銃は地球人類が生み出した最高の文明の利器である   作:ジャーマンポテトin納豆

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防衛戦 その後

戦後処理を済ませ、死者の弔いとその後の食事も終わりエリカさんの家に戻った。

流石に丸々1日半以上動きっぱなしだったから疲れた。

 

家に戻って、俺が使用している部屋へ向かいベットに腰を掛ける。

 

「あぁ……クソ……なんでこんなに手が震えるんだよ……」

 

少し落ち着くと手が震え始めた。

それどころか足や身体までもが震え始めた。

 

踏み潰されて死んだ人の顔や治療中に出血が止まらず、どんどん顔色が悪くなっていき死んだ人の顔が浮かんで来る。

 

さっきエリカさんは死者が俺に感謝を伝えたかったと言っていたが、どうにも俺はそう思えないのだ。

 

あの時、遺体の身元確認の為と死因の特定の時に顔を見たがその顔が、目も瞑っているのにその目が開かれて俺を責めてきているように見えた。

 

『お前の指示がもっとしっかりしていたら俺達は死ななかったのに』

 

目は閉じられているのに、どうしてもそう思っているのだと、語っているのだとそう考えてしまう。

 

俺はあの時やあの時、どうすれば良かったんだろうか?どんな指示を出せば良かったんだろうか?どうすれば死んだ人達を助けられた?どうすれば死なせずに済んだ?

 

遺体が並べられた光景と考えが頭の中でグルグルと考えてしまう。

寝ようとしてもそれらが頭から離れず、目を瞑れば更に鮮明にその光景を思い出すだけ。

 

 

 

多分、今のままじゃぁ何時まで経っても寝られないだろうな。

そう思った俺は、一度外に出て夜風に当たりながら調査日程の事を考えるようにした。

 

丸々1か月とはいかないがほぼほぼ1か月と言っていい期間が過ぎてしまった。

しかしながら森全体の調査をする、と言うよりは今の俺には目的がしっかりとある。

 

裂け目の調査を行うのだ。

 

エリカさんからも聞いたがどうにもあの丘に現れたゴブリンの大軍然り、村への襲撃然り、裂け目の異変が一番に関係している。

 

だからオール大森林の調査と言うよりは裂け目の調査を行った方が良い。

ほぼ確定で裂け目には何かがあると言っていい。しかし、どうしたもんか。

 

裂け目に行く方法はハンヴィーか、バイクの二択だ。

この村から裂け目までの直線距離は約300kmもある。その距離を徒歩移動するのは1日30kmの移動を予定しても最低10日掛かる。

50kmの移動にするとほぼ不眠不休で移動しなければならなくなる。そんな事を6日間もやったら間違い無くそれ以降の調査に支障が出てしまう。

 

しかも直線移動が出来るという訳では無く、多少の迂回なども考えると距離は伸びるだろう。

 

さて、そこでハンヴィーかバイクのどちらかでの移動となる訳だが。

トラックは無しだ。あんなもんこんな森の中で乗ったら小回りが聞かなくて扱いずらいったらありゃしない。

 

俺はバイクを選ぶ。

バイクならば積載量なんかはハンヴィーやトラックには遥かに劣るがそれでもこの森の中で一番に必要な機動力が一番高い。小回りも聞くし、木々を避けて進む事も簡単だ。

 

道のりは舗装も何もされていないのだから、2日で裂け目に到着出来れば良いか?最悪その倍は掛かると見ておいた方が良いかもしれないな。

移動日数と裂け目の調査期間は併せて丸々1か月程か?

残りの1か月は状況によって裂け目の調査かそれとも森の調査を行うかを判断しなければなるまい。

どちらにしろ1か月が経ったら一旦村に戻って来よう。

本当は家に帰りたいんだが既に1か月が経過している状況を考えると帰るほどの余裕は無い。エルフラントさんには申し訳ないが手紙と写真で俺が無事だという事を信じて貰うしかない。そもそも写真が入っているから無事を信じてくれるとは思うんだが……

 

 

 

 

 

 

 

移動手段はバイクで決定だ。

あと持って行くもの、と言うよりは裂け目に到着したら呼び出す物はかなり長く耐久性の高いロープか?正直な所、降下しなければいけないだろうが、谷底の深さが分からない。出来ればレーザー距離計も呼び出してそこまでの深さもしっかりと測定しておきたい。

 

余りにも深すぎると緊急事態の際に即座に離脱出来なくなるかもしれない。

いや、底まで降りたら確定でその様な事態には対処出来ないだろう。例えばグランドキャニオンの一番深い場所まで降りたとしよう。そこに居た時に地震や大雨で鉄砲水なんかが襲ってきたら?

 

地震ならば崩れて来た土砂や瓦礫に生き埋めにされるかもしれないし、鉄砲水なら流されて溺死は免れられない。

 

そう言う訳で谷底までの正確な深さと、万が一の場合の脱出手段の確保なんかが重要なのだが遠目から見た感じでも幅だけで数kmあるだろう。

だが深さになったらどれほどになるのか分からない。もし問題が1つでも起きたら死に直結すると考えて良い。

ロープが切れれば転落死。

降下し切る事が出来ても谷底に到着しても崖崩れが起きれば生き埋め。

大雨が降ったりしても流されて溺死。

 

これだけではない。

そもそも上げたらキリがないのだが、上げた3つだけでも楽に死ぬことは出来なさそうだ。恐らくだが戦場よりも過酷な旅路になるかもしれない。

 

 

 

 

そう考えて部屋に戻って寝ようとしたが震えは収まっておらず、今までの1日半で一睡もせずにいたのに、何故か身体は寝る事を拒否してしまっていた。

 

しかしながら寝ないと明日以降に支障が出てしまう。

 

そう思ってベットに潜り込み、目を瞑って無理矢理寝たのだった。

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「---------」

 

「おーーーーーもーーーーーーーー」

 

「---!-----!?」

 

「なーーーーいーーーーーーーー」

 

 

 

 

 

 

 

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「うわぁ!?」

 

掛け布団を思いっ切り撥ね退け飛び上がる。

夢の中で死んだ人達が出て来た。

 

俺の周りを囲んで延々と何かを言っていた。

それが恨み言だったのか、それとも別の言葉だったのか。

 

飛び起きたのは、まだ太陽も登っていない夜中だった。

時計を見てみればまだ3時だ。たったの3時間程度しか寝れていないのか。

 

しかしながら夢のお陰で目は覚めてしまい、もう一度寝ようとしても無理だろうし、そもそもあの夢が頭から離れない限りは無理だ。

 

 

 

「イチロー様?どうかされたのですか?」

 

「エリカさん?」

 

「はい、大きな声が聞こえたので何かあったのかと……」

 

俺の大声を心配したのかエリカさんが部屋を訪ねて来た。

あれだけ大きい声を出せばそれは気が付かれるだろうし、何かあったのか気になる事も仕方が無い。

 

「まぁ、その、悪夢、と言うか、そう言う感じの夢を見て……」

 

「悪夢、ですか?……もしかして、イチロー様は死者の事をまだ気にしていらっしゃるのですか?」

 

「……もし、俺がもっと良い指示を出せていたら死ぬ人は居なかっただろうし、治療の時ももっとうまくやれていたら救えた人もいた筈だ、という考えが頭から離れなくて」

 

俺はそう言った後に手を見てみると震えていた。俺はその震える手を隠すように組んだ。

 

「そんなことはありません。イチロー様はこの村の為を、村人の為を必死になって助けてくれたでは無いですか」

 

「そうなのかもしれない。そうなんだろう。でも、死んだ人達はそう思わないかもしれない。恨んでいるかもしれない。そう思ってしまうんだ」

 

「それは無いですよ。貴方の周りを飛んだ魂達も暖かかったのでしょう?」

 

「あぁ……」

 

「ならばどうしてそう思うのですか?」

 

「魂になった人達も俺を責めているんじゃない、そう頭では思うんだ。でも、どうしても……」

 

「自分で自分を責めてしまう、という事ですか」

 

「…………あぁ」

 

確かに俺の周りを飛んでいた魂はどれも温かかった。それは感謝を伝えたいと言う事もエリカさんから説明されたし分かってる。でも考えてしまうのだ。

 

「イチロー様は、それこそ命懸けでこの村を守って村人の命を救ってくれた。イチロー様が居なければ来て頂いた時に治療して頂いた皆はいずれ死んでいたでしょう。それにこの村を守るための戦いも戦う為の術を教えてくれて、自分自身も命懸けで戦って土竜に立ち向かっていった。その後も怪我人の治療や後片付け、誰よりも一番に働いて弔いにも出てくださいました」

 

「……」

 

「そんな方に恨み言をぶつける様な者は誰も居ません。怪我をして、その治療中に死んだ者も自分を必死になってイチロー様の持てるあらゆる手を尽くして助けようとしてくれたのですからそんな人に恩を感じないなんてあり得ません。もしそんな者が居るのならば私が張り倒します」

 

エリカさんはそう言ってくれたがどうなんだろうな。

そう言ってくれた事はとてもありがたいし、そうなのかもしれない。でも俺自身がそう思えていないから何時になっても同じ様に思うだろう。

 

「イチローさん、少し失礼しますね」

 

「え?」

 

エリカさんは一言俺に言って俺の事を優しく抱きしめた。

 

「ちょっ……!?何してるんですか!?」

 

「目を瞑ってゆっくりと深呼吸してください」

 

抵抗しようとしたが、有無を言わせぬ雰囲気で言われてしまった。

多分だがこれ以上抵抗しても無駄だ。だから言われた通りに目を瞑って深呼吸をした。すると段々と眠くなって来た。

 

あれほど眠れなかったのにどうしてこんなに直ぐに眠くなったのかは分からないがその後直ぐに寝てしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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『兄ちゃん、俺達の事は気にすんな』

 

 

 

『あんたのお陰で家族が救われたんだ、心の底から感謝はしてるが責めるなんて事しねぇよ』

 

 

 

『怪我をした私の命を助ける為に必死になって治療を施して頂きました。それでも私は死にました。ですが貴方を恨むことはありません』

 

 

 

『村を助けて頂いて本当に感謝します』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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夢を見た。

でも夜中に飛び起きたような夢では無く安心出来る夢だった。

 

なんだろう、俺が来る前に死んだ人達も居たような気がするが誰も彼もが口を揃えて俺に何かを言っていた。

それがどんな言葉だったのか朧気にしか思い出せない。でも恨み言では無かったのは確かだ。

 

 

目を覚ますと俺はベットに横になって、ベットの横に椅子を置いてエリカさんが座っていた。エリカさんは寝ているが、俺の手を握っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー エリカ・コーウェル ----

 

 

 

 

 

 

イチロー様が村にやってきたのは、魔物や魔獣の襲撃が起きた後だった。

私は片目を包帯で覆い、左足を失い右腕が折れていた。

 

ベットの上に横たわって自分で身体を動かす事も出来なかった。

 

そんな時、流石に食料も魔獣や魔物の襲撃によって殆ど失いネル達を狩りに向かわせた。今の森の状況は途轍もなく危険だと分かっていた。でもそうしなければ皆が飢える事になってしまう。

 

だから向かわせました。

 

 

 

 

 

帰って来た時にネル達が連れて来たのがイチロー様でした。

 

話を聞けば狩りの途中、翼竜の群れに襲われていた所を助けて頂いた、と。

しかも空を翼竜や飛竜よりもずっと早く飛ぶ何かを駆って。

 

聞いた時は驚いたし、信じられなかったが嘘を言っている様では無かったし、その空を飛ぶ物から彼が出て来た事も全員が見ていると言っていたから本当なのでしょう。

 

 

それから、彼へのお礼として村の状況説明、村への滞在、森の事を教えることを承諾。

 

 

すると彼は唐突に私の治療をすると言った。

迷惑をかけるわけには行かないから、と言ったが彼は気にしないで欲しいと言って私の治療をしてくれました。

 

治癒魔法を施すだけでなく彼自身の独自の治療方法も行ってくれました。

治癒魔法は確かに傷も治るし、軽い傷であれば綺麗に消えてしまうでしょう。

それに欠損があっても傷口は塞がります。

 

ですが治癒魔法を施してもその後に死んでしまう者は少なくありません。

理由は分からないが、治癒魔法で助かってもその後に何も無いのに高熱を出したりして死んでしまうのです。

 

 

 

 

イチロー様は、何処から取り出したのか、何かの液体や純白の布やタオル、見た事も無い器具を呼び出して私の治療を始めました。

 

 

 

治療が終わった後、足を見れば繋がっていて、目の周りにあった大きな傷は綺麗に消え、腕の骨折も治っていました。これほどの治癒魔法何て聞いたことも無ければ見た事も無いです。

 

それこそ物語などにしか出てこないぐらいに極められた治癒魔法だと思いました。

私の傷口に何か液体や水をかけ、器具で弄っていた時は何をしているのかと思いましたがそれも全部治療として意味のある行為だったのでしょう。

 

 

 

手足の欠損を治すなんて本当に神話や物語の話だとしか思っていなかった。

だから繋がっている左足を見た時は本当に驚いた。彼は手足を生やしたのではなく繋げたのだと言っていたがそれも私からすれば大して変わらない気がします。

 

 

 

 

 

 

それから私は村人の治療を頼み、彼は見返りも要求せず、快く受け入れてくれた。

あぁいや、正確には見返りは要求しましたが、リーヴォリの町へ自分の事を心配してくれている人達にイチロー様自身は無事だという事を伝えて欲しい、という事だけ。

 

寧ろこれで見返りとしていいものかとも思いましたが、この森の現状を考えれば確かに難しい事なのかもしれない。

 

しかも見返り、としてではなくお願い、と彼は言ったのです。

だから私達が断ろうと承諾しようと私の好きにしろ、という事。

 

でも私どころか村人全員の命の恩人のお願いを断る気はありませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

彼が村人全員の治療が終わったのは丸々4日が過ぎてから。

村人の治療だけでなく食料の提供もして頂いたし、治療後に患者を放り出すのではなく全員を見て回り、薬を与えて回ったりもしてくださいました。

 

見た事も聞いたことも無い食べ物が幾つもありましたがそれらはしっかりと食べられるもので普段私達が食べている物よりも美味しかったです。

まぁ味付けが濃かったのですが、普段食べている物に影響された味覚の違いという事でしょう。

 

本当に有難かった。

でもイチロー様はこの村に来る前の死者と治療中に亡くなった事をとても悔しく、悲しそうにしていました。

 

 

 

 

 

 

それ等全てが終わった後に私の元を訪ねて来たイチロー様はとても疲れたように見えました。それはそうでしょう。丸々4日間睡眠も取らずずっと私達の為に動き回ってくれていたのだから。

 

それでも私と話をして森の状況を聞いて手を貸してくれると言いました。

 

私はそんなイチロー様の前で泣いてしまいました。

彼はそんな私を困ったように必死に宥めていました。

 

 

 

 

 

 

 

それから村を守るための準備を始めたイチロー様は見た事のない武器をまた何も無い所から幾つも取り出して私達に使い方を教えました。

 

その前に地面にあちこちに伸びる溝、イチロー様は壕と言っていましたね。それを元気な怪我をしていなかった皆で掘りました。

 

 

 

班を分けて、それぞれに役割を与えて。

 

 

自信も戦う為の準備を進め、私も戦いに参加しました。

と言っても最前線で戦うのではなく、後方の安全な所でつうしん?を専門とする役割に着きました。

遠く離れた人に声を届けるという道具の扱いを任されました。

 

もう本当にこれも神話や物語の話ではないですか。

いや、神話の中でも聞いた事が無いです。

 

彼が呼び出した武器はどれもこれも強力な物ばかり。

大きな音を立てて光を発しながら矢とは違い、金属でできた銃弾、という物をとんでもない速度で撃ち出します。

 

銃、と呼ばれる武器でした。

 

 

 

銃は撃つ時に大きな音を出すので初めて聞いた時は思わず腰を抜かしてしまいました。

事前にイチロー様に注意されてはいたのですがここまで大きな音だとは思っていなかったからです。

 

周りに居た他の者も私と同じ様な反応。イチロー様はそんな私達を見て苦笑いをしていました。

 

中でも、一番大きな銃、イチロー様は8.8cm砲と言っていましたがそれがとんでもない音を発しながらとんでもなく大きな砲弾を撃ち出します。

 

そしてまた腰を抜かしてしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

村が再び魔獣や魔物に襲われた時、イチロー様も共に戦いました。

声を張り上げて指示を飛ばし、自身も役割をこなす。

 

私も忙しく後ろ姿を見ただけでしたがとても格好良かったです。

 

 

 

土竜が現れた時は本当に終わりだと思いました。

大きな砲弾も弾かれてしまう。

 

でもイチロー様を皆が信じていました。勿論私も信じていました。

無責任だという事は分かっていましたがそれでも縋るしかありませんでした。

 

 

するとイチロー様は何かを持って土竜に向かって走って行きました。

イチロー様が土竜に向かって何かを撃った時にあれほど硬く、どんな攻撃でも倒せなかった土竜の後ろ足が大きく抉れました。

 

 

同じ攻撃をもう片方の後ろ脚と両前足に加え、止めに首に向かって一撃。

 

イチロー様は土竜を討伐しました。

 

 

 

 

 

 

それから彼は、喜んでいる周りを嗜め、怪我人を運んで来て貰い治療を施したり、魔獣や魔物の死体の片付けも全て手伝ってくれました。

 

それなのに魔獣や魔物の素材も、土竜の鱗も骨も何もいらないと言いました。

流石にそれはこちらの面目も経たなくなってしまうし、無理にでも受け取って貰いました。

 

そして死者の弔いや供養のための食事にも参加して頂きました。

 

 

 

 

 

 

そして漸く、イチロー様は泊まり宿としている私の家に戻り、休み始めました。

本来村とは全く関係が無いのに、いえ、今は思いっ切り関わっているのですが。

今日まで彼は一番に誰よりも働いてくださったのですからゆっくりと数日は休んで欲しいと思うのですが、彼はロンバルティア王からこの広大な森を調査する事を命じられてきたと言っていました。

 

この村で1か月間丸々過ごさせてしまったのでそれは無理でしょう。

明日にはもうすぐにでも調査を再開するのではないでしょうか?

 

そう思いながら彼の背中を見ていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜、眠っているとイチロー様の眠っている部屋から大きな声が聞こえてきました。

その声はイチロー様の物だと断定出来ました。しかしその声は何処か怯えているような声で。

 

心配になった私はイチロー様の部屋を訪ねましたが返事がありません。失礼を承知で何かあった場合は大変なので入らせていただきました。

 

するとそこに居たのは、戦いの時の様な勇ましい顔や、何でも無い時に皆と話して笑っていた優しい顔では無く、何かに怯えて震えているイチロー様が居ました。

 

震えを隠す為に手を握りましたが私はしっかりと見ました。怯えて、手が震えているのを。それだけでなく、肩も小さく震えています。

 

 

 

 

何があったのか聞きました。

彼曰く、悪夢を見たそうです。

 

内容は死者が彼を責めるというもの。

 

もし、自分がもっと良い指示を出せていたら死ぬ人は居なかっただろう、治療の時ももっとうまくやれていたら救えた人もいた筈だ、という考えが頭から離れなくてしょうがないのだそう。

 

そんなに悩む事なのですか?

普通ならばもっと誇るのが普通だと思うのですが、彼はそうではない様です。心がとても優しいのか、それとも他に何かあるのか。

 

ですが心が優しいのでしょう。

確かにそれは確かに良い点なのでしょう。ですが同時に大きな弱点でもあるのです。

 

だから今の様に自身に直接関わりの無い死者にもこうやって心を痛めてくれている。村の長としてはとても嬉しく思うけれど、一個人の心としては嬉しくない。

今のままではイチロー様の心が自責の念に押しつぶされて壊れてしまいます。

 

村を救ってくれた恩人、私の命の恩人としてそれは見過ごせません。

ですから、少しだけ裏技を使う事にしましょう。

 

イチロー様の心はまだ壊れていない。だから裏技を使っても今ならまだ間に合う筈です。

 

 

 

そう思った私はイチロー様の頭を抱き締めて、目を瞑る様に言った。

そしてイチロー様に聞こえない様に相手を眠らせる為の呪文を唱えて、眠らせました。

抱き締めた頭は怯えから来るのか、とても小さくて幼子と変わらない様に感じました。

 

彼も誰もが憧れる様な完全無欠の英雄でもなんでも無い、ただ1人の人の子供なんです。辛いと思う事も悲しみや痛みを感じて泣くのです。

 

隣で支えてあげないといつか崩れてしまう。壊れてしまう。

心と言うものはそんなものなのです。

 

 

だから今この時だけでも、出来ればこれからも。せめて私だけはイチロー様の心の支えになりましょう。

 

 

 

 

 

イチロー様は泣いているのか、鼻を啜る声が聞こえて来ます。

安心させる様に優しく、出来るだけ優しく、私は子供どころか夫もいない身ですが母親が自身の子にする様に頭を暫く撫でていると、落ち着いたのか段々と嗚咽混じりの息が整って、規則正しい寝息に変わってきました。

 

 

完全に眠ったことを確認してから、もう1つ呪文を唱える。

この呪文はたった一度だけ、死んだ者の思いを感じ取れる呪文。死者から生者へその思いを伝えられる事は出来ますが、その逆、生者から死者へ思いを伝える事は出来ません。

 

夢に現れてしまうほどに悩んでいるのなら、夢では無いのですが、良い意味の夢を見せます。こうすれば心は穏やかになるでしょう。

人によってはそれが毒になってしまう場合もありますが、イチロー様は恐らく大丈夫でしょう。

 

対象者への思いを死者が伝える。

これは本来有り得ない、有ってはならない事です。死んでいるのだから肉体が無いのですから言葉も喋れない。

ですが、これだけは特別。言い伝えではあの世の神が、死者を思い余りにも残された人達が悲しむものだから、この呪文を授けたと言います。

 

デメリットは1人1回しか使えません。本当にたった一度だけしか使えないという事ですが死者に付き1人という訳では無く生者1人に付き一度だけ。

生きている内に一度だけ。それを使ってしまえばもう二度と同じ人には使う事が出来ません。

 

ですからイチロー様はもう二度と誰か大切な人の思いを知りたいと思っても知ることは出来ません。ですが今ここで心が壊れてしまうよりはずっと、ずっと良い筈なのです。もしそれを望んでいなかったとしたらその時は地に頭を付けて謝りましょう。この身を差し出しましょう。

 

あぁ、そうそう。この話から冥界という概念が生まれたとも言われています。

 

 

 

10分程するとそれでも震えていたイチロー様の震えは収まり、顔色も良くなりました。

それから私はイチロー様をベットの淵で座っている状態から寝かせて、布団を掛けました。

 

離れようとするとイチロー様の手が私の服の裾を軽く握っていました。

そして顔をよく見るとやはり先程の涙の痕が頬を伝っていました。

 

申し訳ないですが戦いの時の顔や、怪我人を治療している時の顔とは違ってとても幼く感じ、そんな彼を見てどうにも庇護欲と言うか、母性と言うか……そう言う感情が込み上げて来てしまいました。

 

流石に同じベットに入る訳には行きませんから、裾を握っている手を優しく解いて椅子を持って来てそこに座りました。そして裾の代わりに手を握る。

 

さっきとは違い、穏やかな優しい顔ですやすやと眠っている。

そんな顔を見ながら私も椅子に座って眠ってしまっていました。

 

そっと頭を何度か手を握っている逆の手で撫でました。

 

 

 

 

ーーーー side out ----

 

 

 

 

 

 

ーーーー side コルネー・エルフラント ----

 

 

 

 

オール大森林の調査に向かったイチローが帰って来なかった。

今日までは帰って来る、と言っていた筈なのに。

 

 

 

 

 

夜、イチローの家に向かうと着いている筈の灯りは無く、家の扉を叩いても出てこない。昨日までなら直ぐに出て来たのだがどういう訳だろう?

 

そう首を捻っていた。

もしかすると帰って来るのが遅れているだけなのかもしれないと思って待っていた。だけど日が昇って来た頃になっても帰って来なかった。

 

兵舎に戻ってクレイドル団長の元へ報告する。

その日まではただ帰って来るのが遅れているだけなのだと誰もが思っていた。

しかし何日経っても帰って来ない。

 

レイフォード様の命令で毎日、イチローが空を飛ぶ乗り物を飛ばしていた、滑走路と言っていた場所とオール大森林の外縁部付近に兵を配置して帰りを待った。

 

レイフォード様もイチローには町を救って貰ったし、何よりイチロー程の人間を死なせるわけには行かないと思っていたのだろう。

 

何度か森へ直接捜索隊を送り込もうと言う話も持ち上がったが、イチロー程の人間が行方不明になる場所なのだ、送り込んだって何キロも進めずに魔獣や魔物の餌になってしまうだけだ。

そんな意見が出て悔しくてしょうがなかったが諦めた。

 

だから待つことしか出来なかった。

 

兵舎の自室で私は膝を抱えイチローが帰って来ない事に怯え続けていた。毎日毎日夜になっては泣いていただけ。

 

少なくとも今の私には何か出来る事も無く、ただ泣くだけ。

 

 

 

 

そんな日々を過ごして3週間が経った。

すると大きな音を立てて団長が扉を叩いた。

 

「おい!イチローの行方が分かったぞ!」

 

団長が言った言葉の意味が最初は分からなかった。

呆けてしまい、肩を揺り動かされて漸く言葉の意味を飲み込んだ。

 

大慌てで団長に連れられて行くと、そこには6人のエルフがそこに居た。

どういう訳だが皆目見当も付かず、頭を捻って見るがイチローとエルフの繋がりが全く分からない。確かにオール大森林にはエルフ族の村があるが……

 

「エルフの皆さんは、ここに何の用で訪れたのですか?」

 

「私達はエルフ族の村長の命を受けた使者です」

 

「エルフ族村長の命?それはどういう事ですか?」

 

「イチロー様をご存知でしょうか?」

 

エルフからイチローと言う名前が出て来た時、一瞬で我を失った。

 

「イチローだと!?どういう事だ!?お前達何を知っている!?」

 

「コルネー!気持ちは分かるが落ち着け!」

 

大きな声で詰め寄り、問い詰めた。

団長に止められ、宥められ何とか平静を取り戻した。

いや、でもそもそもエルフとは全くの関係の無いイチローの名前がエルフの口から出て来たのだから、彼を知っている者ならば誰だって驚くし、何か裏があるのではないかと疑ってしまうのは無理は無い。

 

その思いは団長やレイフォード様も同じだったのか厳しい目でエルフらを見ている。

そして口を開いた。

 

「疑ってしまうようで申し訳ないが、何故貴方方の口からイチローの名前が出て来るのですか?少なくとも我々が把握している限りではエルフとの繋がりは無い筈です。ましてやオール大森林の中に住んでいる貴方方との繋がりなどある筈が無い」

 

「その通りです。事実私達とは全く何の関係もありませんでした」

 

「では何故でしょうか?それに彼の事を様付けで呼んでいる点も気になります」

 

「そうですね……まずイチロー様が村に来たのは16日程前です。それよりも5日前に森に狩りに出ていた同胞の面々が翼竜の群れに襲われました。その時に同胞を助けて下さったのがイチロー様です」

 

「それと何の関係が……?イチローが此処に帰って来ていない事への説明になっていないと思うのですが」

 

「同胞を助けて頂いた時に、その者の話によれば空を飛ぶ何かで大空を駆け、翼竜の群れをいとも簡単に堕としていった、と聞いています」

 

その話を聞いてエルフの6人以外の私達は唖然とした。

いや、翼竜の群れを簡単に堕として行った?いやいやいやいや!どういう訳だ!?

幾らイチローと言えども流石に翼竜の群れを堕とすなんてそんな芸当が出来る訳が……

 

……いや、アイツならやりかねんな。団長達も最初は有り得ないと思ったのだろうがあとから、「いや、アイツならやりかねないわ」と顔をなんだか心配しているけれどやはりなんか大丈夫そうなんじゃないか……?と思い始めているような……

 

まぁ説明させてもらうと翼竜は、正確に言うと翼竜の群れは王都に駐留している5個騎士団の内の丸々1個を投入しなければ討伐は出来ない。

それですら危うい。騎士団は大きな被害を受けて尚、討伐に至るかどうかは疑問が残る。まぁ群れの規模にもよるが、大きな群れともなれば最悪、騎士団が消滅するだけで済めばいい方だ。

そんな生物を1人で群れごと……?

 

 

なんだか私も今の話を聞いてなんか大丈夫そうな気がして来た。

 

 

いや、やっぱり心配だ。翼竜以外にも未知の魔物や魔獣が多く生息していると言うからな……

 

私達が一頻り悩んで落ち着いた頃、使者のエルフが口を開いた。

 

「……話を続けても?」

 

「あ、あぁ、申し訳ない。続けてくれ」

 

「同胞を助けたイチロー様はその空を飛ぶ物が壊れてしまったらしく、空から降りていらっしゃったとの事です。そして同胞と合流し、翼竜の肉と鱗を我らに分け与え、村を訪れたのです」

 

空から降りて来た、か。

イチローならば本当にやりかねないな。

空を飛ぶことも空から降りてくる事もイチローならばやれるだろう。

しかし何故未だに帰って来ていない?

 

普通ならば1日2日滞在するとしても10日前ぐらいには帰って来ている筈なのだ。

それは団長も同じことを思ったのか質問した。

 

「それが何故ここに帰って来ないと言う理由に繋がるんですか?普通ならそこから1日滞在するとしても10日も前に帰って来ている筈です」

 

「それは我々の村の現状のせいです」

 

「村の現状とは?何か問題でも?」

 

「我々の村は、1か月程前に魔獣や魔物の大軍に襲われたのです」

 

「…………魔獣や魔物の群れの襲撃か」

 

「はい……」

 

彼はその時の村の現状を思ってか俯いた。

もし、オール大森林の魔獣や魔物の強さが私達の間で語られる強力な物ならば幾らあの森で生活しているエルフと言えども厳しいだろう。

 

「その襲撃の後にイチロー様は村を訪れました。彼が一番最初にやったことは村長の手当てでした。村長の怪我は重いものでした。その怪我の手当てが終わった後に村長の元を訪れると、骨が折れた腕は骨が繋がり、目の周りにあった大きな傷は綺麗に消え、そして何よりも驚いたのは千切れた筈の左足が繋がっていたのです」

 

「千切れた足が繋がった……!?」

 

「はい。綺麗に、傷跡、繋ぎ目一つ無く」

 

「なんだそれは……信じられん……」

 

隣にいる団長が余りの驚きに小さな声でそう漏らした。

そう、本当に有り得ない。確かにイチローは治癒魔法が使える。だが治癒魔法は精々が疵を治す程度だ。

 

なのに千切れた足を繋げたなんて……

それはもう神話や御伽噺の話じゃないか。

 

「そしてイチロー様は、魔物や魔獣から村を守る為に戦い、傷付いた同胞を対価無しに手当てを施してくださいました。いえ、正確には対価を要求しました。対価として要求したのは、イチロー様が帰らない事で心配しているであろうご友人達へ自身の心配をして無事を祈ってくれている皆様に使者を出す事。たったそれだけでした」

 

「そうだったのか……」

 

「そして丸々4日、一睡も寝ずに怪我人の手当てを施し、それだけでなく温かい食事と綺麗な寝床も提供してくださいました」

 

「丸々4日も手当てして回ったのか。アイツらしいと言えばそうなのだろうな……」

 

団長は息を吐きながらそう言った。

確かに丘での戦いの時も治癒魔法を掛けて回っていたな。それに見た事が無い方法で治療も施していた。

 

「その後に我々はイチロー様の無事を皆様に伝えるべく、村を出発しました」

 

「そうだったのですか……」

 

「その後の事は詳しくは知りませんが、村を守る為にお力を貸してくださると言って村にお残りになられ、再び来るであろう魔獣や魔物の襲撃に備えているか、それとももう既に襲撃があってそれを凌いでいるのかのどちらかでしょう」

 

そう言うと6人は頭を下げた。

という事は彼らが知っている事はこれで終わりだという事だろう。

 

その話が終わり、レイフォード様が感謝を伝え、町に滞在する事を進めたが村の様子が気になるのかそれを丁寧に断り、数日の滞在の後に村に向かって出発すると言った。

 

 

 

 

 

「それと、もう1つお知らせと言いますか、イチロー様自身が本当に無事である事、そして我々から不当な扱いを受けていないという事を証明する為にこれを我々に持たせました」

 

そう言うと使者の1人が懐から封筒を取り出した。

そして私の前に立つとそれを差し出した。

 

「イチロー・バイタークハイマット様からコルネー・エルフラント様宛のお手紙を預かっております。これをお届けに参りました」

 

私はその封筒を開くと、イチローが使用している武器の一部と肖像画にしては幾ら何でも色彩が綺麗で正確に鮮明に描かれている絵と手紙が入っていた。

 

絵を先ず取り出すと裏にこれは絵では無いがその場の風景を紙にそのまま写したものだ、と書かれていた。

 

その紙に写っていたイチローは行方不明になる前に浮かべていた優しい笑みを浮かべて一人で写っている物が1枚と、エルフの皆と写っている物が2枚。

 

それを見て私は、本当にイチローが無事である事を確認した。

エルフに限ってそんなことは無いと思っているが何処かでイチローに対して酷いことをしているんじゃないかととも思ったが、この紙に写っているイチローはそんな事をされている面々と共に居る中では絶対に浮かべられない笑みを浮かべていた。

 

それを思ったら安心しすぎて足の力が抜けてしまった。

床に座り込むと無事だという事が分かって、両目からポロポロと涙が溢れて来て止まらなかった。

 

 

 

 

 

 

「イチロー様は、我々エルフ族の恩人です。決して一生を掛けても、何代に渡っても返せない程の大きな恩を受けました。彼が居なければ今頃はとっくに村は無くなり同胞は魔物や魔獣の餌食になっていたでしょう」

 

そう語るエルフの使者6人は、私でもちょっと行き過ぎなんじゃないかと思うほどにイチローを褒め称えていた。

 

 

 

 

 

兵舎の自室に戻り、手紙を開く。

そこには心配を掛けた事への謝罪と、イチロー自身の無事を伝える文が書かれていた。

 

他にもこれから暫くは帰れそうにないという事が書いてあった。

本当は何処かのタイミングで帰ろうとは思っていたがこの手紙が届き、尚且つイチローが此処に帰って来ていない時点では20日以上が経っている筈だからその時は森の調査を行っているか、村の防衛をしていると思うのでそうしたらそのままエルフの村を拠点にし調査等を続行する、と言う事も書かれていた。

 

 

まぁ、この手紙が届いているこの時もまだ無事だとは限らないが少なくとも何も分からない状況よりはずっとマシだし、それにアイツがそう簡単にくたばる訳が無いからな。

 

手紙と絵の写った紙を見て安心した。

そして再び泣いてしまった。

 

この私がイチローが居なくなってしまっただけでこんなにも簡単にただの町娘の様になってしまうとは思っても居なかった。

 

そんな私を気遣ってくれたのか団長は2日ほど休暇を与えてくれた。

確かにイチローが居なくなってから余り寝れていなかったからこれは有難かった。

そして2日間の休暇の後に私は職務に復帰した。結局団長やノーマン、レナードが発端で広まってしまい、同じ女性の兵士には良かったですね、と声を掛けられ男連中には良かったなという言葉と同時に軽く茶化して来た。

 

 

 

それから職務に復帰した私は心配をすれど何処か多分大丈夫だろうと思いながら仕事をしていた。

 

 

 

 

 

でも何故武器の一部を入れたのか分からない。

あれを入れて何になるのだろうか?多分本当に自分だという事を伝えたかったのだろうがこれを入れなくても絵があれば十分だろうに……

 

少しばかり首を傾げたりしたが……まぁしかし、あれだな……早くイチローに会いたい。

 

 

 

 

そう思って再びイチローに会える日を楽しみにしていた。

 

 

 

 

 

ーーーー side out ----

 

 

 




今回は次の話へ行く前の前座と言いますか?
まぁそんな感じに捉えて頂ければありがたいです。




全滅、壊滅、消滅の定義について私の知っている事で書きます。


全滅 
部隊の内の3割(戦闘担当の6割)を喪失
一般的な全滅とは、軍事的用語での殲滅が同意語。


壊滅
(部隊の内の戦闘担当の10割を喪失した時点)全部隊の5割以上を喪失した状態と判定。


殲滅又は消滅
戦闘部隊、後方支援部隊の区分に関係無く部隊そのものが消滅した場合。部隊の内の10割を喪失。因みにですが旧日本軍の玉砕はこれに相当します。




とまぁ上記の様になっていますが、各国によってこの値はまちまちです。
しかしながらゲリラ部隊については全滅と言う概念は当て嵌まりません。というのもゲリラ部隊は基本的に組織立った戦闘行動を行わないからです。


第二次世界大戦の米軍資料によると人員損耗率が攻撃において限界があったとされるのは「師団20%」「歩兵連隊30%」「歩兵中隊40%」とされています。
そして防御に関しては「師団30%」「歩兵連隊40%」「歩兵中隊50%」と、されていてこれが全滅やら壊滅やらの判定に結び付くわけです。
米軍資料のこの数字は第二次世界大戦中に数多くの戦闘の調査から出された値なので戦闘限界を見積もったりする時の目安としては貴重なもので信頼出来ると言えます。


ここで補足説明です。
この全滅、壊滅と言ったレベルの損耗を受けても尚戦い続けたと言う例は沢山あります。

(これから下は日露戦争時の物でお話しします)

日露戦争時には最前線で戦っていた大隊の中に約80%の損害を受けても攻撃を行った、という例がありました。
ですが逆に敵からの攻撃も大したことは無い、又は10%以下の損害でも頓挫する例もあるので一概には言えません。
それに突発的事象に遭遇し、1%程度の損耗でも退却しているという事もあります。

損害と退却の関係については歩兵連隊を主として書きますが退却した部隊のその日の死傷率は平均的に約50%弱であったとされています。




しかし上記の物は大きな部隊、師団や旅団、連隊と言った単位での話で、これよりもさらに小さい小隊などになると指揮官の戦死が戦闘力の限界に大きな影響を及ぼします。

様は大きな部隊と小さな部隊では損耗1つを取ってもどの様な損耗で作戦行動がとれなくなるのか、攻撃や防御が行えなくなるのか、と言うのは大きく変わって来るという事です。









最後にちょっとだけ。

正直今回のこの後書きに書いた説明、作者自身でも途中からあれ?何について書いてたんだっけ?と思いました。
本当にすいません。

ここに書いてある説明はあくまで作者の知識、調べによるものです。
もし疑問に思ったりこれは違うだろ、と思う点があればどうぞご指摘下さい。




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