今回はオリエピで、理亞ちゃんとルビィちゃんが遊びに行く回となっております(といってもほぼダイヤさん視点ですが)。ドーパントは前回、前々回でリストラされたバイオレンス・ドーパントをこちらで登場させました。
沼津駅のバス停前。そこでツインテールの少女・鹿角理亞がそわそわと落ち着かない様子で立っていた。
慣れない服、慣れないアクセサリー。というのも、最近はロケ等番組撮影の時以外はずっと綺羅家から無償でもらった制服を着用していたからだ。味気のない紺と白の服とは打って変わって、今日の自分の服には水色やピンクなどが華やかに彩色されている。唯一いつも通りなのは、軽い変装の為に着ける伊達メガネだけ。
『鹿角理亞ちゃんですか?』と声をかけられないか、珍しそうな目でこちらを見る人がいないか辺りを見回していると、バスが到着し中から目的の人物が降りて来る。
「お待たせ、理亞ちゃん。待った?」
バスから降りて来たのは、白いリボンで横に赤い髪を結わえた少し小柄な少女だった。黒澤ルビィ。最近とある事がきっかけで仲良くなった少女だ。
「全然待ってないよ。さ、行こっか」
「うん!楽しみだね!」
ルビィは可愛らしく微笑み、少し先を歩く。その背中を見ながら理亞も歩き出した。
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場所は変わって黒澤探偵部部室。そこでは果南とダイヤが依頼書・報告書をまとめていた。机の上には、ここ最近起きたガイアメモリ関連の事件やその他の依頼の書類が散らばっている。このような書類が整理されず無造作に置かれている原因は、大半は鞠莉の仕業である。本人曰く理事長の仕事や依頼、学業があるので整理している時間がないとの事。
ちなみに張本人である鞠莉は現在出張の為不在である。ルビィも理亞と遊びに行ってしまい、2人しかいない黒澤探偵部はいつもより静かだった。
それもあってか、ダイヤはどこか忙しなく外を見たり落ち着かない様子である。果南は呆れたような顔をし、ダイヤに声をかける。
「あの、ダイヤさん?さっきからもじもじしてて気になるんですが」
「…えっ!?もじもじなんてしていませんわ!ちゃんと書類をまとめる作業をしてるではありませんか!」
「いや、その割に進んでないじゃん。この書類とか日付通りに並んでないし…トイレなら早く行ってきた方がいいよ。我慢してると身体に悪いよ?」
「失礼な!お手洗いを我慢してる訳ではありません!…心配なのです、ルビィが」
「まだそんな過保護な事言ってるの?ルビィちゃんだってもう子供じゃないんだから大丈夫だって。理亞ちゃんもいるし」
「ぶっぶーですわ果南さん!!確かにルビィも成長しています。ですがまだ年齢的には未成年!成人した訳ではありません!おまけに最近の不届き者はすぐ女子高生に声をかけて口説こうとしたり体を触ろうとしたり盗撮したりするのですよ!?これが今世間ではセクハラと呼ばれて問題になっているのはご存知でしょう!?しかもお相手があの理亞さんですし絶対何かトラブルに巻き込まれそうな予感がしてならないのです!!」
「流石に考え過ぎじゃないかな…そんな事言ったら少し外出しただけでトラブルだらけだよ。それにここ静岡だから。そういうのは東京で多く起こるものであってこんな場所じゃ滅多に起きないと思うけどなぁ」
「考えが甘いですわ!!ほら果南さん、ルビィの様子を見に行きますわよ!トラブルや事件に巻き込まれたら私達が何とかしないと!」
「巻き込まれる前提なの!?やめてよ縁起でもない…そんなに心配なら1人で行って来なよ。まだ書類まとまってないし、私が行ったら依頼とか来たら応対する人がいなくなるじゃん」
「それはそうですが…そうですわ!なら善子さんや花丸さん、花陽さんに手伝って…」
「ダメでしょみんな忙しいんだから。それに私組織から追われてる身だから迂闊に外に出られないんだよ。内浦を出歩くのが精一杯だよ」
「確かに、それは危険ですわね…鞠莉さんも出張でWに変身するどころではなさそうですし」
「うん、そういう訳だから1人で行ってらっしゃい」
ダイヤは渋々1人で沼津へ向かう事になった。しかし、外へ出て突如どうしようもない不安に襲われた。ルビィ達がトラブルに巻き込まれないかもそうだが、いざとなった時に自分が2人を守れるのかどうかも気掛かりであった。
ダイヤはスカルメモリを取り出し、それを見つめる。彼女は鞠莉と果南に比べて戦闘経験も浅く、2人が父のポリシーに基づいて行動しているのと同様に、できるだけガイアメモリの使用を控えたいと考えるのであった。
「今は考えていても仕方ないですね。それよりルビィを探さないと」
ダイヤはルビィを探すべく駅から離れ、北口の付近にあるショッピングセンターBiViの中へと入る。ルビィが友人と遊ぶ時は大体このショッピングセンターに行く事が多い為、今回もそこにいるのではないかとダイヤは推測した。その予想は見事に的中し、ルビィと理亞はゲームセンターでクレーンゲームを楽しんでいた。筐体の中には、東京にあるテーマパークのキャラクターである青いエイリアンの大きなぬいぐるみがどんと置かれていた。
ダイヤは2人に見つからないよう、ルビィと理亞の遊んでいる筐体の2列後ろにある筐体の陰からその様子を見守っている。
「ふぇぇ、また取れなかった…」
「大きなぬいぐるみだからって闇雲に体を掴めば取れるものじゃないよ、ちょっと私にやらせて」
理亞は100円玉を2枚投入し、横からアームの位置を吟味しつつ①と表記されたボタンを長押しする。理亞は自身の納得のいくと思う位置でボタンから手を離し、②と表記されたボタンを押す。アームはぬいぐるみの体を掴まず、失敗したかに思えた。
しかし、これも理亞の狙い通りであった。アームがタグに引っかかり、そのまま景品出口にぬいぐるみは落ちた。
「取れた!!凄いよ理亞ちゃん!」
「たまたまだよ。寝転がった体勢だから取れたんだと思う。あ、このぬいぐるみルビィにあげるから持って帰っていいよ」
「え?でも理亞ちゃんのお金で取った物だし悪いよ…」
「いいの!そこはありがたく受け取ってよ、仕事の給料は殆ど使ってないから心配しないで」
「じゃあ…貰うね!ありがとう理亞ちゃん♪」
ルビィの感謝の言葉に理亞の顔は赤くなった。その様子を見ていたダイヤも思わず微笑んだ。
ふと目を離すと、1列前の筐体の陰に帽子を深々と被った黒いパーカーの怪しい女性が隠れているのに気づく。まさかこの2人に危害を加えるつもりか。そう思ったダイヤは後ろからそっと近づき、女性の両腕を封じた。
「わっ!何するんですか!?」
「おだまらっしゃい!2人に聞こえるでしょうが!あなたのような不届き者がいると思いこっそりあとをつけて正解でしたわ。指1本彼女達には触れさせません!」
「誤解です!私も妹が心配で陰から様子を見守っていただけです!」
「妹?もしかしてあなた…」
「私です…鹿角聖良です」
ダイヤは鹿角聖良と名乗る女性の両腕の拘束を解き、顔を確認する。それに応じ、女性も掛けていた黒のサングラスを外した。その顔はどう見ても聖良の顔であった。テレビや写真で見かける時はいつもサイドテールだが、今は髪を下ろしている為別人のように見えたのだ。
ダイヤと聖良はそのまま同行する事になり、ルビィと理亞の様子を自動販売機の近くのベンチから眺めていた。ちなみに今、ルビィと理亞はダンスのゲームに夢中だ。
「あの、先程は申し訳ありません…聖良さんだと知らずに」
「いえ!私も変装が過ぎたのがいけなかったです!先日これと全く同じ服装で自撮りしたんですけど、インスタにアップしたら『不審者みたい』ってコメントがたくさん来たんですよね」
「ふふっ、でもそれだけ心配性な姉って事なんでしょうね。私達って」
「そうですね」
2人は会話をしているうちに笑いが込み上げて来て、思わず笑みをこぼし合いながら世間話で盛り上がった。そんな2人を他所にルビィと理亞はゲームを終え、ゲームセンターから出て行った。
「…あれ、理亞達がいない」
「…ホントですわ」
ダイヤと聖良がそれに気づいたのは、ルビィ達が出て行って8分後くらいである。
2人は一目散にゲームセンターを後にし、息を切らしながらルビィ達の姿を探したのであった。ようやくルビィと理亞の姿を見つけたダイヤと聖良は、2人が雑居ビルの中へと入ろうとするのを目撃した。
「はぁ、はぁ…あそこです!すぐに追いましょう…はぁ」
「メイドカフェ!?そんな所に入るつもりですの!?」
雑居ビルの中には『カフェ ChunChun(・8・)』というメイドカフェがあり、窓からは執事の格好をした男性店員やメイド衣装を着た女性店員が歩き回っているのが見えた。
「あんな貧弱そうな男達にルビィを渡してなるものですか!!お嬢様なんて言わせませんわよ!!」
ダイヤと聖良はカフェの扉を開き、店内へと入って行った。
…のだが、当の本人達はカフェにはいなかった。ルビィと理亞は3階にあるスマホケースのショップで買い物をしていたのだ。ダイヤと聖良はそれに気づかない。
「理亞は…理亞は何処へ…」
「おかしいですわね…ちょっとそこのあなた!聞きたい事があるのです!」
「は、はい!何でしょうお嬢様?」
ダイヤは自分達の座席の近くを歩いていたグレーの髪のサイドテールの店員に話しかける。
「ここに赤い髪の女子高生が来店しませんでしたか?」
「あとツインテールの女子高生も!その赤髪の人と同い年です!」
「えっ?えーっと…あちらのお客様ですか?」
ダイヤ達は店員が指した方を見るが、店員が指したのは大学生と思しき2人組の男女だった。
男性の髪には赤いメッシュが入っており、女性は理亞と同じツインテールの髪型をしていた。
「ぶっぶーですわぁ!!30秒前に赤い髪の女子高生と言ったでしょう!?よく聞いて下さい!!」
「ちょ、ダイヤさん落ち着いて下さい…」
「えぇ…じゃあわからないです…ゴメンなさい、許して…くれますか?」
「あ、ダイヤさん!いました!」
店員の脳トロボイスをスルーし聖良が窓の外を指差す。既に2人はビルから出ており、仲睦まじそうに話しながら歩いていた。
「入ったのはカフェじゃなかったんですね…!安心しましたわ…」
「このビル、上にスマホケースのショップと眼鏡店があるみたいですね。てっきりこのカフェに行ったのかと…」
「という訳で私達は帰らせて頂きますわ!お会計をお願いします!」
「…あ、はい!見つかって良かったです♪ではレジの方へお願いします、お嬢様方♪」
ダイヤと聖良は慌ててカフェを出て、数メートル先を歩くルビィと理亞の尾行を再開した。
一方ルビィ達は商店街の中へと入り、スマホを見ながら次に行く場所を探していた。
「次はどこにしようか?理亞ちゃんは行きたい所ある?」
「私は…とりあえずお昼にしたいかな」
「そうだね、そろそろお茶にしよっか!ルビィは沼津バーガーに行きたいなぁ…」
「プライベートでもよく行くから知り合いもいるし、いい事あるかもね。じゃあ沼津バーガーね」
2人は行き先が決まり、沼津バーガーへと足を進めようとしたその時、前にメガネをかけた大柄の男が現れた。
「見た事ある子がいると思ったら理亞ちゃんだ!可愛いなぁ…」
「知り合い?」
「いや、知らない。えっと、もしかしてファンの人ですか?」
「そうだよ〜。いやぁ、まさかこんな所で会えるなんて、キミは運命の人なのかなぁ?」
「ピギッ…!何か怖い…この人」
「ルビィ、大丈夫?何なんですか、あなた…!」
「決めたよ理亞ちゃん、今日からキミはボクの物だ!」
その言葉と同時に男の右手がすっと動く。男の手には赤いガイアメモリが握られていた。
「っ!!ガイアメモリ!?」
\バイオレンス!/
男は左手の甲にメモリを挿す。すると、彼の体は肥大化した筋肉を持つドーパント、バイオレンス・ドーパントに変わった。
「わぁぁ!ドーパントだ!」
(この男、完全にメモリに呑まれてる!バイオレンスはパワーも強力だし、逃げないと!)
理亞はクレイドールメモリを所持していなかった為、ドーパントに変身する事ができなかった。いや、そもそも理亞にはメモリを使うという選択肢がなかった。仮にメモリを持っていたとしても、ドーパントになるという事はルビィや自分を変えたい気持ちを裏切る事になってしまうからだ。
自分がルビィを逃がさなければと思い、ルビィの手を引いて走り出した。
その異変にはダイヤと聖良も気づいており、ダイヤと聖良の目にはバイオレンスから逃げる妹達の姿が映っていた。
「ドーパント…!」
「待ってよ〜理亞ちゃん〜」
バイオレンスは左手を地面に叩きつけ、高速移動しながら理亞達に近づいて行く。そのスピードに生身の人間が敵うはずもない。アイドル活動で培った体力を持っているとはいえ、理亞の体力は底をつきかけていた。
「聖良さん!先にここから逃げて下さい!私は助けを呼んで来ます!」
「わかりました!どうかご無事で…!」
聖良はダイヤの指示に従い、遠くへと避難する。聖良の姿が見えなくなったのを確認し、ダイヤはロストドライバーを腰に装着する。
\スカル!/
「変身、ですわ!」
\スカル!/
「うわぁ仮面ライダーじゃん…何の用さ?」
「この2人には指1本触れさせません。今のうちにお逃げなさい」
「ありがとうおね…仮面ライダーさん!」
「あ、ありがとう…ございます…」
「ちょっとぉ、邪魔しないでよ!ボクの理亞ちゃんが行っちゃうじゃん!」
スカルに変身したダイヤはバイオレンスの前に立ち塞がり、ルビィと理亞を逃がす。バイオレンスは仕方なさげにスカルに攻撃するが、バイオレンスは身体が大きいドーパントの為スカルに軽々と避けられてしまい逆に蹴りや拳を叩き込まれた。だが…
「アイタ〜…あなた身体が硬すぎですわ!」
「残念〜、ボクの方が有利だねっと!」
バイオレンスは右手をスカルに叩きつける。暴力の記憶を内包したバイオレンスメモリは、使用した人間の攻撃力と防御力を大幅に上げる能力を持っていた。バイオレンスの大きな体格もあり、その一撃はかなり重い。
「ぐっ…ならこれで!」
スカルはスカルマグナムを取り出し、バイオレンスの体に弾を撃ち込む。今度は物理攻撃よりも効き目はあるようだが、大したダメージは与えられなかった。
同時にバイオレンスとスカルの戦場へ聖良が戻って来る。聖良は彼の態度や先程彼が理亞を襲おうとしたのを思い出し、怒りが込み上げてくるのを感じていた。
「あの男…絶対に許さない!」
「聖良!無事か?」
聖良がガイアドライバーを装着した瞬間、英玲奈がやって来る。
「ドーパントが暴れていると聞いてここに来てみたんだ。先程逃げる理亞と友達らしき子も見かけたよ」
「私も理亞が心配で尾行していたら、男がバイオレンスメモリを使い理亞に襲い掛かって…お友達と出掛けられるのを楽しみにしていたのにこんな事になるなんて…」
「すまない、聖良。こんな事を言ったら怒るかもしれないが…あのメモリを売ったのは私なんだ。『ボクにとって運命の子が欲しい』という理由でメモリを購入したらしいが、その時から危険な人物だとは思っていた。だが偶然とはいえ理亞が狙われるとは私も予測できなかった。本当に申し訳ない」
「いえ、仕方ないですよ。あの男は女性なら誰でもいいんだと思います。理亞であろうがなかろうが襲うつもりだったかもしれません」
「とにかく原因は全て私にある。今や奴は綺羅家にとっても不穏分子であるとしか言い様がない。責任を持って始末しよう」
「私も手伝います。このままでは理亞の身も危ないので」
\スミロドン!/
\ナスカ!/
聖良と英玲奈はスミロドン・ドーパントとナスカ・ドーパントに姿を変え、バイオレンスに向かって行く。
突如幹部級ドーパントが出現し、バイオレンスに攻撃している事にスカルは戸惑いを隠せない。
「どういう事ですの?何故あなた方が…」
「邪魔をしないで下さい!」
スミロドンは問いかけて来たスカルを爪で切り裂き、ナスカと共に再びバイオレンスに攻撃する。
「くっ、硬い…!かなりの防御力ね」
「ここは一気に畳み掛けよう、超高速!」
ナスカは先日習得したばかりの超高速を使い、肉眼では捉えられないスピードでバイオレンスを切り裂く。バイオレンスはそれに反撃する暇もなく、ただナスカの斬撃を受け続けるだけだった。
「なんてスピード…!これがゴールドメモリの力なんですね」
「こんなものかな、超高速とはいえどもメモリブレイクまでは不可能か…仮面ライダー、今のうちにトドメを刺すんだ。君達のマキシマムドライブとやらならメモリを砕けるはずだ」
「よくわかりませんが…今回ばかりは感謝しますわ!」
\スカル!マキシマムドライブ!/
スカルはスカルマグナムにメモリを挿し、銃口をバイオレンスに向ける。
スカルのマキシマムドライブ・スカルパニッシャーがマグナムから放たれた瞬間、バイオレンスは球体に姿を変えて飛行しながら逃走してしまった。
「逃がしませんわよ!」
スカルはスタッグフォンを操作し、スカルボイルダーを呼び出しバイオレンスを追う。
「どうしますか?英玲奈さん」
「いくら逃げたとはいえ先程の超高速で体力も大幅に消耗しているはずだ。あとは彼女に任せるとしよう」
スミロドンとナスカも聖良と英玲奈の姿に戻り、どこかへ去って行った。
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その頃、スカルとバイオレンスは熾烈な戦闘を繰り広げていた。バイオレンスは腕から礫を放ち、スカルはそれを躱しながらマグナムで攻撃する。
しかし、バイオレンスは球体化した事で空中戦も可能になった為、スカルマグナムの銃撃が当たらないようにスカルの真後ろへ飛び、礫で攻撃した。その攻撃を浴びたスカルはスカルボイルダー諸共吹き飛ばされてしまった。
「もうキミ許さないよ!ボクの邪魔したから殺してやる!」
バイオレンスはスカルに向けて再び礫を放とうとする。
\ヒート!トリガー!/
その時、聞き覚えのあるガイアメモリの音声が鳴り響く。バイオレンスはスカルに向けて放たれた礫と共に火炎弾に撃ち落とされる。
スカルが火炎弾の放たれた方を見上げると、赤と青の戦士がハードタービュラーに乗ってトリガーマグナムをくるくると回していた。仮面ライダーW、小原鞠莉と松浦果南。ここに見参だ。
「ダイヤ!待たせてゴメンね♪」
「鞠莉さん!用事は終わりましたの?」
「えぇ!ドーパントが街を壊してるってNewsになっていたから急いで駆けつけたのよ♪」
『さ、さっさとアイツを仕留めよっか。部室で変身しちゃったから誰か来たら困るんだよね』
「あなたは理亞ちゃんを襲い、ルビィのDateを邪魔し、その上街も泣かせた。多くの人を巻き込んでしまった事、しっかり反省するのよ!」
「「さぁ、あなたの罪を数えなさい!」」
「理亞ちゃんはボクと結ばれる運命なんだぁ!!」
「おだまらっしゃい!!あなたみたいな変態男の好きにはさせませんわ!あと鞠莉さんデートとは何ですか!言い方があるでしょう!」
『はいはいわかった、説教はあとにしてよね!』
バイオレンスは再び球体に姿を変え、逃げながらWに向け礫を発射する。Wはトリガーマグナムでそれを撃ち落とし、バイオレンスを追いながら火炎弾を放つ。
『このままじゃ埒が明かない。身体にも負担がかかるし、ルナに変えて確実に当てるよ』
\ルナ!/
\ルナ!トリガー!/
「ダイヤ!私達がメモリブレイクするからこれでアイツの動きを封じてもらえるかしら?」
Wは黄色と青に変化し、鞠莉はスカルにバットショットとスパイダーショックを渡す。それらを受け取ったスカルはギジメモリを挿し、スパイダーショックをスカルマグナムにセットした。
\バット!/
\スパイダー!/
「了解ですわ!私にお任せを!」
バットショットはスコープでバイオレンスに照準を合わせ、正確に当たる位置を示す。スカルはバットショットの画面を見ながらバイオレンスにスカルマグナムを向ける。トリガーを引いた瞬間、スカルマグナムからは黄色い蜘蛛の糸のようなネットが飛び出しバイオレンスを捕らえた。
Wとスカルはメモリガジェットを武器にセットする事により、攻撃にガジェットの能力を付加させる事が可能だ。
「うわぁ!何だこれ!」
「上手く行きましたわ!今です、鞠莉さん!」
「OK!Cleaning Timeよ〜!」
ネットにかかったバイオレンスは勢いよく落下していく。その隙にWもスタッグフォンとトリガーメモリをトリガーマグナムにセットする。
\スタッグ!/
\トリガー!マキシマムドライブ!/
「「トリガースタッグバースト!!」」
トリガーマグナムから放たれたクワガタの角のような2つのビームはバイオレンスを挟み込み、撃墜した。
男はそのまま落下していくが、Wが右手を伸ばし足を掴んだ事により転落は免れた。男の左手からはバイオレンスメモリが飛び出し、スカルの手に落ちる前に砕けた。
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ドーパントに襲われるというアクシデントもあったが、ルビィと理亞は鞠莉からドーパントが倒された事を聞き散策を再開した。
2人が最後に訪れたのは、淡島にある水族館・あわしまマリンパークだった。
「イルカさん可愛いなぁ〜」
「だね。今は私も淡島に住んでるけど、ここにちゃんと来たのは初めてなんだ。今日は色々あったけど、ルビィと出掛けられて嬉しかったよ、ありがとう」
「えへへ、また予定が合えば一緒に行こうね♪」
鞠莉とダイヤはその様子を見て微笑む。それと同時に、鞠莉とダイヤは大事な事を忘れていたのを思い出す。
「そういえば鞠莉さん、理事長の仕事は大丈夫ですか?出張の後だから何かやる事があるのでは…?」
「ん?Oh No!ドーパントに気を取られてすっかり忘れていたわ!」
「そういえば私も果南さんが1人で書類の整理をしているのを忘れていましたわ!ルビィ達に見つかる前に帰りましょう!」
ダイヤと鞠莉はクルーザー乗り場へ向かう。ふと、鞠莉の目にあるものが入りそれを見る。
そこにあったのは、溶岩やティラノサウルスの化石、アノマロカリスのレプリカ、ダイヤモンドの鉱石。一見それらは特に何の変哲もない展示品であったが、これらは今まで鞠莉達が戦って来たドーパントのメモリ名と一致していた。
『何?邪魔しようっての?ならば燃えちゃえ!』
『みんな食ってあげるわ!あなた達もおばあちゃんをバカにした奴らも!』
『へ~、まさか先輩達が仮面ライダーだったんだぁ…殺しがいがあるよ』
『アンタ達もダイヤに変えてこのまま世界中のダイヤを私の物にしてやるわ!』
「それに興味があるのね。地球に刻まれた記憶というのは素晴らしいものでしょう?」
「っ!!」
鞠莉が過去を回想していると、後ろにショートヘアの少女が立っていた。
彼女は静岡県民からよく知られた存在であり、鞠莉自身もテレビやポスターなどで見た事があった。
「あわしまマリンパーク館長の綺羅ツバサです。A-RISEで活動しているのでご存知だと思いますが」
ツバサはごゆっくりどうぞ、と短く告げるとその場から立ち去った。
鞠莉はツバサから言葉では表せない厭な空気を感じていた。彼女の顔は何度も見た事があるはずなのに、1度対面しただけでこんなに不気味さを感じるものなのか。鞠莉の背中にはどろっとした冷や汗が流れていた。
「どうしましたの鞠莉さん?早く行きますよ?」
「Sorry,今行くわ」
鞠莉は得体の知れない感情を拭うかのよう、ダイヤの元へ駆け出した。
それから数時間後。鞠莉と果南、ダイヤの3人はようやく書類の整理を終えてくつろいでいた。ルビィも部室に帰って来て、その日は解散となる。
「あ〜ようやく終わった…そう考えるとここ2ヶ月の依頼って結構多いんだね」
「この前は依頼がないとか言っていたのにまとめてみると意外とありますよね。普段からしっかり整理しておかないとですね」
「そうね〜、でも私にはまだ理事長の仕事が…I'm sleepy」
「ん?ルビィ、どうかしましたか?先程からずっと上の空ですが…」
「もしかして疲れちゃった?明日から授業始まるし、休んだ方がいいよ」
「それもあるけど、1つ気になる事があって…ねぇ鞠莉ちゃん、ガイアメモリって裏社会で取引されてる物なんだよね?みんな普通に知ってるのかな?」
「まぁ、そうね。少なくともバイヤーから声かけられたりしない限りは存在を知らないはずだけど…どうしてそんな事聞くの?」
「あのね、理亞ちゃんとバイオレンスに襲われた時の事なんだけど…理亞ちゃんが『ガイアメモリ?』って言ってたのを思い出したの。それで、なんで知ってるのかなぁって」
ガイアメモリは闇社会という普通なら馴染みのない場所で売買されている物であるとルビィは聞かされていた為、理亞がその存在を知っていた事がずっと引っかかっていたのだ。警察や報道もガイアメモリに関しては一切公表せず、いくら芸能人であろうとも知っている可能性は低いはずだ。
「そういえば聖良さんもルビィと理亞さんの尾k…バイオレンスを見た時にたまたま同じ場所に居合わせたのですが、彼女もドーパントという名前を知っていました」
「今尾行って言いかけてたし…でも私は理亞ちゃんがここに来た時、ガイアメモリの事は伏せて犯人を話したはず。なのに知ってるというのは確かにおかしいね」
ドーパントという名前は『ガイアメモリを使ってドーピングした者』という意味を持ち、その呼称は警察や探偵部、組織絡みの人間が使う呼称であった。一般の人間の間では、ドーパントは普通に『怪物』と呼ばれており、正式名称を知る者は少ない。
「彼女達、過去にガイアメモリ犯罪に巻き込まれた事があったりするのかしら?」
「でもそんな事が発覚したら騒ぎになるはずですわ。あの2人は姉妹ですし、メモリやドーパントを知ったタイミングは同じでしょうね」
「いや、2人の共通点はそれだけじゃないよ。もう1つ有力な共通点がある。それは…」
果南の言葉に全員が息を呑む。ゆっくりと果南の口からある名前が出た。
「綺羅家だよ」
「まさか…」
「確証はないけど、綺羅家と組織は何かしら繋がりがあると思うんだ。メモリ絡みとは言われてないけど、この前みたいにネットでおかしな噂も流れてるし、淡島に幹部ドーパントがいたのも説明がつく」
「そうですね。Saint Snowのお二人も綺羅家の方ですし、そこでガイアメモリやドーパントを知ったと考えれば辻褄が合いますね…」
「だとしても、私は信じたい。彼女達がガイアメモリをばらまいてないって事を」
「ハーフボイルドだね。でも私も同感。嫌いじゃないよ、そういう考え」
「うん、せっかくできた友達なんだもん。ルビィも信じたいよ」
黒澤探偵部の中で、綺羅家と組織は関連があるかもしれないと確信した瞬間であった。
だが彼女達は、それでも聖良と理亞やツバサが流通に加担していないと信じていた。いや、信じるしかないのだ。
いずれ組織の目的や真相を知り、街の人々が笑顔でいられるよう戦う。それが鞠莉達の使命なのだから…
<次回予告>
英玲奈「まさかこんな形で君と会えるとは思っていなかったよ」
???「アタシの妹を探してくれない?」
ルビィ「それ、ガイアメモリ!?」
果南『メモリを使い回してる…!?』
次回 Nは潮風と共に/モルモット・オブ・ガイアメモリ
UTXメンバーで好きなキャラは?
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綺羅ツバサ
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統堂英玲奈
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優木あんじゅ
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鹿角聖良
-
鹿角理亞