銃は地球人類が生み出した最高の文明の利器である 作:ジャーマンポテトin納豆
申し訳ありませんでした。
「村長さん、入りますよ」
「どうぞ」
今日は村長さんの家を訪ねた。
話を聞く為だ。
身体を起こそうとする彼女を手伝い、体が冷えない様に毛布を掛ける。
「今日は、話を聞きに来ました」
「そうですね、それではお話ししましょう」
「あ、その前に使いの件、どうですか?行けそうですか?」
「そのことならもう既に選抜は済ませてありますから後は出発するだけです。今回は道中狩りの必要が無い様に多めに干し肉なども持たせますから、休憩以外はすべて移動ですので順調に行けば10日程で森を抜けられる筈です。町までは合計して11日もあれば到着出来る筈ですよ」
「徒歩にしては随分と早いですね」
「まぁ慣れていますから。あとは道中何も問題が起きない事を祈るだけです」
「有難うございます」
「なにかお渡しする物はありますか?あれば使いに渡しておきますよ」
「そうですね……」
渡す物、か。
俺だと簡単に分かる物の方が良いのだか……
残念ながらそんな物は持ち合わせていないのだ。
しょうがない、無事を伝える手紙と写真を1枚か2枚撮って同封しておこう。あとは空薬莢を1つか2つ入れて置こう。薬莢何てこの世界で所持しているのは俺だけだから簡単に分かる。
「手紙をお願いしても宜しいですか?」
「はい。構いませんよ」
「今日中には書き上げてお渡しします」
「はい、分かりました」
使いの人に渡す物が決まり、そして話を聞く。
「この村のある場所は、元々殆ど魔物や魔獣が居ないのです」
「魔物や魔獣が居ない?」
「はい。この辺り一帯は白狼一家の縄張りだったのですが、3週間程前でしょうか?大地の切れ目に原因は分かりませんが異変が生じました。それによって元々大地の切れ目付近に生息し縄張りとしていた竜種全てがそこから移動し全く別の森の中に縄張りを形成したのです。力関係はこの森に置いて竜種は絶対的強者です。その竜種によって住処を追われた魔物や魔獣が村の方に流れて来て、元々の縄張り関係が完全に変化しました。外側にどんどん押し出されて行くようなかんじです。その流れて来た魔物や魔獣との度重なる縄張り争いによって傷付いた白狼一家の長が、大怪我を負ってしまいました」
「白狼一家はどうなったのですか?」
「基本的に白狼一家は縄張り争いは群れではなく長が行っていました。狩りの時は別なのですが、他の魔獣と渡り合えるほどの技量はまだ子供や孫にはありません。長からも教えられていなかったのでしょう。数回子供や母親が何とかして縄張りを守ろうとしましたが結果は惨敗。彼女達も傷付き……」
「さらに長が大怪我を負っていますから、白狼一家はこの辺りから追われ、森の外縁部の方に移動しました。それ以降、守ってくれる存在が無くなった村には魔物や魔獣が押し寄せるようになってきて……丁度イチロー様が来る3日前に今までで一番多い数が襲ってきました。本来同種族同士でしか行動しない魔物や魔獣が種族が滅茶苦茶になった状態でした。中にはこの森でも上位の強さを誇る、魔獣は大蛇や巨大な熊、魔物はグレンデル、キマイラまでもが村を襲いました」
「それは……余りにもおかしすぎますね……」
村長さんが言ったように魔物や魔獣と言うのは絶対に他の種族と行動を共にしない。
もし鉢合わせしたりすれば速攻で殺し合いに発展し、どちらかが死ぬまで続ける。
そんな生き物同士が群れを成して襲い掛かって来る?
それはおかしい。断言できる。
「それで村を守るために全員で立ち向かいました。最初の内は村の柵の辺りで食い止められていたのですが時間が経つにつれて強力な魔物、魔獣の数が増えて行き、悔しながら敵わずに……」
「村長さんの怪我もその時?」
「はい。私は弓と魔法で戦っていました。その時にキマイラの火球が近くに落下してその爆風で私を含めて数名が。立て続けに数回それが起こりました」
そう言う事か……
腕や足を失ってしまった人の原因は殆どがそれだろう。
しかしそこまでしてこの村を襲う理由はなんだ?この村に何かあるのか?
白狼一家は何を守っていたのだろうか?
「魔物や魔獣に何かおかしな感じはしましたか?」
「いえ、それが全く普段の感じと変わらなかったのです。強いて言うならば、痩せていた、ぐらいでしょうか?」
「痩せていた?」
「はい。どういう訳か痩せていたのです。恐らくは縄張り関係が変わったことによって新しい縄張りでの狩りが成功しなかったのか、それとも獲物そのものが居なくなってしまったのか……確かに異変が起きてから私達が獲物とする野兎や野鳥の数が激減していますし有り得ない話では無いのです」
ふーむ……
獲物が居なくなった、か。
野鳥や野兎はこの森の中の力関係で言えば恐らく最下層の捕食される側だ。
それに比べて魔獣や魔物は捕食する側に立っている。
とするとだ。この森でのエルフの立ち位置は?
「……村長さん、1つお聞きしますね」
「はい、なんでしょうか」
「エルフ族の、この森の中での強さはどれぐらいですか?」
「私達の強さ、ですか?」
「はい。もしかするとそれが関係しているのかもしれません」
「そうですね……恐らく魔獣や魔物と比べると弱いと思います。普段白狼一家の縄張りから出て行く事は殆どありませんし、出て行くとしてもあまり離れません。大きく離れる時は森から出ようとする時ぐらいですね」
「魔獣や魔物と遭遇した時は?」
「余程こちらに害が無いのであれば関わりません。出来るだけ避けるようにしています」
あー、何となくだけどこの村が襲われた理由が分かった気がする。
「もし気分を悪くさせたら申し訳ないのですが、1つ仮説を立ててみました」
「仮説ですか。聞かせてください」
「恐らくですがこの村の、エルフ族の森での立ち位置って白狼一家の庇護下に無ければ存在していけなかったのでは?」
「……えぇ、その通りです。私達は弓矢や魔法が得意でそれだけで生きて行く事もできます。しかしこの森はそれでも全く敵わない存在が数多い。ですから白狼の縄張りの中に村を築いています」
村長さんは少し考えて頷いた。
やはりな。正直言ってこの森の中で俺達人間やエルフが生き残るのには余りにも厳しすぎる環境だ。気候や食べ物に関して言えば温暖で豊富な植物体系だから探せば幾らでもある。だが敵となる存在が余りにも強すぎる。
ヒエラルキー的には恐らくこの森の中ではエルフ、人間は俺達が野兎や野鳥を狩って食べるのと同じ様に一番下の、それこそ野兎や野鳥などと大して変わりない程度にこの森の魔獣や魔物に見られている。
なのにも関わらずエルフ族はこの森で数百年間もこうして生きて居られるのか。
それは件の白狼一家と言うより白狼の長の影響によるところが大きいとみる。ただ1つ疑問なのが白狼はエルフ達を襲わなかったのか?と言う事だ。
この森の中で縄張りを維持出来るという事はそれ相応に強さを保っているという事。
そんな存在が縄張り内に居る森の中で最下層レベルのエルフを狙わないのは変なのだ。
というかおかしい。
普通こんなご馳走というか、簡単に狩れる存在が居るのなら普通そっちから狙う物ではないだろうか?
「そこで質問なのですが白狼はエルフ族や人間を襲わないのですか?」
「はい、襲いません」
「断言出来るのはどうして?」
「元々私達エルフ族が追われてこの森にやってきた時に白狼の一族も一緒だったのです。ロンバルティア王国とは反対側の国では白い毛の狼は忌むべき対象ですから。その時に共に逃げて来たのです。その時からの関係です。偶にすれ違ったりすることはありましたが互いに干渉しすぎないよう、遠巻きにするだけです」
何となく理由は分かった。
まぁ白狼が自身と同じ種族ではない生物に対して共感するか、とかそういう話は置いておいて、同じような境遇でこの森に逃げて来たエルフ族に対して何故か同情的というか、その当時に何があったのかは分からないがもしかすると仲間意識を持って居るのかもしれない。
「白狼の強さは?」
「うーん……直接見た事などは無いので分かりませんが竜種に近いぐらいでしょうか?翼竜となら1対1では負けることは無いと思います。飛竜種だと同じくらいか少し劣る程度ですね。土竜は裂け目付近から離れることは無いので比べられません」
そんな存在が大怪我をするほどにこの森に激しい変化があったという事だ。
これは多分、ゴブリンの大軍の件もこの変化が大きく関係していると思われる。
「そうなると森の中でも殆ど頂点に位置するぐらいの魔物の庇護下にあったという事になります」
「そう言う事ですね」
「その庇護下から抜けてしまった事でこの村が襲われたのだと思います。基本的に捕食者は弱い存在から狙っていくものですから、これに、エルフ族は当て嵌まってしまった。周りにいる強い魔物や魔獣を襲うよりもこの村を襲った方が自身が怪我をする事無く遥かに安全に獲物を狩れます。元々魔獣達は白狼がいなければ貴女方がこの森で生きていけない事を知っていたのだと思います。森の中で擦れ違ったりした時に。そう言う事に敏感ですから、野生の生き物や魔獣、魔物と言うのは」
「そう言う事ですか……納得しました。何にせよ今の状況が続くという事ですね……」
「そうですね……」
力無く、顔を俯かせる。
それはそうだ。ただでさえ今回これだけの被害を被って尚且つ死者まで出し何とか生き残ったと思ったらそれがまだ続くと言うのだから。
今の状況が続くと、断言出来るだろう。
言い方は悪いが、こんなにもまだ餌となるものが残っているのだから襲わないと言う理由は無い。もし多少の知恵があるのならば手傷を負わせた獲物とそれを守る獲物がまだ沢山いると考えるだろう。そうなれば次に行われるのは狩りが終わった後に獲物の取り合いだな。それも命懸けの取り合いだ。
その時点じゃもう生き残りは1人としていないだろうな。
恐らく肉片になってそれの取り合いだ。
木の上に逃げると言う選択肢は一時的な物にしかならない。
どれだけ高い木の上に逃げてもそこに居るのだ、と分かっているのならばそこまで折って来るに決まっている。どれだけの大馬鹿者でも木に登れないのならば木を倒す、ぐらいの知恵は回るだろうからな。
それに下からだけじゃない。上からの脅威も考えれば木の上に逃げたって辿る運命は同じだろう。
正直に言ってしまえば俺ではどうしようもない。
この森の中では火力のある武器は使えない。村長さんの言った魔獣や魔物が襲って来るとするのならばこの森で展開する事の出来る武器では歯が立たないだろう。
火力の大きな自走砲ならば一帯ごと吹き飛ばせる。
だがそんなものこんな狭い森の中に出せる筈も無く。M2は恐らく火力不足。最低でも翼竜を倒した様に疾風に搭載されている20mmクラスの弾丸でなければ致命傷を与えるのは難しい、と言わざるを得ない。
確かドイツの戦闘機なんかに搭載されているMG151機関砲は他の国の20mmクラスに比べると随分と高火力だった筈だ。何だったか、確かそう……薄殻榴弾という炸薬量が他の榴弾よりも多い弾丸を使用出来る。
ただ残念ながらMG151機関砲はそれ単体で呼び出す事が出来ない。というのもこいつは航空機に搭載するための機関砲だから陸上運用型が呼び出せる兵器の一覧に無かった。
ただ別の20mm機関砲が一応兵器としての物ならばMG151ではないものがある。
同じくドイツ軍の2cmFlak vierling38という対空機関砲だ。
これは4連装の物で20mm弾を撃ち出すと言う何とも凶悪な兵器だ。
多分人間に向けて撃ったらミンチになると思う。しかし運用に問題があり対空機関砲という空に向けて撃つ性質上、地面にいる敵に対してはあまり得意そうではないという事だ。しかも相応に重量が重く容易に陣地転換が出来ない、森だから視界が悪く木の影に隠れられると木の直径もあって簡単に避けられると、こんなにもこの土地で運用に向いていないのだから使う事が出来そうにも無い。
個人で携帯出来る武器は威力不足で効果が無い。
威力が高い武器はこの森での扱いが難しく効果が殆ど期待出来ない。
大口径の対戦車砲などはそもそも展開するスペースが無いから出せない。
そう言う訳でこの村を守る事がどれだけ難しいか分かって頂けただろう。
「村長さん、俺は出来るだけこの村を助けたいと思っています」
「これ以上、ご迷惑をお掛けする訳には行きません……それにこの村がまた襲われると分かっているのですから早くお帰りになった方が良いです」
村長さんは自分達の心配よりも俺の心配をして町へ帰ることを薦めて来た。
普通ならここで助けてくれと言ってくるものだと思うのだが、自分を差し置いて俺の心配をしてくれているのだ。
しかしそれが出来ない。
というかやらない。そもそも俺がこのオール大森林に来たのは調査が目的なのだ。
そして以前考えたように恐らく裂け目の異変とこの森の異変、村への襲撃、俺が戦ったゴブリン達の件は関連性があると思うのだ。
でなければ元々オール大森林に生息している魔物や魔獣が態々オール大森林の外に出て来る筈が無いのだ。知性がある変異種と言えどもそんな思い付きの様に、突発的に森を出てくるか?
そう言う訳で俺は関連性があると見ている。
まぁ恐らくだがその関連性があるのかどうかを調べるとなると裂け目の調査もしなければならないので予定している3カ月という調査期間じゃ足りないだろうな。
そう言う訳で帰るわけには行かない。
「いえ、それがそうも行かないんです。私の目的はこの森の調査です」
「はい、それは以前お聞きしましたがそれに何の関係が?」
「そもそも、何故調査する事になったのか、理由はご存知でしょうか?」
「いえ、分かりません」
そりゃ知らないだろう。
だって俺は調査理由を教えていないし。
「裂け目の異変から、この森に異変が起きた頃と同時期に、私達も大きな異変に襲われたのです。それはゴブリンの変異種が率いる大軍勢がリーヴォリの町に向かって攻めてきました」
「はぁ……それと何の関係が?」
「そのゴブリンの軍勢が現れたのが、このオール大森林だからです」
「この森から?……まさか」
「そう、そのまさかです。私は裂け目の異変からこの森の異変、そしてゴブリンの変異種が突然森の中から現れたのには関連性があると考えています」
そう言うと村長さんは考え込んだ。
まぁそんないきなり言われても困るだろう。
「それならば尚更早くここから出て行った方が宜しいと思います。ここに居たら調査も出来ないでしょうし何より危険です」
「いえ、先程も言いましたが私は帰りません」
「何故ですか?」
俺が帰らない理由はもう1つ。
ここまで首を突っ込んだのだからもう今更見捨てて帰る、何てことは出来ない。もしそうしたとしても後々思いっ切り後悔する事になるだろう。
「それに皆さんの事を放って自分だけ逃げる、なんて事はしたくないんです。したとしても私は後悔する事になる」
「…………」
「私は、もしかすると皆さんを助ける事が出来るかもしれないんです。どうかこの村を守るお手伝いをさせて頂けませんか?」
俺がそう言うと村長さんは再び俯いてしまった。
まぁ部外者の俺の手を借りると言うのもそれなりに考えてからでないと決断は下せないのだろう。俺にはそれを遮る事は出来ないし、する気も無い。
「イチロー様、どうか、村をお助け下さい……お返しできるものは何もありませんがそれでも、と言うのならばどうか、村を助けてください……」
俺に向かって村長さんは頭を深々と下げた。
勿論俺の答えは決まっている。
「はい。私はこの村を守ると約束しましょう」
「ありがとうございます……!」
村長さんは泣きながら頭を未だに下げて来る。
いやいや幾ら何でも頭を下げ過ぎだろう。
それから10分程頭を下げる村長さんを宥める事になった。
「村長さん、私の事を様付けで呼ばずに、イチローと呼び捨ててくださって構いませんよ」
「いえ、これだけ村の為に尽くして下さった方を呼び捨てるわけには行きません。それにそう言う事ならばイチロー様こそもっと砕けたように話してください」
「そうですか?それなら普段通りの口調にしますが、出来れば俺に対しても畏まらずに接してくれると有難いです。正直、むず痒くてしょうがないんです」
「……分かりました」
喋り方について少々問答があったが結局お互いに砕けた口調で話そうという事になった。
「そう言えば、私は自己紹介していませんでしたね。私はエリカと申します。どうぞよろしくお願いします」
「エリカさん、どうぞよろしく」
そう言えば自己紹介していなかったな、と村長さんが自己紹介してくれた。
エリカさんというそうだが、何故姓が無いのだろうか?
「あの、1つ聞いても良い?」
「どうぞ?」
「エルフって俺達に伝わる話だととんでもなく長寿だったり不老不死だとか言われているんですがその辺ってどうなっているんだろう、と思って」
「あぁ、そのことですか。恐らくですが勘違いですね。私達エルフは見た目が老い始めるのが遅いのです。大体見た目が老い始めるのが60歳くらいからなんですよ。ですから何十年も同じ様な見た目だから勘違いしてしまう人が多数いるのでしょう。最高寿命は100歳くらいでしょうか」
「そうだったのか……見た目が変わらないか……」
「はい。私は26歳ですよ」
エルフ族の不老不死という伝承というか何かを確かめる事が出来た。
でもエリカさんはまだ26歳なのか。見た目もそれくらいだから延齢に関しては納得だが、26歳で村長をやっている事に驚きだ。
あれだろうか、代々世襲的に村長を継いでいるのだろうか?
「にしても何故その若さで村長を?」
「私の家は代々村長をやっているんです。先代の父が早くに亡くなったので3年前に村長に」
「へぇ……あれですか?男女関係無く村長に成れるという事ですか?」
「その通りです。基本的に第一子ですが、私は長女ですが3人目なんです」
「上にお兄さんが?」
「はい。長男は行商をやっていまして、リーヴォリの町にも偶に訪れて居た筈です。次男は向いていないから、と言って村を出ました。行商をしている兄から聞いた話なのですが王国軍に所属しているらしいです。何というか、兄達はかなり変わっているので……人族の方達からしても随分と変わり者だと思いますよ」
エルフ達の不老不死という噂と、何故その若さで村長をやっているのか、という理由まで知る事が出来た。
しかしエリカさんのお兄さん2人がまさかの変わり者の人達だとは……
まぁ一定数いるらしいし、人間にも変人はいるからあれだけど。
その日1日、エリカさんと話し続けた。
そしてその後、使いの人に持って行って貰う手紙と写真、薬莢を1発封筒に入れ、封筒の表部分に俺の名前とエルフラントさん宛、という事を書いて
渡した。
使いの人は6人で構成されていて俺が手紙を渡して直ぐに出発した。
エリカさんの言う事が本当ならば凡そ10日もあればリーヴォリの町に居るエルフラントさんに俺の無事が伝えられるだろう。
本当に心配を掛けてしまっているだろうから帰ったらしっかりと謝らないと。
まぁ暫くは返れそうにない。早くても1か月は先になってしまうだろうか。
それと今更だが俺が寝泊まりしているのはエリカさんの家だ。
といっても4日間は仮眠程度に睡眠をとっただけでそれ以外は1日中村の中を走り回っていたから殆ど居なかった。
別に空いている家であればどこでも構わないと言ったのだがエリカさんが自分達のことをこれだけ助けて貰った人にそんな事出来ないと頑なに言って聞かず、村の家の中で一番の大きさを持つエリカさんの家に泊めてもらう事になった。
多少血が床に垂れていたりはしたがしっかりと清掃、消毒、殺菌を行ったので問題は無い。染みが付いている程度だ。
もし気になるのならその部分だけ取り換えてしまえば良いだけだし、ベットのシーツに殆どが付着していたのでそのシーツを片付けるだけで十分だった。
そして今日は、怪我をしていない元気な人達を集めた。
それにもちゃんとした理由がある。理由も無しに人を集めたってしょうがないからな。
理由と言うのはこの村を守ると言ったが流石に1人では無理だ。
当然村人にも手伝って貰うのだが、俺は弓や魔法だけで到底立ち向かえるとは思っていない。俺1人が銃を使えてもしょうがない。
「皆さん、集まって頂き有難うございます」
「兄ちゃん、態々全員集めて一体何の用だ?」
「皆さんは、村を守りたいですか?」
「なんだいきなり?イチロー、何故そんな事を聞く?」
「村長さんと相談してこの村を守るお手伝いをさせて頂く事になりました」
「兄ちゃんが?」
「そうです。そこでお聞きしたい事があります」
「聞きたい事?」
「皆さんは、この村を守りたいですか?」
「そりゃ勿論守りたいに決まってんだろうが。ここは俺達の生まれ故郷で育った場所なんだ」
「それは全員の、この村の総意に間違いありませんか?」
「「「「「「「あぁ」」」」」」」
「それなら良かった。それじゃぁ皆で村を守りましょうか」
という訳でエルフの皆さんには思いっ切り銃の扱いを学んでもらう事にした。
多分実戦は近いうちに出来るだろうから3日間程、1日中練習していればだいぶ慣れる。
呼び出したのは初めて呼び出す事になるグロスフスMG42汎用機関銃。それとM2重機関銃だ。
まぁM2に関してはもう何も言う事は無いだろうがMG42に関しては説明をしなければならない。
種別 汎用機関銃
口径 7.92mm
銃身長 533mm
使用弾薬 7.92×57モーゼル弾
装弾数 ベルト給弾方式
全長 1220mm
重量 11.6kg
発射速度 1200~1500発/m
有効射程 1000m
大まかな性能を記したが特筆すべきはこのMG42のその発射速度だろうか。
1200~1500発/mというM2の発射速度485~635発/mの凡そ3倍~4倍に上る。M2も種類によっては発射速度がMG42に匹敵するものもあるがそれは扱わないので割愛する。
このMG42はドイツ軍で使用されていた汎用機関銃で使用弾は7.92×57mmモーゼル弾という物で、ベルト給弾式とドラムマガジン式の2種類に分かれている。今回はベルト給弾式を採用している。
生産数に関して言えばM2には劣るものの、生産数は40万丁という数を誇る。
そして高い発射速度は特徴でもあり弱点でもある。
というのも余りにも発射速度が速すぎて銃身の過熱が激しいのだ。
だから基本的に1秒という短い短連射で射撃を行うのだが、それでも最大25発の弾丸を発射できる。
当然短連射でも銃身は過熱し、摩耗してしまうのだが、その弱点の発射速度をそのままにする訳も無く、それを補うために銃身交換を簡単に行えるようにしてあるのだ。
銃身カバー右後端のハッチを開く一挙動だけで簡単に銃身を抜き、新しい銃身に交換する事が出来た。
戦闘中は予備銃身を脇に置いて時々交換しながら冷却して使用する。
今回呼び出したのは後期型の物で銃身の摩耗対策に硬質クロムメッキを施してあるもので摩耗はそれなりに抑えられているだろう。
発射速度が速すぎて命中精度は多少悪いがそれも発射速度で補える。
他にもMG34という物やMG3という、MG42を元にしたものもあったが断念した。
というのもMG34はこの森で扱うには向いていないのだ。汚れに過敏で直ぐに排莢不良を起こすらしく、この森の中で使うにはその弱点は余りにも大きすぎる。
そしてMG3の使用を断念したのは使用弾が7.62mm弾という物で7.92mm弾とは全く大きさも威力も違う。その点で見ればMG42の方が威力が高い。
そう言う訳でMG3は呼び出さなかった。
それぞれの運用方法としてはM2が火力担当、MG42が弾幕担当という感じでそれぞれ分けてある。正直な話、この2種の銃に魔物や魔獣直接的に殺すことは期待していない。弾幕を張って敵の足止めさえ出来れば構わないのだ。
多分だが小さい魔物や魔獣なら一撃とはいかないものの、M2とMG42で十分殺せるだろう。
しかしながらデカブツ、村長さんの言っていた魔物のキマイラ、グレンデル、魔獣の大蛇や巨大な熊となるとかなり討伐に苦労する。
まぁキマイラやグレンデルと言った魔物に関しては体長が大体20m近くにもなる。
大蛇や巨大熊も地球基準で想像するような大きさでは無い。
大蛇に至っては全長が小さいもので15mにもなる。太さは2mにもなりその硬さは発達した筋肉などによって鋼鉄と同じぐらい。
巨大熊も同じような物で立った時の高さが5~6mという。
この森がどうなのか知らないが少なくともこれ以上、と見積もっておいた方が良い。
多分この森のマッピングをしていた時に見た大きな動く影なんかも魔物だろうと推測できる。そんな奴相手に12.7mm弾や7.92mm弾で歯が立つか?
答えは立つ訳が無い。
そもそもこのクラスの魔物、魔獣ともなるとこの国で言えば王国の精鋭部隊である5個騎士団の内の騎士団を丸々1つ投入し、緊急の討伐隊を組む程に強力で強大な存在だ。1個騎士団の兵力は戦闘を行う事が専門の戦闘部隊だけで3000人。兵站などの補給を担当している者を含めると5000人になる。
キマイラもグレンデルもどいつもこいつも無駄に硬くて厄介な相手ばかりだ。
傷1つを与える為だけで一苦労。接近すれば剛腕で叩き潰され、離れていても火を吐いて来る訳だから文字通り決死の覚悟で挑む。
この王国の騎士団や兵士がそんな奴ら相手に戦えるのは高い練度と良質な装備が多数揃っているからに他ならない。しかしそれでも多くの犠牲を払っての討伐だ。
そんな相手に一度とは言え凌ぎ切ったエルフ族はとんでもない連中だとしか言えない。
装備も王国軍が使用している武器や防具なんかよりもずっと貧弱で頼りない物を使っているのにも関わらず。
しかし何故呼び出したのかというのは先程も書いた通り足止めや目くらましになら十分使えるからだ。
さて、ここで俺の呼び出せる武器をエルフ達に貸し与えて戦う為の術を教えたらどうなるか?
答えは簡単、鬼に金棒という訳だ。
元々は弓が得意な彼らだ。射撃も同じ様にこなしてくれるだろう。
という訳でこの2つの武器の扱い方を教える。
M2とMG42で仕留められないと予想されるのにこの2つを呼び出したのか。
先程も言った通りだが弾幕を張って足止めさえ出来れば良いのだ。
何故かと言うと、流石に小口径では仕留められると思っていないので中口径クラスで探してみたのだが、20mmクラスではやはりどうにもならなさそうだ、という結論に至った。そもそも想定している硬さは戦車クラスだからどうやっても弾かれてしまうのがオチなのだ。
そう言う訳でどうにかして一撃で倒せそう兵器となると対戦車砲だ。
他にも個人携帯用の物もあるにはあったが使い捨てとかそんな感じだったから止めた。
貫徹力に関して言えば対戦車砲に軍配が上がるし、個人で簡単に使えるとは言っても相手の硬さが未だ未知数なので出来るだけ高い貫徹力の方を選ぶことにした。
2.8cm、3.7cmなどの口径が小さなものから12.8cmという対空砲や艦船に載せられるレベルのデカいやつまで様々だ。
しかしながら2.8cm、3.7cmでは貫徹力と火力不足。かと言って12.8cmなんて逆に過剰だ。
結構選ぶのに苦労した。
7.5cmなど良さそうだ、と思ったのだがこいつ回転砲塔ではなく自走榴弾砲の様に前方向にしか撃てないタイプで、そんな一々戦っている時に砲をあっちこっちに引っ張り回すなんて効率が悪すぎる。
しかも木と木の間に設置する事を考えると方向転換などが容易に行えなければいけない。
そこで一度、しっかりとこの村の木と木の間をしっかりと調べた。
もし使う事になっても移動や方向転換が楽になる様に、位置を選ばなければならないからだ。
するとぱっと見だけでも村の中では森よりも木と木の間隔が随分と広いのだ。
平均して10mはあり、一番広い所だと村の中心にある広場が25mもあった。
これについては村長さんから聞いたが狭いと生活する上で不便だから村の中だけは此処に来た時に木々を切り倒して間隔を広げたのだそうな。
そう言う訳で口径の小さいものではなくより大きな口径を持つ砲の使用が可能になった。しかし12.8cm対戦車砲は幾ら何でもデカすぎる。
そこで選択した対戦車砲は8.8cmPak43対戦車砲。
8.8cmPak43対戦車砲はドイツの物だが台座が約5m、砲身を含めた最大全長は6.3m程。
砲身長 6.28m
重量(移動時) 5400kg
(設置時) 3700kg
口径 8.8cm
元々、8.8cmPak43対戦車砲は8.8cmFlak18/36/37対空砲を改良したものだ。名前にある通り元々対空砲だったのだがそれを転用したのが対戦車用の8.8cmPak43対戦車砲である。
8.8cmFlak18/36/37対空砲は対空、対戦車のどちらも出来たのだが対戦車戦専用として開発されたのが今回選んだ8.8cmPak43対戦車砲である。
因みにだがFlakだのPakだの書いてあるがそれは略語だ。
Flakと言うのはドイツ語で「Flug abwehr kanоne(対航空機砲)」の略語。
そしてPakと言うのは「Panzer abwehr kanоne(対戦車砲)」の略語。
まぁこれを知っていて何になるのか、と言われても多分何にもならないとしか言えないな。
さて武器の説明に戻ろう。
8.8cmPak43対戦車砲は十字型砲架という、地面に設置するタイプの砲架を装備している。こいつは旋回砲塔なので全方位に対しての射撃が可能だが、対空射撃は出来ない。
貫徹力は被帽付徹甲榴弾を使用し30°に傾斜した装甲板に対しては次の通り。
203mm(100m)
185mm(500m)
165mm(1000m)
148mm(1500m)
132mm(2000m)
タングステン芯を使用した砲弾で30°に傾斜した装甲板に対しては、
237mm(100m)
217mm(500m)
193mm(1000m)
171mm(1500m)
153mm(2000m)
という値だ。
森の中なので2000mどころか、500m、100mという距離ですら射撃機会が無いかもしれないが、やはり近距離での貫徹力は驚くものだ。
まぁ流石にこれだけの貫通力があれば殆どの魔獣や魔物を一撃で仕留められると思うし土竜でも倒せると思うのだが……そこら辺は実際に戦って見てからでないと分からないとしか言えないな。
そう言う訳で直接的に仕留める役割を担うのは対戦車砲が務める。
M2とMG42で弾幕を張って足止めをしている間に8.8cm砲でデカブツを仕留める。もしそれの討伐が終わってしまったら榴弾を撃てば小物も纏めて吹き飛ばせる。
村の中で一番全方位を良く見渡せる中心の広場に設置をする。この広場は直径20mもあり、十分な広さを誇る。
その設置に関しても1つ工夫をする。
設置する場所を深さ100cm、直径12mの穴を掘り、そしてその掘り出した土は土嚢袋に入れて周りに積んでいく。
しかし砲自身の安定性を高める為に十字砲架の端にあるY字型の穴4つに杭をしっかりと打ち込んでいく。こうする事で動かない様にするのだ。
これで8.8cm砲に関しての準備は完了だ。
本来は4門で一個中隊の編成なのだが今回ばかりは4門も設置はしない。
運用人員に関して言えば本来は牽引用のハーフトラックの運転手なども入れると12人だ。だが今回はハーフトラックの運転手は必要ないので10名。
班長1人
砲手1人
砲操作係2人
装填手2人
砲弾運搬係3人
伝令1人
通信係1人
と言うようになっている。
本来ならば通信係が測距離係を同時に担うのだが今回は想定される敵との距離はかなり近く、態々そんな測距離をする必要は無いと判断した。
班長は俺が務めるからその分他に回って貰う。
通信に関しては砲声と銃声が入り混じり、更に走って伝令をするのにはあの丘とは違い範囲が広すぎるのだ。だから今回ばかりは有線通信機を導入した。
というのも今回、呼び出したM2とMG42はそれぞれ25挺ずつ呼び出したのだ。
合計で50挺。
それぞれ操作の為に必要なのは1挺に付き2人だ。それに通信手を1人付ける。そうすると全部で150人になる訳だが、村人の数は元々ピッタリ300人だ。
そこから亡くなった人が43人。命は助かったが腕や足を失った人が36人。
身体が健全で元気に動き回れる人達は全員で222人。そこから8.8cm砲の11人を除けば210人になる。この210人から150人を引くと60人。
この60人で50もある銃座に伝令と弾薬運搬の2つの仕事をさせるのは余りにも手に余ると判断したからだ。
あの丘での戦いの時もそうだったが伝令と弾薬運搬の2つを行っていたノーマンさん達は本当に大変だったと記憶しているから、その経験を生かして今回は有線通信機の使用に踏み切ったのだ。
そうすれば60人は弾薬運搬に専念する事が出来る。
しかしこちら側で銃座の通信を受ける為の人間も必要だから10人を通信係に。
50人の弾薬運搬係という事になる。
各銃座は射手、装填手、通信手、弾薬運搬係の計4人態勢となる。
それぞれ北から西を第1区画、西から南を第2区画、南から東を第3区画、東から北を第4区画と言うように担当区と担当区の呼称を決め、それぞれM2とMG42を5挺ずつ配置し、更に残り10挺を防御が難しいと思われる区に優先的に配置していく。
優先配置したのは第2区画と第3区画。こちらには残りの10挺の内の3挺ずつを配置。
残りの4挺は第1区画と第4区画に2挺ずつを配置。
各区画のM2とMG42の割合は下記の通りだ。
第1区画
銃座 ×12箇所
M2 ×6挺
MG42 ×6挺
第2区画
銃座 ×13箇所
M2 ×6挺
MG42 ×7挺
第3区画
銃座 ×13箇所
M2 ×7挺
MG42 ×6挺
第4区画
銃座 ×12箇所
M2 ×6
MG42 ×6
この割合で設置することにした。
役割と区画、配置を分担し、区画内での設置箇所を決め、次に行ったのは銃座と交通壕を掘る事だった。今回想定されるのはキマイラなどの火球などの攻撃を仕掛けてくるということだ。
と言っても銃座はトーチカのような物だが。
しかしながらコンクリートで作られている訳では無く、銃眼を開けた鋼鉄板で囲っただけの簡単な物だ。
俺で言いかえれば砲弾銃弾が飛び交う何の遮蔽物もない場所を移動するようなものだ。まぁここは森の中だから遮蔽物はあるにはあるのだが銃を全て隠せるほどでは無いし何より全方位からの攻撃を想定しているのだから背中ががら空きの状態なんて良い的にしかならない。だから移動中に確実に身を隠せる壕を掘ることにしたのだ。
8.8cm砲の砲座からそれぞれの区画に向かって伸びるように構築していく。
交通壕の深さは1m掘り下げて、土を土嚢袋の中に入れて淵の部分に積み上げていく。こうする事で深さを掘り下げずに高さを確保できる。銃座の所は1.2m掘り下げて更にその周りを土嚢で囲った。
交通壕の深さは土嚢と併せて1.6mになった。
土嚢は2列で4段重ねてある。
エルフ族の男の平均身長は大体170cmから175cmと言った所だ。
高くても1.8mだから交通壕ならの頭の上部分が少し出るぐらいだ。
女性は完全に隠れる事が出来る。
その構築を行う上で重要なのは銃座に向かって一直線に掘らない事だ。
真っ直ぐに掘ってしまうと火球なんかが飛んできた場合に交通壕内に直撃する恐れがあるがワザと曲がりくねったように掘ると直撃の危険性を大きく減らせるのだ。
そう言う訳で掘り進めた壕は、途中に弾薬集積所を各区画に一か所ずつ設置した。
深さは2mで大きさは6mの正方形。流石に野曝しにするわけには行かないから上の部分を鉄板で覆った。
厚さは3cmの鋼鉄製の鉄板だから早々ぶち抜かれる心配は無い筈だ。
交通壕と銃座壕構築で丸々1日使い、2日目から早速訓練の開始だ。
あぁ、そう言えばエルフの皆は随分と協力的というか、物凄く熱心だ。
やはり自身の生まれ故郷であるこの村を守る為だからだろうか?
全員が全員、全てにおいて全力だ。
先ずは全員にM2とMG42の操作方法を身体に徹底的に叩き込んでもらい、全員が最低限扱えるようにした。
それからは射手と装填手は只管早く装填、射撃、銃身交換が行えるように反復練習。
弾薬運搬係と通信手はそれぞれ弾薬を運ぶ速さの向上と通信手は通信機器の取り扱いを身体に叩き込んで貰った。
あぁ、それと各銃座の名前を決めた。
と言っても第1区画の第1銃座ならば1‐1、第2銃座ならば1‐2言うように簡単なものだが。
魔獣や魔物の襲撃が何時来るのか分からないから襲撃が行われるその時までひたすら同じことを反復練習し続ける。射手と装填手は装填から射撃、弾切れからの装填時間を出来る限り短くする事と、銃身交換時間の短縮をする。
時間の短縮だけでなく、M2とMG42の操作などに慣れることも目的だ。
丸々1日操作や装填、銃身交換や射撃訓練を行ったお陰かかなり精度が上がった。
銃身交換に至っては教えても居ないのにそれぞれの銃座が銃身交換中の銃座のカバーをするという事すら出来るようになった。
MG42の銃身交換時間は4秒程で出来るし、M2も平均15秒で交換出来る。
詰まりが起きた時の対処方法などもしっかりと行えるようにしてある。
不発は無いがどうしても弾詰まりは起こってしまう現象だ。
射撃訓練は流石にこの森の中で最初から実弾を使うわけには行かない。
空砲弾を使っての訓練だ。それでも十分音はデカく、最初の内はかなり怯えていたり驚いたりしていたが3時間もすれば慣れたのか平然としていた。
弾薬運搬係は各区画にある弾薬集積所に呼び出した空砲弾を取りに来て、自身の銃座に走って持って行く、という事をひたすらやって貰った。早く!もっと早く!もっともっと早く!と言うようにひたすら尻を叩きながら走って貰った。
と言っても全員狩りなどで走り慣れているのかそこまで疲れた様子は無かった。
なのでもっと速く走って貰った。
通信手は最初の1日で操作には慣れたのか扱えるようになっていた。
そこから本部の通信手はそれぞれ多数の通信に対応出来るようにする事と、銃座の通信手は時間短縮の為に簡潔に用件を伝える為の訓練を行った。
そして俺を含む8.8cm対戦車砲も例に漏れず。
砲塔旋回、照準、昇降ハンドル(上下角度の調整)、装填、射撃という一連の動作の繰り返しだ。
砲弾の運搬は装填手に渡るまでバケツリレーという事なのでそれのひたすら練習。
班長である俺は目標の指示、上下左右の角度調整指示、装填、射撃命令とかなり仕事が多い。
因みにだがエリカさんは通信手として本部に、ネルは第1区画の8番銃座の配置となった。
本来ならば不発弾も有り得るのだが、呼び出す砲弾は嬉しい事に不発弾が存在しない。だから砲弾が不発で発射されない時の処置は気にする事が無く、そこは楽だった。
射撃に関しては実際に空砲弾を撃ち、爆音や衝撃に慣れて貰う。
本来エルフという種族は森を大切にするらしいのだが、村が無くなって死んでしまえば大切にするもクソも無いと言って訓練に参加していた。
ある意味、かなりのリアリストという事だろうか。
一連の訓練に丸々5日を使い、ほぼ一日中自分の担当する役割の訓練に没頭し続けたお陰か、かなり熟練する事が出来た。
こうして魔獣、魔物の迎撃準備は整った。
あとは、戦って勝つだけだ。
超個人的な趣味によりM2だけでは無くMG42に搭乗して貰いました。
ヒトラーの電動のこぎりとも言われていたやべー発射速度の持ち主君です。
同じく超個人的な趣味によりRPG-7やパンツァーファウストなどの使用は無しになりました。だってアハト・アハトかっこいいじゃないですか?
アハト・アハトが魔獣、魔物に対してぶっ放すなんて浪漫が有り余って最高じゃないですか!
ティーガー戦車とかがでっかい土竜やらとドンパチってのも中々にかっこいい……
あ、戦中戦車に限らず戦後戦車も良いですねぇ……今の所10式の登場予定はありません。
というのも1両だけだと真価を発揮できないと言うか。
細かい説明は此処で書けるレベルでは無いので書きませんが
各車でのデータリンクシステム云々とかのコンピュータ関連が結構複雑で、敵の位置情報やらを共有したり出来ちゃうのが10式なんです。
その真価を発揮するとなるとどうしても2両以上必要になって来るし、何より話的には4~6両居ないとツマラナイ……
まぁ他の現代戦車が1両だけで楽しい話になると言う訳ではないし、真価を発揮するなんて訳でも無いので勘違いなさらず。
だって歩兵の随伴が無い戦車とかマジで無力極まりないし……しかもそれが市街地戦ともなればもう、隠れて接近して来た歩兵に個人携帯用の対戦車兵器で釣る瓶撃ちにされて穴だらけになるし。
まぁこんな後書きで詳しい戦術を話すのもあれなのでこのぐらいにしておきましょう。
詳しい説明を、と言うならば作者はどちらかと言うと戦中兵器の方が詳しいので現代兵器はぶっちゃけここで調べて頂いた方が間違いが少なさそう……
まぁ作者もちゃんとしっかり調べますけど。
そう言う訳で感想を書いて下さったり高評価を付けたりしてくれると嬉しいです。