銃は地球人類が生み出した最高の文明の利器である   作:ジャーマンポテトin納豆

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夜襲、そして戦闘終結

 

 

 

 

 

 

偵察から帰還後、丘に迫撃砲陣地を追加してエルフラントさんの部隊20人に計4門の迫撃砲を扱って貰う為にその取扱い訓練を行い、照準、装填、砲撃、等の訓練を行った。

 

そして、今現在は1回目の偵察の次の日の昼だが残念ながらゴブリン側からの攻勢は無い。

此処までくれば殆ど決まったような物だろう。

 

夜襲を仕掛けて来るつもりだ。

 

 

まぁまだ迂回、と言う手段も考えられる為、つい先程も偵察した結果、一切の移動準備をしていなかったのに加えて、松明と言った夜間照明等の夜襲の準備を進めていたのが決定的だ。

 

それにしても、何故迂回という手段を取らないのだろうか?こちらの方が確実だし、間違い無くリーヴォリの町や他の村を簡単に襲う事が出来る筈だ。

まともな防御施設なんかが無い街ならば一瞬で数に飲み込まれて終わりだ。

 

それに比べるとリーヴォリの町は3m程と低いとは言っても城壁があるから防衛となれば最低限戦う事が出来るだろう。やり方によってはかなり善戦出来る。しかし工業施設しか無いので食料とその工業施設を動かして武器を作る為の燃料と原料の調達が出来ないのだからそう長くは持たないだろう。

 

それを考えればやはりこの丘で食い止める事が出来ているのは最良、と言えるのかもしれない。

別に全てのゴブリンを殺さなくていいのだ。援軍が来るまででいい。しかしその援軍も未だに到着する事が無い。王都からの距離を考えれば、歩兵と騎兵、荷馬車で行動しているのだからそれなりに日数が掛かって当然だ。それに派遣される規模によって準備と移動の日数が変わって来る。

 

あの時、ゴブリンが発見された時に報告した数は数千~1万程度。

とするならば同数かもしくはその倍の兵力で掛かるべきなのは当然だろう。

 

早馬で報告しに行っても数日は掛かる距離だ。

もしかすると戦闘が始まる前にこちらから町に送った伝令からの情報を得て送り込む兵力を増やしているのかもしれないが、やはりこの考えは憶測と希望的観測でしかないのだ。最悪、送られる兵力は1万に届けば良い方か。

 

 

 

 

そして夜襲が始まると思われる日没まで、出来る事をやらなければならない。

そこでクレイドルさんに提案したのは、テルモピュライの内側、つまりは陣地側に堀から取った土で土嚢を作り簡易的な壁を作成しよう、という物だ。

 

厚さを確保して、高さもある程度あれば両側には深さ約9mの堀だ。そこを突破しなければ直接、M2や迫撃砲を潰す事が出来ない。

 

しかし今の今まで無かったが堀を埋めに来られるとお手上げだ。

ガソリンを撒いて燃やせば火の壁にはなるだろうか?

そうならない様に戦うしかないか。

 

 

 

その俺が提案した土嚢の壁を今は総出で作成している。そのついでに堀の中に転がっているゴブリンの死体を片付けておく。

可能な限り、可能な限り出来る事を、最善を尽くす。その時が来るまで。

 

 

土を運び出し、袋に詰めて土嚢にして、積み上げる。それを繰り返し皆で行う。

見張り以外の人間は全員、この壁作りを行う。

 

「よーし!20分の休憩だ!」

 

その号令で全員休憩を始める。

水を飲んだり、腰を下ろして雑談をしたり。

各々が思い思いの休憩方法で休む。

 

 

それから数時間後、厚さ1.5m、高さ2.5mの土嚢の壁が完成した。

この高さならゴブリンの身長よりも高く上から槍で刺すことも出来る。前回何とか防げたのはテルモピュライの狭さのお陰だ。

狭いために大軍の利を生かす事が出来ないからだ。しかしそのテルモピュライですら危うかったのだから対策を講じて然るべきだ。

 

この壁は、大きさは先程言った通り、それに加えてテルモピュライだけでなく、そこから堀に沿って左右5mずつ土嚢で壁を作り、箱型の様にした。と言うのも弓矢を放ってくるのは目に見えている。だから左右を丸裸にすれば言い的にしかならない。それから守る為に追加で設置した。そして上から降って来る矢を防ぐ為に、馬車の荷台の板を使って屋根も応急的にだが設置した。これには結構押し問答があったが矢に曝されるよりは遥かにマシだ、という事で馬車をバラバラにして木材を作り出した。

 

どうせ馬車も二度と使えなくなるかもしれないのだから有効活用しただけだ。

 

 

 

まぁ土嚢の壁のお陰でそう易々と突破される事は無いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから再び数時間が経った。

太陽が段々と傾いて行ってもうあと数分で沈むだろう。

 

 

太陽が沈んだ。まだ幾分か太陽の光が空を茜色に染めていた。

しかしそんな光景に見とれている暇は、俺達には無かった。

 

少しづつ、少しづつ何か音が聞こえて来る。

 

 

 

 

それが、足音だと分かるのにそう時間は掛からなかった。

 

 

 

 

 

凡そ5000m先に、動く何かが近付いて来るのが誰の目にも映った。

 

「おいおいおいおい…………何なんだよあの数……あんだけ殺したのにまだこれだけ残ってんのかよ……」

 

誰かが言った。

その言葉はここに居る全員の言葉を表しているものだった。

 

いくら偵察してその結果が報告されて教えられているとしても、直接見るのでは話が全くの別物だ。

 

まさかこんな日が沈んで直ぐに攻めてくるとは思ってなかった。

もっと暗くなってからだとこっちが勝手に思い込んでいただけなのだが。

こうなってはバケツライトの出番は無さそうか?

 

いや、攻めてきている方とは別の方向を警戒させておこう。

完全に正面からしか来ないとは限らないのだから。

 

 

 

 

 

 

「……エルフラントさん!部隊を迫撃砲の準備に移らせてください!照準は距離5000で合わせておいて下さい!射撃は私の合図を待ってください!」

 

「ッ!?了解した!お前達、行くぞ!」

 

俺の放った指示を聞いてエルフラントさんと、その部下の人達が迫撃砲に飛びつく。そして砲弾の準備、照準をしていく。

 

それを見て誰もが慌ただしく動き出した。

 

「急げぇ!!歩兵は槍を持って壁の付近で待機しろぉ!!」

 

「予備の槍と剣を準備しておけ!時間が無いぞ!」

 

土嚢の内側に置いておく予備の槍と剣を置いておく。

俺達は自分達の準備を進める。

 

「イチロー!準備が出来たぞ!」

 

「了解です!合図をしたら一斉射撃を行ってください!」

 

「分かった!」

 

迫撃砲の準備が出来た。

双眼鏡を覗けば既に最前列は迫撃砲の射程である5000mの中に入っていた。

 

「エルフラントさん!砲撃を開始してください!試射は無し!あれだけの数ですから何処に撃ち込んでも当たります!」

 

「了解した!射撃開始!」

 

 

 

ドドドドン!!!

 

 

 

 

4門の迫撃砲が一斉に火を噴いた。

続け様に砲撃が続く。

 

 

 

 

数十秒後、最初の砲弾が敵のド真ん中に落下した。

そしてゴブリン共の血肉をまき散らしながら弾ける。

 

81mmとは言っても十分な程の破壊力がある。

それを敵が密集する、正にド真ん中に落ちればどうなるかは想像が簡単に付く。

それが毎分10発のペースで叩き込まれるのだから堪った物ではない。

 

 

 

 

 

そのまま最初の砲弾が炸裂してから次々に叩き込まれる砲弾。

それを喰らったゴブリン共は大混乱に陥った。

 

それはそうだろう。

2000mからしか攻撃が始まらないと思っていたのにその倍以上の距離からいきなり攻撃を受けたのだ。しかも空から。

 

誰だって知らない、未知の攻撃を喰らったら混乱するに決まっている。

 

ゴブリン共は大混乱に陥って右往左往するばかり。

しかしそれも長くは続かない。

混乱しながらも丘に向かってゆっくりと進んでくる。しかし動きが遅いうえに固まっているから1発でかなりの数が吹き飛ぶ。

よし、迫撃砲の方はこのままで大丈夫そうだ。

 

 

 

 

「各銃座!2000mラインを奴らが超えたら指示を待たずに射撃を開始!」

 

「「「「「了解!!」」」」」

 

銃座にも指示を出しておく。

どちらにしろこの数を相手にするのだから混乱するのは間違い無い。

伝令を使っても忙しさ故に指示が通るかどうかも怪しい。

 

 

その間もゴブリン共に向けて降り注ぐ砲弾。

 

「エルフラントさん!そのまま射撃を続けてください!距離の変更はそちらで任せます!ただし先頭集団だけは狙わない様に!それと照明弾を随時打ち上げてください!」

 

「了解した!」

 

迫撃砲にも指示を出しておく。

戦闘中で俺が指示を出せるとは思えない。M2だけでも精一杯なのだから。

正直な話、迫撃砲はド真ん中に叩き込んだ方が効果的だ。

先頭集団に撃ち込んでも良いのだがこれは砲弾が潤沢にある場合に限る。

今はそんな余裕は無い。それを考えれば一番効果があるのは敵の密集した場所だ。

 

 

 

そしてまた暫くすると、慣れたというよりは前に進まざるを得ない状況なのかひたすらこちらに向かって進んできた。

 

そして2000mラインを超えた瞬間、(と言ってもゴブリンの死体の山でよく分からなくなっているが凡その目印の小さな丘だが)M2銃座が一斉に射撃を始めた。

 

6本の銃弾の線がゴブリンに向けて伸びていく。

空には照明弾が打ち上げられて光を放っている。本当に、なんの灯りも無ければ真っ暗闇なのだが、照明弾のお陰で昼間の様だ。そしてそれに照らされて浮かび上がるのはゴブリンの大軍。

 

見れば見る程なんでこんな数が居るんだよ。おかしいにも程があるんじゃないか?もしかすると世界中のゴブリンが居てもおかしくは無いのだろうか?

 

 

 

 

 

「何処でもいい!撃てば当たる!真っ暗闇だろうが何だろうがゴブリンしか居ねぇんだ!構うな!弾をばら撒き続けろぉ!!」

 

「クッソったれ!!死ね死ね死ね死ね!!ウジみたいに湧き出てきやがって!クソが!」

 

「ザマァ見やがれ!馬鹿みたいに突撃しかして来ねぇ!良い的だ!」

 

「足も遅い!このまま撃ち続けろ!」

 

 

 

 

 

 

 

なんとか迫撃砲の働きもあってか昼間よりも丘に向かって来る速度は遅い。

しかも足元にはゴブリンの死体がゴロゴロと転がっていて邪魔をするのか更に遅くなっている。

 

ただでさえ狙い易いのに今回は余計だ。

ここに来てゴブリンの死体を片付けておかなかった事が効いてきた。

 

 

 

 

 

3時間後、ゴブリンの先頭集団がテルモピュライに到達した。

それからは土嚢壁の向こう側から矢が時折降って来るが銃座からの射撃と夜間だという事もあってか散発的だ。

 

その土嚢壁の後ろから、槍を突き出してゴブリンを刺し殺す歩兵。

その後ろには交代の歩兵が待機している。

 

 

 

「殺せ!刺し殺せ!ここを何としても守り抜けェェ!!」

 

「オラァ!どうだ畜生共!!槍の味は美味いか!?」

 

「おい!替えの槍を寄こせ!早くしろ!」

 

土嚢壁の付近でも激闘が繰り広げられていた。

槍を突き出して刺し殺しては引き抜き、再び突き出す。

替えの槍を要求して受け渡し、受け取って再び突き出す。

 

「がぁぁ!!!」

 

「くっそ!やられた!」

 

「そいつを下げろ!交代だ!」

 

怪我をした人間を後ろに下げて代わりの人間がその場所に入る。

ただ土嚢壁があるからか負傷者の数は少なく、死者は出ていない。

しかしそれが何時まで持つのかは分からない。

 

 

 

 

「弾を寄こせ!」

 

「おい!さっさと持って来い!」

 

「装填!」

 

「弾を持って来たぞ!」

 

「そこに置いとけ!さっさと次に行け!」

 

M2銃座は土嚢壁付近のゴブリンを歩兵が相手しているからそちらに火力を向けずに済む。

代わりにその向こう側の密集した敵に弾丸の嵐を降らせている。

 

迫撃砲もエルフラントさんの指示に従い砲撃を続ける。

その合間合間に照明弾も打ち上げる。

 

凡そ2500mから3000mの間で砲撃をしている。

確かにこの距離は合理的だ。M2の最大射程は6000mだが実際に効果があるのは2000m程度。まともな装備が無いという事を考えれば+2~300mはあるだろうか。

 

しかしそれを実際に射撃を行うのは2000mラインまでだ。

まぁ跳弾したり貫通したりしているのだが。

 

だが今はM2の射撃は500m程度の所を狙って撃っている。

しかし何度も言っているがこれだけの数が居ればどこに砲弾を落しても効果は変わりないのだ。

 

毎分10発なのだが残念ながら2発は照明弾を撃ち上げているので毎分8発になっている。それでも毎分32発を撃ち込んでいるのだから現状では十分だと言えるだろう。

 

俺はM2での射撃を続けながらも砲弾と弾薬を呼び出しては伝令兼弾薬運搬係に渡していく。

 

 

 

 

 

 

あれからかなりの時間が経った。

どれぐらいかは分からないが2時間は確実だ。

とっくの昔に日は完全に落ち切っている。照明弾が無ければ暗闇の中でバケツライトの僅かな光だけで戦う事になるところだった。

迫撃砲を出しておいて正解だ。

 

この数ならば迫撃砲の攻撃力と照明弾が無ければ今頃は押しつぶされていたかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー side ??? ----

 

 

 

 

夜襲を仕掛けることになっていた。

昼間の攻撃で、目前まで迫ったのにあれだけ仲間が殺されたのにアイツはまだあの丘を攻め落とすことを考えているらしい。

 

でも夜襲になれば敵から俺達が見える訳が無い。見える距離に近づいたらその時はもう奴らは終わりだ。

 

 

そう思っていた。

昼間の戦いであの丘から2000mぐらいの所からしか攻撃してこないと分かっていた。だから夜襲と言えども日没直前、太陽がまだほんの少しだけ辺りを照らしている間に丘の目の前の5000mぐらいに仲間全員が集まっていた。

 

そうしたらいきなり空からヒュルル、という音が聞こえてきて空を見上げた瞬間に近くの仲間が一気に吹き飛んだ。

 

それが4か所同時に。

訳が分からなかった。空からの攻撃だなんて聞いた事も無い!見た事も無い!

 

 

 

その4か所の仲間が一斉に吹き飛んだ事を皮切りに空からあのヒュルル、という音と共に空からの攻撃が降り注ぎ始めた。

 

しかもこれが真っ暗闇になっていたらまだ良かった。

暗くなってこれじゃ当たらないなんて思って喜んだら、空が急に明るくなった。

 

 

何だこれは!?どうして空があんなに明るくなる!?

太陽が戻って来たのか!?

 

 

空を見上げれば4つの光がゆっくりと降って来ていた。

それに照らされて丘が良く見えた。という事は丘から俺達も丸見えという事なのだろう。

 

一定の間隔で空を照らす何かがゆっくりと降って来る。

 

 

それと共に弾ける何かがどんどん降って来る。

もう仲間全てが混乱状態だ。

 

先頭の仲間は皆がこの攻撃に混乱して丘へ向かう足取りが止まって右往左往するばかり。後ろから来ている仲間はその俺達によって前に進めず、混乱が伝わって余計だ。

 

その間もどんどん降って来る何かは仲間をどんどん殺していった。

 

 

 

しかしそんな事をアイツが許す筈も無く、無理矢理前に進むしかなかった。

 

 

 

 

 

ーーーー side out ----

 

 

 

 

 

 

 

 

それから更に数時間後、俺達は劣勢だった。

と言うのも土嚢壁に向けて迫って来るゴブリンの数がやはり圧倒的で最初の内は耐えていたがそれもやはり数で押され始めていた。

土嚢壁を突破されるという訳ではないが人間の数が足りない。 

怪我をして交代して入る。しかしその数も無限ではなくこの状況では補充なんて望める筈も無く、土嚢壁を守る兵士のその数は減っていくばかり。

 

これでは何時突破されてもおかしくは無い。

 

 

 

 

「おい!早く交代の人間を連れて来い!」

 

「あ”あ”あ”あ”ぁ”ぁ”ぁ”!!腕がぁ”ぁ”!?!?」

 

「おいこいつを引きずって行け!腕を斬り落とされた!」

 

「暴れるな!おい!止血をするから包帯を持って来い!」

 

「槍が折れた!替えを寄こせ!」

 

「クソッタレ!殺せ!何でもいいから殺せ!」

 

「壁の向こうに居るのはゴブリンだろ!?普通のとは桁違いにしぶといぞ!」

 

 

 

 

土嚢壁では必死の抵抗をするも数の暴力の前では意味が無い。

 

このままじゃ本当に突破される!何か手を打たないと本当に今回ばかりは皆死んじまうぞ……

 

 

 

 

 

「ノーマンさんは!?」

 

「今は弾薬運搬を行っています!」

 

「呼んで来てください!」

 

「了解!」

 

幾分か考え、ノーマンさんを呼んだ。

ハンヴィーの銃座に付いてもらうためだ。こうすれば6箇所の銃座はそのまま機能出来る。

俺は土嚢壁の方に応援に向かう。でないと本気で不味い。

土嚢壁の突破を許したらそれこそ本当の意味でこの戦いは負ける。

あそこさえ何とか守り切って迫撃砲とM2の攻撃で敵の数を減らす事が出来れば勝てる。

増援が到着するまで何とか凌がないと……

しかし期待している増援の数には不安が残るがまぁ無いよりはマシ、だろうか。

 

射撃を続けながら弾薬と砲弾をありったけ呼び出す。

 

「イチローさん!ノーマンです!何でしょうか!?」

 

「このM2をお願いします!私は壁の方に応援に向かう!」

 

「了解しました!ご武運を!」

 

「弾薬はこちらに置いておきます!自分の弾薬が尽きたら取りに戻るのでその時に纏めて

お渡しします!!」

 

「了解!」

 

ノーマンさんにハンヴィーの銃座に付いてもらい、自分は土嚢壁の方に走り出す。

装備しているのはM4とそのマガジン7本、M9とそのマガジン3本、それに手榴弾2つ。

 

 

 

手榴弾を取り出し、安全ピンを引き抜いて壁の近くに来た瞬間に壁の向こうに投げつける。それと同時に安全レバーが外れて信管に点火される。

 

数秒遅れで壁の向こう側から爆発音が響く。

続けて2発目を投げる。

 

そしてまた爆発音が響く。

 

 

手榴弾はM67破片手榴弾、と呼ばれるもので内部に硬質鉄線が入っており殺傷能力が非常に高い物だ。

投げる人間にもよるが凡そ40mまで投擲が可能で信管に点火後約5秒で爆発する。

まぁ約五秒で爆発してしまうのでそこまで遠くに投げると空中で爆発する事になってしまうのだが。

 

威力は5m範囲内の人間には確実に致命傷を受け、さらに15m範囲であれば殺傷能力のある硬質鉄線や破片が飛び散る。

テルモピュライの幅は約15m程度。手榴弾1つで完全にカバーできるのだ。

 

 

さてこれを人型のゴブリンに向けて、しかも密集している状態で投げつければどうなるのか。

答えは簡単だ。多くのゴブリンを巻き込んで吹き飛ばす。

 

「ギィィィィ!!」

 

現に向こう側からはゴブリンの悲鳴らしきものが複数聞こえて来る。

それが2回続く。

 

流石にこれ以上の手榴弾は無い為にM4に持ち替える。

土嚢の上に設置した板の上に登ってマガジンポーチからマガジンを取り出し傍に置く。そして伏せる。

土嚢で板を抑えていたおかげか障害物となって伏せ撃ちがやり易い。

バイポットでも取り付けておけば良かったような気もするが、今回ばかりはフォアグリップしか取り付けていなかったのでその辺は後々だ。

 

ダットサイトを覗いてみればゴブリン共の気色の悪い顔が映る。

その顔に引き金を1回引いて弾を叩き込む。

 

その撃ち抜いたゴブリンは即座に倒れた。

 

よし、このまま255発分のゴブリンを殺すとしよう。

 

 

あれから数分。

半分近くの弾を1発1発丁寧に叩き込んで殺して行った。

 

 

本当はフルオートでばら撒きたい気持ちもあるがそれでは数発が同じ目標に飛んで行ってしまう。

 

軽機関銃とかなら良いんだが。

 

 

 

セミオートで1発1発殺して行く。

そして遂にアサルトライフルの弾が尽きた。

M9に持ち替え、45発分のゴブリンを殺してから一度ハンヴィーに戻る。

M2と迫撃砲の砲弾銃弾の方が心配だ。

まぁ未だに射撃が続いているのでまだ弾薬は残っているのだろうがどちらにしろ此処で戻って一旦補充しに行かなければならない。

自分も向こうも。

 

「すみません!一旦ここを離れます!」

 

「おう!ありがとよ!」

 

一言入れてから走り出す。

マガジンは格納しておく。薬莢の事もしっかりと回収。下手に持ち帰られると技術的に再現は不可能だと思うが下手に勘繰られるよりはいい。

まぁ此処まで派手にやっておいて今更だとは思うが。

 

 

「戻りました!!」

 

「イチローさん!怪我は!?」

 

「問題ありません!今弾薬と砲弾を用意します!!」

 

ハンヴィーに戻って12.7mm弾と迫撃砲弾を大量に呼び出す。

しかし、ここに来て流石に突っ込んでおいた金の方に不安が出てきたぞ。

まだまだ戦えるレベルとは言っても流石にこれ以上長引けば、不味い。

 

 

あとどれほどこの戦いは続くのだろうか。

かれこれ数日だ。疲労も溜まって来ているし、負傷者も出ている。

 

 

この現状を見るに、戦闘出来るのは1、2回。

 

弾薬の心配ではなく、人的損失の問題だ。このペースでの消耗が続けば、というだけだ。これ以上攻勢が強まると今回は耐える事が出来たとしても、次の戦いは無理……だろう。

 

 

ハンヴィーの横で一度双眼鏡を覗く。

 

…………まだまだいるな。本当に何処からこれだけの数が湧いて出て来るんだ……

 

 

 

日没から戦い続けてもうとっくに日を跨いだ。 

これだけの時間戦い続けて恐らく前回の攻勢の倍は仕留めた筈なんだがそれでも勢いは止まらない。

偵察時に確認した数は、一度目が凡そ6万。2度目の偵察ではさらに数が膨れ上がって8万ないしは9万、との結論が出た。

 

これは正確な数の特定が難しいと判断した俺が、どうすれば正確に判断できるのかをクレイドルさんに聞いてみた所、驚いたことに焚火や調理で上がる煙の数で判断できる、との事だった。 

 

調理時に平均的な焚火であれば最大で5~60人程度だという。

 

そして2度目の偵察時にそれを使って検証した。

その結果、どう考えても6万では少なく軽く見積もっても8万はいるだろう、との事だった。

もしかすると10万、という数が居るかもしれないと言われたときは、これが絶望なのか、と思ってしまうほどの衝撃を受けたのは俺だけでは無かった筈だ。

 

この数字、俺自身が計算したわけでは無く、一緒に付いて来たエルフラントさんが計算してくれたものだ。可能な限り正確な数を割り出さなければならない為、俺ではなくエルフラントさんに頼んだのだ。

 

 

 

 

 

そして今、俺達の目の前に居るのはそのゴブリンの大軍勢だ。

幾ら撃っても撃っても数に物を言わせた突撃が絶える事がない。 

 

 

あとどれほどの時間戦えば終わるのだろうか。 

 

 

 

 

 

 

さらに数時間後。

既に空が明るくなり始めていた。

一晩中撃ち続けているのにも関わらず、一向にその勢いが収まりそうに無い。

 

 

 

この夜だけで既に5万は確実に殺しているはずなのだ。

なのにも関わらず最初に2万程殺した時の様に撤退するような素振りは一切見えない。それどころか攻勢の勢いが強くなってきている気がする。

 

密集度が多くなり始めているのだ。

まぁお陰で1発1発の獲物が増えて弾の無駄遣いにはならない。

しかし問題なのは疲労だ。かれこれ13時間は戦い続けている。

 

 

13時間もぶっ通しで戦い続けているのにも関わらず、銃座と迫撃砲から脱落者は誰も居なかった。流石に休憩無しでは不味いのでちょくちょく休憩させてはいるのだがそれも高が知れている。

 

休めたとしても一回に付き1分程度。

それなのに砲弾銃弾を運び続けて、引き金を引き続けている。

 

銃身交換も恐ろしい間隔で行われ、その交換速度も驚くほど速い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜここまでして皆戦い続けるのか。

 

 

 

それは誰もが分かっていたから。

 

今此処で負けてしまえば、共に戦っている女性兵士は誰一人残らずゴブリン共に犯される。そして彼女達だけではない。町に居る、自分達を家で見送ってくれた家族、親しい友人、愛する人が殺されてしまう。ゴブリンの手によって。

 

 

 

それは誰もが信じていたから。

 

隣にいる仲間を。戦友を。援軍が来ることを。これだけの数を殺して今まで耐えてきているのだからこの先も勝てない道理は無い。

 

 

 

 

 

殺せ! 殺せ! 殺せ!

 

 

槍を突き刺せ!剣で斬れ!銃弾を叩き込め!砲弾を撃ち出せ!

 

 

 

誰もが同じことを考えて戦う。

ただ守るために、勝つために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後、空が完全に明るくなった。

これで照明弾を撃つ必要は無い。毎分10発の火力を叩き込めるのだ。

 

そして俺はハンヴィーの銃座に戻っていた。

と言うのも、M2の火力をテルモピュライへ向けた方が遥かに効率が良いのだ。

M2と迫撃砲に加えてM4とM9の弾薬も呼び出していては完全に無駄だ。

2回ほどやって気が付いたのだが。

 

 

 

完全にM2と迫撃砲がフル稼働している。

流石に引き金を引きっぱなし、という訳にも行かず短連射を心掛けて撃ちまくっている。

 

それにしても距離が近いからか1発で何体も貫通していく。

テルモピュライにM2を向けてからは土嚢壁での戦闘は散発的だ。

 

突破できる数も少なく、槍で突き殺されている。

 

 

 

 

 

どれほど殺したのだろうか?

もうゴブリンの死体で山になっている。

面白いことに包囲しても堀があるから手が出せないと分かってからは完全にテルモピュライにしか突撃をして来なくなった。

槍の様にテルモピュライを目指してくるものだからそこにだけ死体が集中する。

 

足を取られたゴブリンが転んで仲間に踏み殺されるという事もしょっちゅうだ。

足が遅いから狙い易い。

 

 

 

 

 

 

漸くゴブリンの攻勢に陰りが見え始めた。

残りはもう少ないのだろう。

 

 

 

 

 

 

そして、とうとう痺れを切らしたのかあの周りよりも遥かにデカい今回の元凶と思われるゴブリンが出て来た。やはりデカいな。双眼鏡で覗いてだが。

 

 

 

「ッ!!!」

 

俺は弾かれたように奴を殺せと指示を出そうとして、留まった。

今、銃座をアイツに向けることは出来ない。アレに向けて一斉に射撃をすれば確かに仕留められるだろう。だが他のゴブリンは?どうやって殺す?

 

 

射撃が一瞬でも止まってしまえば奴らにチャンスを与えるだけだ。

そうなっては今までの戦いが無駄になってしまう。

 

 

距離は3000m程。

結構近い距離だな。

 

 

 

 

そいつが現れてから衰えていた勢いが再び爆発した。

ゴブリンの顔が必死の形相になり、テルモピュライに殺到し始めた。

 

 

元凶のゴブリンもこちらへ向かって来る。

その足の速さは死体で埋め尽くされてその上を走っていると言うのに驚きの物だ。

 

 

 

 

…………あいつを今ここで仕留めないとまた態勢を立て直されるかもしれない。

 

 

 

そう思った俺は、どうすればいいのか考えた。

アイツのせいで勢いは戻るどころか更に強くなっている。M2をアイツに向けた瞬間に土嚢壁は突破されてしまう。

 

 

どうすればいい?

 

 

もう一度双眼鏡を覗いてみると思ったよりも長く考えていたのか2000mラインに近い所まで来ていた。

 

 

この距離なら、狙撃が可能なのではないか?

 

 

いや、でも普通の狙撃銃だと難しい。

普段使っているドラグノフやM700、L96だと不安だ。

 

 

…………確かM2と同じ12.7mm弾を使っていた狙撃銃があったな。

 

 

 

そう思ってメニュー蘭を開き探すと見つかった。

バレットM82対物狙撃銃。

 

 

命中精度は折紙付き、あのM2と同じ12.7mm弾を使用している為に2000m程度の距離ならば当たれば即死、1500mだと身体が吹き飛ぶ。

 

 

よし、こいつにしよう。製造数は10万を超えているからまぁ高いっちゃ高いがそこまででもない。

 

 

M2の弾薬運搬をしていた人を呼び止めてハンヴィーの銃座に付いてもらう。

 

 

ハンヴィーから降りてM82を即座に呼び出して、マガジンを2つ呼び出してそれぞれに10発詰める。

そしてマガジンを銃本体に挿し込んでコッキングレバーを思いっきり引く。

 

 

M82にスコープとバイポットを取り付けて地面に伏せる。

直ぐにアイツを見つける事が出来た。

あれだけデカくて動きが早ければ当然だ。

炸裂弾だから命中しなくても爆発しただけで怪我を負わせる事は出来る。

 

しかしそれでも一撃で仕留めなければ何が起こるか分からない。

スコープ越しにアイツを見る。

クソ、動きが早いし足元の死体も一番安定している場所を選んで走っているからかこちらに進んで来てはいるが予測をするのが難しい。

 

既に1500mを切った。

そんな事を言って居たらあっという間に土嚢壁に到達されてしまう。

炸裂弾なのだから適当に撃っても近くに着弾すれば問題は無い筈だ。

いや、貫通してしまうか。

 

 

取り敢えずスコープ越しに狙いを付けて、一度引き金を引く。

 

ドォン!!

 

発射と共に爆音が響く。

しかし予想通り弾は当たらない。

代わりに周りに居たゴブリンを纏めて数体貫通していく。

 

やはり動きを予想しないと駄目か。

幸いな事にM82はセミオート方式なので初弾以外はコッキングする必要が無い。

続けざまにしっかりと狙って撃つ。が、当たらない。

 

しかし狙われている事に警戒してなのか足が遅くなる。

 

M2で撃たれているように弾丸が雨の如く降り注いでくるわけでも無いし、迫撃砲の砲弾の様に威力が高いわけでも無い。

 

しかし同じような物で狙われている。だから警戒しよう。

 

それは当然とも言える動きだった。

だがお陰で物凄く狙いやすくなったのは確かだ。

走って向かって来ているがそれでも先程とは格段に遅い。

 

今なら仕留められる!

 

 

スコープを覗いている俺の目にはしっかりとゴブリンの親玉が映っている。

この距離なら殆ど時間差も無く着弾する。

 

 

良く狙え。頭を一撃でいい。

身体は出来るだけ避けて頭を狙おう。その方が確実だ。胴体は貫通してしまえば生き残ってしまう可能性がある。

いや、12.7mm弾ならば問題は無いと思うが念の為だ。

 

既に頭は捉えた。

後は引き金を引くだけだ。

 

 

ドォン!!

 

 

タイムラグはほんの僅かだった。

狙った通り、アイツの頭に12.7mm弾が突き刺さった。その瞬間に頭部が弾け飛ぶ。

 

 

 

殺った。

 

 

 

 

そう思った瞬間に、他の丘を攻めてきていたゴブリン共が、急激に統率が無くなっていく。無茶に突撃してきたり、逃げようとするのも居る。

 

が、例外無くM2と迫撃砲で殺されていく。

逃げようと背中を向ければ狙い撃たれ、突撃してきても同じように撃ち殺される。

 

暫くすると、自然と銃声と迫撃砲独特の発射音が鳴り止む。

逃げて行ったゴブリンはあちらこちらに潰走して行き、統率など無くなっていた。

 

 

 

 

それを見て皆、歓声を上げずにただ茫然としているだけ。

それはそうだ。この数日間、死に物狂いで戦い続け、合計すれば約15万などという馬鹿げた数のゴブリンを相手にしていたのだから。

 

殺した数で言えば凡そ13万はくだらないだろう。

残りの2万は散り散りに何処かへ逃げて行った。

 

そんな数を相手によくここまで生き延びたと思う。

 

 

 

正直な話、かなり呆気なく終わったな、と思った。

今までの戦いが強烈過ぎたと言うのもあるのだろうがやはり、呆気なく感じてしまう。

 

 

 

そして、誰も彼もがその事実に呆然とするしかなかった。

それはそうだ、援軍が到着するまで終わらないとさえ思っていたこの戦いが、突如として終わりを告げたのだから誰だって拍子抜け、いや困惑してしまうだろう。

 

 

 

5分、もしかしたら10分かもしれない。暫くすると少しづつ、少しづつ状況が分かって来た。

 

「勝った、のか……?」

 

「分からない……」

 

「どういう事だ?なんで奴ら撤退した?」

 

「んな事俺に聞くな。分かる訳無いだろう……」

 

 

 

そうだ、俺もボーっとしてないでクレイドルさんに元凶を仕留めた事を報告しないと。

急いでクレイドルさんの下へ向かう。

 

「クレイドルさん!!」

 

「お、おぉ、イチロー。どうかしたのか?いや、そもそもこの現状の理解すら出来ていないのだが」

 

「今回の元凶のゴブリンを仕留めました」

 

「…………ん?は?」

 

「今回の元凶のゴブリンを仕留めました」

 

「そうかそうか……」

 

クレイドルさんは俺の報告を聞いて何だかよく分からない、という顔をして固まった。

十数秒固まって、漸く復活したクレイドルさんは、

 

「なんだと!?本当か!?」

 

「はい、本当です。確認されますか?」

 

「あ、あぁ!勿論だ!」

 

そして確認するために双眼鏡を渡して見てもらう。

 

「本当だ……確かに他のゴブリンとは倍ぐらい違うな……」

 

言葉を漏らしながら見ている。

そして俺の方を向いて聞いてきた。

 

「どうやって仕留めた?あれだけの距離があるのに。あの、置いてある君の武器でか?」

 

「M2等は使っていませんよ。今回奴を仕留めたのはこれです」

 

「うん?これも君の物なのか」

 

「えぇ。遠くの目標に正確に当てる事が出来る物です」

 

「そうか。そうすると君の手で、という事か」

 

「そうなりますね」

 

「…………よし、分かった。少しこれの上に乗っても良いか?」

 

「えぇ、構いませんよ」

 

クレイドルさんはハンヴィーの上に登って大きな声で言い始めた。

 

「諸君!たった今、そこに居るイチローが今回の元凶であるゴブリンを討伐した!これにより完全に今回の戦いは終結したと思われる!しかしまだ危険は残っているので気を抜かないようにしてもらいたい!以上だ!諸君、本当にご苦労だった!」

 

 

 

「「「「「「「「お”お”お”お”お”!!!」」」」」」」」

 

 

 

皆が叫ぶ。

あれほど絶望的な戦いを生き延びたのだ。誰だって喜ばないはずがない。

互いに肩を叩き合い、涙を流しながら喜んだ。

 

一頻りその様子を見てクレイドルさんはハンヴィーから降りて、俺の肩を叩いて言った。

 

「イチロー、今回の件、本当に感謝する。君が居なければ最初の戦いで皆殺しにされていた。君のお陰でこれだけの被害で済んだ。ありがとう。そして今回の一番の功労者は間違い無く君だ。胸を張れ」

 

「はい、有難うございます」

 

そう言うとクレイドルさんは何処かに行ってしまった。

 

 

クレイドルさんに言われた事を思い出して、漸くこの戦いが終わりを告げた事を噛み締める事が出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい」

 

「はい?あ、エルフラントさん。どうかしましたか?」

 

「いや、そのな、ありがとう」

 

「え?」

 

「私がゴブリンに連れ去られそうになった時、助けてくれただろう?」

 

「あぁ、気にしないで下さい。助けるのは人として当然の事ですから」

 

「いや、そこはしっかりと礼を受け取って欲しい」

 

「あー、それじゃぁ、どういたしまして」 

 

「あぁ。それでは後日渡しに行く。それでは私は行くとする。まだやらなければならない事が沢山あるのでな」

 

エルフラントさんにお礼を言われたりしながら、今回使用したM2と迫撃砲を格納する。そして辺り一面に散らばった薬莢をメニュー欄で一気に回収しておく。

 

あくまでも今回は俺一人の力ではどうにもならない、と判断したからこそ武器を貸し出したのだ。

銃はこの世界の技術からするとオーバーテクノロジーにも程がある。

これからは俺自身が身を投じた戦いである事、俺一人では何ともならない状況の時に限って武器を貸し出す事にしよう。

 

ホイホイと渡していい代物じゃない。

 

 

 

 

 

それからは大変だった。まず最初に行ったのが今回の元凶であるゴブリンの死体の回収だった。

 

これは王都から派遣された援軍の中に居る魔法使いの手で凍らせて王都にある研究所だかなんだかに運んで詳しく調べるんだそうだ。 

 

そのゴブリンの死体を丘まで総出で運んできて、天幕の一つに放り込んだ。

 

そう言えば今更だったのだが今回のこの部隊には魔法使いが居たらしい。ただ治癒魔法使いしか連れて来ていなかったという事らしい。

攻撃系の魔法が使える人は殆どがイザという時の町の防衛に引き抜かれてしまったらしく、今回は治癒魔法のみとなった。

 

俺自身も治癒魔法が使えるので怪我人の手当てをしたりした。

 

 

 

 

戦闘終了後の7時間後、王都からの援軍が漸く到着。

既に戦闘が終結し、元凶も仕留めたという事で大騒ぎになった。

 

あとはゴブリンの死体の山を見て王都からの援軍の人達が吐いていたりしたが些細な事だろう。

 

援軍として派遣された兵士の数は9000で、今回のゴブリンの総計には到底足りない数でもし戦闘に間に合っていればそれこそ皆殺しにされていた事だろう。

 

 

 

 

 

援軍到着後、ゴブリンの死体の山にガソリンを撒いて焼き払ったりした。

全て燃やし切るのに丸々4日掛かる程だった

ありったけのガソリンを呼び出して人海戦術を使いあっちこっちに撒いて、火を点け、燃やす。それはもう驚くほどの火力と煙、匂いだった。

かなりの数、10万近い死体の山を焼いたのだから早い方なのだろう。

 

 

結局丘からリーヴォリの町に帰還する事が出来たのは町から出撃して10日目の事であった。

 

 

 

 

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