 

どちらを選ぶにせよ、そもそも搭乗員を集める所から始めなければならず今すぐには無理だ。緊急時の脱出訓練もやらなければならないしそれ以外にも機器の操縦訓練を行ったりもしなければならない。

 

 

 

今は疾風でのんびりと進めて行く事しか出来ない。

そう言う訳で疾風の機内でそんな事を考えながら飛び続ける。

と言っても範囲が被らない様に真っ直ぐ飛ぶだけでいいから楽なんだが……ん?

 

距離的には左方向のまだマッピングが終わっていない方向に約6km程先に黒点が幾つか見える。

何だあれは?まぁまだ行程の半分程度だし、あと2時間もすれば大森林の端に到着するだろう。

それに万が一聞いた事しかないが飛竜や翼竜という奴ならば速力の面で振り切れる筈だ。流石に音速を超えるような奴が居たらもう俺は終わりだな。

 

 

 

 

 

 

そう言う訳で大森林の端まで到着し折り返す。

そう言えばさっき、他の木々が生えている場所とは若干違う場所があった。

具体的に言うと枝の密度が少ない気がしたのだ。

 

 

そして幾らか進むと、かなり遠くの方に大きな裂け目が見える。

 

おいおいおい、この距離から見る事が出来るって相当デカいぞ……グランドキャニオンなんて目じゃないぐらいのデカさじゃないか?

 

しかし今直ぐに裂け目に向かって進むわけには行かない。

最優先はマッピングだ。正直あまり距離を稼げていない思われる。

一応これでも1、2日目の合計で440km程の範囲をマッピングしたのだが……

今日の1往復分の140kmを合わせて580km程か。

恐らくだが裂け目まで40~50kmぐらいある筈なのだが余りにもデカすぎて裂け目の端が見える。

 

という事はあのあたりがオール大森林の中心付近と言う事だ。

そうするとあれとは別の場所にエルフの村があるという事か。

 

……今日はマッピングをやめて裂け目の方に行ってみよう。駄目だ、好奇心が勝ちすぎてちょっと抑えられそうにない。

 

しかし直径で換算すると1250kmの森か……

デカすぎだろう。

 

取り敢えず、反対側の端に到着したら一旦燃料補給をしよう。

 

 

 

 

 

途中まで進んできたのだが……

先程の黒点にまた近付いてきた。

双眼鏡を取り出して覗いてみると、予想していた通り翼竜なのか飛竜なのかどちらかは知らないがそれだった。

 

俺が飛んでいる4000mよりも2000m程は低い所を飛んでいるらしい。

これならば上昇してきても躱せるな。

 

ん?高度を落して行った?どういう事だ?

 

しかもかなり急に高度を落したから何かがあるのだろうが……

餌でも狙っているのか?

 

なんか興味あるな。

少し機体を横転させて固定する。

そして双眼鏡を覗くと、森の中にいる何かを狙っているらしい。見た感じはそこまで大きい生物ではなさそうだが地面を移動する生物としては速いほうだ。

しかも動く影は複数存在している。群れを狙っているのか。

 

幾ら大きな群れとは言えど空から攻撃されてはなすすべも無い。

俺の様に対空砲を呼び出せる訳じゃないしな。

 

もう少し詳しく見たい。アイツらがどんな風に狩りをするのか気になるし、あれを調査書に纏める事も出来る。写真も撮ろう。えーっとカメラカメラ……あったあった。

 

カメラを構えて倍率を上げ、シャッターを切る。

流石にこの写真を渡す訳にも行かないからこの写真を見て詳しく文面に纏めよう。

出来るだけ連写で撮り、細かく分析出来るように……

 

おぉ、飛竜は連携を取って狩りをしているのか。

しかも火を吐くし結構小回りが利く様だ。機動力はかなり高いほうだな。火力も高そうだしもし戦うとすれば油断は出来そうに無いな。

連携も取って来る訳だしかなり厄介だな。

 

 

 

追い立てたり回り込んで逃がさない様にしたりとかなり高度な連携を取っている。

ふと気が付くと地面が近い。おぉっと夢中になりすぎて高度が段々と下がってきてしまったのか。

 

すると獲物の方が反撃をしたのか飛竜達は一旦離脱して再度攻撃を仕掛け始めた。

今まで逃げ回って来ていた獲物もスタミナが切れたかそれとも別の理由か、追い詰められ始めた。

 

……ん?あれって魔獣とかじゃ無いぞ?

 

動きが獣っぽくない。動きはどちらかと言えば人間だ。

双眼鏡を獲物の方に焦点を合わせて覗くと、獲物として襲われていたのは人間だった。

 

おいおい嘘だろ!?こんな所に人間がいるのか!?話じゃエルフしか住んでいないって言っていたはずだが……

 

いや、あれはエルフなのか。そもそも国が派遣した軍が帰って来ない程の危険地帯なのだから人間がいる筈が無い。

居るとすればこの森に詳しく、生活しているエルフ族だ。

 

どうするか……助けたいのは山々なんだが……

だが流石に見捨てるのも後味が悪い。正直今ここで戦闘を行えば間違い無くこれ以上のマッピングは行えなくなるし、更に言えば帰る分の燃料を残すのも苦労する。

 

仕方が無い、後々夢に出て来られても困るし手助けしよう。

 

増槽を落すと燃料が足りなくなってしまうかもしれないから増槽を付けたまま戦う。

 

 

 

 

 

数は17匹か。まぁ何とかなる筈だ。別に全部堕とさなくても何匹か堕とせば逃げていくはず。生物の本能を考えればだが、当てはまらなかったら最悪だ。

 

現在高度は3000m程だ。

このまま飛竜の真上から幾らか進んだら180度機体をロールをして急降下一撃離脱をかましてやろう。

 

その思惑通り、飛竜の直上に着た瞬間に機体をロールさせ、急降下に入る。所謂逆落としというやつだ。

そのまま飛竜に向かって落ちていく。

さっきまでの速度が370kmぐらいだが下手に降下で速度を出しすぎると空中分解するからな、気を付けなければならない。なので一度エンジンの出力を30%以下まで下げる。

 

するとエンジンの回転数が下がり音が変わって来る。

飛竜自体の高度は7~80m程だ。木々の高さのお陰でなんとかエルフ達は持ち堪えているような物か。

 

飛竜に照準を付け、距離が近付いて500m程で射撃レバーを引く。牽制目的と、これで逃げて行ってくれることを期待して全部の機関銃を放つ。機首と翼内にある合計4門の20mm機関銃が一斉に火を噴いた。

 

 

その瞬間、コックピットの中にまで響いて来る大きな射撃音が響く。

 

 

20mmという大口径の弾丸が狙った飛竜の頭上から降り注ぐ。

音に気が付いて上を向こうとした頃には初弾が直撃していた。

 

使用している弾種は二式曳光徹甲弾と二式焼夷榴弾だ。この2種類の弾薬を混ぜて使用している。これは好きなように弾薬を呼び出す時に弾薬ベルトに含む弾種を好きなように変えられる俺独自の利点で1発ずつ交互に入れているから徹甲弾と焼夷榴弾が毎分750発で発射される。他にも3種類ほどあるが今回は使用していない。

 

徹甲弾の方は100mで20mmの装甲を貫通する威力があり、飛竜の鱗ぐらいなら貫通出来るだろう。

 

 

 

その予想通り一番最初に狙った飛竜はあっさりとブチ抜かれて血をまき散らしながら落ちていく。

角度の問題か弾かれた弾もあるが殆どは鱗を貫通している。

 

それから直ぐ後、操縦桿を引き起こす前にエンジン出力を一気に100%まで上げて操縦桿を引く。

すると勢いそのままに離脱していく。一気に距離を引き離して後ろを振り向くと俺を一番の脅威だと認識したのか追いかけてくるが速度はそこまで早く無く、ぐんぐん引き離していく。

 

 

ある程度離れた時に右に旋回をする。

縦旋回で上に向かって旋回する事も出来るが速度が無くなってしまうし、その時に下降して速度を稼いで逃げることも出来ない。だからなるべく速度を維持していられる横旋回を使用する。

 

そのまま飛竜に向かって、飛んでいく。飛竜も俺の方に向かって飛んで来る。所謂ヘッドオンというやつだ。そのまま距離が目測で100m程で射撃レバーを再び引く。

 

大きな射撃音と共に弾丸が吐き出されると同時に飛竜も火を噴いた。

その火を避けるために左斜め下方向に機首を向けて回避する。

 

ガガガガガガッ!!!!

 

しかし飛竜と擦れ違った時に大きな衝撃が伝わって来る。

 

クソッ!?避け切れなかったのか!?

 

右側の翼を見ると大きな切り口が開いていて、そこから燃料が漏れ出ていた。

切り口からして火球を食らった訳では無く、避ける時に距離間隔をミスったのか爪か何かが引っ掻いて行ったのだろう。傷もデカく、結構派手に漏れ出ている。これは飛行場まで辿り着く事は難しそうだな……

 

それとは全く関係無いが今接近して気が付いたが体長は大体10~14mかそれ以上。個体差もあるだろうが周りに飛んでいるのも同じぐらいの大きさだ。このサイズなら射撃を外すことは早々無い。

 

 

しかし、問題は燃料だ。

離脱して少し上昇しながら引き離していく時に燃料計を見たがぐんぐん減っていく。この減り具合は不味い。

 

もし今ここで飛行場に向かって飛んでいったとしても殆ど進むことなく墜落する。

精々5~60km進めればいいか……

 

仕方が無い。

今此処で戦って飛竜連中を叩き落としてから機体から脱出、疾風を回収してパラシュートで降下しよう。

再び呼び出せば完璧に修理されているのだが、この高度だと再び飛べるほどの速度を出す前に木と衝突だ。

上昇出来る程時間的猶予も無く、引き離してしまったら飛竜達がエルフ達の方へ向かって行ってしまうかもしれない。

パラシュートで降りたらハンヴィーで調査しながら帰るしかない。

エルフラントさん、心配掛けてしまいます。本当にすいません

 

徐々に高度を取りながら300m程の所で再び反転、飛竜に向かって行く。

 

ヘッドオンをして3匹目を堕とす。

再び離脱後、旋回して一撃を仕掛ける。

 

残弾の心配もあるので翼内機関銃のみに切り替え射撃を行う。

装弾数が150発づつで、使い切ったとしても呼び出しから装填できる。

が流石にそんな余裕は無い。

 

4匹目が落ちた時に大きなミスをした事に気が付いた。

反転するタイミングが早く、思ったよりも飛竜との距離が近かった。

慌てて一気に左に旋回したが、囲まれて離脱する事が出来なくなってしまった。なんかホバリングしている奴が居るそれを見るとこっち以上に機動力が高そうだが格闘戦をするか。

 

左に旋回後、偶々照準器に収まった1匹に向けて射撃する。

威力が大きく簡単に堕とす事が出来たが残弾が心配だ。残りは12匹だが弾数は機首がそれぞれ124発ずつ。翼内は73発づつ。

 

 

合計で400発弱と、最大装弾数は600発なので凡そ200発ほど使った事になる。残り400発で12匹か……

全て落とすとなるとギリギリ行けるか行けないかぐらいだな。

 

トリガーハッピーにならない様に気を付けてはいるが10数発程度じゃ死ななさそうだしある程度数を撃ち込まないといけない。

 

外すのは禁物だな。

 

完全に周りを囲まれているから逃げ出せそうな隙は無く、がっつり格闘戦をしていくしかないのが辛い。一撃離脱ならば照準も付けやすいのだが格闘戦ともなると追いかけ、追いかけられだから見越し射撃がかなりやりずらい。

 

しかも疾風の旋回性能とこいつらの旋回性能じゃ飛竜達の方が圧倒的に上だ。

そもそもホバリングして方向転換できるのだから、速度で優っていても数と旋回性能で負けているから後ろを取られてしまう。

 

事実今も後ろに回られてしまっている。

攻撃されているが当たっていない。接近されていないからだがそれは俺の技量では無く速度で優っているからだ。

 

しかも連携を取って来るから後ろに回る奴と囲んで逃がさないようにする奴とで分かれていて一度離脱する隙が無い。

 

しかも前面の一直線にしか攻撃できない事を理解したのか絶対に射線に入ろうとしない。トカゲのくせに生意気な奴らだ。

 

俺も俺で後ろから来る火球を避けたり気に懸けたりしながら射撃の機会を探るのでそれこそ全く撃てない。

 

左に右に操縦桿を倒しラダーペダルを踏む。

左を踏んでは離し、即座に右を踏み込む。

 

照準器の端に映ることはあるが撃ってもどうせ当たらないのだから撃たない。

ひたすらタイミングを待つ。

 

フッと燃料計を見てみると大幅に減っていた。

基本的に只飛ぶだけの時と戦闘を行う時では燃料の消費量が違う。

巡航速度で飛んでもやはり殆ど飛べずに燃料切れだ。それでも高度があれば幾らかは滑空出来るだろうが今の高度は700m程しか無いのだからあっさりと墜落だ。この高度ならさっさと疾風を格納してパラシュート開いた方が安全だ。

 

 

 

 

 

15分程、全く射撃機会が来ないまま過ぎて行った。しかしそれも遂に破られる。

 

ッ!!来た!!

 

ドドドドドド!!

 

一度、右に向かうと見せかけ一気に左に向かうとその先に居た飛竜が騙されて照準器の中にしっかりと納まった。瞬間、射撃レバーを引いて撃つ。

 

するとその放った20mm弾は簡単に飛竜に吸い寄せられて行き、胴体から首の辺りにかけて命中する。

やはり何発か弾かれたりはするが殆どが鱗を貫通してダメージを与える。

 

そして絶命した飛竜は真っ逆さまに落ちて行った。

この10数分間は一切ダメージを受けていなかった自分達の仲間が堕とされ少なからず動揺したように見える飛竜達。

 

少し隙が出来てそこを突き一気に離脱をする。

旋回範囲を縮めるために落としていたエンジン出力を最大まで持って行き、速度がどんどん上がっていく。

 

一度機首を上げ、高度を1000mまで上昇するとかなり後ろの方に飛竜が必死に追いつこうと翼を動かしていた。そのまま上昇縦旋回を行い、そのまま急降下に入り再びヘッドオン。それまで上昇をしていたからそこまで速度は乗っておらず操縦桿は動かしやすい。

速度計は623km/hを指している。

 

しかし一撃を加えてから離脱上昇をすると高度がぐんぐん上がって行く代わりにゴリゴリと速度が削られて行く。

そしてそのまま左旋回を行い、即座に再び一撃離脱を行う。

 

それを数度繰り返し、飛竜達の数が5匹になった時、飛竜達は不利を悟ったのか逃げに転じる。

流石に逃げる後姿に銃弾を叩き込む気は起きないし、再び戻ってこないか高度を少し取って警戒をするが戻ってくる気配は無い。

 

この分なら大丈夫だろう。

残弾を見ると残りは機首が34発。翼内は6発しか残っていなかった。

 

ギリギリだったな……

このまま戦ってもあと1匹か2匹しか堕とせなかっただろう。

 

燃料計を見れば穴が開いていた方の燃料タンクは空で、残りの燃料も格闘戦を行ったお陰ですっからかん。帰りの分の燃料は間違い無く足りなかった。

 

しょうがない、予め決めていたとはいえ脱出するしかない。

先ずはエンジンの出力を0に、スロットルも完全に閉じる。フラップを展開し速度を可能な限り落とす。

 

それからコックピットを開け翼の上に立ち、そしてメニューを開き疾風を格納。

 

するとそれまであった足元の安定感は失われ俺は空を舞う。腹を向けて降下し、パラシュートを開く。

 

思いっ切り上に引っ張られる感覚の後、ゆっくりと地面に向かって降下していく。

方向を調整しながらクルクルとその場をゆっくりと旋回しながら降りていく。

 

枝に突っ込んだ時に顔を保護する為、ゴーグルをしておく。

 

 

 

 

木々の枝がどんどん近づいて行く。

足の先が枝に触れたと思ったら身体が枝の中に突っ込んでいった。

顔や身体中に枝が叩きつけられるが目は守られている。

目が無事なら問題無い。

 

 

と思ったのだが、パラシュートが枝に引っかかり宙吊り状態になってしまった。

樹高は60mと大きく、そんなてっぺんの方の枝に宙吊りなのだから40m程の高さだ。パラシュートを外してもいいのだがそれだと地面に叩きつけられてあの世行きだ。

 

ガサッ!ガサガサッッ!!!

 

ガクンと大きく高さが落ちる。

やばいな、このまま宙吊りだと地面に叩きつけられる未来が分かり切っている。

 

さて、どうしようか。

正直解決手段が見つからない。

高さが落ちたとはいえそれでも30mはある。

 

いや、本当にどうしよう……

 

一応俺が乗っても大丈夫そうな枝があるが距離がある。

呼び出せる物の中にロープかなんか無いかな……

 

あ、あった。

いや、あるにはあるがまんま只の何の変哲も無い普通のロープだ。

これを枝に引っ掛けるとしてもぶら下ったら速攻で落ちるな。なんか別に引っ掛けられそうな道具は無いな……

 

カラビナが付いているロープもあるにはあったがこれを投げても枝には絶対引っかからない。

 

本当にどうすれば……あ。

 

上を見れば太めの枝にパラシュートのロープが引っかかっている。

あの枝なら今も俺を支えているのだから多分あそこにカラビナ付きロープを括りつければ降りられるかもしれない。

 

カラビナ付きロープを枝に向かって投げる。

2回、3回と投げて4回目で漸く成功。真上だから大きめのカラビナが枝を超えてくれれば後は自重で落ちて来てくれる。

そして俺の所まで下ろしたカラビナにロープを通す。これで輪が出来たから引っ張っていくと輪が小さくなっていき、しっかりと締まる。

 

そうしたら一度ロープを俺の足の辺り輪が来るようにもやい結びを作る。多少輪が大きくなってしまったが問題は無い。

そうしたらその輪に足を入れてしっかりと体重を預けても大丈夫かを確認。

 

ぐっぐっ、となんどか力強く踏み込むが枝の太さが思ったよりも太いのか、それとも強度が高いのか分からないがこれぐらいの重さでは何ともないらしい。

 

これなら大丈夫だ。

ロープの輪に足を掛け、パラシュートを脱ぐ。

そして完全にロープにのみ体重が預けられているが枝が折れる気配は全く無い。

 

よし、これなら安心だ。

 

メニュー欄を開き、パラシュートを格納する。

それから下の方まで垂らしていたロープを伝って地面まで降りていく。

あと5m、4m、3m、2m、1m……

 

よっ、と。

 

久しぶりに地面に足を付けると不思議な感触だ。

降りた場所は普通の土ではなさそうだな。これは苔、か?

 

まぁいい、取り敢えずM4とマガジン7本、M9とマガジン3本に手榴弾2発、ベスト、戦闘靴を呼び出す。それとレッグホルスターも。

 

最低限これらがあればなんとかなる。

食事や水は後から幾らでも呼び出せるから。

 

本当はパイロットスーツから迷彩服に着替えたいが周りに何があるか分からない以上、パイロットスーツの上着だけ脱いでベストを着込み、マガジンポーチにマガジンを入れていく。そしてその内の1本づつをM4とM9に挿し込みM9をレッグホルスターに入れM4のグリップを握り、何時でも撃てるように周囲を警戒しておく。

 

感覚的に周りに何かが居ると言う感じは無い。

「探知」を使っても索敵範囲内には敵性となりえる生物はいない。

 

しかしここはどこなんだ?

裂け目から凡そ40~50kmぐらいの位置にいるという事は分かっているんだがそれ以外の事が丸っきり分からん。

 

マッピングはされている為、方向で迷うことは無いが広大過ぎてどうすればいいのやら。

 

周りを見渡すと樹高60mかそれ以上の木々があちこちから生えている。

淵の付近はこんなデカくないんだがなぜこうも巨大化したのか不思議でしょうがない。

 

しかしその巨大樹1本1本の感覚は広く、ハンヴィーもギリギリ通れるだろう。

ただそれで他の木が生えていないという訳では無く、背丈の低い木々や草も生えている。

 

先程から気になっていた足元の植物だが、やはり苔だった。しかし種類を判別することは出来ないので感触を確かめるとフカフカだった。

 

苔らしく換装しているわけでも無いが、かと言って湿っているわけでも無い。

寝転がったらさぞかし気持ちがいい事だろう。

 

しかし触れば触るほど、見れば見るほど不思議な苔だ……

 

苔以外にも依頼などで訪れた野山では見た事のない植物などが数多く生えている。

これは全部収集したほうが研究者の二人は喜びそうだな。

 

しかし今はそんな余裕は無いので今回は見送ろう。

いやいや、まだ再初期段階だが研究者の人を同行させなくてよかったよ、本当に。

 

 

探知によって周りの安全が確認されているから一度、座って休憩しよう。

流石に疲れた。時間的にも昼飯時だが流石に今ここで食べるのはマズイから水だけにしておく。

 

ふぅ……美味い。

 

何時間も操縦桿を握り、さらに戦闘をこなしパラシュートで脱出。

それだけに留まらず木の上に宙吊りにされてロープで降りて漸く地面の上に立つ事が出来た。たったそれだけなのに酷く落ち着く。

 

完全に気が抜けてしまった。

しかし一応は探知を発動させているから範囲内の700mに接近して来たら分かる。

その範囲に無いのだから多少は良いだろう。

 

苔の上に座っているが、ちょっとばかり寝転がってみる。

 

おぉ、良い感じだ。

 

寝転がるとやはりフカフカで心地が良い。

下手なベットよりも良い気持ちだ。

 

あー、駄目だ駄目だ……眠くなってきてしまったぞ……

 

このまま寝たい気持ちもあるが完全に安全を確保出来ていないから今はまだだ。

時計を取り出すと時刻は12時47分。

 

昼飯を取るには丁度良い時刻か。

だが無理だ。匂いにつられて魔獣や魔物がやって来ては困る。

そう言う訳で寝転がりながら時折水を飲む。

 

 

 

 

 

そんな事を2時間程そうしていると、探知の索敵範囲内700mに何か高速で動く生物が入ってきた。エルフ達が襲われていた方角だ。数は9。

前衛と後衛で分かれているがまだ断定はできない。コボルトやゴブリン、オークと言った魔物は前衛と後衛に分かれる事がある。

 

しかし移動速度がかなり早く、その3種類は考えにくい。

となると魔獣、それもウルフ系統だが森の中だとフォレストウルフかグレーウルフ。

ただの狼の可能性もあるがこっちはこれほど早くない。

そうなると可能性は2つ。

 

……エルフ達か?それとも別の魔物、魔獣か?

 

木の影に隠れてそちらを警戒する。

どんどん近づいて来る。早いな、100mを7秒程で走っている。

あと400m。目視出来るまで23秒って所か。

 

引き金に指を掛け、安全装置を外す。

サイトを覗いてもし魔物や魔獣だったとしても直ぐに発砲出来る様、準備をしておく。

 

 

10秒前。

 

 

 

5秒前、4、3、2、1、0!

 

見えたのは魔獣などでは無く、人間の形をした存在だった。

顔がこちらを覗くと耳が長い。エルフだな。

 

銃口は下ろすが直ぐに撃てるように引き金に指を掛け安全装置は解除したままにしておく。

よく見ると武器を構えている様子は無く、何かを探しているようだった。

すると彼らは何かを言いながら探し始めた

エルフの言葉は分からないからあれだが、上を指して何か言っている。

 

……どうする?出て行くか?

 

恐らく探している物に対しての敵意は無さそうだ。

最低限警戒していれば咄嗟の時にも動けるだろう。

 

「おい!そこで止まれ!」

 

「!?gffbldOsnvy、lfklhnerbtl?!?」

 

エルフ語は分からないがいきなり現れた俺に驚いているって感じだな。

見た感じは全員女、なのか?エルフは総じて体格が細い者が多くそれは男も例外ではない。しかしエルフと言えども流石に男にしては線が細すぎる。

 

出た時に語気を強くしたのは威圧の目的がある。幾ら敵意が無いとは言ってもそれとこれとは別問題だ。こっちだってこうして武器を所持している相手と対面している以上命懸けなんだ。

 

向こうも近接用の短剣を抜く者、弓を構える者とそれぞれだ。

しかしかなり練度が高いな。俺が現れた瞬間、声を出す前に構えたエルフが殆どだ。

 

「お前達は誰か?」

 

「ghyndbeоjyil!kwqpxczELFbqUnmw!?」

 

聞いた感じは向こうも俺の正体を聞いていて、エルフというように聞こえる単語もあった。もしかするとエルフ語を喋れないのか?と聞いているらしい。

 

「お前達は人語を喋れるか?俺はエルフ語を話せない」

 

すると俺がそう言ってから仲間内で何か話し始めた。

 

「-----?」

 

「---!------……」

 

「-----」

 

詳しく聞こえないから俺は警戒しながら待つ。

何か意見を言い合っているように見えるが、対立している訳じゃ無さそうだから先行きは大丈夫そうだ。

 

「あー、あなたは、人間?」

 

「そうだ、俺は、人間だ」

 

「なんで、ここにいる?人間が来れる程の場所ではない筈だ」

 

「森の調査に来たんだ」

 

「あなたはさっき空から降って来たのか?なにか凄い速さで飛ぶものから出て」

 

「そうだ。さっき俺は空から降りて来た」

 

「ッ!!そうか!あなたは私達の命の恩人だ!」

 

「は?あぁ、まぁいや助けたには助けたが……」

 

「さっきはありがとう!あのままでは私達は翼竜に食われていた所だった」

 

「翼竜?飛竜じゃなくて?」

 

俺は完全に飛竜だと思ったのだが……

何の違いがあるのかさっぱり分からない。

 

「そうだ、翼竜だ。飛竜はあれの2、3倍ぐらいはある。それに火球の威力も桁違いだしそもそも群れを作らない。番同士での行動はするがそれだけだ。それに比べて翼竜は群れを作って群れ単位で行動する。狩りもそうだ。ただ交尾の時期になると他の群れの雌を探しに行くんだ」

 

「そんな違いがあるのか……初めて知ったな。メモっとこう……」

 

教えて貰った事をメモ帳に書き込んでいく。

飛竜や翼竜なんてオール大森林かイリオル大山脈に出も行かなければ出会う事はまずないからな。こういう意見は貴重だ。

 

オール大森林とイリオル大山脈の飛竜と翼竜の習性に何か違いがあるのかというのも気になるがその辺は置いておこう。

 

「本当にありがとう。翼竜は群れで襲って来るからこの人数じゃ到底太刀打ち出来ないんだ。しかも連携がかなり上手くて囲まれたら逃げきれない。それに頭もかなり回る連中だ」

 

「それは災難でしたね。それで、これからどうするんですか?」

 

「村に戻る。それにいくらあなたが撃退してくれたとは言っても他の群れが来る可能性があるから」

 

「そうなんですか。……それ、私も付いて行っていいですかね?ちょっと今この森から出る手段が無くて」

 

「あぁそれは勿論だとも。そもそも礼をしたくて探していたんだ」

 

別に野宿でも良いんだが地面で寝るわけにもいかず、木の上に寝るとしてもそこが安全とは限らない。この森で一番安全なのはエルフ族の村なのだ。

 

「有難うございます。暫く休憩してから出発しましょうか」

 

「いや、我々は今すぐにでも出発出来るぞ」

 

「私を探してここまで走って来たのでしょう?皆さんが戦っていた場所から22km程離れているのにこんなに早く着くなんて余程物凄い速さで走ったのは分かりますから」

 

「そうか……すまない。それじゃぁ少しだけ休憩させて貰おう」

 

「はい。この辺り700m程は危険な魔物や魔獣は存在しませんからゆっくりしていても構いませんよ」

 

「何故そう言い切れるのだ?」

 

「あぁ、まぁ私の能力です」

 

「ほー。それならばお言葉に甘えさせていただこう」

 

うーん、正直自分で言うのもあれだが油断しすぎじゃないか?

こう、何というか隙だらけというか。多分これ、俺に襲われたらヤバいぞ。

 

「その、私自身が言うのもあれですけど幾ら何でも私の言う事を信じすぎではありませんか?」

 

「ん?あぁ、それは気にしなくても大丈夫だ。そもそも私達を殺すのなら隠れていた時に態々出てこないでもうとっくに殺せていた筈だ。それに空から降って来たというのも私達が見た時に落ちて行った場所が一致する。このあたり一帯に魔獣や魔物が居ないという言葉も、翼竜の群れを1人で退けられる程の実力者が言うのだ。間違い無い」

 

「うーん……」

 

こう、かなりしっかりした理由を言っているのにそれでも心配だ。寧ろ初対面の男の前でこうも警戒心が無い状態で過ごせるものか?

今でこそ、そういう中だがエルフラントさんはバリバリ警戒していたぞ。

 

「それに、もし私達をこの距離で襲うと言うのなら返り討ちに出来る自信があるからな。短剣が1本あれば十分だ」

 

……怖い。

この発言をした時の目が本気で出来るって顔だった。

これでも格闘はかなり鍛えているから自信があるが、流石に勝てなさそうだ。

 

それと、全体的に皆大なり小なり傷を負っている。

なんか放っておけない。まぁ男だったら身体に着いた傷はかっこいいとか言うだろうが女性に対してそうなのか?と聞かれると答えは否だ。

一応聞いてみよう。

 

「そう言う事なら納得です。それと、その背中の傷大丈夫ですか?」

 

「これか?まぁ痛むがその内治る」

 

結構サバサバしているのか余り気にしていないらしい。

 

「ですが血も出ていますし、感染症の心配もありますから、もしよかったら私が手当てをしましょうか?」

 

「手当て?治癒魔法が使えるのか?」

 

「えぇまぁ。それ以外にも幾つか方法がありまして」

 

「それなら頼む。余り身体に傷が付くのは嬉しくないから」

 

ふむ、やはり女性という事か。

それじゃぁ始めよう。

 

「分かりました。それじゃ始めますから背中を見せて貰えませんか?軽く捲る程度でいいので」

 

「分かった」

 

見てみると出血に対して傷はそこまで酷くは無い。

これならちゃんと消毒して治癒魔法で治療を施せば大丈夫そうだ。

綺麗なタオルと消毒液があれば十分。あとは水だな。

 

「少し沁みますけど我慢してください」

 

まずは水で患部をしっかりと洗浄する。砂などの異物をしっかりと取り除き、再度水で洗う。水分を軽く拭いてから消毒液を患部にかける。この際服に染みない様に腰のあたりに綺麗なタオルを当てておく。

 

「んぅ……!」

 

「すいません、我慢してくださいね」

 

消毒液はやはり染みて痛いのだろう。

慣れていない痛みなのか顔を顰めて我慢しているのがよく分かる。

 

消毒し終わったらしっかりと拭いて終了。

それから治癒魔法を掛ける。するとみるみる傷口が塞がって行く。

 

よし、これで完璧に治ったな。

消毒もしたし感染症のリスクも大きく下がっただろう。

 

「終わりましたよ。もう服を元に戻していただいて構いません」

 

「本当か?この短時間で?」

 

「えぇ」

 

彼女は疑っているのか背中を自分の手でぺたぺたと触ってから完全に治っている事が分かったのか驚いて喜んだ。

 

「本当だ!凄いなこれは!」

 

「他の方も良ければ治しますよ」

 

「そうか?なら頼む!」

 

そう言う訳で残りの人達もしっかりと治療した。

まぁ怪我の程度も殆ど大したことは無く、洗浄、消毒と治癒魔法で十分事足りるものだった。

 

「そう言えばまだ自己紹介をしていなかったな。私はネル」

 

「私はイチロー・バイタークハイマットです。気軽にイチローと読んで下さい」

 

「分かった。それとその敬語は止してくれ」

 

「あぁ、分かった」

 

そうして2人で握手を交わした。

それから1時間程の休憩後、エルフの村に向かって出発をした。

 

聞いた話ではここから徒歩で凡そ3日の位置にあるらしく、流石に今回ばかりはハンヴィーを出して乗る訳にも行かず彼女たちに合わせて歩いて行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

これが俺の人生初めての空戦を味わい、エルフとの邂逅をした日だった。

 

 

 

 

 

 

 





富嶽という計画倒れの超大型戦略爆撃機を登場させました。
いやはや、本当にびっくりするぐらいのスケールのデカさです。B‐52よりも航続距離が長い、爆弾積載量が多いとかもう本当にぶっ飛びすぎて……

全体的にB‐29の1,5倍くらいのスケールです。
……計画倒れになるのも頷けますね。

実際に主人公が使うかは未定です。
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