銃は地球人類が生み出した最高の文明の利器である   作:ジャーマンポテトin納豆

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領主からの報酬

 

 

 

ゴブリンとの戦いから暫く経つ。

その間も戦後処理は続いていた。完全に燃やし尽くしたとは言えないゴブリンの死体をしっかりと燃やし尽くして疫病が蔓延したり不死者化するのを防ぐ。

 

あとは散り散りに逃げて行ったゴブリンの残敵掃討ぐらいだろうか。

しかしこの残敵掃討も中々進んでいない。と言うのも王都から派遣された応援の軍の編成が問題だった。

いや、編成というよりは指揮系統に問題があった、というべきだろう。

 

その指揮系統は貴族連中が中心で戦いなどしたことも無いと言う連中ばかりであった。上から下までの殆どがだ。要は実戦経験を多少なりとも積ませよう、という事らしい。あとは箔付けと言った所か。

貴族の息子だったりが指揮を執っていて簡単な部隊間同士の連絡も出来ない有様だった。

そんなんだから連携など取れる筈も無く、強化されて強くなったゴブリンに全くと言っていいほど歯が立たなかった。

突出した部隊から包囲殲滅されていき、9000も居た軍はたった1日の戦闘で7000にまでその数を減らしていた。

 

しかしそんなんでも状況を理解していないからか戦闘を続け、結局3日目の時点で4000にまで減っていた。

町に戻って来るたびに数をどんどん減らしていく様を見て、あの丘で戦った人間は少なからず怒りを覚えていた。

 

あれだけ俺達が必死になって戦ったのにあのざまはなんだ、と。

 

まぁその気持ちが分からなくもないのだが。

結構態度が横暴な連中が多いのも、そう思う要因の一つだ。

 

 

 

結局その後、王都から遅れて派遣された今回の事を報告書に纏める人間に付いて来た軍の階級の高い武官が幾ら何でも酷すぎる現状に、独断で王都へ時間が掛かるものの連絡の人間を送り現場での指揮権を継承した。

 

 

結局軍だけでは対応が出来なかった。

ゴブリンの強さは兵士10人に相当し、囲んで袋叩きにするしかなかったのだがそのゴブリンが如何せん強すぎて囲んでも簡単に突破され、効果的に掃討していくことが出来ず遅々として進まなかった。

 

 

ゴブリンと直接戦闘をしたクレイドルさんを始めとした領軍と、ギルド、そして勿論俺も参加する事になった。

その時はレナードさんとノーマンさんにハンヴィーに乗って貰ってM2の射手、警戒を担当してもらった。

 

 

 

 

そして今日漸くその掃討作戦が終了した。

期間にして2週間。

 

軍や領軍の歩兵では機動力に問題があり騎兵を中心にあちこちを走り回って殺して行った。それで思いの外時間が掛かってしまった。

 

 

 

 

そして今現在、俺は領主の屋敷に居る。

と言うのも報酬を直接手渡すという事で以前から呼び出されていたのだが掃討作戦への参加もあって中々行く事が出来なかった。

 

そして今日漸く時間が出来たので向かう事が出来たのだ。

日程なんかは特に伝えられていなかったので暇な今日、という訳だ。

 

 

門を通されて、応接間で領主が来るのを待つ。

部屋には俺の他に何人かメイドさん?が居る。

するとそこに来たのは、身長の高い男性だった。多分180cmはあるだろうか?髪の毛は茶髪、と言っても染めたりしているようなものではなく生まれつきの様に見える。

瞳の色は青。この世界じゃ結構居る色だ。年齢は3~40って所か。

 

「初めまして。レイフォード・リーヴォリだ。今回の戦いは誰よりも一番の活躍をしてくれたとクレイドルやコルネーから聞いているよ」

 

「有難うございます。光栄です」

 

「あぁ、そこまで畏まらなくていいよ。威厳とは程遠いからね、私は」

 

「いえ、そんなことはないと思いますが」

 

「ありがとう。さて、早速だけど今回の報酬の件に移ろう。君は何を望む?何が欲しい?私に叶えられる事ならば聞くよ」

 

この話、今日は辞退したくて来たのだ。

やはり幾ら何でも貰いすぎな気がするのだ。国からだけの報酬金の金額ならば普通に暮らせば問題無く暫くは暮らせる。

そこに領からの報酬も入って来るとなるとやはり幾ら何でも貰いすぎだ。

 

「それなんですが……やはり辞退させていただけないでしょうか?」

 

「ふむ?それはどうしてだい?」

 

「正直申し上げますと、国からも直接的に報酬が支払われるので、これ以上貰うのは何というか貰いすぎな気がしてしまうんです」

 

「君は謙虚なんだね」

 

「いえ、そんな事はありません」

 

「いや、何処の人間よりも謙虚だ。しかし残念ながら報酬を取り消すことは出来ないんだ」

 

「それは、何故ですか?」

 

「貴族にも面子という物があってね。今回の戦いの一番の功労者に国から報酬が出るのに私の方から報酬が出ないのはおかしいからね。後々何かにつけて嫌味を言われる事になるんだよ」

 

「そうなんですか」

 

「うん。だから出来れば受け取ってくれると有難いんだが駄目かい?」

 

「……分かりました」

 

「うん、ありがとう。で、何がお望みかな?」

 

そうだなぁ……正直金銭はもう国から貰うだけで十分だしな……

あ、家でも貰うか。そろそろ宿暮らしから卒業したいと思っていたのだ。

今回の報酬で貰ってしまえば買う為のお金を貯める必要は無い。

 

「家を貰えれば有難いです」

 

「ふむ……家か。うん、分かった。2日程時間を貰えれば有難いんだけどいいかな?」

 

「大丈夫です。有難うございます」

 

「うん。それじゃ準備が出来たら宿に使いを出すから」

 

「はい。有難うございます」

 

「これで用件は終わりだね」

 

「はい。それでしたら私は帰ります」

 

「うん。道中気を付けるように。君、彼を送ってあげなさい」

 

「畏まりました」

 

そうしてメイドさんに玄関まで送られて宿に帰る。

家が貰えるのか。うん、やったぜ。これで周りの目をある程度気にしないで色々と作業が出来る。

 

さて、王都に向かうのが1週間後だ。

それまでにやる事と言っても特に無い。依頼もゴブリンがあれほどの大軍で現れて以降それ以外の魔獣や魔物は逃げてしまったかゴブリンに狩られて食料となった。

 

恐らくこの辺り一帯、オール大森林からオール大平原は全く持って居ないと考えた方がよさそうだ。

まぁそれで暫くの間は平穏に暮らせると考えるべきか、それとも収入が無くなったことを嘆くべきか。

報酬を貰っているので俺は困らないが他のギルドの連中は使いすぎて後々泣きそうな気もするが。

俺は今回使った分の金を全てストックする。

確か3倍は貰えるとかなんとか言ってたから倍額突っ込んでおくのも良いかもしれない。何があるか分からないんだし。

 

家も貰える訳だから特に残金に気にする必要は無い。

気にするとしても食費程度だ。それも馬鹿みたいに高い食事でなければ問題は無い。

最悪、呼び出せる食料で全く持って事足りる訳だし。

以前はそれで過ごしていたのだから。胡椒や塩、香辛料類で味付けを無理矢理変えてしまえば別の料理として食える。

 

 

 

 

 

 

2日後、約束していた日だ。

朝になって宿の1階にある酒場に降りるとそこに居たのはエルフラントさんだった。

あの戦いの時の鎧姿とは違い礼装だろうか?の様な格好だった。しかしそこまで堅苦しいという訳でもない。

 

「エルフラントさん?どうして此処に?あ、もしかして」

 

「そうだ。私が使いの人間だ」

 

「そうだったんですか。ありがとうございます」

 

「何、気にするな。それでは支度が出来次第向かおう」

 

「分かりました。少し待っていて貰えますか?」

 

「あぁ」

 

急いで着替えないと。

まさかこんなに早く来るとは思っていなかった。早くても昼頃だと思っていたもんだから全く準備をしていない。

急いで身支度を整えて、護身用にM9を携行する。

 

「お待たせしました。それでは行きましょうか」

 

「あぁ。外に馬車が待っているからそれに乗って行くぞ」

 

「へ?歩いて行くんじゃないんですか?」

 

「んな訳あるか。お前自覚してないようだから言っておくがあの戦いにおいて一番の功績を上げたのはお前だぞ?そんな人間を歩かせた、なんて噂でも広まればレイフォード様自身の面子に関わる」

 

「そうなんですか。そんなものとは無縁の人生でしたから」

 

「そういうわけであの乗り物みたいに乗り心地はよくは無いが寛いでくれ」

 

見た目は普通のよりも明らかに高いだろ、と言う感じだ。そもそもこんな凝った模様を彫っていたりするのだから当然っちゃ当然か。

 

促されて馬車に乗る。

中も普通の馬車とは違い木の板剥き出しではなくしっかりとクッションが張られて居たりする。

座ってみると意外と心地は良い。

 

「おぉ、フカフカだ」

 

「まぁレイフォード様が所有している中で一番の物を用意させたそうだからな」

 

「そんなのに乗っちまっていいのか俺……」

 

ついぼそりと漏らしてしまった。

いや、もし壊したりしたら、と考えるとチキンになってしまう。

 

「何、気にするな」

 

 

 

そして家に向かったのだが。

 

「……まさかこのでっかい家?」

 

「そうだ。ほら入れ」

 

めっちゃデカい家が貰えた。

 

「言っておくが王都に行けばこの程度の家などまだまだだぞ。レイフォード様の屋敷よりも遥かにデカい屋敷ばかりだからな。恐らく平均よりも小さいぐらいだ」

 

なんてエルフラントさんは言っていたがどうも俺の感覚からすると十分デカいのだが。

多分あれって馬小屋?だよな。馬なんて俺必要無いんだけど……

いや、この世界からすると標準なのか。

 

「ほら、これがこの家の鍵だ」

 

「あぁ、ありがとうございます」

 

手渡された鍵を受け取り中に入る。

うぉ。広い。

何部屋あるんだ?これ。

 

「部屋の数は10部屋だ。好きに使え、との事だ。あぁ、それとこれも渡しておかないと」

 

そう言ってエルフラントさんが渡して来たのは紙だった。

 

「この家の権利書だ。ここにサインをすればお前の物になる。何か書くものはあるか?」

 

「あー、いえ」

 

「だろうな。ほら、これを使え」

 

「有難うございます」

 

権利書にサインをして、受け取る。

 

「それでは用件は終わりだ。私は帰る。掃除なんかは既にやってあるから問題はないと思う。もし何かあったらレイフォード様に言うと良い。無理な物でなければ何とかしてくれるだろう」

 

「はい。有難うございました」

 

「あぁ。ではな」

 

そう言ってエルフラントさんは帰って行った。

 

 

さて、部屋を見て回ろう。

 

 

 

 

この家やっぱりデカいな。

1階と2階に同じ大きさの部屋が5部屋づつ。で、それとは別に調理場とか庭も付いてるし。

庭の広さは家と同じ面積+、って所か。広い。

 

しかも部屋の家具類は一通り揃っていて態々買いに行く必要は無かった。

こんな所まで貰ってしまうとは。なんだか申し訳なくなって来たぞ。

 

 

部屋は何処でもいいか。

日当たりのいい家だから何処でも変わらないし。

という事で2階の角部屋にした。

 

 

 

こうして領主からの報酬の受け取りが終わった。

 

あぁ、一週間後には王都に行かなければならないのか。

 

 

 

……正直面倒臭いな。

 

 

 

 

 

なんて思いながら過ごしたこの家での初めての夜だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、宿を引き払うの忘れてた。

 

 

 






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